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JP5638699B2 - ヒートポンプ装置、ヒートポンプシステム及びインバータの制御方法 - Google Patents

ヒートポンプ装置、ヒートポンプシステム及びインバータの制御方法 Download PDF

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JP5638699B2
JP5638699B2 JP2013535792A JP2013535792A JP5638699B2 JP 5638699 B2 JP5638699 B2 JP 5638699B2 JP 2013535792 A JP2013535792 A JP 2013535792A JP 2013535792 A JP2013535792 A JP 2013535792A JP 5638699 B2 JP5638699 B2 JP 5638699B2
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Description

この発明は、ヒートポンプ装置に使用される圧縮機の加熱技術に関する。
特許文献1には、暖房時の運転停止中に高周波の低電圧を圧縮機に供給することについての記載がある。特許文献2には、空気調和機の周囲が低温になった場合に、25kHzといった、通常運転時より高周波数である単相交流電圧を圧縮機に供給することについての記載がある。
特許文献1および2に記載された技術は、いずれも、外気温度の低下に応じて圧縮機に高周波の交流電圧を印加することで圧縮機を加熱もしくは保温し、圧縮機内部の潤滑作用を円滑にするものである。
実開昭60−68341号公報 特開昭61−91445号公報
大きな電流が流れた場合にモータやインバータが破損することを防止するために、インバータに流れる電流値を検出して、検出した電流値が大きい場合にインバータからモータへの電圧の印加を停止させることが考えられる。
しかし、高周波の交流電圧を圧縮機に供給した場合、インバータに流れる電流値が大きいにも関わらず、検出された電流値が高周波数であるため、雑音として取り除かれてしまう恐れがある。その結果、インバータに流れる電流値が大きいにも関わらず、インバータからモータへの電圧の印加が停止されず、モータやインバータが破損する恐れがある。
この発明は、高周波の交流電圧を圧縮機に供給して圧縮機を加熱する場合に、大きな電流が流れてしまい、モータやインバータが破損することを防止することを目的とする。
この発明に係るヒートポンプ装置は、
冷媒を圧縮する圧縮機構を有する圧縮機と、
前記圧縮機が有する前記圧縮機構を動作させるモータと、
前記モータに所定の電圧を印加するインバータと、
前記インバータへ駆動信号を出力して前記インバータを制御するインバータ制御部と、
前記インバータに流れる電流値を検出し、検出した電流値のうち予め定められた第1周波数以上の電流値を低減して出力する電流検出部と、
前記電流検出部が出力した電流値が所定の電流値以上である場合、前記インバータ制御部から前記インバータへの駆動信号の出力を停止させる駆動信号停止部と
を備え、
前記インバータ制御部は、
電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成部と、
前記電圧指令生成部が出力した電圧指令値と所定の周波数の基準信号の値とを比較して、比較結果に基づき駆動信号を生成し、生成した駆動信号を前記インバータへ出力する駆動信号生成部と、
前記電圧指令生成部が生成する電圧指令値が、前記第1周波数に応じて定められた下限値以上の値となるように、電圧指令値の値を制御する電圧指令値制御部と
を備えることを特徴とする。
この発明に係るヒートポンプ装置では、第1周波数に応じて定められた下限値以上の電圧指令値を生成し、駆動信号を生成する。これにより、電流の周波数が低くなり、電流値が雑音として取り除かれなくなる。そのため、大きな電流がインバータに流れたことを確実に検出して、インバータからモータへの電圧の出力を確実に停止させることができ、モータやインバータが破損することを防止できる。
実施の形態1におけるヒートポンプ装置100の構成を示す図。 実施の形態1におけるインバータ9の構成を示す図。 実施の形態1におけるインバータ制御部10の構成を示す図。 実施の形態1におけるPWM信号生成部26の入出力波形を示す図。 実施の形態1における8通りのスイッチングパターンを示す図。 実施の形態1における加熱判定部12の構成を示す図。 実施の形態1におけるインバータ制御部10の動作を示すフローチャート。 実施の形態2におけるインバータ制御部10の構成を示す図。 選択部23がキャリア信号の頂及び底のタイミングで、位相θpと位相θnとを交互に切り替えた場合のタイミングチャート。 図9に示す電圧ベクトルの変化の説明図。 選択部23がキャリア信号の底のタイミングで、位相θpと位相θnとを交互に切り替えた場合のタイミングチャート。 IPMモータのロータ位置の説明図。 ロータ位置による電流変化を示す図。 θfを時間の経過とともに変化させた場合の印加電圧を示す図。 θfが0度(U相(V4)方向が0度)、30度、60度の時のモータ8のUVWの各相に流れる電流を表した図。 実施の形態3におけるインバータ9の構成を示す図。 モータ8に流れる電圧及び電流と、電流検出部20により検出される電流値とを示す図。 電圧指令値V*と電流値Iとの関係を示す図。 実施の形態3におけるインバータ制御部10の構成を示す図。 電圧指令値V*とキャリア信号との関係を示す図。 デッドタイムとPWM信号との関係を示す図。 実施の形態6に係るヒートポンプ装置100の回路構成図。 図22に示すヒートポンプ装置100の冷媒の状態についてのモリエル線図。
実施の形態1.
実施の形態1では、ヒートポンプ装置100の基本的な構成及び動作について説明する。
図1は、実施の形態1におけるヒートポンプ装置100の構成を示す図である。
実施の形態1におけるヒートポンプ装置100は、圧縮機1、四方弁2、熱交換器3、膨張機構4、熱交換器5が、冷媒配管6を介して順次接続された冷凍サイクルを備える。圧縮機1の内部には冷媒を圧縮する圧縮機構7と、この圧縮機構7を動作させるモータ8とが設けられている。モータ8は、U相、V相、W相の三相の巻き線を有する三相モータである。
モータ8に電圧を与え駆動させるインバータ9は、モータ8と電気的に接続されている。インバータ9は、モータ8のU相、V相、W相の巻き線に電圧Vu、Vv、Vwをそれぞれ印加する。
インバータ9には、高周波電圧発生部11と加熱判定部12(状態検出部)とを備えるインバータ制御部10が電気的に接続されている。インバータ制御部10は、インバータ9から送られるインバータ9の電源電圧である母線電圧Vdcと、モータ8に流れる電流Iの値とに基づいて、モータ8を加熱する必要があるか判断するとともに、モータ8を加熱する必要がある場合に、PWM(Pulse Width Modulation)信号(駆動信号)をインバータ9へ出力する。
図2は、実施の形態1におけるインバータ9の構成を示す図である。
インバータ9は、交流電源13と、交流電源13から供給される電圧を整流する整流器14と、整流器14で整流された電圧を平滑して直流電圧(母線電圧Vdc)を生成する平滑コンデンサ15と、平滑コンデンサ15で生成された母線電圧Vdcを検出してインバータ制御部10へ出力する母線電圧検出部16とを備える。
また、インバータ9は、母線電圧Vdcを電源とする電圧印加部19を備える。電圧印加部19は、2つのスイッチング素子(17aと17d、17bと17e、17cと17f)の直列接続部が3個並列に接続され、各スイッチング素子17a〜17fそれぞれと並列に接続された環流ダイオード18a〜18fを備える回路である。電圧印加部19は、インバータ制御部10より送られるPWM信号UP、VP、WP、UN、VN、WNに応じて、それぞれに対応したスイッチング素子(UPは17a、VPは17b、WPは17c、UNは17d、VNは17e、WNは17f)を駆動する。そして、電圧印加部19は、駆動したスイッチング素子17に応じた電圧Vu、Vv、Vwを、モータ8のU相、V相、W相の巻き線それぞれに印加する。
さらに、インバータ9は、モータ8のU相、V相、W相の巻き線に電圧Vu、Vv、Vwを印加することにより、インバータ9からモータ8へ流れる電流Iを検出してインバータ制御部10へ出力する電流検出部20を備える。
図3は、実施の形態1におけるインバータ制御部10の構成を示す図である。
上述したように、インバータ制御部10は、高周波電圧発生部11と加熱判定部12とを備える。加熱判定部12については後述し、ここでは高周波電圧発生部11について説明する。
高周波電圧発生部11は、テーブルデータ21、外部入力部22、選択部23、積分器24、電圧指令生成部25、PWM信号生成部26を備える。
選択部23は、加熱判定部12から出力された電圧指令値Vcと、テーブルデータ21に記録された電圧指令値Vtと、外部入力部22から入力された電圧指令値Vaとのうちいずれか1つを電圧指令値V*として選択して出力する。また、選択部23は、テーブルデータ21に記録された回転数指令値ωtと、外部入力部22から入力された回転数指令値ωaとのうちいずれかを回転数指令値ω*として選択して出力する。
積分器24は、選択部23が出力した回転数指令値ω*から電圧位相θを求める。
電圧指令生成部25は、選択部23が出力した電圧指令値V*と、積分器24が求めた電圧位相θとを入力として、電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を生成して出力する。
PWM信号生成部26は、電圧指令生成部25が出力した電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*と、母線電圧Vdcとに基づいて、PWM信号(UP、VP、WP、UN、VN,WN)を生成し、インバータ9へ出力する。
電圧指令生成部25の電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*の生成方法と、PWM信号生成部26のPWM信号の生成方法とについて説明する。
図4は、実施の形態1におけるPWM信号生成部26の入出力波形を示す図である。
例えば、電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を式(1)〜式(3)のように位相が2π/3ずつ異なる余弦波(正弦波)と定義する。但し、V*は電圧指令値の振幅、θは電圧指令値の位相である。
(1)Vu*=V*cosθ
(2)Vv*=V*cos(θ−(2/3)π)
(3)Vw*=V*cos(θ+(2/3)π)
電圧指令生成部25は、選択部23が出力した電圧指令値V*と、積分器24が求めた電圧位相θとに基づき、式(1)〜式(3)により電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を計算し、計算した電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*をPWM信号生成部26へ出力する。PWM信号生成部26は、電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*と、所定の周波数で振幅Vdc/2のキャリア信号(基準信号)とを比較し、相互の大小関係に基づきPWM信号UP、VP、WP、UN、VN、WNを生成する。
例えば、電圧指令値Vu*がキャリア信号よりも大きい場合には、UPはスイッチング素子17aをオンにする電圧とし、UNはスイッチング素子17dをオフにする電圧とする。また、電圧指令値Vu*がキャリア信号よりも小さい場合には、逆に、UPはスイッチング素子17aをオフにする電圧とし、UNはスイッチング素子17dをオンにする電圧とする。他の信号についても同様であり、電圧指令値Vv*とキャリア信号との比較によりVP、VNが決定され、電圧指令値Vw*とキャリア信号との比較によりWP、WNが決定される。
一般的なインバータの場合、相補PWM方式を採用しているため、UPとUN、VPとVN、WPとWNは互いに逆の関係となる。そのため、スイッチングパターンは全部で8通りとなる。
図5は、実施の形態1における8通りのスイッチングパターンを示す図である。なお、図5では、各スイッチングパターンで発生する電圧ベクトルにV0〜V7の符号を付している。また、各電圧ベクトルの電圧の方向を±U,±V,±W(電圧が発生しない場合には0)で表している。ここで、+Uとは、U相を介してモータ8へ流入し、V相及びW相を介してモータ8から流出するU相方向の電流を発生させる電圧であり、−Uとは、V相及びW相を介してモータ8へ流入し、U相を介してモータ8から流出する−U相方向の電流を発生させる電圧である。±V,±Wについても同様の解釈である。
図5に示すスイッチングパターンを組み合わせて電圧ベクトルを出力することでインバータ9に所望の電圧を出力させることができる。このときに位相θを高速で変化させることにより、高周波の電圧を出力することが可能となる。
なお、式(1)〜式(3)以外にも二相変調や、三次高調波重畳変調、空間ベクトル変調等により電圧指令信号Vu*、Vv*、Vw*を求めても構わない。
図6は、実施の形態1における加熱判定部12の構成を示す図である。
加熱判定部12は、インバータ9の母線電圧検出部16が検出した母線電圧Vdcや、インバータ9の電流検出部20が検出した電流I等に基づき、高周波電圧発生部11の動作状態(ON/OFF)を制御する。
加熱判定部12は、電流比較部27、電圧比較部28、温度検出部29、温度比較部30、第1論理積計算部31、寝込み判定部32、経過時間計測部33、時間比較部34、リセット部35、論理和計算部36、第2論理積計算部37、加熱量判断部38を備える。
電流比較部27は、電流検出部20により検出され出力された電流Iが、Imin<I<Imaxの状態の時に正常状態と判断して1を、それ以外の場合には0を出力する。
ここで、Imaxは電流上限値、Iminは電流下限値である。Imax以上の過大な正の電流、又は、Imin以下の過大な負の電流が流れる場合、電流比較部27は異常状態と判断して0を出力することで、加熱を停止するよう動作する。
電圧比較部28は、母線電圧検出部16により検出した母線電圧Vdcが、Vdc_min<Vdc<Vdc_maxの状態の時に正常状態と判断して1を、それ以外の場合には0を出力する。
ここで、Vdc_maxは母線電圧上限値、Vdc_minは母線電圧下限値である。Vdc_max以上の過大な母線電圧の場合や、Vdc_min以下の過小な母線電圧の場合には、電圧比較部28は異常状態と判断して0を出力することで、加熱を停止するよう動作する。
温度検出部29は、電圧印加部19の温度であるインバータ温度Tinv、圧縮機1の温度Tc、外気温度Toを検出する。
温度比較部30は、予め設定したインバータの保護温度Tp_invとインバータ温度Tinvとを比較するとともに、予め設定した圧縮機1の保護温度Tp_cと圧縮機温度Tcとを比較する。そして、温度比較部30は、Tp_inv>Tinvの状態、かつ、Tp_c>Tcの状態では正常に動作していると判断して1を、それ以外の場合には0を出力する。
ここで、Tp_inv<Tinvとなった場合には、インバータ温度が高温になっており、また、Tp_c<Tcとなった場合には、圧縮機1内のモータ8の巻線温度が高温となっており、絶縁不良等の恐れがある。そのため、温度比較部30は、危険と判断して0を出力して加熱を停止するよう動作する。ここで、圧縮機1はモータ8の巻線に比べて熱容量が大きく、温度の上昇速度が巻線に比べて遅い点を考慮してTp_cを設定する必要がある。
第1論理積計算部31は、以上の電流比較部27、電圧比較部28、温度比較部30の出力値の論理積を出力する。電流比較部27、電圧比較部28、温度比較部30の出力値のいずれか1つでも異常状態の0となった場合には、第1論理積計算部31が0を出力して加熱を停止するよう動作させる。
なお、ここでは、電流I、母線電圧Vdc、温度Tinv、Tcを用いて加熱を停止する方法について述べたが、全てを用いなくてもよい。また、ここで述べた以外のパラメータを用いて加熱を停止するよう構成してもよい。
続いて、温度検出部29により検出した圧縮機1の温度Tcと外気温度Toに基づいて、寝込み判定部32により圧縮機1内の圧縮機1内に液冷媒が滞留した状態(冷媒が寝込んだ状態)か否かを判断する。
圧縮機1は冷凍サイクル中で最も熱容量が大きく、外気温Toの上昇に対して、圧縮機温度Tcは遅れて上昇するため、最も温度が低くなる。冷媒は冷凍サイクル中で最も温度が低い場所で滞留し、液冷媒として溜まるため温度の上昇時に圧縮機1内に冷媒が溜まる。そこで、寝込み判定部32は、To>Tcとなった場合には、冷媒が圧縮機1内に滞留していると判断して1を出力して加熱を開始し、To<Tcとなった場合に加熱を停止する。
なお、Toが上昇傾向の時や、Tcが上昇傾向の時に加熱を開始するよう制御してもよく、TcもしくはToの検出が困難になった場合にいずれか1つを用いて制御ができるため信頼性の高い制御が実現できる。
ここで、圧縮機温度Tc及び外気温度Toの両方が検出不可能になった場合、圧縮機1の加熱ができなくなる恐れがある。そこで、経過時間計測部33は、圧縮機1を加熱していない時間(Elapse_Time)を計測し、時間比較部34にて予め設定した制限時間Limit_Timeを超過した場合に1を出力して圧縮機1の加熱を開始する。ここで、一日の温度変化は太陽が昇る朝から昼にかけて温度が上昇し、日没から夜にかけて温度が低下するため、おおよそ12時間周期で温度の上昇低下が繰り返される。そのため、例えばLimit_Timeを12時間程度に設定しておけばよい。
なお、Elapse_Timeは圧縮機1への加熱を行った場合にリセット部35にてElapse_Timeを0に設定する。
論理和計算部36は、以上の寝込み判定部32と時間比較部34との出力値の論理和を出力する。寝込み判定部32と時間比較部34との出力値のいずれか一方でも加熱開始を表す1となった場合には、論理和計算部36が1を出力して圧縮機1への加熱を開始させる。
第2論理積計算部37は、第1論理積計算部31と論理和計算部36との出力値の論理積を、加熱判定部12の出力値として出力する。出力値が1の場合には、高周波電圧発生部11を動作させ、圧縮機1の加熱動作を行う。一方、出力値が0の場合には、高周波電圧発生部11を動作させず、圧縮機1の加熱動作をしない、あるいは、高周波電圧発生部11の動作を停止させ、圧縮機1の加熱動作を止める。
第2論理積計算部37で論理積を出力するため、第1論理積計算部31にて圧縮機1への加熱停止の信号0が出力されている場合には、論理和計算部36が加熱開始の信号1が出力されていても、加熱を停止させることができる。そのため、信頼性を確保しつつ、待機中の消費電力を最小限に抑えることが可能なヒートポンプ装置を得ることができる。
なお、寝込み判定部32は、圧縮機温度Tcと外気温度Toとに基づいて、圧縮機1内に液冷媒が滞留した状態を検出するとした。さらに、加熱量判断部38は、圧縮機温度Tcと外気温度Toとから圧縮機1内に滞留した液冷媒の量を特定する。そして加熱量判断部38は、特定した液冷媒の量に応じて、冷媒を圧縮機1の外部へ追い出すのに必要な電圧指令値Vcを計算して出力する。これにより、必要最小限の電力で圧縮機1内に液冷媒が滞留した状態を解消することが可能となり、消費電力削減による地球温暖化への影響を低減することが可能となる。
次に、インバータ制御部10の動作について説明する。
図7は、実施の形態1におけるインバータ制御部10の動作を示すフローチャートである。
(S1:加熱判断ステップ)
加熱判定部12は、圧縮機1の運転停止中に、上述した動作により高周波電圧発生部11を動作させるかを判断する。
高周波電圧発生部11を動作させると加熱判定部12が判断した場合、すなわち加熱判定部12の出力値が1(ON)の場合(S1でYES)、処理をS2へ進め、加熱用のPWM信号を発生させる。一方、高周波電圧発生部11を動作させないと加熱判定部12が判断した場合、すなわち加熱判定部12の出力値が0(OFF)の場合(S1でNO)、所定時間経過後に、再び高周波電圧発生部11を動作させるかを判断する。
(S2:電圧指令値生成ステップ)
選択部23は、電圧指令値V*と回転数指令値ω*とを選択し、積分器24は、選択部23が選択した回転数指令値ω*から電圧位相θを求める。そして、電圧指令生成部25は、選択部23が選択した電圧指令値V*と、積分器24が求めた電圧位相θとに基づき、式(1)〜式(3)により電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を計算し、計算した電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*をPWM信号生成部26へ出力する。
(S3:PWM信号生成ステップ)
PWM信号生成部26は、電圧指令生成部25が出力した電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*をキャリア信号と比較して、PWM信号UP、VP、WP、UN、VN、WNを得て、インバータ9へ出力する。これにより、インバータ9のスイッチング素子17a〜17fを駆動してモータ8に高周波電圧を印加する。
モータ8に高周波電圧を印加することにより、モータ8の鉄損と、巻線に流れる電流にて発生する銅損とで効率よくモータ8が加熱される。モータ8が加熱されることにより、圧縮機1内に滞留する液冷媒が加熱されて気化し、圧縮機1の外部へと漏出する。
所定の時間経過後、再びS1へ戻りさらに加熱が必要かを判定する。
以上のように、実施の形態1に係るヒートポンプ装置100では、圧縮機1内に液冷媒が滞留した状態である場合に、高周波電圧をモータ8へ印加するため、騒音を抑えつつ、効率的にモータ8を加熱できる。これにより、圧縮機1内に滞留した冷媒を効率的に加熱することができ、滞留した冷媒を圧縮機1の外部へ漏出させることができる。
なお、圧縮動作時の運転周波数以上の高周波電圧をモータ8に印加すれば、モータ8内のロータが周波数に追従できなくなり、回転や振動が発生することが無くなる。そこで、S2において、選択部23は、圧縮動作時の運転周波数以上となる回転数指令ω*を出力するのがよい。
一般に、圧縮動作時の運転周波数は、高々1kHzである。そのため、1kHz以上の高周波電圧をモータ8に印加すればよい。また、14kHz以上の高周波電圧をモータ8に印加すれば、モータ8の鉄心の振動音がほぼ可聴周波数上限に近づくため、騒音の低減にも効果がある。そこで、例えば、選択部23は、20kHz程度の高周波電圧となるような回転数指令ω*を出力する。
但し、高周波電圧の周波数はスイッチング素子17a〜17fの最大定格周波数を超えるとスイッチング素子17a〜17fの破壊による負荷もしくは電源短絡を起こし、発煙や発火に至る可能性がある。そのため、信頼性を確保するため高周波電圧の周波数は最大定格周波数以下にすることが望ましい。
また、近年のヒートポンプ装置用の圧縮機のモータには高効率化のためIPM(Interior Permanent Magnet)構造のモータや、コイルエンドが小さく巻線抵抗の低い集中巻きモータが広く用いられる。集中巻きモータは、巻線抵抗が小さく銅損による発熱量が少ないため、巻線に多量の電流を流す必要がある。巻線に多量の電流を流すと、インバータ9に流れる電流も多くなり、インバータ損失が大きくなる。
そこで、上述した高周波電圧印加による加熱を行うと、高周波数によるインダクタンス成分が大きくなり、巻線インピーダンスが高くなる。そのため、巻線に流れる電流が小さくなり銅損は減るものの、その分高周波電圧印加による鉄損が発生し効果的に加熱することができる。さらに、巻線に流れる電流が小さくなるため、インバータに流れる電流も小さくなり、インバータ9の損失も低減でき、より効率の高い加熱が可能となる。
また、上述した高周波電圧印加による加熱を行うと、圧縮機がIPM構造のモータである場合、高周波磁束が鎖交するロータ表面も発熱部となる。そのため、冷媒接触面増加や圧縮機構への速やかな加熱が実現されるため効率の良い冷媒の加熱が可能となる。
また、インバータ9を構成するスイッチング素子17a〜17fと、これに並列に接続された環流ダイオード18a〜18fには、現在一般的には珪素(Si)を材料とする半導体を用いるのが主流である。しかし、これに代えて、炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドを材料とするワイドバンドギャップ半導体を用いても良い。
このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチング素子やダイオード素子は、耐電圧性が高く、許容電流密度も高い。そのため、スイッチング素子やダイオード素子の小型化が可能であり、これら小型化されたスイッチング素子やダイオード素子を用いることにより、これらの素子を組み込んだ半導体モジュールの小型化が可能となる。
また、このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチング素子やダイオード素子は、耐熱性も高い。そのため、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や、水冷部の空冷化が可能であるので、半導体モジュールの一層の小型化が可能になる。
さらに、このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチング素子やダイオード素子は、電力損失が低い。そのため、スイッチング素子やダイオード素子の高効率化が可能であり、延いては半導体モジュールの高効率化が可能になる。
なお、スイッチング素子及びダイオード素子の両方がワイドバンドギャップ半導体によって形成されていることが望ましいが、いずれか一方の素子がワイドバンドギャップ半導体よって形成されていてもよく、この実施例に記載の効果を得ることができる。
その他、高効率なスイッチング素子として知られているスーパージャンクション構造のMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)を用いることでも同様の効果を得ることが可能である。
また、スクロール機構の圧縮機は、圧縮室の高圧リリーフが困難である。そのため、他の方式の圧縮機に比べ、液圧縮した場合に圧縮機構に過大なストレスが掛かり破損する可能性が高い。しかし、実施の形態1のヒートポンプ装置100では、圧縮機1の効率の良い加熱が可能であり、圧縮機1内の液冷媒の滞留を抑制することできる。そのため、液圧縮を防止することができるので、圧縮機1としてスクロール圧縮機を用いた場合にも効果的である。
さらに、周波数10kHz、出力50Wを超える加熱機器の場合、法令による制約を受ける場合もある。そのため、事前に50Wを超えないよう電圧指令値の振幅の調整や、流れる電流や電圧を検出して50W以下となるようフィードバック制御を行うようにしてもよい。
なお、インバータ制御部10は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)、マイクロコンピュータ(マイコン)、電子回路などで構成される。
実施の形態2.
実施の形態2では、高周波電圧の生成方法について説明する。
一般的なインバータの場合、キャリア信号の周波数であるキャリア周波数はインバータのスイッチング素子のスイッチングスピードにより上限が決まっている。そのため、搬送波であるキャリア周波数以上の高周波電圧を出力することは困難である。なお、一般的なIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の場合、スイッチングスピードの上限は20kHz程度である。
また、高周波電圧の周波数がキャリア周波数の1/10程度になると、高周波電圧の波形出力精度が悪化し直流成分が重畳するなど悪影響を及ぼす恐れがある。この点を考慮し、キャリア周波数を20kHzとした場合に、高周波電圧の周波数をキャリア周波数の1/10の2kHz以下とすると、高周波電圧の周波数は可聴周波数領域となり、騒音悪化が懸念される。
図8は、実施の形態2におけるインバータ制御部10の構成を示す図である。
実施の形態2におけるインバータ制御部10は、高周波電圧発生部11が、積分器24(図3参照)に代えて、基準位相θfに、選択部23にて切り換えられた位相θpと位相θnを加算して電圧位相θとする加算部39を備えることを除き、図3に示す実施の形態1におけるインバータ制御部10と同じである。そのため、同一の符号を付して説明は省略し、変更点のみ説明する。
実施の形態1では、回転数指令ω*を積分器24にて積分して電圧位相θを求めていた。これに対し、実施の形態2では、選択部23(位相切替部)が、位相θpと、位相θpとほぼ180度異なる位相θnとの2種類の電圧位相を交互に切り換える。そして、加算部39が、基準位相θfに、選択部23が選択した位相θp又は位相θnを加算して電圧位相θとする。
なお、以下の説明では、θp=0[度]、θn=180[度]として説明する。
次に、インバータ制御部10の動作について説明する。
なお、図7に示すS2の動作以外は、実施の形態1におけるインバータ制御部10と同じであるため、説明を省略する。
S2では、選択部23が、キャリア信号の頂(山)又は底(谷)のタイミングで、あるいは、頂及び底のタイミングで、位相θpと位相θnとを交互に切り替える。そして、加算部39が、基準位相θfに、選択部23が選択した位相θp又は位相θnを加算して電圧位相θとして電圧指令生成部25へ出力する。電圧指令生成部25は、電圧位相θと、電圧指令値V*とを用いて式(1)〜式(3)にて電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を得て、PWM信号生成部26へ出力する。
選択部23が位相θpと位相θnとを、キャリア信号の頂もしくは底、頂及び底のタイミングで切り替えることで、キャリア信号に同期したPWM信号を出力することが可能となる。
図9は、選択部23がキャリア信号の頂及び底のタイミングで、位相θpと位相θnとを交互に切り替えた場合のタイミングチャートである。なお、UPとUN、VPとVN、WPとWNはそれぞれオン/オフ状態が逆であり、一方がわかれば他方もわかるため、ここではUP、VP、WPのみを示している。また、ここでは、θf=0[度]としている。
この場合、図9に示すようにPWM信号が変化する。そして、電圧ベクトルはV0(UP=VP=WP=0)、V4(UP=1、VP=WP=0)、V7(UP=VP=WP=1)、V3(UP=0、VP=WP=1)、V0(UP=VP=WP=0)、・・・の順で変化する。
図10は、図9に示す電圧ベクトルの変化の説明図である。なお、図10では、破線で囲まれたスイッチング素子17がオン、破線で囲まれていないスイッチング素子17がオフの状態であることを表している。
図10に示すように、V0ベクトル、V7ベクトル印加時はモータ8の線間が短絡状態となり、電圧が出力されない無通電区間である。この場合、モータ8のインダクタンスに蓄えられたエネルギーが電流となって短絡回路中を流れる。また、V4ベクトル印加時には、U相を介してモータ8へ流入し、V相及びW相を介してモータ8から流出するU相方向の電流(+Iuの電流)が流れ、V3ベクトル印加時には、V相及びW相を介してモータ8へ流入し、U相を介してモータ8から流出する−U相方向の電流(−Iuの電流)がモータ8の巻線に流れる。つまり、V4ベクトル印加時と、V3ベクトル印加時とでは逆方向の電流がモータ8の巻線に流れる。そして、電圧ベクトルがV0、V4、V7、V3、V0、・・・の順で変化するため、+Iuの電流と−Iuの電流とが交互にモータ8の巻線に流れることになる。特に、図9に示すように、V4ベクトルとV3ベクトルとが1キャリア周期(1/fc)の間に現れるため、キャリア周波数fcに同期した交流電圧をモータ8の巻線に印加することが可能となる。
また、V4ベクトル(+Iuの電流)とV3ベクトル(−Iuの電流)とが交互に出力されるため、正逆のトルクが瞬時に切り替わる。そのため、トルクが相殺されることによりロータの振動を抑えた電圧の印加が可能となる。
図11は、選択部23がキャリア信号の底のタイミングで、位相θpと位相θnとを交互に切り替えた場合のタイミングチャートである。
この場合、図11に示すようにPWM信号が変化する。そして、電圧ベクトルはV0、V4、V7、V7、V3、V0、V0、V3、V7、V7、V4、V0、・・・の順で変化する。V4ベクトルとV3ベクトルとが2キャリア周期の間に現れるため、1/2キャリア周波数の交流電圧をモータ8の巻線に印加することが可能となる。
図12は、IPMモータのロータ位置(ロータの停止位置)の説明図である。ここでは、IPMモータのロータ位置φは、ロータのN極の向きがU相方向からずれた角度の大きさによって表される。
図13は、ロータ位置による電流変化を示す図である。IPMモータの場合、巻線インダクタンスはロータ位置に依存する。そのため、電気角周波数ωとインダクタンス値との積で表される巻線インピーダンスは、ロータ位置に応じて変動する。したがって、同一電圧を印加した場合においても、ロータ位置によって、モータ8の巻線に流れる電流が変動してしまい、加熱量が変化してしまう。その結果、ロータ位置によっては、必要な加熱量を得るために、多くの電力が消費される恐れがある。
そこで、時間の経過と共に基準位相θfを変化させ、ロータに満遍なく電圧を印加する。
図14は、θfを時間の経過とともに変化させた場合の印加電圧を示す図である。
ここでは、θfを時間の経過とともに、0度、45度、90度、135度、・・・と45度づつ変化させている。θfが0度であれば、電圧指令値の位相θは0度、180度となり、θfが45度であれば、電圧指令値の位相θは45度、225度となり、θfが90度であれば、電圧指令値の位相θは90度、270度となり、θfが135度であれば、電圧指令値の位相θは135度、315度となる。
つまり、初めに、θfが0度に設定され、所定の時間、電圧指令値の位相θがキャリア信号に同期して0度と180度とで切り替えられる。その後、θfが45度に切り替えられ、所定の時間、電圧指令値の位相θがキャリア信号に同期して45度と225度とで切り替えられる。その後、θfが90度に切り替えられ、・・・というように、所定の時間毎に、0度と180度、45度と225度、90度と270度、135度と315度、・・・と電圧指令値の位相θが切り替えられる。
これにより、時間の経過とともに、高周波交流電圧の通電位相が変化するため、ロータ停止位置によるインダクタンス特性の影響を排除することができ、ロータ位置に依存せず均一な圧縮機1の加熱が可能となる。
図15は、θfが0度(U相(V4)方向が0度)、30度、60度の時のモータ8のUVWの各相に流れる電流を表した図である。
θfが0度の場合には、図9に示すようにV0とV7との間に他の電圧ベクトル(スイッチング素子17a〜17fの正電圧側1つと負電圧側2つ、又は、正電圧側2つと負電圧側1つがオン状態となる電圧ベクトル)が1つのみ発生する。この場合、電流波形は台形状となり高調波成分の少ない電流となる。
しかし、θfが30度の場合には、V0とV7との間に異なる2つの電圧ベクトルが発生する。この場合、電流波形が歪み、高調波成分の多い電流となる。この電流波形の歪みはモータ騒音やモータ軸振動などの悪影響を与える恐れがある。
また、θfが60度の場合も、θfが0度の場合と同様に、V0とV7との間に他の電圧ベクトルが1つのみ発生する。この場合、電流波形は台形状となり、高調波成分が少ない電流となる。
このように、基準位相θfが60度のn倍(nは0以上の整数)の場合には、電圧位相θが60度の倍数となるため(ここでは、θp=0[度]、θn=180[度]である)、V0とV7との間に他の電圧ベクトルが1つのみ発生する。一方、基準位相θfが60度のn倍以外の場合には、電圧位相θが60度の倍数とならないため、V0とV7との間に他の電圧ベクトルが2つ発生してしまう。V0とV7との間に他の電圧ベクトルが2つ発生してしまうと、電流波形が歪み、高調波成分の多い電流となり、モータ騒音やモータ軸振動などの悪影響を与える恐れがある。したがって、基準位相θfは、0度、60度、・・・のように60度刻みで変化させることが望ましい。
以上のように、実施の形態2に係るヒートポンプ装置100では、位相θ1と、位相θ1とほぼ180度異なる位相θ2との二種類の位相をキャリア信号に同期させて交互に切り換えて、電圧指令値の位相とした。これにより、キャリア周波数に同期した高周波電圧をモータ8の巻線へ印加することができる。
また、実施の形態2に係るヒートポンプ装置100では、基準位相θfを時間の経過とともに変化させた。これにより、時間の経過とともに、高周波交流電圧の通電位相が変化するため、ロータ位置に依存せず均一な圧縮機1の加熱が可能となる。
実施の形態3.
実施の形態3では、大きな電流が流れることにより、モータ8やインバータ9が破損することを防止する方法について説明する。
図16は、実施の形態3におけるインバータ9の構成を示す図である。
実施の形態3におけるインバータ9は、電流検出部20がフィルタ部40を備えることと、比較部41及びPWM遮断部42(比較部41及びPWM遮断部42を総称して駆動信号停止部と呼ぶ)を備えることとを除き、図2に示す実施の形態1におけるインバータ9と同じである。そのため、同一の符号を付して説明は省略し、変更点のみ説明する。
フィルタ部40は、電流検出部20が検出した電流値Iのうち予め定められた周波数(第1周波数)以上の電流値を低減して電流値I_filとして出力する。比較部41は、フィルタ部40が出力した電流値I_filと予め定めた遮断レベルとを比較して、電流値I_filが遮断レベルよりも高いか否かを判定する。PWM遮断部42は、電流値I_filが遮断レベルよりも高いと判定された場合には、インバータ制御部10からインバータ9へのPWM信号の出力を遮断する。これにより、インバータ9からモータ8への電圧の出力が停止し、過大な電流がモータ8やインバータ9に流れなくなる。
図17は、モータ8に流れる電圧及び電流と、電流検出部20により検出される電流値とを示す図である。なお、図17において、電流検出部20により検出される電流値と重ねて示す破線は、モータ8に流れる電流値を参考のため示したものである。
V4ベクトルの区間ではモータ電圧は正となるため、モータ電流は負から正に流れる。続いてV7ベクトルの区間では、モータ電圧はゼロとなり、モータ8の線間が短絡されるよう動作するため、モータ8のインダクタンスに蓄えられたエネルギーがモータ8の抵抗成分とインダクタンス成分から求まる時定数にて減衰する。その後、V3ベクトルの区間ではモータ電圧が負となるため、正から負のモータ電流が流れ、V0ベクトルの区間では再びモータ8の線間が短絡されるよう動作するため、前述の時定数で減衰する。
前述の時定数は概ね数msec程度であり、出力周波数を20kHzとした場合の周期50μsecに対して十分長い。そのため、V0ベクトル及びV7ベクトルの区間では、V4ベクトル及びV3ベクトルの区間で発生した電流を保持するよう動作する。
上述した通り、V0ベクトルの区間とV7ベクトルの区間とでは、モータ電圧はゼロとなり、モータ8の線間が短絡されるよう動作する。そのため、電流検出部20には電流が流れない。したがって、V3、V4ベクトルの区間でのみ、電流検出部20に電流が流れ、電流値が検出される。なお、図5におけるV1、V2、V5、V6ベクトルの区間でも同様に、電流検出部20に電流が流れ、電流値が検出される。
正常な状態では巻線に巻線インピーダンスが存在するため、大きな電流が流れにくい。しかし、巻線異常等によりモータ8の線間等が短絡状態になった場合、インピーダンスが低下するため、大きな電流が流れ、モータ8やインバータ9が破損する恐れがある。
実施の形態3に係るヒートポンプ装置100では、上述したように、電流値I_filが遮断レベルよりも高いと比較部41が判定した場合、インバータ制御部10からインバータ9へのPWM信号の出力をPWM遮断部42が遮断する。これにより、インバータ9からモータ8への電圧の出力が停止し、過大な電流がモータ8やインバータ9に流れなくなり、モータ8やインバータ9が破損することが防がれる。
しかし、上述したように、比較部41は、電流検出部20が検出した電流値Iではなく、フィルタ部40が高周波数の電流値を雑音として低減した後の電流値I_filを入力としている。電流値Iではなく電流値I_filを入力としているのは、雑音による誤動作防止のためである。
図18は、電圧指令値V*と電流値Iとの関係を示す図である。
図18に示すように、電圧指令値V*が大きい場合、V4ベクトル及びV3ベクトルの区間が長くなる。そのため、電流検出部20に電流が流れる時間が十分に確保され、フィルタ部40により電流値Iの高周波成分が低減されたとしても、遮断レベルとの比較に十分な値が電流値I_filとして残される。その結果、インバータ9に遮断レベルを超える電流が流れた場合、保護信号がONになり、PWM遮断部によりPWM信号の出力が遮断される。
一方、電圧指令値V*が小さい場合、V4ベクトル及びV3ベクトルの区間が短くなる。そのため、電流検出部20に電流が流れる時間が十分に確保されず、フィルタ部40により電流値Iの高周波成分が低減されると、遮断レベルとの比較に十分な値が電流値I_filとして残らなくなってしまう。その結果、インバータ9に遮断レベルを超える電流が流れても、保護信号がONにならず、PWM遮断部によりPWM信号の出力が遮断されない。
つまり、電圧指令値V*が小さく、V4ベクトル及びV3ベクトルの区間が短いと、保護が必要な大きさの電流が流れているにも関わらず、PWM遮断部によりPWM信号の出力が遮断されない。そのため、インバータ9からモータ8への電圧印加が継続され、モータ8やインバータ9に過大な電流が流れ続けてしまい、モータ8やインバータ9が破損する恐れがある。
図19は、実施の形態3におけるインバータ制御部10の構成を示す図である。
図19に示すように、インバータ制御部10に電圧指令値制御部43を設ける。電圧指令値制御部43は、保護が必要な大きさの電流が流れた場合に、比較部41で電流値I_filが遮断レベルよりも高いと確実に判定されるように、電圧指令値V*(又は電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*)の下限値を設定する。そして、電圧指令値制御部43は、電圧指令値V*(又は電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*)を下限値以上となるように制御する。
この下限値は、フィルタ部40が低減させる周波数や、時定数等の設計値に応じて設定される。また、下限値は、比較部41の遮断レベルも合わせて考慮して設定されてもよい。下限値が正しく設定されることにより、様々なヒートポンプ装置においても確実な保護を行うことが可能となる。
図20は、電圧指令値V*とキャリア信号との関係を示す図である。
図20に示すように、電圧指令値V*が非常に大きくなった場合、UVW相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*がキャリア信号の頂と底との近傍で動作するようになる。一般的にインバータ制御部10を構成するマイコンは様々な種類があり、キャリア信号の頂と底との近傍での動作が異なる。そのため、マイコンによっては、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*がキャリア信号の頂と底との近傍で動作した場合に、出力電圧が低下することや、想定外のPWM信号が出力されインバータ9が破損すること等がある。
そこで、電圧指令値制御部43は、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*がキャリア信号の頂と底との近傍で動作しないように、電圧指令値V*(又は電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*)の上限値を設定する。この上限値は、インバータ制御部10として用いるマイコンに応じて定めればよい。例えば、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*が、キャリア信号の頂と底との値(つまり、キャリア信号の振幅値Vdc/2)と所定値以上離れるように、上限値が設定される。
図5に示す通り、インバータ9の直列接続部における2つのスイッチング素子(17aと17d、17bと17e、17cと17f)は、一方がオンの場合には他方がオフとなるように動作する。
しかし、スイッチング動作の遅れ等により、直列接続部における2つのスイッチング素子が同時にオン状態となり、短絡することによりインバータ9が破損する場合がある。そのため、一般的に、インバータ9には、直列接続部における一方のスイッチング素子17がオフしてから、他方のスイッチング素子をオンするまでにデッドタイム(短絡防止時間)を設けていることが多い。
図21は、デッドタイムとPWM信号との関係を示す図である。図21では、マイコン1とマイコン2との2つの例を示している。
マイコン1の場合、キャリア信号と電圧指令値Vu*とを比較して、キャリア信号が電圧指令値Vu*よりも高い場合、基本信号がハイになり、キャリア信号が電圧指令値Vu*よりも低い場合、基本信号がローになる。そして、基本信号がハイの場合、PWM信号UPがオン、UNがオフになり、基本信号がローの場合、PWM信号UNがオン、UNがオフになる。但し、基本信号が切り替わってから、デッドタイム(Tdカウンタの1カウント)の間はPWM信号の切り替えを行わない。そのため、図21の例では、本来PWM信号UNがオンとなるはずのタイミング(図21の破線で囲んだ区間)において、PWM信号UNがオンとならない。
マイコン2の場合、キャリア信号と電圧指令値Vu*とを比較して、キャリア信号が電圧指令値Vu*よりも高い場合、PWM信号UPがオンになり、キャリア信号が電圧指令値Vu*よりも低い場合、PWM信号UPがオフになる。また、キャリア信号を上にずらしたキャリア信号*と電圧指令値Vu*とを比較して、キャリア信号*が電圧指令値Vu*よりも高い場合、PWM信号UNがオンになり、キャリア信号*が電圧指令値Vu*よりも低い場合、PWM信号UNがオフになる。マイコン2の場合、キャリア信号とキャリア信号*とのずれにより、デッドタイムが設定されている。図21の例では、本来PWM信号UNがオンとなるはずのタイミング(図21の破線で囲んだ区間)において、PWM信号UNがオンとならない。
このように、デッドタイムが設けられている場合、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*がキャリア信号の頂と底との近傍で動作すると、一方のスイッチング素子17をオンとするPWM信号が縮小され、2つのスイッチング素子に対応するPWM信号が互いに逆の関係で動作しなくなる場合がある。
そこで、電圧指令値制御部43は、デッドタイムも考慮して、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*がキャリア信号の頂と底との近傍で動作しないように、電圧指令値V*(又は電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*)の上限値を設定する。例えば、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*が、キャリア信号の頂と底との値(つまり、キャリア信号の振幅値Vdc/2)から、デッドタイムから算出される所定値以上離れるように、上限値が設定される。
以上のように、実施の形態3に係るヒートポンプ装置100では、電圧指令値V*に下限値及び上限値を設定することにより、高周波電圧をモータ8へ印加する場合にも、モータ8やインバータ9が破損することを防止できる。
なお、上記説明では、電圧指令値V*と電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*とのどちらかを制限するとした。電圧指令値V*を制限した場合には、結果的に電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*が制限されることになるため、どちらを制限しても同じ効果が得られる。
実施の形態4.
実施の形態4では、ヒートポンプ装置100の回路構成の一例について説明する。
なお、例えば、図1では、圧縮機1と、四方弁2と、熱交換器3と、膨張機構4と、熱交換器5とが配管により順次接続されたヒートポンプ装置100について示した。実施の形態4では、より具体的な構成のヒートポンプ装置100について説明する。
図22は、実施の形態4に係るヒートポンプ装置100の回路構成図である。
図23は、図22に示すヒートポンプ装置100の冷媒の状態についてのモリエル線図である。図23において、横軸は比エンタルピ、縦軸は冷媒圧力を示す。
ヒートポンプ装置100は、圧縮機51と、熱交換器52と、膨張機構53と、レシーバ54と、内部熱交換器55と、膨張機構56と、熱交換器57とが配管により順次接続され、冷媒が循環する主冷媒回路58を備える。なお、主冷媒回路58において、圧縮機51の吐出側には、四方弁59が設けられ、冷媒の循環方向が切り替え可能となっている。また、熱交換器57の近傍には、ファン60が設けられる。また、圧縮機51は、上記実施の形態で説明した圧縮機1であり、インバータ9によって駆動されるモータ8と圧縮機構7とを有する圧縮機である。
さらに、ヒートポンプ装置100は、レシーバ54と内部熱交換器55との間から、圧縮機51のインジェクションパイプまでを配管により繋ぐインジェクション回路62を備える。インジェクション回路62には、膨張機構61、内部熱交換器55が順次接続される。
熱交換器52には、水が循環する水回路63が接続される。なお、水回路63には、給湯器、ラジエータや床暖房等の放熱器等の水を利用する装置が接続される。
まず、ヒートポンプ装置100の暖房運転時の動作について説明する。暖房運転時には、四方弁59は実線方向に設定される。なお、この暖房運転とは、空調で使われる暖房だけでなく、水に熱を与えて温水を作る給湯も含む。
圧縮機51で高温高圧となった気相冷媒(図23の点1)は、圧縮機51から吐出され、凝縮器であり放熱器となる熱交換器52で熱交換されて液化する(図23の点2)。このとき、冷媒から放熱された熱により、水回路63を循環する水が温められ、暖房や給湯に利用される。
熱交換器52で液化された液相冷媒は、膨張機構53で減圧され、気液二相状態になる(図23の点3)。膨張機構53で気液二相状態になった冷媒は、レシーバ54で圧縮機51へ吸入される冷媒と熱交換され、冷却されて液化される(図23の点4)。レシーバ54で液化された液相冷媒は、主冷媒回路58と、インジェクション回路62とに分岐して流れる。
主冷媒回路58を流れる液相冷媒は、膨張機構61で減圧され気液二相状態となったインジェクション回路62を流れる冷媒と内部熱交換器55で熱交換されて、さらに冷却される(図23の点5)。内部熱交換器55で冷却された液相冷媒は、膨張機構56で減圧されて気液二相状態になる(図23の点6)。膨張機構56で気液二相状態になった冷媒は、蒸発器となる熱交換器57で外気と熱交換され、加熱される(図23の点7)。そして、熱交換器57で加熱された冷媒は、レシーバ54でさらに加熱され(図23の点8)、圧縮機51に吸入される。
一方、インジェクション回路62を流れる冷媒は、上述したように、膨張機構61で減圧されて(図23の点9)、内部熱交換器55で熱交換される(図23の点10)。内部熱交換器55で熱交換された気液二相状態の冷媒(インジェクション冷媒)は、気液二相状態のまま圧縮機51のインジェクションパイプから圧縮機51内へ流入する。
圧縮機51では、主冷媒回路58から吸入された冷媒(図23の点8)が、中間圧まで圧縮、加熱される(図23の点11)。中間圧まで圧縮、加熱された冷媒(図23の点11)に、インジェクション冷媒(図23の点10)が合流して、温度が低下する(図23の点12)。そして、温度が低下した冷媒(図23の点12)が、さらに圧縮、加熱され高温高圧となり、吐出される(図23の点1)。
なお、インジェクション運転を行わない場合には、膨張機構61の開度を全閉にする。つまり、インジェクション運転を行う場合には、膨張機構61の開度が所定の開度よりも大きくなっているが、インジェクション運転を行わない際には、膨張機構61の開度を所定の開度より小さくする。これにより、圧縮機51のインジェクションパイプへ冷媒が流入しない。
ここで、膨張機構61の開度は、マイクロコンピュータ等の制御部により電子制御により制御される。
次に、ヒートポンプ装置100の冷房運転時の動作について説明する。冷房運転時には、四方弁59は破線方向に設定される。なお、この冷房運転とは、空調で使われる冷房だけでなく、水から熱を奪って冷水を作ることや、冷凍等も含む。
圧縮機51で高温高圧となった気相冷媒(図23の点1)は、圧縮機51から吐出され、凝縮器であり放熱器となる熱交換器57で熱交換されて液化する(図23の点2)。熱交換器57で液化された液相冷媒は、膨張機構56で減圧され、気液二相状態になる(図23の点3)。膨張機構56で気液二相状態になった冷媒は、内部熱交換器55で熱交換され、冷却され液化される(図23の点4)。内部熱交換器55では、膨張機構56で気液二相状態になった冷媒と、内部熱交換器55で液化された液相冷媒を膨張機構61で減圧させて気液二相状態になった冷媒(図23の点9)とを熱交換させている。内部熱交換器55で熱交換された液相冷媒(図23の点4)は、主冷媒回路58と、インジェクション回路62とに分岐して流れる。
主冷媒回路58を流れる液相冷媒は、レシーバ54で圧縮機51に吸入される冷媒と熱交換されて、さらに冷却される(図23の点5)。レシーバ54で冷却された液相冷媒は、膨張機構53で減圧されて気液二相状態になる(図23の点6)。膨張機構53で気液二相状態になった冷媒は、蒸発器となる熱交換器52で熱交換され、加熱される(図23の点7)。このとき、冷媒が吸熱することにより、水回路63を循環する水が冷やされ、冷房や冷凍に利用される。
そして、熱交換器52で加熱された冷媒は、レシーバ54でさらに加熱され(図23の点8)、圧縮機51に吸入される。
一方、インジェクション回路62を流れる冷媒は、上述したように、膨張機構61で減圧されて(図23の点9)、内部熱交換器55で熱交換される(図23の点10)。内部熱交換器55で熱交換された気液二相状態の冷媒(インジェクション冷媒)は、気液二相状態のまま圧縮機51のインジェクションパイプから流入する。
圧縮機51内での圧縮動作については、暖房運転時と同様である。
なお、インジェクション運転を行わない際には、暖房運転時と同様に、膨張機構61の開度を全閉にして、圧縮機51のインジェクションパイプへ冷媒が流入しないようにする。
また、上記説明では、熱交換器52は、冷媒と、水回路63を循環する水とを熱交換させるプレート式熱交換器のような熱交換器であるとして説明した。熱交換器52は、これに限らず、冷媒と空気を熱交換させるものであってもよい。
また、水回路63は、水が循環する回路ではなく、他の流体が循環する回路であってもよい。
以上のように、ヒートポンプ装置100は、空気調和機、ヒートポンプ給湯機、冷蔵庫、冷凍機等のインバータ圧縮機を用いたヒートポンプ装置に利用することができる。
1 圧縮機、2 四方弁、3 熱交換器、4 膨張機構、5 熱交換器、6 冷媒配管、7 圧縮機構、8 モータ、9 インバータ、10 インバータ制御部、11 高周波電圧発生部、12 加熱判定部、13 交流電源、14 整流器、15 平滑コンデンサ、16 母線電圧検出部、17 スイッチング素子、18 環流ダイオード、19 電圧印加部、20 電流検出部、21 テーブルデータ、22 外部入力部、23 選択部、24 積分器、25 電圧指令生成部、26 PWM信号生成部、27 電流比較部、28 電圧比較部、29 温度検出部、30 温度比較部、31 第1論理積計算部、32 寝込み判定部、33 経過時間計測部、34 時間比較部、35 リセット部、36 論理和計算部、37 第2論理積計算部、38 加熱量判断部、39 加算部、40 フィルタ部、41 比較部、42 PWM遮断部、43 電圧指令値制御部、51 圧縮機、52,57 熱交換器、53,56,61 膨張機構、54 レシーバ、55 内部熱交換器、58 主冷媒回路、59 四方弁、60 ファン、62 インジェクション回路、63 水回路、100 ヒートポンプ装置。

Claims (13)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機構を有する圧縮機と、
    前記圧縮機が有する前記圧縮機構を動作させるモータと、
    前記モータに電圧を印加するインバータと、
    前記インバータへ駆動信号を出力して前記インバータを制御するインバータ制御部とを備え
    前記インバータに流れる電流値を検出し、検出した電流値のうち予め定められた第1周波数以上の電流値を低減し、
    その電流値が予め定められた電流値以上である場合、前記インバータ制御部から前記インバータへの駆動信号の出力を停止し、
    前記インバータ制御部は、
    電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成部を備え
    前記電圧指令生成部が生成する電圧指令値が、前記第1周波数に応じて定められた下限値以上の値となるように、電圧指令値の値を制御す
    とを特徴とするヒートポンプ装置。
  2. 前記インバータ制御部は、さらに、
    予め定められた第2周波数の基準信号に同期して、位相を切り替えて出力する位相切替部
    を備え、
    前記電圧指令生成部は、振幅値V*前記位相切替部が出力した位相とを用いて、前記電圧指令値を生成し、
    前記インバータ制御部は、前記振幅値V*を、前記第1周波数に応じて定められた第1の値以上とすることにより、前記電圧指令値が前記下限値以上の値となるようにする
    ことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
  3. 前記インバータ制御部は、記電圧指令生成部が生成する電圧指令値が、前記基準信号の振幅値に応じて定められた上限値以下の値となるように、前記電圧指令値の値を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
  4. 前記インバータ制御部は、さらに、
    前記基準信号に同期して、位相を切り替えて出力する位相切替部
    を備え、
    前記電圧指令生成部は、振幅値V*前記位相切替部が出力した位相とを用いて、前記電圧指令値を生成し、
    前記インバータ制御部は、前記振幅値V*を、前記基準信号の振幅値に応じて定められた第2の値以下とすることにより、前記電圧指令値が前記上限値以下の値となるようにする
    ことを特徴とする請求項3に記載のヒートポンプ装置。
  5. 前記インバータは、2つのスイッチング素子が直列に接続された直列接続部を有し、前記直列接続部における2つのスイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子がオフとなってから予め定められた短絡防止時間が経過するまでは他方のスイッチング素子をオンとせず、
    前記インバータ制御部は、記振幅値V*を、前記基準信号の振幅値と、前記短絡防止時間とに応じて定められた前記第2の値以下とする
    ことを特徴とする請求項4に記載のヒートポンプ装置。
  6. 前記基準信号は、頂と底とが特定可能な信号であり、
    前記位相切替部は、前記基準信号の頂と底とのタイミングで前記位相を切り替える
    ことを特徴とする請求項2,4または5に記載のヒートポンプ装置。
  7. 前記位相切替部は、予め定められた時間毎に切り替え対象となる位相の位相角を変更しつつ、前記基準信号に同期して、前記位相を切り替えて出力する
    ことを特徴とする請求項2,4,5または6に記載のヒートポンプ装置。
  8. 前記インバータ制御部は、さらに、
    前記圧縮機に冷媒を圧縮させる圧縮運転の停止時に、前記圧縮機を加熱する加熱運転を実行するか否かを判定する加熱判定部
    を備え、
    前記インバータ制御部は、記加熱判定部が加熱運転を実行すると判定した場合に、前記各駆動信号を前記インバータへ出力することにより、前記圧縮運転時に前記インバータに発生させる交流電圧よりも周波数の高い高周波交流電圧を前記インバータに発生させる
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
  9. 前記インバータを構成するスイッチング素子は、ワイドギャップ半導体である
    ことを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載のヒートポンプ装置。
  10. 前記ワイドギャップ半導体は、SiC、GaN、ダイヤモンドのいずれかである
    ことを特徴とする請求項9に記載のヒートポンプ装置。
  11. 前記インバータを構成するスイッチング素子は、スーパージャンクション構造のMOSFETである
    ことを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載のヒートポンプ装置。
  12. 冷媒を圧縮する圧縮機構を有する圧縮機と、第1熱交換器と、膨張機構と、第2熱交換器とが配管により順次接続された冷媒回路を備えるヒートポンプ装置と、前記冷媒回路に接続された前記第1熱交換器で冷媒と熱交換された流体を利用する流体利用装置とを備えるヒートポンプシステムであり、
    前記ヒートポンプ装置は、さらに、
    前記圧縮機が有する前記圧縮機構を動作させるモータと、
    前記モータに電圧を印加するインバータと、
    前記インバータへ駆動信号を出力して前記インバータを制御するインバータ制御部と、
    前記インバータに流れる電流値を検出し、検出した電流値のうち予め定められた第1周波数以上の電流値を低減して出力する電流検出部と、
    前記電流検出部が出力した電流値が予め定められた電流値以上である場合、前記インバータ制御部から前記インバータへの駆動信号の出力を停止させる駆動信号停止部と
    を備え、
    前記インバータ制御部は、
    電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成部と、
    前記電圧指令生成部が出力した電圧指令値と予め定められた第2周波数の基準信号の値とを比較して、比較結果に基づき駆動信号を生成し、生成した駆動信号を前記インバータへ出力する駆動信号生成部と、
    前記電圧指令生成部が生成する電圧指令値が、前記第1周波数に応じて定められた下限値以上の値となるように、電圧指令値の値を制御する電圧指令値制御部と
    を備えることを特徴とするヒートポンプシステム。
  13. 冷媒を圧縮する圧縮機構を有する圧縮機と、
    前記圧縮機が有する前記圧縮機構を動作させるモータと、
    前記モータに電圧を印加するインバータと
    を備えるヒートポンプ装置における前記インバータの制御方法であり、
    前記インバータに流れる電流値を検出し、検出した電流値のうち予め定められた第1周波数以上の電流値を低減して出力する電流検出工程と、
    電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成工程と、
    前記電圧指令生成工程で出力した電圧指令値と予め定められた第2周波数の基準信号の値とを比較して、比較結果に基づき駆動信号を生成し、生成した駆動信号を前記インバータへ出力する駆動信号生成工程と、
    前記電圧指令生成工程で生成する電圧指令値が、前記第1周波数に応じて定められた下限値以上の値となるように、電圧指令値の値を制御する電圧指令値制御工程と、
    前記電流検出工程で出力した電流値が予め定められた電流値以上である場合、前記駆動信号生成工程での前記インバータへの駆動信号の出力を停止させる駆動信号停止工程と
    を備えることを特徴とするインバータの制御方法。
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