以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。
また、以下の順序にしたがって当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.一実施形態に係る干渉制御モデル
1−1.周波数帯の二次利用による干渉の例
1−2.干渉制御モデルの説明
1−3.二次利用のためのチャネルの比較
1−4.第2の通信サービス間の干渉の検討
1−5.第2の通信サービス間の送信電力の分配
1−6.二次利用という用語の範囲
2.第1の実施形態
2−1.通信システムの概要
2−2.管理ノードの構成例
2−3.端末装置の構成例
2−4.第1の実施形態のまとめ
3.第2の実施形態
3−1.通信システムの概要
3−2.管理ノードの構成例
3−3.端末装置の構成例
3−4.第2の実施形態のまとめ
4.第3の実施形態
4−1.二次システムの概要
4−2.コーディネータの役割を有する端末装置の構成例
4−3.送信電力制御処理の例
4−4.第3の実施形態のまとめ
5.TVバンドへの適用
<1.一実施形態に係る干渉制御モデル>
[1−1.周波数帯の二次利用による干渉の例]
まず、図1A及び図1Bを参照しながら、周波数帯の二次利用により一次利用ノードが干渉を受ける簡略化された事例について説明する。図1A及び図1Bは、それぞれ、周波数帯の二次利用により一次システムに含まれるいずれかの一次利用ノードが干渉を受ける一例を示す模式図である。
図1Aを参照すると、第1の通信サービスのセル10の内部に、一次利用ノードPn1及びPn2が位置している。このうち、一次利用ノードPn1は、セル10の内部に位置する端末装置(ユーザ機器(UE:User Equipment)ともいう)に第1の通信サービスを提供する基地局(PBS:Primary Base Station)である。第1の通信サービスは、例えば、デジタルTV放送サービス、衛星通信サービス、又は移動体通信サービスなどを含む任意の通信サービスであってよい。一方、一次利用ノードPn2は、第1の通信サービスの提供を受ける端末装置(PUE:Primary User Equipment)である。一次利用ノードPn1と一次利用ノードPn2及び図中の他の一次利用ノードは、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯を使用して無線信号を送受信することにより、一次システムを形成する。
また、図1Aには、セル10の内部に位置する複数の二次利用ノードSn1、Sn2、Sn3及びSn4も示されている。これら二次利用ノードは、所定のスペクトラムポリシー(周波数利用規定)に従って、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用して(即ち、当該周波数帯を二次利用して)第2の通信サービスを運用し、二次システムを形成する。第2の通信サービスは、例えば、IEEE802.11a/b/g/n/s、Zigbee、又はWiMediaなどの任意の無線通信プロトコルに従って実現される無線通信サービスであってよい。1つのセル内において複数の二次システムが形成されてもよく、図1Aの例では、セル10の内部の領域12a、領域12b、及び領域12cにおいてそれぞれ異なる二次システムが形成されている。なお、ここでは説明の明瞭さの観点から一次利用ノードと二次利用ノードとを分けて説明しているが、一次利用ノードの一部が二次利用ノードとして動作してもよい。
図1Aに示したように、第1の通信サービスのセル10の内部で第2の通信サービスが運用される場合、その第2の通信サービスのために送信される無線信号が第1の通信サービスに干渉するおそれがある。図1Aの例は、二次利用ノードSn1、Sn2及びSn3から送信された無線信号が一次利用ノードPn2から一次利用ノードPn1へ送信されたアップリンク信号に干渉する可能性を示している。この場合、一次利用ノードPn1は、アップリンク信号を正常に受信できず、又は受信できたとしても所望のサービス品質を得られないおそれがある。
図1Aと同様に、図1Bにおいても、第1の通信サービスのセル10の内部に、一次利用ノードPn1及びPn2が位置し、基地局である一次利用ノードPn1から端末装置である一次利用ノードPn2に第1の通信サービスが提供されている。また、第1の通信サービスのセル10の内部に、二次利用ノードSn1、Sn2、Sn3及びSn4が示されている。図1Bの例では、二次利用ノードSn1、Sn2、Sn3及びSn4から送信された無線信号が一次利用ノードPn1から一次利用ノードPn2へ送信されたダウンリンク信号に干渉する可能性を示している。この場合、一次利用ノードPn2は、ダウンリンク信号を正常に受信できず、又は受信できたとしてもやはり所望のサービス品質を得られないおそれがある。
周波数帯の二次利用によるこのような干渉を防ぎ、第1の通信サービスに通信品質の低下などの悪影響を与えないための1つの解決策は、二次利用ノードからの無線信号の送信に使用される送信電力を低くすることである。その反面、送信電力が低いと第2の通信サービスの通信容量が減少し通信品質も低下する。そのため、第1の通信サービスへの干渉を与えない範囲で、第2の通信サービスのための送信電力を可能な限り高めることが有益である。そこで、次に、周波数帯の二次利用による第1の通信サービスへの干渉と二次利用ノードにおいて使用される送信電力との間の関係について説明する。
[1−2.干渉制御モデルの説明]
二次利用により干渉を与える側の二次利用ノードと干渉を受ける側の一次利用ノード(以下、被干渉ノードという)との1対1の関係に着目した場合に、その干渉が当該被干渉ノードにおいて許容されるためには、次の関係式(1)が満たされている必要がある。なお、被干渉ノードとは、例えば、図1Aの一次利用ノードPn1又は図1Bの一次利用ノードPn2に相当し得る。
ここで、SINRrequiredは、被干渉ノードにおいて要求される最小のSINR(信号対干渉及び雑音比:Signal to Interference and Noise Ratio)を表す。SINRrequiredは、例えば、被干渉ノードの最小受信感度、又はQoS(Quality of Service)に応じて与えられる最小のSINRなどであってよい。また、Prx_primary,primaryは第1の通信サービスにおいて要求される無線信号の受信レベル、Prx_primary,secondaryは二次利用ノードから送信される無線信号の被干渉ノードにおける受信レベルをそれぞれ表す。また、Nprimaryは、被干渉ノードに適用され得る干渉又は雑音レベル(干渉レベル及び雑音レベルの一方又は双方を含む)を表す。
また、無線信号の受信レベルは、次の式(2)及び(3)に示したように、無線信号の送信電力と経路損失とにより表される。
ここで、Ptx_secondaryは二次利用ノードにおける無線信号の送信電力、Lpath_tx_secondaryは二次利用ノードから被干渉ノードまでの通信経路上の経路損失を表す。また、Ptx_primaryは第1の通信サービスにおける無線信号の送信電力、Lpath_tx_primaryは第1の通信サービスにおける無線信号の通信経路上の経路損失を表す。よって、上記関係式(1)は、次式のように変形される。
なお、式(1)、式(4)に含まれる干渉又は雑音レベルNprimaryは、一例として、ボルツマン定数k=1.38×10-23[J/K]、絶対温度T[K]、雑音指数(ノイズ・フィギュア)NF及び帯域BW[Hz]を用いて、次式のように計算され得る。
ここで、Iprimaryは、第1の通信サービスにおける隣接セル間干渉、並びにフェムトセル、小規模セル若しくはリレーノードがマクロセルにオーバレイされるようなヘテロジーニアス環境下におけるセル内の干渉、又は帯域外放射による干渉などを含み得る。また、無線信号の通信経路上の経路損失は通常は2つのノード間の距離dに依存し、一例として、次式のように計算され得る。
ここで、d0は参照距離、λはキャリア周波数の波長、nは伝播係数である。
次に、関係式(4)はさらに次式のように変形される。
この関係式(7)が充足されるように二次利用ノードの送信電力が制御されれば、少なくとも二次利用ノードと被干渉ノードとの局所的な1対1の関係においては、その干渉は被干渉ノードにおいて許容され得る。さらに、複数の二次利用ノードが存在する場合には、干渉源となる二次利用ノードの総数をnとすると、次の関係式を満たすことが求められる。
従って、第2の通信サービスにおいても可能な限り大きな通信容量又は高い通信品質を確保することを前提とすれば、全体として第2の通信サービスに許容される干渉電力レベルIacceptableは、次式で与えられる。
ここで、式(9)における右辺のパラメータ及び左辺の経路損失Lpath_tx_secondary,iの値は既知であるため、干渉電力レベルIacceptableに応じた送信電力Ptx_secondary,iのみが決定すべきパラメータとなる。式(9)は、二次システムが一次システムに与えることが許容される干渉電力の総和量を評価するための評価式であると理解されてもよい。
即ち、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯を二次利用する二次利用ノードは、個々の被干渉ノードに着目した場合に、送信電力が全体として式(9)を満たす範囲で、送信電力を制御することが望ましい。
[1−3.二次利用のためのチャネルの比較]
図2A〜図2Dは、第1の通信サービスに使用される通信方式及びチャネル方向に応じた、二次利用の際の干渉の影響について説明するための模式図である。
各図には、基地局である一次利用ノードPn1、並びにPUEである3つの一次利用ノードPn2、Pn3及びPn4が示されている。これら一次利用ノードPn1、Pn2、Pn3及びPn4は、図2A及び図2Bの例では、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多重アクセス)方式を使用して一次システムを形成する。その場合の一次システムは、例えば、WiMAX(登録商標)システム、LTE(Long Term Evolution)システム、又はLTE−A(LTE−Advanced)システムなどであってよい。また、一次利用ノードPn1、Pn2、Pn3及びPn4は、図2C及び図2Dの例では、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重アクセス)方式を使用して一次システムを形成する。その場合の一次システムは、例えば、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)又はW−CDMA(Wideband-CDMA)などであってよい。
また、各図には、二次利用ノードSn1も示されている。二次利用ノードSn1は、領域12d内に位置する他の二次利用ノードとの間で第2の通信サービスのための無線信号(二次信号(Secondary Signal))を送受信し、それにより一次利用ノードPn1、Pn2、Pn3及びPn4への干渉が生じ得る。その干渉の影響範囲は、以下に説明するように、二次利用の対象となる第1の通信サービスの通信方式及びチャネル方向に依存する。
まず、図2Aに関し、OFDMA方式のアップリンクチャネルが二次利用される場合、干渉は、一次システムのいずれか1つのPUEから基地局へのアップリンク信号についてのみ生じ得る。図2Aの例では、一次利用ノードPn2から一次利用ノード(基地局)Pn1へのアップリンク信号に、二次利用ノードSn1からの二次信号が干渉している。この場合、他のPUEからのアップリンク信号は、異なるリソースブロック(又は異なる周波数スロット若しくは時間スロット)に予め割当てられるため、二次信号の影響を受けない。
次に、図2Bに関し、OFDMA方式のダウンリンクチャネルが二次利用される場合、干渉は、一次システムの基地局から各PUEへのダウンリンク信号について生じ得る。図2Bの例では、一次利用ノード(基地局)Pn1から一次利用ノードPn2、Pn3及びPn4へのダウンリンク信号に、二次利用ノードSn1からの二次信号が干渉している。これは、ダウンリンク信号(例えば制御チャネルの信号)が、複数のPUEについて共通的なリソースブロック等を用いて送信され得るためである。
次に、図2Cに関し、CDMA方式のアップリンクチャネルが二次利用される場合、干渉は、一次システムの各PUEから基地局へのアップリンク信号について生じ得る。図2Cの例では、一次利用ノードPn2、Pn3及びPn4から一次利用ノード(基地局)Pn1へのアップリンク信号に、二次利用ノードSn1からの二次信号が干渉している。一般的に、CDMA方式においては、一次信号が各PUEに割当てられる拡散符号を用いて帯域全体に拡散され同時に送信されるため、このように複数のPUEからの一次信号に二次信号が干渉し得る。
次に、図2Dに関し、CDMA方式のダウンリンクチャネルが二次利用される場合、干渉は、一次システムの基地局から各PUEへのダウンリンク信号について生じ得る。図2Dの例では、一次利用ノード(基地局)Pn1から一次利用ノードPn2、Pn3及びPn4へのダウンリンク信号に、二次利用ノードSn1からの二次信号が干渉している。これは、ダウンリンク信号(例えば制御チャネルの信号)が、複数のPUEに共通的に受信され得ること、及びCDMA方式のアップリンクチャネルと同様に一次信号が帯域全体に拡散され同時に送信されることが原因である。
上述した4種類のチャネルを二次利用のために使用する場合の、干渉の影響範囲及び技術的要件を、表1にまとめる。
表1を参照すると、上で述べたように、干渉の影響範囲はOFDMA方式のアップリンクチャネルが最も小さい。即ち、OFDMA方式のアップリンクチャネルを二次利用する場合には、1つのUE(“a UE”)から基地局へのリンクに干渉が生じ得るのみであるのに対し、他のチャネルを二次利用する場合には、複数のUEに関連するリンクに干渉が生じ得る。機能要件の観点では、CDMA方式では一次信号のセンシングのために拡散符号を検知することが必要となるのに対し、OFDMA方式ではUL(Uplink)又はDL(Downlink)同期のみでよいため、OFDM方式の方が実現が容易である。さらに、最小受信感度は、例えばCDMA方式では−120dBm(UMTSの場合)であるのに対し、OFDMA方式では−90dBm(WiMAXの場合)であり、OFDMA方式の方が干渉を受け難いと言える。従って、周波数帯の二次利用に際しては、OFDMA方式を使用する第1の通信サービスの周波数帯のうち、特にアップリンクチャネルの周波数帯を二次利用するのが望ましいと言うことができる。そこで、本明細書で後述する一実施形態では、OFDMA方式のアップリンクチャネルを二次利用することを前提として説明を行う。但し、本発明は、OFDMA方式のダウンリンクチャネル、又はOFDMA方式以外の通信方式を使用するチャネルにも適用可能である。
[1−4.第2の通信サービス間の干渉の検討]
ここまで、周波数帯の二次利用が第1の通信サービスに与える干渉について説明した。次に、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯を二次利用する第2の通信サービスが複数存在する場合の、第2の通信サービス間の干渉について説明する。
図3A及び図3Bは、第2の通信サービス間の干渉について説明するための模式図である。このうち、図3Aは、隣接する異なるセルにおいてそれぞれ第2の通信サービスが運用される例を示している。一方、図3Bは、同一のセルにおいて2つの第2の通信サービスが運用される例を示している。
図3Aを参照すると、セル10dの内部に位置する基地局である一次利用ノードPn1d、及びセル10eの内部に位置する基地局である一次利用ノードPn1eが示されている。また、セル10dの内部には、二次利用ノードSn1d及びSn2d、並びに二次利用ノードSn2eが含まれる。セル10eの内部には、二次利用ノードSn1e及びSn2e、並びに二次利用ノードSn2dが含まれる。このうち、二次利用ノードSn1d及びSn2dは、領域12dの内部において第2の通信サービスを運用する。また、二次利用ノードSn1e及びSn2eは、領域12eの内部において第2の通信サービスを運用する。
ここで、第1の通信サービスが例えばOFDMA方式を使用する場合、典型的には、隣接セル間の干渉回避アルゴリズムにより、隣接セル間において使用されるチャネル周波数には異なる周波数が割当てられる。図3Aの例では、セル10dのアップリンクチャネル周波数はF1、セル10eのアップリンクチャネル周波数はF2である。そのため、OFDMA方式のアップリンクチャネルを二次利用の対象とする場合、二次利用ノードSn1dとSn2dとの間の通信に使用される周波数はF1、二次利用ノードSn1eとSn2eとの間の通信に使用される周波数はF2となる。その結果、図3Aの例では領域12dと領域12eとが互いに重複しているものの、重複した場所に位置する二次利用ノードSn2d及び二次利用ノードSn2eがそれぞれ送受信する二次信号は、互いに干渉(又は衝突)することがない。
一方、図3Bを参照すると、セル10dの内部に位置する基地局である一次利用ノードPn1dが示されている。また、セル10dの内部には、二次利用ノードSn1d及びSn2d、並びに二次利用ノードSn1f及びSn2fが含まれる。このうち、二次利用ノードSn1d及びSn2dは、領域12dの内部において第2の通信サービスを運用する。また、二次利用ノードSn1f及びSn2fは、領域12fの内部において第2の通信サービスを運用する。この場合、二次利用ノードSn1dとSn2dとの間の通信に使用される周波数、及び二次利用ノードSn1fとSn2fとの間の通信に使用される周波数は、共にF1である。その結果、領域12dと領域12fとが重複する場所に位置している二次利用ノードSn2d及び二次利用ノードSn2fにおいて、両者が送受信する二次信号が干渉(又は衝突)する可能性がある。
従って、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯のうち、例えばOFDMA方式のアップリンクチャネルを二次利用して第2の通信サービスを運用する場合、少なくとも同一セル内の他の第2の通信サービスの存在を考慮することが望ましいことが理解される。
[1−5.第2の通信サービス間の送信電力の分配]
上述した干渉制御モデルに従って第2の通信サービスの許容干渉電力を決定したとき、同一セル内に2以上の第2の通信サービスが存在する場合には、それら第2の通信サービスの間で、許容干渉電力に応じた送信電力をさらに分配する必要がある。例えば、複数の二次利用ノードがコーディネータとして周波数帯の二次利用を開始する場合には、各コーディネータが送信するビーコンの送信電力が全体として上記許容干渉電力を満たすように、それぞれの送信電力が制御されるべきである。また、第2の通信サービスに加入する二次利用ノードの間でさらに送信電力が分配されることも考えられる。そのような送信電力の分配の基準として、均等型、非均等型、及び与干渉マージン低減型の3つの基準を提案する。
(均等型)
均等型とは、上述した干渉制御モデルに従って決定した許容干渉電力に応じた送信電力を、2以上の第2の通信サービスに均等に割当てる分配基準である。均等型の分配基準では、n個の第2の通信サービスのうちi番目(i=1,…,n)の第2の通信サービスに割当てられる送信電力の値Ptx_secondary,iは、次式に従って導かれる。
式(10)の右辺は、式(9)の右辺を経路損失Lpath_tx_secondary,iに基づく係数Kで割ったものである。このような送信電力の分配基準によれば、個々の第2の通信サービスのコーディネータに均等に通信機会を与えることができるため、ユーザの視点からはサービスとして公平かつ明瞭である。但し、二次利用ノードが一次利用ノードへ与える個々の干渉レベルは不均一となる。なお、送信電力を第2の通信サービスに加入する二次利用ノードの間で分配する場合には、係数のKの決定におけるnの値は、第2の通信サービスの総数の代わりに、第2の通信サービスに加入する二次利用ノードの総数であってよい。
(非均等型)
非均等型とは、上述した干渉制御モデルに従って決定した許容干渉電力に応じた送信電力を、2以上の第2の通信サービスに非均等に割当てる分配基準である。非均等型の分配基準では、送信電力の値Ptx_secondary,iは、二次利用ノードと被干渉ノードとの間の距離に依存し、次式に従って導かれる。
式(11)の右辺は、式(9)の右辺を第2の通信サービスの総数nで割った値を、さらに経路損失の総和に対する個々の二次利用ノードについての経路損失の割合で重み付けしたものである。このような送信電力の分配基準によれば、被干渉ノードまでの距離が遠い二次利用ノードほど、多くの通信機会又は通信距離を得ることができる。それにより、全体としての通信範囲も最大化され得る。
(与干渉マージン低減型)
与干渉マージン低減型とは、干渉源となる二次利用ノードの数を余剰数を含むように見積もることで、一次利用ノードに干渉を与えるリスクをさらに低減させる(即ち、“干渉マージン”を設ける)分配基準である。与干渉マージン低減型の分配基準では、送信電力の値Ptx_secondary,iは、次式に従って導かれる。
式(12)のNestimationは、干渉源となる二次利用ノードの総数を余剰数を含むように見積もった値を表す。例えば、Nestimationの値を、干渉源となる二次利用ノードの総数が10個であれば送信電力が10[dB]減少し、100個であれば送信電力が20[dB]減少するように設定することができる。
このような3つの送信電力分配基準の特徴を、表2にまとめる。
なお、送信電力を分配するノードは、上述した3つの送信電力分配基準のうち、予め選択した1つの基準に従って送信電力を分配してもよい。その代わりに、送信電力を分配するノードは、全ての二次利用ノード(若しくは優先度の高い二次利用ノード)に与えられる通信容量の合計、又は確立される二次リンクの総数などの評価値が結果的に最大となる基準を適応的に選択して送信電力を分配してもよい。
[1−6.二次利用という用語の範囲]
ここで、本明細書において、“二次利用”という用語は、典型的には、上述したように、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用して追加的あるいは代替的な通信サービス(第2の通信サービス)を利用することをいう。そして、“二次利用”という用語の意味において、第1の通信サービスと第2の通信サービスとは、異なる種類の通信サービスであってもよく、又は同一の種類の通信サービスであってもよい。異なる種類の通信サービスとは、例えば、デジタルTV放送サービス、衛星通信サービス、移動体通信サービス、無線LANアクセスサービス、又はP2P(Peer To Peer)接続サービスなどの任意の通信サービスから選択し得る2以上の異なる種類の通信サービスをいう。一方、同一の種類の通信サービスとは、例えば、移動体通信サービスにおける、通信事業者により提供されるマクロセルによるサービスと、ユーザ又はMVNO(Mobile Virtual Network Operator)により運用されるフェムトセルによるサービスとの間の関係を含み得る。また、同一の種類の通信サービスとは、WiMAX、LTE(Long Term Evolution)又はLTE−A(LTE−Advanced)などに準拠した通信サービスにおける、基地局により提供されるサービスと、スペクトラムホールをカバーするために中継局(リレーノード)により提供されるサービスとの間の関係をも含み得る。さらに、第2の通信サービスは、スペクトラムアグリゲーション技術を用いて集約された複数の断片的な周波数帯を利用するものであってもよい。さらに、第2の通信サービスは、基地局により提供されるサービスエリア内に存在する、フェムトセル群、中継局群、基地局よりも小さなサービスエリアを提供する中小基地局群により提供される補助的な通信サービスであってもよい。本明細書において説明する本発明の各実施形態の要旨は、このようなあらゆる種類の二次利用の形態に広く適用可能なものである。
ここまで、提案する干渉制御モデルについて説明すると共に、関連する技術的な検討事項についてその要点を順に述べた。次に、これらに基づいて、周波数帯の二次利用に際しての送信電力制御の適応性を向上させて一次システムに与える干渉を抑制するための、送信電力制御方法の3つの実施形態について説明する。
<2.第1の実施形態>
[2−1.通信システムの概要]
図4は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムの概要について説明するための説明図である。
図4を参照すると、第1の通信サービスが運用される一次システム102、並びにそれぞれ第2の通信サービスが運用される二次システム202a及び202bが示されている。このうち、一次システム102は、管理ノード100及び複数の一次利用ノード104を含む。
管理ノード100は、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の二次利用を管理する役割を有する一次利用ノードである。図4の例では、管理ノード100として基地局を示しているが、管理ノード100は、かかる例に限定されない。即ち、管理ノード100は、基地局以外の一次利用ノードであってもよく、又は基地局と有線若しくは無線で接続される他のノード(例えばデータサーバなど)であってもよい。本実施形態において、管理ノード100は、一次システム102に含まれる一次利用ノードの位置を表す位置データを保持しているデータベース106にアクセスすることができる。
一次利用ノード104は、一次システム102において、第1の通信サービスのための無線信号を送受信するノードである。一次利用ノード104が一次システム102に加入すると、その位置を表す位置データがデータベース106に登録される。
データベース106は、典型的には、地理位置情報データベースとして実装される。本実施形態において、データベース106は、管理ノード100からの要求に応じて、一次利用ノードごとの位置データを管理ノード100へ出力する。なお、データベース106は、管理ノード100と一体に構成されてもよく、又は管理ノード100とは別体の装置として構成されてもよい。
一方、二次システム202aは、端末装置200a及び複数の二次利用ノード204aを含む。同様に、二次システム202bは、端末装置200b及び複数の二次利用ノード204bを含む。
端末装置200a及び200bは、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の二次利用を開始するために動作するコーディネータ(SSC:Secondary Spectrum Coordinator)の役割を有する二次利用ノードである。即ち、端末装置200a及び200bは、それぞれ、所定のスペクトラムポリシーに従って二次利用の可否を判断し、管理ノード100から送信電力の割当てを受けて、二次利用ノード204a又は204bと共に第2の通信サービスを開始する。端末装置200a及び200bは、例えば、コグニティブ無線のためのエンジン(CE:Cognitive Engine)として動作してもよい。
二次利用ノード204a及び204bは、二次システム202a及び202bにおいてそれぞれ第2の通信サービスのための無線信号を送受信するノードである。
なお、本明細書の以降の説明においては、特に端末装置200aと200bとを相互に区別する必要がない場合には、符号の末尾のアルファベットを省略して端末装置200と総称する。また、二次システム202aと202b(二次システム202)、二次利用ノード204aと204b(二次利用ノード204)についても同様とする。
[2−2.管理ノードの構成例]
(各機能ブロックの説明)
図5は、図4に示した管理ノード100の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図5を参照すると、管理ノード100は、通信部110、データベース入出力部120、記憶部130、及び制御部140を備える。
通信部110は、第1の通信サービスの所定の通信方式に従い、アンテナ、RF回路、及びベースバンド回路等を含み得る通信インタフェースを用いて、一次利用ノード104との間で無線信号を送受信する。また、通信部110は、後にさらに説明するように、端末装置200から当該端末装置200の位置データを受信し、受信した位置データを制御部140へ出力する。
データベース入出力部120は、制御部140によるデータベース106へのアクセスを仲介する。即ち、データベース入出力部120は、制御部140からの要求に応じて一次利用ノード104の位置を表す位置データをデータベース106から取得し、取得した位置データを制御部140へ出力する。また、データベース入出力部120は、新たに一次システム102に加入した一次利用ノード104から通信部110を介して位置データが受信されると、その位置データをデータベース106に登録する。さらに、データベース入出力部120は、外部装置からの問い合わせに応じてデータベース106に記憶されている位置データを取得して出力してもよい。
記憶部130は、例えばハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体を用いて、管理ノード100の各部の動作のために使用されるプログラム及びデータを記憶している。さらに、本実施形態において、記憶部130は、上述した干渉制御モデルに従った送信電力の計算に必要とされる各種パラメータを記憶する。記憶部130に記憶されるパラメータには、例えば、第1の通信サービスにおいて要求される無線信号の品質に関するパラメータ(例えば、要求される無線信号の受信レベル、及び信号対干渉及び雑音比)、及び第1の通信サービスにおける干渉又は雑音レベルに関するパラメータが含まれ得る。なお、これらパラメータの値は、動的に更新されてもよい。例えば、要求される無線信号の品質の値は、一次利用ノードに提供されるべきアプリケーションの種類などに応じて動的に更新され得る。また、例えば、干渉又は雑音レベルの値は、通信部110を介したセンシングにより動的に更新され得る。
制御部140は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの制御装置を用いて、管理ノード100の機能全般を制御する。また、本実施形態において、制御部140は、端末装置200が第1の通信サービスに割当てられた周波数帯を二次利用する場合に、上述した干渉制御モデルに従って第2の通信サービスに許容する送信電力を決定する。制御部140が行う送信電力決定処理については、後により具体的に説明する。さらに、制御部140は、2以上の第2の通信サービスが存在する場合には、決定した送信電力を当該2以上の第2の通信サービスに分配する。制御部140が行う送信電力分配処理については、後により具体的に説明する。そして制御部140は、決定し又は分配した送信電力値を通信部110を介して各端末装置200に通知する。
(送信電力決定処理の流れ)
図6は、管理ノード100の制御部140により第2の通信サービスに許容する送信電力を決定するための送信電力決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6を参照すると、まず、制御部140は、通信部110を介して、端末装置200から当該端末装置200の位置データを受信する(ステップS102)。本明細書において、位置データとは、例えば、GPS機能を用いて測定される緯度及び経度の値、又は到来方向推定アルゴリズムなどを応用して測定される所定の基準点を原点とした座標値などを含んでよい。また、制御部140は、端末装置200の位置データだけではなく、各二次利用ノード204の位置データを端末装置200から受信してもよい。
次に、制御部140は、データベース入出力部120を介して、データベース106から一次利用ノードの位置データを取得する。また、制御部140は、記憶部130から必要なパラメータを取得する(ステップS104)。なお、図2Aに示した例のように、OFDMA方式のアップリンクチャネルが二次利用される場合には、被干渉ノードは基地局のみである。そのため、かかる場合には、ステップS104において、制御部140は、一次利用ノードの位置データとして基地局である管理ノード100の位置データのみを取得すればよい。また、ステップS104における必要なパラメータとは、例えば、上述した第1の通信サービスにおいて要求される無線信号の品質、及び第1の通信サービスにおける干渉若しくは雑音レベル(又はこれらレベルを計算するためのパラメータ)などに相当する。
次に、制御部140は、ステップS102において受信し、ステップS104において取得した位置データ及びパラメータに基づいて、第2の通信サービスに許容される干渉電力を決定する(ステップS106)。より具体的には、制御部140は、例えば、上述した干渉制御モデルにおける式(9)に従って、第2の通信サービスに許容される干渉電力を決定することができる。その際、例えば、第1の通信サービスにおいて要求される無線信号の品質は、式(9)のPrx_primary,primary/SINRrequiredの項に対応する。また、干渉又は雑音レベルは式(9)のNPrimaryの項に対応する。さらに、式(9)の経路損失Lpath_tx_secondary,iの値は、一次利用ノードの位置データ及び各端末装置200の位置データから導かれる距離dを用いて、式(6)に従ってそれぞれ算出され得る。なお、制御部140は、例えば、個々の経路損失Lpath_tx_secondary,iの値を位置データから算出する代わりに、ステップS102において各端末装置200から個々の経路損失Lpath_tx_secondary,iの値を受信してもよい。経路損失Lpath_tx_secondary,iの値は、例えば、基地局からのダウンリンク信号の送信電力値と各端末装置200における当該ダウンリンク信号の受信レベルとの差として計算され得る。
次に、制御部140は、送信電力の値を分配する必要があるか否かを判定する(ステップS108)。例えば、図4に例示したように、2以上の端末装置200により二次利用が行われる場合には、制御部140は、送信電力の値を当該2以上の端末装置200の間で分配する必要があると判定される。その場合、処理はステップS110へ移動し、制御部140により送信電力分配処理が行われる(ステップS110)。一方、例えば二次利用を行う端末装置200が1つのみ存在し、送信電力の値を分配する必要がない場合には、ステップS110はスキップされ得る。
そして、制御部140は、決定され又は分配された送信電力の値を、通信部110を介して各端末装置200へ通知する(ステップ112)。なお、このとき、制御部140は、周波数帯の二次利用に際して二次利用ノードが順守すべきポリシー(例えば送信スペクトラムマスク、変調方法など)などの追加情報を、送信電力の値と共に各端末装置200へ通知してもよい。その後、端末装置200と各二次利用ノード204との間で、第2の通信サービスが開始され得る。
(送信電力分配処理の流れ)
図7は、2以上の端末装置200が存在する場合、即ち、同一のセル内で2以上の第2の通信サービスが運用される場合の、管理ノード100の制御部140による送信電力分配処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7を参照すると、まず、制御部140は、図6のステップS106において決定された許容される干渉電力に応じた送信電力を、第1の基準に従って分配する(ステップS202)。次に、制御部140は、ステップS202と同じ干渉電力に応じた送信電力を、第2の基準に従って分配する(ステップS204)。ここでの第1の基準及び第2の基準は、例えば、それぞれ上述した均等型の送信電力分配基準及び非均等型の送信電力分配基準であってよい。
次に、制御部140は、第1の基準に従って分配された送信電力、及び第2の基準に従って分配された送信電力を、所定の評価条件により評価する(ステップS206)。所定の評価条件とは、例えば、結果的に全ての端末装置200に与えられる合計通信容量であってもよい。その場合、合計通信容量Cは、次式に従って評価され得る。
ここで、Ptx_secondary,iはi番目の端末装置200に分配された送信電力、Niはi番目の端末装置200の雑音レベルを表す。
また、制御部140は、式(13)において、n個の端末装置200のうち、優先度が高い端末装置200のみを通信容量の集計の対象としてもよい。ここでの優先度とは、例えば、第2の通信サービスの種類又は内容などによって与えられ得る。例えば、動画配信又は通信型のゲームなど、低遅延が要求されるサービスについて高い優先度が定義されてもよい。また、一定のサービス品質が保証されるようにサービス料が高く設定されたサービスについて高い優先度が定義されてもよい。そして、当該優先度は、例えば、図6のステップS102において、端末装置200の位置データと共に受信され得る。
また、制御部140は、ステップS206において、式(13)のような通信容量の代わりに、分配された送信電力を使用して確立することのできる第2の通信サービスのリンクの総数を評価してもよい。その場合、まず、各端末装置200に分配された送信電力に応じて、通信を希望する個々の二次利用ノードのペアが通信を確立することができるか否かが判定される。そして、通信を確立することができると判定されたリンクの数が、第2の通信サービスのリンクの総数として集計され得る。
次に、制御部140は、ステップS206で評価した通信容量又はリンク総数を比較することにより、第1の基準と第2の基準のいずれが適しているかを判定する(ステップS208)。例えば、第1の基準に従って分配した送信電力の方が、第2の基準に従って分配した送信電力よりも多くの通信容量を達成できる場合には、第1の基準の方が適していると判定され得る。また、第2の基準に従って分配した送信電力の方が、第1の基準に従って分配した送信電力よりも多くの通信容量を達成できる場合には、第2の基準の方が適していると判定され得る。ここで、第1の基準の方が適していると判定された場合には、処理はステップS210へ進む。一方、第2の基準の方が適していると判定された場合には、処理はステップS212へ進む。
ステップS210では、より適していると判定された第1の基準に従って分配された送信電力が、各端末装置200に割当てられる(ステップS210)。一方、ステップS212では、より適していると判定された第2の基準に従って分配された送信電力が、各端末装置200に割当てられる(ステップS212)。そして、図7に示した送信電力分配処理は終了する。
なお、ここでは、特に均等型と非均等型とに相当し得る第1の基準と第2の基準とを、通信容量又は確立できるリンク数の観点で評価する例について説明した。しかしながら、かかる例に限定されず、例えば、均等型及び非均等型以外の送信電力分配基準が採用されてもよい。また、3つ以上の送信電力分配基準について評価がなされてもよい。
[2−3.端末装置の構成例]
(各機能ブロックの説明)
図8は、図4に示した端末装置200の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図8を参照すると、端末装置200は、第1通信部210、第2通信部220、記憶部230、及び制御部240を備える。本実施形態において、端末装置200は、第1通信部210を介して管理ノード100との間で通信できると共に、第2通信部220を介して第2の通信サービスのための無線信号を送受信することができる。
第1通信部210は、所定の通信方式に従い、管理ノード100との間で通信を行う。第1通信部210と管理ノード100との間の通信に使用されるチャネルは、例えば、制御用チャネルであるコグニティブパイロットチャネル(CPC)などであってもよい。CPCは、例えば、既存の通信システム(例えば一次システム102)においてCPC情報が外挿されるインバンドCPC、又はCPC情報が内挿される専用のチャネルであるアウトバンドCPCを含み得る。
例えば、第1通信部210は、周波数帯の二次利用の開始等の指示(ユーザによる指示操作又は他のノードからの要求)に応じて、自装置の位置を表す位置データを管理ノード100へ送信する。その後、第1通信部210は、上述した手法に従って決定された許容送信電力の値を管理ノード100から受信し、制御部240へ出力する。
第2通信部220は、所定の通信方式に従い、二次利用ノード204との間で無線信号を送受信する。例えば、端末装置200が第2の通信サービスのコーディネータとして動作する場合には、第2通信部220は、まず、第1の通信サービスの無線信号をセンシングし、アップリンクチャネルの同期を獲得する。そして、第2通信部220は、同期を獲得した当該アップリンクチャネルを使用して、周囲の二次利用ノード204へ定期的にビーコンを送信する。このとき、第2通信部220により使用される送信電力は、制御部240からの制御を受けて、一次利用ノードへ実質的な干渉を与えない範囲内に制限される。
なお、第1通信部210と管理ノード100との間の通信リンクが無線リンクである場合には、第1通信部210及び第2通信部220は、アンテナ、RF回路、及びベースバンド回路等を含み得る物理的に同一の通信インタフェースを共用してもよい。第1通信部210と管理ノード100との間の通信リンクは、バックホールリンクと呼ばれる場合がある。
記憶部230は、例えばハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体を用いて、端末装置200の各部の動作のために使用されるプログラム及びデータを記憶している。さらに、本実施形態において、記憶部230は、第2の通信サービスの運用及び送信電力の制御のための各種パラメータを記憶する。記憶部230に記憶されるパラメータには、例えば、自装置(及び、必要に応じて第2の通信サービスに加入する他の二次利用ノード)の位置データ、並びに管理ノード100から通知された許容送信電力、スペクトラムマスク、及び変調方法などが含まれ得る。
制御部240は、例えばCPUなどの制御装置を用いて、端末装置200の機能全般を制御する。例えば、本実施形態において、制御部240は、第2通信部220により無線信号の送信に使用される送信電力の値を、管理ノード100から通知された許容送信電力の範囲内に制御する。
(送信電力制御処理の流れ)
図9は、端末装置200による送信電力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9において、例えば二次利用の開始の指示が検知されると、第1通信部210は、管理ノード100へ端末装置200の位置データを送信する(ステップS302)。このとき、端末装置200の位置データだけではなく、他の二次利用ノード204の位置データが管理ノード100へ送信されてもよい。
次に、第1通信部210は、上述した干渉制御モデルに従って決定された許容送信電力の値を、管理ノード100から受信する(S304)。このとき、例えば、許容送信電力に加えて、例えば送信スペクトラムマスク及び変調方法などの追加情報も共に受信され得る。
そして、制御部240は、ステップS304において受信された許容送信電力の範囲内に第2通信部220に使用される送信電力を制御しながら、第2の通信サービスを開始する(ステップS306)。なお、第2の通信サービスを開始する際、制御部240は、例えば、端末装置200から周囲の二次利用ノードへ送信されるビーコンに、当該第2の通信サービスに割当てられた上記許容送信電力の値を含めてもよい。そうすることにより、第2の通信サービスに加入する二次利用ノードも、一次利用ノードへ実質的な干渉を与えないように自ら使用する送信電力を適応させることができる。
[2−4.第1の実施形態のまとめ]
ここまで、図4〜図9を用いて、本発明の第1の実施形態について説明した。本実施形態によれば、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯を二次利用する第2の通信サービスに割当てられる送信電力が、上述した干渉制御モデルに従って決定される許容干渉電力に応じて、データベース106にアクセス可能な一次利用ノードである管理ノード100により決定される。そして、決定された送信電力は、管理ノード100から、第2の通信サービスのコーディネータの役割を有する二次利用ノードである端末装置200へ通知される。それにより、端末装置200は、第2の通信サービスに使用する送信電力を、一次システム102に与える干渉が許容される範囲内となるように抑制しながら、適応的に制御することができる。
また、上述した干渉制御モデルによれば、送信電力は、第1の通信サービスにおいて要求される無線信号の品質、第1の通信サービスにおける干渉又は雑音レベル、及び1以上の二次利用ノードについての通信経路上の経路損失に基づいて、被干渉ノードにおける干渉が許容される範囲内となるように決定される。それにより、一部の一次利用ノードにおいて局所的に一次信号の受信が困難となるリスクをなくす(又は少なくとも緩和する)ことができる。
また、上記通信経路上の経路損失は、一次利用ノードの位置と二次利用ノードの位置とに基づいて、動的に計算され得る。それにより、端末装置200の位置が変化した場合でも、被干渉ノードにおける干渉が許容される範囲内となるように適応的に送信電力を決定することができる。
さらに、本実施形態によれば、2以上の第2の通信サービスが運用される場合には、上述した干渉制御モデルに従って決定された許容干渉電力に応じた送信電力は、第1の基準と第2の基準のうちより適切な基準に従って各第2の通信サービスに分配される。第1の基準と第2の基準とは、例えば、上述した均等型の分配基準と非均等型の分配基準であってよい。このうち、均等型の分配基準によれば、ユーザの視点から公平かつ明瞭な形で通信機会(通信容量又は通信リンク数など)を分配することができる。また、非均等型の分配基準によれば、被干渉ノードとの距離が遠い二次利用ノードに高い送信電力が割当てられるため、全体としての通信範囲が最大化されるように送信電力を分配することができる。さらに、干渉マージン低減型の分配基準によれば、一次利用ノードに干渉を与えるリスクをより低減することができる。
また、第1の基準と第2の基準のうちより適切な上記基準とは、例えば、分配された送信電力を使用して結果的に達成される合計通信容量がより多い基準であってもよい。その場合、周波数帯の二次利用により有効活用される通信容量を最大化することができる。
また、第1の基準と第2の基準のうちより適切な上記基準とは、例えば、分配された送信電力を使用して結果的に達成される通信容量のうち、優先度の高い第2の通信サービスに係る合計通信容量がより多い基準であってもよい。その場合、特に、個々のアプリケーションの要求、又はユーザにより合意されたQoSの要件などが充足されるように、周波数帯の二次利用による通信容量を選択的に高めることができる。
また、第1の基準と第2の基準のうちより適切な上記基準とは、例えば、分配された送信電力を使用して結果的に確立することのできるリンク数がより多い基準であってもよい。その場合、周波数帯の二次利用により通信機会を得ることのできるユーザ数を最大化することができる。
なお、本実施形態では、第2の通信サービスの開始の際に当該第2の通信サービスにおいて使用される送信電力が制御される例について説明した。しかしながら、第2の通信サービスの開始の後、例えば二次利用ノードが移動した場合又は二次利用ノードの数が変化した場合などに、図6、図7及び図9に示した各処理が実行されてもよい。
また、本実施形態では、第1の通信サービスのアップリンクチャネルが二次利用される場合、即ち、第1の通信サービスの基地局のみを被干渉ノードとして考慮すればよい例について説明した。しかしながら、被干渉ノードが複数存在する場合にも本発明が適用可能であることは言うまでもない。
<3.第2の実施形態>
本発明の第1の実施形態では、第2の通信サービスに割当てられる送信電力は、一次利用ノードの位置データを保持するデータベースにアクセス可能な一次利用ノード(管理ノード)により決定された。これは、二次利用を行う端末装置(UE)の視点からは受動的な手法である。これに対し、二次利用を行う端末装置が必要なパラメータを取得し、第2の通信サービスのために許容される送信電力を能動的に決定することもできる。そこで、本節では、本発明の第2の実施形態として、二次利用を行う端末装置が能動的に許容される送信電力を決定する例について説明する。
[3−1.通信システムの概要]
図10は、本発明の第2の実施形態に係る通信システムの概要について説明するための説明図である。
図10を参照すると、第1の通信サービスが運用される一次システム302、並びにそれぞれ第2の通信サービスが運用される二次システム402a及び402bが示されている。このうち、一次システム302は、管理ノード300及び複数の一次利用ノード104を含む。
管理ノード300は、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の二次利用を管理する役割を有する一次利用ノードである。図10の例では、管理ノード300として基地局を示しているが、管理ノード300は、かかる例に限定されない。本実施形態において、管理ノード300は、一次システム302に含まれる一次利用ノードの位置を表す位置データを保持しているデータベース106にアクセスすることができる。
一方、二次システム402aは、端末装置400a及び複数の二次利用ノード204aを含む。同様に、二次システム402bは、端末装置400b及び複数の二次利用ノード204bを含む。
端末装置400(400a及び400b)は、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の二次利用を開始するために動作するコーディネータ(SSC)の役割を有する二次利用ノードである。即ち、端末装置400は、それぞれ、所定のスペクトラムポリシーに従って二次利用の可否を判断し、管理ノード100から必要なパラメータを取得して許容される送信電力を決定した後、二次利用ノード204と共に第2の通信サービスを開始する。端末装置400は、例えば、コグニティブ無線のためのエンジン(CE)として動作してもよい。
[3−2.管理ノードの構成例]
図11は、図10に示した管理ノード300の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図11を参照すると、管理ノード300は、通信部310、データベース入出力部120、記憶部130、及び制御部340を備える。
通信部310は、第1の通信サービスの所定の通信方式に従い、アンテナ、RF回路、及びベースバンド回路等を含み得る通信インタフェースを用いて、一次利用ノード104との間で無線信号を送受信する。また、通信部310は、後にさらに説明するように、データベース106に記憶されている一次利用ノード104の位置データ、及びデータベース106又は記憶部130に記憶されている送信電力の決定に使用されるパラメータを、端末装置400へ送信する。
制御部340は、例えばCPUなどの制御装置を用いて、管理ノード300の機能全般を制御する。また、本実施形態において、制御部340は、端末装置400が上述した干渉制御モデルに従って許容送信電力を決定する際に使用する上記位置データ及びパラメータを、通信部310(又は他のバックホールリンク)を介して端末装置400へ送信させる。位置データ及びパラメータの送信は、例えば、CPCなどの所定のチャネルを使用して定期的に行われてもよい。その代わりに、位置データ及びパラメータの送信は、例えば、端末装置400からの送信要求への応答として行われてもよい。
[3−3.端末装置の構成例]
(各機能ブロックの説明)
図12は、図10に示した端末装置400の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図12を参照すると、端末装置400は、第1通信部410、第2通信部220、記憶部430、及び制御部440を備える。
第1通信部410は、所定の通信方式に従い、管理ノード300から送信される上記データ及びパラメータを含む無線信号を受信する。第1通信部410と管理ノード300との間の通信に使用されるチャネルは、制御用のチャネルである上述したCPCなどであってもよい。
より具体的には、第1通信部410は、例えば周波数帯の二次利用の開始等の指示に応じて、管理ノード300から送信電力の決定に使用されるデータ及びパラメータの受信を試みる。送信電力の決定に使用されるデータ及びパラメータには、例えば、被干渉ノードの位置データ、並びに第1の通信サービスにおいて要求される無線信号の品質、及び第1の通信サービスにおける干渉又は雑音レベルなどが含まれ得る。また、送信電力の決定に使用されるデータには、他の二次利用ノードの位置を表す位置データが含まれていてもよい。そして、第1通信部410は、これらデータ及びパラメータを管理ノード300から受信すると、受信した当該データ及びパラメータを制御部440へ出力する。また、第1通信部410は、信号の受信環境が良好でないなどの理由で必要なデータ及びパラメータを受信できない場合には、その旨を制御部440へ通知する。
記憶部430は、例えばハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体を用いて、端末装置400の各部の動作のために使用されるプログラム及びデータを記憶している。さらに、本実施形態において、記憶部430は、第2の通信サービスのための送信電力の決定及び送信電力の制御のための各種パラメータを記憶する。記憶部430に記憶されるパラメータには、例えば、自装置(及び、必要に応じて第2の通信サービスに加入する他の二次利用ノード)の位置データ、並びに管理ノード300から第1通信部410を介して受信される上記パラメータなどが含まれ得る。
制御部440は、例えばCPUなどの制御装置を用いて、端末装置400の機能全般を制御する。例えば、本実施形態において、制御部440は、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯を二次利用する場合に、上述した干渉制御モデルに従って決定される許容干渉電力に応じて第2の通信サービスのための許容送信電力を決定する。その際、制御部440は、管理ノード300からの無線信号を受信できず一次利用ノードの最新の位置データ及び必要なパラメータを取得できない場合には、一次利用ノードに干渉を与える可能性を低減するためのマージンを算入して許容送信電力を決定する。ここでの送信電力決定処理については、後により具体的に説明する。そして、制御部440は、第2通信部220により無線信号の送信に使用される送信電力の値を、決定した許容送信電力の範囲内に制御する。
(送信電力決定処理の流れ)
図13は、制御部440が第2の通信サービスに許容される送信電力を決定するための送信電力決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13を参照すると、まず、制御部440は、通信部410を介して管理ノード300から無線信号を受信することが可能か否かを判定する(ステップ402)。ここで、管理ノード300からの無線信号を受信できる場合には、処理はステップS404へ進む。一方、管理ノード300からの無線信号を受信できない場合には、処理はステップS408へ進む。
ステップS404では、制御部440は、通信部410を介して管理ノード300から受信された被干渉ノードとなる一次利用ノードの位置データを取得する。また、制御部440は、同様に管理ノード300から受信されたパラメータを取得する(ステップS404)。なお、図2Aに示した例のように、OFDMA方式のアップリンクチャネルが二次利用される場合には、被干渉ノードは基地局のみである。そのため、かかる場合には、制御部440は、一次利用ノードの位置データとして基地局である管理ノード300の位置データのみを取得すればよい。また、ステップS404における必要なパラメータとは、例えば、上述した第1の通信サービスにおいて要求される無線信号の品質、及び第1の通信サービスにおける干渉若しくは雑音レベル(又はこれらレベルを計算するためのパラメータ)などに相当する。
次に、制御部440は、ステップS404において受信された位置データ及びパラメータに基づいて、第2の通信サービスに許容される干渉電力に応じた送信電力を決定する(ステップS406)。より具体的には、制御部440は、例えば、上述した干渉制御モデルにおける式(9)に従って、第2の通信サービスに許容される干渉電力に応じた送信電力を決定することができる。その際、例えば、第1の通信サービスにおいて要求される無線信号の品質は、式(9)のPrx_primary,primary/SINRrequiredの項に対応する。また、干渉又は雑音レベルは式(9)のNPrimaryの項に対応する。さらに、式(9)の経路損失Lpath_tx_secondary,iの値は、一次利用ノードの位置データ及び端末装置400の位置データから導かれる距離dを用いて、式(6)に従って算出され得る。なお、制御部440は、例えば、経路損失Lpath_tx_secondary,iの値を位置データから算出する代わりに、経路損失Lpath_tx_secondary,iの値を基地局からのダウンリンク信号の送信電力値と当該ダウンリンク信号の受信レベルとの差として計算してもよい。さらに、制御部440は、他の第2の通信サービスが存在している場合には、均等型の式(10)、又は非均等型の式(11)に従って、送信電力を分配してもよい。
一方、管理ノード300からの無線信号を受信できない場合には、ステップS408において、制御部440は、送信電力を決定するための位置データ及びパラメータを記憶部430から取得する(ステップS408)。例えば、制御部440は、管理ノード300との間の通信が可能となった時に第1通信部を介して被干渉ノードの位置データ及び必要なパラメータを受信し、それらを後の使用のために記憶部430に記憶させておくことができる。また、例えば、二次利用の対象とする第1の通信サービスの種類が予めいくつかの候補に限定されている場合には、当該第1の通信サービスにおいて要求される無線信号の品質などを表すパラメータを既定値として記憶部430に記憶させておいてもよい。
次に、制御部440は、ステップS408において取得された位置データ及びパラメータに基づいて、第2の通信サービスに許容される干渉電力に応じた送信電力を決定する(ステップS410)。但し、この場合、送信電力の決定に使用できるパラメータは、最新のものではない可能性がある。そのため、制御部440は、一次利用ノードに干渉を与える可能性を低減するために、送信電力の値に所定のマージンを算入する。より具体的には、制御部440は、例えば、上述した与干渉マージン低減型の式(12)に従って送信電力を決定することができる。式(12)におけるNestimaionの値は、例えば、第2の通信サービスへの加入が見込まれる二次利用ノード204の数に応じて、余剰数を含むように決定される。
その後、制御部440による送信電力決定処理は終了する。そして、端末装置400と各二次利用ノード204との間で、決定された許容送信電力の範囲内の電力レベルを使用しながら、第2の通信サービスが開始される。
[3−4.第2の実施形態のまとめ]
ここまで、図10〜図13を用いて、本発明の第2の実施形態について説明した。本実施形態によれば、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯を二次利用する第2の通信サービスにおいて許容される送信電力が、上述した干渉制御モデルに従い、第2の通信サービスのコーディネータの役割を有する端末装置400により決定される。それにより、端末装置400は、第2の通信サービスに使用する送信電力を能動的に決定した上で、一次システム302に与える干渉を抑制しながら送信電力を制御することができる。
また、端末装置400が管理ノード300からの無線信号を受信できず一次利用ノードの最新の位置データを取得できない場合には、送信電力の範囲は、一次利用ノードに干渉を与える可能性を低減するためのマージンを算入して決定される。それにより、端末装置400がシャドウイング(遮蔽)又はフェージングなどの影響により信号の受信状況が比較的良好でない領域に位置している場合であっても、端末装置400は、自律的かつ安全に周波数帯の二次利用を開始することができる。
また、上述した与干渉マージン低減型の手法によれば、上記マージンは、二次利用ノードの実際の数ではなく、余剰数を含めて見積もられた想定の値に応じて決定される。それにより、第2の通信サービスに加入する二次利用ノードが予測される範囲内で増加した場合にも、第1の通信サービスの品質が低下することが防がれる。
<4.第3の実施形態>
第1の実施形態では、周波数帯の二次利用を行う端末装置の視点から見て受動的な手法で、二次利用のために許容される送信電力が管理ノードにより決定された。また、第2の実施形態では、周波数帯の二次利用を行う端末装置の視点から見て能動的な手法で、二次利用のために許容される送信電力が二次利用のコーディネータの役割を有する端末装置により決定された。これらいずれかの手法で決定された許容送信電力の範囲内で周波数帯の二次利用を行なうことにより、一次利用ノードに与える干渉は抑制される。さらに、このように限られた送信電力の範囲内で周波数帯の二次利用により実現される通信機会を最適化するためには、第2の通信サービスに加入する二次利用ノード間においても、送信電力の割当てが適応的に行なわれることが望ましい。そこで、本節では、本発明の第3の実施形態として、第2の通信サービスに加入する二次利用ノード間で送信電力を適応的に割当てる送信電力制御の例について説明する。
[4−1.二次システムの概要]
図14は、本発明の第3の実施形態において、二次利用ノード間で送信電力が適応的に割当てられる二次システム602の概要について説明するための説明図である。図14を参照すると、二次システム602は、端末装置600及び複数の端末装置604を含む。
このうち、端末装置600は、周波数帯の二次利用を開始するために動作するコーディネータ(SSC)の役割を有する二次利用ノードである。端末装置600は、例えば、図4に示した基地局100(あるいは基地局300)により提供される第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用して、第2の通信サービスを開始する。その際、端末装置600は、例えば、第1の実施形態において説明した手法を用いて決定された許容送信電力の値を、基地局100から受信する。その代わりに、端末装置600は、例えば、第2の実施形態において説明した手法を用いて、許容送信電力の決定のために必要なパラメータを基地局300から取得し、許容送信電力の値を自ら決定してもよい。端末装置600の具体的な構成については、後にさらに説明する。
一方、端末装置604は、端末装置600により開始される第2の通信サービスに加入して相互に通信を行う二次利用ノードである。端末装置604は、第2の通信サービスに加入すると、端末装置600により割当てられる送信電力を用いて、第2の通信サービスのための無線信号(二次信号)を送受信する。
[4−2.コーディネータの役割を有する端末装置の構成例]
図15は、図14に示した端末装置600の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図15を参照すると、端末装置600は、第1通信部210、第2通信部620、記憶部230、及び制御部640を備える。
第1通信部210は、例えば、第1の実施形態と同様に、周波数帯の二次利用の開始等の指示に応じて、自装置の位置を表す位置データを基地局100へ送信し、二次利用のために許容される送信電力の値を受信する。そして、第1通信部210は、受信した許容送信電力の値を、制御部640へ出力する。その代わりに、第1通信部210は、許容送信電力の決定のために必要なパラメータを受信して制御部640へ出力してもよい。
第2通信部620は、所定の通信方式に従い、二次利用ノード604との間で無線信号を送受信する。例えば、第2通信部620は、まず、第1の通信サービスの無線信号をセンシングし、アップリンクチャネルの同期を獲得する。そして、第2通信部620は、同期を獲得した当該アップリンクチャネルを使用して、周囲の二次利用ノード604へ定期的にビーコンを送信する。このとき、第2通信部620により使用される送信電力は、制御部640からの制御を受けて、第1通信部210により受信された上記許容送信電力の範囲内、即ち、一次利用ノードへ実質的な干渉を与えない範囲内に制限される。
制御部640は、例えばCPUなどの制御装置を用いて、端末装置600の機能全般を制御する。また、本実施形態において、制御部640は、第2の通信サービスに加入する二次利用ノード604により二次信号の送信のために使用される送信電力を、上述した許容送信電力の範囲内において、二次利用により実現される通信機会が最適となるように適応的に割当てる。
より具体的には、制御部640は、例えば、二次システム602に含まれる二次利用ノード604における通信品質を考慮して、各二次利用ノード604に送信電力を割当てることができる。二次利用ノード604のうちのいずれか1つを被干渉ノードとみなした場合に、その干渉が当該被干渉ノードにおいて許容されるためには、次の関係式(14)が満たされていることが求められる。
ここで、SINRi_required_secondaryは、被干渉ノードであるi番目の二次利用ノードにおいて要求される最小のSINRを表す。SINRi_required_secondaryは、例えば、i番目の二次利用ノードの最小受信感度、又はQoSに応じて与えられる最小のSINRなどであってよい。また、Pi_rx_secondary,j_tx_secondaryは、j番目の二次利用ノードからi番目の二次利用ノードへ送信される二次信号について要求される受信レベルを表す。また、Ii,primaryは第1の通信サービスの無線信号による干渉レベル、Ii,k(k≠i,k≠j)_tx_secondaryはi番目でもj番目でもない(即ち所望の通信リンクに関連しない)他の二次利用ノードからの二次信号による干渉レベルをそれぞれ表す。また、Niは、i番目の二次利用ノードに適用され得る雑音又は雑音レベルを表す。なお、所望の通信リンクに関連しない二次利用ノードからの二次信号による干渉レベルIi,k(k≠i,k≠j)_tx_secondaryは、例えば、そのような二次利用ノードの送信電力の総和から当該二次利用ノードについての経路損失の総和を減ずることにより計算され得る。
ここで、所望の通信リンクに関連しない二次利用ノードからの干渉レベルIi,k(k≠i,k≠j)_tx_secondaryに着目すると、式(14)は、次のように変形される。
一方、被干渉ノード(i番目の二次利用ノード)における二次信号の送信元ノード(j番目の二次利用ノード)以外の二次利用ノードからの総干渉レベルIiは、次式のように表され得る。なお、式(16)におけるnは、干渉源となる二次利用ノードの総数である。
よって、複数の二次利用ノードを想定すると、式(16)に従って計算される総干渉レベルIiが、式(15)の右辺の上限値を超えない範囲となるように、個々の二次利用ノードの送信電力Ptx_secondary,kは決定される。例えば、個々の二次利用ノードの送信電力を可能な範囲内で最大化した場合には、i番目の二次利用ノードにおける総干渉レベルIiは次式により与えられる値となる。
従って、制御部640は、可能な限り多くの二次利用ノード604について式(14)又は式(15)を充足させながら、二次利用ノード604の送信電力を二次システム602について許容される干渉電力レベルを充足するように、個々の二次利用ノード604の送信電力を適応的に制御する。より具体的な送信電力制御処理の流れについては、図16〜図20を用いて説明する。
[4−3.送信電力制御処理の例]
(シナリオ1)
図16は、制御部640による送信電力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図16を参照すると、制御部640は、まず、二次システム602について許容される干渉電力Pacc_totalの値を取得する(ステップS602)。許容される干渉電力Pacc_totalの値は、上述した干渉制御モデルに従って例えば第1の実施形態として示した手法によって決定された送信電力と経路損失とに基づいて取得され得る。その代わりに、制御部640は、許容される干渉電力の決定のために必要なパラメータを取得し、当該パラメータを用いて自ら許容される干渉電力Pacc_totalを決定してもよい。
次に、制御部640は、各二次利用ノード604についての要求送信電力の値Ptx_secondary,kを取得する(ステップS604)。かかる要求送信電力の値は、例えば、個々の二次利用ノード604の最小受信感度又はQoSに基づく最小のSINRに応じて、制御部640により決定されてもよい。その代わりに、制御部640は、例えば、各二次利用ノード604についての要求送信電力の値を、第2通信部620を介して、各二次利用ノード604からそれぞれ取得してもよい。後者の場合には、要求送信電力の値は、例えば、端末装置600から送信される第2の通信サービスのためのビーコンへの応答信号に含めて、各二次利用ノード604から端末装置600へ送信され得る。
次に、制御部640は、ステップS604において取得した各二次利用ノード604の要求送信電力に基づく干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、次式に従って計算する(ステップS606)。
そして、制御部640は、ステップS602において取得した許容される干渉電力の値Pacc_totalと、ステップS606において算出した二次利用ノード604の干渉電力レベルの合計値Preq_totalとを比較する(ステップS608)。ここで、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きい場合には、処理はステップS610へ進む。一方、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きくない場合には、処理はステップS612へ進む。
ステップS610では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えている。即ち、この場合、各二次利用ノード604により要求の通りの送信電力値が使用されると、一次利用ノードにおいて許容され得ないレベルの干渉が生じる可能性がある。そこで、本シナリオでは、制御部640は、例えば、他の二次利用ノード604へ与える干渉レベルが相対的に大きい二次利用ノード604を、送信電力の割当てから除外する(ステップS610)。他の二次利用ノード604へ与える干渉レベルは、例えば、二次信号の送信電力と経路損失とにより計算され得る。このようにいずれかの二次利用ノード604を送信電力の割当てから除外することにより、送信電力の合計値Preq_totalが低減され、一次利用ノードにおいて許容され得ない干渉が生じることを防ぐことができる。なお、制御部640は、送信電力の割当てから除外した二次利用ノード604に対し、異なるリソースブロック(又は異なる周波数スロット、時間スロット若しくは符号)において通信すべきことを指示してもよい。その後、処理はステップS606へ戻り、再度干渉電力レベルの合計値Preq_totalの計算と許容される干渉電力の値Pacc_totalとの比較が行われる。
一方、ステップS612では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えていない。即ち、この場合、各二次利用ノード604により要求の通りの送信電力値が使用されたとしても、一次利用ノードにおいて生じる干渉のレベルは、許容され得る範囲内である。そこで、制御部640は、さらに、干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、各二次利用ノード604において生じる干渉のレベルに応じて与えられる閾値Thと比較する(ステップS612)。閾値Thは、例えば、式(14)に関連し、次式に応じて設定されてもよい。
そして、上記閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さい場合には、処理はステップS614へ進む。一方、上記閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さくない場合には、処理はステップS616へ進む。
ステップS614では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、閾値Thよりも小さい。即ち、この場合、要求されている送信電力以上の送信電力が使用されたとしても、一次利用ノード及び二次利用ノード604において許容し得ない干渉が生じるまでには余裕があると考えられる。そこで、制御部640は、二次利用により実現される通信機会を増やすために、いずれかの二次利用ノード604に対応する送信電力を増加させる(ステップS614)。ここで送信電力が増加させられる二次利用ノード604とは、例えば、アプリケーションの優先度の高いノード、送信電力の増加によりデータレートを向上させることができるノード、又は要求された送信電力では低いデータレートしか得られないノードなどであってよい。その後、処理はステップS612へ戻り、再び干渉電力レベルの合計値Preq_totalと閾値Thとの比較が行われる。
一方、ステップS616では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは閾値Th以上となっている。そのため、制御部640は、その時点の各二次利用ノード604に対応する各送信電力の値を、最終的な送信電力値として各二次利用ノード604に割当てることを決定する(S616)。そして、制御部640は、各二次利用ノード604に割当てる送信電力値を、例えば第2の通信サービスの制御チャネルを使用して、各二次利用ノード604へ通知する。
このような送信電力制御処理により、制御部640は、二次システム602の許容送信電力の範囲内で、第2の通信サービスに加入する二次利用ノード604に送信電力を適応的に割当てることができる。その結果、周波数帯の二次利用により実現される通信機会は、最適化される。
なお、図16の例では、ステップS610において、他の二次利用ノード604へ与える干渉レベルが相対的に大きい二次利用ノード604を、送信電力の割当てから除外した。しかしながら、かかる例に限定されず、送信電力の割当てから除外すべき二次利用ノード604は、次に説明するように、図16の例とは異なる条件に応じて選択されてもよい。
(シナリオ2)
図17は、制御部640による送信電力制御処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
図17を参照すると、制御部640は、まず、第1通信部210を介して、管理ノードである基地局100から二次システム602について許容される干渉電力Pacc_totalの値を取得する(ステップS622)。次に、制御部640は、各二次利用ノード604についての要求送信電力の値Ptx_secondary,kを取得する(ステップS624)。次に、制御部640は、ステップS624において取得した各二次利用ノード604の干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、上述した式(18)に従って計算する(ステップS626)。そして、制御部640は、ステップS622において取得した許容される干渉電力の値Pacc_totalと、ステップS626において算出した二次利用ノード604の干渉電力レベルの合計値Preq_totalとを比較する(ステップS628)。ここで、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きい場合には、処理はステップS630へ進む。一方、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きくない場合には、処理はステップS632へ進む。
ステップS630では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えている。この場合、本シナリオでは、制御部640は、一次利用ノードへ与える干渉レベルが相対的に大きい二次利用ノード604を、送信電力の割当てから除外する(ステップS630)。その後、処理はステップS626へ戻り、再度干渉電力レベルの合計値Preq_totalの計算と許容される干渉電力の値Pacc_totalとの比較が行われる。
一方、ステップS632では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えていない。そこで、制御部640は、さらに、干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、各二次利用ノード604において生じる干渉のレベルに応じた上述した閾値Thと比較する(ステップS632)。ここで、閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さい場合には、処理はステップS634へ進む。一方、上記閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さくない場合には、処理はステップS636へ進む。
ステップS634では、制御部640は、二次利用により実現される通信機会を増やすために、図16に示したステップS614と同様にして、いずれかの二次利用ノード604に対応する送信電力を増加させる(ステップS634)。その後、処理はステップS632へ戻り、再び干渉電力レベルの合計値Preq_totalと閾値Thとの比較が行われる。
一方、ステップS636では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは閾値Th以上となっている。そのため、制御部640は、その時点の各二次利用ノード604に対応する各送信電力の値を、最終的な送信電力値として各二次利用ノード604に割当てることを決定する(S636)。そして、制御部640は、各二次利用ノード604に割当てる送信電力値を、例えば第2の通信サービスの制御チャネルを使用して、各二次利用ノード604へ通知する。
(シナリオ3)
図18は、制御部640による送信電力制御処理の流れのまた別の例を示すフローチャートである。
図18を参照すると、制御部640は、まず、第1通信部210を介して、管理ノードである基地局100から二次システム602について許容される干渉電力Pacc_totalの値を取得する(ステップS642)。次に、制御部640は、各二次利用ノード604についての要求送信電力の値Ptx_secondary,kを取得する(ステップS644)。次に、制御部640は、ステップS644において取得した各二次利用ノード604の干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、上述した式(18)に従って計算する(ステップS646)。そして、制御部640は、ステップS642において取得した許容される干渉電力の値Pacc_totalと、ステップS646において算出した二次利用ノード604の干渉電力レベルの合計値Preq_totalとを比較する(ステップS648)。ここで、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きい場合には、処理はステップS650へ進む。一方、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きくない場合には、処理はステップS652へ進む。
ステップS650では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えている。この場合、本シナリオでは、制御部640は、例えば、一次利用ノードとの間の経路における経路損失が小さい(即ち、一次利用ノードの近くに位置する)二次利用ノード604を、送信電力の割当てから除外する(ステップS650)。その後、処理はステップS646へ戻り、再度干渉電力レベルの合計値Preq_totalの計算と許容される干渉電力の値Pacc_totalとの比較が行われる。
一方、ステップS652では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えていない。そこで、制御部640は、さらに、干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、各二次利用ノード604において生じる干渉のレベルに応じた上述した閾値Thと比較する(ステップS652)。ここで、閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さい場合には、処理はステップS654へ進む。一方、上記閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さくない場合には、処理はステップS656へ進む。
ステップS654では、制御部640は、二次利用により実現される通信機会を増やすために、図16に示したステップS614と同様にして、いずれかの二次利用ノード604に対応する送信電力を増加させる(ステップS654)。その後、処理はステップS652へ戻り、再び干渉電力レベルの合計値Preq_totalと閾値Thとの比較が行われる。
一方、ステップS656では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは閾値Th以上となっている。そのため、制御部640は、その時点の各二次利用ノード604に対応する各送信電力の値を、最終的な送信電力値として各二次利用ノード604に割当てることを決定する(S656)。そして、制御部640は、各二次利用ノード604に割当てる送信電力値を、例えば第2の通信サービスの制御チャネルを使用して、各二次利用ノード604へ通知する。
(シナリオ4)
図19は、制御部640による送信電力制御処理の流れのさらに別の例を示すフローチャートである。
図19を参照すると、制御部640は、まず、第1通信部210を介して、管理ノードである基地局100から二次システム602について許容される干渉電力Pacc_totalの値を取得する(ステップS662)。次に、制御部640は、各二次利用ノード604についての要求送信電力の値Ptx_secondary,kを取得する(ステップS664)。次に、制御部640は、ステップS664において取得した各二次利用ノード604の干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、上述した式(18)に従って計算する(ステップS666)。そして、制御部640は、ステップS662において取得した許容される干渉電力の値Pacc_totalと、ステップS666において算出した二次利用ノード604の干渉電力レベルの合計値Preq_totalとを比較する(ステップS668)。ここで、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きい場合には、処理はステップS670へ進む。一方、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きくない場合には、処理はステップS672へ進む。
ステップS670では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えている。この場合、本シナリオでは、制御部640は、例えば、優先度の低い二次利用ノード604を、送信電力の割当てから除外する(ステップS670)。ここでの優先度とは、例えば、第2の通信サービスを用いて実行されるアプリケーションの種類に応じて与えられてもよい。例えば、動画配信又は通信型のゲームなど、低遅延が要求されるアプリケーションについては、高い優先度が定義され得る。また、一定のサービス品質が保証されるように高額なサービス料を支払っているユーザの二次利用ノード604について高い優先度が定義されてもよい。その後、処理はステップS666へ戻り、再度干渉電力レベルの合計値Preq_totalの計算と許容される干渉電力の値Pacc_totalとの比較が行われる。
一方、ステップS672では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えていない。そこで、制御部640は、さらに、干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、各二次利用ノード604において生じる干渉のレベルに応じた上述した閾値Thと比較する(ステップS672)。ここで、閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さい場合には、処理はステップS674へ進む。一方、上記閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さくない場合には、処理はステップS676へ進む。
ステップS674では、制御部640は、二次利用により実現される通信機会を増やすために、図16に示したステップS614と同様にして、いずれかの二次利用ノード604に対応する送信電力を増加させる(ステップS674)。その後、処理はステップS672へ戻り、再び干渉電力レベルの合計値Preq_totalと閾値Thとの比較が行われる。
一方、ステップS676では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは閾値Th以上となっている。そのため、制御部640は、その時点の各二次利用ノード604に対応する各送信電力の値を、最終的な送信電力値として各二次利用ノード604に割当てることを決定する(S676)。そして、制御部640は、各二次利用ノード604に割当てる送信電力値を、例えば第2の通信サービスの制御チャネルを使用して、各二次利用ノード604へ通知する。
ここまでに説明した図16〜図19の例では、干渉電力レベルの合計値が許容送信電力の値を超えた場合に、他のノードへ与える干渉レベル、経路損失、又は予め定義される優先度に関する条件に応じて、送信電力の割当てから除外すべき二次利用ノードが決定された。さらに、送信電力の割当てから除外すべき二次利用ノードは、例えば次に説明するように、上記条件のうち2以上の条件の組合せによって決定されてもよい。
(シナリオ5)
図20は、制御部640による送信電力制御処理の流れのさらに別の例を示すフローチャートである。
図20を参照すると、制御部640は、まず、第1通信部210を介して、管理ノードである基地局100から二次システム602について許容される干渉電力Pacc_totalの値を取得する(ステップS682)。次に、制御部640は、各二次利用ノード604についての要求送信電力の値Ptx_secondary,kを取得する(ステップS684)。次に、制御部640は、ステップS684において取得した各二次利用ノード604の干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、上述した式(18)に従って計算する(ステップS686)。そして、制御部640は、ステップS682において取得した許容される干渉電力の値Pacc_totalと、ステップS686において算出した二次利用ノード604の干渉電力レベルの合計値Preq_totalとを比較する(ステップS688)。ここで、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きい場合には、処理はステップS690へ進む。一方、許容される干渉電力の値Pacc_totalよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが大きくない場合には、処理はステップS692へ進む。
ステップS690では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えている。この場合、本シナリオでは、制御部640は、まず、複数の条件のうちの2以上の条件ごとに、その条件に応じて除外すべき二次利用ノード604を決定する(ステップS690)。複数の条件とは、例えば、他の二次利用ノード604へ与える干渉レベル、一次利用ノードへ与える干渉レベル、通信経路上の経路損失、及び二次利用ノード604ごとに予め定義される優先度、のうちの2以上の条件であってよい。即ち、例えば、制御部640は、図16を用いて説明したように、他の二次利用ノード604に与える干渉レベルが相対的に大きい二次利用ノード604を決定すると共に、図17を用いて説明したように、一次利用ノードに与える干渉レベルが相対的に大きい二次利用ノード604を決定する。
次に、制御部640は、各条件に応じて二次利用ノード604を除外した場合に結果的に二次システム602の合計通信容量が最大となる除外条件を、上記2以上の条件から選択する(S691)。二次システム602の合計通信容量Csecondaryは、例えば、次式に従って評価され得る。
ここで、Ptx_secondary,kはk番目の二次利用ノード604の送信電力、Nkはk番目の二次利用ノード604の雑音レベルを表す。
そして、制御部640により、選択された除外条件に応じて決定された二次利用ノード604が送信電力の割当てから除外されると、処理はステップS686へ戻る。
一方、ステップS692では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは、許容される干渉電力の値Pacc_totalを超えていない。そこで、制御部640は、さらに、干渉電力レベルの合計値Preq_totalを、各二次利用ノード604において生じる干渉のレベルに応じた上述した閾値Thと比較する(ステップS692)。ここで、閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さい場合には、処理はステップS694へ進む。一方、上記閾値Thよりも干渉電力レベルの合計値Preq_totalが小さくない場合には、処理はステップS696へ進む。
ステップS694では、制御部640は、二次利用により実現される通信機会を増やすために、図16に示したステップS614と同様にして、いずれかの二次利用ノード604に対応する送信電力を増加させる(ステップS694)。その後、処理はステップS692へ戻り、再び干渉電力レベルの合計値Preq_totalと閾値Thとの比較が行われる。
一方、ステップS696では、干渉電力レベルの合計値Preq_totalは閾値Th以上となっている。そのため、制御部640は、その時点の各二次利用ノード604に対応する各送信電力の値を、最終的な送信電力値として各二次利用ノード604に割当てることを決定する(S696)。そして、制御部640は、各二次利用ノード604に割当てる送信電力値を、例えば第2の通信サービスの制御チャネルを使用して、各二次利用ノード604へ通知する。
なお、図16〜図20を用いて説明した送信電力制御処理は、例えば、端末装置600により第2の通信サービスが開始された際に実行されてもよい。また、上記送信電力制御処理は、第2の通信サービスに加入する二次利用ノード604の数が変化した場合若しくは二次利用ノード604の要求する通信品質が変化した場合などに動的に実行されてもよく、又は一定の時間間隔で定期的に実行されてもよい。
[4−4.第3の実施形態のまとめ]
ここまで、図14〜図20を用いて、本発明の第3の実施形態について説明した。本実施形態によれば、端末装置600により、送信電力の総和が第2の通信サービスに割当てられた許容送信電力の範囲内となるように、各二次利用ノード604により使用される送信電力が制御される。その際、各二次利用ノード604について要求される送信電力の総和が許容送信電力よりも大きい場合には、所定の条件に応じて決定されるいずれかの二次利用ノード604が、送信電力の割当てから除外される。かかる構成によれば、例えば異なる通信環境に位置し又は異なる通信品質を要求する二次利用ノード604を対象として、限られた送信電力の範囲内で、周波数帯の二次利用により実現される通信機会を適応的に高めることができる。
また、要求される送信電力の総和が許容送信電力よりも小さい場合であって、その総和が各二次利用ノード604において生じる干渉のレベルに応じた所定の閾値よりも小さいときには、いずれかの二次利用ノード604に割当てられる送信電力が増加される。それにより、二次システム602の内部においても致命的な干渉を生じさせることなく、許容送信電力の範囲内で二次利用を効率的に行なうことができる。
また、各二次利用ノード604について要求される送信電力の総和が許容送信電力よりも大きい場合に、送信電力の割当てから除外する二次利用ノード604を決定するための条件は、例えば、他のノードへ与える干渉レベル、経路損失、又は予め定義される優先度などに応じた条件であってよい。また、これら条件のうち2以上の条件を組合せて、送信電力の割当てから除外する二次利用ノード604が決定されてもよい。そうすることにより、サービスの目的、要件、又は制約などに応じて、周波数帯の二次利用により実現される通信機会を一層最適なものとすることができる。
[5.TVバンドへの適用]
図21は、上述した第1、第2又は第3の実施形態のTVバンドへの適用について説明するための説明図である。図21の例において、一次利用ノード900は、テレビジョン放送の放送局である。また、一次利用ノード910a〜910cは、テレビジョン放送の受信局である。一次利用ノード900は、境界902又は904の内部に位置する一次利用ノード910a〜910cに、周波数帯F1上でデジタルTV放送サービスを提供する。境界902の内部は、デジタルTV放送サービスのサービスエリアである。また、斜線で示された境界902と境界904との間の領域は、周波数帯の二次利用が制限されるガードエリアである。一方、境界904と境界906との間の領域はTVホワイトスペースである。二次利用ノード920a〜920cは、かかるTVホワイトスペースに位置し、例えば周波数帯F1とは異なる周波数帯F3上で第2の通信サービスを運用する。しかし、例えば第1の通信サービスの周波数帯F1と第2の通信サービスの周波数帯F3との間にガードバンドを設けたとしても、例えば位置P0において二次システムのみならず一次システムへの致命的な干渉が生じるリスクがある。このようなリスクは、例えば、ガードエリアの幅を拡張することにより低減される。しかし、ガードエリアの幅を拡張することは、周波数帯の二次利用機会の減少を意味する。これに対し、上述した第1、第2又は第3の実施形態に従って第2の通信サービスに使用する送信電力を制御することにより、ガードエリアの幅を過度に拡張することなく、一次システムに与える干渉を許容される範囲内に抑制することができる。
なお、本明細書において説明した第1、第2及び第3の実施形態に係る一連の処理をハードウェアで実現するかソフトウェアで実現するかは問わない。一連の処理又はその一部をソフトウェアで実行させる場合には、ソフトウェアを構成するプログラムが、例えばROM(Read Only Memory)などの記録媒体に予め記憶され、RAM(Random Access Memory)に読み込まれた後、CPUを用いて実行される。
本明細書において説明した各実施形態の要旨は、上述したように様々な二次利用の形態に広く適用可能である。例えば、上述したように、第1の通信サービスのスペクトラムホールをカバーするためのリレーノード又はフェムトセルの運用は、周波数帯の二次利用の一形態ということができる。また、互いに共通する周波数帯を使用するマクロセル、RRH(Remote Radio Head)、Hotzone、リレーノード又はフェムトセルなどの相互の関係も、周波数帯の二次利用の一形態(例えば、ヘテロジーニアスネットワークなど)を形成し得る。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属すものと了解される。