{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る医療用診療装置について説明する。図1は第1実施形態に係る医療用診療装置10を示す概略図である。
この医療用診療装置10は、医療診療のため、例えば、歯科医療における診療のために用いられる装置であり、接眼タイプの顕微鏡40を備える。以下の各実施形態では、歯科医療における診療想定を想定した例で説明する。もっとも、本医療用診療装置10は、その他、顕微鏡を用いた耳鼻科用等の各種診療装置にも適用できる。
接眼タイプの顕微鏡40は、診療台20に支持された患者P1の患部(ここでは、口腔内)の拡大像を術者P2に対して視認可能に提示するように構成されている。
ここで、診療台20は、患者P1を支持する部分である。診療台20は、患者P1を診療に適した姿勢で支持することが好ましい。ここでは、歯科医療を想定しているため、診療台20は、患者P1を仰向けに寝かせた姿勢で支持できるように構成されている。診療台20は、本医療用診療装置10の構成要素として含まれる場合もあるし、含まれない場合もある。後者の場合、本医療用診療装置10は、診療台20を既に購入されている術者にも提供できるように、診療台20を省略した形態で製造、販売等されるが、最終的には、診療台20に適用された形態で使用される。
顕微鏡40は、光学的に拡大された像を直接的に術者に対して視認可能に提示するものであってもよいし、或は、撮像素子等で撮像された像を、液晶表示装置等の表示部に表示して、患部の像を術者に対して視認可能に提示するものであってもよい。
もっとも、顕微鏡40は、術者P2が眼を近づけて又は接触させて接眼部42を覗き込むようにすることによって、上記患部の拡大像を視認することが可能となる接眼タイプの構成とされている。術者P2が、かかる顕微鏡40を用いて観察する場合、視野のうちその中心周りの多くの範囲が顕微鏡40により提示される像及びその周辺部分(接眼部42のアイキャップ等)によって占められる。このため、術者P2は、顕微鏡40による提示像以外の状況を把握することは困難となる。
本医療用診療装置10は、周辺画像撮像部38と、診療台情報画像生成部50とを備える。
周辺画像撮像部38は、固体撮像素子等を含む撮像カメラであり、診療台20に支持された患者P1の一部であって患部以外の部分を撮像可能に構成されている。ここでは、周辺画像撮像部38は、診療台20の上方に図示省略の支持柱等を介して支持されており、その位置から下方領域を撮像可能に構成されている。患者の少なくとも一部としては、身体全体であってもよいし、上半身全体であってもよいし、胸部より上の全体であってもよいし、顔全体であってもよい。歯科診療時に患者が痛みを手又は腕の動きで示すことを想定すると、患者の少なくとも一部は、手又は腕を含むことが好ましい。
診療台情報画像生成部50は、上記診療台20に関する情報を示す診療台情報画像を生成する部分である。診療台情報としては、上記診療中に望まれる診療台20に関する情報が想定される。例えば、診療台20がコントローラ等に対する操作によって昇降動作或は傾き動作される場合を想定する。顕微鏡40を覗き込んだままコントローラを操作することがあることを想定すると、診療台情報としては、診療台を制御するための情報を含むことが好ましい。例えば、診療台の動作速度が可変である場合等には、診療台情報としてはその動作速度に関する情報を含むことが好ましい。
そして、前記顕微鏡40において、上記患部の拡大像の少なくとも一部(通常は中心周りの大部分)を顕微鏡40の視野内で視認可能な状態にしたままで、周辺画像撮像部38で撮像された周辺撮像画像及び診療台情報画像生成部50で生成された診療台情報画像のうちの少なくとも一方が、前記拡大像に対する重ね合せ画像として視野内に表示される。
これにより、術者P2は、同一視野範囲内で、顕微鏡40による患部の拡大像とは別に、上記周辺画像及び診療台情報のうち少なくとも1つを視認することができるため、顕微鏡40を用いて診療を行う際に、周辺状況を容易に把握できることになる。
もっとも、周辺画像撮像部38と診療台情報画像生成部50とのうち一方だけが設けられていてもよい。
以下、第1実施形態を前提として,より具体的な第2、第3実施形態を説明する。
{第2実施形態}
以下、第2実施形態に係る医療用診療装置について説明する。
図2は医療用診療装置を含む医療用診療システムの全体構成を示す斜視図であり、図3は同医療用診療システムの使用状態例を示す説明図である。図3では、診療台120に支持された患者P1が仰向け状態で寝ており、術者P2が患者P1の患部である口腔を、顕微鏡140を用いて観察している様子を示している。
医療用診療システムは、診療台120と、顕微鏡140と、周辺画像撮像部138と、制御ユニット150とを備えている。本実施形態では、医療用診療装置100は、顕微鏡140と、制御ユニット150の重ね合せ画像出力部158とを備え、任意的に、診療台120及び周辺画像撮像部138とをさらに備える。
診療台120は、基台121と、シート部122とを備えている。基台121は床面上に設定され、シート部122を床面の上方位置で支持している。シート部122は、患者P1を着座姿勢又は仰向けに寝かせた姿勢で支持する部分であり、座部122aと背部122bとヘッドレスト122cとを備えている。座部122aは基台121上に支持され、背部122bは座部122aの一側に姿勢変更可動に連結されている。ヘッドレスト122cは背部122bの上端部に姿勢変更及び伸縮可能に設けられている。
この診療台120には、患者P1に対する診療状態に応じて診療台120を動かすための診療台駆動機構部が設けられている(図4参照)。ここでは、診療台駆動機構部124は、昇降駆動機構部と背部傾動駆動機構部とを含む。昇降駆動機構部は、基台121に組込まれており、この昇降駆動機構の駆動によりシート部122が昇降する。また、背部傾動駆動機構部は、シート部122に組込まれており、背部122bの傾き姿勢を変更させる。その他、診療台駆動機構部124は、シート部122に組込まれ、ヘッドレスト122cの傾き姿勢を変更させるヘッドレスト傾動駆動機構等を含んでいてもよい。
また、診療台120には、フートコントローラ126が設けられている。フートコントローラ126は、診療台120に対する諸動作指示等のための操作を受付ける操作部である。本実施形態では、フートコントローラ126は、6つの操作受付部126aを含んでおり、各操作受付部126aを通じて術者からの諸指示を受付ける。ここでは、フートコントローラ126は、後述する各種医療器具への動作指示をも受付可能に構成されている。そして、フートコントローラ126で受付けられた指示は、上記制御ユニット150に入力される。そして、上記制御ユニット150が当該指示に基づいて診療台駆動機構部124の動作制御を行い、また、各種医療器具に対して動作指示を与える。
また、診療台120の周囲には、トレーテーブル128とベースンユニット130とが設けられている。
トレーテーブル128は、テーブル128aと、タッチパネル部128bとを含む。テーブル128aは、診療台120にアームを介して位置変更可能に支持されている。タッチパネル部128bは、テーブル128aの前方(術者P2が立つ側)に取付固定されている。タッチパネル部128bは、液晶表示装置と接触位置検知装置等との組合わせにより構成されており、表示された画面に応じた押された位置を検出することで、術者からの諸指示を受付ける装置である。このタッチパネル部128bで受付けられた指示も上記制御ユニット150に入力される。勿論、トレーテーブル128には、タッチパネル部128bに代えて又は追加して、複数のスイッチを含み、各スイッチに対する操作によって諸指示を受付ける操作部が設けられていてもよい。
ベースンユニット130は、スピットン132と、アシスタントハンガー137と、ポール134aとを備える。ここでは、ベースンユニット130は、診療台120を挟んで、トレーテーブル128の反対側に設けられている。
スピットン132は、口腔内を濯ぐ際等に給水する給水栓と排唾鉢とを備える。
ポール134aは、ベースンユニット130に隣接して立設されており、複数(ここでは2つ)のアーム134b、134cとを備えている。ポール134aの途中には、液晶表示装置等によって構成される表示部135aが設けられている。
表示部135aには、制御ユニット150から出力される画像信号に基づいて、諸情報が表示される。ここでは、制御ユニット150からの画像信号に基づいて、顕微鏡140の視野内に表示される画像と同内容を表示部135aに表示させることができるようになっている。表示部135aは、診療台120近傍にいる診療補助者に対する情報提示用として設けられていること、即ち、近傍にいる診療補助者の目と同じ程度の高さ位置に設けられていることが好ましい。もっとも、表示部135aは、患者P1による視認に適した場所等、他の箇所に設けられていてもよい。
複数のアーム134b、134cは、ポール134aの上端部から2方向に分岐するように延出している。各アーム134b、134cは、姿勢変更可能なアームである。アーム134bの先端部には無影灯等の照明装置135bが設けられている。また、アーム134cの先端部には顕微鏡140が設けられている。そして、アーム134b、134cをそれぞれ別々の方向に姿勢変更させることによって、顕微鏡140の配設位置とは別箇所から照明装置135bによる照明を行える。
勿論、これらのベースンユニット130及びポール134aは、診療台120の一部や壁面などの他の箇所に設けられてもよい。
顕微鏡140は、上記第1実施形態で説明したように接眼タイプの顕微鏡であり、診療台120に支持された患者P1の患部(ここでは、口腔内)の拡大像を術者P2に対して視認可能に提示するように構成されている。
より具体的には、顕微鏡140は、対物光学系142と、接眼光学系146とを備える。顕微鏡140は、接眼光学系146を横向きにすると共に、対物光学系142を下方向に向けた姿勢で、上記アーム134cの先端部に支持されている。顕微鏡140は、診療台120に支持された患者P1の患部(口腔)の上方に配設した状態で用いられる。この状態で、術者P2が横方向から接眼光学系146を覗き込むことで、術者P2に対して拡大された像が提示される。なお、顕微鏡140には、ハンドル140hが設けられており、術者P2は、本ハンドル140hを握ることで、容易に顕微鏡140の位置変更等を行える。
なお、顕微鏡140は、他の支持部材によって支持されていてもよいし、また、術者P2自体によって支持されてもよい。
周辺画像撮像部138は、上記第1実施形態で説明したように、固体撮像素子等を含む撮像カメラであり、診療台120に支持された患者P1の一部であって患部以外の部分を撮像可能に構成されている。ここでは、周辺画像撮像部138は、134aの先端部に設けられた照明装置135bに(ここでは上部に)設けられている。そして、患者の上記少なくとも一部を撮影できるようになっている。ここで、周辺画像撮像部138は照明装置135bに設けられているため、照明された明るい画像を容易に撮像することができる。もっとも、照明装置135bによる照明先と、周辺画像撮像部138によって撮像すべき領域とは必ずしも一致しないので、照明装置135bに対して周辺画像撮像部138は、姿勢変更可能(つまり、撮像領域の変更が可能)とされていることが好ましい。また、周辺画像撮像部138は、照明装置135bとは別箇所に設けられていてもよい。
また、この医療用診療システムは、器具ホルダー136、137を備えている。器具ホルダー136、137は、診療に用いられる診療器具18を収納及び引出可能に支持可能に構成されている。
ここでは、上記テーブル128aの前方及び一側方に器具ホルダー136が設けられている。また、器具ホルダー137は、ベースンユニット130にアームを介して支持されている。器具ホルダー136、137は、複数の診療器具18に対応するセット部136a、137aを含み、各診療器具18は、それぞれに対応するセット部136a、137aに収容される。また、各セット部136a、137aには、診療器具18のセット状態を検知する検知部としてのセンサ136S(図2において一部のみ図示、図4参照)が設けられている。センサ136Sとしては、セット部136a、137aとしては、診療器具18が存在する場合に遮光され或は反射される検査光を利用した光センサ、或は、診療器具が存在する場合に押されることによってオン又はオフ状態になるスイッチを利用したセンサ等を用いることができる。これらの各セット部136a、137aに設けられたセンサ136Sの出力は、上記制御ユニット150に与えられる。これにより、制御ユニット150では、各センサ136Sの出力に基づいて、各診療器具18の取出し及び収納タイミングを認識し、また、どの診療器具18が器具ホルダー136、137から取出されているかを判別できるようになっている。
勿論、器具ホルダー136、137は他の箇所、例えば、診療台120に設けられていてもよい。
なお、診療器具18としては、例えば、エアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピース等の切削工具やスケーラ、スリーウエイシリンジ、バキュームシリンジ、口腔カメラ、光重合照射器等が想定される。これらの診療器具18は、患者P1に対する診療行為に供され、術者P2による駆動指示又は取扱い操作等に基づいて動作する。
診療器具18のうちの少なくとも一部は、必要に応じて、自己の作動状況を示す作動状況情報を出力する。例えば診療器具18が歯牙切削用診療器具等の回転駆動部を有する場合には、作動状況情報は、その回転数、または、回転数に相当する電圧値もしくは電流値等を含むとよい。また、例えば、診療器具18の中には、歯に対する診療として根管の拡大を行うと共に、当該根管拡大作業中に、根管における根管拡大工具の先端部の位置を測定可能な構成のものがある。このような場合には、作動状況情報は、根管における根管拡大工具の先端部の位置情報を含むことが好ましい。つまり、作動状況情報とは、診療器具18の関連情報の一種であり、診療器具18自体の状態に関する情報の他、診療器具18と患部との関係を示す情報をも含む。このように診療器具18から出力された作動状況情報は、制御ユニット150に入力される。
医療用診療装置は、顕微鏡140と、当該顕微鏡140に、周辺画像撮像部138で撮像された周辺撮像画像と診療台情報画像のうちの少なくとも1つを重ね合せ画像として視野内に表示させる要素とを含む。本第2実施形態では、前記要素が、前記周辺撮像画像のデータと前記前記診療台情報画像のデータのうち少なくとも1つを重ね合せ画像データとして出力する重ね合せ画像出力部158と、顕微鏡140において、重ね合せ画像出力部158からの出力に基づく重ね合せ画像を拡大像に重ね合せるように表示する重ね合せ表示部144Rとを含む構成によって実現されている例で説明する。
図4は本医療用診療システムの全体構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、フートコントローラ126及びタッチパネル部128bは、制御ユニット150に接続されており、フートコントローラ126及びタッチパネル部128bを通じて入力された指示が制御ユニット150に与えられる。各診療器具18及びこれらに対応するセット部136a、137aに設けられた各センサ136Sも制御ユニット150に接続されている。そして、制御ユニット150の制御下、各診療器具18が動作する。また、各センサ136Sの出力が制御ユニット150に与えられることで、制御ユニット150において各診療器具18の取出し状態が判別される。図4では、第1診療器具18に対して第1センサ136Sが対応付けられ、第2診療器具18に対して第2センサ136Sが対応付けられる様子を示している。また、診療台駆動機構部124も制御ユニット150に接続されており、制御ユニット150の制御下、診療台駆動機構部124が動作して診療台120が昇降動作或は傾き動作する。周辺画像撮像部138も制御ユニット150に接続されており、周辺画像撮像部138で撮像された撮像画像データが制御ユニット150に与えられる。また、表示部135aも制御ユニット150に接続されており、当該制御ユニット150から出力された画像信号に基づいて表示を行う。
また、ここでは、医療用診療システムは、患者情報記憶部139aを含むサーバ139を備えており、このサーバ139が制御ユニット150に通信可能に接続されている。患者情報記憶部139aは、ハードディスク装置等の記憶装置によって構成されており、事前に取得された患者情報を記憶している。患者情報は、各患者に対応付けて事前に取得された診療に関する情報であり、患者の名称、病状等を含むカルテ情報の他、事前に撮影された患部のレントゲン画像(CT画像等、X線を用いて得られた各種画像を含む)、事前に撮影された患部の蛍光画像、事前に測定された歯周ポケットの測定結果を示す画像等が含まれる。制御ユニット150は、必要に応じて、患者情報記憶部139aに記憶された患者情報を取得することができる。
また、制御ユニット150と顕微鏡140とは、制御ユニット150から出力された画像信号を顕微鏡140に入力可能に接続されている。
顕微鏡140は、対物光学系142と、接眼光学系146と、介在部144とを備える。ここでは、顕微鏡140は、両眼顕微鏡であり、従って、対物光学系142は、右対物光学系142Rと左対物光学系142Lとを含み、接眼光学系146は、右接眼光学系146Rと左接眼光学系146Lとを含む。かかる両眼顕微鏡は、患部を立体視し易いという利点がある。
右対物光学系142Rは、少なくとも1つの光学レンズを含む。この右対物光学系142Rは、患部に対向して配設され、患部の反対側で観察対象部分Pの実像を結ぶ。右接眼光学系146Rも少なくとも1つの光学レンズを含む。この右接眼光学系146Rは、術者P2の右目に対向して配設される部分であり、上記右対物光学系142Rで生成された実像を拡大して術者P2の眼(右眼)に提供する。これらの右対物光学系142Rと右接眼光学系146Rとは、全体として、観察対象部分Pを拡大して術者に提示する右眼用の光学系を構成している。
左対物光学系142Lは、少なくとも1つの光学レンズを含む。この左対物光学系142Lは、患部に対向して配設され、患部の反対側で観察対象部分Pの実像を結ぶ。左接眼光学系146Lも少なくとも1つの光学レンズを含む。この左接眼光学系146Lは、術者P2の左目に対向して配設される部分であり、上記左対物光学系142Lで生成された実像を拡大して術者P2の眼(左眼)に提供する。これらの左対物光学系142Lと右接眼光学系146Rとは、全体として、観察対象部分Pを拡大して術者に提示する左眼用の光学系を構成している。
介在部144は、重ね合せ表示部144Rと、介在撮像部144Lとを含む。
重ね合せ表示部144Rは、上記右眼用の光学系に設けられ、後述する重ね合せ画像出力部158からの出力に基づく重ね合せ画像を、光学的な拡大像に重ね合せるように表示可能に構成されている。かかる重ね合せ表示部144Rとしては、例えば、光学系の途中に介挿された透過型の液晶表示装置に前記重ね合せ画像を表示する構成、光学系の途中に介挿されたハーフミラーに前記重ね合せ画像を投影する構成等を採用することができる。そして、本重ね合せ表示部144Rによって光学的拡大像に重ね合せ画像が重ね合された状態では、術者P2は、重ね合せ表示部144Rを透過する光学的な拡大像を視認しつつ、重ね合せ表示部144Rで表示された重ね合せ画像を視認できる。
介在撮像部144Lは、本顕微鏡で観察された観察対象部分Pの画像を撮像する部分である。介在撮像部144Lとしては、例えば、光学系の途中にハーフミラーを介挿し、このハーフミラーで側方に向けて反射された像を撮像素子で撮像する構成を採用することができる。この介在撮像部144Lで撮像された画像は、フラッシュメモリ、ハードディスク装置等で構成された録画部144Laに記録される。
もっとも、顕微鏡が、上記のように両眼用の光学系を備えることは必須ではない。また、介在撮像部144Lが設けられていることも必須ではない。
図5は上記制御ユニット150のハードウエア構成例を示すブロック図である。制御ユニット150は、CPU151、ROM(Read Only Memory)152、主記憶部としてのRAM(Randam Access Memory)153、外部記憶装置154,入出力回路部155、画像入力部156、画像出力部157等がバスラインを介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。ROM152には、本制御ユニット150の起動用のプログラム等が格納されている。RAM153は、CPU151がプログラムの記述に従った処理を行う際の作業領域として供される。外部記憶装置154には、基本プログラムに加えて、上記重ね合せ表示部144Rに表示する重ね合せ画像を制御する重ね合せ画像制御プログラム154a、フートコントローラ126で受付けられた指示に従って診療台駆動機構部124の駆動を制御する診療台制御プログラム154b、フートコントローラ126で受付けられた指示に従って診療器具18に指示を出力する診療器具指示プログラム等が記憶されている。なお、外部記憶装置154は、一時的ではない不揮発性の記憶装置(ハードディスク装置、フラッシュメモリ等)によって構成されていればよい。
また、制御ユニット150は、入出力回路155を介して、診療台駆動機構部124、フートコントローラ126、タッチパネル部128b、診療器具18、センサ136Sに接続され、画像入力部156aを介して周辺画像撮像部138に接続され、画像出力部157aを介して重ね合せ表示部144Rに接続されている。また、制御ユニット150は、画像入力部156bを介して介在撮像部144Lに接続され、画像出力部157bを介して表示部135aに接続されている。
そして、主制御部としてのCPU151が、上記外部記憶装置154に記憶された各プログラム154a、154bを相互に連携しつつ実行し、外部からの指示に応じて各プログラム154a、154bに記述された手順に従って演算処理を実行することにより、診療台120の動作制御、診療器具18の動作制御に加えて、上記重ね合せ表示部144Rに表示する重ね合せ画像を制御する諸処理機能が実現される。重ね合せ表示部144Rに表示する重ね合せ画像を制御する重ね合せ画像出力部としての処理については後でさらに詳述する。なお、各プログラム154a、154bは、1つのプログラムとして記述されていてもよい。また、本制御ユニット150が行う一部又は全部の機能が、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
図6は制御ユニット150において、上記重ね合せ画像制御プログラム154aの実行により実現される機能を示すブロック図である。
すなわち、制御ユニット150は、重ね合せ画像出力部158としての機能、診療台情報画像生成部159aとしての機能、及び、器具作動状況情報画像生成部159bとしての機能を含んでいる。
この重ね合せ画像出力部158に対しては、サーバ139の患者情報記憶部139aの患者情報と、周辺画像撮像部138で撮像された周辺撮像画像のデータとが与えられる。本実施形態では、患者情報が、患部のX線画像、患部の蛍光画像、歯周ポケットの測定結果を示す画像(以下、単にポケット画像と記述する)である場合を想定する。また、周辺画像撮像部138は、患者P1の上半身を上方から撮像している場合を想定する。
また、診療台情報が診療台情報画像生成部159aに与えられると、診療台情報画像生成部159aは、診療台情報に基づいて、当該診療台情報を術者P2に視認させるための診療台情報画像を生成し、これを重ね合せ画像出力部158に与える。診療台情報は、診療台120に関する情報であり、特に、術者P2が顕微鏡140を覗き込んでいる状態で術者が把握すべき情報であることが好ましい。ここでは、診療台情報は、診療台駆動機構部124による動作モードが顕微鏡モードであるか否かという情報、診療台120の動きをロックした状態かどうかという情報である場合を想定して説明する。
なお、上記は、診療台駆動機構部124による動作モードが、通常モード、顕微鏡モード、停止モードの少なくとも3つあることを前提としている。通常モードは、非治療中で、かつ、術者P2が顕微鏡140を覗き込まない状態で使用されることを想定したモードであり、フートコントローラ126への操作に応じて、診療台駆動機構部124は、診療台120を素早く動作させる。顕微鏡モードは、非治療中で、かつ、術者P2が顕微鏡140を覗き込んだ状態で使用されることを想定したモードであり、フートコントローラ126への操作に応じて、診療台駆動機構部124は、診療台120をゆっくりと動作させる。これにより、術者P2は、顕微鏡140の焦点合わせ等を容易に行える。すなわち、顕微鏡140の使用に適した動作で診療台120を動かせるモードである。停止モードは、治療中に使用されることを想定したモードであり、診療台120はロック状態に維持される。従って、誤ってフートコントローラ126を操作してしまっても、診療台駆動機構部124は診療台120を動作させず、診療台120は停止状態を維持する。上記モードの切替は、フートコントローラ126或はタッチパネル部128bへの操作によって切替えられる。
診療台情報画像生成部159aは、診療台120の動作を司る診療台制御プログラム154bからいずれのモードであるかという診療台情報を受取ると、顕微鏡モード或は停止モードに応じた診療台情報画像を生成する。この診療台情報画像の一例については後で説明する。診療台情報画像は、術者P2にとって当該診療台120の状況を視認可能な表示図形として生成されるものであれば、特に限定はされない。例えば、いずれかのモードを示す象徴的な図形であってもよいし、文字自体であってもよい。診療台情報画像の元となる画像は、予め画像として外部記憶装置154に記憶されており、各モードに応じて当該画像が呼出され、当該画像に基づいて診療台情報画像が生成されるようにするとよい。そして、この診療台情報画像生成部159aによって生成された診療台情報画像が重ね合せ画像出力部158に与えられる。
また、診療器具18の作動状況情報が器具作動状況情報画像生成部159bに与えられると、器具作動状況情報画像生成部159bは、作動状況情報に基づいて、当該作動状況を術者P2に視認させるための器具作動状況情報画像を生成し、これを重ね合せ画像出力部158に与える。器具作動状況情報画像は、診療器具18に関する情報であり、特に、術者P2が顕微鏡140を覗き込んでいる状態で術者が把握すべき情報であることが好ましい。診療器具18の種類によって、作動状況情報が出力される場合と出力されない場合とがあり、本出力が無い場合には器具作動状況情報画像は生成されない。
ここでは、診療器具18が歯牙切削用診療器具であり、作動状況情報として、その回転数と、根管における回転工具の先端部の位置情報とを出力する場合を想定する。この診療器具18から出力された作動状況情報が、器具作動状況情報画像生成部159bに与えられる。
器具作動状況情報画像生成部159bは、作動状況情報を受取ると、作動状況情報に応じた器具作動状況情報画像を生成する。この器具作動状況情報画像としては、例えば、上記回転数又は位置情報を数値で表す図形、目盛の側方に回転数又は位置情報を示すレベルインジケータ等を示す図形等が想定される。この器具作動状況情報画像の元となる画像も、予め画像として外部記憶装置154に記憶されており、当該元となる画像に基づいて、作動状況情報に応じた器具作動状況情報画像が生成されるようにするとよい。この器具作動状況情報画像の一例については後で説明する。そして、この器具作動状況情報画像生成部159bによって生成された診療台情報画像が重ね合せ画像出力部158に与えられる。
なお、重ね合せ画像出力部158は、後述する選択画像176、割当情報画像172等をも出力可能に構成されている。これらの選択画像176、割当情報画像172等の元となる画像も予め画像として外部記憶装置154に記憶されており、当該元となる画像に基づいて、操作状況等に基づいて、選択画像176、割当情報画像172が生成される。特に、割当情報画像172としては、診療台駆動機構部124の操作に指摘した割当を示す画像の他、各診療器具18に適した割当を示す画像等も生成され、後者の各診療器具18に適した割当を示す画像は、診療器具18に関連する情報を示す画像として生成されるものである。
また、上記重ね合せ画像出力部158には、画像切替を制御するためのデータとして、診療器具18からの器具作動状況情報、フートコントローラ126等で受付けられた操作指示及びセンサ136Sの出力結果が与えられる。
重ね合せ画像出力部158は、操作指示及びセンサ136Sの出力結果に基づいて、患者情報画像、診療台情報画像、器具作動状況画像、周辺撮像画像のうちの1つ又は複数を重ね合せ画像データとして、必要に応じて出力し、重ね合せ表示部144Rに与える。また、重ね合せ画像出力部158は、所定のタイミングで、選択画像、割当情報画像のデータを必要に応じて出力し、重ね合せ表示部144Rに与える。また、重ね合せ画像出力部158は、当該重ね合せ画像を顕微鏡画像に重ね合せた表示部用画像信号をも出力し、表示部135aに与える。従って、表示部135aには、介在撮像部144Lで撮像された顕微鏡画像に、重ね合せ画像出力部158より出力される重ね合せ画像を重ね合せた画像が表示され、診療補助者は、顕微鏡140の視野範囲で観察可能な表示と同内容の表示を、表示部135aを通じて視認することができる。
図7及び図8は、重ね合せ画像出力部158における処理を示すフローチャートである。
同図に示すように、術者P2が顕微鏡140の使用開始スイッチを操作し、顕微鏡140の使用を開始すると、ステップS1に示すように、重ね合せ画像出力部158は、初期画面信号を出力し、初期画面を顕微鏡140の重ね合せ画像出力部158に表示させる。初期画面としては、上記撮像画像及び診療台情報画像の少なくとも1つを含むことが好ましく、ここでは、周辺撮像画像を含む例で説明する。術者P2が顕微鏡140を覗き込むと、図9に示すように、重ね合せ画像出力部158からの出力に応じた画像を認識することができ、また、重ね合せ画像出力部158からの出力に応じた画像が表示されていない領域では、患部(ここでは、口腔内の歯)の拡大像160を認識することができる。
上記初期画面を表示した後、ステップS2では、画像の切替指示の有無が判定される。すなわち、フートコントローラ126を通じて与えられる操作指示に基づいて、画像の切替指示の有無が判定される。ここでは、フートコントローラ126を通じて、上記選択画像176中の選択マーク176aのうち、表示中のものを選択して決定し、表示中ではないものを選択して決定することで、画像の切替指示が入力される。ステップS2において、画像の切替指示無しと判定された場合、ステップS3に進み、画像の切替指示有りと判定された場合、ステップS10に進む。
ステップS10では、画像の切替を行う。図10は、周辺撮像画像178が、フートコントローラ126の画像(割当情報画像172及び診療台情報画像170を含む)に切替えられた例を示している。この後、ステップS3に進む。
ここでは、切替えられた画面には、診療台情報画像170(ここでは、”顕微鏡ON”という表示)が含まれる。術者P2は、診療台情報画像170を観察することにより、顕微鏡ON、つまり、顕微鏡モードであることを認識することができる。
また、診療台情報画像170は、フートコントローラ126の操作受付部126aの割当情報画像172に重畳された状態で表示されている。割当情報画像172では、各操作受付部126aが模式的に表されている。左上の操作受付部126aの上向き操作に対しては診療台120の背部122bの傾き指令が、左上の操作受付部126aの下向き操作に対しては背部122bの起立指令が割当てられている。右上の操作受付部126aの上向き操作に対しては診療台120のシート部122の上昇指令が、右上の操作受付部126aの下向き操作に対してはシート部122の下降指令が割当てられている。そして、術者P2は、これらの操作受付部126aを操作することによって、顕微鏡モードでゆっくりと、診療台120を操作することができる。
また、中央上の操作受付部126aには選択が割当てられており、当該操作受付部126aを操作することにより、画面中の選択肢を選ぶことができる。ここでは、重ね合せ表示部144Rに選択画像176が表示されている。選択画像176は、複数の選択マーク176aを含む。複数の選択マーク176aは、重ね合される画像を選択するためのマークであり、周辺撮像画像を示す”患者状態”というマークと、患者情報画像の1つであるレントゲン画像を示す”レントゲン”というマークと、患者情報画像の1つである蛍光画像を示す”蛍光”というマークと、患者情報画像の1つである、歯周ポケットの測定結果を示す画像を示す”ポケット”というマークと、フートコントローラ126の割当情報画像172を示す”フートコントローラ”というマークとを含む。ここではマークは、文字を含んでいるが、図案化されたマーク等であってもよい。本画面では、中央上の操作受付部126aによって、選択画像176中の複数の選択マーク176aの中から選択を行うことができる。
また、中央下の操作受付部126aには決定が割当てられており、上記選択後に、本操作受付部126aを押すことで、その選択を決定することができる。ここでは、表示中又は選択された画像に対応する操作受付部126aは、太枠囲みで表示される。
なお、上記場合、また、下記の各場合において、顕微鏡140にて術者P2に観察される視野内で、患部の拡大像160が、それに重ね合される画像(ここでは、重ね合せ表示部144Rによって表示される画像、複数ある場合にはその総和)よりも大きい領域として認識されるように、各重ね合せ用の画像の大きさが設定されている。
ステップS3では、画像の追加指示の有無が判定される。すなわち、フートコントローラ126を通じて与えられる操作指示に基づいて、画像の追加指示の有無が判定される。ここでは、フートコントローラ126を通じて、上記選択画像176中の選択マーク176aのうち、表示中のもの以外を選択して決定することで、画像の追加指示が入力される。ステップS3において、画像の追加指示無しと判定された場合、ステップS4に進み、画像の追加指示有りと判定された場合、ステップS11に進む。
ステップS11では、画像の追加を行う。図11は、周辺撮像画像178を追加表示した例を示している。この後、ステップS4に進む。
ステップS2、S10、S3、S11の各処理によって、フートコントローラ126からの出力に応じて複数の前記重ね合せ画像を切替えることができる。
ステップS4では、センサ136Sの出力結果に応じて、診療器具18の取出しの有無が判定される。診療器具18の取出しが無いと判定されると、ステップS2に戻り、診療器具18の取出しが有りと判定されると、次ステップS5に進む。
ステップS5では、センサ136Sの出力結果に基づいて選択取出しされた診療器具18が特定され、その診療器具18に応じた器具関連情報画像として、器具作動状況情報画像180及び割当情報画像172が表示される。ここでは、診療器具18として、歯牙切削用診療器具を想定する。図12では、器具作動状況情報画像180として、回転数を数値で示す図形180aと、根尖(APEX)に至る迄の距離を表示する図形180bとが表示された例を示している。なお、図12では、診療台情報画像170として、診療台120がロック状態であることを示す図形(鍵を模式化した図形)が表示されている。この図形は、術者P2がタッチパネル部128b等を通じて行うロック状態の操作入力や、診療器具18を取出した時のセンサ136Sの出力結果等により、表示される図形である。この図形の元となる画像も、予め画像として外部記憶装置154に記憶されており、当該元となる画像に基づいて、上記操作入力に応じて生成され、重ね合せ画像出力部158から出力されて重ね合せ表示部144Rに表示される。
また、フートコントローラ126の割当情報画像172は、取出された診療器具18に適したものに変更されている。ここでは、診療器具18に診療箇所を照明するライトが設けられており、左上の操作受付部126aの上向き操作に対してはライトのON指令が、左上の操作受付部126aの下向き操作に対してはライトのオフ指令が割当てられている。右上の操作受付部126aの上向き操作に対しては注水ON指令が、右上の操作受付部126aの下向き操作に対しては注水OFF指令が割当てられている。また、中央下側の操作受付部126aに対しては、診療器具18の駆動ON指令が割当てられている。
次ステップS6では、画像の切替指示の有無が判定される。すなわち、フートコントローラ126を通じて与えられる操作指示に基づいて、画像の切替指示の有無が判定される。ここでは、フートコントローラ126を通じて、上記選択画像176中の選択マーク176aのうち、表示中のものを選択して決定し、表示中ではないものを選択して決定することで、画像の切替指示が入力される。ステップS6において、画像の切替指示無しと判定された場合、ステップS7に進み、画像の切替指示有りと判定された場合、ステップS12に進む。
ステップS12では、画像の切替を行う。例えば、ステップS6において、周辺撮像画像178を、患者情報画像の1つであるレントゲン画像等に切替えるべき旨が指示されていた場合、周辺撮像画像178を、レントゲン画像に切替える。ステップS6、S12の処理を実行することで、フートコントローラ126からの出力に応じて、診療情報を示す診療情報画像を、付加重ね合せ画像として視野内に表示させることができる。
ステップS7では、選択された診療器具18に関する拡大切替設定の有無が判定され、拡大切替設定有りと判定されると、ステップS8に進み、拡大切替設定無しと判定されると表示切替えに関する処理を終了する。拡大切替設定は、診療器具18の作動状況情報に応じて器具作動状況情報画像180の少なくとも一部を拡大表示させるべき条件であり、ここでは、診療器具18が歯牙切削用診療器具であることを想定し、その切削具の先端が根尖に達する迄の距離として設定される。拡大切替設定は、タッチパネル部128b等を通じて事前に設定され、外部記憶装置154に記憶された値であってもよいし、本ステップS7において、設定される値であってもよい。なお、診療器具18の種類によっては拡大切替え自体不要な場合もあり、かかる場合には、拡大切替の設定自体行われない(入力できない)。
本ステップS7に前後して、画像の切替に関する以外の、診療器具18の動作に関する諸設定が行われてもよい。この場合に、診療器具18の種類によっては、診療器具18の動作に関する諸設定が終了した後に、当該診療器具18に対する動作指令が受付けられるようにしてもよい。
この後、術者P2が、フートコントローラ126を足で操作しつつ、診療器具18を手で持って患部に対する診療等を行うと、図14に示すように、診療器具18からの作動状況情報に基づいて器具作動状況情報画像が変化する。ここでは、診療器具18の回転数及び根尖に至る迄の距離変動に応じて、それぞれを示す図形180a、図形180bが変化する。なお、診療器具18を用いた診療中に、画像の切替が不要である場合には、患部の表示領域をより広くするため、選択画像176を表示させないようにすることが好ましい。図13でも、診療器具18の動作開始に合わせて、選択画像176を表示させないようにした例を示している。
ステップS8では、拡大切替設定条件を満たすか否かが判定され、満たすと判定されると、ステップS9に進む。ここでは、器具作動状況情報に基づいて、根尖に達する迄の距離が拡大切替設定条件として設定された閾値を下回るか否かが判定され、前記距離が前記閾値を下回ると判定されると、ステップS9に進む。
ステップS9では、器具作動状況情報画像180が拡大して表示される。図14では、器具作動状況情報画像180の一部である図形180b(根尖(APEX)に至る迄の距離を表示する図形)が拡大して表示される例を示している。これにより、術者P2は、切削箇所への接近を認識し、また、根尖に近い箇所で拡大された図形180bを見てより慎重な処置を行うことができる。
そして、表示切替えに関する処理を終了する。次に別の診療器具18を用いて診療を行うため、ステップS1又はステップS4に戻って処理を繰返してもよい。
なお、診療器具18が歯牙切削用診療器具である場合の器具作動状況情報画像180としては、上記例の他、図15に示すように、回転数を示す図形、根尖に至る迄の距離を示す図形の他、モータのトルク、回転方向等の各種情報を示す図形を含む、器具作動状況情報画像であってもよい。
図16は、診療器具18として、スケーラを想定した場合において、ステップS5で表示される画像例を示している。この場合、スケーラに適した画像として、患者情報画像の1つである蛍光画像182が表示されている。勿論、ステップS6,S12の処理によって、蛍光画像が歯周ポケットの測定結果を示す画像に切替えられてもよい。なお、図16では、器具関連情報の一種として、左上の操作受付部126aの上向き操作に対してはパワーアップ指令が、左上の操作受付部126aの下向き操作に対してはパワーダウン指令が割当てられている。右上の操作受付部126aの上向き操作に対しては注水ON指令が、右上の操作受付部126aの下向き操作に対しては注水OFF指令が割当てられている。また、中央下側の操作受付部126aに対しては、診療器具18の駆動ON指令が割当てられている。この場合、画像切替の決定は、他の操作受付部126aに割当てられるとよい。或は、他のスライドスイッチ等に診療器具18の駆動ON指令が割当てられ、画像切替の決定は上記と同様の割当てが維持されてもよい。
図17は、ステップS10において、切替え表示された画像例を示している。ここでは、診療情報の一種として、口腔カメラで撮影された蛍光画像182が表示されている。これにより、術者P2は、蛍光画像に基づいて、事前に、歯石、歯垢の箇所等を把握することができる。
このようにして、センサ136Sの出力に基づいて、取出された診療器具18に応じて、診療情報を示す診療情報画像としての蛍光画像182等を、付加重ね合せ画像として視野内に表示させることもできる。勿論、これらの診療情報画像を、蛍光画像182とレントゲン画像等に切替えて表示することもできる。
以上のように構成された医療用診療装置によると、術者P2は、顕微鏡140による患部の拡大像160とは別に、診療台120に指示された患者の一部であって患部以外の部分の周辺撮像画像178と、診療台120に関する情報を示す診療台情報画像170のうちの少なくとも1つを視認することができる。このため、顕微鏡140を用いて患部を観察しつつ診療を行う際に、周辺状況を容易に把握できる。
これにより、例えば、患者P1が顔の表情、或は、手の動き等で痛み等を訴えた場合にも、容易に対処できる。また、患者P1が不意に動いた場合には顕微鏡140の視野内で患部の位置が大きく移動し、患部の位置を見失う恐れがあるところ、患者P1のより広い箇所を観察できるため、患部の移動方向を把握し易い。このため、患部の位置を見失い難いという利点がある。
また、顕微鏡140を覗き込みつつ診療台120の動作モード(顕微鏡モードか、ロックモードか)を容易に把握して、診療台120の操作を容易に行うことができる。
また、顕微鏡140から眼を離すと、再度、焦点を合わせるのに時間がかかってしまうという問題があったが、本実施形態では、顕微鏡140を覗き込んだまま、諸状況は把握できるため、極力顕微鏡140を覗き込んだまま諸診療を行い易いという利点もある。
勿論、第1実施形態で述べたように、医療用診療装置は、周辺撮像画像178と診療台情報画像170とのうち一方だけを表示する構成であってもよい。
なお、上記画像の切替えを行う処理は、必ずしも制御ユニット150で行われる必要はない。別途、画像の切替え制御を行う制御ユニットが設けられ、当該制御ユニットが診療台120の動作制御を行う制御ユニット等と連携しつつ、上記切替え制御を行ってもよい。この場合に、画像の切替え制御を行う制御ユニットは、トレーテーブル128に組込まれていてもよいし、顕微鏡140に組込まれていてもよい。
また、重ね合せ表示部144Rは、顕微鏡140の光学系の途中に設けられているため、術者P2は、患部については直接的な拡大像160を視認しつつ、周辺状況を容易に把握できる。
また、フートコントローラ126による操作によって重ね合される画像を容易に切替えることができる。
また、診療器具18の選定に応じて、当該診療器具18に適した関連情報として、器具作動状況情報画像或は割当情報画像172が表示されるため、術者P2は、顕微鏡140を覗き込みつつ当該診療器具18を用いて診療を行う際に、診療器具18の作動状況を容易に把握しつつ、患部を観察して診療を行えるため、当該診療をより適切に行うことができる。
さらに、患者に関する診療情報画像も表示可能とされているため、術者P2は、顕微鏡140を用いて診療を行う際に、蛍光画像182或はレントゲン画像等を視認しつつ、患部を観察できるため、当該診療をより適切に行うことができる。
また、視野内に、選択マーク176aを含む選択画像176が表示されるため、当該選択マーク176aを利用して重ね合せたい画像を容易に選択できる。
また、診療器具18の選択に応じて、当該診療器具18に適した画像が表示されるため、患部の像をなるべく広く表示させることができる。
また、視野内で、患部の拡大像160は、それに重ね合される画像よりも大きく視認されるため、患部の拡大像160をよく認識することができる。
また、表示部135aにも、介在撮像部144Lで撮像された顕微鏡画像に、重ね合せ画像出力部158より出力される重ね合せ画像を重ね合せた画像が表示されるため、診療補助者等も、顕微鏡140の視野範囲で観察可能な表示と同内容の表示を視認することができる。
表示部135aに対する上記表示の有無は、タッチパネル128b等を通じた指示に応じて、切替えられてもよい。
{第3実施形態}
第3実施形態に係る医療用診療装置について説明する。
図18は医療用診療装置を含む医療用診療システムの全体構成を示す機能ブロック図である。なお、本実施の形態の説明において、第2実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、第2実施形態との相違部分を中心に説明する。
この医療用診療システムが、第2実施形態の医療用診療システムと異なる第1の部分は、顕微鏡240である。
すなわち、顕微鏡240は、撮像ユニット242と、表示ユニット248とを備える。
撮像ユニット242は、撮像光学系244と、撮像部246とを備える。
撮像光学系244は、右撮像光学系244Rと左撮像光学系244Lとを含み、撮像部246は、右撮像部246Rと左撮像部246Lとを含む。
右撮像光学系244Rは、少なくとも1つの光学レンズを含む。この右撮像光学系244Rは、患部に対向して配設され、患部を拡大する。右撮像部246Rは、撮像素子等を含み、上記右撮像光学系244Rで拡大された像を撮像して、画像信号を出力する。
左撮像光学系244Lは、少なくとも1つの光学レンズを含む。この左撮像光学系244Lは、患部に対向して配設され、患部を拡大する。左撮像部246Lは、撮像素子等を含み、上記左撮像光学系244Lで拡大された像を撮像して、画像信号を出力する。
従って、撮像ユニット242からは右眼用及び左眼用に別々の、各撮像画像データが出力される。左右眼用の各撮像画像データは、重ね合せ画像出力部258に入力される。
表示ユニット248は、右表示部248Rと左表示部248Lとを含む。右表示部248Rと左表示部248Lは、液晶表示装置等によって構成されており、それぞれ右眼用及び左眼用の観察に適した位置に配設される。そして、重ね合せ画像出力部258から出力される左右眼用の表示画像データが、右表示部248Rと左表示部248Lとに別々に表示される。そして、術者P2は、右眼で右表示部248Rを視認し、左眼で左表示部248Lを視認することで、患部を観察できる。
表示ユニット248は、上記と同様に接眼タイプの表示ユニットであり、従って、術者P2が本表示ユニット248を覗き込むと、その周囲を直接的には観察困難となっている。
なお、ここでは、撮像ユニット242と、表示ユニット248とが一体化された例で説明するが、必ずしもその必要はなく、別体とされていてもよい。例えば、撮像ユニット242が患部上方に配設され、表示ユニット248が術者P2の眼の近傍に装着されていてもよい。
また、制御ユニット250は、第2実施形態における制御ユニット150から重ね合せ画像出力部158の機能が削除された構成とされ、代りに、顕微鏡240に、重ね合せ画像出力部258が組込まれている。
重ね合せ画像出力部258は、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置154等を備える一般的なコンピュータによって構成されている。この重ね合せ画像出力部258に、周辺画像撮像部138の撮像画像が入力され、また、重ね合せ画像の切替え処理に必要な各種情報が与えられる。
この重ね合せ画像出力部258は、上記第2実施形態における重ね合せ画像出力部158の処理機能に加えて、当該重ね合せ画像出力部158から出力されるべき画像と、上記撮像ユニット242から入力される左右眼用の画像データとを合成し、撮像ユニット242によって撮像された画像に、周辺撮像画像等の重ね合せ画像を重畳した画像を出力する処理機能を備えている。なお、重ね合せ画像は、左右両眼用の画像に重畳されてもよいし、或は、一方のみの画像に重ね合されてもよい。
この重ね合せ画像出力部258からの画像信号は、表示部135aにも与えられる。
なお、重ね合せ画像出力部258からの一方の撮像データが録画部244Laに入力されて記録される。
そして、上記表示ユニット248には、患部の観察画像に、上記第2実施形態と同様の重ね合せ画像が重畳された画像が表示される。これにより、術者P2は、患部の観察画像に加えて、周辺状況を示す画像等の重ね合せ画像を認識することができる。
また、同画像は、表示部135aにも表示されるため、診療補助者等も、表示部135aを通じて上記と同画像を認識することができる。
以上のように構成された医療用診療装置によっても、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
更に、録画部により重ね合わせ画像を記録することで、診療後の患者への説明や、処置の確認及び指導等にも使用することができる。
特に、本実施形態によると、撮像ユニット242と表示ユニット248とは、信号伝達可能な態様で接続されていればよいため、表示ユニット248の設置自由度に優れるという利点がある。
{変形例}
なお、上記各実施形態等及びその変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
また、重ね合わせ画像としては、上記各実施形態で説明した各構成以外にも、血圧や心拍等の生体情報を監視する外部の診断装置や、顕微鏡を使用している時間を示すタイマーや、患者のカルテ情報等を表示するようにしても良い。
また、本実施形態で説明した医療用診療装置において、顕微鏡、診療台、フートコントローラ等の間の通信は有線であってもよいし、無線であってもよい。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。