以下に、図面を参照して本発明に係る光モジュールおよび回路基板の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る光モジュールの模式的な斜視図である。図2は、図1に示す光モジュールの分解図である。図3は、図1に示す光モジュールの平面図である。図4は、図3のA−A線断面図である。図5は、図1に示す光モジュールの正面図である。図6は、図3のB−B線断面図である。以下、図1〜図6を用いて本実施の形態1に係る光モジュールについて説明する。
光モジュール100は、筐体10と、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイ素子20と、ドライバIC30と、マイクロレンズアレイ素子40と、レンズアレイ素子ホルダ50と、スペーサ60と、を備えている。
筐体10は、矩形状の板部材11と、コの字状の枠部材12とを有している。板部材11は、たとえば樹脂などの誘電体と、配線パターンを形成する銅箔とを交互に例えば5層ずつ積層した積層基板の構造を有する。枠部材12は、たとえば樹脂などの誘電体と、配線パターンを形成する銅箔とを交互に例えば9層ずつ積層した積層基板の構造を有する。板部材11と枠部材12とは、板部材11と枠部材12との間の配線パターンの導通を確保するように、接合層13においてはんだやAuバンプ等によって接合されている。板部材11と枠部材12とが接合されることによって、筐体10には、内部空間14と、素子実装面11aと、導波路導入口15とが形成される。内部空間14は、枠部材12の板部材11に接合している面とは反対側の基板実装面12aに開口14aを有し、枠部材12に囲まれている。素子実装面11aは、枠部材12が接合されていない板部材11の表面であり、内部空間14の内表面の一部を構成する。導波路導入口15は、基板実装面12aと交差している側面側に、枠部材12の開口によって形成され、開口14aおよび内部空間14に繋がっている。
素子実装面11aにはマーカ11aaと、ドライバIC30を実装するための凹部11abとが形成されている。基板実装面12aには、例えば直径450μmの平面電極パッド16を例えばピッチ1mmで格子状に並べたランドグリッドアレイが形成されている。平面電極パッド16には、たとえば電源用の平面電極パッド16a、差動高周波信号用の平面電極パッド16b、グラウンド用の平面電極パッド16c、制御信号用の平面電極パッド16d、がある。図中、同種の平面電極パッドは同種のハッチングで表している。
また、筐体10には、枠部材12の基板実装面12aから板部材11における基板実装面12aの裏側の面まで貫通するように形成された、位置合わせ(アラインメント)用の3個のガイド孔17を有する。ガイド孔17は、図3において、二等辺三角形を形成するように配置されている。
光学素子であるVCSELアレイ素子20は、複数(例えば12個)のVCSEL素子が1次元アレイ状に配列された素子であって、素子実装面11aの凹部11abの近傍に実装されている。電子素子であるドライバIC30はVCSELアレイ素子20を駆動するためのものであって、素子実装面11aの凹部11abに実装されている。マイクロレンズアレイ素子40は、VCSELアレイ素子20に対応させて配置されるものであり、VCSELアレイ素子20のVCSEL素子の数に対応した、例えば12個のマイクロレンズが1次元アレイ状に配列されて構成された素子である。マイクロレンズアレイ素子40の各マイクロレンズは、各VCSEL素子から出力されたレーザ光信号を受け付けて集光し、例えば外部の光学部品との所定の光学結合を実現する。マイクロレンズアレイ素子40は石英系ガラスなどのガラスや樹脂等のVCSELアレイ素子の出射光に関して透光性の材料からなるものである。
レンズアレイ素子ホルダ50は、マイクロレンズアレイ素子40を、主表面51に形成された保持孔52によって保持し、かつマイクロレンズアレイ素子40の各マイクロレンズの光軸がVCSELアレイ素子20の対応する各VCSEL素子の光軸と一致するように保持する。レンズアレイ素子ホルダ50は、保持孔52の両側に形成された、アラインメント用のガイド機構としてのガイド孔53を有する。このガイド孔53を用いることで、MT型光コネクタを光モジュール100に嵌合させることができ、光モジュール100の特性を容易に試験、評価することが可能となる。MT型光コネクタとは、JIS C5981に規定されたMTコネクタのように接続端面の両端に嵌合ピンの挿入可能なガイドピン孔を持ち、その間に光ファイバを配列した光コネクタを指す。スペーサ60は、板部材11の素子実装面11aとレンズアレイ素子ホルダ50との間に介挿される。このスペーサ60の厚みを変えると、マイクロレンズアレイ素子40とVCSELアレイ素子20との間の距離が変化することになる。それに伴い、VCSELアレイ素子20からマイクロレンズアレイ素子40を通して出射されたレーザ光の集光位置も変化する。これによって、筐体10の内部空間14の高さの公差によって生じる、基板実装面12aからマイクロレンズアレイ素子40の集光点までの距離のばらつきを減少するように補正することが可能である。レンズアレイ素子ホルダ50は、枠部材12に面する側面54の一部が、主表面51に対して傾斜するように面取り加工されている。なお、レンズアレイ素子ホルダ50およびスペーサ60はたとえば銅などの熱伝導性の高い金属材料からなるものが好ましい。
この光モジュール100の動作を説明する。まず、ドライバIC30は、外部から平面電極パッド16および筐体10に形成された配線パターンを介して電源電圧信号、差動高周波信号、制御信号等を供給され、これらの信号を基にVCSELアレイ素子20を駆動する。VCSELアレイ素子20の各VCSEL素子は、差動高周波信号を含む、たとえば波長1.1〜1.5μmのレーザ光信号を出力する。マイクロレンズアレイ素子40の各マイクロレンズは、各VCSEL素子から出力されたレーザ光信号を受け付けて集光し、例えば外部の光学部品との所定の光学結合を実現する。なお、光学結合を実現する場合は、マイクロレンズアレイ素子40のようなレンズ素子を用いた方が、レンズ素子を用いないいわゆるバットカップリングよりも結合効率を高くできるので好ましい。
つぎに、この光モジュール100の組立方法について説明する。まず、板部材11と枠部材12とをはんだリフローやAuバンプの圧接等によって接合する。このとき、例えば融点が220℃程度のSnAgCu系はんだを用いる。また、板部材11と枠部材12との間のアラインメントは、3個のガイド孔17を用いて行うことができる。
つぎに、素子実装面11aにVCSELアレイ素子20を実装する。VCSELアレイ素子20は、マーカ11aaを用いてアラインメントを行えば、より正確な位置に実装できるので好ましい。つぎに、素子実装面11aの凹部11abにドライバIC30を実装する。ドライバIC30は、素子実装面11aに形成された電極パッドとワイヤボンディングする。VCSELアレイ素子20とドライバIC30との間もワイヤボンディングする。ドライバIC30が凹部11abに実装されているので、VCSELアレイ素子20とドライバIC30との間の高さの差が小さくなるため、ボンディングワイヤの長さを短くできる。その結果、ドライバIC30からVCSELアレイ素子20にワイヤボンディングを介して出力される差動高周波信号の品質の劣化が抑制される。
また、平面電極パッド16のうち、電源用の平面電極パッド16aと制御信号用の平面電極パッド16dは、枠部材12の導波路導入口15側(コの字の先端側)に配置されている。これによって、差動高周波信号用の平面電極パッド16bから筐体10内の配線パターンを通してドライバIC30に到る経路には、差動高周波信号以外の信号用の配線パターンが存在しないこととなる。そのため、差動高周波信号用の配線パターンの取り回しが容易となり、パターン長を短くできるとともに、電源の低周波成分の影響を受けにくいので、差動高周波信号の品質の劣化が抑制される。
つぎに、接着剤等でスペーサ60を素子実装面11aに接着する。ここで、内部空間14の高さを確保しつつ光モジュール100の高さを低く(低背化)して小型化するため、および、ドライバIC30が動作時に発生する熱を外部に効率よく放熱するためには、板部材11の厚さが薄い方が好ましい。しかし、板部材11が薄いとドライバIC30からの熱で反りやたわみ等の変形が生じるおそれがある。これによって、たとえばVCSELアレイ素子20とマイクロレンズアレイ素子40との距離が変化し、上記の所定の光学結合の状態が劣化するおそれがある。これに対して、スペーサ60を金属等の、筐体10よりも剛性が高い材料で形成すれば、上記の変形は抑制されるので、所定の光学結合の状態の劣化も抑制される。
また、上述したように、枠部材12は誘電体と銅箔とを交互に積層した構造を有するので、その厚さに製造誤差等による設計値からの誤差が生じやすい。枠部材12の厚さに誤差があると、内部空間14の高さにも誤差が生じるため、マイクロレンズアレイ素子40によって実現される所定の光学結合に誤差が生じることとなる。したがって、あらかじめ厚さが異なるスペーサ60を用意しておき、あらかじめ測定した枠部材12の厚さ(内部空間14の高さ)の誤差に応じて、その誤差を相殺するような厚さのスペーサ60を選定して用いれば、上記の光学結合の誤差の問題は解消される。
つぎに、レンズアレイ素子ホルダ50の保持孔52にマイクロレンズアレイ素子40を挿入して接着する。つぎに、レンズアレイ素子ホルダ50をスペーサ60に載置し、VCSELアレイ素子20とマイクロレンズアレイ素子40とのアラインメントとを行った後に、レンズアレイ素子ホルダ50をスペーサ60に接着する。このとき、レンズアレイ素子ホルダ50やスペーサ60とドライバIC30との隙間を、シリコーン等の熱伝導性の高い樹脂で充填すれば、ドライバIC30の動作時に発生する熱が樹脂を介してレンズアレイ素子ホルダ50やスペーサ60から放熱されるので好ましい。
VCSELアレイ素子20とマイクロレンズアレイ素子40とのアラインメントは、VCSELアレイ素子20を動作させてレーザ光を出力させた状態で、マイクロレンズアレイ素子40を透過した光の状態の観測によってアラインメントを行うという、いわゆるアクティブアラインメントによって行うことができる。なお、マイクロレンズアレイ素子40を透過した光の状態の観測は、たとえば顕微鏡を用いて行っても良いし、公知のMTコネクタ付の光ファイバアレイのMTコネクタをマイクロレンズアレイ素子40に対向させて、光ファイバアレイから出力されるレーザ光の強度を測定するようにしてもよい。なお、ここではMTコネクタを用いて説明しているが、位置決め構造を有する光ファイバ内蔵部材であれば利用することができる。ガイド孔53は、ガイドピンを介して評価用のMTコネクタと位置決めするために設けられている。この場合、MTコネクタのガイド孔とレンズアレイ素子ホルダ50のガイド孔53とにガイドピンを挿通するようにすれば、MTコネクタをレンズアレイ素子ホルダ50と容易に嵌合させることが可能である。この際にMTコネクタの光接続端面へ光が結合されるように有機光導波路の光入出端面との間にスペーサを挿入する。これによって、MTコネクタとマイクロレンズアレイ素子40とを精度良くアラインメントすることができるとともに、光モジュール100の特性を容易に評価することが可能である。これによって、より位置精度の高いアクティブアラインメントが実現される。
なお、上述したように、レンズアレイ素子ホルダ50は、枠部材12に面する側面54の一部が面取り加工されているので、レンズアレイ素子ホルダ50をスペーサ60に接着するための接着剤を流し込みやすく、作業性が高い。
つぎに、光モジュール100の回路基板への実装方法について説明する。図7は、光モジュールの回路基板への実装方法を説明する図である。図7に示すように、回路基板200上には有機光導波路210が接着により搭載されている。有機光導波路210の一端は楔状の楔部211に加工されている。また、回路基板200上には、光モジュール100のガイド孔17の配置に対応させて配置された3個のマーカ220が設けられている。
光モジュール100を回路基板200に実装する際は、例えば公知のフリップチップボンダを用いて行うことができる。この場合、フリップチップボンダのヘッドで光モジュール100の裏面11bを吸着して持ち上げ、光モジュール100を回路基板200上の所定の位置に移動させて載置し、ヘッドから、筐体10を介して熱を与えることによって、光モジュール100の各平面電極パッド16と回路基板200上の電極パッドとをはんだ接合する。これによって、光モジュール100が実装された回路基板1000が完成する。
実装の際は、光モジュール100の基板実装面12aを回路基板200に対向させ、光モジュール100のガイド孔17から回路基板200上のマーカ220を観察しながら、ガイド孔17と回路基板200上のマーカ220とを合わせるようにアラインメントすることによって、光モジュール100を正確に回路基板200の所望の位置に実装することができる。
特に、本実施の形態1では、3個のガイド孔17と3個のマーカ220とでアラインメントを行うので、光モジュール100の回転方向の位置ズレ、およびそのズレ量の把握およびその補正が容易であるので、光モジュール100を正確に位置精度良く回路基板200の所望の位置に実装することが、より容易となる。3個のガイド孔17と3個のマーカ220とは、二等辺三角形を形成するように配置されているが、他の三角形を形成するように配置されていてもよい。
なお、有機光導波路210は回路基板200表面に突出しているが、光モジュール100を回路基板200に実装した際には、有機光導波路210は、導波路導入口15から内部空間14に導入された状態となるので、光モジュール100とは物理的に干渉しないようにできる。
また、フリップチップボンダを用いて実装を行う際には、ヘッドから与える熱によって、板部材11と枠部材12とを接合している高融点はんだが溶融しないように、この高融点はんだよりも融点が低い低融点はんだを用いることが好ましい。低融点はんだとしては、例えば融点が220℃程度のSnAgCu系はんだや、融点が183℃程度のSnPb系はんだや、融点が137℃程度のSnBi系はんだを使用することができる。ただし、枠部材と板部材の接合にSnAgCuを用いた場合でも、溶融後に融点が上昇するため、光モジュール実装時に温度管理を正確に行えばSnAgCu系はんだを使用することも可能である。また、マイクロレンズアレイ素子40がガラスからなるものであれば、フリップチップボンダによって実装のための加熱を行った場合でも、熱による変形等が起こりにくいので好ましい。また、マイクロレンズアレイ素子40、レンズアレイ素子ホルダ50、またはスペーサ60の接着に使用する接着剤についても、耐熱性が高いエポキシ樹脂等であれば好ましい。
図8は、回路基板上に実装された光モジュールを説明する図である。図8に示すように、VCSELアレイ素子20は、ボンディングワイヤ101によってドライバIC30と電気的に接続している。また、ドライバIC30は、ボンディングワイヤ102によって素子実装面11aの電極パッド(不図示)と電気的に接続している。さらに、電極パッドは、電気的経路DLで示すように、素子実装面11aに形成された配線パターンから、板部材11、接合層13、枠部材12、各平面電極パッド16を介して、回路基板200の配線パターンと電気的に接続している。
光モジュール100のガイド孔17と回路基板200上のマーカ220とを合わせるようにアラインメントしたことによって、光モジュールの100のガイド孔17にVCSEL素子が位置あわせされており、回路基板200上のマーカ220と有機光導波路210が位置あわせされているので、マイクロレンズアレイ素子40と有機光導波路210との位置関係が適正になるように実装されている。
有機光導波路210は、導波路導入口15から内部空間14に導入されているので、光モジュール100とは物理的に干渉しないようになっている。また、枠部材12の厚さの適正な設定によって、有機光導波路210と、マイクロレンズアレイ素子40およびレンズアレイ素子ホルダ50とが物理的に干渉しないようになっている。このとき、内部空間14にごみ等が入らないように、導波路導入口15をグリスや樹脂等で塞いでも良い。
光モジュール100の使用時には、ドライバIC30は、回路基板200から平面電極パッド16を介して電源電圧信号、差動高周波信号、制御信号等を供給される。VCSELアレイ素子20は、ドライバIC30によって駆動され、各VCSEL素子から、差動高周波信号を含むレーザ光信号Lを出力する。マイクロレンズアレイ素子40の各マイクロレンズは、各VCSEL素子から出力されたレーザ光信号Lを受け付けて、有機光導波路210の上方から有機光導波路210にレーザ光信号Lを集光する。楔部211は、集光されたレーザ光信号Lを反射して有機光導波路210に結合させる。有機光導波路210は、レーザ光信号Lを、例えば他の回路基板に伝送する。
上述したように、スペーサ60は、板部材11の変形の抑制の効果、および枠部材12の厚さの公差によって生じる、基板実装面12aからマイクロレンズアレイ素子40の集光点までの距離のばらつきを減少する効果を奏するので、レーザ光信号Lの有機光導波路210への好適な結合が実現される。
ここで、回路基板200には、光モジュール100と略同様の構成であるが、VCSELアレイ素子20の代わりに受光素子であるフォトダイオードアレイ素子が実装され、かつドライバIC30の代わりにトランスインピーダンスアンプやリミッティングアンプ等が実装された受信用光モジュールが実装されている。この受信用光モジュールは、他の回路基板から、他の有機光導波路を伝送してきたレーザ光信号を受光することができる。これによって、ボード間での光インターコネクションが実現される。
以上説明したように、本実施の形態1に係る光モジュール100によれば、光モジュール100と有機光導波路210との物理的な干渉は防止される。さらには、光モジュール100を正確に位置精度良く回路基板200の所望の位置に実装することが、より容易となる。これによって、VCSELアレイ素子20と有機光導波路210との光軸をより正確且つ容易に一致させることができるので、VCSELアレイ素子20が出力するレーザ光信号Lと有機光導波路210との好適な光学結合が、より容易に実現される。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る光モジュールの模式的な断面図である。図9に示すように、本実施の形態2に係る光モジュール100Aは、実施の形態1に係る光モジュール100において、筐体10を筐体10Aに置き換えた構成を有する点が、光モジュール100とは異なる。筐体10Aは、筐体10において、板部材11を板部材11Aに置き換えた構成を有する点が、筐体10とは異なる。
板部材11Aは、板部材11において、ドライバIC30の裏面側の凹部11abの底面から貫通するように、複数の棒状の放熱部材71が埋設された構成を有する。放熱部材71は熱伝導率が高い材質からなり、たとえば銅やアルミニウムからなることが好ましい。また、板部材11Aの裏面11bには放熱部材71に接するようにヒートシンク72が設けられている。ヒートシンク72も熱伝導率が高い材質からなり、たとえば銅やアルミニウムからなることが好ましい。
この光モジュール100Aでは、放熱部材71とヒートシンク72とによって、ドライバIC30の動作時に発生する熱が放熱されるのでさらに好ましい。なお、板部材11Aにビアホールを形成し、ビアホールに熱伝導率の高い放熱部材71を埋設する。
光モジュールの実装方法の別の実施例として、はんだを用いて実装する場合について説明する。
一般的には、光モジュール100の平面電極パッド16がある面(基板実装面12a)について、平面電極パッド16上にはんだボールが、光モジュール100を作製するする最初の段階で載っている/あるいは光モジュール100を作製した後に載せた、BGA(ボール・グリッド・アレイ)状の光モジュール100とし、そのはんだを溶かして回路基板(Opto−基板)上にその光モジュール100を実装する。
しかし、本実施例では、光モジュール100の平面電極パッド16は図のようにLGA(ランド・グリッド・アレイ)状とし、はんだボールを使用しない方法にてはんだ実装を行った。
具体的には、電気的接続を行う所定箇所に穴が空いている約10μmの厚さのマスク板をOpto−基板に置き、その上からはんだクリームを塗布し、ヘラのようなものでならして前記の穴にはんだクリームを入れるとともに、前記マスク板厚より厚い余分なはんだクリームを取除き、電気的接続をおこなう所定箇所に約100μmの厚さのはんだクリーム層を形成する。
その後、光モジュール100とOpto−基板の位置を合わせ、はんだを溶かして実装する。この実装は、フリップチップボンダで実装する方法や、リフロー炉を通すリフロー実装の方法などがある。
その後、樹脂材料等からなる一般的なアンダーフィル材にて実装面の隙間を埋める。
なお、前記の電気的接続をおこなう所定箇所に形成する約100μmの厚さのはんだクリーム層は、光モジュール側に形成してもよい。
また、はんだボールを使用しない方法にてはんだ実装を行った物(光モジュールを実装したOpto−基板)の信頼性に問題がないことを確認した。
上記実装方法を用いた場合、BGAに比べてはんだ層を薄くすることが可能なので、枠部材と回路基板の距離のばらつきを小さくすることが可能であり、結果として、光モジュールから出力される光を安定して有機導波路へ結合させることが可能になる。
なお、上記実施の形態では、筐体は板部材と枠部材とを接合して構成したものであるが、開口と内部空間と導波路導入口とを有すれば、その構成は特に限定されず、例えば、板部材と枠部材とを一体に形成したものでもよいが、コの字状の場合はLGAの配置可能な面積を大きく取れるので好ましい。また、板部材の形状も矩形に限られない。さらに、枠部材の形状も、上記実施の形態のように、矩形状の枠体の一辺の全部が開口しているコの字状に限られず、例えば枠の一辺の一部だけが開口しているものや、複数の辺の一部または全部が開口しているものでもよい。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る光モジュールについて、図4の断面図に対応する図である。図11は、本実施の形態3に係る光モジュールの正面図である。図12は、本実施の形態3に係る光モジュールについて、図6の断面図に対応する図である。図13は、回路基板上に実装された光モジュールを説明する図である。
図10〜13に示すように、本実施の形態3に係る光モジュール100Bは、実施の形態1に係る光モジュール100において、接合層13を接合層13Bに置き換えた構成を有する点が、光モジュール100とは異なる。
板部材11と枠部材12とは、板部材11と枠部材12との間の配線パターンを接続し、その導通を確保するように、接合層13BにおいてはんだやAuバンプや導電性の樹脂等の第1接合材としての金属接合材13Baで接合され、かつ金属接合材13Baの間を埋めるように配置された第2接合材としての樹脂接着剤13Bbによって接合されている。
光モジュール100Bは、光モジュール100と同様に動作する。
つぎに、この光モジュール100Bの組立方法について説明する。まず、板部材11と枠部材12とを接合する。接合する際は、複数の金属接合材13Baと、金属接合材13Baの間を埋めるように配置した樹脂接着剤13Bbによって行う。金属接合材13BaははんだリフローやAuバンプの圧接等によって接合する。このとき、例えば融点が220℃程度のSnAgCu系はんだを用いる。または、たとえば金属ナノ粒子ペーストを用いたはんだのように、リフロー時の溶融温度よりも、リフロー後の再溶融温度の方が高いようなはんだを用いてもよい。また、板部材11と枠部材12との間のアラインメントは、3個のガイド孔17を用いて行うことができる。
ここで、内部空間14の高さを確保しつつ光モジュール100の高さを低く(低背化)して小型化するため、および、ドライバIC30が動作時に発生する熱を外部に効率よく放熱するためには、板部材11の厚さが薄い方が好ましい。しかし、板部材11が薄いと、その機械的強度が確保できないおそれがある。その結果、ドライバIC30からの熱で、板部材11の反りやたわみ等の変形が生じるおそれがある。これによって、たとえばVCSELアレイ素子20とマイクロレンズアレイ素子40との距離が変化し、上記の所定の光学結合の状態が劣化するおそれがある。しかしながら、本実施の形態3では、板部材11と枠部材12とが金属接合材13Baだけでなく、金属接合材13Baの間を埋めるように配置した樹脂接着剤13Bbによって接合しているので、板部材11と枠部材12との接合面積が大きくなる。これによって板部材11が薄くても、その機械的強度の不足が補われ、変形が抑制される。さらには、板部材11と枠部材12との接合面積が大きいので、放熱性がさらに高くなる。
つぎに、素子実装面11aにVCSELアレイ素子20を実装する。VCSELアレイ素子20は、マーカ11aaを用いてアラインメントを行えば、より正確な位置に実装できるので好ましい。つぎに、素子実装面11aの凹部11abにドライバIC30を実装する。ドライバIC30は、素子実装面11aに形成された電極パッドとワイヤボンディングする。VCSELアレイ素子20とドライバIC30との間もワイヤボンディングする。ドライバIC30が凹部11abに実装されているので、VCSELアレイ素子20とドライバIC30との間の高さの差が小さくなるため、ボンディングワイヤの長さを短くできる。その結果、ドライバIC30からVCSELアレイ素子20にワイヤボンディングを介して出力される差動高周波信号の品質の劣化が抑制される。更に、凹部11abの板部材11の厚みが薄くなるので、放熱性が向上する。
また、平面電極パッド16のうち、電源用の平面電極パッド16aと制御信号用の平面電極パッド16dは、枠部材12の導波路導入口15側(コの字の先端側)に配置されている。これによって、差動高周波信号用の平面電極パッド16bから筐体10内の配線パターンを通してドライバIC30に到る経路には、差動高周波信号以外の信号用の配線パターンが存在しないこととなる。そのため、差動高周波信号用の配線パターンの取り回しが容易となり、パターン長を短くできるとともに、電源の低周波成分の影響を受けにくいので、差動高周波信号の品質の劣化が抑制される。
つぎに、接着剤等でスペーサ60を素子実装面11aに接着する。スペーサ60を金属等の、筐体10よりも剛性が高い材料で形成すれば、上記の板部材11の機械的強度の不足がさらに補われ、変形は抑制されるので、所定の光学結合の状態の劣化もさらに抑制される。
また、上述したように、枠部材12は誘電体と銅箔とを交互に積層した構造を有するので、その厚さに製造誤差等による設計値からの誤差が生じやすい。枠部材12の厚さに誤差があると、内部空間14の高さにも誤差が生じるため、マイクロレンズアレイ素子40によって実現される所定の光学結合に誤差が生じることとなる。したがって、あらかじめ厚さが異なるスペーサ60を用意しておき、あらかじめ測定した枠部材12の厚さ(内部空間14の高さ)の誤差に応じて、その誤差を相殺するような厚さのスペーサ60を選定して用いれば、上記の光学結合の誤差の問題は解消される。
つぎに、レンズアレイ素子ホルダ50の保持孔52にマイクロレンズアレイ素子40を挿入して接着する。つぎに、レンズアレイ素子ホルダ50をスペーサ60に載置し、VCSELアレイ素子20とマイクロレンズアレイ素子40とのアラインメントとを行った後に、レンズアレイ素子ホルダ50をスペーサ60に接着する。このとき、レンズアレイ素子ホルダ50やスペーサ60とドライバIC30との隙間を、シリコーン等の熱伝導性の高い樹脂で充填すれば、ドライバIC30の動作時に発生する熱が樹脂を介してレンズアレイ素子ホルダ50やスペーサ60から放熱されるので好ましい。
VCSELアレイ素子20とマイクロレンズアレイ素子40とのアラインメントは、VCSELアレイ素子20を動作させてレーザ光を出力させた状態で、マイクロレンズアレイ素子40を透過した光の状態の観測によってアラインメントを行うという、いわゆるアクティブアラインメントによって行うことができる。なお、マイクロレンズアレイ素子40を透過した光の状態の観測は、たとえば顕微鏡を用いて行っても良いし、公知のMTコネクタ付の光ファイバアレイのMTコネクタをマイクロレンズアレイ素子40に対向させて、光ファイバアレイから出力されるレーザ光の強度を測定するようにしてもよい。ガイド孔53は、ガイドピンを介して評価用のMTコネクタと嵌合できるように形成されており、位置決めするために設けられている。この場合、MTコネクタのガイド孔とレンズアレイ素子ホルダ50のガイド孔53とにガイドピンを挿通するようにすれば、MTコネクタをレンズアレイ素子ホルダ50と容易に嵌合させることが可能である。この際にMTコネクタの光接続端面へ光が結合されるように有機光導波路の光入出端面との間にスペーサを挿入する。これによって、MTコネクタとマイクロレンズアレイ素子40とを精度良くアラインメントすることができるとともに、光モジュール100の特性を容易に評価することが可能である。これによって、より位置精度の高いアクティブアラインメントが実現される。
なお、上述したように、レンズアレイ素子ホルダ50は、枠部材12に面する側面54の一部が面取り加工されているので、レンズアレイ素子ホルダ50をスペーサ60に接着するための接着剤を流し込みやすく、作業性が高い。
光モジュール100Bを回路基板200に実装する際は、例えば公知のフリップチップボンダを用いて行うことができる。
フリップチップボンダを用いて実装を行う際には、ヘッドから与える熱によって、板部材11と枠部材12とを接合している金属接合材13Ba、たとえば高融点はんだが溶融しないように、この高融点はんだよりも融点が低い低融点はんだを用いることが好ましい。低融点はんだとしては、例えば融点が220℃程度のSnAgCu系はんだや、融点が183℃程度のSnPb系はんだや、融点が137℃程度のSnBi系はんだを使用することができる。ただし、枠部材と板部材の接合にSnAgCuを用いた場合でも、溶融後に融点が上昇するため、光モジュール実装時に温度管理を正確に行えばSnAgCu系はんだを使用することも可能である。また、マイクロレンズアレイ素子40がガラスからなるものであれば、フリップチップボンダによって実装のための加熱を行った場合でも、熱による変形等が起こりにくいので好ましい。また、マイクロレンズアレイ素子40、レンズアレイ素子ホルダ50、またはスペーサ60の接着に使用する接着剤についても、耐熱性が高いエポキシ樹脂等であれば好ましい。
ただし、フリップチップボンダ実装や、ドライバIC30からの発熱によって、板部材11と枠部材12とを接合している金属接合材13Baが溶融してしまったとしても、樹脂接着剤13Bbによって板部材11と枠部材12との接合が維持されるようにして、実装時等に筐体10に掛かる加圧力に耐えうるようにしてもよい。この点で、樹脂接着剤13Bbは金属接合材13Baよりも熱による変形が少ない材料からなることが好ましい。樹脂接着剤13Bbとしてはたとえばエポキシ樹脂等の耐熱性が高い材料を用いることができる。また、前記金属接合材13Baと混合せず、前記金属接合材13Baが電気的な接続を担っている場合には絶縁性をもつ材料であると都合が良い。
図13は、回路基板上に実装された光モジュールを説明する図である。図13に示すように、VCSELアレイ素子20は、ボンディングワイヤ101によってドライバIC30と電気的に接続している。また、ドライバIC30は、ボンディングワイヤ102によって素子実装面11aの電極パッド(不図示)と電気的に接続している。さらに、電極パッドは、電気的経路DLで示すように、素子実装面11aに形成された配線パターンから、板部材11、接合層13B、枠部材12、各平面電極パッド16を介して、回路基板200の配線パターンと電気的に接続している。
本実施の形態3に係る光モジュール100Bによれば、板部材11が薄くても、その変形が抑制されるので、十分な筐体強度を確保しつつ、光モジュール100の低背化と高放熱性が実現される。さらには、VCSELアレイ素子20が出力するレーザ光信号Lと有機光導波路210との好適な光学結合が実現される。
(実施の形態4)
図14は、本発明の実施の形態4に係る光モジュールの模式的な断面図である。図14に示すように、本実施の形態4に係る光モジュール100Cは、実施の形態3に係る光モジュール100Bにおいて、筐体10を筐体10Aに置き換えた構成を有する点が、光モジュール100Bとは異なる。筐体10Aは、筐体10において、板部材11を板部材11Aに置き換えた構成を有する点、および、ガイド孔17に支持部材73が挿入されている点が、筐体10とは異なる。
板部材11Aは、板部材11において、ドライバIC30の裏面側の凹部11abの底面から貫通するように、複数の棒状の放熱部材71が埋設された構成を有する。放熱部材71は熱伝導率が高い材質からなり、たとえば銅やアルミニウムからなることが好ましい。また、板部材11Aの裏面11bには放熱部材71に接するようにヒートシンク72が設けられている。ヒートシンク72も熱伝導率が高い材質からなり、たとえば銅やアルミニウムからなることが好ましい。
支持部材73は、たとえば銅やアルミニウムなどの金属からなり、ガイド孔17に挿入されることによって、筐体10の機械的強度をさらに高めている。なお、支持部材73を圧入により挿入したり、ガイド孔17に接着剤等で固着させたりすれば、筐体10の機械的強度をさらに高めることができるのでより好ましい。
この光モジュール100Cでは、放熱部材71とヒートシンク72とによって、ドライバIC30の動作時に発生する熱が放熱されるのでさらに好ましい。なお、板部材11Aに放熱部材71を埋設する代わりにビアホールを形成し、ビアホールに熱伝導率の高い放熱部材71を埋設する。また、支持部材73を回路基板に接触するような構造として、支持部材73を通して光モジュール100Cの熱を回路基板に放熱するようにしてもよい。
あるいは、レンズアレイ素子ホルダ50と回路基板とを熱伝導性樹脂等で熱的に接続させることで放熱するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、第2接合材として樹脂接着剤を利用しているが、樹脂接着剤の代わりに、たとえば表面に接着剤を塗布した接着性を有する板材を、第1接合材の間を埋めるように配置してもよい。
また、たとえば、実施の形態4の支持部材73を他の実施の形態に適用してもよい。また、筐体強度が確保されているので、例えば各実施の形態に係る光モジュール上にさらに他の素子を実装してもよい。この場合、当該他の素子をフリップチップボンディングする際に筐体に圧力が掛かっても、筐体の変形は抑制される。
(実施の形態5)
図15は、本発明の実施の形態5に係る光モジュールの模式的な平面図である。図15に示す、本実施の形態5に係る光モジュールは、実施の形態1に係る光モジュール100において、3個のガイド孔17のそれぞれに光学部材18を設けたものである。各光学部材18はたとえば光学窓やレンズである。各光学部材18は各ガイド孔17の内部に埋め込まれていても良いし、各ガイド孔17を覆うように設けられていても良い。
特に、光学部材18がレンズである場合は、以下の効果がある。すなわち、光モジュールが回路基板に対して傾斜している場合、各レンズと回路基板上の各マーカとの距離が異なることとなるので、ガイド孔17からレンズを通して回路基板上のマーカを観察した場合、同じ大きさで形成されたマーカがそれぞれ違った大きさに見える。したがって、光モジュールのあおり方向のズレを容易に把握できるとともに、各マーカが同じ大きさに見えるように光モジュールの傾きを調整して実装すれば、より正確に光モジュールを実装できる。
なお、各実施の形態においては、図15に示すように、ガイド孔17が形成する二等辺三角形の一つの辺Sと、マイクロレンズアレイ素子40およびその下に位置するVCSELアレイ素子20の単位素子(VCSEL素子またはマイクロレンズ)の配列方向Dとが略平行である。このように、辺Sの方向を目安として、これと配列方向Dとが略平行になるように、VCSELアレイ素子20およびマイクロレンズアレイ素子40を実装すれば、より実装精度が向上し、特に各単位素子毎の光学結合の状態のばらつきが抑制されるので好ましい。
なお、本実施の形態5では、光学部材18は、3個のガイド孔17のそれぞれに設けられているが、3個のガイド孔17の少なくとも1つに設けられていてもよい。
(マーカの他の実施の形態)
つぎに、回路基板上に形成されたマーカの他の実施の形態について説明する。図16は、回路基板上に形成されたマーカの他の実施の形態を示す図である。図16に示す実施の形態では、回路基板200A上に、大きさが異なる3つの三角形を同心状に配置して形成された3つのマーカ220Aが形成されている。各マーカ220Aの頂点の一つは3つのマーカ220Aの重心の方向を向いている。
図17は、図16に示すマーカによる位置合わせを説明する図である。符号Vはガイド孔17を通して回路基板200Aを見た視野の範囲を示している。上記各実施の形態に係る光モジュール100、100A〜100C等を回路基板200Aに実装する場合には、以下のようにする。すなわち、ガイド孔17からの視野Vに現れるマーカ220Aの形状や向きをもとに、回転方向Ar1のズレや面方向Ar2のズレを調整し、視野Vに現れるマーカ220Aの様子が等しくなるようにすることによって、光モジュール100等と回路基板200Aとのアラインメントを行うことができる。これによって、より位置精度の良い実装が実現される。なお、図16、17では、各マーカ220Aの頂点の一つが3つのマーカ220Aの重心の方向を向いているが、各マーカ220Aの辺の一つが3つのマーカ220Aの重心の方向を向くようにしてもよい。
図18A〜Dは、回路基板上に形成されたマーカのさらに他の実施の形態を示す図である。図18Aは、単一の三角形または円からなるマーカである。図18Bは、大きさが異なる3つの三角形または円を同心状に配置して形成されたマーカである。図18Cは、大きさが異なる3つの三角形または円を同心状の位置から所定の方向に偏心するように配置して形成されたマーカである。図18Dは、大きさが異なる4つの三角形または円を同心状に配置して形成されたマーカである。このように、複数配置される三角形はたは円の数は特に限定されない。なお、図18Dの各マーカにおいて、三角形または円の間隔は、ガイド孔を通して見た視野Vの広さよりも狭くなっている。これによって、複数の三角形または円を同時に観察することができるので、光モジュールと回路基板との位置ズレの方向がより把握しやすくなるため、よりアラインメントが容易となる。
図19は、マーカの配置の一例を示す図である。図19では、図18Cに示した、偏心した3つの円から構成されたマーカ220Bは、その偏心の方向が3つのマーカ220Bの重心Gに向いている。これによって、光モジュールと回路基板との位置ズレの方向がより把握しやすくなるため、よりアラインメントが容易となる。
なお、上記実施の形態では、マーカは円または三角形からなるが、十字や多角形などの他の幾何学図形からなるものでもよい。また、ガイド孔とマーカとの形状を一致させてもよい。また、大きさが異なる複数の幾何学図形を配置してマーカを形成する場合には、いずれか一つの光学窓にバーニヤ目盛を形成することで、両者の相対的な位置ずれ量を正確に把握することが出来、結果として精密なアラインメントが可能となる。
また、フリップチップボンダにCCDカメラ等を搭載させ、カメラに撮影されたガイド孔から見えるマーカの形状を予めメモリに記録された様々な位置関係のパターンと比較し、実装位置を修正させることによって実装作業を自動化することができ生産性が向上する。
また、例えば各実施の形態に係る光モジュール上に、さらに他の素子や他の素子が搭載された基板を1層または多層に積層実装してもよい。この積層実装は例えばPOP実装によって実現される。この場合も、筐体を貫通するように設けられたガイド孔によって、当該他の素子や他の基板を位置精度良く実装することができる。
(実施の形態6)
つぎに、本発明の実施の形態6に係る光モジュール搭載システム(以下搭載システムと略記する)の一例について説明する。
本実施の形態6に係る光モジュール搭載システムに搭載される光モジュールは、たとえば上記実施の形態1に係る光モジュール100であるが、実施の形態2〜5に係る光モジュールでもよい。
図20は本実施の形態6に係る光モジュール搭載システムに搭載される別の光モジュールの形態の一例を示したものである。図20において、符号100Dが光モジュール、符号10Dがパッケージ、符号19Aが導波路(光ファイバ)、符号19Bが光素子、符号19Cが光コネクタである。ここで、導波路19Aは90度に曲げた光ファイバであるが、90度曲げミラーなどで光路を曲げる構成としても良い。光モジュール100Dでは、90度曲げ光コネクタ19Cとパッケージ10Dとが光接続するように接着剤Rで固定されている。
つぎに、本発明の光モジュール搭載システムについて説明する。図21は、実施の形態6に係る搭載システムの模式的な斜視図である。図22、23、24は、それぞれ図21の側面図、正面図、平面図である。図21〜24に示すように、搭載システム2000は、光モジュール等を動作させるための電子部品を備える回路基板300と、ソケット400と、蓋500と、MTコネクタ支持部材600とを備えている。図25は、回路基板300およびソケット400の斜視図である。図26は、MTコネクタ支持部材600の斜視図である。図27は、図22の一部断面図である。図28は、図23の一部断面図である。図27、28に示すように、搭載システム2000は、さらにスペーサ700を備えている。スペーサ700は剛性を有する例えば銅等の金属からなる。
回路基板300は、主表面に形成された、光モジュール100を駆動するための電力および電気信号を光モジュール100に供給するための配線パターン301と、主表面に形成され、MTコネクタCを挿通するための開口である挿通孔302とを有している(図27、28参照)。
ソケット400は、回路基板300に載置され、光モジュール100を収容できるように形成された枠体であり、開口401と、光モジュール100を載置するための載置部402と、回路基板300に設けられた貫通孔に挿通される4つの螺子部403とを備えている。載置部402は、誘電体、たとえばポリエーテルイミド等の樹脂からなる。載置部402には、回路基板300の配線パターン301との電気的接続を確保するための導電部材であるスプリング付のピン402aがインターフェースとして内蔵されている(図27、28参照)。
蓋500は、本体内に形成された内部空間501内に設けられた4つのコイル状のバネ502と、バネ502の先端部に設けられた押圧板503と、正面側に設けられた2つのラッチ構造504と、ラッチ構造504を付勢するコイル状のバネ505とを備えている。蓋500は、バネ505によって付勢されたラッチ構造504がソケット400に係合することによってソケット400に係止される。バネ502および押圧板503は押圧機構を構成している。
MTコネクタ支持部材600は、板状の本体から突出し、ゴムなどの弾性体からなる4本の支持柱601と、光モジュール100と光学結合させる受光部材(光学結合部材)であるMTコネクタCを支持するためのMTコネクタ支持穴602と、MTコネクタCをMTコネクタ支持穴602に導入するための開口603と、ナット604とを備えている。支持柱601には貫通孔601aが設けられている。この際、開口603の幅はMTコネクタCを側方から導入させるために、MTコネクタCに接続される光ファイバテープが導入可能な大きさ、形状であると都合が良い。なお、本実施の形態では支持柱601は弾性体からなる部材を用いているが、これに代えて、MTコネクタ支持部材600と回路基板の間にバネなどを挿入する構成としても良い。
MTコネクタ支持部材600は、回路基板300に対して、ソケット400と反対側に配置される。ソケット400およびMTコネクタ支持部材600は、MTコネクタCを開口603からMTコネクタ支持穴602に導入し、回路基板300を介在させた状態でソケット400の螺子部403を支持柱601の貫通孔601aに挿通し、螺子部403にナット604を螺合することによって、回路基板300に固定される。
なお、MTコネクタCは外部機器に接続している。
MTコネクタ支持穴602内には段差602aが設けられている(図26、27参照)。MTコネクタCが開口603からMTコネクタ支持穴602に導入されると、MTコネクタCの光接続端面の反対側の端部の少なくとも一部は段差602aに載置される。段差602aによってMTコネクタCの図面下方(光モジュールから離れる方向)への移動が規制される。
また、MTコネクタ支持部材600と回路基板300との間には、支持柱601より若干低い高さのスペーサ700が、その挿通孔701にMTコネクタCが挿通された状態で介挿される(ナット604を締めることによって支持柱601の高さがスペーサとほぼ等しくなる)。このスペーサ700と、MTコネクタCの外形の太くなったあご部とが係合し、MTコネクタCの上方への移動が規制される。したがって、段差602aおよびスペーサ700によってMTコネクタCの上方および下方への移動が規制される。MTコネクタ支持部材600とスペーサ700とが、受光部材であるMTコネクタCの高さ方向位置決め機構を構成している。つまり、光モジュールとMTコネクタとの光結合の光軸方向の位置決めに関して、MTコネクタCの位置は回路基板に関して設定されている。なおこの際、MTコネクタ支持部材600とスペーサ700によって、上下方向の位置決めがなされているが、側方に関しては若干の遊びを持つように、挿通孔302のサイズが決められていると水平方向の光軸調整が可能となり都合が良い。
図29A、29Bにスペーサの好例を示す。スペーサ700Aはガイド部分703と板部分702とを有する。ガイド部分703はMTコネクタCの挿入を規制する。板部分702は回路基板300に面接触する。挿通孔302はガイド部分703の外形より0.5mmから1mm大きくすると都合が良い。これによってMTコネクタCが面内で移動可能となり、水平方向の位置合わせが更に容易になる。なお、板部分702の形状は長方形、正方形、楕円などでもかまわない。また挿通孔302、ガイド部分703の形状もまた本実施の形態に限られず適宜設定することができる。
この搭載システム2000に光モジュール100を搭載する工程の一例を説明する。はじめに、ソケット400を回路基板300に載置する。つぎに、MTコネクタCをMTコネクタ支持穴602の開口603からMTコネクタ支持穴602に導入する。つぎに、スペーサ700の挿通孔701にMTコネクタCを挿通し、MTコネクタ支持部材600と回路基板300との間にスペーサ700を介挿させた状態で、ソケット400の螺子部403にナット604を螺合することによって、ソケット400およびMTコネクタ支持部材600を回路基板300に固定する。
つぎに、光モジュール100を、基板実装面12aが載置部402に当接するように、載置部402に載置し、ソケット400に収容する。その後、MTコネクタCのガイドピン孔C1と光モジュール100のガイド孔53とを、挿通孔302内でMTコネクタCを微調整させながら位置決めした後に嵌合ピンを挿通する。これによって、回路基板300の面内方向に対する、MTコネクタCと光モジュール100との面内方向の相対位置が正確に位置決めされる。すなわちガイドピン孔C1とガイド孔53とは面内方向位置決め機構を構成する。この実施例では後からガイドピンを挿入する場合を例示したが、ガイドピンを有するMTコネクタCを用いて光モジュール100の位置とMTコネクタCの位置を微調整して合わせても良い。さらに、ガイドピンを用いずに、MTコネクタCの挿入方向の下方から、目視でガイドピン孔C1とガイド孔53を合わせる、あるいは光モジュールの光接続面に設けられたアラインメントマーク(図示しない)と、MTコネクタCとに設けられたアラインメントマーク(図示しない)とを合わせるようにしても良い。
つぎに、ソケット400に蓋500のラッチ構造504を係合させ、蓋500をソケット400に固定する。これによって、押圧板503は、バネ502によって付勢されて光モジュール100を載置部402に押圧する。その結果、回路基板300に対する光モジュール100の高さが固定される。光モジュール100の厚さは公差の範囲内でばらつきを有するが、バネ502および押圧板503によって押圧することで、光モジュール100の厚さのばらつきに関わらず光モジュール100は安定した圧力で押圧される。特に押圧板503によって光モジュール100に掛かる圧力が均一になるので好ましい。本実施例では、水平方向の位置決め後に蓋を固定する例を示したがこれに限られず、水平方向の位置決めをする前に蓋500をソケットに固定しても良い。
このとき、載置部402に内蔵されたスプリング付のピン402aは、光モジュール100の基板実装面12aに形成された平面電極パッド16に対応して設けられている。これらのスプリング付のピン402aによって、回路基板300の配線パターン301と光モジュール100の平面電極パッド16との電気的接続が確保される。
すなわち、この搭載システム2000では、光モジュール100を回路基板300にはんだ等により恒久的に実装することなく、回路基板300と光モジュール100との電気的接続を確保して、光モジュール100を評価することができる。また容易に取り外しができるのでメンテナンスを容易に行うことができる。
実使用時において光モジュール100は、様々な設置形態や構造の光導波路と組み合わせられるので、光モジュール100のVCSELアレイ素子20からマイクロレンズアレイ素子40を通して出射されたレーザ光の集光位置の高さは、組み合わせられる光導波路に対応して異なる高さに設計される。
この搭載システム2000では、MTコネクタ支持部材600とスペーサ700とが構成する高さ方向位置決め機構が、MTコネクタCに配列された光ファイバの端面高さと、マイクロレンズアレイ素子40の集光位置との相対的な高さを決定しており、MTコネクタCの受光面とマイクロレンズアレイ素子40の集光位置とを高さ方向において正確に一致させることができる。また、マイクロレンズアレイ素子40の集光位置の高さに応じた厚さのスペーサ700および対応する高さの支持柱601を有するMTコネクタ支持部材600に変更することによって、様々な設置形態や構造の光導波路と組み合わせられる光モジュール100に対して、MTコネクタCの受光面の高さを正確に位置決めできるので、光モジュール100を複数の光モジュールに適用することができる。さらに、スペーサ700にも弾性体を使用した場合は、回路基板とMTコネクタCの接続端面との相対的な距離を変化させることもできる。本実施例に従えば、MTコネクタCの接続端面と光モジュールが接触することが無いので、MTコネクタに不意の力が加えられた際もその力によって光モジュールが破損することが防がれる。
また、本実施の形態に係る光モジュール搭載システムは、容易に光モジュールの取り外しが行えるので光モジュールの評価キットとしての利用にも最適である。この場合、MTコネクタCは光ファイバ多芯ケーブルを介して光モジュール100の伝送特性(ビットエラーレートやジッタ等)を評価する伝送特性評価装置外部機器に接続される。
具体的な評価方法の一例としては、回路基板300の配線パターン301から平面電極パッド16を介して光モジュール100に電源電圧、差動高周波信号、制御信号等を供給し、光モジュール100を実使用に近い状態で動作させる。光モジュール100から出力されたレーザ光信号LをMTコネクタCで受光し、光ファイバ多芯ケーブルを介してレーザ光信号Lを伝送特性評価装置に送信し、伝送特性の評価を実使用に近い状態で評価する。
以上説明したように、本実施の形態6に係る搭載システム2000によれば、挿通孔302を介して、光結合部材を水平方向にも垂直方向にも容易かつ短時間に位置あわせすることが可能なので生産性が向上する。また、回路基板300にはんだ接合等で実装すること無しに、すなわち実装に伴う光モジュールの損傷無しに、高精度に光モジュールの位置決め固定ができるので、光モジュールの回路基板からの取り外しも容易であり、メンテナンス性も向上する。さらに、本実施の形態の搭載システム2000を評価キットに用いれば、光モジュール100を、高周波特性を含めて精度良く評価することができる。
(実施の形態7)
図30は、本発明の実施の形態7に係る搭載システムの一部断面図である。本実施の形態7に係る搭載システム2000Aは、実施の形態6に係る搭載システム2000において、MTコネクタCを導波路支持部材620で置き換え、導波路支持部材620の上部に光モジュール100と光学結合させる受光部材(光結合部材)である有機光導波路Wを付加した構成を有する。図31は、導波路支持部材620および有機光導波路Wの模式図である。なお、本実施の形態では光結合部近傍のみに配置される導波路支持部材620を示したが、有機光導波路Wの下面に沿った長手状の形状を取っても良い。
有機光導波路Wの一端は45度に成形され、楔部W1に加工されている。導波路支持部材620と有機光導波路Wとは接着剤等で接合されている。導波路支持部材620はガイド孔620Aを有する。有機光導波路Wは光ファイバ多芯ケーブルを介して伝送特性評価装置に接続している。
この搭載システム2000Aでは、有機光導波路Wは、導波路支持部材620によって実施の形態6と同様に高さ方向の位置決めがなされる。また、水平方向の位置決めはガイド孔620Aと光モジュールに設けられたガイドピン穴とをガイドピンによって調整するように、開口603の中で微調整して位置決めされる。
以上説明したように、本実施の形態7に係る搭載システム2000Aによれば、挿通孔302を介して、光結合部材を容易に位置あわせすることが可能なので生産性が向上する。また、回路基板300にはんだ接合等で実装すること無しに高精度に光モジュールの位置決め固定ができるので、メンテナンス性も向上する。さらに、本実施形態の搭載システム2000Aを評価キットに用いれば、光モジュール100を、高周波特性を含めて精度良く評価することができる。
なお、上記実施の形態6、7に係る搭載システム2000、2000Aにおいて、ソケット400と蓋500とをラッチ構造を用いずに、ネジなどによる固定方法を用いて光モジュール100を回路基板に実装し、実使用される回路基板を構成しても良い。さらに、光モジュールの取替えの利便性の不要な用途においては、ソケットや蓋などを用いずに、光モジュールを直接回路基板に設けられた回路パターンにはんだ等で固定する手段を取っても良い。
図32は、搭載システムの構成要素を利用して光モジュールを実装した回路基板の模式図である。図32に示す光モジュール搭載回路基板3000は、図7に示す回路基板200に、ソケット400と蓋500とを用いて光モジュール100を実装して構成したものである。上記実施の形態6、7に係る搭載システムは、光モジュールを実使用に近い状態で評価できるものなので、実使用される回路基板に光モジュールを実装する場合に利用することができる。このような光モジュール搭載回路基板3000は、光モジュール100を容易に交換できるので、長期の使用に適する回路基板である。
なお、図32に示す光モジュール搭載回路基板3000において、有機光導波路210に換えて、図33に示すようなガイド孔211Aを備えた有機光導波路210Aを用いても良い。この有機光導波路210Aでは、ガイド孔211Aと光モジュール100のガイド孔53とに嵌合ピンを挿通することによって、回路基板200の面方向における、有機光導波路210Aと光モジュール100との相対位置が正確に位置決めされる。
また、蓋500に備えられたバネ502、505は、コイル状のものに限られず、たとえば板バネでもよい。また、押圧板503をアルミニウム等の熱伝導率が高い材質で構成すれは、光モジュール100の動作時の発熱を放熱できるので好ましい。
また、ソケットを、載置部を有さない構成としてもよい。この場合、導電部材としてのピンの代わりに、光モジュール100の平面電極パッド16と回路基板300の配線パターン301との電気的接続を確保する部材として、高さが略均一なはんだボールを配線パターン301上に配置したものを用いてもよい。または、異方性導電性フィルムを光モジュール100と回路基板300との間に配置してもよい。異方性導電性フィルムが、基板実装面12aから突出した平面電極パッド16によって押圧されると、押圧された部分だけに導電性が生じる。そのため、対向する平面電極パッド16と配線パターン301との間のみが導通し、対向しない平面電極パッド16と配線パターン301との間、平面電極パッド16間、および配線パターン301間は導通しない。
また、MTコネクタ支持部材において支持柱に換えてコイル状または板状のバネを設けた構成としてもよい。
また、実施の形態6において、スペーサを、光モジュール100のレンズアレイ素子ホルダ50とMTコネクタCとの間に配置しても良い。また、MTコネクタCの代わりに他の種類の光コネクタを使用しても良い。
また、上記実施の形態に係る搭載システムは、受信用光モジュールとすることもできる。この場合、MTコネクタCや有機光導波路Wは、受信用光モジュールと光学結合させる発光部材(光学結合部材)として、光ファイバ多芯ケーブルを介してアレイ信号光源に接続される。受信用光モジュールはアレイ信号光源からの光信号を受光し、電気信号を出力する。このシステムを評価キットとして用いることも同様に可能で、用いた場合は、出力された電気信号は、回路基板の配線パターンを介して伝送特性評価装置に送信されてその特性が測定される。これによって、受信用光モジュールを評価することができる。
また、実施の形態6において、MTコネクタCの代わりに、フォトダイオードアレイ素子とアンプとを備えた受光モジュールを直接配置しても良い。この場合、MTコネクタCや光ファイバ多芯ケーブルの特性が含まれない、光モジュール100そのものの特性をより正確に評価することができる。なお、評価すべき光モジュールが受信用光モジュールである場合は、MTコネクタCの代わりに、VCSELアレイ素子とドライバICとを備えた発光モジュールを直接配置しても良い。
また、回路基板において、上記の光結合する有機光導波路の代わりにシリコン細線導波路等のリッジ型の光導波路や、光ファイバシート、PLCチップ等を用いても良い。
(実施の形態8、9)
図34は、実施の形態8に係る光モジュール搭載回路基板の模式図である。図35は、実施の形態9に係る光モジュール搭載回路基板の模式図である。
光モジュール搭載回路基板4000、5000は、光モジュール100と、回路基板200と、有機光導波路210とを備える。実施の形態8、9に係る光モジュール搭載回路基板4000、5000と、実施の形態6、7の光モジュール搭載回路基板との違いは、実施の形態6、7ではソケットを介して光モジュールが回路基板に載置されたが、本実施の形態8、9ではそれぞれ、回路基板200上の配線パターン201に直接光モジュール100がはんだ付け等で固定されて電気的に接続されていること、光学結合部材である有機光導波路210が(必要があればスペーサを介して)回路基板200に直接接着等により固定される点である。実施形態8と実施形態9の違いは、光結合部材である有機光導波路210が回路基板上で、光モジュールと回路基板との間に固定されるか、あるいは、有機光導波路210が回路基板の下面で、光モジュールと有機光導波路で回路基板を挟むように構成されるかという点である。これらの方法によれば、光モジュール100を固定した後に、回路基板300の挿通孔302と同様な形状で設けられた開口202から目視により、回路基板200の面上の水平方向で有機光導波路210に設けられたアラインメントマーク(図示しない)と光モジュールに設けられたアラインメントマーク(図示しない)とをあわせて固定することによって、光学結合の精密な位置決めを容易に行うことができるので生産性が向上する。アラインメントマークとしては上述のガイドピン孔を利用する方法でも、有機光導波路の外径と光モジュール上に設けられたマークとをあわせるなどの方法を取ることができる。なお、実施の形態8、9においてもはんだ固定の代わりにソケットを用いて光モジュールを電気的に脱着可能に固定しても良い。
図34、図35に示すように開口202は回路基板200に設けられた貫通孔であると都合が良いが、光学ガラス203などが孔に埋められた光学窓としてもよい。その他に光学ビアや、レンズを埋め込んだスポットサイズ変換機構を設けても良い。
また本実施の形態においても、光結合部材は有機光導波路210に限られず、PLCなどの平面導波路や、光モジュール側に接続端面を持つ90度曲げ光コネクタなどであってもかまわない。
実施の形態6〜9において、水平方向の位置決めを行った後に、さらに、有機光導波路等の他端に設けられた光検出器等の出力を見ながらアクティブアラインメントを行ってさらに精密な位置あわせをすることもできる。
挿通孔302や開口202は光結合部近傍に設けられると最も都合が良いが、光モジュールと光結合部材の相対的な位置を、開口を通してあわせられるように構成すれば、光結合部近傍以外に設けられても良い。
(実施の形態10)
図36は、本発明の実施の形態10に係る光モジュールの模式的な斜視図である。本実施の形態10に係る光モジュール100Eは、図1に示す実施の形態1に示す光モジュール100において、レンズアレイ素子ホルダ50をレンズアレイ素子ホルダ50Eに置き換えた構成を有する。
レンズアレイ素子ホルダ50Eは、マイクロレンズアレイ素子40を保持している。また、レンズアレイ素子ホルダ50Eはアラインメント用のガイド孔53Eを有する。
また、レンズアレイ素子ホルダ50Eは、マイクロレンズアレイ素子40を保護する保護具を取り付ける取付構造としてのスリット56Eを有している。
図37は、保護具の模式的な側面図である。保護具80は、全体的に板状の形状を有しており、本体部80aと、本体部80aの一端側において本体部80aより厚さが厚く形成された防塵部80bと、防塵部80bに形成された貫通孔80cと、本体部80aの防塵部80bとは反対側の一端側において本体部80aより厚さが薄く形成された挿入部80dとを有している。
図38は、保護具を光モジュールに取り付けた状態を示す図である。保護具80を光モジュール100Eに取り付けるときは、保護具80の挿入部80dをレンズアレイ素子ホルダ50Eのスリット56Eに挿入する。これによって、保護具80はマイクロレンズアレイ素子40と干渉せずに、レンズアレイ素子ホルダ50Eに取り付けられる。
光モジュール100Eでは、マイクロレンズアレイ素子40のマイクロレンズが形成された表面は露出しているが、保護具80を取り付けることによって、マイクロレンズアレイ素子40の該表面が本体部80aによって覆われて保護される。なお、挿入部80dがスリット56Eに挿入されたときに防塵部80bがレンズアレイ素子ホルダ50Eの正面側の側壁に当接し、外部から塵等がマイクロレンズアレイ素子40まで到達するのを防止する。
保護具80は、光モジュール100Eの保管中やリールテープに収容した状態での輸送中などに光モジュール100Eに取り付けられる。光モジュール100Eを保管中や輸送中に光モジュール100Eの周囲で塵等が発生する場合がある。このような塵等がマイクロレンズアレイ素子40のマイクロレンズが形成された表面に付着すると、光モジュール100Eの光学特性の劣化の原因となる。
これに対して、保護具80を光モジュール100Eに取り付けることによって、保管中や輸送中において光モジュール100Eの周囲で塵等が発生しても、塵等がマイクロレンズアレイ素子40のマイクロレンズが形成された表面に付着することを防止できる。なお、光モジュール100Eは、輸送中はケースに収容されているが、たとえば振動などで光モジュール100Eとケースとが擦れた際に塵等が発生しうる。保護具80はこのような塵等からの保護のためにも有効である。
また、保護具80は、光モジュール100Eにはんだリフロー実装工程を施す際に取り付けてもよい。はんだリフロー実装工程時は、リフロー炉内にはゴミやはんだクリーム(ペースト)から出る飛散物(フラックスなど)が浮遊している。保護具80はこのような浮遊物からの保護のためにも有効である。
たとえば、光モジュール100Eを図7に示すような回路基板200にはんだリフロー実装する場合には、まず保護具80を光モジュール100Eに取り付ける。その後、リフロー炉にてはんだリフロー実装工程を施して、光モジュール100Eを回路基板200に実装する。その後、リフロー炉から回路基板200を取り出した後、保護具80を光モジュール100Eから取り外す。保護具80を取り外すことによって、マイクロレンズアレイ素子40と、回路基板200上に搭載された有機光導波路210との間の光路を確保できる。なお、保護具80は、たとえば貫通孔80cに指やフック等を引っ掛けて引っ張ることで、光モジュール100Eから容易に取り外すことができる。
上記のようにはんだリフロー実装工程において使用する場合、保護具80は、リフロー炉内温度に耐えることができる耐熱性を有する材料で構成する。また、保護具80は、挿入部80dをスリット56Eに圧入により挿入することができるような弾性を有する材料からなるものであれば、保護具80をレンズアレイ素子ホルダ50Eに容易に固定できるので好ましい。よって、保護具80の構成材料としては、このような耐熱性を有しかつ圧入可能な材料であるテフロン(登録商標)等が好ましい。
図39、40は、別の一形態に係る保護具を示す模式図である。図39は保護具80Aを取付けた光モジュール100Eの断面図(図4の断面図に対応)を示し、図40は正面図を示す。図40では保護具80Aを破線で示している。保護具80Aは、マイクロレンズアレイ素子40の表面を覆うとともに一端がレンズアレイ素子ホルダ50Eのスリット56Eに挿入される板状の保護部80Aaと、保護部80Aaとともに側面から見てコの字状の形状を形成しており、保護具80Aを光モジュール100Eに固定するためのバネ部80Abとを有している。
保護具80Aは、保護具80Aの保護部80Aaの一端がスリット56Eに挿入された状態において、保護部80Aaがマイクロレンズアレイ素子40の表面を覆って保護するともに、バネ部80Abによって光モジュール100Eを挟持して光モジュール100Eに固定される。
図41A、41Bは、保護具80Aを取付けた状態の光モジュール100Eを回路基板200に搭載する様子を示す図である。ただし、図41Bでは説明のために保護具80Aの記載を省略してある。光モジュール100Eを回路基板200に搭載する際には、はんだを塗布した回路基板200上に光モジュール100Eを搭載する。搭載の際は、電子部品実装時に使用するものと同じマウンタを使用することができる。また、回路基板200には、ピン211Bが形成され、導波路コア212Bを有する光導波路210Bが搭載されており、光モジュール100Eを搭載する際は、たとえば、光モジュール100E側のガイド孔17(図36参照)および回路基板200側のピン211Bの画像認識処理により、マウンタにて位置合わせ処理がされ、回路基板200に光モジュール100Eが搭載される。なお、ピン211Bの代わりに孔が形成されていてもよい。その後、光モジュール100Eを搭載した回路基板200はリフロー炉に通されて、はんだリフロー実装工程を施される。
あるいは、ピン211Bが形成された光導波路210Bが搭載されており、光モジュール100Eを搭載する際は、光モジュール100E側のレンズアレイ素子ホルダ50Eに設けたアラインメント用のガイド孔53E(図36参照)および回路基板200側の2本のピン211B(図41B参照)の画像認識処理により、マウンタにて位置合わせ処理がされ、回路基板200に光モジュール100Eが搭載される。その後、光モジュール100Eを搭載した回路基板200はリフロー炉に通されて、はんだリフロー実装工程を施される。
マウンタにて位置合わせ処理がされ、回路基板200に光モジュール100Eが搭載される際、光モジュール100E側のガイド孔53Eと回路基板200側のピン211Bとは、嵌合するようにあらかじめ設計されている。光モジュール100Eは光ファイバテープに取付けられた公知のMTフェルールをガイドピンを介してガイド孔53Eと位置合わせし、光モジュール100E単体の評価が行えるようにあらかじめ設計されている。つまり、光モジュール100Eは、MTコネクタ内の光ファイバコアと、マイクロレンズアレイ素子40と、VCSELアレイ素子20との位置関係が所望の光ロス内(光結合損失内)に入るように位置合わせされ組み立てられている。一方、ピン211Bと導波路コア212Bとの位置関係も、回路基板200に光モジュール100Eが搭載されたときに、光モジュール100Eのマイクロレンズアレイ素子40から出射された出射光が光導波路210Bの所定の導波路コア212Bに所望の光ロス内(光結合損失内)で光結合されるようあらかじめピン211Bと導波路コア212Bとの位置関係が設計され、作製されている。
以上の構成によって、ガイド孔53E(2つ)とピン211B(2つ)の嵌合により、マウンタにて搭載されてからはんだリフロー実装工程が終了する間に、そのプロセス中の振動等によって光モジュール100Eと光導波路210Bとの位置ずれが生じてしまい、光モジュール100Eと光導波路210Bとの良好な光結合が損なわれてしまう、という問題を解消することができると同時に、光モジュール100Eと回路基板200に形成した光導波路210Bとの光結合をより確実に行うことができる。
なお、レンズアレイ素子ホルダ50Eのガイド孔53Eとピン211Bとのクリアランス(ガイド孔53Eの内径とピン211Bの外径との差に略等しい)をc1とし、光モジュール100Eの枠部材12と光導波路210Bのクリアランス(図41Bにおける紙面左右方向での枠部材12の内部幅と光導波路210Bの幅との差に略等しい)をc2とする。このとき、c1<c2を満たすように設計することによって、クリアランスc2がガイド孔53Eとピン211Bとの嵌合のガイドの効果を発揮し、より確実に嵌合が達成される。
さらには、マウンタにて位置合わせ処理がされ、光モジュール100Eに設けたガイド孔53Eと光導波路210Bに設けたピン211Bの嵌合によって回路基板200に光モジュール100Eが搭載される際、確実に上記の位置が合い、かつ容易に搭載できるようにするために、以下の構成を採用することが好ましい。図59Aは、実施の形態10の変形例に係る光モジュールの模式的な斜視図である。図59Bは、保護具を光モジュールに取り付けた状態を示す図である。図59Cは、図59Bの要部上面図である。図59Dは、図59CのD−D線要部断面図である。図59Eは、図59CのE矢視図である。本変形例に係る光モジュール100E1は、実施の形態10に係る光モジュール100Eの構成において、レンズアレイ素子ホルダ50Eをレンズアレイ素子ホルダ50E1に置き換えた構成を有する。レンズアレイ素子ホルダ50Eとレンズアレイ素子ホルダ50E1とを比較すると、レンズアレイ素子ホルダ50E1には溝状の窪み部57E1が形成されている点が異なる。窪み部57E1の底部にはガイド孔53Eの一方が形成されている。
なお、窪み部57E1の深さは、光導波路210Bに設けられたピン211Bの長さよりは深く、MTフェルールを嵌合する際に用いるガイドピンの長さよりは浅く設定される。
すなわち、回路基板200に光モジュール100Eを搭載する際には、光導波路210Bに設けた2本のピン211Bは、一方がガイド孔53Eと、もう一方が窪み部57E1と嵌合される。一方、たとえば光モジュール100E1単体の評価としてガイド孔53Eにガイドピンを指し、そのガイドピンと公知のMTフェルールとを勘合して光結合させ評価する際には、2本のガイドピンは、一方が、窪み部57E1が設けられていないガイド孔53Eと嵌合され、もう一方が窪み部57E1の底部に設けられたガイド孔53Eと嵌合される。
窪み部57E1の形成により以下の効果が得られる。マウンタにて位置合わせ処理がされ、回路基板200に光モジュール100E1を搭載する際に、窪み部57E1が長孔となっているため、嵌合い精度をよくするためにガイド孔53Eとピン211Bとのクリアランスを狭くしている場合や、2本のピン211Bの間隔に多少ずれが生じている場合においても、容易にガイド孔53、窪み部57E1とピン211Bを嵌合することができる。その結果、光導波路210Bと光モジュール100Eとが嵌合できないという不具合を防ぐことができる。
すなわち、ガイド孔53Eの一方が窪み部57E1の底部に形成されていることによって、光モジュール100E1と公知のMTフェルールとを勘合して容易に光結合させ評価できるとともに、回路基板200に光モジュール100Eが搭載される際には、光導波路210Bと光モジュール100Eとを容易に嵌合することができる。
さらに確実に不嵌合を防ぎ、ガイド孔53とピン211Bとの嵌合の効果を発揮するには、ガイド孔53にピン211Bが入る入口(すなわち窪み部57E1の周縁部)を糸面取り状のテーパ57E1a(図59D、59E参照)にしておくとよい。
また、ピンについても、図60に示す光導波路210B1に形成されたピン211B1のように、フォトリソグラフィ等でテーパ状に形成し、たとえば円錐台状にすることで、マウント時の嵌り易さの向上と、光モジュール100Eと光導波路210B1との位置決め精度の向上との両立を達成することができる。
図42、43は、さらに別の一形態に係る保護具を示す模式図である。図42は保護具80Bを取付けた光モジュール100Eの側断面図(図4の断面図に対応)を示し、図43は正面図を示す。図43では保護具80Bを破線で示している。保護具80Bは、マイクロレンズアレイ素子40の表面を覆うとともに一端がレンズアレイ素子ホルダ50Eのスリット56Eに挿入される板状の保護部80Baと、保護部80Baとともに側面から見てコの字状の形状を形成しており、保護具80Bを光モジュール100Eに固定するためのバネ部80Bbと、保護部80Baとバネ部80Bbとの間に位置する屈曲部80Bcとを有している。
保護具80Bは、保護具80Bの保護部80Baの一端がスリット56Eに挿入された状態において、保護部80Baがマイクロレンズアレイ素子40の表面を覆って保護するともに、バネ部80Bbによって光モジュール100Eを挟持して光モジュール100Eに固定される。さらに、屈曲部80Bcによって保護具80Bと光モジュール100Eのレンズアレイ素子ホルダ50Eとの間の隙間が小さくなるので、外部からの塵等の侵入をより一層防止できる。
なお、保護具80A、80Bは、プラスチックの成形品でもよいし、一枚の金属板から曲げ加工にて作製した板バネ状のものでもよい。保護具80A、80Bでは、バネ部80Ab、80Bbのバネ力によって、保護具80A、80Bの光モジュール100Eからの脱落のリスクがより確実に低減できるので、その保護機能の信頼性を向上することができる。
また、はんだリフロー実装工程においては、リフロー炉内の温度が高温となるため、光モジュール内に閉空間が有ると、その内部の圧力が高くなるおそれがある。
しかしながら、上記実施の形態に係る光モジュール、たとえば光モジュール100では、レンズアレイ素子ホルダ50で覆われた内部は、ガイド孔53や、マイクロレンズアレイ素子40とこれを固定する保持孔52との間の隙間などで外部空間と連通している。したがって、はんだリフロー実装工程においても、光モジュール内部の圧力上昇や圧力による破損が防止される。
ところで、上述したように、はんだリフロー実装の後には、アンダーフィル材を実装面の隙間に充填して隙間を埋める工程を行う。この工程において、以下に説明する高さ調整具を用いることが好ましい。
図44は、高さ調整具の模式的な上面図である。図45は、高さ調整具の模式的な側面図である。図44、45に示すように、高さ調整具80Cは、全体的に板状の形状を有しており、本体部80Caと、本体部80Caの一端側において本体部80Caより厚さが厚く、かつ本体部80Caより幅広に形成された高さ調整部80Cbと、本体部80Caに形成された光路用貫通孔80Ccと、本体部80Caの高さ調整部80Cbとは反対側の一端側において本体部80Caより厚さが薄く形成された挿入部80Cdとを有している。
つぎに、高さ調整具80Cの使用方法および効果について説明する。はじめに、高さ調整具80Cを用いないでアンダーフィル材を実装面の隙間に充填する場合について説明する。
図46は、高さ調整具を使用しない場合について説明する図である。ここでは、例として、回路基板200上に光モジュール100を実装して構成した回路基板1000(図8参照)にてアンダーフィル材を充填する場合について説明する。
アンダーフィル材UFは、光モジュール100と回路基板200との隙間に充填される。ところが、光モジュール100は、導波路導入口15を有しているため、導波路導入口15側では、アンダーフィル材UFで充填すべき隙間の高さが、回路基板200の表面からレンズアレイ素子ホルダ50Eの表面までであり、回路基板200の表面から基板実装面12aまでの高さと比較して高い。このように高い隙間を充填する場合には、アンダーフィル材UFの使用量が増加し、またアンダーフィル材UFとして粘性が高い材料を使用しなければならないため、アンダーフィル材UFの材料の選択の自由度が低くなる。
一方、図47は、高さ調整具を使用する場合について説明する図である。図47は、回路基板200上に光モジュール100Eを実装して構成した回路基板1000Eを示している。
上述したように、光モジュール100Eに保護具を取付けてはんだリフロー実装を行った場合には、実装後に保護具を取り外した後に、光モジュール100Eに高さ調整具80Cを取付ける。具体的には、高さ調整具80Cの挿入部80Cdをレンズアレイ素子ホルダ50Eのスリット56Eに挿入する。これによって、高さ調整具80Cはレンズアレイ素子ホルダ50Eに取り付けられる。挿入された状態で、マイクロレンズアレイ素子40のマイクロレンズが形成された表面に対応する位置には、光路用貫通孔80Ccが位置する。この光路用貫通孔80Ccによって、マイクロレンズアレイ素子40と有機光導波路210との間の光路が確保される。
また、挿入された状態で、高さ調整具80Cの高さ調整部80Cbの下端が、光モジュール100Eの基板実装面12aとほぼ同じまたはそれ以下の高さとなるように、高さ調整部80Cbの厚さが調整されている。したがって、アンダーフィル材UFを、光モジュール100Eと回路基板200との隙間に充填する場合において、導波路導入口15側では、高さ調整部80Cbの下端までの高さまでを充填すればよい。これによって、アンダーフィル材UFの使用量の増加が防止され、かつ、アンダーフィル材UFの材料の選択の自由度が高くなる。なお、光路用貫通孔80Ccによってマイクロレンズアレイ素子40と有機光導波路210との間の光路が確保されているので、高さ調整具80Cを取付けたままで回路基板1000Eを使用することができる。なお、高さ調整部80Cbの幅は導波路導入口15の幅と略同じであることが好ましい。
上述した保護具は、上記実施の形態に係る光モジュールに限らず、他の形態の光モジュールにも適用できる。
図48は、保護具を適用すべき他の形態の光モジュールの模式的な斜視図である。光モジュール900は、回路基板950と、回路基板950を覆う筐体910と、回路基板950上に形成された光入出力部914と、光入出力部914に形成された2本のガイドピン918とを備えている。筐体910の先端には後述するMTコネクタC2を光入出力部914にガイドするための2つのガイド部910aが形成されている。各ガイド部910aは側面に形成された2つの溝910abを有する。なお、筐体910内の回路基板950上は、光モジュール100等と同様に電子素子であるドライバICが実装されている。
図49は、図48のC−C線断面図である。光入出力部914の下方において回路基板950にはVCSELアレイ素子20が実装されている。VCSELアレイ素子20はボンディングワイヤ901によってドライバICと電気的に接続している。光入出力部914は、上下方向および側方向(ガイドピン918が形成された側)に開口部914a、914b、914cを有する。光入出力部914はプリズムレンズアレイ915を収容している。プリズムレンズアレイ915は、VCSELアレイ素子20に対応させて配置されるものであり、VCSELアレイ素子20のVCSEL素子の数に対応した、例えば12個のマイクロレンズ915aが、プリズムの側面(開口部914b側)に1次元アレイ状に配列されて構成された素子である。プリズムレンズアレイ915は、各VCSEL素子から出力されたレーザ光信号を反射させるとともに集光し、例えば光路Pで示すような外部の光学部品との所定の光学結合を実現する。プリズムレンズアレイ915は開口部914a、914bを介して外部に露出している。
図48に戻る。この光モジュール900の光入出力部914にはMTコネクタC2が接続される。MTコネクタC2は、光ファイバテープ970の先端部にフェルール960が取付けられて構成されている。フェルール960は、光入出力部914に形成された2本のガイドピン918が挿入される2つのガイド孔966を有する。光入出力部914にMTコネクタC2を接続する際には、2つのガイド部910aの間にMTコネクタC2のフェルール960を挿入し、2つのガイド孔966に2本のガイドピン918を挿入させるようにして光入出力部914とMTコネクタC2とを接続し、その後ガイド部910aの溝910abを利用して所定の固定具にてMTコネクタC2と光モジュール900とを固定する。
つぎに、図48に示す光モジュールに適用できる保護具について説明する。図50は、図48に示す光モジュールに適用できる保護具の模式的な斜視図である。保護具90は、平板状の正面保護部90aと、正面保護部90aから正面保護部90aの主表面と直交する方向に延伸し、正面保護部90aとは反対側および下面側に開口を有する直方体の蓋状の上面保護部90bと、正面保護部90aから上面保護部90bの両側面に沿ってそれぞれ延伸する2つの固定アーム90cと、正面保護部90aから上面保護部90bの下面側の開口に沿って延伸する下部保護部90dと、下部保護部90dから下部保護部90dと段差を成すように形成された基板係合部90eとを有している。固定アーム90cは下部保護部90dに向かって突出する係合部90caを有している。固定アーム90cと下部保護部90dとは略並行である。保護具90はたとえば一枚の金属板から曲げ加工にて作製される。
図51、52は、図50に示す保護具を図48に示す光モジュールに取付けた状態を示す図である。保護具90を光モジュール900に取付ける場合には、まず、光モジュール900の先端側から光入出力部914に上面保護部90bを被せ、その後保護具90を光モジュール900側に向かってスライドさせる。すると、2つのガイド部910aの間には基板係合部90eが挿入されるとともに、各固定アーム90cのバネ力によって、各固定アーム90cと下部保護部90dとが各ガイド部910aを挟み込む。このとき固定アーム90cに形成された係合部90caがガイド部910aに形成された溝910abに係合する。この係合によって保護具90は光モジュール900に固定される。
保護具90が光モジュール900に取付けられた状態では、プリズムレンズアレイ915の開口部914aから露出した部分は上面保護部90bによって覆われて保護される。また、プリズムレンズアレイ915の開口部914bから露出した部分は正面保護部90aによって覆われて保護される。さらに、下部保護部90dはガイド部910aの間の下方から塵等が侵入することを防止する。このときガイド部910aの間に基板係合部90eが挿入されているので、回路基板950と下部保護部90dとの間に隙間が形成されることが防止される。
保護具90は、光モジュール900の保管中やリールテープに収容した状態での輸送中などに光モジュール900に取り付けられる。光モジュール900を保管中や輸送中に光モジュール900の周囲で塵等が発生する場合がある。このような塵等がプリズムレンズアレイ915の表面に付着すると、光モジュール900の光学特性の劣化の原因となる。
これに対して、保護具90を光モジュール900に取り付けることによって、保管中や輸送中において光モジュール900の周囲で塵等が発生しても、塵等がプリズムレンズアレイ915の表面に付着することを防止できる。
また、保護具90は、光モジュール900を回路基板に実装する場合に、はんだリフロー実装工程を施す際に取り付けてもよい。はんだリフロー実装工程時は、リフロー炉内にはゴミやはんだクリームから出る飛散物が浮遊している。保護具90はこのような浮遊物からの保護のためにも有効である。
光モジュール900を回路基板に実装後、保護具90は取り外される。その後、図48に示すようにMTコネクタC2が接続される。
図53は、別の一形態に係る保護具の模式的な斜視図である。図54は、図53に示す保護具を図48に示す光モジュールに取付けた状態を示す図である。図53、54に示す保護具90Aは、図50に示す保護具90とは固定アームの形状が異なる。すなわち、保護具90の固定アーム90cの係合部90caはガイド部910aに形成された2つの溝910abのうち後端側の溝に係合するものであるが、保護具90Aの固定アーム90Acの係合部90Acaはガイド部910aに形成された2つの溝910abのうち先端側の溝に係合するものである。係合部90Acaの突出部の先端は、基板係合部90eよりも正面保護部90a側にあってもよい。この場合、各固定アーム90Acのバネ力によって各固定アーム90Acと下部保護部90dとが各ガイド部910aを挟み込む力が強くなる。その結果、保護具90Aが光モジュール900から脱離するリスクがさらに低減されるとともに、保護具90Aと光モジュール900との間に隙間がさらに発生しにくくなるので、保護具90Aの塵等の侵入防止効果もより高くなる。
さらに、図53、54に示す保護具90Aは、固定アーム90cと対向する位置において下部保護部90dから延伸する板状のガイド突起部90Afを有している。ガイド突起部90Afは下部保護部90dから下方に傾斜するように延伸している。このガイド突起部90Afによって、光モジュール900のガイド部910aが固定アーム90cと下部保護部90dとの間に挿入されやすくなる。
図61は、さらに別の一形態に係る保護具の模式的な斜視図である。図62は、図61に示す保護具の模式的な側面図である。図63は、図61に示す保護具を図48に示す光モジュールに取付けた状態を示す図である。図64は、図61に示す保護具を図48に示す光モジュールに取付けた状態を示す図である。
以下では保護具90と保護具90Bとの相違点について主に詳述する。保護具90Bでは、正面保護部90Baは正面保護部上部90Baaと正面保護部下部90Babとを有する。正面保護部上部90Baaの主表面は上面保護部90bと直交する方向に延伸している。一方、正面保護部下部90Babは、正面保護部上部90Baaに対して上面保護部90bの延伸方向側に傾斜している。
保護具90Bでは、2つの固定アーム90Bcは、正面保護部下部90Babから上面保護部90Bbの両側面に沿ってかつ上面保護部90bに対して傾斜してそれぞれ延伸する。固定アーム90Bcは下部保護部90Bdに向かって突出する係合部90Bcaを有している。下部保護部90Bdは、正面保護部下部90Babから上面保護部90bの下面側の開口に沿ってかつ上面保護部90bに対して傾斜して延伸する。基板係合部90Beは、下部保護部90Bdから下部保護部90Bdと段差を成すように形成されている。ガイド部90Bfは、固定アーム90Bcと対向する位置において下部保護部90Bdから延伸する。図62に示すように、固定アーム90Bcおよび下部保護部90Bdはいずれも上面保護部90bの下面側開口90bdに対して傾斜している。一方、固定アーム90Bcと下部保護部90Bdとは略並行である。
保護具90Bを光モジュール900に取付ける場合には、まず、光モジュール900の先端側から光入出力部914に上面保護部90bを被せ、その後保護具90Bを光モジュール900側に向かってスライドさせる。すると、2つのガイド部910aの間には基板係合部90Beが挿入されるとともに、各固定アーム90Bcのバネ力によって、各固定アーム90Bcと下部保護部90Bdとが各ガイド部910aを挟み込む。このとき固定アーム90Bcに形成された係合部90Bcaがガイド部910aに形成された溝910abに係合する。この係合によって保護具90Bは光モジュール900に固定される。なお、ガイド部910aは、ガイド部90Bfによって固定アーム90Bcと下部保護部90Bdとの間に挿入されやすくなる。
保護具90Bは、固定アーム90Bcおよび下部保護部90Bdがいずれも上面保護部90bに対して傾斜しているので、上面保護部90bと下部保護部90Bdとで光モジュール900を挟み込むことができる。そのうえで、固定アーム90Bcがガイド部910aに引っ掛かり、かつ固定アーム90Bcと下部保護部90Bdとでガイド部910aを挟むことで、光モジュール900を傾けても保護具90Bが光モジュール900から脱落することがなくなる。
ところで、上記の光モジュール900のような構成の場合は、実使用時においては、光入出力部の上側の開口部は開口した状態のままである。したがって、以下のような保護構造で上側の開口部を保護してもよい。
図55は、保護構造を適用した光モジュールを示す図である(特許文献5参照)。光モジュール800は、回路基板850と、回路基板850に実装された筐体810と、フェルール860を介して光信号を伝送する光ファイバテープ870と、フェルール860を筐体810に対して着脱可能に固定する固定部材840とを備える。
回路基板850には、半導体レーザ等の発光素子またはフォトダイオード等の受光素子を含むレーザモジュールが実装されてよい。半導体レーザは、面発光型半導体レーザであってよい。フォトダイオードは、pinフォトダイオードであってよい。回路基板の厚みは、例えば、約1.5mmである。
筐体810は、セラミック製であってよい。筐体810の厚みは、最も厚い場所で、数mm程度であってよい。フェルール860の厚みは、1.6mm以下である。固定部材840は、後述する第1押圧部830及び第2押圧部820を有する。固定部材840は、厚さが約0.2mmの金属製の板状部材を加工して形成する。固定部材840の材料金属は、アルミ合金、銅合金、ステンレス鋼等であってよい。
光モジュール800は、回路基板850を、フェルール860を介して光ファイバテープ870に結合する。つまり、光モジュール800は、回路基板850の電気信号を光に変換して、フェルール860を介して光ファイバテープ870に結合し、光ファイバテープ870からの光信号を電気信号に変換して回路基板850の素子に供給することによって、回路基板850と光ファイバテープ870との光−電気接続を着脱可能に行う。
図56は、光モジュール800の分解図である。フェルール860は、光ファイバテープ870のコア部を通じて伝送される光信号を入出力する光入出力面862を有する。図56において、光入出力面862の法線方向をY軸とする。また、後述する載置面813の法線方向をZ軸とする。また、Y軸およびZ軸の双方と直交する方向をX軸とする。フェルール860は、光入出力面862に少なくとも2つのガイド孔866が設けられている。ガイド孔866は、後述する光入出力部814に形成されたガイドピンと嵌合し、フェルール860の位置決めを行う。フェルール860はX軸を法線方向とする側面864を有する。
筐体810は、フェルール860が載置される載置部812を有する。載置部812は、筐体810の光ファイバテープ870側の端部に設けられる薄い略長方形の板状部材であってよい。載置部812の裏面が、筐体810の裏面と同一面内となるように、載置部812が設けられてよい。また、載置部812のZ軸方向における厚みは、筐体810において後述する光入出力部814が設けられる領域よりも薄い。また、載置部812は、X軸方向において、筐体810と略同一の幅を有してよい。
載置部812はフェルール860を支持する載置面813を有する。載置面813はY軸を法線方向とする。筐体810は、フェルール860の光入出力面862と対向する光入出力部814を有する。光入出力部814は、筐体810に固定されている。光入出力部814は、フェルール860の光入出力面862と、回路基板850との間で光信号の授受を行う。光入出力部814にはたとえばプリズムレンズアレイ等の光学素子が収容されている。また、光入出力部814の上面には開口部814aが形成されており、光入出力部814に収容された光学素子の表面の一部が開口部814aを介して外部に露出している。
筐体810は、フェルール860の側面864をY軸方向にガイドするガイド部880を有する。ガイド部880は、筐体810のフェルール860と対向する面から、光ファイバテープ870側に延伸するブロック状の部材であってよい。ガイド部880は、載置部812のX軸方向における両端に、互いに対向して設けられる。それぞれのガイド部880は、載置面813と垂直で、且つ、Y軸方向と平行なガイド面882を含む。フェルール860が載置部812に載置されたとき、ガイド面882はフェルール860の側面864と接してよい。
ガイド部880は、ガイド部880の表面から裏面に向かってZ軸方向に貫通する第1の溝884及び第2の溝886を有する。ガイド部880の表面とは、ガイド部880において載置部812と反対側の面を指す。ガイド部880の裏面とは、ガイド部880において載置部812と接する側の面を指す。第1の溝884及び第2の溝886は、ガイド部880の外側の端部に形成され、断面がU字形の貫通孔であってよい。外側の端部とは、2つのガイド部880において対向する面とは逆側の端部を指す。
第1の溝884及び第2の溝886はY軸方向に沿って並んで配置される。第1の溝884及び第2の溝886の間隔は、後述する支持部832および当接部822の、Y軸方向における間隔と略等しくてよい。略等しいとは、固定部材840をガイド部880の上方から装着した場合に、支持部832および当接部822が、第1の溝884及び第2の溝886を通過できる程度に、両者の間隔が等しいことを指す。
第1の溝884は、載置部812を更に貫通して形成される。つまり、第1の溝884は、ガイド部880および載置部812の双方に渡って形成される。第2の溝886は、ガイド部880において、回路基板850に載置される領域に形成されてよい。第2の溝886は、回路基板850を貫通しない。また、第2の溝886は、ガイド部880の表面側から、ガイド部880の途中まで形成されてよい。つまり、第2の溝886は、ガイド部880を貫通しなくともよい。
第1の溝884及び第2の溝886は、Y軸方向において溝の幅が互いに異なっていてもよい。第1の溝884は、支持部832よりも大きい幅を有し、第2の溝886は、当接部822よりも大きい幅を有する。第2の溝886は、光ファイバテープ870側に壁面887を有する。壁面887は、Y軸方向を法線方向とする平坦面であってよい。
固定部材840は、第1固定部843及び第2固定部845を有する。第1固定部843は、載置面813と垂直なZ軸方向においてフェルール860を筐体810に固定する。第2固定部845は、フェルール860をY軸方向において筐体810に固定する。
第1固定部843は、基材841と、第1押圧部830と、支持部832とを有する。基材841は、2つの壁部842と、2つの壁部842を連結するブリッジ部844とを含む。基材841は剛性部材で構成され固定部材840に対して剛性を付与する。2つの壁部842は、載置面813に対して垂直に設けられ、かつ、Y軸方向に平行に延伸して設けられ、かつ、互いに対向して設けられる。ブリッジ部844は載置面813に対して平行で、かつ、Y軸方向に垂直な方向に延伸し、2つの壁部842を壁部842の上端で連結する。
第1押圧部830は、基材841に設けられ、載置面813とは逆側からフェルール860を押圧する。第1押圧部830は、2つの板バネであってよい。板バネは、フェルール860を載置面813に押圧する弾性力を有する。それぞれの板バネは、一端が対応する基材841の壁部842の上端に固定され、対向する基材841に向かって延伸して形成される。板バネの基材841に固定されていない他端が、フェルール860を載置面813の方向へ押圧する。
基材841は、2つのブリッジ部844を有する。2つの板バネは、2つのブリッジ部844の間に互いに向かい合って設けられる。板バネは、固定部材840を筐体810に装着する前の状態において、フェルール860を押圧する他端が、ブリッジ部844の表面より、Z軸方向において下側に位置している。なお、当接部822側のブリッジ部844には、Y軸の負の方向に延伸する板状の保護構造844aが設けられている。
支持部832は、それぞれの壁部842の下端から、対向する壁部842に向かって延伸する。対向する壁部842に向かって延伸する支持部832の表面と、壁部842の下端とのZ軸方向における距離は、載置部812のZ軸方向における厚みと略同一であってよい。支持部832は、基材841に設けられたL字形状の2つの下L字部を含んでよい。下L字部は、一端が基材841の壁部842の光ファイバテープ870とは反対側の下端に固定され、他端が載置部812の裏面を支持する。2つの下L字部は、壁部842の下端からZ軸方向において壁部842から離れる方向に延伸し、更に、対向する壁部842に向かう方向に延伸して設けられる。2つの支持部832は、互いに向かい合って設けられてよい。2つの下L字部は、Y軸に近づく方向に向かって、壁部842から1mm〜5mm程度延伸している。
第2固定部845は、第2押圧部820と、当接部822とを有する。第2押圧部820は、基材841に設けられ、Y軸方向においてフェルール860を光入出力部814に押圧する。第2押圧部820は、Y軸方向においてフェルール860を光入出力部814に押圧する第1の状態と、フェルール860を光入出力部814に押圧しない第2の状態とを有する。第2押圧部820は、それぞれの基材841に設けられる2つのバネを含んでよい。それぞれのバネは、2つの基材841の中間線に対して線対称となるように、それぞれの基材841に形成されてよい。
第2押圧部820は、それぞれの壁部842における当接部822とは逆側の端部から、Y軸方向に延伸し、更に、対向する壁部842に向かって延伸し、更に、Y軸方向において当接部822に向かう方向に延伸する。ただし、第2押圧部820の形状は、この形状に限定されない。2つのバネのそれぞれは、一端が基材841の壁部842の後端に固定され、他端がフェルール860をY軸方向に押圧する。壁部842の後端とは、光ファイバテープ870側の壁部842の側面端部を指す。
当接部822は、第2押圧部820が第1の状態となった場合に筐体810に当接することで、第2固定部845を筐体810に対して固定する。例えば当接部822は、第2押圧部820が第1の状態となって、フェルール860の後端を光入出力部814に向かう第1の方向に押圧した場合に、筐体810を第1の方向とは逆向きに押圧することで、第2固定部845を固定する。
当接部822は、それぞれの壁部842の対向面から、対向する壁部842に向かって延伸して形成される。対向面とは、それぞれの壁部842において向かい合う面を指す。当接部822は、壁部842のY軸方向における端部のうち、光入出力部814に近いほうの端部から延伸して形成される。なお、2つの壁部842の対向面の距離は、2つのガイド部880において溝部が形成される2つの端面の距離と略等しい。
当接部822は、2つの基材841の中間線に対して線対称となるように、それぞれの基材841に形成された、2つのL字形状の横L字部を含む。それぞれの横L字部は、壁部842の端部から、Y軸方向において壁部842の端部から離れる方向に延伸し、更に、対向する壁部842に向かう方向に延伸して形成される。2つの横L字部は、対向する壁部842に向かって、壁部842から1mm〜5mm程度延伸している。
第1固定部843および第2固定部845は、共通の基材841に形成される。第2押圧部820は、第2の状態から第1の状態に変化することで、基材841を、Y軸方向において載置部812に対して移動させる。例えば第2押圧部820がフェルール860の後端を押圧することで、その反力により、基材841が押圧方向とは逆方向に移動する。第1固定部843は、基材841の移動に伴い、第2の位置から第1の位置に移動する。なお、第1固定部843及び第2固定部845は、金型を使ったプレス加工等により、一枚の金属板から形成されてよい。
図55、56に示すように、フェルール860を光入出力部814に取付け、固定部材840にて筐体810に固定した状態では、保護構造844aが光入出力部814の開口部814aを覆う。これによって、実使用時において光入出力部814に収容された光学素子は塵等から保護される。
図57は、別の一形態に係る保護構造を適用した光モジュールを示す図である。図58は、図57に示す光モジュールの分解図である。図57、58に示した光モジュール800Aは、図55、56に示した光モジュール800において、固定部材840、フェルール860を、それぞれ、固定部材840A、フェルール860Aに置き換えた構成を有する。
固定部材840Aは、固定部材840のブリッジ部844を保護構造844aが設けられていないブリッジ部844Aに置き換えたものである。また、フェルール860Aは、フェルール860に板状の保護構造868を設けたものである。なお、図58では説明のために保護構造868を透明に表している。
図57、58に示すように、フェルール860Aを光入出力部814に取付け、固定部材840Aにて筐体810に固定した状態では、保護構造868が光入出力部814の開口部814aを覆う。これによって、実使用時において光入出力部814に収容された光学素子は塵等から保護される。
なお、上記実施の形態では、光モジュールの筐体は導波路導入口を有するが、光導波路が表面に突出していないような回路基板に実装する場合には、導波路導入口を有しない筐体でもよい。すなわち、たとえば枠部材はロの字状などでもよい。コの字状の場合はLGAの配置可能な面積を大きく取れるので好ましい。
また、回路基板上に設けられている光導波路は、基板表面に突出しているものであれば、有機光導波路に限らず、たとえばシリコン細線導波路等のリッジ型の光導波路や、光ファイバシート、PLCチップなどの光導波路でもよい。
また、光モジュールの回路基板への実装方法は、フリップチップボンディングに限らず、たとえばリフローやはんだスタッドの圧接によって行っても良い。また、上記の光モジュールまたは上記の回路基板を用いた通信システムを構成してもよい。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。