JP5636905B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
[形態1]
燃料電池を備える燃料電池システムであって、
ポンプが設けられ、前記燃料電池内に設けられた冷媒流路に冷媒を通過させるための冷媒流通部と、
前記燃料電池システムの動作を制御する制御部と、を備え、
前記燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜の一方の面上に設けられたカソードと、前記電解質膜の他方の面上に、前記カソードの熱容量よりも小さい熱容量となるように設けられたアノードと、を有する燃料電池セルから構成されており、
前記制御部は、
少なくとも前記燃料電池の出力電圧および出力電流に基づいて、前記アノードの温度と前記アノードの温度よりも高い前記カソードの温度との平均温度である前記燃料電池の内部温度を推定する温度推定部と、
前記内部温度が水の凝固点以下となる低温時において前記燃料電池の発電を開始した後、前記ポンプを起動する場合において、前記燃料電池内の水が凍結しないように、前記温度推定部による推定温度に基づいて前記ポンプの起動および停止を制御するポンプ制御部と、を含み、
前記ポンプ制御部は、
前記ポンプの起動によって前記冷媒流通部から前記燃料電池内に前記冷媒が流入することにより、前記ポンプの起動直前の前記温度推定部による起動前推定温度が前記ポンプの起動直後の前記温度推定部による起動後推定温度まで低下したとしても、前記起動後推定温度が前記水の凝固点以下とならないような温度として予め規定された起動温度まで、前記起動前推定温度が上昇した場合に、前記ポンプを起動させることにより、前記アノードの温度が前記水の凝固点以下となることを許容しつつ、前記カソードの温度が前記水の凝固点以下とならないように制御する
ことを特徴とする燃料電池システム。
形態1に記載の燃料電池システムでは、温度推定部による燃料電池内の推定温度が、水の凝固点以下とならないように、推定温度に基づいてポンプの起動および停止を制御している。特に、起動後推定温度が水の凝固点以下とならないような温度として予め規定された起動温度まで、起動前推定温度が上昇した場合に、ポンプを起動させることにより、アノードの温度が水の凝固点以下となることを許容しつつ、カソードの温度が水の凝固点以下とならないように制御している。このため、燃料電池の起動前に、燃料電池内のカソードに残っていた残水の再凍結を抑制することができ、残水の再凍結に起因する触媒層の劣化を抑制することが可能となる。
[形態2]
形態1記載の燃料電池システムであって、
前記ポンプ制御部は、
前記ポンプの起動中の前記温度推定部による起動中推定温度が、前記水の凝固点以下とならないような温度として予め規定された停止温度まで低下した場合に、前記ポンプを停止させる
ことを特徴とする燃料電池システム。
形態2記載の燃料電池システムによれば、推定温度が水の凝固点以下とならないように、ポンプの起動と停止を容易に制御することが可能である。
燃料電池を備える燃料電池システムであって、
ポンプが設けられ、前記燃料電池内に設けられた冷媒流路に冷媒を通過させるための冷媒流通部と、
前記燃料電池システムの動作を制御する制御部と、を備え、
前記燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜の一方の面上に設けられたカソードと、前記電解質膜の他方の面上に、前記カソードの熱容量よりも小さい熱容量となるように設けられたアノードと、を有する燃料電池セルから構成されており、
前記制御部は、
少なくとも前記燃料電池の出力電圧および出力電流に基づいて前記燃料電池の内部温度を推定する温度推定部と、
前記内部温度が水の凝固点以下となる低温時において前記燃料電池の発電を開始した後、前記ポンプを起動する場合において、前記温度推定部による推定温度が水の凝固点以下とならないように、前記推定温度に基づいて前記ポンプの起動および停止を制御するポンプ制御部と、を含む
ことを特徴とする燃料電池システム。
適用例1に記載の燃料電池システムでは、温度推定部による燃料電池内の推定温度が、水の凝固点以下とならないように、推定温度に基づいてポンプの起動および停止を制御している。このため、燃料電池の起動前に、燃料電池内に残っていた残水の再凍結を抑制することができ、残水の再凍結に起因する触媒層の劣化を抑制することが可能となる。
適用例1記載の燃料電池システムであって、
前記ポンプ制御部は、
前記ポンプの起動によって前記冷媒流通部から前記燃料電池内に前記冷媒が流入することにより、前記ポンプの起動直前の前記温度推定部による起動前推定温度が前記ポンプの起動直後の前記温度推定部による起動後推定温度まで低下したとしても、前記起動後推定温度が前記水の凝固点以下とならないような温度として予め規定された起動温度まで、前記起動前推定温度が上昇した場合に、前記ポンプを起動させ、
前記ポンプの起動中の前記温度推定部による起動中推定温度が、前記水の凝固点以下とならないような温度として予め規定された停止温度まで低下した場合に、前記ポンプを停止させる
ことを特徴とする燃料電池システム。
適用例2記載の燃料電池システムによれば、推定温度が水の凝固点以下とならないように、ポンプの起動と停止を容易に制御することが可能である。
A.装置の全体構成:
B.冷却制御:
C.変形例:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池システム10の構成を示す説明図である。この燃料電池システム10は、燃料電池により得られた電力を駆動用電力として用いる電気自動車に搭載された例を示している。燃料電池システム10は、燃料電池20と、空気供給部30と、水素供給部40と、冷却部50と、電力制御部60と、制御部70と、を備えている。
図3は起動時冷却制御ルーチンについて示すフローチャートである。図4は、起動時冷却制御により変化する燃料電池20の内部温度(FC内部温度)について示す説明図である。この起動時制御ルーチンは、電気自動車の起動前においては、暗電流にて実行される。図示するように、処理が開始されると、CPU71は、まず、始動スイッチ74がオン状態にあるか否かを判定する(ステップS100)。ここで、始動スイッチ74がオン状態でない、すなわちオフ状態であると判定されたときには、CPU71は、ステップS100の処理を繰り返し得、始動スイッチ74が操作者によって操作されてオン状態となるのを待つ。
T2(燃料電池内部温度[K])=ΣHfc(燃料電池発熱量の積算値[kJ])÷Cfc(燃料電池熱容量[kJ/K])+T0(燃料電池起動前温度) ・・・(1)
Hfc(燃料電池発熱量[kW]=Ifc(出力電流[A])×(Vth(理論起電圧[V]―Vfc(出力電圧[V])×10−3 ・・・(2)
そして、燃料電池20を構成する燃料電池セル25は、カソードの熱容量がアノードの熱容量よりも小さくなるように構成されている。これにより、燃料電池の内部温度は氷点下で起動時を開始して0[℃]以上に上昇して、冷却ポンプの運転が開始されて以降は、0[℃]以下とならないように推移する。そして、このとき、上記したように、燃料電池セルのアノードの熱容量Canがカソードの熱容量Ccaよりも小さくなるように構成されているので、平均温度である内部温度が0[℃]であっても、カソードの温度は0[℃]以上となることが想定される。これにより、カソードで生成される水が凍結してしまうのを抑制することができ、水の凍結に起因する触媒層の劣化を抑制することができる。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施例では、アノード側のガス拡散層27A、ガス流路層28A、および、セパレータ29Aのいずれもが、対応するカソード側のガス拡散層27C、ガス流路層28C、および、セパレータ29Cよりも熱容量が小さくなるように構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも、アノードの一つの要素の熱容量がカソードの対応する一つの要素の熱容量に比べて小さく、アノード全体の熱容量がカソード全体の熱容量よりも小さくなる構成であればよい。
上記実施例では、ガス拡散層27A,27Cとセパレータ29A、29Cとの間に多孔体のガス流路層28A,28Cを有する燃料電池セルを例に説明したが、これに限定されるものではなく、セパレータのガス拡散層側の面に溝状のガス流路が形成されている構成であってもよい。
上記実施例の冷却制御では、燃料電池20の内部温度の推定値T2が氷点(0[℃])未満とならないように、推定値T2がポンプの起動温度TAを超えたら冷却ポンプの運転を開始し、推定値T2が停止温度(0[℃])まで低下したら冷却ポンプ56の運転を停止する制御を行っているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、異なる温度を停止温度として冷却ポンプ56の運転と停止を制御してもよい。例えば、0[℃]よりも高い温度(5[℃]や10[℃])をポンプの停止温度としてもよい。このような判断基準温度は、温度センサー57や電圧センサー66、電流センサー67等の検出の精度や、燃料電池20を構成する各燃料電池セルの内部温度のばらつき状態などを考慮して、より確実に生成水の凍結を防止できるように設定される。
上記実施例における燃料電池20の内部温度は、出力電圧と出力電流に基づく燃料電池20の発熱量を求めて、燃料電池20の熱容量と発熱量から温度上昇量を求め、起動前の燃料電池の温度と温度上昇量から内部温度を推定している。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、燃料電池を構成する代表的な燃料電池セルの温度を温度センサーを用いて求め、出力電圧と出力電流に基づいて求められる燃料電池20の発熱量と、求めた燃料電池セルの温度とに基づいて、燃料電池20の内部温度を推定するようにしてもよい。また、燃料電池を構成する代表的な燃料電池セルの温度を温度センサーを用いて求めるとともに、出力電圧および出力電流と各燃料電池セルの温度分布をあらかじめ実験的に求めておき、これに基づいて燃料電池の内部温度として各燃料電池セルの平均値を求めるようにしてもよい。すなわち、少なくとも燃料電池の出力電圧および出力電流に基づいて、燃料電池20の内部温度を推定することができれば、どのような構成であってもよい。
上記実施例では電気自動車に搭載された燃料電池システムを例に説明しているが、これに限定されるものではなく、二輪車や船舶、飛行機、ロボット等の種々の移動体に適用可能である。また、機動体に搭載された燃料電池システムに限らず、定置型の燃料電池システムや携帯型の燃料電池システムにも適用可能である。
20…燃料電池
21,22…出力端子
25…燃料電池セル
27A,27C…ガス拡散層
28A,28C…ガス流路層
29A,29C…セパレータ
29L…冷媒流路
30…空気供給部
32…配管
34…配管
40…水素供給部
42…配管
44…配管
50…冷却部
52…循環流路
54…ラジエータ
55…冷却ファン
56…冷却ポンプ
57,58…温度センサー
60…電力制御部
61…出力制御部
62…モータ
63…二次電池制御部
64…二次電池
66…電圧センサー
67…電流センサー
70…制御部
71…CPU
71a…起動部
71b…温度推定部
71c…ポンプ制御部
72…メモリ
73…入出力部
74…始動スイッチ
Claims (2)
- 燃料電池を備える燃料電池システムであって、
ポンプが設けられ、前記燃料電池内に設けられた冷媒流路に冷媒を通過させるための冷媒流通部と、
前記燃料電池システムの動作を制御する制御部と、を備え、
前記燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜の一方の面上に設けられたカソードと、前記電解質膜の他方の面上に、前記カソードの熱容量よりも小さい熱容量となるように設けられたアノードと、を有する燃料電池セルから構成されており、
前記制御部は、
少なくとも前記燃料電池の出力電圧および出力電流に基づいて、前記アノードの温度と前記アノードの温度よりも高い前記カソードの温度との平均温度である前記燃料電池の内部温度を推定する温度推定部と、
前記内部温度が水の凝固点以下となる低温時において前記燃料電池の発電を開始した後、前記ポンプを起動する場合において、前記燃料電池内の水が凍結しないように、前記温度推定部による推定温度に基づいて前記ポンプの起動および停止を制御するポンプ制御部と、を含み、
前記ポンプ制御部は、
前記ポンプの起動によって前記冷媒流通部から前記燃料電池内に前記冷媒が流入することにより、前記ポンプの起動直前の前記温度推定部による起動前推定温度が前記ポンプの起動直後の前記温度推定部による起動後推定温度まで低下したとしても、前記起動後推定温度が前記水の凝固点以下とならないような温度として予め規定された起動温度まで、前記起動前推定温度が上昇した場合に、前記ポンプを起動させることにより、前記アノードの温度が前記水の凝固点以下となることを許容しつつ、前記カソードの温度が前記水の凝固点以下とならないように制御する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1記載の燃料電池システムであって、
前記ポンプ制御部は、
前記ポンプの起動中の前記温度推定部による起動中推定温度が、前記水の凝固点以下とならないような温度として予め規定された停止温度まで低下した場合に、前記ポンプを停止させる
ことを特徴とする燃料電池システム。
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