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JP5849408B2 - シート分離装置、定着装置、画像形成装置 - Google Patents

シート分離装置、定着装置、画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、定着部材からシート(記録媒体)を分離させるシート分離装置及びこれを備える定着装置ならびに画像形成装置に関するものである。
電子写真方式のプリンタや複写機などの画像形成装置においては、従来から、用紙等の記録媒体(以下、用紙という)に転写されたトナー像を定着させる装置として、熱源により加熱される定着部材(例えば定着ローラ)と、当該定着部材を加圧する加圧部材(例えば加圧ローラ)で形成されたニップ部によって未定着トナー像を担持した用紙を挟持搬送しながら、加熱・加圧によりトナー像を用紙に定着させる熱定着装置が知られており、広く採用されている。
また、定着部材として無端状の定着ベルトを用いるベルト定着装置も周知であり、定着ベルトの熱容量が小さいことからウォーミングアップタイムを短縮出来、省エネ性に優れるという利点を有している。
以上のような熱定着装置においては、用紙に融着したトナー画像が定着ローラ/定着ベルトに接触するので、定着ローラ/定着ベルトは、離型性に優れたフッ素系樹脂を表面にコーティングされ、用紙分離には分離爪が用いられている。分離爪の大きな欠点はローラやベルトに接触するためにローラやベルトの表面に爪跡(爪キズ)をつけ易く、その場合には出力された画像にスジが発生するということである。
一般的にモノクロ画像形成装置の場合、定着ローラは金属ローラの表面にテフロン(登録商標)コーティングしたものであり、分離爪が接触しても傷に成り難く、寿命も長かった。
しかしながら、カラー画像形成装置の場合には、色の発色性をよくするために、表層をシリコーンゴムにフッ素コートしたもの(一般的には数十ミクロン程度のPFAチューブを使用する)か、シリコーンゴムの表面にオイルを塗布したものを使用している。ただ、このような構成では表層が軟らかく傷が付き易い。表層に傷がつくと定着画像にスジ状の傷が生じることから、今ではカラー画像形成装置では分離爪のような接触手段をほとんど用いず、大半は非接触分離を行っている。
非接触分離では、トナーと定着部材との粘着力が高いと定着後の用紙がローラまたはベルトに巻きつくため、容易に巻きつきジャムが発生するようになる。特にカラー画像形成では何層ものトナー層が積層されており、粘着力が高まるために巻きつきジャムが発生しやすい。
現在、カラー画像形成装置における用紙分離では主に次の方式が用いられている。
1)定着ローラ/ベルトとの間に微小なギャップ(約0.2mm〜1.0mm)を開け、定着ローラ/定着ベルトの長手方向及び幅方向に並行に延在する分離板を用いる非接触分離板方式。
2)定着ローラ/定着ベルトとの間に微小なギャップ(約0.2mm〜1.0mm)を開け、所定間隔で配された分離爪を用いる非接触分離爪方式。
3)用紙の腰の強さと定着ローラ/定着ベルトの湾曲部弾性とで自然に剥離させるようにしたセルフストリッピング方式。
また、空気を用紙分離位置に吹き付ける機構を伴わない、分離板のみの技術が、たとえば、特開2009−31759号公報(特許文献1)に開示されている。
しかしながら、いずれの方式でも、定着出口と用紙案内板との隙間が開いているため、薄紙や先端余白が少ない用紙を通紙するとき、あるいは写真等のベタ画像を通紙するときは、用紙が定着ローラ/定着ベルトに密着したまま隙間を通過してしまい、用紙巻きつきジャムが発生したり、分離板や分離爪に突き当たってジャムが発生することがある。
そこで、非接触分離をより強力にする方法として、空気を用紙分離位置に吹き付けること(以下、当該分離技術をエアー分離と称する)が提案され、使用に供されている。たとえば、特開昭51−104350号公報(特許文献2)、特許第2876127号公報(特許文献3)、特開平11−334191号公報(特許文献4)、特開2007−187715号公報(特許文献5)、特開2007−240920号公報(特許文献6)、特開2008−102408号公報(特許文献7)、特開2009−31759号公報(特許文献8)にそれぞれ開示されている。これらは、空気を、用紙の定着後にトナー像と定着部材の間に吹きつけ、用紙を強制的に定着部材から剥離するものである。
また、省エネや、圧縮空気発生装置(以下、コンプレッサーと記す)の小型化を目的として、用紙搬送のタイミングとエアー噴射の同期を取り、用紙先端分離時にのみ、エアー(圧縮空気)を噴射している。
しかしながら、通紙中にエアー噴射/非噴射を制御する場合、噴射を行っているときと、止めているときで用紙の挙動は異なる。特にエアー噴射を止めているときは、噴射をしているときと比べて、定着部材側への巻き付き量が大きくなり、その結果、定着分離後のトナー像がノズルや分離部材に擦れ、画像に擦れキズが発生しやすいという問題がある。ただし、エアー噴射/非噴射にかかわらず擦れキズが発生する場合もある。
本発明は、エア噴射方式の定着分離における上述の問題を解決し、定着分離後の画像に擦れキズなどの画像ダメージを発生させることのないシート分離装置、定着装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
前記の課題は、本発明により、定着部材と加圧部材により形成される定着ニップ部から搬送されてくるシート状記録媒体を前記定着部材又は前記加圧部材から分離させるシート分離装置において、前記定着部材の回動軸と平行な支軸に保持され、圧縮空気供給手段より供給される圧縮空気を前記定着部材に沿って前記略ニップ方向に噴射させるエアノズルと、前記エアノズルと同軸上に前記支軸に保持され、前記定着部材とは非接触に設けられる少なくとも1つの分離部材とを有し、前記エアノズル及び前記分離部材は、前記支軸の軸方向から見たときの部材先端部の投影形状が同一形状に設けられており、前記定着部材に対する前記エアノズル先端位置と前記分離部材先端位置とが同じ位置となるように構成されるとともに、前記エアノズルとエアノズルの間に少なくとも1つの前記分離部材が配置されることにより解決される。
また、前記エアノズル及び前記分離部材は、用紙搬送面の形状が部材先端から部材末端まで同一形状に設けられると好適である。
また、前記エアノズルと前記分離部材の前記支軸の軸方向の隙間が1.5mm以下、好ましくは1.0mm以下であると好適である。
また、前記分離部材が前記支軸の軸方向に隣接して配置される場合は、各分離部材の前記支軸の軸方向の隙間が1.5mm以下、好ましくは1.0mm以下であると好適である。
また、前記エアノズル及び前記分離部材の部材先端と前記定着部材表面との隙間(先端ギャップ)が1.0mm以下に設定されていると好適である。
また、前記エアノズル及び前記分離部材は、前記先端ギャップを調整するギャップ調整機構を備えると好適である。
また、前記エアノズル及び前記分離部材と略一体的に回動可能に設けられ、前記エアノズル及び前記分離部材と前記定着部材との間に微小ギャップを設けるように前記定着部材に突き当てられる突当部材を有し、該突当部材は前記定着部材に対して通紙領域外で突き当てられると好適である。
また、前記エアノズル及び前記分離部材は、先端部の材質が同一であると好適である。
また、前記エアノズル及び前記分離部材は、前記先端部の材質がフッ素樹脂であるか、または、前記先端部の表面にフッ素系樹脂のコーティングが施されていると好適である。
また、前記支軸の軸方向の両側端部においては前記エアノズルと前記分離部材とが交互に配置され、該端部以外では前記エアノズルとエアノズルの間に複数の前記分離部材が配置されると好適である。
また、前記の課題は本発明により、請求項1〜10のいずれか1項に記載のシート分離装置を備える定着装置により解決される。
また、前記の課題は本発明により、請求項1〜10のいずれか1項に記載のシート分離装置または請求項11に記載の定着装置を備える画像形成装置により解決される。
本発明のシート分離装置によれば、エアノズル及び分離部材は、支軸の軸方向から見たときの部材先端部の投影形状が同一形状に設けられており、定着部材に対するエアノズル先端位置と分離部材先端位置とが同じ位置となるように構成されるので、並設された分離板−ノズル間、分離板−分離板間に段差や隙間が無く、圧力が集中することが無い。そのため、分離板とノズルの間で発生する擦れキズなどの画像障害の発生を防止することができる。
請求項2の構成により、エアノズル及び分離部材は、用紙搬送面の形状が部材先端から部材末端まで同一形状に設けられるので、エアノズルと分離部材の用紙搬送面で部材間の隙間や段差が無く、擦れキズなどの画像障害の発生を防止できる。
請求項3の構成により、エアノズルと分離部材で、部材間の隙間を小さくして擦れキズなどの画像障害の発生を防止できる。
請求項4の構成により、分離部材と分離部材で、部材間の隙間を小さくして擦れキズなどの画像障害の発生を防止できる。
請求項5の構成により、定着部材表面との先端ギャップが小さいことにより、定着ニップから排出された用紙のジャムを防止することができる。
請求項6の構成により、ギャップ調整機構を備えることで、定着部材に対するエアノズル及び分離部材の先端のギャップを適切に調整することができる。
請求項7の構成により、定着部材に突き当てられる突当部材を有しているので、エアノズル及び分離部材を定着部材に対して適切な位置に非接触で保持することができる。
請求項8の構成により、材質の違いに起因する熱膨張差による部材間の段差発生を解消し、圧力集中を低減してこすれによる画像むらを抑制することができる。
請求項9の構成により、離型性に優れた材質とすることで擦れによる画像傷を軽減させることができる。また、部材にトナーが付着することを抑制できる。
請求項11の定着装置によれば、分離板とエアノズルの間で発生する擦れキズなどの画像障害の発生を防止することができるため、画像むらのない高品質な定着画像を得ることができる。
請求項12の画像形成装置によれば、擦れキズなどの画像障害や画像むらのない高品質な出力画像を得ることができる。
本発明に係るシート分離装置を備える定着装置の一例における要部構成を示す断面図である。 シート分離装置の外観斜視図である。 シート分離装置のエアノズルを単体で示す斜視図である。 エアノズルが装着される支軸を示す斜視図である。 支軸へのエアノズル装着分を示す部分断面図である。 シート分離装置の分離板を単体で示す斜視図である。 分離板の先端ギャップ調整機構を説明するための断面図である。 シート分離装置の平面図である。 エアノズル及び分離板の断面図である。 分離板−ノズル間、分離板−分離板間の隙間により画像擦れスジの発生状態を示すグラフである。 本発明が適用される画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
図1は、本発明に係るシート分離装置を備える定着装置の一例における要部構成を示す断面図である。この図に示す定着装置は定着ベルトを用いるベルト定着方式であるが、本発明はベルト定着装置に限らず、定着ローラを用いるローラ定着方式であっても何ら問題なく適用可能である。
図1に示す定着装置50において、定着部材としての定着ベルト51は、駆動ローラである定着ローラ52と従動ローラである加熱ローラ53とに支持張架され、図中時計回りに回転走行する。定着ローラ52は芯金上に弾性層を有しており、図示しない駆動機構により回転駆動される。加熱ローラ53の内部には熱源としての定着ヒータ54(例えばハロゲンランプ)が配置され、この定着ヒータ54により加熱ローラ53が加熱され、その加熱ローラ53によって定着ベルト51が加熱される。
加圧ローラ56は、通常はアルミ又は鉄等の芯金の上にシリコンゴム等の弾性層が設けられた円筒形状のローラである。芯金内部にヒータを内蔵してもよい。この加圧ローラ56は図示しない加圧機構により定着ベルト51を挟んで定着ローラ52に圧接され、定着ローラ52に対して食い込み、所定の定着ニップを形成する。
上記定着ベルト51は定着ローラ52が回転駆動されることにより回転走行し、加圧ローラ56は定着ベルト51に連れ回りする。なお、加熱ローラ53を駆動ローラとしても良い。また、加圧ローラ56に駆動をかけてもよい。
定着ベルト51の表面温度が図示しない温度検知手段により検知され、その温度検知手段の出力値に基づいて図示しない温度制御部が定着ヒータ54を、定着ベルト51の表面温度が所定の設定温度になるように制御する。定着装置の入口側近傍には、用紙を検知する入口センサ57が配置されている。
未定着トナー像を表面に担持する用紙Pは、図の右から左方向に搬送されて定着ニップ部に搬入され、該ニップ部においてトナーが溶融定着される。なお、加圧部材は、本例では加圧ローラを用いたが、加圧ベルトなどを用いても良い。
定着ローラ52と加熱ローラ53の間のベルト内側にはテンションローラ55が配置され、定着ベルト51に所定のテンションが付与される。なお、テンションローラは、本例ではベルトの内側に配置したが、ベルト内側または外側のどちらに配置するレイアウトでも差し支えない。
そして、シート分離装置70のエアーノズル71が定着ニップの出口近傍において、定着ベルト51から微小な隙間をおいて非接触で設置されている。ここでは、簡略化のためにエアーノズル71の先端部のみ図示している。なお、後述するように、本実施例のシート分離装置70は、複数のエアーノズル71と複数の分離板(非接触分離爪とも呼ばれる)72とがローラ長手方向に並列に配置されている(図2参照)。そして、不図示の圧縮空気供給源と電磁弁により制御された圧縮空気が、エアーノズル内の管路を通り、用紙先端が定着ニップ部を通過するタイミングで定着ニップ部に向けて噴射される。この圧縮空気の流れによって、用紙Pの先端が強制的に定着ベルト51から分離され、先端以降も自然に剥離される。用紙Pが連続的に定着ニップ部を通紙される場合、この噴射動作は用紙Pの通過毎に行われる。
図2は、シート分離装置70の斜視図である。
本例の用紙分離装置70は、定着装置筐体に固定されるフレーム73を有している。フレーム73は両側部分が略直角に屈曲され、その屈曲部73b,73bに軸75が軸受けを介して装着されている。ステー74は軸75に固定され、それにより、ステー74がフレーム73に対して回動可能に支持される。なお、ステー74の軸75への取り付け部は、片側もしくは両側が、Dカット形状により、軸に対して回転しないようになっている。そして、ステー74の両側端部の通紙領域外となる位置には、突当部材76,76が装着されている。フレーム73とステー74の間には仮想線で示す付勢手段(例えばスプリング)77が設けられ、突当部材76,76を定着ベルト51(定着ローラ52)に圧接させるように付勢している。突当部材76,76の先端部が定着ベルト51(定着ローラ52)に接触して摺動することにより、軸75に取り付けられたエアノズル71及び分離板72の位置決め(定着ベルト51に対するギャップ管理)が精度良く行なわれる。
なお、非通紙領域に配置した突当部材76,76の先端を定着部材に接触させてエアノズル71及び分離板72の位置決めを行なうことにより、エアノズル71及び分離板72を定着部材に非接触で位置決め支持することができ、通紙領域における定着部材の摩耗を防止することができる。
上記の軸75にはエアノズル71及び分離板72が取り付けられる。エアノズル71は定着ローラ長手方向(軸方向)に複数個が配置される。本例ではエアノズル71は計8個、分離板72は計12個が定着ローラ長手方向に並設されている。本例の場合、図2から分かるように、両側端部ではエアノズル71と分離板72が交互に配置されているが、端部以外ではエアノズル71とエアノズル71の間に2つの分離板72,72が並ぶように配置されている。
図3はエアノズル71を単独で示す斜視図である。エアノズル71内にはエア通路71aが設けられており、ノズル先端部には圧縮空気の吹出し口71bが設けられる。円筒状に設けられた軸装着部71cが軸75に嵌め込まれ、エアノズル71が軸75に装着支持される。また、軸装着部71cから突設する調整板部71dが設けられている。エアノズル71は、耐熱性を考慮し、PPS,PEEK,PET,PESなどの樹脂材料が選択される。また、ノズル先端部におけるトナー汚れ付着を抑制したい場合には、材質をPFA樹脂にするか、汚れが付着する箇所にのみPFAコートやPTFEコートを施すと良い。また、ノズルの構成は、先端部及び用紙通紙面部(図3における下面側部分)がPFA樹脂としてアウトサート成形によって一体的に成形された構成としても良い。
図4は、エアノズル71が装着される軸75を示す斜視図である。また、図5は、軸75にエアノズル71が装着された様子を示す部分断面図である。
これらの図に示すように、軸75は中空パイプ状の管であり、内部に管路(エア通路75b)が形成されている。なお、以下の説明において、軸75を管路75と記すこともある。管路75は、SUSかアルミニウム合金等の腐食に強い材料が望ましい。圧縮気体の取り扱いでは、ドレン(排水)の発生は避けられないためである。よって、SUMなどを用いる場合は、管路の内壁にも腐食防止のメッキが施されなければならない。また、管路75の片側端部ではネジ80(図2)によって管路がシールされている、ネジ80には薄手のPTFEシートを巻いたり、粘着材を塗布したりすると、シール性が高まる。本例ではネジを用いているが、穴がふさがっていれば良く、溶接や接着などの工法を用いても良い。シール部とは反対側の端部(図2での右側)に空圧管路を介してエア供給源が接続され、圧縮空気(エアー)が供給される。
管路75には、エアノズル71に圧縮空気を供給するための穴78が、ノズルの個数分だけ穿ってあり、図5に矢印で示すように、管路75内に供給された圧縮空気が、エアノズル内のエア通路71aを通って、吹出し口71bから圧縮エアが噴出される。
エアノズルの吹出し口71bは、小さいもので直径0.5mm(約0.19平方mm:最小)や0.5mm角(0.5mm×0.5mm)、大きいもので直径2mmや2mm角(2.0mm×2.0mm=4.0平方mm:最大)の範囲で設定するのが好適である。
エアノズル71は、軸装着部71cが軸75に嵌め込まれることで軸75に対して回動可能となっており、後述するギャップ調整機構により、定着部材(定着ベルト51)対して、ノズル先端穴(吹出し口71b)もしくはノズル先端位置と定着ベルト表面との位置の調整が可能である。
また、エアノズル71は、図5に示すように、軸75に嵌装した軸装着部71cの両側にEリング81,81を装着することによって両端を位置決めされている(軸方向の位置決めがなされている)。さらに、図4に示すように、軸75の各ノズルに対応して設けられた穴78の両側にOリング装着用の溝79が設けてあり、図5に示すように、上記溝79にOリング82を装着した状態でエアノズルの軸装着部71cを嵌め込むことにより、エアノズル71と軸75(管路75)間で圧縮空気が漏れないように構成されている。
図6は、分離板72を単体で示す斜視図である。本例の分離板72は、軸装着部72cが突設された基材72aの先端に先端分離部72bがPFA樹脂としてアウトサート成形によって一体的に成形された構成である。また、基材72aと先端分離部72bとはインサート成形により一体的に成形されているので、基材72aが有する支軸と先端分離部72bとの位置精度は精度良く成形することができる。本実施例では、基材とアウトサート成形された樹脂の例を示したが、同一材料で成型されたものでも、全く差し支えない。また、ノズル71と同様、耐熱性を考慮し、PPS、PEEK、PET、PESなどの材質を選択し、表面にPFAコートやPTFEコートを施すと良い。また、分離板72は、先端分離部72bとは反対側に突出するように設けられた調整板部72dを有している。この調整板部72dには穴が形成されている。
分離板72もエアノズル71と同様、軸75に嵌装して両側からEリングを装着して位置決めされる。また、分離板72も軸75に対して回動可能となっており、後述するギャップ調整機構により、定着部材(定着ベルト51)対して先端分離部72bと定着ベルト表面との位置の調整が可能である。
図7は、上記ギャップ調整機構を示す断面図である。ここでは分離板72の調整機構で説明するが、エアノズル71の調整機構も全く同様である。
上述したように、分離板72は軸75に嵌装されて回動可能に保持されている。図2で説明したようにステー74とフレーム73の間には引っ張りスプリング77が張架され、ステー74を図中反時計回り方向に付勢している。ステー74の端部には突当部材76,76(図2参照)が固定されており、突当部材76が定着ベルト51に圧接される。
分離板72の調整板部72dに設けられた穴にギャップ調整ネジ83が遊び嵌めされ、調整ネジ83の先端はステー74に設けられたネジ穴にねじ込まれている。この調整ネジ83には圧縮スプリング84が嵌装されており、調整板部72dに対し、軸75を中心として図中反時計回り方向の付勢力を付与している。ギャップ調整ネジ83を締めこむと、分離板72は軸75を中心に図中時計回りに回転する。ギャップ調整ネジ83を緩めると、分離板72は逆方向(図中反時計回り)に回転する。よって、ギャップ調整ネジ83により、分離板先端と定着ベルト51間の先端ギャップを微調整することができる。エアノズル71の場合も全く同様に、ギャップ調整ネジ83によってノズル先端部と定着ベルト51間の先端ギャップを微調整することができるようになっている。
本実施形態においては、エアノズル71がギャップ調整機構を備えているので、エアノズルの圧縮空気吹出し口71bやノズル部材先端と、定着部材である定着ベルト51との位置関係を最適値に調整することが可能である。分離板72も同様に、部材先端部72bと定着ベルト51との位置関係を最適値に調整することが可能になっている。エアノズル71及び分離板72の部材先端と定着ベルト51表面との隙間、すなわち先端ギャップは、本実施例では1.0mm以下に設定されている。
さて、ここで、定着部材が振れながら回転している場合について考察する。
突当部材76が定着部材表面に付勢されているため、定着部材の表面の振れに突当部材76が追随し、結果的に、定着ローラ1回転を周期とする往復運動をする。突当部材が追随する往復運動に伴い、ステー74は、軸75を中心に定着ローラ1回転を周期とする揺動運動を行う。この揺動運動により、定着部材とノズル71のギャップが常に略一定に保たれ、定着部材への圧縮空気の当たり方が安定するとともに、先端ギャップが広がりすぎて、そこに用紙先端が挟まりジャムを起こすといった不具合も未然に防ぐことが出来る。
図8は、シート分離装置70の平面図である。また、図9は、図8のA−A線およびB−B線で切った軸75に直交する面での断面図であり、図9(A)はエアノズル71の断面図、図9(B)は分離板72の断面図である。
本実施形態では、エアノズル71及び分離板72は(軸75を介して)同じステー部材74に保持されてホルダ(フレーム73)に装着されている。軸方向に並んで配置された各エアノズル71及び分離板72は、定着部材に対するノズル及び分離板の部材先端位置が同じになるように部材形状及び大きさが設けられており、図8では各エアノズル71及び分離板72の先端が一直線上に位置している。また、軸方向から見たときも部材先端位置が同じになるように設けられている。エアノズル71と分離板72との隙間の大きさ、及び、2つ並んだ分離板72と分離板72との隙間の大きさは、1.5mm以下であることが望ましく、本実施例では1.0mm以下としている。
そして、図9の断面図に示すように、エアノズル71及び分離板72は、図9における部材の下面側、すなわち定着部材から分離後に用紙が接触する面(以下、用紙搬送面と記す)の形状が、部材先端から部材末端部まで全く同一となっている。さらに、エアノズル71及び分離板72は、部材先端部の投影形状(軸方向)も全く同一となっている。この軸方向投影形状が同一に設けられる範囲は、エアノズル71では圧縮空気吹出し口71bから先の部分、分離板72ではエアノズル71の吹出し口71bから先に対応する部分とする。
画像擦れの発生メカニズムは、定着後の用紙は、トナー濃度が高いときなどは定着部材に巻きつき勝手に進行するので、エアノズル71もしくは分離板72に強くこすれながら進行することにより画像擦れが発生する。その際、並設された分離板−ノズル間、分離板−分離板間に大きな段差や隙間(軸75の軸方向の隙間)があると、その段差や隙間で圧力集中が生じ、圧力集中が生じた箇所は、キズや光沢スジが発生しやすいといえる。その為、分離板およびノズル部材で形成される用紙搬送面を、部材間の隙間や段差が無く、フラットに構成するのが望ましい。
本願発明者は、上記分離板−ノズル間、分離板−分離板間の隙間により画像擦れスジの発生状態を探る実験を実施した。なお、エアノズル71及び分離板72は、先端位置を揃えており、段差は無い状態で上記隙間の大きさ(幅)を変えて擦れスジの程度を観察した。図10は、その実験結果を示すグラフであり、縦軸は擦れスジのランクである。該ランクは数値が大きいほど良い状態すなわち擦れスジが少なく、数値が小さいほど悪い状態すなわち擦れスジが多いことを表す。また、横軸は用紙の厚さ(g/m )であり、一般的な転写紙(コピー用紙)は、大体70(g/m )程度である。この実験では、上記隙間の幅が1.5mmと2.0mmで実験を行い、白丸印が上記隙間の幅1.5mm、黒丸印が上記隙間の幅2.0mmである。
このグラフより、白丸印で示す上記隙間の幅1.5mmの方が良好な数値を示しており、擦れスジが少ないことが判る。該実験では、ランク4以上が商品としての実機に搭載可能なレベルである。白丸印で示す上記隙間の幅1.5mmの構成では、紙厚によらずランク4以上の数値を示しており、実機への搭載が可能と判断された。一方、黒丸印で示す上記隙間の幅2.0mmでは紙厚によってはランク4に達しているものもあるが、120g/m 程度を中心とした紙厚ではランク4以下の数値を示しており、実機への搭載は不適と判断された。したがって、上記隙間の幅は1.5mm以下、好ましくは1.0mm以下とする。
なお、用紙の厚さによる擦れスジは、中程度(120g/m 前後)の厚さの場合にランクが低く(擦れスジが多く)なっているが、これは、厚紙の場合は用紙が定着部材に巻き付かずニップ出口からほぼ真っ直ぐに排出されることによって用紙がノズルや分離板に接触せずに排紙されるためである。また、薄紙の場合はノズルや分離板に接触するが、用紙が薄く柔らかいためにノズルや分離板に強く押し付けられることが無く擦れスジが付きにくいためと推察される。
本発明のシート分離装置によれば、上述したように、定着部材に対するノズル71及び分離板72の部材先端位置が同じになるように設けられており、用紙搬送面の形状が部材先端から部材末端部まで全く同一であり、部材先端部の軸方向投影形状も全く同一となっているる。また、ノズル71及び分離板72の並設の隙間も最小にしていることから圧力集中を抑制でき、エアノズルと分離板が混在したシート分離装置において、分離板とノズルの間で発生する擦れキズなどの画像障害の発生を防止することができ、画像品質を非常に良好とすることができる。
最後に、本発明を適用した画像形成装置の一例を図10を参照して説明する。
図11に示す画像形成装置は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なものであり、装置本体のほぼ中央部に無端ベルト状の中間転写体10が設けられている。中間転写ベルト10は複数の支持ローラに掛け回して、図中時計回りに回転搬送可能となっている。
中間転写ベルト10の上部走行辺に沿って、ベルト搬送方向順にイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの4つの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kが横に並べて配置されており、タンデム作像部を構成している。各感光体ドラムの周囲には帯電手段,現像装置、クリーニング手段、除電器等が配置されて作像ユニットを構成している。また、各感光体ドラム1に対向するように、中間転写ベルト10のベルトループ内に一次転写手段としての転写ローラ11が4つ配置されている。
中間転写ベルト10の支持ローラのひとつが転写対向ローラとして設けられ、この向かい側に中間転写ベルト10を挟んで二次転写手段としての転写ローラ31が圧接され、二次転写部を形成している。その二次転写ローラ31の用紙搬送方向下流側(図の左側)には搬送ベルト32が配設され、二次転写部で転写された未定着トナー像を担持する用紙を、下流の定着装置50に搬送する。定着装置50は、上記説明したものであり、シート分離装置70を備えている。
そして、タンデム作像部の上方には、露光装置20が設けられている。さらにその上の装置最上部には、原稿画像を読み取るスキャナ60が設けられている。また、装置本体の最下部は給紙部として設けられ、用紙Pを収納する給紙カセット40が設けられる。さらに、給紙カセット40の上方で定着装置50の下側には、両面搬送部33が設けられている。
本例のカラー複写機における画像形成動作について簡単に説明する。
上記タンデム作像部の各感光体ドラム1が図示しない駆動手段によって図中反時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム1の表面が帯電手段によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、露光装置20からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム1表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム1に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像に現像装置から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
また、中間転写ベルト10が図中時計回りに走行駆動され、各作像ユニットにおいては、一次転写ローラ11の作用により感光体ドラム1から中間転写ベルト10に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト10はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
なお、作像ユニットのいずれかを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個の作像ユニットのうち、図の一番右側の黒(K)ユニットを用いて画像形成を行う。
そして、トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング手段によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が除電器の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。
一方、給紙カセット40あるいは手差しトレイ34から用紙が給送され、レジストローラ対36によって、中間転写ベルト10上に担持されたトナー像とのタイミングを取って二次転写位置に向けて送出される。二次転写ローラ31によって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置50を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。定着された用紙は、装置本体の側面に設けられた排紙トレイ35に排出される。
用紙両面にプリントを行う場合は、用紙片面にトナー像を定着した用紙を、切換爪によって両面搬送部33に送り込み、用紙の表裏を反転させて用紙をレジストローラ対36へと再給紙する。再給紙された用紙裏面に中間転写ベルト10からトナー像が転写され、その裏面画像を定着装置50で定着することにより、表裏両面に画像を担持する用紙を、排紙トレイ35に排出することで、両面プリントが完成する。
本例のカラー複写機では、本発明によるシート分離装置を備えた定着装置を搭載しているため、定着分離後の画像に擦れキズなどの画像ダメージを発生させることがなく、高品質な出力画像を実現することができる。
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エアノズル及び分離板の個数あるいは並び順は任意であり、必要とされる分離性能などに応じて適宜設定すればよい。エアノズル及び分離板の支持方法やギャップ調整機構なども適宜な構成を採用可能である。
定着装置も適宜な構成が可能であり、ヒータをローラ内に配置するものに限らず、外部から加熱するものでも良い。また、誘導加熱方式も採用可能である。また、ベルト定着方式に限らず、ヒートロール方式の定着装置でも構わない。
画像形成装置の各部構成も任意であり、例えばタンデム式に限らず、任意の作像方式を採用可能である。また、中間転写方式に限らず、直接転写方式も採用可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としては複写機に限らず、プリンタやファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
1 感光体ドラム
10 中間転写ベルト
50 定着装置
51 定着ベルト(定着部材)
52 定着ローラ
53 加熱ローラ
56 加圧ローラ(加圧部材)
70 シート分離装置
71 エアノズル
72 分離板(非接触分離部材)
73 フレーム
74 ステー
75 軸(支軸)
76 突当部材
83 先端ギャップ調整ネジ
特開2009−31759号公報 特開昭51−104350号公報 特許第2876127号公報 特開平11−334191号公報 特開2007−187715号公報 特開2007−240920号公報 特開2008−102408号公報 特開2009−31759号公報

Claims (12)

  1. 定着部材と加圧部材により形成される定着ニップ部から搬送されてくるシート状記録媒体を前記定着部材又は前記加圧部材から分離させるシート分離装置において、
    前記定着部材の回動軸と平行な支軸に保持され、圧縮空気供給手段より供給される圧縮空気を前記定着部材に沿って前記略ニップ方向に噴射させるエアノズルと、
    前記エアノズルと同軸上に前記支軸に保持され、前記定着部材とは非接触に設けられる少なくとも1つの分離部材と
    を有し、
    前記エアノズル及び前記分離部材は、前記支軸の軸方向から見たときの部材先端部の投影形状が同一形状に設けられており、
    前記定着部材に対する前記エアノズル先端位置と前記分離部材先端位置とが同じ位置となるように構成されるとともに、
    前記エアノズルとエアノズルの間に少なくとも1つの前記分離部材が配置されることを特徴とするシート分離装置。
  2. 前記エアノズル及び前記分離部材は、用紙搬送面の形状が部材先端から部材末端まで同一形状に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のシート分離装置。
  3. 前記エアノズルと前記分離部材の前記支軸の軸方向の隙間が1.5mm以下、好ましくは1.0mm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート分離装置。
  4. 前記分離部材が前記支軸の軸方向に隣接して配置される場合は、各分離部材の前記支軸の軸方向の隙間が1.5mm以下、好ましくは1.0mm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート分離装置。
  5. 前記エアノズル及び前記分離部材の部材先端と前記定着部材表面との隙間(先端ギャップ)が1.0mm以下に設定されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート分離装置。
  6. 前記エアノズル及び前記分離部材は、前記先端ギャップを調整するギャップ調整機構を備えることを特徴とする、請求項5に記載のシート分離装置。
  7. 前記エアノズル及び前記分離部材と略一体的に回動可能に設けられ、前記エアノズル及び前記分離部材と前記定着部材との間に微小ギャップを設けるように前記定着部材に突き当てられる突当部材を有し、該突当部材は前記定着部材に対して通紙領域外で突き当てられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート分離装置。
  8. 前記エアノズル及び前記分離部材は、先端部の材質が同一であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート分離装置。
  9. 前記エアノズル及び前記分離部材は、前記先端部の材質がフッ素樹脂であるか、または、前記先端部の表面にフッ素系樹脂のコーティングが施されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシート分離装置。
  10. 前記支軸の軸方向の両側端部においては前記エアノズルと前記分離部材とが交互に配置され、該端部以外では前記エアノズルとエアノズルの間に複数の前記分離部材が配置されることを特徴とする、請求項1に記載のシート分離装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のシート分離装置を備えることを特徴とする定着装置。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のシート分離装置または請求項11に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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