JP5724770B2 - 油圧制御バルブ - Google Patents
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Description
・スプールの移動方向(軸方向)を前後方向と称し、
・リターンスプリングの付勢力によりスプールが移動する方向(軸方向の一方側)を後(図1右側参照)、
・スプール駆動手段の駆動力(軸力)によりスプールが移動する方向(軸方向の他方側)を前(図1左側参照)、
と称する。
この前後方向は、説明のためのものであって、実際の搭載方向を限定するものではない。
特許文献1は、エンジン(内燃機関)によって駆動されるカムシャフトの進角量を可変するVVTに関する技術であり、
・進角室と遅角室の油圧差によってカムシャフトの進角量の可変を行なう可変カムシャフトタイミング機構(バリアブル・カムシャフト・タイミング:以下、VCTと称す)と、・進角室と遅角室の油圧差をコントロールするオイルフロー・コントロール・バルブ(以下、OCVと称す:油圧制御バルブの一例)と、
が用いられている。
OCV1は、四方弁構造を採用したスプール弁2と、このスプール弁2を駆動する電磁アクチュエータ(リニアソレノイド)3とを結合したものである。
これにより、進角室の油圧が遅角室に対して相対的に高まり、カムシャフトの位相が進角側へ変化する。
すると、アイドリングなど、本来はVCTを遅角側に制御したい時でも、カムシャフトが進角状態になってしまうため、エンジンの吸気バルブと排気バルブのオーバーラップが過大になり、エンスト、ラフアイドリングなど引き起こす問題が生じてしまう。
請求項1の油圧制御バルブは、スプールの外周側に形成されて、軸方向他方側へ移動することにより、バルブハウジングとの間の空間において入力ポートと出力ポートとを連通させる小径部と、この小径部よりも径が大きく形成されて出力ポートを閉塞する大径部と、スプールの大径部に対して径方向に設けられ、出力ポートと入力ポート(4)を連通するスプールのスライド位置において、出力ポートとオイル排出用のドレン空間との連通を行うパージ穴と、スプール駆動手段によって軸方向の他方側へ駆動されることによりパージ穴を閉じる第2スプールと、スプールのリターンスプリングより付勢力が小さく、スプール駆動手段が停止した際に、第2スプールを軸方向の一方へ移動させてパージ穴を開かせる第2スプリングとを具備するスプールロック手段を備えることを特徴としており、スプール駆動手段が停止している状態では、第2スプリングの付勢力により第2スプールが後方(軸方向の一方側)へ移動してパージ穴が開かれる。
この結果、スプールが出力ポートと入力ポートを連通する状態でロックしても、スプール駆動手段を停止することにより、パージ穴を介して出力ポートを排圧することができ、出力油圧を低下させることができる。
これにより、スプールのロックに対する油圧制御バルブの信頼性を高めることができる。
請求項2の第2スプールは、スプールに対して軸方向の所定範囲で移動可能に設けられ、スプール駆動手段の発生する軸力をスプールに伝達するものである。
そして、スプール駆動手段の発生した軸力によって第2スプリングの付勢力に抗して第2スプールが前方(軸方向の他方側)へ駆動された際に、スプールの一部(後述する実施例では、環状フランジ部)と軸方向で当接することで、スプール駆動手段の発生した軸力をスプールに伝達するものである。
請求項3の第2スプールは、スプールの内部に形成された第2摺動穴において軸方向へ摺動自在に支持される。
そして、パージ穴は、出力ポートと、常時ドレン空間と連通する第2摺動穴とを連通する径方向の穴である。
これにより、第2摺動穴を摺動する第2スプールによって、パージ穴が直接開閉される。
請求項4の油圧制御バルブは、VVTに用いられるOCVであって、出力ポートは進角ポート、パージ穴の外径側の端部は進角ポートに連通するものである。
このため、スプールが進角位置(前側)でロックしても、スプール駆動手段を停止した際に、進角室の油圧をパージ穴を介して排圧することができる。すると、カムシャフトからVCTへ伝わる正トルク等によりVCTが遅角側に作動する。
このように、スプールが進角位置(前側)でロックしても、スプール駆動手段を停止することでVCTを遅角側に作動させることができ、進角異常によるエンジンの不具合を回避することができる。
スプールの後方(軸方向の一方側)への移動を停止させるスプールストッパと、第2スプールの後方(軸方向の一方側)への移動を停止させる第2スプールストッパとは異なるものであり、スプールの軸方向の移動範囲より、第2スプールの軸方向の移動範囲が大きく設けられるものである。
請求項6のスプール駆動手段は、電磁アクチュエータ(リニアソレノイド)である。
即ち、油圧制御バルブは、スプール弁と電磁アクチュエータを組み合わせた電磁スプール弁である。
油圧制御バルブ1(後述する実施例ではOCV)は、
・スプール弁2と、
・このスプール弁2を駆動するスプール駆動手段3(後述する実施例では、電磁アクチュエータ)と、
を備える。
・入力油圧の供給を受ける入力ポート4、出力油圧の供給を行う出力ポート5(後述する実施例では進角ポート)、ドレン空間に通じるドレンポート6を有するバルブハウジング7(後述する実施例ではスリーブ)と、
・このバルブハウジング7の内部で軸方向へ摺動自在に支持され、各ポートの切替えを行うスプール8と、
・このスプール8を後方へ向けて付勢するリターンスプリング9と、
を備える。
そして、このスプール弁2は、バルブハウジング7に対してスプール8が前方(軸方向の他方側)へ移動した状態において入力ポート4と出力ポート5の連通がなされる。
また、スプール8の内部には、スプール8に対して軸方向の所定範囲で移動可能に設けられ、スプール駆動手段3の発生する軸力をスプール8に伝達する第2スプール12が設けられる。
さらに、この第2スプール12は、リターンスプリング9よりバネ力の小さい第2スプリング13により、スプール8に対して後方(軸方向の一方側)へ向けて付勢されるとともに、スプール駆動手段3の発生する軸力によって前方(軸方向の他方側)へ駆動されるものである。
逆に、スプール駆動手段3が停止する際は、第2スプリング13のバネ力によって、第2スプール12がスプール8に対して後方(軸方向の他方側)に移動することにより、第2スプール12がパージ穴11を開く。
このため、スプール8が前方へ移動した状態(入力ポート4と出力ポート5が連通した状態)でロックしても、スプール駆動手段3を停止することで、パージ穴11を介して出力ポート5を排圧することができ、出力油圧を低下させることが可能になる。
なお、以下の実施例において、上記[発明を実施するための形態]と同一符号は、同一機能物を示すものである。
VVTは、車両走行用のエンジンに搭載されるものであり、
・カムシャフト(例えば、吸気バルブ用カムシャフト等)に取り付けられてカムシャフトの進角量を連続的に可変することでバルブ(例えば、吸気バルブ等)の開閉タイミングを連続的に可変可能なVCT21と、
・このVCT21の作動を油圧制御するOCV1を用いた油圧回路22と、
・OCV1を電気的に制御するECU23(エンジン・コントロール・ユニットの略)と、
から構成されている。
一方、ベーンロータ25は、カムシャフトの端部に位置決めピン等で位置決めされて、ボルト等によってカムシャフトの端部に固定されるものであり、カムシャフトと一体に回転する。
進角室αは、油圧によってベーン25aを進角側へ駆動するための油圧室であって、ベーン25aの反回転方向側の凹部24a内に形成されるものであり、逆に、遅角室βは油圧によってベーン25aを遅角側へ駆動するための油圧室である。なお、進角室αと遅角室βの液密性は、シール部材26等によって保たれる。
・エンジン部品に設けられたOCV装着穴に挿入配置されるスリーブ7と、
・このスリーブ7の内部において軸方向へ摺動自在に支持され、各ポートの連通状態を調整するスプール8と、
・このスプール8を後方へ付勢するリターンスプリング9と、
を備える。
スリーブ7は、略円筒形状を呈し、外周面がOCV装着穴に対して微細なクリアランスを介して挿入配置される。
スリーブ7の内部には、スプール8を軸方向へ摺動自在に支持する摺動穴28が形成され、この摺動穴28の内周面においてスプール8を軸方向へ摺動自在に支持する。
具体的に、スリーブ7の径方向には、オイルポンプ27のオイル吐出口に連通する入力ポート4、進角室αに通じる進角ポート5、遅角室βに通じる遅角ポート29が設けられている。
これらの径方向のポートは、スリーブ7の前側から後側に向かって、進角ポート5、入力ポート4、遅角ポート29の順に配置されている。
一方、スリーブ7の前端には、ドレン空間(ドレンパンに通じる空間)に通じるドレンポート6が設けられている。
スプール8は、略円筒形状を呈し、外周面がスリーブ7の内周面に対して微細なクリアランスを介して挿入配置される。
スプール8の軸方向の移動範囲は、所定範囲内に規制されるものであり、
(i)スプール8の前方へのスライド位置が、スプール8の前端と、固定部材(この実施例ではドレンポート6の周囲の環状壁30)との当接で規制される。
(ii)スプール8の後方へのスライド位置が、スプール8の後端と、固定部材(この実施例では後述する磁気吸引補助部品45)との当接で規制される。
このスプール8の後端と固定部材(後述する磁気吸引補助部品45)との当接箇所が、スプールストッパXに相当するものである。
この全周溝33は、入力ポート4と常に連通するものであり、
(i)スプール8が前方へ移動した際に入力ポート4と進角ポート5を連通して進角ポート5の油圧を上昇させ、
(ii)スプール8が後方へ移動した際に入力ポート4と遅角ポート29を連通して遅角ポート29の油圧を上昇させる分配室の機能を果たすものである。
この環状フランジ部34の前面は、リターンスプリング9に当接してリターンスプリング9の付勢力を受けるように設けられている。
また、環状フランジ部34の後面は、第2スプール12の前方へ駆動された際に、第2スプール12の前端に当接し、第2スプール12に伝達された電磁アクチュエータ3の軸力を受けるように設けられている。
また、スプール8の内周面のうち、環状フランジ部34の後側は、第2スプール12を軸方向へ摺動自在に支持する第2摺動穴36として設けられている。
リターンスプリング9は、スプール8を後方へ向けて付勢する圧縮コイルスプリングである。
ここで、スリーブ7の環状壁30と、スプール8に設けた環状フランジ部34との間には、バネ室Aが形成されている。
そして、リターンスプリング9は、このバネ室Aに配置されるものであり、環状壁30と環状フランジ部34の間で軸方向に圧縮された状態で組付けられるものである。
電磁アクチュエータ3は、コイル41、プランジャ42、カップガイド43、磁気吸引ステータ44、磁気吸引補助部品45、磁気受渡ステータ46、ヨーク47、ステー48およびコネクタ49を備える。
コイル41は、通電されるとプランジャ42を磁気吸引するための磁力を発生する磁力発生手段であり、樹脂製のコイルボビンの周囲に絶縁被覆された導線(エナメル線等)を多数巻回したものである。
筒状部44bは、プランジャ42が前方へ移動した際、軸方向に交差可能に設けられている。また、筒状部44bの端部にはテーパが形成されており、このテーパによってプランジャ42のストローク量に対して磁気吸引力が変化しない特性に設けられている。
この磁気吸引補助部品45は、例えば磁性体の金属板(例えば、鉄:磁気回路を構成する強磁性材料)をカップ形状に加工したものであり、スリーブ7の後端に形成された段差とカップガイド43との間に挟まれて固定される。
カップガイド43の前端には径方向に広がる拡径フランジ部が設けられており、この拡径フランジ部がスリーブ7(具体的には、スリーブ7の後端に配置されたOリング51)と磁気吸引ステータ44との間に挟まれることで、カップガイド43の内外のシールが成される。
なお、スリーブ7の後部外周に配置されたOリング52は、OCV装着穴からオイルが漏れるのを防ぐためのものである。
そして、上述したように、スプール弁2をバルブOCV装着穴の内部に挿入し、電磁アクチュエータ3のステー48をエンジン部品に締結することで、OCV1がエンジンに組付けられる。
ECU23は、エンジン運転状態に応じた「目標の位相角」を算出する機能を備えるとともに、シューハウジング24に対するベーンロータ25の「実際の位相角」を検出する手段を備え、「実際の位相角」が「目標の位相角」となるようにコイル41の通電制御を実施するように設けられている。
具体的な一例として、ECU23は、デューティ比制御によりコイル41へ供給する電流量を制御するものであり、コイル41の供給電流量を制御することで、スプール8の軸方向の位置をリニアにスライド制御し、エンジン運転状態に応じた作動油圧を進角室αおよび遅角室βに発生させてカムシャフトの進角量を可変制御する。
この実施例のOCV1には、スプール8が前方位置(進角側)でロックした際の不具合を回避するスプールロック対処手段が設けられている。
このスプールロック対処手段は、
(a)スプール8に設けられるパージ穴11と、
(b)電磁アクチュエータ3の出力により前方へ駆動されてパージ穴11を閉じる第2スプール12と、
(c)電磁アクチュエータ3が停止した際に、第2スプール12を後方へ移動させてパージ穴11を開かせる第2スプリング13と、
を用いて構成される。
そして、このパージ穴11の内側は、第2スプール12によって開閉が可能となるように、スプール8に対する第2スプール12の前端のスライド範囲内に開口するものである。
この第2スプール12は、略円筒形状を呈し、外周面が第2摺動穴36の内周面に対して微細なクリアランスを介して挿入配置されている。
具体的に、第2スプール12の後方での停止位置は、プランジャ42の後端と、カップガイド43の底部との当接で規制される。
このプランジャ42の後端とカップガイド43との当接箇所が、第2スプールストッパYに相当するものである。
第2スプール12の後方での停止位置から、第2スプール12を前方に押すと、第2スプリング13が圧縮されて、第2スプール12の前端と環状フランジ部34の後面とが当接し、第2スプール12の軸力がスプール8に付与されるように設けられている。
また、「スプール8の前端が環状フランジ部34に当接を開始した位置」から「スプール8の前端がドレンポート6の周囲の環状壁30に当接する」までの第2スプール12のスライド範囲が第2スライド範囲である。
(i)電磁アクチュエータ3の通電が停止された状態では、第2スプリング13の付勢力により第2スプール12が後方へ移動することで第2スプール12がパージ穴11を開き、
(ii)電磁アクチュエータ3が通電されて前方への軸力を発生した状態では第2スプリング13が圧縮されて第2スプール12が前方へ移動することで第2スプール12がパージ穴11を閉じることができる。
なお、シャフト53は、第2スプール12と一体に設けられることに限定されるものではなく、別体に設けて、第2スプール12とプランジャ42との間に介在させても良いし、プランジャ42に結合するものであっても良い。
このシャフト呼吸孔54は、プランジャ42の前後の空間の容積変動を可能にする呼吸通路である。
また、シャフト呼吸孔54の後端は、プランジャ42の中心部において軸方向に貫通形成されたプランジャ呼吸孔55を介して、プランジャ42の後端とカップガイド43の底部との間の容積変動室B(プランジャ後室)と常時連通する。
さらに、シャフト呼吸孔54は、シャフト53の径方向に形成された呼吸ポート56を介して、シャフト53の周囲の容積変動室C(スプール8とプランジャ42の間の空間)と常時連通する。
この第2遅角用排出ポート57は、第2スプール12が環状フランジ部34に当接した状態において、スプール8に設けた遅角用排出ポート38に連通するものであり、スプール8と第2スプール12が前方へ移動した際に遅角ポート29と第2摺動穴36とを連通し、遅角ポート29の油圧を下降させるためのものである。
この第2スプリング13は、第2スプール12の穴の内部に形成された段差58(具体的には、前側で大径になる部位の段差)と、環状フランジ部34との間に組付けられるものである。
そして、第2スプリング13の使用最大荷重は、リターンスプリング9の使用最小荷重より小さいものであり、電磁アクチュエータ3に低電流が印加された状態(電磁アクチュエータ3の発生する軸力が小さい状態)で圧縮され、第2スプール12の前端が環状フランジ部34に当接し、電磁アクチュエータ3の軸力がスプール8に与えられるように設けられている。
次に、図2、図3を参照して実施例の作動を説明する。
なお、図2、図3において矢印Pはポンプ油圧の供給路を示すものであり、矢印Dはドレン油圧の排出路を示すものである。
コイル41の通電停止状態(例えば、エンジン停止時等)では、図2(a)に示すように、
・第2スプール12が第2スプリング13の付勢力で後方位置(初期位置)で停止するとともに、
・スプール8がリターンスプリング9の付勢力で後方位置(遅角位置)で停止する。
車両の運転状態に応じてECU23がカムシャフトを遅角させる際、ECU23はコイル41に低電流を印加させる。
すると、電磁アクチュエータ3は小さな軸力(弱の軸力)を発生する。
その結果、図2(b)に示すように、
・電磁アクチュエータ3の軸力により第2スプリング13が圧縮され、第2スプール12が環状フランジ部34に当接するとともに、
・スプール8がリターンスプリング9の付勢力で後方位置(遅角位置)で停止する。
・入力ポート4と遅角ポート29が全周溝33を介して連通するとともに、
・進角ポート5とドレンポート6が進角用排出ポート37を介して連通する。
この連通が達成されることにより、遅角室βの油圧が高まるとともに、進角室αの油圧が低下して、シューハウジング24に対してベーンロータ25が相対的に遅角側へ変位し、カムシャフトが遅角側へ変位する。
車両の運転状態に応じてECU23がカムシャフトの進角量を保持する際、ECU23はコイル41に中電流(高電流と低電流の間で設定された電流)を印加させる。
すると、電磁アクチュエータ3は、中電流に応じた中度の軸力(中の軸力)を発生する。
その結果、
・電磁アクチュエータ3の軸力により第2スプリング13が圧縮され、第2スプール12が環状フランジ部34に当接した状態が維持されるとともに、
・第2スプール12を介してスプール8に中度の軸力が付与され、スプール8が軸方向の中間位置(進角保持位置)で停止する。
・第1ランド31が進角ポート5を閉塞するとともに、
・第2ランド32が遅角ポート29を閉塞する。
このように、進角ポート5と遅角ポート29が閉塞されることで、進角室αの油圧と遅角室βの油圧が一定に保たれ、カムシャフトの進角量が保持される。
車両の運転状態に応じてECU23がカムシャフトを進角させる際、ECU23はコイル41に高電流を印加させる。
すると、電磁アクチュエータ3は、大きな軸力(大の軸力)を発生する。
その結果、図3(c)に示すように、
・電磁アクチュエータ3の軸力により第2スプリング13が圧縮され、第2スプール12が環状フランジ部34に当接した状態が維持されるとともに、
・第2スプール12を介してスプール8に大きな軸力が付与され、スプール8が前方位置(進角位置)で停止する。
・入力ポート4と進角ポート5が全周溝33を介して連通するとともに、
・遅角ポート29とドレンポート6が遅角用排出ポート38および第2遅角用排出ポート57を介して連通する。
この連通が達成されることにより、進角室αの油圧が高まるとともに、遅角室βの油圧が低下して、シューハウジング24に対してベーンロータ25が相対的に進角側へ変位し、カムシャフトが進角側へ変位する。
上述した「進角作動」により、スプール8が進角側(前側)へ移動した状態で、異物等によりスプール8がスリーブ7にロックすると、電磁アクチュエータ3の通電を停止しても、VCT21の進角室αにポンプ油圧が供給され続け、カムシャフトの進角状態が保持される不具合が発生する。
そして、ECU23は、進角ロック判定手段が「OCV1が進角側でロックした」と判定すると、視覚表示装置(警告ランプ等)で故障の発生をドライバーに知らせるとともに、コイル41の通電を停止するように設けられている。
すると、電磁アクチュエータ3は、軸力の発生を停止する。
その結果、図3(d)に示すように、
・スプール8が前方位置(進角位置)で停止する状態であっても、
・第2スプール12が第2スプリング13の付勢力で後方位置(初期位置)で停止する。
この連通が達成されることにより、入力ポート4から進角ポート5にポンプ油圧が供給される状態であっても、進角ポート5に供給されたポンプ油圧を、パージ穴11を介して排圧することができる。
そして、カムシャフトからVCT21へ伝わる正トルク等により、VCT21は遅角側に作動する。
また、本発明は、四方弁構造のスプール弁2を搭載する油圧制御バルブに限定される発明ではなく、三方弁構造のスプール弁2を搭載する油圧制御バルブ(ノーマルクローズ型スプール弁:例えば、自動変速機の油圧制御装置に搭載される電磁弁等)に本発明を適用しても良い。あるいは、五方弁以上の切替数を有するスプール弁2を搭載する油圧制御バルブに本発明を適用しても良い。
即ち、三方弁以上のスプール弁2を搭載する油圧制御バルブに本発明を適用しても良い。
2 スプール弁
3 電磁アクチュエータ(スプール駆動手段)
4 入力ポート
5 進角ポート(出力ポート)
6 ドレンポート
7 スリーブ(バルブハウジング)
8 スプール
9 リターンスプリング
11 パージ穴
12 第2スプール
13 第2スプリング
21 VCT(可変カムシャフトタイミング機構)
29 遅角ポート
34 環状フランジ部(第2スプールの端部と軸方向に当接するスプールの一部)
36 第2摺動穴
α 進角室
β 遅角室
X スプールストッパ
Y 第2スプールストッパ
Claims (5)
- 入力ポート(4)、出力ポート(5)、ドレンポート(6)を備えるバルブハウジング(7)、このバルブハウジング(7)の内部において軸方向へ摺動自在に支持されるスプール(8)、このスプール(8)を軸方向の一方側へ付勢するリターンスプリング(9)を備えたスプール弁(2)と、
前記スプール(8)を前記リターンスプリング(9)の付勢力に抗して軸方向の他方側へ向けて駆動するスプール駆動手段(3)とを具備し、
前記バルブハウジング(7)に対して前記スプール(8)が軸方向の他方側へ移動した状態において前記入力ポート(4)と前記出力ポート(5)の連通がなされる油圧制御バルブ(1)において、
この油圧制御バルブ(1)は、
前記スプール(8)の外周側に形成されて、軸方向他方側へ移動することにより、前記バルブハウジング(7)との間の空間において前記入力ポート(4)と前記出力ポート(5)とを連通させる小径部(33)と、
この小径部(33)よりも径が大きく形成されて前記出力ポート(5)を閉塞する大径部(31)と、
前記スプール(8)の大径部(31)に対して径方向に設けられ、前記出力ポート(5)と前記入力ポート(4)を連通する前記スプール(8)のスライド位置において、前記出力ポート(5)とオイル排出用のドレン空間との連通を行うパージ穴(11)と、
前記スプール駆動手段(3)によって軸方向の他方側へ駆動されることにより前記パージ穴(11)を閉じる第2スプール(12)と、
前記リターンスプリング(9)より付勢力が小さく、前記スプール駆動手段(3)が停止した際に、前記第2スプール(12)を軸方向の一方へ移動させて前記パージ穴(11)を開かせる第2スプリング(13)と、
を具備するスプールロック対処手段を備え、
前記第2スプール(12)が前記スプール駆動手段(3)の発生した軸力によって前記第2スプリング(13)の付勢力に抗して軸方向の他方側へ駆動されることにより、前記パージ穴(11)が閉じられ、その後前記第2スプール(12)が前記スプール(8)の一部(34)と軸方向で当接することにより、前記スプール駆動手段(3)の発生した軸力が前記スプール(8)に伝達されて第2スプール(12)と前記スプール(8)とが一体となって摺動することを特徴とする油圧制御バルブ。 - 請求項1に記載の油圧制御バルブ(1)において、
前記第2スプール(12)は、前記スプール(8)の内部に形成された第2摺動穴(3
6)において軸方向へ摺動自在に支持されるものであり、
前記第2摺動穴(36)は、常時ドレン空間と連通するものであり、
前記パージ穴(11)は、前記出力ポート(5)と前記第2摺動穴(36)を連通する径方向の穴であることを特徴とする油圧制御バルブ。 - 請求項1または請求項2に記載の油圧制御バルブ(1)において、
この油圧制御バルブ(1)は、可変カムシャフトタイミング機構における進角室(α)に通じる進角ポート(5)と、前記可変カムシャフトタイミング機構における遅角室(β)に通じる遅角ポート(29)とを備え、前記進角室(α)と前記遅角室(β)の油圧差をコントロールするものであり、
前記出力ポート(5)は、前記進角ポート(5)であり、
前記パージ穴(11)の外径側の端部は、前記進角ポート(5)に連通することを特徴とする油圧制御バルブ。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の油圧制御バルブ(1)において、
前記スプール(8)の軸方向の一方側への移動を停止させるスプールストッパ(X)と、前記第2スプール(12)の軸方向の一方側への移動を停止させる第2スプールストッパ(Y)とは異なって設けられ、
前記スプール(8)の軸方向の移動範囲より、前記第2スプール(12)の軸方向の移動範囲が大きく設けられることを特徴とする油圧制御バルブ。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の油圧制御バルブ(1)において、
前記スプール駆動手段(3)は、通電量に応じた起磁力を生じさせ、その起磁力により軸方向の他方へ向かう軸力を生じさせる電磁アクチュエータであることを特徴とする油圧制御バルブ。
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