(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。本第1の実施形態における通信システムは、基地局(送信装置、セル、送信点、送信アンテナ群、送信アンテナポート群、コンポーネントキャリア、eNodeB)として、プライマリー基地局(マクロ基地局、第1の基地局、第1の通信装置、サービング基地局、アンカー基地局、第1のコンポーネントキャリア)およびセカンダリー基地局(RRH、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB、第2の基地局装置、協調基地局群、協調基地局セット、第2の通信装置、協調基地局、第2のコンポーネントキャリア)、端末(端末装置、移動端末、受信点、受信端末、受信装置、第3の通信装置、受信アンテナ群、受信アンテナポート群、UE)を備える。なお、セカンダリー基地局は複数であってもよい。また、プライマリー基地局とセカンダリー基地局は、ヘテロジーニアスネットワーク構成を用いており、セカンダリー基地局のカバレッジの一部または全部は、プライマリー基地局のカバレッジに含まれ、端末に対してマルチセル通信やシングルセル通信を行うことができる。以下では、プライマリー基地局およびセカンダリー基地局は、同一周波数のリソース(リソースブロック)を用いて通信を行う場合を考える。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るヘテロジーニアスネットワーク構成を用いる無線通信システムにおけるマルチセル通信を行う一例を示す概略図である。図1では、端末104がセカンダリー基地局102のセルエッジ領域(境界領域)に位置しており、プライマリー基地局101およびセカンダリー基地局102からのマルチセル通信を行う。
ここで、マルチセル通信とは、複数の基地局が互いに協調して、端末に対するデータ信号や制御信号などの信号を通信することを表す。例えば、CoMP通信が含まれる。具体的には、複数の基地局から同一の信号を端末に送信するジョイント送信(Joint transmission、Joint processing)、端末に対する信号を送信する基地局を動的に切り替える動的基地局選択(Dynamic cell selection)、基地局間で協調してビームフォーミングを行うことで互いに干渉を低減させる協調ビームフォーミング(Coordinated Beamforming)、基地局間で協調してスケジューリングを行うことで互いに干渉を低減させる協調スケジューリング(Coordinated Scheduling)などが含まれる。
図1では、その一例としてジョイント送信を行う場合を示している。端末104は、プライマリー基地局101と端末104との間の下りリンク105およびセカンダリー基地局102と端末104との間の下りリンク106を通じて、端末104宛のデータ信号を受信する。また、端末104宛のデータ信号は、データ信号復調用参照信号が多重される。このとき、プライマリー基地局101が送信するデータ信号復調用参照信号とセカンダリー基地局102が送信するデータ信号復調用参照信号は同一であることが好ましい。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るヘテロジーニアスネットワーク構成を用いる無線通信システムにおけるシングルセル通信を行う一例を示す概略図である。図2では、端末204がプライマリー基地局101からのシングルセル通信を行い、端末205がセカンダリー基地局102からのシングルセル通信を行う。プライマリー基地局101は、端末204宛のデータ信号にデータ信号復調用参照信号を多重して、下りリンク206を通じて送信する。セカンダリー基地局102は、端末205宛のデータ信号にデータ信号復調用参照信号を多重して、下りリンク207を通じて送信する。
ここで、シングルセル通信とは、単一の基地局が、端末に対するデータ信号や制御信号などの信号を通信することを表す。例えば、後方互換性を保持する通信システムにおいて規定される従来の送信モードに含まれる通信方法が用いられる。
また、端末204宛の信号と端末205宛の信号は、同一の周波数領域および時間領域のリソース(リソースブロック)を用いて送信される場合、互いに同一チャネル干渉となる。すなわち、下りリンク206を通じて送信される信号は端末205に対して干渉を与えることになり、下りリンク207を通じて送信される信号は端末204に対して干渉を与えることになる。ここで、端末204宛のデータ信号と端末205宛のデータ信号は、一般に異なっているため、互いに相関が低くなる。そのため、端末204および端末205は、それぞれ干渉となるデータ信号を白色雑音として扱うことができる。しかしながら、端末204宛のデータ信号に多重されるデータ信号復調用参照信号と端末205宛のデータ信号に多重されるデータ信号復調用参照信号が、同一の場合、互いに相関が高くなる。端末204および端末205において、それぞれデータ信号を復調するための伝送路状況の推定精度が大幅に劣化することになる。そのため、プライマリー基地局101が送信するデータ信号復調用参照信号とセカンダリー基地局102が送信するデータ信号復調用参照信号は異なることが好ましい。
なお、各基地局は、各端末に送信するデータ信号に対して、それぞれの下りリンクの伝送路状況に応じた適応制御を行うことができる。プライマリー基地局101およびセカンダリー基地局102は、それぞれの基地局に固有の伝送路状況測定用参照信号を送信する。各端末は、プライマリー基地局101およびセカンダリー基地局102における伝送路状況測定用参照信号の一部または全部を用いることによって、下りリンクの伝送路状況を推定する。各端末は、推定した伝送路状況に基づいて、適応制御を行なうための情報(フィードバック情報)を生成する。各端末は、上りリンクを用いて、そのフィードバック情報をプライマリー基地局101またはセカンダリー基地局102に送信する。セカンダリー基地局102がフィードバック情報を受信した場合、セカンダリー基地局102は、光ファイバやリレー技術等を用いた回線(X2インターフェース)103を通じて、プライマリー基地局101に送信する。プライマリー基地局101は、各端末からのフィードバック情報に基づいて、各端末に対するデータ信号の適応制御やスケジューリングを行い、制御情報を生成する。プライマリー基地局101は、回線103を通じて、その制御情報をセカンダリー基地局102に送信する。その制御情報に基づいて、プライマリー基地局101とセカンダリー基地局102は、各端末に対してマルチセル通信やシングルセル通信を行う。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る基地局の構成を示す概略ブロック図である。ここで、図3に示す基地局は、プライマリー基地局101やセカンダリー基地局102を含む。図3において、基地局は、上位レイヤー301、データ信号生成部302、データ信号復調用参照信号多重部303、送信信号生成部304、送信部305を備えている。
上位レイヤー301は、各端末に対する情報データをデータリンク層等の上位レイヤーから出力する。このとき、上位レイヤーや物理層における各種制御情報(適応制御情報、スケジューリング情報、基地局情報、端末情報等を含む)は基地局内で共有されている。さらに、プライマリー基地局101およびセカンダリー基地局102の間(複数のプライマリー基地局間や複数のセカンダリー基地局間も含む)において、回線103を通じて互いに各種制御情報が共有されることができる。
データ信号生成部302は、入力された情報データに対して、スクランブル処理、符号化処理、変調処理、レイヤーマッピング処理などを行い、データ信号を生成する。なお、データ信号生成部302は、コードワードと呼ぶ情報データの単位毎に、スクランブル処理、符号化処理、変調処理を行う。例えば、基地局は、各端末に対して、最大2つのコードワードを送信することができる。
データ信号復調用参照信号多重部303は、生成されたデータ信号に対して、データ信号復調用参照信号を多重する。このとき、データ信号復調用参照信号は、データ信号のレイヤー数(ランク数、空間多重数)に応じて、符号分割多重(CDM;Code Division Multiplexing)および/または周波数分割多重(FDM;Frequency Division Multiplexing)される。まず、データ信号復調用参照信号は、CDMするために直交符号として、レイヤー数に応じて、2チップまたは4チップのWalsh符号を用いる。さらに、用いられるWalsh符号に対して、スクランブル符号が重畳される。このスクランブル符号は、Gold符号等による擬似ランダム系列が用いられる。また、このスクランブル符号を生成するための初期値が与えられる。そのため、データ信号復調用参照信号多重部303は、スクランブル符号の初期値が入力される。データ信号復調用参照信号多重部303は、入力されたスクランブル符号の初期値を用いて、スクランブル符号を生成する。本実施形態におけるデータ信号復調用参照信号の詳細は後述される。
送信信号生成部304は、データ信号およびデータ信号復調用参照信号に対して、位相回転やビームフォーミングなどを行うためのプレコーディング処理などを行う。ここで、プレコーディング処理は、端末が効率よく受信できるように(例えば、受信電力が最大になるように、または隣接セルからの干渉が小さくなるように、または隣接セルへの干渉が小さくなるように)、生成する信号に対して位相回転などを行うことが好ましい。また、予め決められたプレコーディング行列による処理、CDD(Cyclic Delay Diversity)等の送信ダイバーシチを用いることができる。
また、送信信号生成部304は、プレコーディング処理の後、基地局が決定したスケジューリング情報に基づいて、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を用いて、所定のリソースブロック(リソースエレメント)にマッピングする。さらに、送信信号生成部304は、端末に対する制御情報を通知するための制御信号を生成し、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)を用いて、所定のリソースエレメントにマッピングする。本実施形態における制御信号の詳細は後述される。
送信部305は、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)やガードインターバルの付加等を行った後、少なくとも1つの送信アンテナ数(送信アンテナポート数)の送信アンテナから送信する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る端末の構成を示す概略ブロック図である。ここで、図4に示す端末は、端末104、端末204、端末205を含む。図4において、端末は、受信部401、受信信号処理部402、伝送路推定部403、データ信号処理部404、上位レイヤー405を備えている。
受信部401は、少なくとも1つの受信アンテナ数(受信アンテナポート数)の受信アンテナにより、基地局がマルチセル通信またはシングルセル通信により送信した信号を受信する。
受信信号処理部402は、付加されたガードインターバルを除去し、高速フーリエ変換(FFT;Fast Fourier Transform)などにより時間周波数変換処理を行い、周波数領域の信号に変換する。また、受信信号処理部402は、基地局がマッピングした制御信号、データ信号およびデータ信号復調用参照信号をデマッピング(分離)する。受信信号処理部402は、制御信号の中から、自分の端末宛の制御信号を探索し、自分の端末宛の制御情報を識別する。その制御情報は、端末内に共有され、データ信号の復調等に用いられる。
伝送路推定部403は、データ信号復調用参照信号を用いて、データ信号を復調するための伝送路状況を推定する。ここで、伝送路推定部403には、基地局で用いられたスクランブル符号の初期値が入力される。この初期値に基づいて、スクランブル符号が生成され、データ信号復調用参照信号は、デスクランブル処理が行われる。デスクランブル処理されたデータ信号復調用参照信号は、データ信号のレイヤー数に応じて、2チップまたは4チップのWalsh符号に対して逆拡散処理され、伝送路推定値が生成される。ここで、基地局で用いられたスクランブル符号の初期値の通知方法は後述される。
伝送路推定処理では、各レイヤー(ランク、空間多重)に対する、それぞれのリソースエレメントにおける振幅と位相の変動(周波数応答、伝達関数)を推定(伝送路推定)し、伝送路推定値を求める。なお、データ信号復調用参照信号がマッピングされていないリソースエレメントは、データ信号復調用参照信号がマッピングされたリソースエレメントに基づいて、周波数方向および時間方向に補間し、伝送路推定を行う。
データ信号処理部404は、入力されたデータ信号および推定された伝送路推定値に基づいて、伝送路変動に対する補償処理(フィルタ処理)を行う。伝送路補償処理されたデータ信号は、識別された制御情報に基づいて、レイヤーデマッピング処理、復調処理、デスクランブル処理、復号処理などを行い、上位レイヤー405に出力する。伝送路補償処理では、入力されたデータ信号に対して、推定された伝送路推定値を用いて、伝送路補償を行い、レイヤー毎のデータ信号を検出(復元)する。その検出方法としては、ZF(Zero Forcing)基準やMMSE(Minimum Mean Square Error)基準の等化、干渉除去などを用いることができる。レイヤーデマッピング処理では、レイヤー毎の信号をそれぞれのコードワードにデマッピング処理を行う。以降、コードワード毎に処理を行う。復調処理では、用いた変調方式に基づいて復調を行う。デスクランブル処理では、用いたスクランブル符号に基づいて、デスクランブル処理を行う。復号処理では、施した符号化方法に基づいて、誤り訂正復号処理を行う。
図5は、基地局がマッピングする信号の一例を示す図である。図5は、データ信号復調用参照信号、データ信号、制御信号をマッピングした1つのリソースブロックペアを示している。また、図5は、1つのサブフレーム内の2つのリソースブロックを表しており、1つのリソースブロックは周波数方向に12のサブキャリアと時間方向に7のOFDMシンボルで構成される。1つのOFDMシンボルのうち、それぞれのサブキャリアをリソースエレメントと呼ぶ。それぞれのサブフレームのうち、時間方向に前後の7つのOFDMシンボルをそれぞれスロットと呼ぶ。1つのサブフレームに含まれる連続する2つのリソースブロックをリソースブロックペアと呼ぶ。
ここで、リソースブロックは、通信システムが用いる周波数帯域幅(システム帯域幅)に応じて、その数を変えることができる。例えば、6〜110個のリソースブロックを用いることができ、それを1単位としてコンポーネントキャリアとも呼ぶ。さらに、周波数アグリゲーションにより、全システム帯域幅を110個以上にすることも可能である。つまり、連続または非連続な最大5つのコンポーネントキャリアを構成することができる。また、プライマリー基地局101のコンポーネントキャリアとセカンダリー基地局のコンポーネントキャリアを周波数アグリゲーションとして、端末は設定されることもできる。
図5では、先頭の3つのOFDMシンボルはPDCCH領域として、制御信号はPDCCH領域のリソースエレメントにマッピングされる。データ信号復調用参照信号は、斜線で網掛けしたリソースエレメントにマッピングされる。データ信号復調用参照信号は、CDMの単位に応じて、リソースエレメントが異なるようにマッピングされる。データ信号は、白く塗りつぶしたリソースエレメントにマッピングする。なお、図5に図示したリソースエレメントには、伝送路状況測定用参照信号(CSI−RS;Channel State Information−RS、ゼロパワー(ミューティング)も含む)やセル固有参照信号(CRS;Cell−specific RS)等もマッピングされることができる。
以下では、データ信号復調用参照信号の詳細を説明する。データ信号復調用参照信号は、まずWalsh符号を用いた直交符号がマッピングされ、その後にGold符号を用いたスクランブル符号が重畳される。
図6は、データ信号復調用参照信号におけるアンテナポートに対する直交符号を示す図である。図6では、アンテナポートの番号は、7〜14で規定される。また、最大レイヤー数を8とし、レイヤー数に応じて、用いるアンテナポートの番号が異なる。具体的には、レイヤー数が8の場合、アンテナポート7〜14が用いられる。レイヤー数が8未満の場合、アンテナポート7〜14の一部が用いられる。例えば、レイヤー数が4の場合、アンテナポート7〜10が用いられ、レイヤー数が1の場合、アンテナポート7または8のいずれかが用いられる。
また、データ信号復調用参照信号は、多重されるデータ信号のレイヤー数に応じて、マッピングされるリソースエレメントの数やマッピングする系列を変えることができる。レイヤー数が1〜2の場合、D1で示したCDMグループ1のリソースエレメントに2チップの直交符号がマッピングされる。レイヤー数が3〜4の場合、レイヤー数が1〜2の場合にマッピングした直交符号に加えて、D2で示したCDMグループ2のリソースエレメントに2チップの直交符号がマッピングされる。レイヤー数が5〜8の場合、D1で示したCDMグループ1およびD2で示したCDMグループ2のリソースエレメントに4チップの直交符号がマッピングされる。
次に、データ信号復調用参照信号はスクランブル符号が重畳される。また、スクランブル符号は、各アンテナポートで同一の系列が用いられる。スクランブル符号は以下の式で定義される系列r(m)により与えられる。
ただし、NRB max,DLは下りリンクにおける最大のリソースブロック数を示し、例えば110とすることができる。
また、c(n)はGold符号であり、以下の式で定義される。
ただし、Ncは定数であり、例えば1600とすることができる。
また、1番目のM系列の初期値は以下の式で定義される。
また、2番目のM系列の初期値は以下の式で定義される。
ただし、nsは無線フレーム内のスロット番号である。NID cellはセルID(Identity)であり、基地局(セル)に固有の番号である。
ここで、ヘテロジーニアスネットワーク構成に含まれるプライマリー基地局およびセカンダリー基地局は、それぞれ異なるセルIDを設定することもできる(Different cell ID)。また、ヘテロジーニアスネットワーク構成に含まれるプライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部が同一のセルIDを設定されることもできる(Shared cell ID、Same cell ID)。
また、nSCIDはスクランブルID(Identity)であり、PDCCHシグナリングまたはRRC(Radio Resource Control)シグナリングによって設定される。また、スクランブルIDは、設定されるレイヤー数に応じて、予め規定しておくこともできる。ここで、PDCCHシグナリングは、物理レイヤーを通じて、動的(アダプティブ)に端末へ通知される制御情報であり、PDCCHを通じて端末に通知される。RRCシグナリングは、物理レイヤーよりも上位レイヤー(RRCレイヤー)を通じて、準静的(セミスタティック)に端末へ通知される制御情報である。また、PDCCHシグナリングによる制御情報は、RRCシグナリングによる制御情報よりも短い周期で通知できる。なお、各シグナリングは、同一のチャネルを通じて、それぞれ異なる周期で通知される制御情報とすることもできる。また、nSCIDは第1のスクランブルIDとも呼ばれる。また、PDCCHシグナリングにより通知される制御信号は第1の制御信号とも呼ばれ、RRCシグナリングにより通知される制御信号は第2の制御信号とも呼ばれる。
以下では、本発明における基地局の端末に対して設定する制御情報について説明する。図7は、基地局の端末に対する制御情報の通知方法の一例を示す図である。
基地局は、端末に対して、RRCシグナリングにより送信モードを設定する。本発明における送信モードでは、基地局は、その端末に対してシングルセル通信および/またはマルチセル通信を行うことができる。例えば、この送信モードは、後方互換性を保持する通信システムにおいて定義される従来の送信モード(第1の送信モード)とは異なる新たな送信モード(送信モード10、第2の送信モード)として定義される。
ここで、第1の送信モードは、従来から定義されている1つまたは複数の送信モードの全部または一部である。例えば、第1の送信モードは、送信モード1〜9として定義される。送信モード1はアンテナポート0を用いるシングルアンテナポート送信方式を用いる送信モードである。送信モード2は送信ダイバーシチ方式を用いる送信モードである。送信モード3は、循環遅延ダイバーシチ方式を用いる送信モードである。送信モード4は、閉ループ空間多重方式を用いる送信モードである。送信モード5は、マルチユーザMIMO方式を用いる送信モードである。送信モード6は、シングルアンテナポートを用いる閉ループ空間多重方式を用いる送信モードである。送信モード7は、アンテナポート5を用いるシングルアンテナポート送信方式を用いる送信モードである。送信モード8は、アンテナポート7〜8を用いる閉ループ空間多重方式を用いる送信モードである。送信モード9は、アンテナポート7〜14を用いる閉ループ空間多重方式を用いる送信モードである。
また、第2の送信モードは、第1の送信モードとは異なる送信モードとして定義され、例えば、送信モード10として定義される。例えば、送信モード10は、マルチセル通信方式を用いる送信モードとすることができる。また、送信モード10は、送信モード1〜9で示した全部または一部の通信方式に加えて、マルチセル通信方式を用いる送信モードとすることができる。例えば、送信モード10は、送信モード9で示した通信方式に加えて、マルチセル通信方式を用いる送信モードとすることができる。また、送信モード10は、複数の伝送路状況測定用参照信号を設定することができる送信モードとすることができる。なお、基地局は、複数の送信方式を用いることができる送信モード10に設定した端末に対して、データ信号を送信するに際し、複数の送信方式のいずれかを用いたことを通知しなくても通信できる。すなわち、端末は、複数の送信方式を用いることができる送信モード10に設定されたとしても、データ信号を受信するに際し、複数の送信方式のいずれかを用いたことが通知されなくても通信できる。
次に、基地局は、端末に対して、RRCシグナリングによりレポーティングモードを設定する。本発明におけるレポーティングモードは、端末が下りリンクにおいて適応制御を行うために、基地局に対して、フィードバック情報(レポーティング情報)を通知する方法である。また、レポーティングモードは、送信モードに対応して定義されている。また、レポーティングモードは、基地局毎(設定されるCSI−RS毎)に設定することもできるし、設定される複数の基地局の全部または一部に対して設定することもできる。なお、レポーティングモードの設定は、送信モードの設定と同時に行うことができる。
ここで、フィードバック情報が、基地局に対する推奨送信フォーマット情報である場合を説明する。フィードバック情報は、基地局および端末共に既知の送信フォーマットが予めインデックス化されているものとし、端末はその送信フォーマットを用いた情報をフィードバックし、基地局はその情報を用いて適応制御する。具体的には、CQI(Channel Quality Indicator)は符号化率および変調方式を示す情報のため、それぞれ符号化処理および変調処理を制御できる。PMI(Precoding Matrix Index)はプレコーディング行列を示す情報のため、プレコーディング処理を制御できる。RI(Rank Indicator)はレイヤー数を示す情報のため、レイヤーマッピング処理やコードワードを生成する上位層に対して制御できる。また、リソースへのマッピングに関するフィードバック情報も含まれる場合、リソースエレメントマッピング処理に対して制御することもできる。さらに、端末は、マルチセル通信を行うためのフィードバック情報(複数の基地局(設定されるCSI−RS)に基づいて生成されるフィードバック情報)を通知する。例えば、複数の基地局間の位相差情報、マルチセル通信時に好適なRI、PMI、CQI等が通知される。
さらに、基地局は、端末に対して、PDCCHシグナリングによりデータ信号復調用参照信号を設定する。具体的には、データ信号復調用参照信号を構成するスクランブル符号を生成するための初期値が設定される。ここで、PDCCHシグナリングを通じて設定される制御情報は、DCI(Downlink Control Information)フォーマットによって定義される。例えば、このDCIフォーマットは、後方互換性を保持する通信システムにおいて定義される従来のDCIフォーマット(第1のフォーマット)とは異なる新たなDCIフォーマット(DCIフォーマット2D、第2のフォーマット)として定義される。すなわち、基地局は、端末に対して、DCIフォーマット2Dを用いて、データ信号復調用参照信号を構成するスクランブル符号を生成するための初期値を設定するための制御情報を通知する。
また、DCIフォーマットは、設定される送信モードによってインプリシットに決められることができる。例えば、従来の送信モードが設定された端末は、基地局から通知されるDCIフォーマットが従来のDCIフォーマットであると認識し、基地局からの制御信号から自分の端末宛の制御情報を検出する。また、送信モード10が設定された端末は、基地局から通知されるDCIフォーマットがDCIフォーマット2Dであると認識し、基地局からの制御信号から自分の端末宛の制御情報を検出する。
以下では、データ信号復調用参照信号を構成するスクランブル符号を生成するための初期値を設定するための制御情報の通知方法の詳細を説明する。
図8は、1つのコードワードにおけるデータ信号復調用参照信号を設定するための制御情報の一例を示す図である。図8では、3ビットで実現される8つの状態(状態0〜状態7)を用いて、ランク数、送信アンテナポートの番号、スクランブルIDが通知される。例えば、状態0は、ランク数が1、送信アンテナポートの番号が7、スクランブルIDが0を示す。状態5は、ランク数が2、送信アンテナポートの番号が7〜8、スクランブルIDが1を示す。状態7は、ランク数が4、送信アンテナポートの番号が7〜10を示す。また、状態6および状態7では、スクランブルIDは予め規定しておき、例えばスクランブルIDは0とする。なお、RRCシグナリングにより、スクランブルIDは通知されることもできる。
なお、図8に示す制御情報は、従来のシステムで用いられる制御情報との互換性を保つように構成することもできる。例えば、従来のシステムで用いられる制御情報のうち、Reservedとなっている状態(状態7)に、新たな状態が追加されてもよい。すなわち、新たな状態である図8に示す状態5(ランク数が2、送信アンテナポートの番号が7〜8、スクランブルIDが1)は、Reservedとなっている状態(状態7)に追加されてもよい。
なお、図8に示す制御情報は、通知するスクランブルIDをXとし、XはRRCシグナリングで通知したスクランブルIDを用いるように構成してもよい。例えば、Xは0〜15のいずれかをRRCシグナリングにより設定することができる。例えば、スクランブルIDが0および1に加えて、Xは制御情報に追加されることができる。また、スクランブルIDが0または1のいずれかに代えて、Xが制御情報に設定されることができる。また、スクランブルIDが0および1に代えて、X0およびX1が制御情報に設定されることができる。
図8に示す制御情報を用いることによって、基地局は、端末に対して、ランク数が4までの通信と、スクランブルIDが設定できるランク数が2までの通信を効率的に設定できる。さらに、それらの通信は動的(ダイナミック)に設定できる。例えば、基地局は、端末に対して、ランク数が4までのSU−MIMOとランク数が2までのMU−MIMOの通信を効率的に設定できる。また、例えば、基地局は、端末に対して、ランク数が4までのシングルセル通信とランク数が2までのマルチセル通信を効率的に設定できる。
図9は、1つのコードワードにおけるデータ信号復調用参照信号を設定するための制御情報の別の一例を示す図である。図9では、3ビットで実現される8つの状態(状態0〜状態7)を用いて、ランク数、送信アンテナポートの番号、スクランブルIDが通知される。例えば、状態0は、ランク数が1、送信アンテナポートの番号が7、スクランブルIDが0を示す。状態3は、ランク数が1、送信アンテナポートの番号が7、スクランブルIDが3を示す。状態7は、ランク数が4、送信アンテナポートの番号が7〜10、スクランブルIDが1を示す。
なお、図9で示す制御情報のうち、状態0〜状態5は、送信アンテナポートの番号が7および8におけるスクランブルIDがそれぞれ0〜2を示すように構成してもよい。例えば、状態0〜2は、送信アンテナポートの番号が7であり、スクランブルIDがそれぞれ0〜2を示す。状態3〜5は、送信アンテナポートの番号が8であり、スクランブルIDがそれぞれ0〜2を示す。
なお、図9で示す制御情報のうち、状態4〜状態7は、それぞれランク数が1〜4を示すように構成してもよい。例えば、状態4は、ランク数が1、送信アンテナポートの番号が8を示す。状態5〜7は、それぞれランク数が2〜4を示す。そのとき、スクランブルIDは、予め規定しておき、例えばスクランブルIDは0とする。なお、RRCシグナリングにより、スクランブルIDは通知されることもできる。
なお、図9に示す制御情報は、通知するスクランブルIDをXとし、XはRRCシグナリングで通知したスクランブルIDを用いるように構成してもよい。例えば、Xは0〜15のいずれかをRRCシグナリングにより設定することができる。例えば、スクランブルIDが0〜3に加えて、Xは制御情報に追加されることができる。また、スクランブルIDが0〜3のいずれかに代えて、Xが制御情報に設定されることができる。また、スクランブルIDが0〜3の一部または全部に代えて、X0〜X3が制御情報に設定されることができる。
図9に示す制御情報を用いることによって、基地局は、端末に対して、設定できるスクランブルIDの数を増加させることができ、効率的にスケジューリングできる。また、図9で示す制御情報が、低いランク数において、スクランブルIDの数を多くするように設定することにより、基地局は、端末に対して、効率的に制御情報を通知できる。
図10は、2つのコードワードにおけるデータ信号復調用参照信号を設定するための制御情報の一例を示す図である。図10では、3ビットで実現される8つの状態(状態0〜状態7)を用いて、ランク数、送信アンテナポートの番号、スクランブルIDが通知される。例えば、状態0は、ランク数が2、送信アンテナポートの番号が7〜8、スクランブルIDが0を示す。状態3は、ランク数が2、送信アンテナポートの番号が7〜8、スクランブルIDが3を示す。状態7は、ランク数が4、送信アンテナポートの番号が7〜10、スクランブルIDが1を示す。
なお、図10に示す制御情報のうち、状態2および状態3で示す状態は、将来のシステムで用いられる状態のためにそれぞれReservedとすることができる。
なお、図10に示す制御情報は、通知するスクランブルIDをXとし、XはRRCシグナリングで通知したスクランブルIDを用いるように構成してもよい。例えば、Xは0〜15のいずれかをRRCシグナリングにより設定することができる。例えば、スクランブルIDが0〜3に加えて、Xは制御情報に追加されることができる。また、スクランブルIDが0〜3のいずれかに代えて、Xが制御情報に設定されることができる。また、スクランブルIDが0〜3の一部または全部に代えて、X0〜X3が制御情報に設定されることができる。
図10に示す制御情報を用いることによって、基地局は、端末に対して、設定できるスクランブルIDの数を増加させることができ、効率的にスケジューリングできる。また、図10で示す制御情報が、低いランク数において、スクランブルIDの数を多くするように設定することにより、基地局は、端末に対して、効率的に制御情報を通知できる。
図11は、2つのコードワードにおけるデータ信号復調用参照信号を設定するための制御情報の別の一例を示す図である。図11では、4ビットで実現される16つの状態(状態0〜状態15)を用いて、ランク数、送信アンテナポートの番号、スクランブルIDが通知される。例えば、状態0は、ランク数が2、送信アンテナポートの番号が7〜8、スクランブルIDが0を示す。状態5は、ランク数が4、送信アンテナポートの番号が7〜10、スクランブルIDが1を示す。状態6〜9は、それぞれランク数が5〜8を示す。なお、状態6〜9におけるスクランブルIDは、それぞれ予め規定しておくこともでき、例えばスクランブルIDは0とする。なお、RRCシグナリングにより、スクランブルIDは通知されることもできる。状態10〜15は、将来のシステムで用いられる状態のためにそれぞれReservedとする。
なお、図11で示す制御情報は、図10で示す制御情報のように、低いランク数において、スクランブルIDの数を多くするようにさらに設定することもできる。
なお、図11に示す制御情報は、通知するスクランブルIDをXとし、XはRRCシグナリングで通知したスクランブルIDを用いるように構成してもよい。例えば、Xは0〜15のいずれかをRRCシグナリングにより設定することができる。例えば、スクランブルIDが0および1に加えて、Xは制御情報に追加されることができる。また、スクランブルIDが0または1のいずれかに代えて、Xが制御情報に設定されることができる。また、スクランブルIDが0および1に代えて、X0およびX1が制御情報に設定されることができる。
図11に示す制御情報を用いることによって、基地局は、端末に対して、ランク数が8までの通信と、スクランブルIDが設定できるランク数が4までの通信を効率的に設定できる。さらに、それらの通信は動的(ダイナミック)に設定できる。例えば、基地局は、端末に対して、ランク数が8までのSU−MIMOとランク数が4までのMU−MIMOの通信を効率的に設定できる。また、例えば、基地局は、端末に対して、ランク数が8までのシングルセル通信とランク数が4までのマルチセル通信を効率的に設定できる。
以下では、データ信号復調用参照信号を構成するスクランブル符号を生成するための初期値を設定するための制御情報の通知方法の別の例を説明する。図8〜図11で説明した制御情報では、1つの状態によって、ランク数、送信アンテナポートの番号、スクランブルIDを示すジョイントコーディングを用いた。この通知方法では、スクランブルIDは、ランク数および送信アンテナポートの番号と異なる独立した制御情報として構成される。すなわち、スクランブルIDは、それ単体で制御情報として構成され、例えば、2ビットによって0〜3のいずれかを示す。また、このスクランブルIDを示す制御情報は、RRCシグナリングによって設定されることができる。また、このスクランブルIDを示す制御情報は、DCIフォーマット2Dに含まれる制御情報として、PDCCHシグナリングによって設定されることができる。なお、このスクランブルIDを示す制御情報のうちの1つまたは複数の状態は、RRCシグナリングで通知したスクランブルIDを用いるように構成してもよい。例えば、0〜15のいずれかがRRCシグナリングによりそれぞれ設定されることができる。
以下では、データ信号復調用参照信号を構成するスクランブル符号を生成するための初期値を設定する方法の別の例を説明する。この設定方法で用いられる2番目のM系列の初期値cinitは以下の式で定義される。
ここで、nXIDは、制御情報として、基地局から端末に対して通知されるパラメータであり、従来のシステムで用いられるcinitに対して加算される。そのパラメータnXIDは、他の制御情報とジョイントコーディングして通知されてもよく、それ単体の制御情報として通知されてもよい。そのパラメータnXIDが他の制御情報とジョイントコーディングして通知される場合、そのパラメータnXIDは、例えば、ランク数、送信アンテナポートの番号、スクランブルID等の制御情報とジョイントコーディングされる。また、そのパラメータnXIDがそれ単体の制御情報として通知される場合、そのパラメータnXIDは、例えば、2ビットによって0〜3のいずれかを示す。また、そのパラメータnXIDを示す制御情報は、RRCシグナリングによって設定されることができる。また、そのパラメータnXIDを示す制御情報は、DCIフォーマット2Dに含まれる制御情報として、PDCCHシグナリングによって設定されることができる。なお、そのパラメータnXIDを示す制御情報のうちの1つまたは複数の状態は、RRCシグナリングで通知したスクランブルIDを用いるように構成してもよい。例えば、0〜15のいずれかがRRCシグナリングによりそれぞれ設定されることができる。また、nSCIDは第1のスクランブルIDとも呼ばれ、nXIDは第2のスクランブルIDとも呼ばれる。
また、スクランブルIDまたはパラメータnXIDは、他の制御情報等によりインプリシットに決定されることができる。例えば、スクランブルIDまたはパラメータnXIDは、セルIDと別に設定されるローカルセルIDによりインプリシットに決定される。ここで、ローカルセルIDは、マクロセルやRRHに固有のパラメータであり、セル毎やCSI−RS毎に設定される。また、スクランブルIDまたはパラメータnXIDは、CSI−RSによりインプリシットに決定され、例えばCSI−RSを設定するための制御情報(インデックス)により決定される。また、スクランブルIDまたはパラメータnXIDは、UEに固有の番号(nRNTI)によりインプリシットに決定される。スクランブルIDまたはパラメータnXIDが他の制御情報等によりインプリシットに決定されることにより、基地局は端末に対する制御情報のオーバヘッドを低減しつつ、効率的なスケジューリングができる。
以上のように、本実施形態で説明した方法を用いることにより、基地局は、端末に対して、効率的に制御情報を通知し、データ信号復調用参照信号を構成するスクランブル符号の種類を増やすことができる。そのため、基地局は、端末に対して、効率的にスケジューリングや適応制御が行えるため、伝送効率を向上させることができる。
また、ヘテロジーニアスネットワーク構成に含まれるプライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部に同一のセルIDが設定される場合、本実施形態で説明した方法を用いることにより、プライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部は、それぞれ異なる端末に対して割り当てるデータ信号復調用参照信号の干渉を低減させることができる。そのため、プライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部は、それぞれ異なる端末に対して、同一のリソースを用いるデータ通信を効率的に行うことができる。
また、ヘテロジーニアスネットワーク構成に含まれるプライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部にそれぞれ異なるセルIDが設定される場合、本実施形態で説明した方法を用いることにより、プライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部は、端末に対して、効率的にスケジューリングや適応制御が行えるため、伝送効率を向上させることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。本第2の実施形態における通信システムで用いる制御情報は、第1の実施形態で説明したPDCCH領域のリソースを用いるシグナリングに加えて、PDSCH領域の一部のリソースを用いるシグナリングによって通知される。本第2の実施形態における通信システムは、第1の実施形態における通信システムと同様である。以下では、第1の実施形態で説明した部分を説明する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る下りリンクにおけるリソースの例を示す図である。図12で示すリソースでは、第1の実施形態で説明したリソースのPDCCHおよびPDSCHに加えて、PDSCH領域の一部をX−PDCCHとして、制御情報を通知する領域が追加される。X−PDCCHの周波数方向の領域は、所定のリソースブロック数の領域に割り当てられる。X−PDCCHの時間方向の領域は、そのサブフレーム内のOFDMシンボルのスタート位置により決定される。X−PDCCHのスタート位置は、予め規定されており、例えばサブフレーム内の4番目のOFDMシンボルとする。また、X−PDCCHのスタート位置は、基地局からのRRCシグナリングにより通知され、準静的に設定される。また、PDCCHが1番目と2番目のOFDMシンボルにより構成され、X−PDCCHのスタート位置が4番目のOFDMシンボルである場合、X−PDCCHを構成するリソースブロック幅における3番目のOFDMシンボルは、ヌルにする。また、前記ヌルにする領域には、別の制御信号を割り当てることができる。
また、X−PDCCHのスタート位置がPDCCH領域に含まれる場合、基地局は、そのサブフレームについて、X−PDCCHのスタート位置をPDCCH領域に含まないように設定できる。また、X−PDCCHのスタート位置がPDCCH領域に含まれる場合、端末は、そのサブフレームについて、X−PDCCHのスタート位置をPDCCH領域に含まないように設定されているものと認識する。これにより、制御情報のオーバヘッドを増やすことなく、効率的なデータ通信が実現できる。
また、X−PDCCHは、所定の送信モード(例えば、送信モード10、第2の送信モード)に設定された端末に対する制御信号がマッピングされる。所定の送信モードに設定された端末は、X−PDCCH領域から自分宛の制御信号を検出する。また、基地局は、X−PDCCHを通じて、複数の端末に対する制御情報を通知することができる。また、基地局は、所定の送信モードに設定された端末に対する制御信号が、X−PDCCH領域にあるか否かをPDCCHシグナリングまたはRRCシグナリングにより通知する。また、X−PDCCHで通知される制御信号は、本発明の第1の実施形態で説明したDCIフォーマット(DCIフォーマット2D)と同様のフォーマットにより構成される。また、X−PDCCHで通知される制御信号は、本発明の第1の実施形態で説明したDCIフォーマットと異なるフォーマット(例えば、DCIフォーマット2E)により構成される。また、X−PDCCHを通じて通知される制御信号は、第3の制御信号とも呼ばれる。
X−PDCCH領域を含むリソースブロックには、本発明の第1の実施形態で説明したデータ信号復調用参照信号が同様に割り当てられる。すなわち、基地局は、端末に対して、PDCCHシグナリングまたはRRCシグナリングにより、データ信号復調用参照信号を構成するスクランブル符号を通知する。その通知方法は、本発明の第1の実施形態で説明した方法を用いることができる。
以上のように、本実施形態で説明した方法を用いることにより、基地局は、端末に対する制御情報を通知できる領域を増やすことができる。さらに、基地局は、端末に対して、効率的に制御情報を通知し、データ信号復調用参照信号を構成するスクランブル符号の種類を増やすことができる。そのため、基地局は、端末に対して、効率的にスケジューリングや適応制御が行えるため、伝送効率を向上させることができる。
また、ヘテロジーニアスネットワーク構成に含まれるプライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部に同一のセルIDが設定される場合、本実施形態で説明した方法を用いることにより、プライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部は、端末に対する制御情報を通知できる領域を増やすことができ、それぞれ異なる端末に対して割り当てるデータ信号復調用参照信号の干渉を低減させることができる。そのため、プライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部は、それぞれ異なる端末に対して、同一のリソースを用いるデータ通信を効率的に行うことができる。
また、ヘテロジーニアスネットワーク構成に含まれるプライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部にそれぞれ異なるセルIDが設定される場合、本実施形態で説明した方法を用いることにより、プライマリー基地局およびセカンダリー基地局の全部または一部は、端末に対する制御情報を通知できる領域を増やすことができ、端末に対して効率的にスケジューリングや適応制御が行えるため、伝送効率を向上させることができる。
なお、上記各実施形態では、フィードバック情報は、伝送路状況を示す情報を用いることができる。端末は、基地局からの伝送路状況測定用参照信号を用いて、基地局との伝送路状況の情報をフィードバックする。その際、伝送路状況を示す情報は、固有値分解や量子化などの様々な方法を用いて、情報量を削減してもよい。基地局では、フィードバックされた伝送路状況の情報を用いて、端末に対する制御を行う。例えば、基地局では、フィードバックされた情報に基づいて、端末が受信したときの最適な受信ができるように符号化率及び変調方式、レイヤー数、プレコーディング行列を決定でき、その方法は様々なものを用いることができる。
なお、上記各実施形態では、プライマリー基地局101およびセカンダリー基地局102のマルチセル通信によりデータ信号が送信される場合でも、各端末は、セカンダリー基地局102が協調通信していることを認識しなくても、データ信号の受信処理を行うことができる。つまり、プライマリー基地局101は、端末104に対して、マルチセル通信を行なっている場合でも、シングルセル通信を行うときに用いる制御情報を用いることができる。具体的には、プライマリー基地局101およびセカンダリー基地局102が端末104に対して同一のデータ信号を送信する場合、端末104はプライマリー基地局から通知される制御情報をシングルセル通信の場合と同様の処理を行うことにより、特別な処理を行うことなく受信処理ができる。
なお、上記各実施形態では、プライマリー基地局101とセカンダリー基地局102とが協調して通信を行う場合について説明した。ここで言う基地局は、セルラーシステムにおける物理的な基地局装置であってもよいのは勿論であるが、この他にもそれぞれにセルを張りながら協調する送信装置(中継装置を含む)の組(第1の送信装置と第2の送信装置)、あるいは互いに異なるアンテナポート(第1のポートと第2のポート)で伝送路状況測定用参照信号を送信しながら協調する送信装置の組であれば、プライマリー基地局101とセカンダリー基地局102とすることができ、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、プライマリー基地局101はセルラーシステムにおける基地局装置であり、セカンダリー基地局101はプライマリー基地局102により制御され動作する送信装置(例えば、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)、Distributed antenna)とすることもできるし、逆にセカンダリー基地局102がセルラーシステムにおける基地局装置であり、プライマリー基地局101はセカンダリー基地局102により制御され動作する送信装置とすることもできる。または、プライマリー基地局101とセカンダリー基地局102ともに、セルラーシステムにおける物理的な基地局装置により制御され動作する送信装置であってもよい。
なお、上記各実施形態では、プライマリー基地局101とセカンダリー基地局102との協調通信について、主にセカンダリー基地局102がプライマリー基地局101に隣接する場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、ヘテロジーニアスネットワークのようにプライマリー基地局101の通信エリアとセカンダリー基地局102の通信エリアが全部または一部がオーバーラップしている場合でも、上記各実施形態で説明した同様の効果が得られる。その際、それぞれの基地局のコンポーネントキャリア(キャリア周波数)は全部または一部がオーバーラップしてもよい。具体的には、プライマリー基地局101をマクロセルとし、セカンダリー基地局102をピコセルやフェムトセル(Home eNodeB)などのマクロセルの通信エリアよりも小さい通信エリアが、プライマリー基地局101の通信エリア内にオーバーラップする場合でも適用できる。
なお、上記各実施形態では、情報データ信号、制御情報信号、PDSCH、PDCCHおよび参照信号のマッピング単位としてリソースエレメントやリソースブロックを用い、時間方向の送信単位としてサブフレームや無線フレームを用いて説明したが、これに限るものではない。任意の周波数と時間で構成される領域および時間単位をこれらに代えて用いても、同様の効果を得ることができる。なお、上記各実施形態では、プレコーディング処理されたRSを用いて復調する場合について説明し、プレコーディング処理されたRSに対応するポートとして、MIMOのレイヤーと等価であるポートを用いて説明したが、これに限るものではない。この他にも、互いに異なる参照信号に対応するポートに対して、本発明を適用することにより、同様の効果を得ることができる。例えば、Precoded RSではなくUnprecoded RSを用い、ポートとしては、プリコーディング処理後の出力端と等価であるポートあるいは物理アンテナ(あるいは物理アンテナの組み合わせ)と等価であるポートを用いることができる。
本発明に関わるプライマリー基地局101、セカンダリー基地局102および端末104で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態におけるプライマリー基地局101、セカンダリー基地局102および端末104の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。プライマリー基地局101、セカンダリー基地局102および端末104の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
以上、この発明の実施形態に関して図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、本発明は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も含まれる。