本発明の特徴は、焦点調整手段の駆動に伴う輝度信号の最大値の変動量と前記輝度信号の積算値の変動量を用いて、合焦位置検出用の画像信号を取得する撮像素子の領域内部に点光源被写体が存在するか否かの判定を行い、合焦位置検出は判定結果に応じて異なる態様で行うことにある。この考え方に基づいて、本発明の焦点調整装置及び方法は、上記課題を解決するための手段のところで述べた様な基本的な構成を有する。この基本的な構成の範囲の中で、様々な形態が可能である。例えば、点光源被写体の存在時に、前記判定を行う為に輝度信号の最大値と積算値を取得する際に得た合焦位置検出用の画像信号を用いて行った合焦位置検出で得られた合焦位置の近傍で、再度、焦点調整手段を駆動しながら、画像信号から合焦位置を検出する。後述の実施例1、2では、この様に構成されていて、合焦位置検出のために第二のスキャンAFを行っている。この場合に、前記再度の駆動における焦点調整手段の複数の駆動位置の間隔は、前記判定における焦点調整手段の複数の駆動位置の間隔(すなわち、後述の第一または第三のスキャンAFにおける間隔)より細かい。
また、レリーズスイッチなどの指示受付手段を有し、前記判定は、指示受付手段による撮影準備の指示以前に、合焦位置の検出における焦点調整手段の複数の駆動位置の間隔より粗い間隔で輝度信号の最大値と積算値を取得して行う様に構成することができる。後述の実施例2では、この様に構成されていて、前記判定のために第三のスキャンAFを行っている。この場合、指示受付手段による撮影準備の指示後に、前記判定において取得した合焦位置検出用の画像信号を用いて行った合焦位置検出で得られた合焦位置の近傍で、再度、焦点調整手段を駆動しながら、画像信号から合焦位置を検出する。後述の実施例2では、この為に、第四のスキャンAF(点光源被写体の非存在時)または第二のスキャンAF(点光源被写体の存在時)を行っている。より具体的には、この形態では、撮影準備動作指示前に、第一のスキャンAF処理より粗い間隔でAF評価値(合焦位置を検出するための画像信号を信号処理した評価値)及び輝度信号の最大値と積算値を取得する第三のスキャンAF処理を行う。そして、前記領域内に点光源被写体が存在しAFに弊害を与えるか否かを判断する。点光源被写体が存在せずAFに弊害を与えないと判断された場合は、次の様にする。すなわち、撮影準備動作指示後に、第三のスキャンAF処理で得られた仮の合焦位置近傍で、第三のスキャンAF処理のスキャン範囲より狭い範囲を第一のスキャンAF処理と同様の間隔でAF評価値を取得する第四のスキャンAF処理を実行し、合焦位置を求める。一方、点光源被写体が存在してAFに弊害を与えると判断された場合は、撮影準備動作指示後に、第二のスキャンAF処理を実行し、合焦位置を求める。
また、前記領域内部に点光源被写体が存在しない場合に、前記判定を行う為に輝度信号の最大値と積算値を取得する際に取得した合焦位置を検出するための画像信号を用いて合焦位置の検出を行う様に構成することができる。後述の実施例1では、この様に構成されていて、第一のスキャンAFはこの合焦位置検出のためにもなっている。このスキャンAFは、従来の通常のAF動作と同様の間隔で行うことができ、これにより前記判定を行い、点光源被写体が存在せずAFに弊害を与えないと判断された場合は、第一のスキャンAF処理で得られたAF評価値から合焦位置を求める。
上記の如き形態により、点光源被写体と照明された通常被写体などが混在するか否かをAFに要する時間を延ばすことなく判定することができ、更に点光源被写体と照明された通常被写体が混在する場合においても、より正確な焦点調整が可能になる。また、AF中のLCDの見栄えを向上することもできる。更に、点光源被写体判定時に輝度信号のヒストグラム(各輝度に対する画素数の一覧)の作成などを行わず、異なる焦点調整手段の駆動位置における輝度信号の最大値と積算値から点光源被写体判定(点光源被写体がAFに弊害を与えるか否かの判定)を行う。そのため、処理の高速化が可能であり、点光源被写体判定を行う領域と自動焦点調整を行う領域が完全に一致するため点光源被写体判定の信頼性が向上する。
以下、具体的な実施例を説明する。
(実施例1)
図1に本発明の実施例1を含む装置のブロック図を示す。1は撮像装置、2はズームレンズ群、3はフォーカスレンズ群である。4は、ズームレンズ群2、フォーカスレンズ群3等からなる撮影光学系を透過する光束の量を制御する光量調節手段であり露出手段である絞り、31は、ズームレンズ群2、フォーカスレンズ群3、絞り4等からなる撮影レンズ鏡筒である。5は、撮影光学系を透過した被写体像が結像し、これを光電変換する固体撮像素子(以下CCDとも記す)である。6は、このCCD5によって光電変換された電気信号を受けて各種の画像処理を施すことにより所定の画像信号を生成する撮像回路、7は、この撮像回路6により生成されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変化するA/D変換回路である。8は、このA/D変換回路7の出力を受けてこの画像信号を一時的に記憶するバッファメモリ等のメモリ(VRAM)である。9は、VRAM8に記憶された画像信号を読み出してこれをアナログ信号に変換すると共に再生出力に適する形態の画像信号に変換するD/A変換回路、10はこの画像信号を表示する液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置(以下LCDとも記す。)である。
12は、半導体メモリ等からなる画像データを記憶する記憶用メモリである。11は、圧縮回路及び伸長回路からなる圧縮伸長回路である。この圧縮回路は、VRAM8に一時記憶された画像信号を読み出して記憶用メモリ12に対する記憶に適した形態にする為に画像データの圧縮処理や符号化処理を施す。この伸長回路は、記憶用メモリ12に記憶された画像データを再生表示等するのに最適な形態とするための復号化処理や伸長処理等を施す。13は、A/D変換回路7からの出力を受けて自動露出(AE)処理を行うAE処理回路、14は、A/D変換回路7からの出力を受けてAF評価値を生成する自動焦点調整(AF)処理を行うスキャンAF処理回路である。15は、合焦位置検出手段などをなし撮像装置1の制御を行う演算用のメモリを内蔵したCPUである。16は、所定のタイミング信号を発生するタイミングジェネレータ(以下TG)、17はCCDドライバーである。21は、絞り4を駆動する絞り駆動モータ、18は、絞り駆動モータ21を駆動制御する第一モータ駆動回路である。22は、フォーカスレンズ群3を駆動するフォーカス駆動モータ、19は、フォーカス駆動モータ22を駆動制御する第二モータ駆動回路である。23は、ズームスレンズ群2を駆動するズーム駆動モータ、20は、ズーム駆動モータ23を駆動制御する第三モータ駆動回路である。24は、各種のスイッチ群からなる操作スイッチ、25は各種制御等を行うプログラムや各種動作を行わせる為に使用するデータ等が予め記憶されている電気的に書き換え可能な読み出し専用メモリであるEEPROMである。26は電池、28はストロボ発光部、27は、ストロボ発光部28の閃光発光を制御するスイッチング回路である。29は、警告表示などを行うLEDなどの表示素子、30は、音声によるガイダンスや警告などを行うためのスピーカーである。33は、AF評価値を取得する際に被写体の全部又は一部を照明する照明手段であるLEDなどの光源で構成されるAF補助光、32は、AF補助光33を駆動するためのAF補助光駆動回路である。35は、手振れなどを検出する振れ検出センサー、34は、振れ検出センサー35の信号を処理する振れ検出回路、36は、A/D変換回路7からの出力を受けて画面上での顔位置や顔の大きさなどを検出する顔検出回路である。
画像データ等の記憶媒体である記憶用メモリとしては、フラッシュメモリ等の固定型の半導体メモリや、カード形状やスティック形状からなり装置に対して着脱自在に形成されるカード型フラッシュメモリ等の半導体メモリが適用される。その他、ハードディスクやフロッピィーディスク等の磁気記憶媒体等、様々な形態のものが適用される。また、操作スイッチ24としては、撮像装置1を起動させ電源供給を行うための主電源スイッチや撮影動作(記憶動作)等を開始させるレリーズスイッチがある。その他、再生動作を開始させる再生スイッチ、撮影光学系のズームレンズ群2を移動させズームを行わせるズームスイッチ、光学式ファインダー(OVF)、電子ビューファインダー(EVF)切り替えスイッチ等がある。そして、レリーズスイッチは、撮影動作に先立ち行われるAE処理、AF処理を開始させる指示信号を発生する第一ストローク(以下SW1)と実際の露光動作を開始させる指示信号を発生する第二ストローク(以下SW2)との二段スイッチにより構成される。
この様に構成された本実施例における動作を以下に説明する。
まず、撮像装置1の撮影レンズ鏡筒31を透過した被写体光束は絞り部4によってその光量が調整された後、CCD5の受光面に結像される。この被写体像は、CCD5による光電変換処理により電気的な信号に変換され、撮像回路6に出力される。撮像回路6では、入力した信号に対して各種の信号処理が施され、所定の画像信号が生成される。この画像信号は、A/D変換回路7に出力されデジタル信号(画像データ)に変換された後、VRAM8に一時的に格納される。VRAM8に格納された画像データは、D/A変換回路9へ出力されアナログ信号に変換され表示するのに適した形態の画像信号に変換された後、LCDに画像として表示される。一方、VRAM8に格納された画像データは圧縮伸長回路11にも出力される。この圧縮伸長回路11における圧縮回路によって圧縮処理が行われた後、記憶に適した形態の画像データに変換され、記憶用メモリ12に記憶される。
また、例えば、操作スイッチ24のうち不図示の再生スイッチが操作されオン状態になると、再生動作が開始される。すると、記憶用メモリ12に圧縮された形で記憶された画像データは圧縮伸長回路11に出力され、伸長回路において復号化処理や伸長処理等が施された後、VRAM8に出力され一時的に記憶される。更に、この画像データは、D/A変換回路9へ出力されアナログ信号に変換され表示するのに適した形態の画像信号に変換された後、LCD10に画像として表示される。他方、A/D変換回路7によってデジタル化された画像データは、上述のVRAM8とは別に、AE処理回路13、スキャンAF処理回路14及び顔検出回路36に対しても出力される。まず、撮影光学系より入射する光束の明るさを測定する明るさ測定手段をなすAE処理回路13においては、入力されたデジタル画像信号を受けて、一画面分の画像データの輝度値に対して累積加算等の演算処理が行われる。これにより、被写体の明るさに応じたAE評価値が算出される。このAE評価値はCPU15に出力される。
また、合焦位置検出手段をなすスキャンAF処理回路14では、入力されたデジタル画像信号を受けて、画像データの高周波成分がハイパスフィルター(HPF)等を介して抽出される。そして、更に累積加算等の演算処理を行い、高域側の輪郭成分量等に対応するAF評価値信号が算出される。具体的には、スキャンAF処理では、AF領域として指定された画面の一部分の領域に相当する画像データの高周波成分をハイパスフィルター(HPF)等を介して抽出し、更に累積加算等の演算処理を行う。これにより、高域側の輪郭成分量等に対応するAF評価値信号が算出される。このAF領域としては、中央部分あるいは画面上の任意の部分の一箇所である場合や、中央部分あるいは画面上の任意の部分とそれに隣接する複数箇所である場合、離散的に分布する複数箇所である場合などがある。この様にスキャンAF処理回路14は、AF処理を行う過程において、CCD5によって生成された画像信号から所定の高周波成分を検出する高周波成分検出手段の役割を担っている。
顔検出回路36においては、入力されたデジタル画像信号を受けて、目、眉などの顔を特徴付ける部分を画像上で探索し、人物の顔の画像上での位置を求める。更に、顔の大きさや傾きなどを、顔を特徴付ける部分の間隔などの位置関係から求める。
一方、TG16からは所定のタイミング信号が、CPU15、撮像回路6、CCDドライバー17へ出力されており、CPU15はこのタイミング信号に同期させて各種の制御を行う。また撮像回路6は、TG16からのタイミング信号を受け、これに同期させて色信号の分離等の各種画像処理を行う。さらにCCDドライバー17は、TG16のタイミング信号を受け、これに同期してCCD5を駆動する。またCPU15は、第一モータ駆動回路18、第二モータ駆動回路19、第三モータ駆動回路20をそれぞれ制御する。これにより、絞り駆動モータ21、フォーカス駆動モータ22、ズーム駆動モータ23を介して、絞り4、フォーカスレンズ群3、ズームスレンズ群2を駆動制御する。すなわち、CPU15は、AE処理回路13において算出されたAE評価値等に基づき第一モータ駆動回路18を制御して絞り駆動モータ21を駆動し、絞り4の絞り量を適正になるように調整するAE制御を行う。またCPU15は、スキャンAF処理回路14において算出されるAF評価値信号に基づき第二モータ駆動回路19を制御してフォーカス駆動モータ22を駆動し、フォーカスレンズ群3を合焦位置に移動させるAF制御を行う。また、操作スイッチ24のうち不図示のズームスイッチが操作された場合は、これを受けてCPU15は、第三モータ駆動回路20を制御してズームモータ23を駆動制御することによりズームレンズ群2を移動させ、撮影光学系の変倍動作(ズーム動作)を行う。
次に、本撮像装置の実際の撮影動作を図2に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この説明においては、フォーカスレンズ群3を所定位置に駆動しながらAF評価値を取得する動作をスキャン、AF評価値を取得するフォーカスレンズの位置の間隔をスキャン間隔と言うものとする。また、AF評価値を取得する位置をスキャンポイント、AF評価値を取得する数をスキャンポイント数、AF評価値を取得する範囲をスキャン範囲、合焦位置を検出するための画像信号を取得する領域をAF枠と言うものとする。
本撮像装置1の主電源スイッチがオン状態であり、かつ撮像装置の動作モードが撮影(録画)モードにあるときは、撮影処理シーケンスが実行され、CCD5等への電源の供給等をして撮像を可能にする。まずステップS1において、CPU15は、撮影レンズ鏡筒31を透過しCCD5上に結像した像をLCDに画像として表示する。すなわちCCD5上に結像した被写体像は、CCD5により光電変換処理され電気的な信号に変換された後、撮像回路6に出力される。そこで、入力した信号に対して各種の信号処理が施され、所定の画像信号が生成された後、A/D変換回路7に出力されデジタル信号(画像データ)に変換されVRAM8に一時的に格納される。VRAM8に格納された画像データはD/A変換回路9へ出力されてアナログ信号に変換され表示するのに適した形態の画像信号に変換された後、LCDに画像として表示される。
次いでステップS2において、レリーズスイッチの状態を確認する。撮影者によってレリーズスイッチが操作され、SW1(レリーズスイッチの第一ストローク)がオン状態になったことをCPU15が確認すると、撮影準備動作を開始する。すなわち、次のステップS3に進み、通常のAE処理が実行される。続いて、ステップS4において第一のスキャンAF処理を行う。そしてステップS5において、第一のスキャンAF処理で取得した複数のフォーカスレンズ群3の位置における輝度信号の積算値と最大値などから点光源被写体か否かを判定する。ステップS5で、点光源被写体と判定された場合は、スッテプS6の第二のスキャンAF処理を実行する。ステップS4、S5、S6の処理については後述する。
そしてステップS7において、合焦可能性の判断及び合焦位置算出を行う。通常被写体(点光源などの飽和被写体でない被写体)と判定された場合に関しては、合焦可能性判断の具体的な方法は、例えば、特許第4235422号公報に記載され、合焦位置算出の具体的な方法は、例えば、特許第2620235号公報に記載されている。これらの方法は、本発明に直接的には関係しないので説明を省略する。点光源被写体と判定された場合に関しては後述する。点光源と判定され、スッテプS6の第二のスキャンAF処理を実行した場合についても後述する。
ステップS7で合焦可能と判断されれば、ステップS8においてAFOK表示を行う。これは、表示素子29を点灯することなどにより行うと同時にLCD上に緑の枠を表示するなどの処理により行う。逆に合焦可能と判断されない場合には、ステップS8にてAFNG表示を行う。これは、表示素子29を点滅表示することなどにより行うと同時にLCD上に黄色の枠を表示するなどの処理により行う。またステップS4の第一のスキャンAF処理において、合焦不可能と判断された場合は、ステップS5〜S7の処理は行わず、スッテプS8にてAFNG表示を行う。CPU15は、ステップS9において、SW2(レリーズスイッチの第二ストローク)の確認を行い、SW2がオンになっていたならば、ステップS10に進み、実際の露光処理を実行する。
ステップS4で行われる第一のスキャンAF処理を、図3を用いて説明する。第一のスキャンAF処理は、AF評価値、CCD5により生成される画像信号のAF枠内における全画素の出力(輝度信号)の最大値、AF枠の全画素の出力(輝度信号)の積算値をフォーカスレンズ群3を所定のスキャン間隔で移動しながら取得する処理である。AF評価値は、CCD5によって生成された画像信号から出力される高周波成分の信号値である。このスキャン間隔は、開放深度の3〜5倍程度に設定され、AF評価値のピークを検出するのに適した間隔である。またそのスキャン範囲は、原則として、無限遠に相当する位置(例えば図4における「A」)から各々の撮影モードにおいて設定される至近距離に相当する位置(図4における「B」)までである。
まずステップS301において、CPU15はフォーカス駆動モータ22を駆動制御する第二モータ駆動回路19を介してこのモータ22を制御し、フォーカスレンズ群3を無限遠に相当する位置(図4における「A」)へ駆動する。この駆動速度は、フォーカス駆動モータ22の最高速度若しくは最高速度に近い速度である。ステップS302では、撮影領域内に設定されるAF枠に対応する領域のAF評価値とフォーカスレンズ群3の位置をCPU15に内蔵される演算メモリ(不図示)に記憶する。ステップS303では、撮影領域内に設定されるAF枠に対応する領域の信号出力(輝度信号)の最大値、最小値、積算値を求め、フォーカスレンズ群3の位置と共にCPU15に内蔵される演算メモリに記憶する。ステップS304では、レンズ位置がスキャン終了位置にあるかどうかを調べ、終了位置であればステップS306へ、そうでなければステップS305へ進む。スキャン終了位置は、各々の撮影モードにおいて設定される至近距離に相当する位置(図4における「B」)である。ステップS305ではフォーカスレンズ群3を駆動して所定の方向へ所定量動かす。ステップS306では、ステップS302で記憶したAF評価値とそのレンズ位置から、AF評価値が最大となる位置に対応するフォーカスレンズ群3の位置を計算する。このAF処理回路の出力の取得は、スキャンAFの高速化の為に、全てのフォーカスレンズ群3の停止位置については行わず、所定にステップ毎に行う。例えば、図4に示すa1、a2、a3の点においてAF評価値信号を取得することがあり得る。なお、図4に示すa1、a2、a3などのスキャンポイントは、横軸方向の間隔は正確に描いているが縦軸方向の値は大まかであって大体の変化を示すのみである(この点は、後述する図面で描かれているスキャンポイントについても同様である)。
このような場合は、AF評価値信号が最大値となった点とその前後の点のから合焦位置Cを計算にて求めている。この様に補間計算を行いAF評価値信号が最大値となる点(図4のC)を求める前に、AF評価値信号の信頼性を評価することもできる。この具体的な方法は、例えば、特許第4235422号公報に記載されている。この合焦評価値の信頼性は、例えば、各結像位置に対する合焦評価値の形状が山状か否かに基づいて判定される。
その信頼性が十分であれば、AF評価値信号が最大値となる点を求める。信頼性が十分でない場合はAF評価値信号が最大値となる点を求める処理は行わず、前述の様に図2のステップS5〜S7の処理は行わず、図2のスッテプS8にてAFNG表示を行う。第一のスキャンAF処理においてAF評価値が最大となる位置に対応するフォーカスレンズ群3の位置が求まった場合は、図2のステップS5において点光源判定を行う。
図2のステップS5おいて行う点光源判定に関して説明する。通常被写体の場合のフォーカス位置によるAF評価値を図4に示す。点光源被写体の場合のフォーカス位置によるAF評価値を図5に示す。通常被写体の場合のフォーカス位置による輝度信号の最大値と積算値を図6に示す。点光源被写体の場合のフォーカス位置による輝度信号の最大値と積算値を図7に示す。図4に示すように通常被写体の場合は、合焦位置においてAF評価値が最大になるが、図5に示すように点光源被写体においては、合焦位置においてAF評価値が最大にならず、その付近における極小値が合焦位置となる。よって、点光源被写体がAF枠内に存在するか否かを判定し、その結果に応じて、合焦位置を探索するためのスキャン方法を使い分ける必要がある。そこで、以下のようにして点光源などの飽和被写体がAF枠内に存在するか否かの判定を行う。
点光源被写体判定は点光源被写体と通常被写体のピントの変化に伴う以下のような特性を利用している。図6に示すように通常被写体の場合は、合焦位置において画面内の輝度信号の最大値は最大になる。これは次の理由に依る。被写体の輝度の高い部分(白い部分)がピントの合っていない(ボケている)状態では周りの他の色と混ざり輝度信号値が落ちる。しかし、ピントの合うことによって、他の色との混ざりが解消されて、よりコントラストが出ることで、輝度の高い白い部分はより白くなり、輝度信号値が高くなるためである。
またAF枠内の全ての画素の輝度信号の積算値は、飽和のない通常被写体の場合は、図6に示すように殆ど変化しない。原理的には、光の量はピントの状態によらず一定なのでフォーカス位置による違いはない。しかし実際には、光源のフリッカや信号にのるノイズ、スキャン動作中の手振れなどによりAF枠内の被写体の変化により多少の変動が生じる。図7に示すように点光源被写体の場合は、画面内の輝度信号の最大値が図示するように殆ど変化しない。これは、被写体の輝度の高い部分は点光源などのため飽和しており、ピントがボケてその輝度信号値が低下しても、CCDからの出力としては飽和していることに変わりないので、観察される輝度信号値としては同じとなるためである。またAF枠内の輝度信号の積算値は、ピントの合っていない(ボケている)状態では飽和している点光源が周りに広がるため、飽和したCCDからの出力輝度信号の高い部分が多くなって大きくなる。逆にピントの合うことによって、点光源の広がりがなくなり、飽和したCCDからの出力輝度信号の高い部分が少なくなるため、輝度信号の積算値は小さくなる。
点光源判定の動作手順を図8に示す。まずステップS801において、顔検出の結果から検出が成功し顔が検出されたか否かを調べる。検出が成功しかつ所定以上の大きさの顔が検出されていればステップS809へ進み、通常被写体と判定する。顔が検出されていても小さい顔の場合は、AF枠内に点光源被写体が入る可能性があるため、この場合は通常被写体と判定しない。顔が検出された場合のAF枠の大きさは顔の大きさに一致させるので通常はAF枠内に点光源被写体が入ることは無いが、AF枠が小さくなるとAF評価値を取得する際の信号量が減り精度の良いAFが期待できないため、AF枠の大きさには下限を設けている。そのため、検出された顔の大きさが小さい場合、AF枠内に点光源被写体が入る可能性がある。
ステップS802においては、図2のステップS3のAE処理の結果から、所定の輝度より低輝度での撮影か否かを判断する。所定の輝度より明るい場合はステップS809へ進み通常被写体と判定する。所定の輝度より暗い場合はステップS803に進む。ステップS803おいて、輝度信号の画面内の最大値のフォーカス移動に伴う変動が小さいか否かの判定を行う。これは、輝度信号の画面内の最大値とその値を取得したフォーカスレンズ群3の位置を図3のステップS303で記憶しているので、その値を参照することで行う。フォーカスレンズ群3の駆動中に取得した輝度信号の画面内の最大値の最大値と、フォーカスレンズ群3の駆動中に取得した輝度信号の画面内の最大値の最小値を比較する。例えば図6であれば、最大値はフォーカス位置a2における輝度信号の画面内の最大値、最小値はフォーカス位置a0における輝度信号の画面内の最大値である。図7であれば、最大値はフォーカス位置a2における輝度信号の画面内の最大値、最小値はフォーカス位置a4における輝度信号の画面内の最大値である。フォーカスレンズ群3の駆動中に取得した輝度信号の画面内の最大値の最大値と最小値が求められたら、その差を演算し、所定値と比較する。その差が所定値より小さければ、ステップS804へ進む。所定値以上であれば、ステップS809へ進み通常被写体と判定する。
ステップS804では、輝度信号の最大値が明るいか否かを判定する。これも、図3のステップS303で記憶している輝度信号の画面内の最大値を参照することで行う。図3のS306で求めたピーク位置における輝度信号の画面内の最大値を所定値と比較し、所定値より大きければ、ステップS805へ進む。所定値以下であれば、ステップS809へ進み通常被写体と判定する。
ステップS805では、輝度信号の最小値が暗いか否かを判定する。これも、図3のステップS303で記憶している輝度信号の画面内の最小値を参照することで行う。図3のS306で求めたピーク位置における輝度信号の画面内の最小値を所定値と比較し、所定値より小さければ、ステップS806へ進む。所定値以上であれば、ステップS809へ進み通常被写体と判定する。夜景など点光源を含む被写体は、全体的には暗く光源の部分が明るくそのコントラストが大きいのが特徴である。ステップS805、S806の処理では、そのような被写体か否かを調べている。なおステップS805、S806の処理では、フォーカスレンズ群3のピーク位置以外の信号を用いても構わない。
ステップS806では、輝度信号の画面内の積算値のフォーカス移動に伴う変動が大きいか否かの判定を行う。これも、図3のステップS303で記憶しているフォーカスレンズ群3の位置ごとの輝度信号のAF枠内の積算値を参照することで行う。フォーカスレンズ群3の駆動中に取得した輝度信号の画面内の積算値の最大値と、フォーカスレンズ群3の駆動中に取得した輝度信号の画面内の積算値の最小値を比較する。例えば図6であれば、最大値はフォーカス位置a2における輝度信号のAF枠内の積算値、最小値はフォーカス位置a4における輝度信号のAF枠内の積算値である。図7であれば、最大値はフォーカス位置a0における輝度信号のAF枠内の積算値、最小値はフォーカスa2における輝度信号のAF枠内の積算値である。フォーカスレンズ群3の駆動中に取得した輝度信号のAF枠内の積算値の最大値と最小値が求められたら、その差を演算し、所定値と比較する。その差が所定値より大きければ、ステップS807へ進む。所定値以下であれば、ステップS809へ進み通常被写体と判定する。
ステップS807では、フォーカス位置移動に伴い出力される輝度信号の積算値の極小値が得られるフォーカス位置が、AF評価値が最大になるフォーカス位置付近にあるか否かを調べる。輝度信号の積算値の極小値が得られるフォーカス位置は、例えば図6であれば最小値はフォーカス位置a4、図7であれば最小値はフォーカス位置a2である。このフォーカス位置と、図3のステップS306で求めたピーク位置(例えば図4や図5の「C」)を比較し、その差が所定値以内であれば、ステップS808へ進み、点光源被写体と判定する。その差が所定値より大きければ、ステップS809へ進み通常被写体と判定する。
次に、図2のステップS6おいて行う第二のスキャンAF処理に関して説明する。その概略はステップS4の第一のスキャンAF処理と変わらない。スキャン間隔が第一のスキャンAF処理の半分程度である点、スキャン範囲が第一のスキャンAF処理で求めたAF評価値のピーク位置付近に限定される点、合焦位置の計算方法が、第一のスキャンAF処理と異なる。図5を用いてその動作を説明する。第一のスキャンAF処理において図5の「A」から「B」までスキャンが行われ、AF評価値のピーク位置として図5の「C」が求められている。但し、このピーク位置は点光源被写体の影響を受け、本来の合焦位置とは異なる可能性がある。そこで、AF評価値のピーク位置計算に通常より大きな誤差が生じることを考慮して、図5に示す「a」から「b」をスキャン範囲とし、スキャン間隔を第一のスキャンAF処理の半分程度としたスキャン動作を行う。点光源被写体に対してAFを行っているので、図5の「a」からスキャンを開始すると、真の合焦位置「c」に近づくにつれ、AF評価値は減少し、同時にAF枠内の輝度信号の積算値も減少する。そして合焦位置「c」を過ぎると、AF評価値、AF枠内の輝度信号の積算値ともに増加に転じる。よって、このスキャン範囲における両者の極小値を求めることで合焦位置を求めることができる。従って、スキャン動作中に記憶されたAF評価値と積算値、その値を取得した位置を参照することで、両者の極小値を求める。
図5に示す白い丸印がスキャンポイントである。図5「a」からデータの取得を開始するので、次のスキャンポイントにおいては、取得したAF評価値と積算値と「a」のポイントにおけるAF評価値と積算値を比較し、減少しているか否かを判定する。同様の判定をその次のスキャンポイントにおいても行う。この処理を繰り返すうちに、AF評価値と積算値の極小値を過ぎ、その値が増加に転じる。その後も同様に取得した値の比較を続ける。今度は、値が増加していることを調べることになる。ただし、処理を続けていくとAF評価値が再び減少する場合がある。この場合は、この時点で値の比較の処理を終了する。
図5では4番目のスキャンポイントにおいて極小値となるので、5番目のスキャンポイントよりAF評価値と積算値が増加することになる。そのままAF評価値と積算値の比較の処理を図5の「b」に向けて続ける。そして8番目のスキャンポイントにおいて、AF評価値が再び減少する。よって8番目と7番目のスキャンポイントで取得した値の比較が終了した時点で、値の比較の処理を終了する。そしてスッテプS6の第二のスキャンAF処理からスッテプS7の合焦位置算出の処理に移る。点光源被写体と判定された場合のスッテプS7の合焦位置算出の処理は、スッテプS6の第二のスキャンAF処理でAF評価値と輝度信号の積算値の極小値がともに見つかった場合のみ行われる。スッテプS6の第二のスキャンAF処理の結果から補間計算を行い、真の極小値を計算にて求めるのが、ステップS7の合焦位置算出の処理である。
図5では、5番目のスキャンポイントでAF評価値と積算値が極小値を取る。しかしここで行うスキャンはAFの高速化の為に、全てのフォーカスレンズ群3の停止位置については行わず、図5に示すように所定のステップ毎に行う。このため、極小値を取得したスキャンポイントよりその値が小さいフォーカス位置が存在する可能性がある。よって、極小値となった点とその前後の点から真の極小値(図5の「c」)を計算にて求めている。この方法は公知であるので、詳細な説明は割愛する。
合焦位置算出が終了したならば、AFOK表示を図2のステップS8にて行う。ステップS6の処理において、AF評価値と積算値のどちらかの極小値が見つけられない場合は、合焦位置を見つけることができないので、AFNGと判断する。そして、図2のステップS7における合焦位置の算出は行わず、AFNG表示を図2のステップS8にて行う。この様にすることにより、通常被写体の場合にはAF時間を従来と同じにすることができ、点光源被写体が存在する場合においても、露光量を適正値よりアンダーにすることなく正確な焦点調整が可能になる。
(実施例2)
本発明の実施例2を説明する。実施例2と実施例1との違いは、AF枠内に点光源被写体が存在しAFに弊害を与えるか否かを判断するためのデータ取得の処理をSW1オン前に行う点である。すなわちSW1オン前に、より粗い間隔でAF評価値及び輝度信号の最大値と積算値を取得する第三のスキャンAF処理を行い、SW1オン後にAF枠内に点光源被写体が存在しAFに弊害を与えるか否かの判断を行う点である。なお、SW1オン前に行われる第三のスキャンAFにおけるAF枠の数、位置などは撮影者の設定に従うため、点光源判定を行うAF枠の数は最小で1つの場合がある。
その動作を、図9に示すフローチャートを用いて説明する。実施例1と同様に、本撮像装置1の主電源スイッチがオン状態であり、かつ撮像装置の動作モードが撮影(録画)モードにあるときは、撮影処理シーケンスが実行され、CCD5等への電源の供給等をして撮像を可能にする。まずステップS901において、通常のAE処理を実行しLCDに表示される画像が適正になるようにする。次いでステップS902において、実施例1と同様に、CPU15は、撮影レンズ鏡筒31を透過してCCD5上に結像した像をLCDに画像として表示する。更にステップS903において第三のスキャンAF処理を行い、概略の合焦位置へフォーカスレンズ群3を駆動する。この処理については後述する。そしてステップS904において、レリーズスイッチの状態を確認する。撮影者によってレリーズスイッチが操作され、SW1(レリーズスイッチの第一ストローク)がオン状態になったことをCPU15が確認すると、次のステップS905に進み、通常のAE処理が実行される。
ステップS906においては、AF枠内に点光源被写体が存在するか否かの判定を行う。その内容は後述する。判定の結果、点光源被写体と判定された場合はステップS907にて第二のスキャンAF処理を行う。通常被写体と判定された場合はステップS908にて第四のスキャンAF処理を行う。これらの処理については後述する。その後ステップS7に進み、以後は実施例1と同じ処理を行う。ステップS7では合焦位置算出の処理を実行し、ステップS8ではAF合焦・非合焦表示の処理を実行し、ステップS9ではSW2の確認を実行する。SW2がオンになっていたならば、ステップS10に進み実際の露光処理を実行する。
ステップS903において実行される第三のスキャンAF処理について説明する。図10にその動作手順を示す。第三のスキャンAF処理が開始されると、ステップS1001において微小駆動動作を行い、合焦か否かを判別し、合焦でないならどちらの方向に合焦点があるかを判別する。微小駆動とは、フォーカスレンズ群3を至近方向または無限遠方向に微小量(LCD上でピント変化が確認できない量)駆動し、その結果得られるAF評価値から合焦・非合焦及び合焦させる為にフォーカスレンズ群3の駆動すべき方向等を検出する動作である。
ステップ1001で合焦と判別された場合は、ステップS1002からステップS1008へ進み合焦時の処理を行う。ステップS1001で合焦と判別されなかった場合は、ステップS1002からステップS1003へ進む。ステップS1003においては、ステップS1001で合焦方向の判別ができている場合はステップS1004へ進み山登り駆動動作を行い、ステップS1001で合焦方向の判別ができていない場合はステップS1001へ戻り微小駆動動作を継続する。ステップS1004では、AF評価値が大きくなる方向へ高速でレンズを山登り駆動する。山登り駆動は、山登り駆動中の合焦度合いに応じてスキャン間隔を変えながら合焦位置を探すスキャンである。合焦度合いが低い場合は5〜10深度の比較的粗いスキャン間隔でスキャンを行い、合焦度合いが高くなるに従いスキャン間隔を細かくし、合焦位置近傍では2〜4深度の比較的細かいスキャン間隔でスキャンを行う。ステップS1005においては、AF評価値のピークを越えたと判別された場合はステップS1006へ進み、AF評価値のピークを越えたと判別されない場合はステップS1004へ戻り山登り駆動を継続する。ステップS1006では、山登り駆動中のAF評価値がピークのフォーカスレンズ群3の位置へその位置を戻す。ステップS1007においては、AF評価値がピークのフォーカスレンズ群3の位置に戻ったかを判定し、戻った場合はステップS1001へ戻り再び微小駆動動作を行う。AF評価値がピークの位置に戻っていない場合は、ステップS1006へ戻りピークに戻す動作を継続する。
次に、ステップS1008からの合焦時の再起動判定処理について説明する。ステップS1008では、合焦と判定した際のAF評価値を保持する。ステップS1009では、最新の各種AF評価値を取得する。ステップS1010では、ステップS1008で保持したAF評価値とステップS1009で新たに取得したAF評価値とを比較し、所定レベル以上差があれば再起動と判定し、ステップS1001へ進み微小駆動動作を再開する。ステップS1010で再起動と判定されなければステップS1011へ進み、レンズを停止してステップS1009へ戻り再起動判定を継続する。
ここで、図9のステップS906における点光源被写体が存在するか否かの判定について説明する。この処理は実施例1と同様であるが、SW1オン前にスキャン動作(第三のスキャンAF処理)を実行し、AF評価値と輝度信号の最大値、積算値を取得しているため、被写体がきちんとフレミングされる前からの値を取得している可能性がある。そこで、振れ検出センサー35の出力を振れ検出回路34を介してモニターし、その出力が一定値以下になった時点からの輝度信号の最大値、積算値を点光源判定に用いる。また、判定に用いる値の個数に制限を加える。すなわち、SW1オン直前の所定個数の値のみを判定に用いる。これは、無意味に多くのデータを用いることによる誤検出を防ぐためである。カメラの主電源スイッチがオン状態になってから長時間経過した場合などは、振れ検出センサーの出力が小さくとも被写体が変化している可能性があるからである。例えば、カメラが三脚に備え付けられた場合などは、この様になる可能性がある。この様に、判定に用いるデータ数に規制を加える他は実施例1と同様にして点光源被写体か否かの判定を行う。
図8を用いて点光源判定を説明する。ステップS801、S802は実施例1と同じ処理を行う。ステップS803おいて、規制された範囲における輝度信号の画面内の最大値のフォーカス移動に伴う変動が小さいか否かの判定を行う。振れ検出センサー35の出力が一定値以下になった時点以降でSW1オン直前の所定個数のうちで、フォーカスレンズ群3の駆動中に取得した輝度信号の画面内の最大値の最大値と、同駆動中に取得した輝度信号の画面内の最大値の最小値を比較する。その差を演算し、所定値と比較する。その差が所定値より小さければ、ステップS804へ進む。所定値以上であれば、ステップS809へ進み通常被写体と判定する。ステップS804、S805は実施例1と同じ処理を行う。
ステップS806では、規制された範囲における輝度信号の画面内の積算値のフォーカス移動に伴う変動が大きいか否かの判定を行う。振れ検出センサー35の出力が一定値以下になった時点以降でSW1オン直前の所定個数のうちで、フォーカスレンズ群3の駆動中に取得した輝度信号の画面内の積算値の最大値と、同駆動中に取得した輝度信号の画面内の積算値の最小値を比較する。その差を演算し、所定値と比較する。その差が所定値より大きければ、ステップS807へ進む。所定値以下であれば、ステップS809へ進み通常被写体と判定する。ステップS807では、フォーカス位置移動に伴い出力される輝度信号値の積算値の極小値が得られるフォーカス位置が、AF評価値が最大になるフォーカス位置付近にあるか否かを調べる。センサー35の出力が一定値以下になった時点以降でSW1オン直前の所定個数のうちで、上記レンズ駆動中に取得した輝度信号の画面内積算値が最小となるフォーカス位置と、図9のステップS903の第三のスキャンAF処理で求まったピーク位置を比較する。その差が所定値以内であれば、ステップS808へ進み、点光源被写体と判定する。その差が所定値より大きければ、ステップS809へ進み通常被写体と判定する。
点光源被写体と判定された場合にステップS907にて行われる第二のスキャンAF処理について説明する。ステップS903で行われた第三のスキャンAF処理の結果、概略の合焦位置が検出されている場合は、実施例1の図2のステップS6の第二のスキャンAF処理と全く同じ処理を行う。ただし、ステップS903で行われた第三のスキャンAF処理の結果、概略の合焦位置が検出されていない場合は、実施例1の図2のステップS4の第一のスキャンAF処理を実行した後に第二のスキャンAF処理と全く同じ処理を行う。
次に、通常被写体と判定された場合にステップS908にて行われる第四のスキャンAF処理ついて説明する。ステップS903で行われた第三のスキャンAF処理の結果、概略の合焦位置が検出されている場合は、スキャン間隔が第一のスキャンAF処理と同等で第二のスキャンAF処理より粗いスキャンAF処理を実行する。そのスキャン範囲は第三のスキャンAF処理で求めたAF評価値のピーク位置付近に限定され、第二のスキャンAF処理よりは狭く設定される。また合焦位置の計算方法は、第一のスキャンAF処理と同じである。
図11を用いてその動作を説明する。第三のスキャンAF処理において、図11の「A」から「B」まで若しくはその一部の範囲でスキャンが行われ、AF評価値のピーク位置として図11の「C」が求められている。但し、このピーク位置は概略の合焦位置であるので、図11に示す「a」から「b」をスキャン範囲とし、スキャン間隔を第一のスキャンAF処理と同等で第二のスキャンAF処理より粗い間隔としたスキャン動作を行う。図11の「a」からスキャンを開始すると、真の合焦位置「c」に近づくにつれ、AF評価値は増加する。そして合焦位置「c」を過ぎると、AF評価値、AF枠内の輝度信号の積算値ともに減少に転じる。よって、このスキャン範囲における極大値を求めることで合焦位置を求めることができる。そこで、スキャン動作中に記憶されたAF評価値とその値を取得した位置を参照することで、極大値を求める。
図11に示す白い丸印がスキャンポイントである。図11の「a」からデータの取得を開始するので、次のスキャンポイントにおいては、取得したAF評価値と「a」のポイントにおけるAF評価値を比較し、増加しているか否かを判定する。同様の判定をその次のスキャンポイントにおいても行う。この処理を繰り返すうちにAF評価値の極大値を過ぎ、その値が減少に転じる。その後も、同様に取得した値の比較を続ける。今度は、値が減少していることを調べることになる。図11では3番目のスキャンポイントにおいて極大値となるので、4番目のスキャンポイントよりAF評価値が減少することになる。そのままAF評価値の比較の処理を図11の「b」まで続ける。そして、図9のスッテプS7の合焦位置算出の処理に移る。スッテプS908の第四のスキャンAF処理の結果から補間計算を行い、真の極大値を計算にて求めるのが、ステップS7の合焦位置算出の処理である。
図11では3番目のスキャンポイントでAF評価値が極小値を取る。しかし、ここで行うスキャンはAFの高速化の為に、全てのフォーカスレンズ群3の停止位置については行わず、図11に示すように所定のステップ毎に行う。このため、極大値を取得したスキャンポイントよりその値が大きいフォーカス位置が存在する可能性がある。よって、極大値となった点とその前後の点から真の極大値(図11の「c」)を計算にて求める。
合焦位置算出が終了したならば、AFOK表示を図9のステップS8にて行う。ステップS908の処理において、AF評価値の極大値が見つけられない場合は、合焦位置を見つけることができないので、AFNGと判断し、図9のステップS7における合焦位置の算出は行わず、AFNG表示を図9のステップS8にて行う。ステップS903で行われた第三のスキャンAF処理の結果、概略の合焦位置が検出されていない場合は、実施例1の図2のステップS4の第一のスキャンAF処理を実行する。
この様にすることにより、点光源被写体と照明された通常被写体が混在する場合などにおいても、より正確な焦点調整が可能になる。
上記実施例1、実施例2はコンパクトタイプのデジタルカメラを例に説明したが、本発明は、デジタルビデオカメラやデジタル一眼レフなどのライブビュー時のAFにも適用可能である。また、実施例1、実施例2では撮像素子としてCCDを例に説明したが、本発明では他の撮像素子、例えばCMOSであっても適用可能である