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JP5717473B2 - ペット用止着式使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

本発明は、ペット用止着式使い捨ておむつに関するものである。
最近では、犬や猫等における使用を前提としたペット用止着式使い捨ておむつが提案されている。例えば特許文献1に記載のものは、背中を覆うための背側部分と、腹部から股間をとおり尻尾の付根近傍までを覆うための本体部分とを備えており、本体部分の両側部から突出するファスニングテープを、背側部分の外面に設けられたターゲットテープに着脱可能に係止することで装着を行うものである。本体部分は、機能的に見て、尻尾の付根より下側における肛門及びその下側近傍を覆うための臀部被覆部分と、この臀部被覆部分より前側の腹部を覆うための腹側部分とに分けることができる。
ペット用使い捨ておむつにおいて特徴的な部分の一つは、尻尾付根対向部位に形成された表裏に貫通する尻尾通し部である。装着に際しては、必要に応じてこの尻尾通し部に尻尾を通して装着を行う。従来、尻尾通し部としては、予め所定位置に所定寸法の尻尾通し孔が開口されている開口タイプ(特許文献1、2参照)の他、ミシン目を切り離すことにより位置、寸法を変化可能であるミシン目タイプ(特許文献3参照)、及び予め尻尾付根対向部位から背側部分の前端までにわたるスリットが形状され、装着に際してスリットの両側の部分を尻尾の両脇を通して尻尾の前方に持ち込み、尻尾の前側で交差させてファスニングテープを固定する(クロス止め)スリットタイプ(特許文献4、5参照)が提案されている。
特開2004−159591号公報 特許3773622号公報 特開平10−75679号公報 特開2009−273407号公報 特許4201798号公報
しかしながら、従来の開口タイプの尻尾通し部はペットの尻尾の位置とオムツの開口との位置関係で装着位置がほぼ決まってしまい、ペットの種類や個体によって異なる骨格、肉つきなどに応じた柔軟な装着ができず、モレが生じたり、ペットに不快感をもたらしたりするおそれがある。
一方、従来のミシン目タイプ及びスリットタイプは、ペット毎に相違する尻尾の太さや位置の影響を吸収できるものではあるが、従来のミシン目タイプは尻尾通し孔の位置及び太さを段階的にしか調整できないという問題点を有しており、従来のスリットタイプはスリット部分の略全体が尻尾通し部となり、位置及び太さの調整が必要無いものの、最大の尻尾通し孔を設けたのも同然であり、尻尾の下側にまでスリットが延在して過大に開口することになるため、漏れが発生し易くなるという問題点を有している。
そこで、本発明の主たる課題は、尻尾通し部の位置及び太さを縦方向に無段階で調整できる、ペット用止着式使い捨ておむつを提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
装着状態で尻尾の付根が対向可能な縦方向領域として定まる尻尾領域と、この尻尾領域の腹側に延在する第一領域と、尻尾領域の背側に延在する第二領域と、第一領域の両側部に設けられた、第二領域に対する係止部とを備え、
第一領域の両側部の係止部を、第二領域に係止することで装着を行うように構成した、ペット用止着式使い捨ておむつにおいて、
前記尻尾領域に所定面積の孔を形成するための孔形成用ミシン目を形成するとともに、この孔形成用ミシン目に繋がるように縦方向に沿って線状に延在する拡張用ミシン目を形成し、
前記孔形成用ミシン目及び拡張用ミシン目を覆い且つその周囲部分に剥離可能に固定された当てシートを備え、
この当てシートは縦方向に複数の部分に分離するためのミシン目が形成されているか、又は予め縦方向に複数の部分に分離されている、
ことを特徴とするペット用止着式使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明では、装着に尻尾通し孔が必要である場合、孔形成用ミシン目を切り離すだけでなく、ペットの尻尾の付根位置及び太さに応じて、孔形成用ミシン目に繋がる拡張用ミシン目を切り離すことにより、形成される尻尾通し部(孔)の位置及び寸法を無段階で調整することができる。そのため、尻尾の付根に対するフィット性に優れ、漏れ防止性にも優れたものとなる。もちろん、尻尾通し孔が不要の場合にはどのミシン目も切り離さずにおくことができ、また孔形成用ミシン目により形成される孔をそのまま利用する場合には拡張用ミシン目を切り離さずにおくことができる。よって、尻尾通し孔の位置や、ミシン目を裂くか裂かないかを使用者が自由に決めることができ、装着に柔軟性があるものとなる。しかも、所定のパターンでミシン目を入れただけの簡素な構造であり、製造も極めて容易である。
また、このような当てシートを設けることにより、尻尾通し孔を形成する部分のみ当てシートを剥がして孔形成用ミシン目や拡張用ミシン目を切り離し、他の部分の孔形成用ミシン目及び拡張用ミシン目は当てシートを当てたまま使用することができる。また、尻尾通し孔を形成しない場合にはミシン目全体に当てシートを当てたまま使用することができる。よって、当てシートにより覆われたミシン目は不用意に分離しないように補強されるとともに、当該ミシン目を通じた排泄物の漏れが防止されるようになる。
<請求項2記載の発明>
前記拡張用ミシン目は前記孔形成用ミシン目の縦方向両側に延在している、請求項1記載のペット用止着式使い捨ておむつ。
(作用効果)
孔形成用ミシン目の切り離しにより形成される孔を基本として、その位置、寸法を拡張用ミシン目の切り離しにより縦方向両側に無段階で拡大調整することができる。
<請求項3記載の発明>
前記孔形成用ミシン目は縦方向に間隔を空けて複数設けられている、請求項1又は2記載のペット用止着式使い捨ておむつ。
(作用効果)
縦方向に異なる位置の孔形成用ミシン目を適宜選択して切り離すことにより尻尾通し孔を形成し、これを基本としてその位置、寸法を拡張用ミシン目の切り離しにより無段階で拡大調整することができる。
<請求項4記載の発明>
前記拡張用ミシン目は前記第二領域の前端まで延在している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペット用止着式使い捨ておむつ。
(作用効果)
尻尾付根対向部位から前側の孔形成用ミシン目及び拡張用ミシン目を全て切り離すことにより、尻尾付根対向部位から第二領域の前端までにわたるスリットを形成することができ、装着に際してスリットの両側の部分を尻尾の両脇を通して尻尾の前方に持ち込み、尻尾の前側で交差させて第一領域の左側の係止部を第二領域の右側に、及び第一領域の右側の係止部を第二領域の左側に固定する(クロス止め)ことができるようになる。よって、前述の装着形態を含めて多種多様な装着形態を採用することができる。
以上のとおり、本発明によれば、尻尾通し部の位置及び太さを縦方向に無段階で調整できるようになる、等の利点がもたらされる。
ペット用止着式使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 ペット用止着式使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の6−6線断面図である。 図1の7−7線断面図である。 図1の8−8線断面図である。 図1の9−9線断面図である。 ペットへの装着状態を示す概略図である。 ペットへの装着状態を示す概略図である。 使い捨ておむつの要部の外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 使い捨ておむつの要部の外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。なお、「縦方向(前後方向)」とは展開状態において腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは縦方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)を意味する。また、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。
図1〜図6はペット用止着式使い捨ておむつの一例を示している。図3及び図4は、図1における6−6線断面及び7−7線断面をそれぞれ示した図であり、図5及び図6は、図1における8−8線断面及び9−9線断面を示した図である。このペット用止着式使い捨ておむつは、装着状態で尻尾の付根が対向可能な縦方向領域として定まる尻尾領域Tと、この尻尾領域Tの腹側に延在する第一領域Fと、尻尾領域Tの背側に延在する第二領域Bと、第一領域Fの両側部に設けられた、第二領域Bに対する係止部としてのファスニングテープ13とを備えている。
また、この使い捨ておむつは、身体側表面を形成する透液性表面シート30と、外面側に位置する液不透過性シート11との間に吸収要素50が介在する吸収保持部分と、その前後両側及び左右両側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分であるエンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SFとを有しており、本例では、第一領域F内に吸収保持部分が設けられ、第二領域Bには設けられていない。
構造としては、使い捨ておむつの外面全体が外装シート12により形成されており、吸収要素50を有する吸収保持部分においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、および表面シート30がこの順に積層されている。表面シート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、表面シート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、表面シート30よりも若干幅広に形成されている。
さらに、この第一領域10の両側には、ペットの肌側に突出(起立)する側部立体ギャザー60,60が設けられており、この側部立体ギャザー60,60を形成するギャザーシート62,62が、表面シート30の両側部上からサイドフラップ部SFの内面全体にわたり延在されている。
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する。
(外装シート)
外装シート12は、両側部の前後方向中間部が括れた砂時計形状とされており、ここがペットの脚周りに沿う部位となる。外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
(表面シート)
表面シート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
表面シート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、表面シート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、表面シート30表面を肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40は表面シート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材は表面シート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、表面シート30に有孔シートを用いる場合において、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、表面シート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、表面シート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(側部立体ギャザー)
表面シート30上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部立体ギャザー60、60を設けるのは好ましい。
この側部立体ギャザー60は、実質的に幅方向に連続するギャザーシート62と、このギャザーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
ギャザーシート62の内面は、表面シート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。
側部立体ギャザー60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部では表面シート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により側部立体ギャザー60が起立して身体表面に密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
図示形態と異なり、ギャザーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
(側縁部弾性伸縮部材)
各サイドフラップ部SFに側縁部弾性伸縮部材64が縦方向に沿って伸長された状態で固定されている。より詳細には、ギャザーシート62の固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、ギャザーシート62と外装シート12とが対向する部分のシート間に、側縁部弾性伸縮部材64としての細長状弾性伸縮部材が縦方向に沿って、かつ幅方向に間隔を空けて複数本挟持されている。
(吸収要素)
吸収要素50は、尿などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。なお、図中の符号56W及び56Lは、吸収体の縦方向長さ及び幅をそれぞれ示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、図3に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
(ファスニングテープ)
図1及び図2に示されるように、ファスニングテープ13は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるシート基材13Cの基部がおむつに取り付けられており、おむつから突出する先端側部分に第二領域Bに対する係止部として、メカニカルファスナーのフック材13Aが設けられている。フック材13Aはシート基材13Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
通常の場合、ファスニングテープ13の取り付け部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さは10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さは、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、ファスニングテープ13の先端側部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ13の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ13の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。フック材13Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック材13Aに代えて、ファスニングテープ13の係止部として粘着材層を設けることもできる。
おむつの装着に際しては、第一領域Fのサイドフラップ部SFを第二領域Bのサイドフラップ部SFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープ13を第二領域B外面の適所に係止する。ファスニングテープ13の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。通常の場合、係止箇所は、縦方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その前端縁と第二領域の前端縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
ファスニングテープ13は、その取付部分が吸収要素50の前端縁と前後方向において重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の前端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ13の取り付け部分が、第一領域Fの前端部と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力が第一領域Fの前端部にまで及ばないため、第一領域Fの前端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、第一領域FにおけるエンドフラップEFの前後方向長さは、ファスニングテープ13の基部の前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。この観点から、第一領域FにおけるエンドフラップEFの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、特に10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
(ターゲットシート)
第二領域Bにおけるファスニングテープ13の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット有するターゲットシート12Tを設けるのが好ましい。ターゲットシート12Tは、係止部がフック材13Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。
また、第二領域Bにおけるファスニングテープ13の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ13の係止部がフック材13Aの場合には、ターゲットシート12Tを省略し、フック材13Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲットシート12Tを外装シート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
(尻尾通し部)
特徴的には、尻尾領域Tに、所定面積の孔を形成するための孔形成用ミシン目80が縦方向に間隔を空けて複数形成されるとともに、隣接する孔形成用ミシン目80を繋ぐように、及び最も前側に位置する孔形成用ミシン目80から第二領域Bの前端まで達するように、縦方向に沿って線状に延在する拡張用ミシン目81がそれぞれ形成されている。
孔形成用ミシン目は一本のミシン目線のように所定面積の孔を形成しないものは含まないものであり、その形状は適宜定めることができ、円形(図2示す形状)、三角形、四角形等の適宜の閉じた線形状とする他、図10(a)に示すように、互いに交差する複数本の線形状とすることができる。
孔形成用ミシン目の数は図示例では3つであるが、3つ以上でも、2つ以下でも良い。また、孔形成用ミシン目80の縦方向間隔80dはおむつ全長Lの5〜15%程度とするのが好ましく、孔形成用ミシン目80により形成される孔の縦方向及び幅方向の長さはおむつ全長Lの5〜15%程度とするのが好ましい。
拡張用ミシン目は、図示例のように一本の線形状とする他、複数本の線形状のミシン目を平行に設けることもできる。また、図示例と異なり隣接する孔形成用ミシン目を繋ぐ必要はなく、一つの孔形成用ミシン目に一本の拡張用ミシン目が繋がっていれば良いが、図示例における3つの孔形成用ミシン目のうち縦方向中間のミシン目と、その縦方向両側の拡張用ミシン目との組み合わせのように、拡張用ミシン目は孔形成用ミシン目の縦方向両側に延在しているのは一つの好ましい形態である。
使用に際して装着に尻尾通し孔が必要である場合は、図7に示すように、縦方向に異なる位置の孔形成用ミシン目の中からいずれかを適宜選択して切り離す(図示例では最も第一領域側の部分)とともに、この孔形成位置を基本として、ペットの尻尾の付根位置及び太さに応じて、孔形成用ミシン目に繋がる拡張用ミシン目81の一部(全部でも良い)を切り離すことにより、任意の位置及び寸法の尻尾通し孔100を形成することができる。つまり、この例からも理解できるように、形成される尻尾通し孔100の位置及び寸法を縦方向両側に無段階で調整することができる。そのため、尻尾の付根に対するフィット性に優れ、漏れ防止性にも優れたものとなる。もちろん、尻尾通し孔100が不要の場合には両ミシン目80,81を切り離さずにおくことができ、また孔形成用ミシン目80により形成される孔をそのまま利用する場合には拡張用ミシン目81を切り離さずにおくことができる。よって、尻尾通し孔100の位置や、両ミシン目80,81を裂くか裂かないかを使用者が自由に決めることができ、装着に柔軟性があるものとなる。しかも、所定のパターンでミシン目80,81を入れただけの簡素な構造であり、製造も極めて容易である。
さらに、図2に示される例のように第二領域Bの前端に達する拡張ミシン目を有する場合、図8に示すように、尻尾付根対向部位から前側の孔形成用ミシン目80及び拡張用ミシン目81を全て切り離すことにより、尻尾付根対向部位から第二領域Bの前端までにわたるスリット101を形成することができ、装着に際してスリット101の両側の部分TR,TLを尻尾の両脇を通して尻尾の前方に持ち込み、尻尾の前側で交差させて第一領域Fの左側のファスニングテープ13を第二領域Bの右側TRに、及び第一領域Fの右側のファスニングテープ13を第二領域Bの左側TLに固定する(クロス止め)ことができるようになる。よって、前述の装着形態を含めて多種多様な装着形態を採用することができる。
他方、孔形成用ミシン目80及び拡張用ミシン目81は、ペットの激しい動き等により不用意に分離するおそれがあるとともに、当該ミシン目80,81を通じた排泄物の漏れも懸念される。そこで、本発明では、図9(a)示すように孔形成用ミシン目80及び拡張用ミシン目81を覆い且つその周囲部分に剥離可能なように当てシート90を貼り付ける。この当てシート90は一枚で孔形成用ミシン目80及び拡張用ミシン目81の全てを覆うようにしても良いが、その場合、縦方向に複数の部分に分離するためのミシン目91を形成するのが好ましい。図示しないが、予め縦方向に複数の部分に分離された当てシートを孔形成用ミシン目80及び拡張用ミシン目81に沿って並べて貼りつけても良い。また、当てシート90はおむつ外面に設けるのが好ましいが、内面に設けることもできる。
当てシート90の素材は特に限定されないが、スパンボンド不織布等の各種不織布、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなるフィルム、あるいはこれら不織布及びフィルムを積層したラミネート不織布等を用いることができ、特に粘着剤層14b側の面がフィルムからなるものを好適に用いることができる。不織布を用いる場合、その目付は10〜90g/m2程度とするのが好ましい。
当てシート90を剥離可能に固定する手段は特に限定されないが、例えばホットメルト接着剤等の接着剤、ヒートシール、超音波シール等のように当てシート90又は対象面の素材の溶着による接合手段の他、粘着・剥離を繰り返し行うことができる粘着剤やメカニカルファスナー(面ファスナー)を用いることができる。図示しないが、当てシートの縦方向の少なくとも一方の端部は固定面に対して非固定の摘み代とするのが好ましい。
このような当てシート90を設けることにより、図9(b)示すように尻尾通し孔100を形成する部分90sのみ当てシート90を剥がして孔形成用ミシン目80や拡張用ミシン目81を切り離し、他の部分の孔形成用ミシン目80及び拡張用ミシン目81は当てシート90を当てたまま使用することができる。また、尻尾通し孔100を形成しない場合には、図9(a)示すようにミシン目80,81全体に当てシート90を当てたまま使用することができる。よって、当てシート90により覆われたミシン目80,81は不用意に分離しないように補強されるとともに、当該ミシン目80,81を通じた排泄物の漏れが防止されるようになる。
(その他)
上記例では、拡張用ミシン目81が第二領域Bの前端まで延在しているが、図10(b)に示すように、拡張用ミシン目81が第二領域Bの前端まで達しない形態とすることも可能である。例えば、孔形成用ミシン目80が縦方向に間隔を空けて複数設けられている場合には、図示例のように拡張用ミシン目81を最も前側となる孔形成用ミシン目80より第一領域F側にのみ設けることができる。
本発明は、ペット用止着式使い捨ておむつに利用可能なものである。
11…液不透過性シート、12…外装シート、12T…ターゲットシート、30…表面シート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部立体ギャザー、62…ギャザーシート、80…孔形成用ミシン目、81…拡張用ミシン目、90…当てシート、100…尻尾通し孔。

Claims (4)

  1. 装着状態で尻尾の付根が対向可能な縦方向領域として定まる尻尾領域と、この尻尾領域の腹側に延在する第一領域と、尻尾領域の背側に延在する第二領域と、第一領域の両側部に設けられた、第二領域に対する係止部とを備え、
    第一領域の両側部の係止部を、第二領域に係止することで装着を行うように構成した、ペット用止着式使い捨ておむつにおいて、
    前記尻尾領域に所定面積の孔を形成するための孔形成用ミシン目を形成するとともに、この孔形成用ミシン目に繋がるように縦方向に沿って線状に延在する拡張用ミシン目を形成し、
    前記孔形成用ミシン目及び拡張用ミシン目を覆い且つその周囲部分に剥離可能に固定された当てシートを備え、
    この当てシートは縦方向に複数の部分に分離するためのミシン目が形成されているか、又は予め縦方向に複数の部分に分離されている、
    ことを特徴とするペット用止着式使い捨ておむつ。
  2. 前記拡張用ミシン目は前記孔形成用ミシン目の縦方向両側に延在している、請求項1記載のペット用止着式使い捨ておむつ。
  3. 前記孔形成用ミシン目は縦方向に間隔を空けて複数設けられている、請求項1又は2記載のペット用止着式使い捨ておむつ。
  4. 前記拡張用ミシン目は前記第二領域の前端まで延在している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペット用止着式使い捨ておむつ。
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