以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
[実施例1]
図1〜図19は本発明の実施例1に係わる図である。以下、図を用いて実施例1の作用を説明する。
図1は本発明の撮像装置の構成図で、撮像素子を有したカメラ本体138と、別体の撮影レンズ137とで構成されており、カメラ本体138に対して撮影レンズ137が交換可能な電子カメラを示している。
まず撮影レンズ137の構成について説明する。101は撮影光学系(結像光学系)の先端に配置された第1レンズ群で、光軸方向に前後に移動可能(進退可能)に保持される。102は絞りで、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行なう。103は第2レンズ群である。そして前記絞り102及び第2レンズ群103は一体となって光軸方向に進退し、前記第1レンズ群101の移動動作との連動により、変倍作用(ズーム機能)をなす。
105は第3レンズ群で、光軸方向の進退により、焦点調節を行なう。111はズームアクチュエータで、不図示のカム筒を回動することで、第1レンズ群111ないし第2レンズ群103を光軸方向に進退駆動し、変倍操作を行なう。112は絞りアクチュエータで、絞り102の開口径を制御して撮影光量を調節する。114はフォーカスアクチュエータで、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行なう。
136はカメラ通信回路で、レンズに関する情報をカメラに渡したり、カメラに関する情報を受け取ったりする。レンズに関する情報とは、ズーム状態、絞り状態、フォーカス状態、レンズ枠情報等のことである。カメラ通信回路136は、カメラ側に設けられたレンズ通信回路135に、これらの情報を渡す。
次にカメラ本体138について説明する。106は光学的ローパスフィルタで、撮影画像の偽色やモアレを軽減するための光学素子である。107はC−MOSセンサとその周辺回路で構成された撮像素子である。該撮像素子としては、横方向にm画素、縦方向にn画素が配列された受光ピクセル上に、ベイヤー配列の原色カラーモザイクフィルタがオンチップで形成されている2次元単板カラーセンサが用いられる。請求項中の光電変換手段とは、撮像素子107に対応する。
139はシャッターユニットで、静止画撮影時の露光時間制御を行なう。140はシャッター139を動かすためにシャッターアクチュエータである。
115は撮影時の被写体照明用電子フラッシュで、キセノン管を用いた閃光照明装置が好適だが、連続発光するLEDを備えた照明装置を用いても良い。116はAF補助光手段で、所定の開口パターンを有したマスクの像を、投光レンズを介して被写界に投影し、暗い被写体あるいは低コントラスト被写体に対する焦点検出能力を向上させる。
121はCPUで、カメラ本体の種々の制御を司るカメラ内CPUで、演算部、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を有し、ROMに記憶された所定のプログラムに基づいて、カメラが有する各種回路を駆動し、AF、撮影、画像処理と記録等の一連の動作を実行する。
122は電子フラッシュ制御回路で、撮影動作に同期して照明手段115を点灯制御する。123は補助光駆動回路で、焦点検出動作に同期してAF補助光手段116を点灯制御する。124は撮像素子駆動回路で、撮像素子107の撮像動作を制御するとともに、取得した画像信号をA/D変換してCPU121に送信する。125は画像処理回路で、撮像素子107が取得した画像のγ変換、カラー補間、JPEG圧縮等の処理を行なう。
126はフォーカス駆動回路で、焦点検出結果に基づいてフォーカスアクチュエータ114を駆動制御し、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行なう。128は絞り駆動回路で、絞りアクチュエータ112を駆動制御して絞り102の開口を制御する。129はズーム駆動回路で、撮影者のズーム操作に応じてズームアクチュエータ111を駆動する。135はレンズ通信回路、撮影レンズ137内のカメラ通信回路136と通信を行なう。145はシャッター駆動回路で、シャッターアクチュエータ140を駆動する。
131はLCD等の表示器で、カメラの撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像と撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態表示画像等を表示する。132は操作スイッチ群で、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。133は着脱可能なフラッシュメモリで、撮影済み画像を記録する。144はカメラ内メモリであり、CPU121で行なう演算に必要な各種データが保存されている。
図2は本発明の撮像素子の概略的回路構成図を示したもので、例えば本出願人による特開平09−046596号公報に開示された技術を用いることができる。同図は便宜上2次元C−MOSエリアセンサの2列×4行のみの画素配列を示している。しかし、実際の撮像素子では図示されている画素30−11ないし30−42を多数配置され高解像度画像の取得が可能となっている。本実施形態においては、画素ピッチが2μm、有効画素数が横3000列×縦2000行=600万画素、撮像画面サイズが横6mm×縦4mmの撮像素子であるとして説明を行なう。
図2において、1はMOSトランジスタゲートとゲート下の空乏層からなる光電変換素子の光電変換部、2はフォトゲート、3は転送スイッチMOSトランジスタ、4はリセット用MOSトランジスタ、5はソースフォロワアンプMOSトランジスタ、6は水平選択スイッチMOSトランジスタ、7はソースフォロワの負荷MOSトランジスタ、8は暗出力転送MOSトランジスタ、9は明出力転送MOSトランジスタ、10は暗出力蓄積容量CTN、11は明出力蓄積容量CTS、12は水平転送MOSトランジスタ、13は水平出力線リセットMOSトランジスタ、14は差動出力アンプ、15は水平走査回路、16は垂直走査回路である。
図3に画素の断面図を示す。同図において、17はP型ウェル、18はゲート酸化膜、19は一層目ポリSi、20は二層目ポリSi、21はn+ フローティングディフュージョン部(FD)である。21のFDは別の転送MOSトランジスタを介して別の光電変換部と接続される。同図において、2つの転送MOSトランジスタ3のドレインとFD部21を共通化して微細化とFD部21の容量低減による感度向上を図っているが、Al配線でFD部21を接続しても良い。
図4ないし図5は、撮像用画素と焦点検出用画素の構造を説明する図である。本実施形態においては、2行×2列の4画素のうち、対角2画素にG(緑色)の分光感度を有する画素を配置し、他の2画素にR(赤色)とB(青色)の分光感度を有する画素を各1個配置した、ベイヤー配列が採用されている。そして、該ベイヤー配列の間に、焦点検出用画素が所定の規則にて分散配置される。撮像用画素の間に、焦点検出用画素を離散的に配置する技術は、特許文献1等で開示されていて公知の技術であるため、説明は省略する。
図4に撮像用画素の配置と構造を示す。同図(a)は2行×2列の撮像用画素の平面図である。周知のごとく、ベイヤー配列では対角方向にG画素が、他の2画素にRとBの画素が配置される。そして該2行×2列の構造が繰り返し配置される。
同図(a)の断面A−Aを同図(b)に示す。MLは各画素の最前面に配置されたオンチップマイクロレンズ、CFRはR(Red)のカラーフィルタ、CFGはG(Green)のカラーフィルタである。PDは図3で説明したC−MOSセンサの光電変換部を模式的に示したもの、CLはC−MOSセンサ内の各種信号を伝達する信号線を形成するための配線層である。TLは撮影光学系を模式的に示したものである。
ここで、撮像用画素のオンチップマイクロレンズMLと光電変換部PDは、撮影光学系MLを通過した光束を可能な限り有効に取り込むように構成されている。換言すると、撮影光学系TLの射出瞳EPと光電変換部PDは、マイクロレンズMLにより共役関係にあり、かつ光電変換部の有効面積は大面積に設計される。また、同図(b)ではR画素の入射光束について説明したが、G画素及びB(Blue)画素も同一の構造となっている。従って、撮像用のRGB各画素に対応した射出瞳EPは大径となり、被写体からの光束を効率よく取り込んで画像信号のS/Nを向上させている。
図5は、撮影レンズの水平方向(横方向)に瞳分割を行なうための焦点検出用画素の配置と構造を示す。同図(a)は、焦点検出用画素を含む2行×2列の画素の平面図である。撮像信号を得る場合、G画素は輝度情報の主成分をなす。そして人間の画像認識特性は輝度情報に敏感であるため、G画素が欠損すると画質劣化として認識されやすい。一方でRもしくはB画素は、色情報を取得する画素であるが、人間は色情報には鈍感であるため、色情報を取得する画素は多少の欠損が生じても画質劣化に気づきにくい。そこで本実施形態においては、2行×2列の画素のうち、G画素は撮像用画素として残し、RとBの画素を焦点検出用画素としている。これを同図(a)においてSHA及びSHBで示す。
同図(a)の断面A−Aを同図(b)に示す。マイクロレンズMLと、光電変換部PDは図4(b)に示した撮像用画素と同一構造である。本実施形態においては、焦点検出用画素の信号は撮影画像の信号として用いられないため、色分離用カラーフィルタの代わりに透明膜CFW(White)が配置される。また、撮像素子で瞳分割を行なうため、配線層CLの開口部はマイクロレンズMLの中心線に対して一方向に偏っている。具体的には、画素SHA及の開口部OPHAは右側に偏っているため、撮影レンズTLの左側の射出瞳EPHAを通過した光束を受光する。同様に、画素SHBの開口部OPHBは左側に偏倚しているため、撮影レンズTLの右側の射出瞳EPHBを通過した光束を受光する。よって、画素SHAを水平方向に規則的に配置し、これらの画素で取得した被写体像をA像とする。また、画素SHBも水平方向に規則的に配置し、これらの画素で取得した被写体像をB像とすると、A像とB像の相対位置を検出することで、撮影レンズ137のピントずれ量(デフォーカス量)が検出できる。
ここで、マイクロレンズMLは、撮影レンズTLの左側の射出瞳EPHAを透過した光束からなるA像と、撮影レンズTLの右側の射出瞳EPHBを透過した光束からなるB像の、一対の光学像を生成するレンズ要素の機能を果たしている。
なお、上記画素SHA及びSHBでは、撮影画面の横方向に輝度分布を有した被写体、例えば縦線に対しては焦点検出可能だが、縦方向に輝度分布を有する横線は焦点検出不能である。そこで本実施形態では、後者についても焦点検出できるよう、撮影画面の垂直方向(縦方向)にも瞳分割を行なう画素も備えている。
図6は、撮影画面の垂直方向に瞳分割を行なうための焦点検出用画素の配置と構造を示す。同図(a)は、焦点検出用画素を含む2行×2列の画素の平面図で、図5(a)と同様に、G画素は撮像用画素として残し、RとBの画素を焦点検出用画素としている。これを同図(a)においてSVC及びSVDで示す。
同図(a)の断面A−Aを同図(b)に示すが、図5(b)の画素が横方向に瞳分離する構造であるのに対して、図6(b)の画素は瞳分離方向が縦方向になっているだけで、画素の構造としては変わらない。すなわち、画素SVCの開口部OPVCは下側に偏っているため、撮影レンズTLの上側の射出瞳EPVCを通過した光束を受光する。同様に、画素SVDの開口部OPVDは上側に偏倚しているため、撮影レンズTLの下側の射出瞳EPVDを通過した光束を受光する。よって、画素SVCを垂直方向に規則的に配置し、これらの画素で取得した被写体像をC像とする。また、画素SVDも垂直方向に規則的に配置し、これらの画素で取得した被写体像をD像とすると、C像とD像の相対位置を検出することで、垂直方向に輝度分布を有する被写体像のピントずれ量(デフォーカス量)が検出できる。
図7は、本発明の撮像素子の瞳分割状況を概念的に説明する図である。TLは撮影レンズ、107は撮影レンズの予定結像面に配置された撮像素子、OBJは被写体、IMGは被写体像である。
撮像用画素は図4で説明したように、撮影レンズの射出瞳全域EPを通過した光束を受光する。一方、焦点検出用画素は図5及び図6で説明したように、瞳分割機能を有している。具体的には、図5の焦点検出用画素SHAは撮像面からレンズ後端を見て左側の瞳を通過した光束、すなわち図7の瞳EPHAを通過した光束を受光する。同様に焦点検出用画素SHB、SVC及びSVDはそれぞれ瞳EPHB、EPVC及びEPVDを通過した光束を受光する。そして、焦点検出用画素を、撮像素子107の全領域に渡って分布するよう配置することで、撮像領域全域で焦点検出を可能とさせている。また、距離情報取得手段を兼ねたCPU121は、焦点検出情報と焦点距離等のレンズ情報に基づいて被写体距離を算出する。
図8は、距離情報取得手段で得られた距離情報を示したものである。本発明の撮像素子107では、図5及び6で説明したような焦点検出用画素SHA、SHB、SHC、SHDが、全領域に渡って分布させてあるため、撮影画面の任意位置における被写体距離を取得することが可能となる。得られた被写体距離の分布の中で、被写体距離の近い領域をつなぎ合わせてグルーピングすることで、撮影画面中に含まれる被写体の輪郭を抽出することが可能となる。Target1、Target2、Target3は、抽出された被写体領域を示したものであり、BackGraound1は、背景領域を示したものである。Dist1、Dist2、Dist3、Dist4は被写体距離である。Dist1は被写体領域Target1における被写体距離、Dist2は被写体領域Target2における被写体距離、Dist3は被写体領域Target3における被写体距離、Dist4は背景領域BackGround1における被写体距離である。Dist1が最も近く、Dist2は2番目に近く、Dist3は3番目に近い。そして、Dist4は最も遠く位置する。
CPU121は、焦点検出用画素から得られる被写体距離の分布から被写体の抽出を行ない、各被写体の領域及び距離を取得する。
本発明の撮像装置では、この距離情報に基づいて、撮影画像のボケ修復を行なう。ボケの生成過程は、撮像装置特性や撮影レンズ特性から推定することが可能である。このボケの生成過程をモデル化したボケ関数を定義し、ウィーナーフィルタ等の一般にデコンボリューションと呼ばれる画像復元アルゴリズムによってボケ画像を復元処理することで、ボケ修復を行なう(ボケの程度を変更する処理を行う)。ボケ修復方法については、特許文献2に記載されているため、詳細な説明は省略する。
図9は、被写体距離Dist1、Dist2、Dist3、Dist4と、ボケ修復可能な距離の関係を示したものである。軸は、被写体距離Distを表している。
ピントを合わせられる被写体距離は撮影レンズ137の繰り出し可能な距離によって決まる。ピントが合わせられないような距離のボケ形状を予測することは困難なため、ボケ修復可能な距離もその距離近傍の範囲に限定される。そこで、CPU121は、撮影レンズ137の繰り出し可能な距離に応じてボケ修復を行なう距離の範囲を算出する。ボケ修復を行なう至近側の距離端を第一距離Dist11、無限遠側の距離端を第二距離Dist12とする。ボケ修復手段は、第一距離Dist11と第二距離Dist12の範囲の被写体像に対して、ボケ修復が可能となる。第一距離は撮影レンズ137の至近側距離端に、第二距離は無限側距離端に基づいて決めるものである。ここで、第一距離及び第二距離は、撮影レンズ137の製造誤差、フォーカスレンズ停止精度、ボケ修復のばらつきなどを考慮し、撮影レンズ137の至近側距離端及び無限側距離端に対して、多少余裕量を持たせて設定する。
図8で説明した被写体距離Dist1、Dist2、Dist3、Dist4のうち、被写体距離Dist1〜3については、第一距離Dist11と第二距離Dist12の範囲に位置しており、被写体距離Dist4は範囲外に位置しているとする。
図10は、被写体距離Dist1、Dist2、Dist3、Dist4に対応した結像面の位置と、撮影レンズ137の結像面の位置との関係を示したものである。軸は、撮影レンズ137の結像面の位置からの焦点ずれ量Defを表している。ここで焦点ずれ量Defのプラス方向は、後ピン方向に対応させている。
「0」は撮影レンズ137の結像面の位置を示していて、ずれ量を「0」と表現している。Def1、Def2、Def3、Def4は、被写体距離Dist1、Dist2、Dist3、Dist4の結像面位置における焦点ずれ量である。Def11とDef12は、至近側の第一距離Dist11と無限遠側の第二距離Dist12の結像面の位置における焦点ずれ量である。
これに対し、Def21とDef22は、ボケ修復が可能なボケ量に相当する焦点ずれ量である。ボケ量が大き過ぎる場合にはボケ画像復元時に極端な変換処理が行われノイズが発生しやすい。そのため、ボケ復元する場合には、ボケ量はDef21とDef22の範囲に収まっていることが望ましい。図10では、ボケ修復が可能なボケ量に相当する焦点ずれ量Def21とDef22は、至近側の第一距離Dist11および無限遠側の第二距離Dist12の結像面の位置における焦点ずれ量Def11とDef12より外側に存在する。そのため、至近側の第一距離Dist11と無限遠側の第二距離Dist12の更新は行わない。
図11は、ボケ修復手段によるボケ修復が行われる前の撮影画像を示したものである。図11における撮影画像は、図8の撮影画像と同じ物である。後述の動作フローで説明するように、焦点検出位置は至近優先とし、抽出した被写体の中で最も至近側に位置する被写体の位置を、焦点検出位置として設定する。そのため、ボケ修復手段によるボケ修復が行われる前の撮影画像は、図11に示すように、最も至近側の被写体領域Target1にピントが合った状態となる。そしてそれ以外の被写体領域Target2、Target3、BackGranoud1にはピントは合わない状態となる。
図12は、ボケ修復手段により撮影画像のボケが修復される様子を示したものである。図12における撮像画像は、図8及び図11の撮像画像と同じものである。図12(A)は、被写体領域Target2の被写体距離Dist2に基づいて、撮影画像全領域にボケ修復を行った画像を示す。被写体領域Target2における被写体距離Dist2に対応した撮像装置特性情報及び撮影レンズ情報から、ボケ関数を定義する。撮影画像全領域に対して、このボケ関数に基づいた修復処理を行なうことで、被写体領域Target2はボケ修復されて、ピントの合った画像となる。一方、被写体領域Target2以外の領域については、上記画像修復処理を行なうことにより、撮影レンズ137の焦点位置が被写体距離Dist2にピントが合った状態で生じるようなボケが再現される。こうすることで、図12(A)に示すような、被写体領域Target2だけにピントがあった画像を取得することが可能となる。
図12(B)は、被写体領域Target3の被写体距離Dist3に基づいて、撮影画像全領域にボケ修復を行った画像を示す。被写体領域Target3における被写体距離Dist3に対応した撮像装置特性情報及び撮影レンズ情報から、ボケ関数を定義する。撮影画像全領域に対して、このボケ関数に基づいた修復処理を行なうことで、被写体領域Target3はボケ修復されて、ピントの合った画像となる。一方、被写体領域Target3以外の領域については、上記画像修復処理を行なうことにより、撮影レンズ137の焦点位置が被写体距離Dist3にピントが合った状態で生じるようなボケが再現される。こうすることで、図12(B)に示すような、被写体領域Target3だけにピントがあった画像を取得することが可能となる。
以上、図11及び図12(A)〜(B)を用いて説明したように、被写体距離情報に基づいたボケ修復が可能な撮像装置では、各被写体の領域及び距離を含む距離情報に基づいてボケ修復することで、ピントを合わせる被写体を選択することが可能となる。
しかし、図11及び図12(A)〜(B)で示したようにピントを合わせる被写体に自由度があるがゆえに、撮影者が撮影画像の確認を行ないにくいという問題があった。
上述のボケ修復により、撮影後にピントが合っている被写体距離を変えることができるが、ボケ修復可能な被写体距離の範囲は限られている。そのため、ピントが合わせられる被写体距離も、所定の範囲に限定される。撮影者は、撮影直後の確認画像を見て、ピントが合わせられる被写体距離の範囲を推測することになる。しかしながら、ある被写体距離にピントを合わせた画像から、どの範囲までがピントが合わせられるかを把握することは非常に困難であった。
また、撮影後のボケ修復処理によりピントが合った画像が取得できる領域にも関わらず、撮影後の確認画像においてピントが合っていない状態で表示される場合が想定される。この場合、その領域に撮影者が意図しない失敗箇所があったとしても、ボケた状態で表示されるため撮影者は撮影直後の確認では気付かず、撮影後にボケ修復を行ったときに初めてその失敗に気付くことになるという問題があった。
そこで、本発明の撮像装置では、ボケ修復手段によってボケ修復可能な最も至近側距離を第一距離とし、ボケ修復手段によってボケ修復可能な最も無限側距離を第二距離としたとき、撮影直後の確認画像表示では、第一距離から第二距離までの範囲をボケ修復した撮影画像を表示する。つまり、できるだけボケ修復した画像を表示する。
図13は、本発明の撮影直後の確認画像表示を示したものである。図13における撮像画像は、図8、図11、図12の撮像画像と同じものである。図13(A)は、被写体領域Target1〜3にピントが合った画像を表示した場合を示している。図13(B)は、被写体領域Target1〜3にピントが合うとともに、検出された被写体の位置と、被写体の数を重畳して表示した場合を示している。
図13(A)において、被写体領域Target1〜3の被写体距離Dist1〜3については、ボケ修復可能な第一距離Dist11と第二Dist12の範囲に位置しているため、ボケ修復が可能である。そこで本発明の撮像装置では、撮影直後の確認画像表示では、被写体領域Target1〜3については、ボケ修復を行なう。
被写体領域Target1における被写体距離Dist1に対応した撮像装置特性情報及び撮影レンズ情報に基づいた修復処理を行なうことで、被写体領域Target1はボケ修復されて、ピントの合った画像となる。また、被写体領域Target2における被写体距離Dist2に対応した撮像装置特性情報及び撮影レンズ情報に基づいた修復処理を行なうことで、被写体領域Target2はボケ修復されて、ピントの合った画像となる。さらに、被写体領域Target3における被写体距離Dist3に対応した撮像装置特性情報及び撮影レンズ情報に基づいた修復処理を行なうことで、被写体領域Target3はボケ修復されて、ピントの合った画像となる。つまり、ボケ修復が可能な距離範囲に位置する被写体領域Target1、被写体領域Target2、そして被写体領域Target3は、全てピントの合った状態で表示する。また言い換えれば、複数の被写体距離Dist1、Dist2、Dist3にピントがあった画像を撮影直後の確認画像表示として表示する。そしてボケ修復が可能な距離範囲より遠くにある背景BackGround1はボケたままの状態で表示する。
図13(B)では、検出された被写体位置と被写体数を、ピントの合った被写体領域Target1〜3に重畳して表示している様子を示している。SI1は、被写体領域Target1の位置を示す被写体位置表示である。被写体領域Target1より一回り大きい輪郭を表示すること、被写体領域Target1の位置を示している。同様に、SI2は被写体領域Target2の位置を示す被写体位置表示、SI3は被写体領域Target3の位置を示す被写体位置表示である。そしてSI4は、検出された被写体の数を表す被写体数表示である。これにより撮影者は、検出された被写体の位置と数を、撮影後の確認画像表示の際に、容易に把握することができる。
図13(A)および(B)で説明したような画像を撮影後の確認画像として表示することで、撮影者が撮影画像の確認を行ないやすい撮影画像機能を有する撮像装置を実現できる。これにより、撮影者は、ボケ修復可能な範囲を把握しやすくすることできる。また、ボケ修復によりピントがあった画像が取得できる領域における失敗箇所をより発見しやすくすることができる。さらに、検出された被写体位置と被写体数をボケ修復した撮影画像に重畳して表示することで、撮影者は、検出された被写体の位置と数を、撮影後の確認画像表示の際に、容易に把握することができる。
図14〜図19は、本発明の撮像装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図14は本発明の撮像装置のメインフローである。メインフロー動作はCPU121が行なう処理である。
撮影者がカメラの電源スイッチをオン操作すると(ステップS101)、CPU121はカメラ内の各アクチュエータや撮像素子の動作確認を行ない、メモリ内容や実行プログラムの初期化を行なうと共に、撮影準備動作を実行する(ステップS102)。ステップS103では、レンズ通信回路135を介して撮影レンズ内のカメラ通信回路とレンズ通信を行なう。レンズ通信によりレンズの動作確認を行い、レンズ内のメモリ内容や実行プログラムの初期化を行なうと共に、準備動作を実行させる。また、焦点検出や撮像に必要なレンズの諸特性データを取得し、カメラ内メモリ144に保存する。ステップS104では撮像素子の撮像動作を開始し、プレビュー用の低解像度の動画像を出力する。ステップS105では読み出した動画をカメラ背面に設けられた表示手段131に表示し、撮影者はこのプレビュー画像を目視して撮影時の構図決定を行なう。
ステップS106では、プレビュー用動画像に顔が存在するか否かを認識する。そして、プレビュー用動画像から、顔の数、位置、そして大きさを検出し、カメラ内メモリ144に記録しておく。顔を認識する技術は、特開2004-317699号公報などに開示されていて公知のため、ここでは説明を省略する。請求項中における撮影画像内の被写体を検出する動作は、このステップに対応しており、被写体検出手段とはCPU121に対応する。
ステップS107で撮影領域に顔が存在していると認識された場合には、ステップS108に移行し、焦点調節モードを顔AFモードに設定する。ここで顔AFモードとは、撮影領域の顔の位置とステップS200で作成される被写体距離マップの両方を加味して焦点を合わせるAFモードを指す。
一方ステップS107で撮影領域に顔が存在していないと認識された場合は、ステップS107からステップS109に移行し、焦点調節モードを多点AFモードに設定する。ここで多点AFモードとは、撮影領域を例えば3×5=15分割し、被写体距離マップから算出される各分割領域での焦点検出結果と、被写体の輝度情報とに基づき、主被写体を類推し、その領域を合焦させるモードを指す。
ステップS108あるいはステップS109でAFモードを決定したら、ステップS110で、撮影準備スイッチがオン操作されたか否かを判別し、オン操作されていなければステップS116に進みメインスイッチがオフされたか否かを判別する。
ステップS111で撮影準備スイッチがオン操作されるとステップS200に移行し、被写体距離マップ作成サブルーチンを実行する。
ステップS111では、ステップS200で算出した被写体距離マップに基づき、焦点検出位置を決定する。ここで検出位置決定方法は至近側優先とし、ステップS200で得られた被写体の中で、最も至近側に位置する被写体の位置を、焦点検出位置として設定する。
ステップS112では、ステップS111で決定した焦点検出位置における焦点ずれ量をステップS200で得られる焦点ずれマップから算出し、得られた焦点ずれ量が許容値以下か否かを判断する。そして焦点ずれ量が許容値以上である場合は、非合焦と判断し、ステップS113でフォーカスレンズを駆動し、その後ステップS110に戻って撮影準備スイッチが押されたか否かを判別する。そしてステップS112にて合焦状態に達したと判定されると、ステップS114にて合焦表示を行ない、ステップS115に移行する。
ステップS115では、撮影開始スイッチがオン操作されたか否かを判別し、オン操作されていなければステップS115にて撮影待機状態を維持する。ステップS115で撮影開始スイッチがオン操作されるとステップS300に移行し、撮影サブルーチンを実行する。
ステップ300撮影サブルーチンが終了したら、ステップS116を進み、メインスイッチがオフされたか否かを判定する。メインスイッチがオフされていない場合には、ステップS103に戻る。メインスイッチがオフされた場合には、一連の動作を終了する。
図15は被写体距離マップ作成サブルーチンのフロー図である。被写体距離マップ作成サブルーチンの一連の動作も、CPU121が行なう。請求項中の距離情報取得手段は、CPU121に対応する。
メインフローのステップS200から当サブルーチンのステップS200にジャンプすると、ステップS201において焦点検出領域の設定を行なう。全焦点検出領域の中から焦点検出領域を決め、ステップS202以降の処理を行なう。ステップS202では、ステップS201で設定した焦点検出領域の焦点検出用画素の信号を読み出す。ステップS203では、相関演算用の二つの像を生成する。ステップS202にて読み出した各焦点検出画素の信号を並べることで、相関演算用の二つの像AおよびBの信号とする。
ステップS204では、得られた像信号に基づいて相関演算を行ない、二つの像AおよびBの位相差を算出する。ステップS205では、相関演算結果の信頼性を判定する。ここで信頼性とは、像AおよびBの一致度を指し、像AおよびBの一致度が良い場合は一般的に焦点検出結果の信頼性が高い。そこで、この一致度が或る閾値を超えているか否かで位相差検出結果の信頼性の判定を行ったり、複数の焦点検出領域が選択されている場合に信頼性の高い情報を優先的に使用することなどが可能である。ステップS206では、ステップS204で得られた像AおよびBの位相差に対して、位相差を焦点ずれ量に変換する変換係数をかけることで、焦点ずれ量を演算する。
ステップS207では、全焦点検出領域について、焦点ずれ量の算出が完了したか否かを判別する。全焦点検出領域について完了していないと判別されたときには、ステップS201に戻り、残っている焦点検出領域の中から焦点検出領域を選んで設定する。ステップS207で全焦点検出領域が完了したと判別されたときには、ステップS208に進む。
ステップS208では、ステップS201〜207を繰り返すことで得られた全焦点検出領域における焦点ずれ量から、焦点ずれ量マップを作成する。ここで焦点ずれ量マップとは、撮影画面上の位置と焦点ずれ量とを対応させた分布データである。
ステップS209では、ステップS208で得られた焦点ずれマップに対して、ステップS103でのレンズ通信で撮影レンズ137から取得したレンズ情報を考慮して、焦点ずれから被写体距離へ変換を行なう。これにより、撮影画面上の位置と被写体距離とを対応させた分布データを得ることが可能となる。
ステップS210では、被写体距離の分布データに基づき、被写体の抽出を行なう。得られた被写体距離の分布の中で、被写体距離の近い領域をつなぎ合わせてグルーピングし、撮影画面中に含まれる被写体の輪郭を抽出する。これにより、各被写体の領域と被写体距離を対応させた被写体距離マップが得られることになる。請求項中の距離情報とは、この被写体距離マップに対応する。
ステップS210が終わったら、被写体距離マップ作成サブルーチンを終了し、メインフロー内のステップS111に進む。
図16は、撮影サブルーチンのフロー図である。撮影サブルーチンの一連の動作も、CPU121が行なう。
ステップS301では、光量調節絞りを駆動し、露光時間を規定するメカニカルシャッタの開口制御を行なう。
ステップS302では、高解像度の静止画撮影のための画像読み出し、すなわち全画素の読み出しを行なう。
ステップS303では、読み出した画像信号の欠損画素補間を行なう。すなわち、焦点検出用画素の出力は撮像のためのRGBカラー情報を有しておらず、画像を得る上では欠陥画素に相当するため、周囲の撮像用画素の情報から補間により画像信号を生成する。
ステップS304では、画像のγ補正、色変換、エッジ強調等の画像処理をおこない、ステップS305において、フラッシュメモリ133に撮影画像を記録する。ステップS305で記録する撮影画像は、ボケ修復を行わない画像とする。記録画像を再生表示する際に、ボケ修復をして表示する。これにより撮像装置の演算負荷を軽減している。撮影画像を記録するステップS305は、CPU121が行なう。つまり、請求項中の記録手段は、CPU121に対応している。
ステップ306では、ステップS305で記録した撮影画像に対応させて、カメラ本体138の特性情報をフラッシュメモリ133とカメラ内メモリ144に記録する。ここでカメラ本体138の特性情報は、撮像素子107の撮像用画素及び焦点検出用画素の受光感度分布情報とカメラ本体138内での撮影光束のケラレ情報、カメラ本体138と撮影レンズ137との取り付け面から撮像素子107までの距離情報、製造誤差情報などの光学特性を含む。撮像素子107の撮像用画素及び焦点検出用画素の受光感度分布情報は、オンチップマイクロレンズMLと光電変換部PDによって決まるため、これらの情報を記録しても良い。
ステップS307では、ステップS305で記録した撮影画像に対応させて、撮影レンズ137の特性情報をフラッシュメモリ133とカメラ内メモリ144に記録する。ここで撮影レンズ137の特性情報は、射出瞳EPの情報、枠情報、撮影時のFナンバー情報、収差情報、製造誤差情報などの光学特性を含む。
本発明の撮像装置では、ステップS305〜S307で説明したように、フラッシュメモリ133には、ボケ修復を行わない撮影画像と、撮影画像に対応した撮影レンズ特性情報と撮像装置特性情報を記録する。これにより、撮影後に、撮影レンズ特性情報と撮像特性情報に基づいて、撮影画像のボケ修正を行なうことができる。また、撮影画像記録時の演算負荷を軽減することができる。そしてステップS305〜S307で行われる撮影画像、撮影レンズ特性情報、そして撮像装置特性情報の記録は、CPU121が行なう。
ステップS307が終わると、ステップS400撮影後確認画像表示サブルーチンに進む。
ステップS400撮影後確認画像表示サブルーチンが終わると、ステップS300撮影サブルーチンを終了し、メインルーチンのステップS116に進む。
図17は、撮影後確認画像表示サブルーチンのフロー図である。撮影後確認画像表示サブルーチンの一連の動作も、CPU121が行なう。請求項中の画像表示制御手段は、CPU121に対応する。
ステップS401では、ステップS200で作成した被写体距離マップを取得する。
ステップS402では、ボケ修復を行なう被写体領域と被写体距離を設定する。ステップS200被写体距離マップ作成サブルーチンで説明したように、被写体距離マップから被写体領域と被写体距離を対応させた情報が得られる。また、図9で説明したように、ボケ修復可能な距離は撮影レンズ137で異なり、ボケ修復可能な最も至近側の距離である第一距離Dist11、最も無限遠側の距離である第二距離Dist12は変わってくる。そこで、被写体距離が撮影レンズ137によって決まるボケ修復可能な距離範囲(第一距離Dist11〜第二距離Dist12)内に位置する被写体を、ボケ修復を行なうように設定する。これにより、各被写体領域と、その領域をボケ修復する際に用いる被写体距離を設定することができる。
また、ボケ修復可能な距離範囲を規定する第一距離Dist11と第二距離Dist12は、撮影レンズ137の結像面位置からのずれ量が所定量以下になるように、距離を再設定する。これによりボケ量を所定量以下に収めることができ、良好なボケ修復を行なうことができる。
ステップS402ボケ修復領域・距離設定を終わると、ステップS500ボケ修復サブルーチンに進む。
ステップS403では、ステップS500でボケ修復された画像を、表示手段131に所定時間表示する。このとき表示する画像としては、図13(A)に示すようなボケ修復された画像だけを表示したものか、図13(B)に示すようなボケ修復された画像に被写体の位置と被写体の数を重畳表示したものか、どちらかを表示する。どちらを表示するかは、撮影者が操作スイッチ132で入力された設定値に応じて切り替える。
請求項中の撮影画像を表示手段に表示する動作は、このステップに対応する。また、請求項中の被写体検出手段により検出された被写体の位置や数を撮影画像に重畳して表示手段に表示する動作も、このステップに対応する。
ステップS403が終わったら、撮影後確認画像表示サブルーチンを終了し、撮影サブルーチンに戻る。
図18は、ボケ修復サブルーチンのフロー図である。ボケ修復サブルーチンの一連の動作も、CPU121が行なう。請求項中のボケ修復手段とは、CPU121に対応する。
ステップS501では、CPU121は、画像処理回路125における変換処理の内容を示す変換情報を取得する。
ステップS502では、CPU121は、画像処理回路125から供給される画像情報を変換する際の変換方法を決定する。具体的には、CPU121は、ステップS501で取得した変換情報(必要に応じて、該変換情報の他、ステップS306やステップS307で取得した撮像装置特性や撮影レンズ特性情報)に基づいて、変換方法を決定する。ここで決定される変換方法は、特許文献2に記載されている画像復元処理のアルゴリズムの前提条件である線形性を確保するために、露光値と画素値とか比例関係になるように画像情報を変換する方法である。
例えば、画像処理回路125でガンマ補正を実行する場合には、ステップS502ではガンマ補正による変換の逆変換を実行する。これにより変換前の画像を再生することができ、線形性を有する画像を取得することが可能となる。同様に、画像処理回路125で色補正を実行する場合には、ステップS502では色変換による変換の逆変換を実行する。これにより、線形性を有する画像を取得することが可能となる。以上のように、ステップ502では、画像処理回路125による変換処理の逆変換に相当する変換方法を決定する。
ステップS503では、画像処理回路125より撮影画像を取得する。そしてステップS504では、ステップS502で決定した変換方法に従って、取得した撮影画像を変換する。ステップS504で変換処理が終わると、ステップS600に進み、ボケ関数の生成を行なう。
ステップS505では、ステップS600で生成したボケ関数の逆変換を行なうことで、ステップS504で変換処理した撮影画像に対してボケ修復処理を行なう。ここでは、一般的にデコンボリューション処理と呼ばれる画像復元アルゴリズムによってボケ修復処理を行なう。これにより、所定被写体のボケが修復されたボケ修復画像を得ることができる。ボケ関数の逆変換処理を行なうことによるボケ修復の方法は、特許文献2に開示されているため、説明は省略する。
ステップS505が終わるとボケ修復サブルーチンを終了し、撮影後確認画像表示サブルーチン内のステップS403に進む。
図19は、ボケ関数生成サブルーチンのフロー図である。ボケ関数生成サブルーチンの一連の動作も、CPU121が行なう。
ステップS601では、撮影時にステップS305でカメラ内メモリ144に記録されたカメラ本体138の特性情報を取得する。
ステップS602では、撮影時にステップS306でカメラ内メモリ144に記録された撮影レンズ137の特性情報を取得する。
ステップS603では、ボケ関数を定義する際に用いるパラメータを取得する。ボケ関数は、撮影レンズ137と撮像素子107との間の光伝達特性によって決まる。そしてこの光伝達手段は、カメラ本体138の特性情報、撮影レンズ137の特性情報、撮影画像における被写体領域の位置、被写体距離などの要因によって変わる。そこで、これらの要因とボケ関数を定義する際に用いるパラメータとを関連付けたテーブルデータを、カメラ内メモリ144に記憶しておく。そしてステップS603が実行されると、CPU121は、これらの要因に基づいて、カメラ内メモリ144からボケ関数定義の際に用いるパラメータを取得する。
ステップS604では、ステップS603で取得したボケパラメータに基づいて、ボケ関数を定義する。ボケ関数の例としては、ボケ現象が正規分布法則に沿うものとして考えたガウシアン分布などがある。中心画素からの距離をr、正規分布法則の任意のパラメータをσ2とすると、ボケ関数h(r)は、下記のように与えられる。
ステップS604が終わったら、ボケ関数生成サブルーチンを終了し、ボケ修復サブルーチン内のステップS505に進む。
本発明の撮像装置では、撮影レンズが交換可能なカメラで説明したが、撮影レンズがカメラに備わっている所謂レンズくくり付けタイプのカメラに適用してもよい。レンズくくり付けタイプのカメラにおいても、従来の課題は存在する。そして本発明で説明したようにボケ修復した撮影画像を表示することで、同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明の撮像装置によれば、ボケ修復手段を有する撮像装置において、撮影者が撮影画像の確認を行ないやすい撮像装置を実現することができる。
[実施例2]
図20は本発明の実施例2に係わる図である。以下、図を用いて実施例2の作用を説明する。
実施例1では、ボケ修復が可能なボケ量に相当する焦点ずれ量Def21とDef22は、至近側の第一距離Dist11と無限遠側の第二距離Dist12の結像面位置における焦点ずれ量Def11とDef12より外側に存在した。そのため、至近側の第一距離Dist11と無限遠側の第二距離Dist12の更新は行わなかった。
一方、実施例2では、ボケ修復が可能なボケ量に相当する焦点ずれ量Def21とDef22は、至近側の第一距離Dist11と無限遠側の第二距離Dist12の結像面位置における焦点ずれ量Def11とDef12より内側に存在する。そのため、至近側の第一距離Dist11と無限遠側の第二距離Dist12を、焦点ずれ量Def12とDef22に応じて更新するところが、実施例1と異なるところである。
図20は、被写体距離Dist1、Dist2、Dist3、Dist4に対応した結像面位置と、撮影レンズ137の結像面位置との関係を示したものである。軸は、撮影レンズ137の結像面位置からの焦点ずれ量Defを表している。ここで焦点ずれ量Defのプラス方向は、後ピン方向に対応させている。
「0」は撮影レンズ137の結像面位置を示していて、ずれ量を「0」と表現している。Def1、Def2、Def3、Def4は、被写体距離Dist1、Dist2、Dist3、Dist4の結像面位置における焦点ずれ量である。Def11とDef12は、至近側の第一距離Dist11と無限遠側の第二距離Dist12の結像面位置における焦点ずれ量である。
これに対し、Def21とDef22は、ボケ修復が可能なボケ量に相当する焦点ずれ量である。ボケ量が大き過ぎる場合にはボケ画像復元時に極端な変換処理が行われノイズが発生しやすい。そのため、ボケ復元する場合には、ボケ量はDef21とDef22の範囲に収まっていることが望ましい。今、Def11とDef12はDef21とDef22の外側に位置するため、うまくボケ復元できない恐れがある。
そこで、至近側の第一距離Dist11における焦点ずれ量Def11が焦点ずれ量Def21に相当する焦点ずれ量になるように、至近側の第一距離Dist11を修正する。同様に、無限側の第二距離Dist12における焦点ずれ量Def12が焦点ずれ量Def22に相当する焦点ずれ量になるように、無限側の第二距離Dist12を修正する。これにより、ボケ量が大き過ぎるためにボケ画像復元時に極端な変換処理が行われてノイズが発生するなどの問題を軽減することができる。つまり良好なボケ修復が可能となる。
前述の至近側の第一距離Dist11と無限遠側の第二距離Dist12を、焦点ずれ量Def12とDef22の応じて更新する動作は、撮影後確認画像表示サブルーチン(図17)のステップS402にて行なう。
図17のステップS402では、ボケ修復を行なう被写体領域と被写体距離を設定する。ステップS200被写体距離マップ作成サブルーチンで説明したように、被写体距離マップから被写体領域と被写体距離を対応させた情報が得られる。被写体距離が撮影レンズ137によって決まるボケ修復可能な距離範囲(第一距離Dist11〜第二距離Dist12)内に位置する被写体を、ボケ修復を行なうように設定する。さらに、ボケ修復可能な距離範囲である第一距離Dist11と第二距離Dist12が、撮影レンズ137の結像面位置からのずれ量が所定量以下になるように、距離を再設定する。これによりボケ量を所定量以下に収めることができ、良好なボケ修復を行なうことができる。
撮像装置、撮像素子の構成、画素の構造は、実施例1と同じであるため、説明は省略する。距離情報取得手段で得られる距離情報、被写体距離と、ボケ修復可能な距離の関係も実施例1と同じであるため、説明は省略する。実施例2の撮像装置の動作フローも、実施例1と同じであるため、説明は省略する。
以上のように、本発明の第2の実施例によっても、ボケ修復手段を有する撮像装置において撮影者が撮影画像の確認を行ないやすい撮像装置を実現することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。