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JP5744151B2 - 電動機の駆動装置および電動機の駆動方法 - Google Patents

電動機の駆動装置および電動機の駆動方法 Download PDF

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Description

この発明は、電動機に印加する電圧により電動機に流れる電流を制御する電動機の駆動装置に関するものであって、特に、電動機に流れる電流を広範囲の運転条件にわたって可変制御することができる電動機の駆動装置および電動機の駆動方法に関するものである。
広範囲の運転領域で安定かつ高性能に交流電動機を駆動するために、様々な工夫がなされている。例えば、電動機の回転子が高速回転している際には、回転速度に略比例して増大する誘起電圧を補償するために、非干渉化制御が実施されている。
電動機に対する非干渉化制御では、電動機に流れる電流(および、永久磁石を備える電動機においては永久磁石磁束)と回転速度とに基づいて補償すべき電圧が決定されるのが一般的である。
従来の電動機の駆動装置における非干渉化制御としては、電動機に流れる電流を検出した電流検出値に基づくもの(例えば、特許文献1参照)や、電流指令値に基づくものや、両者を併用するもの(例えば、特許文献2参照)や、電流偏差に基づくもの(例えば、特許文献3/特許文献4参照)がある。
特開平6−153567号公報 特許第4128891号公報 特許第1641300号公報 特許第3321356号公報 特許第3683304号公報 特許第3527207号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来の電動機の駆動装置では、駆動対象とする電動機を広い運転範囲で駆動しようとすれば、電動機が高速で回転する時や電動機に流れる電流が大きい時といった限界運転時において、電動機に流れる電流を適切に制御できなくなるといった問題点があった。
例えば、電流検出値と回転速度に基づいて非干渉化を行なう方式においては、これをデジタル実装した場合、遅れのために、制御周期からその数倍程度の周期で振動したり、著しくは電流制御が成り立たなくなったりする問題があった。なお、制御周期を短くすることでこのような問題を解決できる場合もあるが、使用するマイコンの性能やPWMによる制約のために、制御周期を充分に短くすることができない場合があった。
あるいは、電流指令値と回転速度に基づいて非干渉化を行なう方式においては、実際の電流に比べて、通常は、電流指令値の位相が進んでいる。このため、非干渉化電圧が適切とならず、電流制御系の設計応答付近の周波数帯、もしくは、設計応答より高い周波数帯で電流の振動が見受けられる場合があった。また、電流検出や電圧印加に際して、位相誤差を含む場合、前述の周波数帯よりも低い周波数で電流脈動が生じる場合があった。
あるいは、電流検出値と電流指令値を併用する方式においては、検出値と指令値との間の重み付けを調整することにより、上述した問題点の幾つかを解決できる場合もある。しかしながら、全てを同時に解決することができない場合もある。特に、電流検出や電圧印加の位相誤差に起因して生じる低周波の電流脈動を解決できない場合が多い。
なお、電流検出や電圧印加の位相誤差については、その補正方法が公知である(例えば、電圧印加の誤差については特許文献5)。しかしながら、その誤差量が未知である場合には、適切な補正量もまた未知となる。このため、適切に補正ができないという別の課題が発生する。
あるいは、電流偏差と回転速度とに基づく方式では、既存の方式は、回転速度の急変時に非干渉化の補償電圧が回転速度の急変に対応できずに電流波形が乱れるといった課題を抱えていた。
特許文献3に開示された方式では、角周波数を乗じた量を積分するため、高速回転時においては、積分器が大きな値を保持することになる。しかしながら、回転速度が急に低下した場合、低速回転時の適正量に比して著しく過大な値が積分器に残留することとなる。この結果、出力電圧値が過大となり、電流波形が過渡的に乱れるといった問題がある。
特許文献4に開示された方式では、積分される値に対して回転速度相当量が乗じられていない。このため、一見すると、回転速度の急変の影響がないように見えるが、実際には回転速度急変の影響を受ける。なぜなら、物理法則上、必要な非干渉化電圧は、回転速度に比例する一方で、積分値は、回転数の変化に応じて瞬時には変わらずに、遅れを伴うため、電流波形が過渡的に乱れることに変わりはないからである。
特許文献6に開示された方式では、積分される電流偏差値に乗じられる積分ゲインに関して、その具体的な値の設定について、高い自由度を有することが記述されている。しかしながら、電流偏差値に乗じるゲインをどのような値に設定したとしても、前述と同様に、物理法則上、電流波形に過渡的な乱れが生じることに変わりはない。
以上のように、従来の電動機の駆動装置にあっては、電動機を広範囲の運転条件で駆動しようとすれば、高速回転時や大電流時を始めとする限界運転時において、電流に脈動が重畳したり電流の制御応答が著しく低下したりするなど、電流を適切に制御できず、不安定化する場合があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、電動機に流れる電流を広範囲の運転条件にわたって可変制御することができ、種々の制御誤差を個別に補償することなく、電動機を安定に駆動することができる電動機の駆動装置および電動機の駆動方法を得ることを目的とする。
この発明に係る電動機の駆動装置は、電動機として界磁巻線を有する回転界磁型同期電動機を適用し、電動機に印加する電圧値を制御して、電動機に流れる電流を電流指令値に追従させることにより電動機を駆動制御する電動機の駆動装置であって、電動機に流れる電流を電流検出値として検出する電流検出器と、電流指令値と電流検出値との差を電流偏差として演算する電流偏差演算器と、電流偏差に基づいて電動機の電機子を鎖交する電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器と、電機子鎖交磁束の推定値、電流偏差、および電動機の回転速度に基づいて電動機に印加する電圧値を決定する電流制御器と、電流検出器が出力する電流検出値を、三相座標系からdq座標系に変換するuvw/dq変換器と、電流制御器が出力する電圧値を、dq座標系から三相座標系に変換するdq/uvw変換器と、界磁巻線に流れる電流であるf軸電流検出値を検出する界磁巻線電流検出器と、外部から与えられるf軸電流指令値とf軸電流検出値との差をf軸電流偏差として演算するf軸電流偏差演算器とを備え、電流偏差演算器は、dq/uvw変換器が出力するdq座標系の電流検出値と、dq座標系として与えられる電流指令値との差をd軸電流偏差およびq軸電流偏差として演算し、磁束推定器は、d軸電流偏差とf軸電流偏差の和を積分することで電機子鎖交磁束のd軸成分を推定するd軸積分器と、q軸電流偏差を積分することで電機子鎖交磁束のq軸成分を推定するq軸積分器とを有し、電流制御器は、電機子鎖交磁束のd軸成分およびq軸成分の推定値と、d軸電流偏差およびq軸電流偏差と、f軸電流偏差と、電動機の回転速度とに基づいて電動機に印加する電圧値をdq座標系として決定するとともに、界磁巻線に印加する電圧値を決定するものである。
また、この発明に係る電動機の駆動方法は、電動機として界磁巻線を有する回転界磁型同期電動機を適用し、電動機に印加する電圧値を制御して、電動機に流れる電流を電流指令値に追従させることにより電動機を駆動制御する制御部を備えた電動機の駆動装置で実行される電動機の駆動方法であって、制御部は、電動機の回転速度を読み取る回転速度読み取りステップと、電流検出器により電動機に流れる電流を電流検出値として検出する電流検出ステップと、電流指令値と電流検出値との差を電流偏差として演算する電流偏差演算ステップと、電流偏差に基づいて電動機の電機子を鎖交する電機子鎖交磁束を推定する磁束推定ステップと、電機子鎖交磁束の推定値、電流偏差、および電動機の回転速度に基づいて電動機に印加する電圧値を決定する電流制御ステップと、電流検出ステップで出力される電流検出値を、三相座標系からdq座標系に変換するuvw/dq変換ステップと、電流制御ステップで出力される電圧値を、dq座標系から三相座標系に変換するdq/uvw変換ステップと、界磁巻線に流れる電流であるf軸電流検出値を検出する界磁巻線電流検出ステップと、外部から与えられるf軸電流指令値とf軸電流検出値との差をf軸電流偏差として演算するf軸電流偏差演算ステップとを有し、電流偏差演算ステップは、dq/uvw変換ステップで出力されるdq座標系の電流検出値と、dq座標系として与えられる電流指令値との差をd軸電流偏差およびq軸電流偏差として演算し、磁束推定ステップは、d軸電流偏差とf軸電流偏差の和を積分することで電機子鎖交磁束のd軸成分を推定し、q軸電流偏差を積分することで電機子鎖交磁束のq軸成分を推定し、電流制御ステップは、電機子鎖交磁束のd軸成分およびq軸成分の推定値と、d軸電流偏差およびq軸電流偏差と、f軸電流偏差と、電動機の回転速度とに基づいて電動機に印加する電圧値をdq座標系として決定するとともに、界磁巻線に印加する電圧値を決定するものである。
この発明によれば、電流指令値と電流検出値との差である電流偏差に基づいて電機子鎖交磁束を推定し、電機子鎖交磁束の推定値、電流偏差、および電動機の回転速度に基づいて電動機に印加する電圧値を決定している。この結果、電動機に流れる電流を広範囲の運転条件にわたって可変制御することができ、種々の制御誤差を個別に補償することなく、電動機を安定に駆動することができる電動機の駆動装置および電動機の駆動方法を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係る電動機の駆動装置の構成を示す例示図である。 本発明の実施の形態1に係る磁束推定器の構成を示す例示図である。 本発明の実施の形態1に係る電流制御器の構成を示す例示図である。 本発明の実施の形態3に係る電動機の駆動装置の構成を示す例示図である。 本発明の実施の形態3に係る磁束推定器の構成を示す例示図である。 本発明の実施の形態3に係る電流制御器の構成を示す例示図である。
以下、本発明における電動機の駆動装置および電動機の駆動方法の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。なお、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電動機の駆動装置の構成を示す例示図である。図1に示す電動機の駆動装置は、磁束推定器1、電流制御器2、dq/uvw変換器3、電圧出力器4、電流検出器5、uvw/dq変換器6、および微分器7を備えて構成される。
また、図1には、電動機の駆動装置の他にも、電動機の駆動装置によって駆動される電動機10と、電動機10の回転子の電気角を検出する電気角検出器31が示されている。そして、電気角検出器31により検出される回転角検出値は、θとして図示されており、この回転角検出値θは、dq/uvw変換器3、uvw/dq変換器6、および微分器7に与えられる。
以下、図1を参照しながら、本発明の実施の形態1に係る電動機の駆動装置の各構成要素の機能について説明する。
電流検出器5は、駆動対象となる電動機10を流れる三相電流を検出する。これらの3相分の検出値をまとめて三相電流検出値とよび、またuvwの各相の検出値をそれぞれ、u相電流検出値(i)、v相電流検出値(i)、w相電流検出値(i)として図1に示す。
uvw/dq変換器6は、三相電流検出値を電動機10の回転に同期したdq座標系に変換する。本実施の形態1では、d軸方向を電動機10の回転子の磁束の方向とし、q軸をd軸の直交方向(電動機の回転軸に沿って反時計回りに90度進めた方向)とする。uvw/dq変換器6によるこれらの変換値を、それぞれd軸電流検出値(i)とq軸電流検出値(i)として図に示す。
uvw/dq変換器6は、具体的には、下式(1)の変換を行なう。
Figure 0005744151
外部より与えられるd軸電流指令値(i )とd軸電流検出値(i)との偏差が、下式(2)によって計算され、これをd軸電流偏差(i )と呼ぶ。同様に、外部より与えられるq軸電流指令値(i )とq軸電流検出値(i)との偏差も、下式(2)によって計算され、これをq軸電流偏差(i )と呼ぶ。
Figure 0005744151
図2は、本発明の実施の形態1に係る磁束推定器1の構成を示す例示図である。磁束推定器1は、d軸電流偏差とq軸電流偏差とから、d軸およびq軸のそれぞれの電機子鎖交磁束を推定する。この推定値のうち、d軸成分をd軸電機子鎖交磁束推定値(φ^)として、図1および図2に示す。また、q軸成分をq軸電機子鎖交磁束推定値(φ^)として、図1および図2に示す。
磁束推定器1は、具体的には、下式(3)の演算を行なう。
Figure 0005744151
ここで、Kはd軸電機子鎖交磁束推定ゲイン、Kはq軸電機子鎖交磁束推定ゲインを示す。
微分器7は、電気角検出器31から回転角検出値θを入力して微分し、回転速度(ω)として電流制御器2に出力している。
図3は、本発明の実施の形態1に係る電流制御器2の構成を示す例示図である。電流制御器2は、電流偏差と電機子鎖交磁束推定値と回転速度(ω)から、電圧指令値を演算する。本実施の形態1においては、電流偏差は、前記のd軸電流偏差とq軸電流偏差を指し、電機子鎖交磁束推定値は、前記のd軸電機子鎖交磁束推定値とq軸電機子鎖交磁束推定値を指す。回転速度は、微分器7が出力する値である。また、電圧指令値とは、電機子に流れる電流をその指令値に向けて収束させるために好適な電圧を意味し、本実施の形態1では、d軸成分とq軸成分の各成分ごとに計算される。これらをそれぞれd軸電圧指令値(v )およびq軸電圧指令値(v )として図1および図3に示す。
電流制御器2は、具体的には、下式(4)の演算を行なう。
Figure 0005744151
ここで、KPdはd軸比例ゲイン、KIdはd軸積分ゲイン、KPqはq軸比例ゲイン、KIqはq軸積分ゲインを示す。
図3および上式(4)の示すところは、次のとおりである。d軸電圧指令値は、d軸電流偏差による比例積分制御から、q軸電機子鎖交磁束推定値と回転速度との積が減算されて決定されるということを意味している。また、q軸電圧指令値は、q軸電流偏差による比例積分制御から、d軸電機子鎖交磁束推定値と回転速度との積が加算されて決定されるということを意味している。
dq/uvw変換器3は、d軸電圧指令値とq軸電圧指令値を三相座標上の電圧指令値に変換する。これらの3相分の指令値をまとめて三相電圧指令値と呼ぶ。また、これらの3相の電圧指令値をそれぞれu相電圧指令値(v )、v相電圧指令値(v )、w相電圧指令値(v )として図1に示す。
dq/uvw変換器3は、具体的には、下式(5)の変換を行う。
Figure 0005744151
電圧出力器4は、三相電圧指令値に略一致する電圧を、駆動対象である電動機10に印加する。当該部分のハードウェア構成は、三相電圧形インバータに準じた構成であり、電圧出力器4は、パルス幅変調された電圧を電動機10に対して印加することとなる。
なお、本実施の形態1における各種ゲインの設定の一例について、下式(6)にまとめて示す。
Figure 0005744151
ここで、ωcc,dはd軸電流応答の設計パラメータ、ωcc,qはq軸電流応答の設計パラメータ、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、Rは巻線の抵抗値を示す。
このように、本実施の形態1における電動機の駆動装置は、電流指令値と電流検出値との差である電流偏差に基づいて推定される磁束推定値を、電動機10への印加電圧に反映させている。これにより、電動機10の安定性に与える悪影響を抑制することができ、種々の誤差を個別に補償することなく、電動機10を広範囲の運転領域で安定に駆動することができる。さらに、回転数の急変時であっても、電流の乱れを生じないといった従来技術では得ることのできない優れた効果を得ることができる。
また、図1に示すように、三相座標をdq軸に座標変換してd軸q軸のそれぞれについて、電流指令値と電流検出値との偏差を積分することで、簡易な構成でd軸q軸それぞれの電機子鎖交磁束を推定することが可能となる。
ただし、本発明自体は、任意の座標軸上で実施可能であり、その実施をdq座標系だけに限定するものではない。
以上のように、実施の形態1によれば、電流指令値と電流検出値との差である電流偏差に基づいて電機子鎖交磁束を推定し、電機子鎖交磁束の推定値、電流偏差、および電動機の回転速度に基づいて電動機に印加する電圧値を決定している。この結果、電動機に流れる電流を広範囲の運転条件にわたって可変制御することができ、種々の制御誤差を個別に補償することなく、電動機を安定に駆動することができる電動機の駆動装置および電動機の駆動方法を得ることができる。
実施の形態2.
本実施の形態2では、電動機の駆動装置の駆動対象となる電動機10として、永久磁石を有する永久磁石式同期電動機を対象とする場合に好適な形態ついて説明する。本実施の形態2に係る電動機の駆動装置の構成は、図1に示す先の実施の形態1に係る電動機の駆動装置の構成と同じである。
先の実施の形態1における駆動対象である電動機10として、永久磁石を有する永久磁石式同期電動機を用いた場合には、その始動時において、電機子鎖交磁束の推定値と実際の値との間に差異を生じる。なぜなら、先の実施の形態1における磁束推定器1は、積分器の初期値がゼロであるため、電機子鎖交磁束推定値もまたゼロであった。これに対して、電動機10が永久磁石式同期電動機10の場合には、駆動を始める以前に(電動機に電流が流れる以前に)永久磁石が作る磁束が電機子に鎖交しており、電機子鎖交磁束が非ゼロであるためである。
そこで、本実施の形態2では、磁束推定器1内の積分器の初期値として、永久磁石磁束の電機子鎖交成分に相当する値を予め設定する。具体的な設定例としては、d軸電機子鎖交成分側の積分器の初期値として、トルク定数もしくは逆起電圧定数の測定値を極対数で除したもの設定し、q軸電機子鎖交成分側の初期値として、ゼロを設定する。あるいは、電動機10の設計値を用いてもよく、この場合、d軸成分が非ゼロの有限値、q軸側がゼロとなる。なお、q軸側の初期値であるゼロは、必ずしも完全にゼロである必要はなく、略ゼロであってもよい。
以上のように、実施の形態2によれば、電動機の駆動装置の駆動対象となる電動機として、永久磁石を有する永久磁石式同期電動機を対象とする場合には、磁束推定器1内の積分器の初期値として、適切な値を予め設定する構成を備えている。これにより、電動機の始動時における制御特性が良好となる電動機の駆動装置および電動機の駆動方法を得ることができる。
実施の形態3.
本実施の形態3では、電動機の駆動装置の駆動対象となる電動機10として、界磁巻線を有する回転界磁型同期電動機と呼ばれる種類の電動機10を対象とする場合に好適な形態について説明する。
図4は、本発明の実施の形態3に係る電動機の駆動装置の構成を示す例示図である。図4に示す電動機の駆動装置は、磁束推定器1a、電流制御器2a、dq/uvw変換器3、電圧出力器4、電流検出器5、uvw/dq変換器6、微分器7、界磁巻線電圧出力器8、および界磁巻線電流検出器9を備えて構成される。
また、図4には、電動機の駆動装置の他にも、電動機の駆動装置によって駆動される回転界磁型同期電動機10aと、回転界磁型同期電動機10aの回転子の電気角を検出する電気角検出器31が示されている。そして、電気角検出器31により検出される回転角検出値は、θとして図示されており、この回転角検出値θは、dq/uvw変換器3、uvw/dq変換器6、および微分器7に与えられる。
以下、図4を参照しながら、本発明の実施の形態3に係る電動機の駆動装置の各構成要素の機能について、特に、先の実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
駆動の対象となる回転界磁型同期電動機10aは、固定子の三相巻線に加えて、回転子にも回転界磁用の巻線が存在している。そして、この回転界磁用の巻線は、通常、スリップリング等を介して回転界磁型同期電動機10aの外部に接続されている。
界磁巻線電流検出器9は、回転界磁用の巻線に流れる電流を検出する。この検出値を界磁巻線電流検出値(i)とし、図4に示す。また、界磁巻線に相当する座標軸を便宜上f軸と呼ぶ。
外部より与えられるf軸電流指令値(i )と、f軸電流検出値との偏差が計算され、これをf軸電流偏差(i )と呼ぶ。このf軸電流偏差(i )は、磁束推定器1a、および電流制御器2aに与えられる。
図5は、本発明の実施の形態3に係る磁束推定器1aの構成を示す例示図である。図5に示す磁束推定器1aは、先の実施の形態1の磁束推定器1に加えて、界磁巻線が作る磁束のうち電機子に鎖交する成分を含めて推定を行う。すなわち、磁束推定器1aは、d軸電流偏差、q軸電流偏差、およびf軸電流偏差とから、電機子鎖交磁束を推定する。この推定値のうちd軸成分をd軸電機子鎖交磁束推定値(φ^)と称し、また、q軸成分をq軸電機子鎖交磁束推定値(φ^)称することは、先の実施の形態1の場合と同様である。
磁束推定器1aは、具体的には、下式(7)の演算により磁束の推定を行なう。
Figure 0005744151
ここで、Kはf軸電機子鎖交磁束推定ゲインを示す。
電流制御器2aは、電流偏差と電機子鎖交磁束推定値と回転速度(ω)から、電圧指令値を演算する。本実施の形態3においては、電流偏差は、前記のd軸電流偏差とq軸電流偏差とf軸電流偏差を指し、電機子鎖交磁束推定値は、前記のd軸電機子鎖交磁束推定値とq軸電機子鎖交磁束推定値を指す。また、回転速度は、前記の回転角検出値θを微分器7により微分した微分値に相当する値である。また、電圧指令値とは、電機子に流れる電流をその指令値に向けて収束させるために好適な電圧を意味し、本実施の形態3ではd軸成分とq軸成分および界磁巻線を示すf軸成分の各成分ごとに計算される。これらをそれぞれd軸電圧指令値(v )、q軸電圧指令値(v )およびf軸電圧指令値(v )として図4に示す。
電流制御器2aは、具体的には、下式(8)の演算を行なう。
Figure 0005744151
ここで、KPfはf軸比例ゲイン、KIfはf軸積分ゲイン、KPdfはd軸f軸交叉比例ゲイン、KPfdはf軸d軸交叉比例ゲインを示す。
図6は、本発明の実施の形態3に係る電流制御器2aの構成を示す例示図である。図6は、電流制御器2aの演算を図示している。図6中でPは比例制御を、Pは比例積分制御を示している。
この図6および上式(8)の示すところは、次のとおりである。f軸電圧指令値は、f軸電流偏差による比例積分制御とd軸電流偏差による比例制御との和によって決定されるということを意味している。また、d軸電圧指令値は、d軸電流偏差による比例積分制御とf軸電流偏差による比例制御の和から、q軸電機子鎖交磁束推定値と回転速度との積が減算されて決定されるということを意味している。また、q軸電圧指令値は、q軸電流偏差による比例積分制御から、d軸電機子鎖交磁束推定値と回転速度との積が加算されて決定されるということを意味している。
電圧出力器4は、実施の形態1と同様に、三相電圧指令値に略一致する電圧を、駆動対象である回転界磁型同期電動機10aに印加する。当該部分のハードウェア構成は、三相電圧形インバータに準じた構成であり、電圧出力器4は、パルス幅変調された電圧を回転界磁型同期電動機10aの三相に対して印加するものである。
一方、界磁巻線に電圧を印加する部分のハードウェア構成である界磁巻線電圧出力器8は、単相インバータ回路が好適である。そして、この界磁巻線電圧出力器8は、電圧出力器4と同様に、パルス幅変調された電圧を回転界磁型同期電動機10aの界磁巻線に印加する。
なお、本実施の形態3における各種ゲインの設定の一例について、下式(9)にまとめて示す。
Figure 0005744151
ここで、ωcc,fはf軸電流応答の設計パラメータ、Mdfはd軸とf軸の相互インダクタンス、Lはf軸のインダクタンス、Rはf軸の抵抗を示す。記載のないそれ以外のゲインは、先の実施の形態1において示した上式(6)と同様の設定である。
以上のように、実施の形態3によれば、電動機の駆動装置の駆動対象となる電動機として、界磁巻線を有する回転界磁型同期電動機を対象とする場合には、回転界磁用の巻線をさらに考慮して、界磁巻線電流偏差に基づいて、界磁巻線に印加する電圧値を決定している。この結果、回転界磁型同期電動機に流れる電流を広範囲の運転条件にわたって可変制御することができ、種々の制御誤差を個別に補償することなく、回転界磁型同期電動機を安定に駆動することができる電動機の駆動装置および電動機の駆動方法を得ることができる。
1、1a 磁束推定器、2、2a 電流制御器、3 dq/uvw変換器、4 電圧出力器、5 電流検出器、6 uvw/dq変換器、7 微分器、8 界磁巻線電圧出力器、9 界磁巻線電流検出器、10 電動機、10a 回転界磁型同期電動機、11 d軸インダクタンス乗算器、12 d軸電流設計応答乗算器、13 d軸積分器、14 q軸インダクタンス乗算器、15 q軸電流設計応答乗算器、16 q軸積分器、17 相互インダクタンス乗算器、18 f軸電流設計応答乗算器、21 d軸電流比例積分制御器、22 q軸磁束推定値に対する回転速度乗算器、23 q軸電流比例積分制御器、24 d軸磁束推定値に対する回転速度乗算器、25 f軸電流比例積分制御器、26 d軸f軸交叉比例制御器、27 f軸d軸交叉比例制御器、31 電気角検出器。

Claims (2)

  1. 電動機として界磁巻線を有する回転界磁型同期電動機を適用し、前記電動機に印加する電圧値を制御して、前記電動機に流れる電流を電流指令値に追従させることにより前記電動機を駆動制御する電動機の駆動装置であって、
    前記電動機に流れる電流を電流検出値として検出する電流検出器と、
    前記電流指令値と前記電流検出値との差を電流偏差として演算する電流偏差演算器と、
    前記電流偏差に基づいて前記電動機の電機子を鎖交する電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器と、
    前記電機子鎖交磁束の推定値、前記電流偏差、および前記電動機の回転速度に基づいて前記電動機に印加する前記電圧値を決定する電流制御器と
    前記電流検出器が出力する前記電流検出値を、三相座標系からdq座標系に変換するuvw/dq変換器と、
    前記電流制御器が出力する前記電圧値を、前記dq座標系から前記三相座標系に変換するdq/uvw変換器と、
    前記界磁巻線に流れる電流であるf軸電流検出値を検出する界磁巻線電流検出器と、
    外部から与えられるf軸電流指令値と前記f軸電流検出値との差をf軸電流偏差として演算するf軸電流偏差演算器と
    を備え、
    前記電流偏差演算器は、前記dq/uvw変換器が出力する前記dq座標系の電流検出値と、dq座標系として与えられる電流指令値との差をd軸電流偏差およびq軸電流偏差として演算し、
    前記磁束推定器は、前記d軸電流偏差と前記f軸電流偏差の和を積分することで前記電機子鎖交磁束のd軸成分を推定するd軸積分器と、前記q軸電流偏差を積分することで前記電機子鎖交磁束のq軸成分を推定するq軸積分器とを有し、
    前記電流制御器は、前記電機子鎖交磁束のd軸成分およびq軸成分の推定値と、前記d軸電流偏差および前記q軸電流偏差と、前記f軸電流偏差と、前記電動機の回転速度とに基づいて前記電動機に印加する前記電圧値を前記dq座標系として決定するとともに、前記界磁巻線に印加する電圧値を決定する
    電動機の駆動装置。
  2. 電動機として界磁巻線を有する回転界磁型同期電動機を適用し、前記電動機に印加する電圧値を制御して、前記電動機に流れる電流を電流指令値に追従させることにより前記電動機を駆動制御する制御部を備えた電動機の駆動装置で実行される電動機の駆動方法であって、
    前記制御部は、
    前記電動機の回転速度を読み取る回転速度読み取りステップと、
    電流検出器により前記電動機に流れる電流を電流検出値として検出する電流検出ステップと、
    前記電流指令値と前記電流検出値との差を電流偏差として演算する電流偏差演算ステップと、
    前記電流偏差に基づいて前記電動機の電機子を鎖交する電機子鎖交磁束を推定する磁束推定ステップと、
    前記電機子鎖交磁束の推定値、前記電流偏差、および前記電動機の前記回転速度に基づいて前記電動機に印加する前記電圧値を決定する電流制御ステップと
    前記電流検出ステップで出力される前記電流検出値を、三相座標系からdq座標系に変換するuvw/dq変換ステップと、
    前記電流制御ステップで出力される前記電圧値を、前記dq座標系から前記三相座標系に変換するdq/uvw変換ステップと、
    前記界磁巻線に流れる電流であるf軸電流検出値を検出する界磁巻線電流検出ステップと、
    外部から与えられるf軸電流指令値と前記f軸電流検出値との差をf軸電流偏差として演算するf軸電流偏差演算ステップと
    を有し、
    前記電流偏差演算ステップは、前記dq/uvw変換ステップで出力される前記dq座標系の電流検出値と、dq座標系として与えられる電流指令値との差をd軸電流偏差およびq軸電流偏差として演算し、
    前記磁束推定ステップは、前記d軸電流偏差と前記f軸電流偏差の和を積分することで前記電機子鎖交磁束のd軸成分を推定し、前記q軸電流偏差を積分することで前記電機子鎖交磁束のq軸成分を推定し、
    前記電流制御ステップは、前記電機子鎖交磁束のd軸成分およびq軸成分の推定値と、前記d軸電流偏差および前記q軸電流偏差と、前記f軸電流偏差と、前記電動機の回転速度とに基づいて前記電動機に印加する前記電圧値を前記dq座標系として決定するとともに、前記界磁巻線に印加する電圧値を決定する
    電動機の駆動方法。
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