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JP5710991B2 - 移動通信システム及び基地局 - Google Patents

移動通信システム及び基地局 Download PDF

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Description

本発明は、報知信号を送信する移動通信システム及び基地局に関する。
移動通信システムにおいて、基地局は、報知信号を周期的に送信しており、無線端末は、基地局から受信した報知信号を用いて該基地局への接続処理を行う。
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)で仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)では、報知信号は、基地局との初期同期に用いられる同期信号と、基地局へのアクセス及び登録(レジストレーション)に用いられるシステム情報とを含む(非特許文献1参照)。
このような移動通信システムに属する全基地局は時刻同期をしており、報知信号の送信タイミングは全基地局にて同一である。報知信号の送信電力値は基地局の通信エリア範囲(エリアカバレッジ)を決定する重要な項目であるため、基地局設置時に最適な報知信号の送信電力値を決定し、その送信電力値が固定的に用いられている。
また、このような移動通信システムにおいては、MIMO(Multiple Input Multiple Output)等のマルチアンテナ伝送が採用されており、送信ダイバーシチ技術の一種である巡回遅延ダイバーシチ(CDD)の導入が検討されている(特許文献1参照)。
巡回遅延ダイバーシチでは、送信側は、複数の送信アンテナを介して送信すべき信号に対し、送信アンテナ毎に異なる巡回遅延を与える。受信側では、周波数軸上で受信電力値(振幅)の大きい部分と小さい部分とが交互に現れるような周波数選択性を帯びた信号を受信する。
ここで、受信電力値の大きい部分は、各送信アンテナから到来する信号の瞬時変動において受信状態の良好な部分を足し合わせたものに相当する。従って、巡回遅延ダイバーシチは、送信側における複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量に応じて、受信側における受信SINR(Signal-to-Interference and Noise power Ratio)を高めることができる。
巡回遅延ダイバーシチはシンプルな送信ダイバーシチ技術であり、基地局設置時に最適な巡回遅延量を決定し、その巡回遅延量が固定的に用いられることが想定される。
3GPP TS 36.211 V8.9.0 (2009−12)
特表2008−511221号公報
ところで、無線端末が報知信号を正常に受信するためには、該報知信号の受信SINRが所要品質を満たす必要がある。
しかしながら、複数の基地局の通信エリア境界に位置する無線端末は、通常、複数の基地局からの報知信号をほぼ等しい受信電力値で受信することになるため、各基地局からの報知信号の受信SINRが何れも所要品質を満たさないことがある。
従って、複数の基地局の通信エリア境界に位置する無線端末は、報知信号を正常に受信できないため、初期同期特性及びレジストレーション確立特性が著しく低下し、基地局への接続処理に成功する確率が低くなるという問題があった。
特に、多くの基地局が近接して配置される都市部等では、このような問題が顕著になる。
そこで、本発明は、複数の基地局の通信エリア境界に位置する無線端末が接続処理に成功する確率を高めることができる移動通信システム及び基地局を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。
まず、本発明に係る移動通信システムは、複数の基地局(基地局BS)を有する移動通信システム(移動通信システム1)であって、前記複数の基地局のそれぞれは、複数の送信アンテナ(アンテナAnt#1〜Ant#K)と、前記複数の送信アンテナ毎に異なる巡回遅延を与える巡回遅延ダイバーシチにより、無線端末(無線端末MS)によって自局への接続処理に用いられる報知信号を無線フレーム毎に送信する送信部(送信部150)と、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を変更するよう前記送信部を制御する制御部(制御部140)とを備え、前記制御部は、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を乱数に基づいてランダムに決定すると共に、前記無線フレーム毎の前記乱数を所定の定数で除算した剰余の値を単位遅延量(単位遅延量Δt)として算出し、前記複数の送信アンテナ毎に、前記算出した単位遅延量と、送信アンテナ番号と無線フレーム番号とに応じて定められる値(アンテナ変数AntN)とを乗算した結果を、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量として決定することを特徴とする。なお、送信アンテナとは、送信専用のアンテナに限らず、受信と兼用のアンテナであってもよい。また、遅延量とは、遅延時間あるいは位相回転量(位相シフト量)を意味する。
このような移動通信システムによれば、複数の基地局のそれぞれは、複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を周期的に変更する。これにより、複数の基地局の通信エリア境界に位置する無線端末が該複数の基地局から受信する各報知信号の受信電力値をばらつかせることができる。このため、何れかの報知信号の受信SINRが所要品質を満たす確率を高めることができ、初期同期特性及びレジストレーション確立特性を高めることができる。
従って、上記特徴によれば、複数の基地局の通信エリア境界に位置する無線端末が接続処理に成功する確率を高めることができる移動通信システムが提供される。
本発明に係る基地局は、複数の送信アンテナ(アンテナAnt#1〜Ant#K)と、前記複数の送信アンテナ毎に異なる巡回遅延を与える巡回遅延ダイバーシチにより、無線端末(無線端末MS)によって自局への接続処理に用いられる報知信号を無線フレーム毎に送信する送信部(送信部150)と、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を変更するよう前記送信部を制御する制御部(制御部140)とを備え、前記制御部は、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を乱数に基づいてランダムに決定すると共に、前記無線フレーム毎の前記乱数を所定の定数で除算した剰余の値を単位遅延量(単位遅延量Δt)として算出し、前記複数の送信アンテナ毎に、前記算出した単位遅延量と、送信アンテナ番号と無線フレーム番号とに応じて定められる値(アンテナ変数AntN)とを乗算した結果を、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量として決定することを特徴とする。
本発明に係る基地局の他の特徴は、上記特徴に係る基地局において、前記制御部は、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を周期的に変更し、当該周期は、前記報知信号を送信する周期(例えば無線フレームの周期)と等しいことを要旨とする。
本発明に係る基地局の他の特徴は、上記特徴に係る基地局において、前記乱数は、自局に固有の情報(例えば基地局ID)を乱数系列の種として発生させたものであることを要旨とする。
本発明に係る基地局の他の特徴は、上記特徴に係る基地局において、前記乱数は、自局に隣接する基地局の数を乱数系列の種として発生させたものであることを要旨とする。
本発明に係る基地局の他の特徴は、上記特徴に係る基地局において、前記制御部は、自局に隣接する基地局の数が多いほど、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量の変更量を大きくすることを要旨とする。
本発明によれば、複数の基地局の通信エリア境界に位置する無線端末が接続処理に成功する確率を高めることができる移動通信システム及び基地局を提供できる。
第1実施形態〜第3実施形態に係る移動通信システムの概要を説明するための図である。 第1実施形態〜第3実施形態に係る報知信号を説明するためのフレーム構成図である。 第1実施形態に係る各基地局の構成を説明するためのブロック図である。 第1実施形態に係る移動通信システムの動作を説明するための図である。 第2実施形態に係る各基地局の構成を説明するためのブロック図である。 第3実施形態に係る各基地局の構成を説明するためのブロック図である。
図面を参照して、本発明の第1実施形態〜第3実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
(1)第1実施形態
以下、第1実施形態について、(1.1)移動通信システムの概要、(1.2)各基地局の構成、(1.3)移動通信システムの動作、(1.4)第1実施形態の効果の順に説明する。
(1.1)移動通信システムの概要
まず、第1実施形態に係る移動通信システムの概要について、(1.1.1)移動通信システムの概略構成、(1.1.2)報知信号の順に説明する。
(1.1.1)移動通信システムの概略構成
図1(a)は、第1実施形態に係る移動通信システム1の概略構成図である。移動通信システム1は、3GPPで仕様が策定されているLTEに基づいて構成されており、無線アクセス方式として、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が適用され、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier−Frequency Division Multiple Access)が適用される。なお、図1(a)において破線で示す領域は、各基地局BSの通信エリアである。
図1(a)に示すように、移動通信システム1は、複数の無線端末MS(MS−A,MS−B,MS−C)と、複数の基地局(BS−A,BS−B,BS−C)とを有する。
各基地局BSは、無線端末MSにサービスを提供すべき通信エリアを形成する。該通信エリアは、最小エリア単位であるセルを1つ又は複数用いて構成される。各基地局BSは、報知信号を周期的(具体的には、無線フレーム毎)に送信する。LTEでは、各基地局BSは時刻同期をしており、報知信号の送信タイミングは各基地局BSにて同一である。
報知信号は、無線端末MSによって基地局BSとの初期同期に用いられる同期信号と、無線端末MSによって基地局BSへのアクセス及びレジストレーションに用いられるシステム情報とを含む。報知信号の詳細については後述する。
各基地局BSは、複数のアンテナAnt#1〜Ant#K(図3)を用いた巡回遅延ダイバーシチをサポートしており、報知信号を巡回遅延ダイバーシチにより送信する。巡回遅延ダイバーシチの詳細については後述する。
各無線端末MSは、ユーザが所持する無線通信装置であり、ユーザ機器(UE)とも称される。無線端末MS−Aは、基地局BS−A,BS−B,BS−Cの通信エリア境界に位置している。無線端末MS−Bは、基地局BS−Bの近傍に位置している。無線端末MS−Cは、基地局BS−Cの近傍に位置している。
各無線端末MSは、例えば電源オン時等において、基地局BSから受信した報知信号を用いて該基地局BSへの接続処理を行う。接続処理は、受信可能な報知信号をサーチするセルサーチと、受信SINRが所要品質を満たす報知信号の送信元基地局BS(あるいは送信元セル)に対するアクセス及びレジストレーションとを含む。
図1(b)は、無線端末MS−A,MS−B,MS−Cのそれぞれにおける報知信号の受信SINRを説明するための図である。なお、受信SINRとは、全受信電力のうち所望信号成分Sの受信電力の占める割合を意味する。図1(b)においては、基地局BS−A,BS−B,BS−Cのそれぞれの報知信号の送信電力値及び巡回遅延量が等しいと仮定している。
図1(b)に示すように、無線端末MS−Bは、基地局BS−A,BS−B,BS−Cのそれぞれから報知信号を受信するが、それらの受信電力のうち、基地局BS−Bからの報知信号の受信電力が大半を占める。よって、基地局BS−Bからの報知信号を所望信号成分Sとし、基地局BS−A及びBS−Cからの報知信号を雑音信号成分Iとした場合の報知信号の受信SINRは所要品質を満たす。従って、無線端末MS−Bは、基地局BS−Bからの報知信号を正常に受信し、基地局BS−Bへの接続処理に成功する。
同様に、無線端末MS−Cは、基地局BS−A,BS−B,BS−Cのそれぞれから報知信号を受信するが、それらの受信電力のうち、基地局BS−Cからの報知信号の受信電力が大半を占める。よって、基地局BS−Cからの報知信号を所望信号成分Sとし、基地局BS−A及びBS−Bからの報知信号を雑音信号成分Iとした場合の報知信号の受信SINRは所要品質を満たす。従って、無線端末MS−Cは、基地局BS−Cからの報知信号を正常に受信し、基地局BS−Cへの接続処理に成功する。
一方、無線端末MS−Aは、基地局BS−A,BS−B,BS−Cのそれぞれから報知信号を受信するが、それらの受信電力値がほぼ等しい。よって、基地局BS−A,BS−B,BS−Cの何れかの報知信号を所望信号成分Sとし、残る基地局からの報知信号を雑音信号成分Iとした場合の受信SINRは所要品質を満たさない。従って、無線端末MS−Aは、基地局BS−A,BS−B,BS−Cの何れからも報知信号を正常に受信することができず、接続処理に失敗する。
そこで、第1実施形態では、各基地局BSは、アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量を周期的(具体的には、無線フレーム毎)に変更する。これにより、各基地局BSの通信エリア境界に位置する無線端末MS−Aが各基地局BSから受信する報知信号の受信電力値をばらつかせて、何れかの報知信号の受信SINRが所要品質を満たす確率を高める。
(1.1.2)報知信号
図2は、報知信号を説明するためのフレーム構成図である。図2に示す無線フレームは時間方向に並んで設けられる。
図2に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成され、各サブフレームは2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。また、各スロットは、時間方向に6又は7個のOFDMシンボルを含み、周波数方向に複数のリソースブロック(RB)を含む。
報知信号は、同期信号とシステム情報とを含む。同期信号は、プライマリ同期信号(P−SS)と、セカンダリ同期信号(S−SS)とを含む。
FDDモードにおいて、P−SSは、0番目及び10番目の各スロットのうち最後のOFDMシンボルにマッピングされ、S−SSは、同じスロットの最後から2番目(すなわちP−SSの直前)のOFDMシンボルにマッピングされる。TDDモードにおいて、P−SSは、1番目及び6番目の各サブフレームのうち3番目のOFDMシンボルにマッピングされ、S−SSは、0番目及び5番目の各サブフレームのうち最後のOFDMシンボル(すなわちP−SSの2シンボル前)にマッピングされる。
無線端末MSは、P−SS及びS−SSを正常に受信すると、ネットワーク中の基地局BS(セル)を発見して同期することができる。無線端末MSは、セルサーチの完了後、該基地局BS(セル)からのシステム情報を正常に受信すると、該セル内で通信を行うために必要な情報を取得し、該セルへのアクセス及びレジストレーションを行う。
システム情報は、マスタ情報ブロック(MIB)とシステム情報ブロック(SIB)とを含む。MIBは、0番目のサブフレームにマッピングされる物理ブロードキャストチャネル(PBCH)を用いて送信される情報である。MIBは、SIBを受信するために必要な情報を含む。SIBは、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)を用いて送信される情報である。SIBは、基地局BS(セル)にアクセスするために必要な情報を含む。
(1.2)各基地局の構成
次に、図3を用いて、各基地局BSの構成について、(1.2.1)概略構成、(1.2.2)送信部の構成、(1.2.3)制御部の構成の順に説明する。
(1.2.1)概略構成
図3(a)は、各基地局BSの概略構成を示すブロック図である。
図3(a)に示すように、各基地局BSは、無線通信部110と、ネットワーク通信部120と、記憶部130と、制御部140とを有する。
無線通信部110は、アンテナAnt#1〜Ant#Kを介して無線通信を行うように構成される。無線通信部110は、送信部150及び受信部160を含む。
送信部150は、制御部140から入力されるベースバンド信号(送信データ)の変調や、アップコンバート、増幅等を行って無線信号をアンテナAnt#1〜Ant#Kから出力する。また、送信部150は、報知信号を周期的(具体的には、無線フレーム毎)に送信する。送信部150は、制御部140からの制御によってアンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量を変更する。
受信部160は、アンテナAnt#1〜Ant#Kから入力される受信信号の増幅や、ダウンコンバート、復調等を行った後、ベースバンド信号(受信データ)を制御部140に出力する。
ネットワーク通信部120は、コアネットワークとの間に設定される論理コネクションであるS1インターフェイスを用いて、コアネットワークとの通信を行う。また、ネットワーク通信部120は、隣接基地局との間に設定される論理コネクションであるX2インターフェイスを用いて、隣接基地局との基地局間通信を行う。
記憶部130は、例えばメモリを用いて構成されており、制御部140による制御等に用いられる各種の情報を記憶する。記憶部130は、後述する基地局ID等を記憶している。
制御部140は、例えばCPUを用いて構成されており、基地局BSの各種の機能(無線通信部110やネットワーク通信部120等)を制御する。
制御部140は、アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量を周期的に変更するよう送信部150を制御する。アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量の変更周期は、報知信号の送信周期と等しい。すなわち、制御部140は、アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量を無線フレーム毎に変更するよう送信部150を制御する。
また、制御部140は、アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量を乱数に基づいてランダムに決定する。乱数は、自局に固有の情報を乱数系列の種(いわゆる、シード)として発生させたものである。以下においては、自局に固有の情報として自局の基地局IDを使用する一例を説明するが、基地局IDに代えて、自局のMACアドレス又は自局の位置情報等を使用してもよい。
(1.2.2)送信部の構成
図3(b)は、送信部150の構成を示すブロック図である。なお、図3(b)では、本発明との関連の低い機能ブロックの図示を省略している。
図3(b)に示すように、送信部150は、符号化部151と、シリアル/パラレル(S/P)変換部152と、逆高速フーリエ変換(IFFT)部153と、パラレル/シリアル(P/S)変換部154と、アンテナAnt#1〜Ant#K毎に設けられた巡回遅延部155#1〜155#Kと、アンテナAnt#1〜Ant#K毎に設けられたサイクリック・プリフィックス(CP)挿入部156#1〜156#Kとを含む。
符号化部151は、送信データが入力され、入力された送信データを符号化して出力する。
S/P変換部152は、符号化部151からの符号化データが入力され、入力された符号化データを各サブキャリアに対応するサンプルデータに変換して出力する。
IFFT部153は、S/P変換部152からのサンプルデータが入力され、入力されたサンプルデータに対してIFFTを実施することにより、周波数領域から時間領域への変換を行う。その結果、IFFT部153は、OFDMサンプルデータを出力する。
P/S変換部154は、IFFT部153からのOFDMサンプルデータが入力され、入力されたOFDMサンプルデータをシリアル変換して出力する。その結果、P/S変換部154は、OFDMシンボルを出力する。
巡回遅延部155#1〜155#Kのそれぞれは、P/S変換部154からのOFDMシンボルが入力され、入力されたOFDMシンボルに対して巡回遅延を与える。ここで、巡回遅延部155#1〜155#K毎の巡回遅延量ΔtAntNumは、制御部140によって設定される。具体的には、巡回遅延部155#1は、入力されたOFDMシンボルを巡回遅延量ΔtAnt#1だけ巡回遅延させて出力する。また、巡回遅延部155#Kは、入力されたOFDMシンボルを巡回遅延量ΔtAnt#Kだけ巡回遅延させて出力する。このようにして、巡回遅延部155は、アンテナAnt#1〜Ant#K毎に異なる巡回遅延を与える。
CP挿入部156#1〜156#Kは、巡回遅延部155からの巡回遅延OFDMシンボルが入力され、入力された巡回遅延OFDMシンボルの一部をCPとしてコピーし、時間軸上で互いに隣接する巡回遅延OFDMシンボルの間にCPを挿入する。その結果、CP挿入部156#1〜156#Kのそれぞれは、OFDM信号を出力する。
CP挿入部156#1〜156#Kが出力するOFDM信号は、図示しない高周波信号処理回路によって無線信号に変換され、電力増幅された後、アンテナAnt#1〜Ant#Kから電波としてそれぞれ送信される。
なお、図3(b)では、IFFT後の信号、すなわち時間領域の信号に対して巡回遅延を与える構成を例示したが、IFFT前の信号、すなわち周波数領域の信号に対して巡回遅延を与える構成としてもよい。
(1.2.3)制御部の構成
図3(c)は、制御部140の機能ブロック構成を示すブロック図である。なお、図3(c)では、本発明との関連の低い機能ブロックの図示を省略している。図3(c)に示す各機能ブロックは、ソフトウェアモジュールとして構成されてもよく、ハードウェアモジュールとして構成されてもよい。
図3(c)に示すように、制御部140は、疑似ランダム符号発生部141と、モジュロ演算部142と、遅延パターン決定部143とを含む。
疑似ランダム符号発生部141は、基地局ID及び無線フレーム番号が入力され、基地局IDをシードとする乱数Rを無線フレーム毎に出力する。一例として、疑似ランダム符号発生部141は、9段のビットシフタを用いて構成されるPN9のタイプであり、基地局IDのLSB側の9ビットから疑似ランダムパターンを発生させる。
モジュロ演算部142は、疑似ランダム符号発生部141からの乱数Rが入力され、システムで予め設定した定数Nにてモジュロ演算を行い、その結果の値(すなわち、剰余の値)を単位遅延量Δtとして出力する。一例として、Nの値は8である。乱数Rに基づく単位遅延量Δtによって、巡回遅延量の大きさ(スケール)が定められる。乱数Rは基地局IDに基づくため、巡回遅延量の大きさ(スケール)を隣接する基地局間で異ならせることができる。
モジュロ演算部142が出力する単位遅延量Δtは、下記の式(1)で表すことができる:
Δt= {(R|BS-ID) MOD N} …(1)
ここで、BS−IDは、例えば基地局IDのLSB側9ビットである。
遅延パターン決定部143は、アンテナAnt#1〜Ant#K毎に、単位遅延量Δtと、アンテナ番号(AntNum)と無線フレーム番号(FrmNum)とに応じて定められるアンテナ変数AntNとを乗算した結果を、その無線フレームについての巡回遅延量(遅延パターン)ΔtAntNumとして決定し、巡回遅延部155に出力する。
遅延パターン決定部143が出力するΔtAntNumは、下記の式(2)で表すことができる:
ΔtAntNum = Δt × AntN …(2)
ここで、AntNは、下記の式(3)で表すことができる:
AntN = (AntNum + FrmNum MOD N) …(3)
このように、フレーム番号に応じて更新されるアンテナ変数AntNを導入することで、アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量の組み合わせ(遅延パターン)を、無線フレーム毎に異ならせることができる。
例えば、遅延パターン決定部143は、アンテナAnt#1については、単位遅延量Δtと、アンテナ番号(AntNum=1)と無線フレーム番号とに応じて定められるアンテナ変数AntNとを乗算した結果を、その無線フレームについてのアンテナAnt#1に対応する巡回遅延量ΔtAnt#1として決定する。また、遅延パターン決定部143は、アンテナAnt#Kについては、単位遅延量Δtと、アンテナ番号(AntNum=K)と無線フレーム番号とに応じて定められるアンテナ変数AntNとを乗算した結果を、その無線フレームについてのアンテナAnt#Kに対応する巡回遅延量ΔtAnt#Kとして決定する。
このようにして、無線フレーム毎且つアンテナ毎に決定された巡回遅延量ΔtAntNumは、巡回遅延部155に設定される。巡回遅延部155は、設定された巡回遅延量ΔtAntNumに従って巡回遅延を与えることになる。
(1.3)移動通信システムの動作
次に、図4を用いて、第1実施形態に係る移動通信システム1の動作を説明する。図4(a)に示すように、無線端末MS−Aが基地局BS−A,BS−B,BS−Cの通信エリア境界に位置しており、無線端末MS−Aと基地局BS−A,BS−B,BS−Cとの間の距離はほぼ等しいものと仮定する。
図4(b)は、各基地局BSが一定の巡回遅延量で報知信号を送信する場合の無線端末MS−Aの受信状態を示す図である。
図4(b)に示すように、無線端末MS−Aは、各基地局BSから報知信号を受信するが、それらの受信電力値は、ほぼ等しく、且つ、各無線フレームのタイミングα、β、γで変化しない。このため、報知信号の受信SINRが所要品質を満たさない状況が維持される。従って、無線端末MS−Aは、報知信号を正常に受信することができず、接続処理を行うことができない。
図4(c)は、各基地局BSが図3(c)に示す構成により無線フレーム毎且つアンテナ毎に決定した巡回遅延量ΔtAntNumで報知信号を送信する場合の無線端末MS−Aの受信状態を示す図である。
図4(c)に示すように、無線端末MS−Aは、各基地局BSから報知信号を受信するが、それらの受信電力値は、各無線フレームのタイミングα、β、γ、δで変化する。図4(c)の例では、タイミングγにおいて、基地局BS−Aからの報知信号の受信SINRが所要品質を満たしており、無線端末MS−Aは、該報知信号を正常に受信し、基地局BS−Aへの接続処理を行うことができる。
なお、報知信号は全無線フレームにて受信を行う必要は無い信号なので、複数フレームに数回程度、受信電力値を低下させたとしても、システム特性を劣化させる要因とはならない。
(1.4)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、各基地局BSは、アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量ΔtAntNumを周期的に変更する。これにより、無線端末MS−Aが受信する各報知信号の受信電力値をばらつかせることができるため、何れかの報知信号の受信SINRが所要品質を満たす確率を高めることができる。
ここで、アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量ΔtAntNumの変更周期を報知信号の送信周期(すなわち無線フレームの周期)と等しくすることによって、報知信号の送信毎にその巡回遅延量ΔtAntNumを変更することができる。これにより、無線端末MS−Aが受信する報知信号の受信電力値が頻繁に変化するため、報知信号の受信SINRが所要品質を満たす確率をさらに高めることができる。
さらに、各基地局BSは、アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量ΔtAntNumを乱数に基づいてランダムに決定することによって、自局の巡回遅延量ΔtAntNumを、隣接基地局の巡回遅延量ΔtAntNumと異ならせることができる。従って、無線端末MS−Aが接続処理に成功する確率をより一層高めることができる。
各基地局BSは、自局に固有の情報をシードとして乱数を発生させることによって、自局の巡回遅延量ΔtAntNumを、隣接基地局の巡回遅延量ΔtAntNumと確実に異ならせることができる。従って、無線端末MS−Aが接続処理に成功する確率をより一層高めることができる。
各基地局BSは、アンテナAnt#1〜Ant#K毎に、乱数に基づく単位遅延量Δtと、アンテナ番号(AntNum)と無線フレーム番号(FrmNum)とに応じて定められるアンテナ変数AntNとを乗算した結果を、その無線フレームについての巡回遅延量(遅延パターン)ΔtAntNumとして決定する。このように、乱数に基づく単位遅延量Δtによって巡回遅延量の大きさ(スケール)が定められる。また、フレーム番号に応じたアンテナ変数AntNを導入することで、アンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量の組み合わせ(遅延パターン)を無線フレーム毎に異ならせることができる。従って、無線端末MS−Aが受信する報知信号の受信電力値を頻繁に変化させることができるため、報知信号の受信SINRが所要品質を満たす確率をより一層高めることができる。
(2)第2実施形態
以下、第2実施形態について、(2.1)各基地局の構成、(2.2)第2実施形態の効果の順に説明する。第2実施形態においては、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明は省略する。
(2.1)各基地局の構成
第2実施形態では、各基地局BSは、図3(c)に示した構成に代えて、図5に示す構成によってアンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量ΔtAntNumを無線フレーム毎に決定する。
図5に示すように、第2実施形態に係る疑似ランダム符号発生部141は、隣接基地局数及び無線フレーム番号が入力され、隣接基地局数をシードとする乱数Rを無線フレーム毎に出力する。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
ここで、隣接基地局数は、基地局BSの設置時に記憶部130に予め記憶される。あるいは、記憶部130に記憶されている隣接基地局リスト(いわゆる、ネイバーリスト)に含まれる基地局IDの数から、隣接基地局数を把握できる。また、基地局BSが隣接基地局からの無線信号を受信可能な構成であれば、無線信号の受信結果に基づいて隣接基地局数を把握してもよい。
(2.2)第2実施形態の効果
以上説明したように、第2実施形態によれば、各基地局BSは、隣接基地局数をシードとして乱数を発生させることによって、自局の巡回遅延量ΔtAntNumが隣接基地局の巡回遅延量ΔtAntNumと異なる確率を高めることができる。従って、無線端末MS−Aが接続処理に成功する確率をより一層高めることができる。
(3)第3実施形態
以下、第3実施形態について、(3.1)各基地局の構成、(3.2)第3実施形態の効果の順に説明する。第3実施形態においては、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明は省略する。
(3.1)各基地局の構成
第3実施形態では、各基地局BSは、図3(c)に示した構成に代えて、図6に示す構成によってアンテナAnt#1〜Ant#K毎の巡回遅延量ΔtAntNumを無線フレーム毎に決定する。
図6に示すように、第3実施形態に係るモジュロ演算部142は、疑似ランダム符号発生部141からの乱数Rが入力され、隣接基地局数を定数Nとしてモジュロ演算を行い、その結果の値(すなわち、剰余の値)を単位遅延量Δtとして出力する。その他の構成については、第1実施形態と同様である。また、隣接基地局数は、第2実施形態と同様の方法によって把握できる。
基地局BSが密集する都市部等では、1つの無線端末MSが多数の基地局BSからの報知信号を受信し得るため、何れかの報知信号の受信SINRが所要品質を満たすようにするためには、無線端末MSが受信する各報知信号の受信電力値をより大きくばらつかせる必要がある。そこで、モジュロ演算のための定数Nを隣接基地局数とすることによって、隣接基地局数が多いほど、単位遅延量Δtの取り得る値の範囲が大きくなり、巡回遅延量ΔtAntNumの取り得る値の範囲も大きくなる。
(3.2)第3実施形態の効果
以上説明したように、第3実施形態によれば、各基地局BSは、隣接基地局数が多いほど、自局の巡回遅延量ΔtAntNumの変更量を大きくする。これにより、無線端末MS−Aが各基地局BSから受信する報知信号の受信電力値のばらつきを大きくすることができる。従って、基地局BSが密集する都市部等においても、無線端末MS−Aが接続処理に成功する確率をより一層高めることができる。
(4)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
例えば、上述した第3実施形態では、第1実施形態をベースとする構成を説明したが、第2実施形態をベースとする構成でもよい。具体的には、隣接基地局数をシードとする乱数Rに対し、隣接基地局数でモジュロ演算を行ってもよい。
上述した各実施形態では、バックホールを有線回線で構成する一般的な基地局BSを例に説明したが、バックホールを無線回線で構成する基地局BSであってもよい。バックホールを無線回線で構成する基地局BSは、リレーノード又は中継局と称されることがある。
上述した各実施形態では、LTEに基づいて構成される移動通信システム1を例に説明したが、WiMAXに基づいて構成される移動通信システム等に対しても本発明を適用可能である。WiMAXでは、各基地局BSは、プリアンブルと称される同期用の報知信号を無線フレーム毎に送信しており、無線端末MSは、該報知信号を受信することで基地局BSへの接続処理を行う。このため、各基地局BSが巡回遅延ダイバーシチによりプリアンブルを送信する際の巡回遅延量を無線フレーム毎にランダムに変更することによって、上述した各実施形態で説明した効果を得ることができる。
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
Ant…アンテナ、BS…基地局、MS…無線端末、1…移動通信システム、110…無線通信部、120…ネットワーク通信部、130…記憶部、140…制御部、141…疑似ランダム符号発生部、142…モジュロ演算部、143…遅延パターン決定部、150…送信部、151…符号化部、152…S/P変換部、153…IFFT部、154…P/S変換部、155…巡回遅延部、156…CP挿入部、160…受信部

Claims (6)

  1. 複数の基地局を有する移動通信システムであって、
    前記複数の基地局のそれぞれは、
    複数の送信アンテナと、
    前記複数の送信アンテナ毎に異なる巡回遅延を与える巡回遅延ダイバーシチにより、無線端末によって自局への接続処理に用いられる報知信号を無線フレーム毎に送信する送信部と、
    前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を変更するよう前記送信部を制御する制御部と、
    を備え
    前記制御部は、
    前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を乱数に基づいてランダムに決定すると共に、
    前記無線フレーム毎の前記乱数を所定の定数で除算した剰余の値を単位遅延量として算出し、
    前記複数の送信アンテナ毎に、前記算出した単位遅延量と、送信アンテナ番号と無線フレーム番号とに応じて定められる値とを乗算した結果を、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量として決定することを特徴とする移動通信システム。
  2. 複数の送信アンテナと、
    前記複数の送信アンテナ毎に異なる巡回遅延を与える巡回遅延ダイバーシチにより、無線端末によって自局への接続処理に用いられる報知信号を無線フレーム毎に送信する送信部と、
    前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を変更するよう前記送信部を制御する制御部と、
    を備え
    前記制御部は、
    前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を乱数に基づいてランダムに決定すると共に、
    前記無線フレーム毎の前記乱数を所定の定数で除算した剰余の値を単位遅延量として算出し、
    前記複数の送信アンテナ毎に、前記算出した単位遅延量と、送信アンテナ番号と無線フレーム番号とに応じて定められる値とを乗算した結果を、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量として決定することを特徴とする基地局。
  3. 前記制御部は、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量を周期的に変更し、当該周期は、前記報知信号を送信する周期と等しいことを特徴とする請求項2に記載の基地局。
  4. 前記乱数は、自局に固有の情報を乱数系列の種として発生させたものであることを特徴とする請求項に記載の基地局。
  5. 前記乱数は、自局に隣接する基地局の数を乱数系列の種として発生させたものであることを特徴とする請求項に記載の基地局。
  6. 前記制御部は、自局に隣接する基地局の数が多いほど、前記複数の送信アンテナ毎の巡回遅延量の変更量を大きくすることを特徴とする請求項2〜の何れか一項に記載の基地局。
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