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JP5842563B2 - 流体加熱装置及び電気温水器 - Google Patents

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Description

本発明は、過熱防止機構を有する流体加熱装置及びそれを備えた電気温水器に関するものである。
流体を電力により瞬間加熱する瞬間加熱装置が例えば特許文献1に開示されている。このような流体加熱装置においては、空焚き、つまり貯水容器に水が貯留されない状態又は貯留された水の量が極端に少ない状態でヒータが通電され続けて異常昇温し、流体加熱装置内部及び周辺が過熱状態となることを防止する機構を備えることが望ましい。特許文献2には、空焚きの防止のため、ヒータの近傍又はヒータ表面と接触するように、熱伝導性に優れた部材で製作された感熱ケースが取り付けられ、その内部に感熱部材(温度ヒューズ)が挿入される構成が提案される。ヒータが異常昇温を起こした時に感熱ケースがあまり遅延することなく加熱されることにより、異常昇温発生時の初期にヒータへの通電を停止させて、温水タンクや周辺機器の過熱が防止される。
特開2007−218006号公報 特開2002−327961号公報
しかし、特許文献2の構成では、ヒータの異常昇温が検出されるためには、ヒータの熱により感熱ケースが加熱され、さらに感温部材が加熱される過程が必要であるため、過熱状態の発生からヒータへの通電の停止までに遅延が発生する。特に、温水タンク内の水を一度に排出するための水抜き栓が閉じ忘れられている状態でヒータに通電され、過熱状態となってしまった場合には、ヒータと感熱ケースの間及び/又は感熱ケースと感熱部材の間の熱の伝達において、熱輻射及び空気中の熱伝導の過程が介在することになり、過熱状態の発生から検出までの遅延時間が長くなる。また、感熱ケースと感温部材の両方が必要となり、材料コストおよび製造コストを要する。
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、流体を排出する排出口を開放した状態においても異常昇温の発生を抑制し、空焚きを防止する過熱防止機構を備えた流体加熱装置および電気温水器を、感熱ケース等別部材を使用せずに提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる流体加熱装置は、流体を加熱するヒータと、前記ヒータが内部に設けられる流体容器とを備え、前記流体容器は、流体供給源から流体が流入する流入口と、前記流体容器の外部へと流体を流出させる流出口と、前記流体容器の内部に溜まった流体を外部へ排出可能な排出口と、前記排出口と係合し、流体の流出を抑制する排水栓と、前記流体容器内に流体が貯留された状態から前記排水栓の係合を解除して前記排出口を開放した時に前記流体容器の内部に流体が残留する流体残留部とを有し、前記ヒータの少なくとも一部が前記流体残留部の内部に設けられることを要旨とする。
ここで、前記排出口は、前記流体容器の底部に突起状となって設けられ、突起の先端より下方が前記流体残留部となるとよい。
さらに、前記排出口は、前記流体容器の底部よりも高く、自重により前記流体容器内の流体を外部へ排出可能であり、前記流体残留部は、前記排出口の先端と前記流体容器の底部との間の空間に形成されるとよい。
この場合、前記排出口は、中空の突起であり、上端に設けられた開口部であるとよい。
さらに、前記ヒータは鉛直方向を中心軸とする中空の円筒状の加熱部を有し、前記排出口は、前記ヒータの下端から前記加熱部の円筒内に突出した中空の突起の上端部に設けられた開口部であればよい。
さらにこの場合、前記中空円筒状のヒータは、中空円筒体の内壁面及び外壁面に加熱部を有し、該ヒータ内部に上端から供給された流体が同下端から流出して、該ヒータの外側を流れた後、前記ヒータの上方に位置する流出口から放出されるように流路が構成されているとよい。
また、前記流体加熱装置は、前記流入口と前記流体供給源との間に電磁弁と、前記流体容器内の温度が設定値を超えた場合に前記ヒータへの通電を遮断する安全装置とを備え、前記安全装置は、前記流体容器内の温度が設定値を超えた場合に前記ヒータへの通電を遮断した後に、前記電磁弁を閉じ、前記流体容器への流体の流入を停止するものであるとよい。
また、本発明にかかる電気温水器は、上記の流体加熱装置と、加熱するための水を取り込む水供給口と、加熱された温水を放出する温水取出口と、前記流体加熱装置に流入する水の流量を計測する流量計と、該流量計で計測された水の流量に基づいて前記流体加熱装置に流入する水の流量を調節する流量調節バルブとを備え、該流量計によって水流が検出されない場合に前記流体加熱装置のヒータへの通電を遮断することを要旨とする。
上記本発明にかかる流体加熱装置によれば、流体残留部を含む流体容器に流体が貯留された状態から排出口を開放し、流体容器内部の流体の大部分を排出した後も、流体残留部には流体が残る。ヒータの少なくとも一部が流体残留部の内部に設けられており、流体残留部に残留した流体がヒータによって加熱されるので、排出口を閉じ忘れた状態でヒータに通電したとしても、流体残留部に残留した流体を加熱するのにヒータの出力が使用され、流体容器の内部や周辺の機器の過熱を抑えることができる。さらに、過熱防止機構の構成部材として、別途感熱ケース等、熱伝導性に優れた部材を使用する必要がなく、コストを抑制することができる。
ここで、排出口が流体容器の底部に突起状となって設けられ、突起の先端より下方が流体残留部となっていると、流体容器の底面から下方に流体が排出されるので、電気温水器等、別の機器への組込みの自由度が高くなる。
さらに、排出口が流体容器の底部よりも高く、流体残留部が排出口の先端と前記流体容器の底部との間の空間に形成されると、ヒータにより流体残留部の水が加熱された時、流体容器の底部を介してその熱を外部に散逸させることができ、過熱を効果的に防止することができるという効果が奏される。
この場合、排出口が中空の突起であり、上端に設けられた開口部であると、排出口が設けられた流体容器底部の構成が簡素となるうえ、流体残留部を別途構成しなくても排出口と流体容器底部の間が必然的に流体残留部となるので、製造コストを削減することができる。
さらに、ヒータが鉛直方向を中心軸とする中空の円筒状の加熱部を有し、排出口がヒータの下端からヒータ内に突出した中空の突起の上端部に設けられれば、流体加熱装置全体が狭い空間にも設計可能となる。
さらに、中空円筒状のヒータが内壁面及び外壁面に加熱部を有し、中空円筒状ヒータ内部に上端から供給された流体が同下端から流出して、該ヒータの外側を流れた後、ヒータの上方に位置する流出口から放出されるように流路が構成されていれば、ヒータの加熱部のほぼ全長に亘り、内側及び外側の両方で流体が加熱されて、流出口から供給されるため、流体の加熱が高効率で行われる。また、流路が上記のように構成される別の効果として、流体の循環方向が鉛直方向となっているため、略水平方向である場合とは異なり、流体容器の中に空気溜まりが形成されないという利点がある。よって、空気溜まりによる断熱が起こらず、流出口から供給される流体の温度に変動が生じ難い。さらに、流路に沿って流体が流通されている間は流体残留部内に残留する流体が定常的に入れ替わるので、清潔が保たれる。
また、流体加熱装置が、前記流入口と前記流体供給源との間に電磁弁と、流体容器内の温度が設定値を超えた場合にヒータへの通電を遮断する安全装置とを備え、流体容器内の温度が設定値を超えた場合に前記ヒータへの通電を遮断るものであると、流体残留部内の流体の加熱により気化した流体の温度があらかじめ設定した値に達すれば、安全装置によりヒータへの通電が遮断される。これにより、流体残留部を有さず、排出口を開放した時に流体容器内の流体が全て流体容器の外へ排出されてしまい、熱輻射及び空気中の熱伝導によってしかヒータの熱が安全装置の感温部に伝達されない場合に比べ、空焚きによる流体加熱装置内部の異常昇温を早期に検出することができる。よって、上記のように、流体残留部内の流体を加熱することでヒータの出力を消費し、流体容器内及び周辺機器の過熱を防止することに加え、早期にヒータへの通電を停止することによっても、空焚きを効果的に防止することができる。
また、本発明にかかる電気温水器は上記の効果を有する流体加熱装置を備えているので、空焚きを確実に防止して温水を供給することができる。さらに、流量計に水流が検知されない場合にもヒータへの通電が遮断されるので、空焚きが二重の機構で防止され、安全性が一層高められる。
本発明の一実施形態にかかる流体加熱装置の断面図である。 図1の流体加熱装置の断面図を簡略化した図である。 図1の流体加熱装置の底面近傍の拡大図であり、(a)は排出口を閉じて流体容器内に水を貯留した状態を示し、(b)は排出口を開放した状態を示す。 本発明の一実施形態にかかる電気温水器の正面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、縦方向又は上下方向とは鉛直方向を指し、横方向とは水平方向を指すものとする。
図1及び図2は本発明の一実施形態にかかる流体加熱装置の縦断面図である。以下では流体を水として説明するが、流体の種類を限定するものではない。
本実施形態にかかる流体加熱装置1においては、通電により水を加熱できるヒータ12が流体容器10の中に挿入されている。流体容器10は、水道等の水源から水が流入する流入口13と温水が流出する流出口14とを備え、水源から供給された低温の水をヒータ12により加熱し、連続的に温水を外部に供給することができる。また、流体容器10は排水栓19により開閉可能な排出口15を備え、内部のメンテナンス時の利便性や、冬季の水の凍結による流体容器10の破損防止等を目的として、流体容器10内部の水を排出することができる。さらに、図示しないが、流入口13と水源の間には電磁弁17が設けられ、開閉により流入口13への水の供給が制御される。
流体加熱装置1は、さらに安全装置16を備える。安全装置16は流体容器10内の温度を計測する感温部16aと、感温部16aが出力する温度信号を受け、計測された温度があらかじめ設定された温度を超えた時に、ヒータ12への通電の停止及び電磁弁17の遮断による通水の停止を行う制御部16bからなる。もし、異常昇温が起こった時にヒータ12が停止されず、流体加熱装置1内部の過熱が発生すると、流体容器10の破損や、安全装置16等の機器の故障、さらには火災の虞があり、危険である。
次に流体加熱装置1の各構成部品について詳細に説明する。
ヒータ12は電力により水を加熱することができる絶縁性の高いヒータならばどのようなものでもよいが、流体加熱装置1全体を小さく設計することや、後述するように水が上下方向に流通する流路を構築すること等を考慮すると、加熱部12bが中空円筒形のセラミックヒータが好適である。また、水に加熱部12bが接触する面積が大きいほど加熱効率が向上するので、中空円筒形セラミックヒータの内壁面及び外壁面の両方に加熱部を有することが望ましい。また、ヒータ12は加熱部12bの他に、流体容器10に固定するためのフランジ部12aを有する。
流体容器10は、ヒータ12を収容し、生じた空隙に水を流通させることができる形状であればどのようなものでもよいが、ヒータ12を収容する部分は、ヒータ12の円筒部の外径よりも大きい内径を有する略円筒形の容器であればよい。ヒータ12はフランジ部12aにおいて流体容器10の上端部に円筒部の中心軸が鉛直方向となるように取り付けられている。ヒータ12の下端部は円筒体内部から水が吐出される吐出口12cとなっているが、吐出口12cの先端部12dが流体容器10の底面と接触していないため、流体容器10の底部において、水がヒータ12の円筒部の内部から外部へと流通可能になっている。
流入口13は、ヒータ12の上端の開口部であり、水が水源から流入口13を通ってヒータ12の円筒体の内部に流入する。ヒータ12の外壁と流体容器10の間の空間と、流入口13とはフランジ部12aにより隔離され、水源から供給される水がヒータ12の円筒体内部を通らずにヒータの外側の空間に直接流入することはない。
流出口14は、流体容器10の上部に設けられた開口部であり、ヒータ12の外壁面と流体容器10の内壁面の間の空間とつながっている。流出口14の位置が高いほど、次に述べる水の流路が長くなり、水の加熱効率が向上する。
ヒータ12上端の流入口13から入った水は、ヒータ12の円筒体内を下方向に流れ、ヒータ12下端の吐出口12cに至る。水は次に吐出口12cの先端部12dからータ12の外壁面と流体容器10の外壁の間の空間に移動し、流出口14に向かって流体容器10底部から上方へと流れる。水はヒータ12の内を上から下に流れる間も、ヒータ12の外を下から上に流れる間もヒータ12の壁面と接触して加熱されるので、ヒータ12の全長が短くても、高い効率で水の加熱を行うことができる。
ヒータ12を、中心軸が鉛直方向となるようにかつ吐出口12cの先端部12dが流体容器10の底面に接触しないように設置し、流入口13をヒータ12上端部に設け、流出口14をヒータ12の外側かつ流体容器10の上方に設けたことにより、上記のように上下方向に水が流通する流路が形成されている。特許文献1においても、本実施形態と同様に円筒形のヒータが給湯タンクに挿入され、ヒータの円筒内に一側から供給された流体が同他側から流出して、該ヒータの外周面と給湯タンクの内周面の間を流れた後、ヒータの上方に位置する給湯タンク出口から放出されるよう流路が構成されているが、本実施形態とは異なり、給湯タンク及びヒータが横向きに近い角度で設置され、流路は横向きに近い方向になっている。このように、流路が縦方向でない場合、流路を水で満たしたとしても、特に給湯タンクの内部構造の角の部分などに気泡が集まる空気溜まりが生じやすい。空気溜まりはいわば断熱材として作用するので、ヒータの熱が流路内の水に均一に伝達されなくなり、給湯タンク出口から供給される温水の温度が変動しやすくなる。一方、本実施形態のように、流路が縦方向に形成されていれば、流路に水を満たした時に、流路の途中に空気溜まりが発生しない。よって、流出口14から供給される温水の温度が安定しやすくなる。
安全装置16は、流体容器10内部の温度を検知し、その温度が設定値を超えればヒータ12への通電の遮断と電磁弁17の遮断を行えるものならどのようなものでもよく、温度ヒューズ、感温リードスイッチ、サーモスタットなどを例示することができる。感温リードスイッチが簡便性などの点で優れている。感温リードスイッチを使用する場合、動作温度以上の温度に達した時にヒータ12への通電回路が遮断されるように電気的接続を行えばよい。また、電磁弁17として電流が供給されている間のみ弁が開くいわゆるノーマリークローズ型のものを使用し、同様に動作温度以上の温度に達したときに電磁弁17への通電が遮断されるように電気的接続を行えばよい。また、過熱状態の発生後、なるべく早く過熱状態を解消する必要性があることから、ヒータ12への通電は異常昇温の検出後即座に停止する方がよいが、過熱状態の進行は流体残留部11を含む流体容器10内部に水が多く存在するほど抑制されるので、電磁弁17の遮断はヒータ12への通電の遮断と同時ではなく、その後に行われることが望ましい。
安全装置16の感温部16aは、流体容器10内部の温度を検出できる場所ならばどこに設けてもよいが、流出口14付近に設けておけば、流出口14から供給される温水の温度を測定し、適温となるようにヒータ12の出力を調節する目的にも同時に使用することが可能である。
本実施形態においては、排出口15の構成によって、流体残留部11が簡便に形成される。流体容器10の底面には中空の突起18が、上方即ち流体容器10の内部に向かって突出している。突起18の先端部18aが開口され、その開口部が排出口15となっている。排出口15は、突起18の中空部を介して流体容器10の外部と通じており、流体容器10内の水を自重のみにより外部に排出することができる。水を流体容器10の外部に排出する時以外は、排出口15の下流を排水栓19によって閉じておけばよい。排水栓19は排出口15を確実に閉塞できる着脱可能なものならばどのようなものでもよいが、ネジにより排出口15の下流を閉塞する形式のものを例示できる。
もし排出口15が流体容器10の平坦な底面に単なる開口部として設けられているのであれば、流体残留部11が存在せず、排出口15を開放すると、流体容器10に貯留された水は重力に従って全部流出してしまう。流入口13から水を供給し続けたとしても、水は流体容器10の内部に留まらず、排出口15から流出し続ける。このように流体容器10内に水が存在しない状態でヒータ12に通電されると、ヒータ12の熱によって流体加熱装置1内部及び周辺機器が過熱されてしまう。安全装置16が異常昇温を検出すれば、ヒータ12への通電が遮断され、過熱状態が解消されるが、この場合、ヒータ12の熱は大気中の熱伝導及び熱輻射によってのみ安全装置16の感温部16aに伝達される。空気の熱伝導率は非常に小さいので、過熱状態が発生してから、流出口14付近に設置された安全装置16の感温部16aにおいて異常昇温が検出されるまでに長い時間を要してしまう。その間に過熱状態はさらに進行する。
一方、本実施形態においては、流体残留部11は、中空の円筒体であるヒータ12の吐出口12cの内部に突起18の排出口15が設けられており、ヒータ12の内壁12eの一部と突起18の外壁18bの一部とが対面することによって流体が残留するように形成されている。換言すると、排出口15の高さ位置よりも下側の空間、つまり突起の先端部18aを通る水平面と流体容器10の壁面で囲まれる下側の空間が流体残留部11となる。図3(a)のように排出口15が排水栓19によって閉じられ、流体容器10内に水Wが存在する状態から排水栓19を外して排出口15を開放した時、図3(b)に示されるように、流体残留部11内に貯留された水Wは排出口15から脱出することができず、流体容器10内に残留する。
流体残留部11の中に残留した水Wが、突起18の先端部18aと吐出口12cの先端部12dの間でヒータ12に接しているので、この状態でヒータ12に通電されると、流体残留部11内の水Wが加熱される。水は比熱及び気化時の潜熱が大きいので、この状態でヒータに通電された場合、ヒータ12の熱の一部が流体残留部11内の水Wを加熱するのに消費され、流体加熱装置1の構成部品や周辺機器の過熱が抑制される。加熱された水Wの熱は、流体容器10の底面を通して大気中に散逸する。
加えて、水Wが加熱されると一部が水蒸気となり、加熱された水蒸気が流体残留部11の上部の空間を満たすので、ヒータ12の熱は水蒸気が存在しない場合に比べて早く安全装置16の感温部16aに検出される。つまり、過熱状態が進行しないうちに安全装置16を作動させヒータ12への通電を遮断することができる。このように、排出口15を流体残留部11の底面に設置した突起18の上部に設けることによって、過熱の抑制と早期検出という二つの効果によって過熱を効率的に防止することが可能となっている。この過熱防止機構は、排水栓19を閉じ忘れてヒータへの通電、通水を行ってしまった時に特に有効である。
万一安全装置16が故障してしまい、異常昇温の検知によりヒータ12への通電を遮断することができなくなった場合でも、流体残留部11に水が残留していれば、上記のようにヒータ12の熱がその水の加熱に使われることにより、流体加熱装置1の構成部品や周辺機器の過熱をある程度は抑制することができる。
上記のように、一旦流体残留部11に水を満たせば、排出口15を開放した後も流体残留部11に水が残留し続けるが、ヒータの円筒体の内部から外部へ水が流通する流路の途中に流体残留部11が存在する構成になっているので、定常的に水を流通させている状態、つまり流体加熱装置1を連続的に使用している状態においては、流体残留部11に残留する水は常に入れ替わる。これにより、流体残留部11内部の水は清潔に保たれる。
流体残留部11の容積及びその内部に存在するヒータ12の加熱部12bの表面積が大きいほど過熱防止効果は大きくなるが、流体残留部11の容積があまりに大きいと、メンテナンスや凍結防止のために排出口15を開放しても、流体容器10中の水のうちの排出される水の割合が少なくなり、それらの目的が達成されがたくなる。また、流体残留部11の容積を大きくしようとすると、突起18の高さが高くなるが、あまりに高いと、流路における水の流通の抵抗となってしまう。これらの点を考慮しながら、流体残留部11の容積は、使用するヒータ12の寸法等に基づいて適宜設定すればよい。例えば、円筒状のヒータ12のうち水の加熱に使用可能な発熱部の長さ、つまり流出口14より下方のヒータ12の長さが55mmである場合に、突起18の先端部18aと吐出口12cの先端部12dとの間、つまり流体残留部11内部に位置している部分のヒータ12の長さは、8mmとする例が提示できる。
次に、本発明の一実施形態にかかる電気温水器2について図4を参照して説明する。
ケース8の右下部に、図1〜図3に示した流体加熱装置1が設置されている。流体加熱装置1は、円筒状ヒータ12の中心軸が鉛直方向となるように設置され、水の流路が縦方向になっている。
ケース8上端部には水供給口5が設置されており、水道に接続され、電気温水器2内部に水道水を供給する。図示しないが、水道と水供給口5の間には開閉可能な元栓が存在してもよい。
水供給口5から供給された水は、流量調節バルブ3及び流量計4を通り、流体加熱装置1に流入口13から供給される。流体加熱装置1の流出口14はケース8上端の温水取出口6に接続されている。温水取出口6の下流は、例えば手洗い器の蛇口に接続される。
電気温水器2はさらに電源部7を有し、商用電源に接続される。電源部7は流体加熱装置1のヒータ12、安全装置16、電磁弁17等に電力を供給するものである。
流量調節バルブ3は、水の流量を調節できる電磁弁であり、流量計4で検出された水流量に基づいて、流体加熱装置1に供給する水量を調節する。この水量調節は、水道の水圧変動等があっても流体加熱装置1内部を水圧の負荷により破損させないことを目的として行われる。また、流量調節バルブ3は、流体加熱装置1内の異常昇温を検出したときに安全装置16によって閉じられる電磁弁17を兼ねるものであってもよい。
流量計4は、水流の有無及び水流量を検出可能な、例えばプロペラ式水流計などであり、その流量を電気信号として安全装置16に送信する。
もし水が流体加熱装置1に供給されていない状態で流体加熱装置1のヒータ12に通電されていると、空焚きが起こる虞がある。これを防止するため、流量計4によって水流が検知されない時にヒータ12に通電されていれば、安全装置16は、ヒータ12への通電を停止させる。
一方で、水が流体加熱装置1に供給され続けてはいるが、排水栓19が外れて排出口15が開放されてる場合には、流量計4は水流を検知しているので、流量計4からの信号に基づいてヒータ12への通電が遮断されることはない。この状態では、やはり流体加熱装置1内部の過熱が起こる虞がある。しかし、流体加熱装置1の流体残留部11に水が残留しているため、安全装置16の感温部16aが迅速に流体加熱装置1内の昇温を検知し、安全装置16がヒータ12への通電及び通水を遮断する。つまり、電気温水器2は、流量計4に検出される水流と、安全装置16の感温部16aに検出される温度の二つのパラメータに基づく過熱防止機能を備えており、どちらか一つの過熱防止機構しか有さない場合に比べ、高い安全性を備えている。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 流体加熱装置
10 流体容器
11 流体残留部
12 ヒータ
12a フランジ部
12b 加熱部
13 流入口
14 流出口
15 排出口
16 安全装置
16a 感温部
16b 制御部
17 電磁弁
18 突起
19 排水栓
2 電気温水器
3 流量調節バルブ
4 流量計
5 水供給口
6 温水取出口
7 電源部
8 ケース
W 水

Claims (7)

  1. 流体を加熱するヒータと、
    前記ヒータが内部に設けられる流体容器とを備え、
    前記流体容器は、
    流体供給源から流体が流入する流入口と、
    前記流体容器の外部へと流体を流出させる流出口と、
    前記流体容器の内部に溜まった流体を外部へ排出可能な排出口と、
    前記排出口と係合し、流体の流出を抑制する排水栓と、
    前記流体容器内に流体が貯留された状態から前記排水栓の係合を解除して前記排出口を開放した時に前記流体容器の内部に流体が残留する流体残留部とを有し、
    前記ヒータの少なくとも一部が前記流体残留部の内部に設けられ
    前記排出口は、前記流体容器の底部に突起状となって設けられ、突起の先端より下方が前記流体残留部となる流体加熱装置。
  2. 前記排出口は、前記流体容器の底部よりも高く、自重により前記流体容器内の流体を外部へ排出可能であり、
    前記流体残留部は、前記排出口の先端と前記流体容器の底部との間の空間に形成される請求項1に記載の流体加熱装置。
  3. 前記排出口は、中空の突起であり、上端に設けられた開口部である請求項又は請求項に記載の流体加熱装置。
  4. 前記ヒータは鉛直方向を中心軸とする中空の円筒状の加熱部を有し、
    前記排出口は、前記ヒータの下端から前記加熱部の円筒内に突出した中空の突起の上端部に設けられた開口部である請求項に記載の流体加熱装置。
  5. 前記中空円筒状のヒータは、中空円筒体の内壁面及び外壁面に加熱部を有し、
    該ヒータ内部に上端から供給された流体が同下端から流出して、該ヒータの外側を流れた後、前記ヒータの上方に位置する流出口から放出されるように流路が構成されていることを特徴とする請求項に記載の流体加熱装置。
  6. 前記流体加熱装置は、
    前記流入口と前記流体供給源との間に電磁弁と、
    前記流体容器内の温度が設定値を超えた場合に前記ヒータへの通電を遮断する安全装置とを備え、
    前記安全装置は、前記流体容器内の温度が設定値を超えた場合に前記ヒータへの通電を遮断した後に、前記電磁弁を閉じ、前記流体容器への流体の流入を停止する請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の流体加熱装置。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の流体加熱装置と、加熱するための水を取り込む水供給口と、加熱された温水を放出する温水取出口と、前記流体加熱装置に流入する水の流量を計測する流量計と、該流量計で計測された水の流量に基づいて前記流体加熱装置に流入する水の流量を調節する流量調節バルブとを備え、該流量計によって水流が検出されない場合に前記流体加熱装置のヒータへの通電を遮断する電気温水器。
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