JP5786551B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5786551B2 JP5786551B2 JP2011178978A JP2011178978A JP5786551B2 JP 5786551 B2 JP5786551 B2 JP 5786551B2 JP 2011178978 A JP2011178978 A JP 2011178978A JP 2011178978 A JP2011178978 A JP 2011178978A JP 5786551 B2 JP5786551 B2 JP 5786551B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polycarbonate resin
- molded
- resin composition
- dihydroxy compound
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
- 0 *C(COC12)[C@@]1(N)OCC2O Chemical compound *C(COC12)[C@@]1(N)OCC2O 0.000 description 1
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
しかしながら、従来のポリカーボネート樹脂は、長時間紫外線や可視光に曝露される場所で使用すると、色相や透明性、機械的強度が悪化するため、屋外や照明装置の近傍での使用に制限があった。又、種々成形品として使用する場合、溶融成形時に離型性が悪く、透明材料や光学材料等に用いることが困難であるという問題があった。
ところが、このような紫外線吸収剤を添加した場合、紫外線照射後の色相などの改良は認められるものの、そもそもの樹脂の色相や耐熱性、透明性の悪化を招いたり、また成形時に揮発して金型を汚染する等の問題があった。
光線透過率の高い光学シートおよびその製造方法、光学シートの表面に凹凸パターンを形成させてなる成形体および成形体の製造方法が提供されており、低光学歪みであるものの、芳香族ポリカーボネートだけを使用しているため加工温度が高く、しかも、押出成形であるため成形品の形状が限られてしまうという問題があった。
即ち、本発明の要旨は下記[1]〜[8]に存する。
[1] 構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とからなるポリカーボネート樹脂組成物(X)から射出成形された板状部を主体とする成形品であって、該成形品の板状部の厚みが0.5mm以上5mm以下であり、該成形品の板状部において位相差が100nm以下の面積の割合が、該成形体の全面積に対して50%以上であることを特徴とする成形品。
[2] 前記ポリカーボネート樹脂(A)が、前記構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位とを含むことを特徴とする[1]に記載の成形品。
[3] 前記ポリカーボネート樹脂(A)中に占める前記構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)が20mol%以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の成形品。
[4] 前記ポリカーボネート樹脂組成物(X)が、前記ポリカーボネート樹脂組成物(X)から成形された成形品(厚さ3mm)をブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、1時間当たりの降雨スプレー時間12分の環境下にて、サンシャインカーボンアークを用い、放電電圧50V、放電電流60Aで、500時間照射処理した後に、全光線透過率が85%以上であるポリカーボネート樹脂組成物であることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の成形品。
[5] 前記ポリカーボネート樹脂組成物(X)が、前記ポリカーボネート樹脂組成物(X)から成形された成形品(厚さ3mm)の初期のイエローインデックス(YI)値と、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、1時間当たりの降雨スプレー時間12分の環境下にて、サンシャインカーボンアークを用い、放電電圧50V、放電電流60Aで、500時間照射処理した後に透過光で測定したASTM D1925−70に準拠したイエローインデックス(YI)値との差の絶対値が10以下であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の成形品。
[6] 前記構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物であることを特徴とする[1]から[5]のいずれかに記載の成形品。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(A)(以下、「本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)」と称することがある。)は、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(以下、単に「本発明に用いるジヒドロキシ化合物」と称することがある)に由来する構造単位(a)を含むものである。
本発明に用いるジヒドロキシ化合物としては、構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記一般式(3)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物が挙げられるが、中でも、入手のし易さ、ハンドリング
、重合時の反応性、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相、本発明の成形品の色相の観点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記一般式(3)で表される環状エーテル構造を有する化合物が好ましく、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記一般式(3)で表される環状エーテル構造を有する化合物がより好ましい。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることが本発明の成形品の耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類を使用することもできる。
キシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、上述した本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。
用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。 これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用
いてもよい。
前記一般式(4)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、上述のように、構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物と、その他のジヒドロキシ化合物と、前記一般式(4)で表される炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得られる。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により重縮合を行う。
用いられる触媒としては、製造されたポリカーボネート樹脂(A)の耐光性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、及び機械的強度のうち、とりわけて耐光性を満足させ得るものであれば、限定されないが、長周期型周期表における1族金属化合物(以下、「1族」と称することがある)、2族金属化合物(以下、「2族」と称することがある)、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。好ましくは1族金属化合物、2族金属化合物である。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩又はフェノール塩等の塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩がより好ましい。
ム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられ、中でもリチウム化合物が好ましい。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
くとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/またはカルシウム化合物を用いる場合は、金属量として、前記全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、好ましくは、0.1μmol以上、更に好ましくは0.5μmol以上、特に好ましくは0.7μmol以上である。また上限としては、好ましくは20μmol、更に好ましくは10μmol、特に好ましくは3μmol、最も好ましくは1.5μmol、中でも1.0μmolが好適である。
また、1族金属、中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムは、特にはナトリウム、カリウム、セシウムは、ポリカーボネート樹脂(A)中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性があり、該金属は使用する触媒からのみではなく、原料や反応装置から混入する場合があるため、ポリカーボネート樹脂(A)中のこれらの合計量は、金属量として、通常1重量ppm以下、好ましくは0.8重量ppm以下、より好ましくは0.7重量ppm以下である。
<ポリカーボネート樹脂(A)製造方法>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、上述のように、本発明に用いるジヒドロキシ化合物と、その他のジヒドロキシ化合物と、前記一般式(4)で表される炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得られるが、該原料をエステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
るとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化し、本発明の成形品の耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
このモル比率が小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂(A)の末端水酸基が増加して、熱安定性が悪化し、成形時に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望する高分子量体が得られない可能性がある。
更には、得られるポリカーボネート樹脂(A)中の残存炭酸ジエステル量が増加し、これらが紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂(A)の耐光性を悪化させる場合がある。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)に残存する炭酸ジエステルの濃度は、好ま
しくは200重量ppm以下、更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは60重量ppm以下、中でも30重量ppm以下が好適である。現実的にポリカーボネート樹脂(A)は未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、濃度の下限値は通常1重量ppmである。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本願発明の目的を達成することができない可能性がある。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
反応器が2基以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていくなどしてもよい。
重合反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂(A)の分解や着色を助長する可能性がある。
下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジフェニルやビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
押出機中の、溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150℃〜300℃、好ましくは200℃〜270℃、更に好ましくは230℃〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂(A)の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する場合がある。300℃より高いと、ポリカーボネートの熱劣化が激しくなり、本発明の成形品の機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く場合がある。
また、押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
更に本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)中の下記一般式(5)で表される末端基の濃度の下限量は、通常20μeq/g、好ましくは40μeq/g、特に好ましくは50μeq/gであり、上限は通常160μeq/g、好ましくは140μeq/g、特に好ましくは100μeq/gである。
すぎると熱安定性が低下する恐れがある。
下記一般式(5)で表される末端基の濃度を制御するには、原料である本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記一般式(4)で表される炭酸ジエステルのモル比率を制御する方法、エステル交換反応時の触媒の種類や量、重合圧力や重合温度を制御する方法等が挙げられる。
本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂(B)(以下、「本発明に用いるポリカーボネート樹脂(B)」と称することがある。)とは、2価フェノールに由来する構造単位からなるポリカーボネート樹脂であり、全構造単位の内、二つ以上の芳香環を有する2価フェノールに由来する構造単位の割合が、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。又、前記ポリカーボネート樹脂(A)および芳香族ポリカーボネート(B)の両方に該当するものについては、前記ポリカーボネート樹脂(A)に含めるものとする。
ロヘキサンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル) スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルフォキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどの化合物、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアルキル化ビスフェノール類、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのハロゲン化ビスフェノール類を挙げることができる。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)は1種のみを単独、又は2種以上を混合して使用してもよい。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂組成物(X)は、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とを含む。
上記ポリカーボネート樹脂(A)は、構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)と、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むものである。
ては、より好ましくは25モル%、さらに好ましくは30モル%である。20モル%以上とすることでポリカーボネート樹脂(A)に起因する耐熱性低下、軟質化を防止でき、幅広い用途で使用が可能となる。
また、ポリカーボネート樹脂組成物(X)を構成するポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とは、別種のものでありさえすればよい。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂組成物(X)は前記ポリカーボネート樹脂(A)及び前記芳香族ポリカーボネート樹脂(B)を含むが、その他の樹脂及び/又は添加剤を配合することも出来る。
その他の樹脂の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の樹脂やコア−シェル型、グラフト型又は線状のランダム及びブロック共重合体のようなゴム状改質剤などが挙げられる。その他の樹脂の配合量としては、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)との合計量100重量部に対して、1重量部以上、30重量部以下の割合で配合することが好ましく、3重量部以上、20重量部以下の割合で配合することがより好ましく、5重量部以上、10重量部以下の割合で配合することがさらに好ましい。尚、その他の樹脂は配合しても成形品としたときに透明性を損なわない樹脂を選択することが肝要である。
添加剤としては熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等があげられる。
本発明の成形品には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホス
ファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル) ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル) オク
チルホスファイト、ビス(ノニルフェニル) ペンタエリスリトールジホスファイト、ビ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
本発明の成形品には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネ
ート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の1種又は2種以上が挙げられる。前記酸化防止剤の配合量は、本発明の成形品をポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)との合計量100重量部に対して、0.0001重量部以上、1重量部以下の割合で配合することが好ましく、0.0005重量部以上、0.5重量部以下の割合で配合することがより好ましく、0.001重量部以上、0.2重量部以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で酸化防止剤を配合することにより、成形体表面への酸化防止剤のブリード、成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂の酸化劣化を防止することができる。
本発明の成形品の金型からの離型性をより向上させるために、更に離型剤を含有していることが好ましい。離型剤としては、高級脂肪酸、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、蜜蝋等の天然動物系ワックス、カルナバワックス等の天然植物系ワックス、パラフィンワックス等の天然石油系ワックス、モンタンワックス等の天然石炭系ワックス、オレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられ、高級脂肪酸、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルが特に好ましい。
本発明の成形品の耐候性をさらに向上する目的で、紫外線吸収剤を配合することができる。かかる紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2
−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。紫外線吸収剤の融点としては、特に120〜250℃の範囲にあるものが好ましい。融点が120℃ 以上の紫外線吸収剤を
使用すると、成形品表面のガスによる曇りが減少し改善される。具体的には、2−(2'
−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2 '−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3",4",5",6"−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メ
チルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤が使用され、これらのうちでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−
テトラメチルブチル) −6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノールが好ま
しい。これらの紫外線吸収剤、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記紫外線吸収剤の配合量は、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ポ
リカーボネート樹脂(B)との合計量100重量部に対して、0.0001重量部以上、1重量部以下の割合で配合することが好ましく、0.0005重量部以上、0.5重量部以下の割合で配合することがより好ましく、0.001重量部以上、0.2重量部以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で紫外線吸収剤成形品表面への紫外線吸収剤のブリード、各種成形品の機械特性低下を生じることなく、成形品の耐候性を向上することができる。
また、本発明の成形品の耐光性をさらに向上する目的で、ヒンダードアミン系光安定剤を配合することができる。かかるヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン
−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアミノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジル−1、6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物等が挙げられる。なかでもビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートが好ましい。
本発明の成形品の製造は射出成形法によって行う。特に、成形品の光学歪みを低くするという観点から射出プレス成形によって行うことが好ましい。射出成形の場合、成形品の形状に応じた金型を使用することにより、複雑な形状の樹脂成形品を製造することができる。
射出成形は射出成形機によって行われ、使用する樹脂組成物および製品形状に応じて適宜好適な成形条件が設定される。成形条件としては、シリンダー温度、金型温度、射出圧、保圧、スクリュー回転数、クッション量、射出速度、射出時間、保圧時間、冷却時間などが挙げられる。
本発明の成形品、すなわち、ポリカーボネート樹脂組成物(X)から射出成形された板状部を主体とする成形品であって、該成形品の板状部の厚みが0.5mm以上5mm以下であり、該成形品の板状部において位相差が100nm以下の面積の割合が該成形品の板状部の全面積に対して50%以上である成形品を得る手段としては、前述したように本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)中の全ジヒドロキシ化合物に対する本発明に用いるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)の割合を特定範囲とすること、本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物(X)中に占める芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の割合を特定範囲にすることの他に、シリンダー温度および金型温度を上記の特定範囲とすることが挙げられる。
本発明の成形品は、これらの手段を単独で、あるいは適宜組み合わせることにより製造することができる。
本発明の成形品の板状部の厚みが0.5mm以上5mm以下であり、該成形品の板状部において位相差が100nm以下の面積の割合が、該成形品の板状部の全面積に対して、50%以上であり、好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。一方、好ましくは100%以下、更に好ましくは99%以下、特に好ましくは98%以下である。この割合が小さすぎると成形品の光学歪みが高い面積の割合が大きくなり、光学用途に使用し難い傾向になる。すなわち、この割合は大きいことが好ましい。
以下において、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂組成物、成形品等の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
(1)還元粘度の測定
ポリカーボネート樹脂のサンプルを、溶媒として塩化メチレンを用いて溶解し、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t0
相対粘度から次式より比粘度ηspを求めた。
比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
(2)色相測定
JIS K7105に準拠し、分光色差計(日本電色工業株式会社製SE2000)を使用し、C光源透過法にて射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)のイエローインデックス(YI)値を測定した。YI値が小さい程、黄色味がなく品質が優れることを示す。
JIS K7105に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製NDH2000)を使用し、D65光源にて射出成形片の全光線透過率を測定した。
(4)成形品の位相差の測定と成形品の位相差が100nm以下の面積の割合
150mm×100mm×3mmの射出成形板にて、王子計測機器株式会社製の位相差測定装置「KOBRA WRXY2020」により、波長590nmに対する位相差を測定した。測定は10mm×10mmのメッシュに分割して行い、100nm以下の位相差を示したメッシュの全メッシュに対する割合を成形品の位相差が100nm以下の面積の全面積に対する割合とした。
JIS B7753に準拠してスガ試験機株式会社製サンシャインウェザオメーターS80を用いて、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源で放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、照射及び表面スプレ(降雨)にてブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件下、射出成形片の平板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の正方形の面に対して、500時間照射処理を行った。表面スプレー(降雨)時間は、12分/1時間とした。ガラスフィルターはAタイプを用いた。照射処理後のYIと全光線透過率を測定し、さらに500時間処理後のYIと処理前のYIとの差を求めた。
(6)ポリカーボネート樹脂中の各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比の測定
ポリカーボネート樹脂中の各ジヒドロキシ化合物構造単位比は、ポリカーボネート樹脂30mgを秤取し、重クロロホルム約0.7mLに溶解し、溶液とし、これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、日本電子株式会社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温で1H NMRスペクトルを測定した。各ジヒドロキシ化合物に由
来する構造単位に基づくシグナル強度比より各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比を求めた。
PC1:
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、イソソルビド(以下「ISB」と称す場合がある。)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下「CHDM」と称す場合がある。)と、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(以下「DPC」と称す場合がある。)、および酢酸カルシウム1水和物を、モル比でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.40/0.60/1.00/1.00×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温を開始後40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この
圧力を保持するようにしながら、さらに30分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の凝縮器に導いて回収した。
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISBとCHDM、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPCおよび酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005vol%〜0.001vol%)。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
得られたポリカーボネート樹脂は分析の結果、イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=70/30モル%、還元粘度 0.51dl/gであった。
PC3:
三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックス7022J(2,2−ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する構造のみを有する芳香族ポリカーボネート樹脂,粘度平均分子量22,000)
PC1、及び、PC3を重量比60:40の割合でドライブレンドした後、株式会社日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30HSS−32)を用いて、樹脂温度250℃で押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。ペレットを、窒素雰囲気下、80℃で10時間乾燥した後に、射出成形機(株式会社日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、シリンダー温度250℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条
件で、射出成形板(幅150mm×長さ100mm×厚さ3mm)を成形した。得られたサンプルについて、全光線透過率、YI、ノッチ付シャルピー衝撃強度の測定を行なった結果を表1に示す。
PC1、及び、PC3を混合重量比40:60の割合で混合した以外は実施例1と同様の方法でサンプルの作製、評価を行なった。結果を表1に示す。
(比較例1)
PC3のみを、窒素雰囲気下、120℃で6時間乾燥した後に、射出成形機(株式会社日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、シリンダー温度280℃、金型温度を80℃、成形サイクル40秒間の条件で、射出成形板(幅150mm×長さ100mm×厚さ3mm)を成形した以外は実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
PC2、及び、PC3を混合重量比80:20の割合で混合した以外は実施例1と同様の方法でサンプルの作製、評価を行なった。結果を表1に示す。
Claims (5)
- 下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とを含むポリカーボネート樹脂組成物(X)から射出成形された板状部を主体とする成形品であって、該成形品の板状部の厚みが0.5mm以上5mm以下であり、該成形品の板状部において位相差が100nm以下の面積の割合が、該成形体の板状部の全面積に対して50%以上であり、前記ポリカーボネート樹脂組成物(X)のペレットを射出成型機に供給し、シリンダー温度250℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で成形した、射出成形板(幅150mm×長さ100mm×厚さ3mm)の全光線透過率が90.0%以上であることを特徴とする成形品。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)中に占める下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)が20mol%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形品。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物(X)が、前記ポリカーボネート樹脂組成物(X)から成形された成形品(厚さ3mm)をブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、1時間当たりの降雨スプレー時間12分の環境下にて、サンシャインカーボンアークを用い、
放電電圧50V、放電電流60Aで、500時間照射処理した後に、全光線透過率が85%以上であるポリカーボネート樹脂組成物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の成形品。 - 前記ポリカーボネート樹脂組成物(X)が、前記ポリカーボネート樹脂組成物(X)から成形された成形品(厚さ3mm)の初期のイエローインデックス(YI)値と、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、1時間当たりの降雨スプレー時間12分の環境下にて、サンシャインカーボンアークを用い、放電電圧50V、放電電流60Aで、500時間照射処理した後に透過光で測定したASTM D1925−70に準拠したイエローインデックス(YI)値との差の絶対値が10以下であるポリカーボネート樹脂組成物であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011178978A JP5786551B2 (ja) | 2010-08-20 | 2011-08-18 | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010185057 | 2010-08-20 | ||
JP2010185057 | 2010-08-20 | ||
JP2011178978A JP5786551B2 (ja) | 2010-08-20 | 2011-08-18 | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012062466A JP2012062466A (ja) | 2012-03-29 |
JP5786551B2 true JP5786551B2 (ja) | 2015-09-30 |
Family
ID=46058502
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011178978A Active JP5786551B2 (ja) | 2010-08-20 | 2011-08-18 | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5786551B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6204030B2 (ja) * | 2013-03-07 | 2017-09-27 | 帝人株式会社 | 成形品 |
JP2014198759A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-23 | 三菱化学株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 |
JP6331592B2 (ja) * | 2014-03-31 | 2018-05-30 | 三菱ケミカル株式会社 | 樹脂組成物の射出成形方法 |
JP7173181B2 (ja) * | 2021-01-20 | 2022-11-16 | 大日本印刷株式会社 | 樹脂成形体、並びにそれを用いた積層体及び画像表示装置 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5532531B2 (ja) * | 2006-06-19 | 2014-06-25 | 三菱化学株式会社 | ポリカーボネート共重合体及びその製造方法 |
-
2011
- 2011-08-18 JP JP2011178978A patent/JP5786551B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012062466A (ja) | 2012-03-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6504119B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP5870515B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 | |
WO2011071162A1 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物並びにこれを成形して得られる成形体、フィルム、プレート及び射出成形品 | |
JP6010919B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
WO2011071164A1 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
WO2011071166A1 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
WO2011071165A1 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP5786551B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
WO2011071163A1 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP2013049847A (ja) | 自動車内装品 | |
JP6188272B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP5655657B2 (ja) | Led信号用部材 | |
JP2016156031A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP5707777B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP2012041467A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP6282792B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP5617693B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP5958025B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂成形品及び光反射部材 | |
JP6047275B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2013049846A (ja) | 遮音部材 | |
JP6698273B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 | |
JP6079843B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP6151470B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP6151471B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 | |
JP2016121365A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140616 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150213 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150217 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150416 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150630 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150713 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5786551 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |