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JP5636711B2 - 溶融加工用樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

溶融加工用樹脂組成物及びその成形品 Download PDF

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Description

本発明は溶融加工用樹脂組成物に関り、詳しくは、広い成形温度幅を持ち、押出成形やブロー成形等の溶融加工において、成形条件に過度な制約を受けることなく、幅広い成形条件において、良好な艶消し表面を与える溶融加工用樹脂組成物に関する。
本発明はまた、この溶融加工用樹脂組成物を溶融加工してなる成形品に関する。
ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等の熱可塑性樹脂は、良好な表面光沢と機械的特性を持ち、種々の用途に使用されているが、建材用途やエクステリア部材においては、意匠性や高級感等を目的として光沢のない成形品表面が求められるものがある。
また、生産性(単位時間あたりの生産量)向上のために、広い成形温度幅の材料が求められている。
従来の樹脂成形品の艶消しの方法としては、例えば、樹脂に塩素化ポリエチレン、三酸化ビスマス、及びトリクレジルフォスフェートを添加する方法(特許文献1)、不飽和カルボン酸エステル単位を含む重合体を配合する方法(特許文献2)、エポキシ基含有オレフィン共重合体を配合する方法(特許文献3、4)、グラフト率の低いグラフト重合体を用いる方法(特許文献5)、シアン化ビニル単量体の量に差をつける方法(特許文献6)が挙げられる。
特公昭49−44582号公報 特開昭56−133353号公報 特開昭59−89346号公報 特開昭60−18536号公報 特公昭62−59725号公報 特開2005−76015号公報
しかしながら、上記従来技術は、製品表面の粗さや、艶消し効果は発揮するものの、部分的な艶ムラなど安定した成形性が得られないといった課題や、樹脂温度が低い条件では艶消し効果は発揮するものの、樹脂温度が上昇すると艶消し効果を発揮せず成形温度幅が狭いといった課題がある。
また、特に押出成形、ブロー成形などの溶融加工法による成形品は、射出成形品と異な
り圧力による金型転写がないことから、成形品表面の光沢はポリシングロールや金型の温度や成形時の樹脂温度等の影響を受けて変化し、成形条件幅が狭く生産性(単位時間あたりの生産量)の向上が難しい。
本願発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、幅広い成形温度幅を持ち、押出成形やブロー成形等の溶融加工において幅広い成形条件において良好な艶消し表面を与える溶融加工用樹脂組成物及びその成形品を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のグラフト共重合体とビニル共重合体からなり、アセトン不溶分のシアン化ビニル単位の含有量とアセトン可溶分のシアン化ビニル単位の含有量との差が小さい樹脂組成物が、上記課題を解決することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達せされたものであり、以下を要旨とする。
[1] ゴム質重合体に、少なくとも芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体を含むビニル単量体を重合してなるグラフト共重合体(A)と、少なくとも芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体を含むビニル単量体を共重合させてなるビニル共重合体(B)とを配合してなる溶融加工用樹脂組成物であって、該ゴム質重合体が、ポリブタジエン、及び、ブタジエンとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体から選ばれる1種又は2種以上であり、該溶融加工用樹脂組成物のゴム質重合体の含有量が12.5〜30質量%で、該溶融加工用樹脂組成物のアセトン不溶分中のゴム質重合体を除くビニル単量体単位の総量に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(GA)が10〜20質量%であり、且つ、該溶融加工用樹脂組成物のアセトン可溶分中に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(質量%)(RA)と、該溶融加工用樹脂組成物のアセトン不溶分中のゴム質重合体を除くビニル単量体単位の総量に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(質量%)(GA)との差の絶対値(SA=|RA−GA|)が10質量%以下であることを特徴とする溶融加工用樹脂組成物。
[2] [1]において、該溶融加工用樹脂組成物のアセトン可溶分中に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(RA)が15〜35質量%であることを特徴とする溶融加工用樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]に記載の溶融加工用樹脂組成物を溶融加工してなることを特徴とする成形品。
本発明の溶融加工用樹脂組成物は広い成形温度幅を持つため、押出成形やブロー成形等の溶融加工において、成形条件に過度な制約を受けることなく、幅広い成形条件において、良好な艶消し表面を有する成形品を得ることができる。
このような本発明の溶融加工用樹脂組成物を溶融加工してなる本発明の成形品は、特に建材用途やエクステリア部材に好適に用いられる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、以下において、「(共)重合」は「重合」と「共重合」の双方を意味する。
[溶融加工用樹脂組成物]
本発明の溶融加工用樹脂組成物は、ゴム質重合体に、少なくとも芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体を含むビニル単量体を重合してなるグラフト共重合体(A)と、少なくとも芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体を含むビニル単量体を共重合させてなるビニル共重合体(B)とを配合してなる溶融加工用樹脂組成物であって、該溶融加工用樹脂組成物のゴム質重合体の含有量が12.5〜30質量%で、該溶融加工用樹脂組成物のアセトン不溶分中のゴム質重合体を除くビニル単量体単位の総量に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(GA)が10〜20質量%であり、且つ、該溶融加工用樹脂組成物のアセトン可溶分中に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(質量%)(RA)との差の絶対値(SA=|RA−GA|)が10質量%以下であることを特徴とする。
<グラフト共重合体(A)>
本発明に係るグラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体と、必要に応じて用いられるこれらのビニル単量体と共重合可能なビニル単量体(以下「共重合性ビニル単量体」と称す場合がある。)をグラフト重合してなるものである。
ここで使用されるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエンとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系共重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステルとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のようなアクリル酸エステル系共重合体、エチレン−プロピレンまたはブテン(好ましくはプロピレン)−非共役ジエン共重合体、ポリオルガノシロキサン系(共)重合体等が挙げられる。
ここで、ポリブタジエンとしてはシス、トランスなどの構造のものなどを総称し、ポリブタジエンとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系共重合体としては、SBR(スチレン−ブタジエン共重合ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)などが挙げられる。
また、アクリル酸エステル(共)重合体のアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートなどが挙げられる。
これらのゴム質重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
ゴム質重合体にグラフトさせるビニル単量体混合物は、少なくとも芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体とを含有し、必要に応じてこれらと共重合可能な共重合性ビニル単量体を含有することができる。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−又はp−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン及びビニルナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
これらの芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等を挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
共重合性ビニル単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート(「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレート」を示す)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類等を挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明に係るグラフト共重合体(A)としては、具体的にはABS(ポリブタジエン−スチレン−アクリロニトリル)樹脂、ASA(アクリルゴム−スチレン−アクリロニトリル)樹脂、AES(エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム−スチレン−アクリロトリル)樹脂、SAS(ポリオルガノシロキサン系ゴム−スチレン−アクリロトリル)樹脂が挙げられる。
本発明に係るグラフト共重合体(A)としては、特にゴム質重合体30〜75質量部、好ましくは40〜70質量部の存在下で、少なくともシアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体を含むビニル単量体混合物25〜70質量部、好ましくは30〜60質量部をグラフト重合することにより製造したものを用いると、得られる溶融加工用樹脂組成物のゴム質重合体の含有量を12.5〜30質量%の範囲に調整しやすい(ただし、ゴム質重合体とビニル単量体混合物との合計で100質量部)。
グラフト共重合体(A)の製造方法としては特に制限はいが、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法を採用することができる。例えば、ゴム質重合体の存在下、ビニル単量体混合物と重合開始剤を添加して乳化重合する方法が挙げられる。また、この乳化重合の際に用いられる重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩又はクメンハイドロパーオキサイド−ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等のレドックス系重合開始剤が挙げられる。
<ビニル共重合体(B)>
本発明に係るビニル共重合体(B)は、芳香族ビニル単量体と、シアン化ビニル単量体と、必要に応じて用いられるこれらの共重合可能な他の共重合性ビニル単量体とを共重合してなるものであり、ビニル共重合体(B)を製造する際に用いる芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及び共重合性ビニル単量体としては、各々前述のグラフト共重合体(A)を製造する際に用いることができる芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及び共重合性ビニル単量体として例示したものが挙げられ、それぞれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ビニル共重合体(B)の製造方法としては特に制限はなく、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状懸濁重合法、乳化重合等の公知の方法が挙げられる。
本発明において、ビニル共重合体(B)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン換算値で好ましくは50000〜300000である。
ビニル共重合体(B)の質量平均分子量が、上記範囲内であると耐衝撃性及び/または耐熱性が選りすぐれる傾向となり、物性バランスの良好な樹脂組成物が得られる。
<ゴム質重合体の含有量>
本発明の溶融加工用樹脂組成物においては、溶融加工用樹脂組成物に占めるゴム質重合体の含有量が12.5〜30質量%である。
組成物中のゴム質重合体の含有量が12.5質量%未満では、艶消し効果が小さくなり、耐衝撃性も低下する。また、ゴム質重合体の含有量が30質量%を超えると、成形性が悪くなる傾向にある。
本発明の溶融加工用樹脂組成物のゴム質重合体の好ましい含有量は13〜29質量%であり、より好ましくは15〜28質量%である。
溶融加工用樹脂組成物中のゴム質重合体の含有量は、後述の実施例の項に記載される方法で求めることができる。
<アセトン不溶分>
本発明の溶融加工用樹脂組成物においては、アセトン不溶分中のゴム質重合体を除くビニル単量体単位の総量に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(GA)(以下「アセトン不溶分中のゴムを除くAN量(GA)」と称す場合がある。)が10〜20質量%である。
本発明の溶融加工用樹脂組成物のアセトン不溶分中のゴムを除くAN量(GA)が上記下限より少ないと耐衝撃性が低下し、上記上限より多いと艶消し効果が小さくなる。
アセトン不溶分中のゴムを除くAN量(GA)は特に10.5〜18質量%であることが好ましい。
このアセトン不溶分中のゴムを除くAN量(GA)は、後述の実施例の項に記載される方法で求めることができる。
<アセトン可溶分>
本発明の溶融加工用樹脂組成物のアセトン可溶分とは、ビニル共重合体(B)及びグラフト共重合体(A)の製造時に生じたゴム質重合体にグラフト反応せずに遊離した状態で(共)重合が完了した(共)重合体である。本発明において、溶融加工用樹脂組成物のアセトン可溶分に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(RA)(以下「アセトン可溶分中のAN量(RA)」と称す場合がある。)については特に制限はないが、15〜35質量%であることが好ましく、18〜30質量%であることがより好ましい。
本発明の溶融加工用樹脂組成物のアセトン可溶分中のAN量(RA)が上記範囲内であると耐衝撃性、艶消し性のバランスが良い。
このアセトン可溶分中のAN量(RA)は、後述の実施例の項に記載される方法で求めることができる。
<|RA−GA|>
本発明の溶融加工用樹脂組成物は、上記のアセトン可溶分中のAN量(RA)とアセトン不溶分中のゴムを除くAN量(GA)との差の絶対値(SA)(=|RA−GA|)が10質量%以下であることを特徴とする。この差の絶対値(SA)が10質量%を超えると、成形温度幅が狭くなり、好ましくない。この差の絶対値(SA)は小さい程好ましく、好ましくは9.5質量%以下である。
<無機充填材>
本発明の溶融加工用樹脂組成物には、無機充填材を配合することによって、成形品の改質や成形性の改良を行うことができる。無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、中空ガラス、炭素繊維、タルク、マイカ、金属繊維、ワラストナイト、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化亜鉛ウィスカー、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウィスカー、ロックフィラー等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
これらの無機充填材のうち、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク、金属繊維、酸化亜鉛ウィスカーが好ましい。また、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状無機充填材の寸法としては、5〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有するものが好ましい。
本発明の溶融加工用樹脂組成物が無機充填材を含有する場合、その含有量が多過ぎても少な過ぎても無機充填材の配合効果を十分得ることができないことから、無機充填材は、本発明で用いるグラフト共重合体(A)とビニル共重合体(B)との合計100質量部に対して、50質量部以下、特に1〜20質量部の割合で用いることが好ましい。
<他の添加剤>
本発明の溶融加工用樹脂組成物には、更に上記の成分の他に、その物性を損なわない範囲において、必要に応じて、樹脂組成物の製造時(混合時)、成形時に用いられる通常の他の添加剤、例えば顔料、染料、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、補強剤、難燃剤等の1種又は2種以上を配合することができる。
また、本発明の目的を損なわない程度に、前記グラフト共重合体(A)及びビニル共重合体(B)以外の樹脂及びゴムやエラストマー等が含まれていてもよい。
<製造方法>
本発明の溶融加工用樹脂組成物を製造する方法には特に制限はなく、本発明の溶融加工用樹脂組成物は、通常行われている方法及び装置を使用して製造することができる。一般的に使用されている方法は、溶融混合法であり、その際に用いる装置の例としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができる。溶融加工用樹脂組成物の製造は、回分式または連続式のいずれで行ってもよく、また、各成分の混合順序にも特に制限はなく、全ての成分が十分に均一に混合されればよい。
[成形品]
本発明の成形品は、上述した本発明の溶融加工用樹脂組成物を溶融加工してなるものである。
本発明の溶融加工用樹脂組成物の溶融加工方法としては、異形押出成形、ブロー成形、シート成形、及び、シート成形後の真空成形や圧空成形等の各種の溶融樹脂を加工する成形方法を採用できる。
本発明の溶融加工用樹脂組成物を溶融加工してなる成形品は、特に自動車部品、OA機器、住宅関連部品に好適に用いられる。ここで、自動車部品としては、シート成形(その後、真空成形)によるインモールド成形のインストルメントパネル表皮、バックガーニッシュ、異型押出成形によるサイドモールなどが挙げられる。OA機器としては、インモールド成形によるによるプリンターハウジングなどが挙げられる。住宅関連部品としては、異型押出成形によるサッシ部品、カーポート部品、樹脂製の竹垣等のエクステリア部品が挙げられる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において「部」及び「%」は特に断らない限り質量基準である。
また、以下において、得られた樹脂組成物の各評価は、次のようにして測定した値である。
[アセトン不溶分及びアセトン可溶分の分析]
得られた溶融加工用樹脂組成物をクロロホルムと混合し、メタノールにて再沈・濾過して添加剤等を除去し、得られた不溶分をアセトンに溶解させ、24時間放置して溶液化した。次いで、この溶液を、遠心分離器により30000rpmで遠心分離して、アセトン可溶分とアセトン不溶分とに分離した。
次いで、アセトン可溶分が溶解したアセトン溶液にメタノールを加えて再沈・濾過して、アセトン可溶分を固形分として得た。
これらアセトン不溶分及びアセトン可溶分を真空乾燥機にて乾燥し、それぞれを秤量することでアセトン可溶分質量及びアセトン不溶分質量を求めた。
その後、アセトン可溶分をC.H.N.Oコーダ(Yanaco社製:CHNCORDERMT−3)を用いて元素分析して窒素含有量(N値)を求めた。次いで、N値を換算してシアン化ビニル単量体量を算出して、アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体単位の割合(アセトン可溶分中のAN量(RA))を求めた。
一方、アセトン不溶分を熱分解ガスクロマトグラフィ(島津製作所製:分解温度590℃)にて、アセトン不溶分中の各単量体単位の割合を求めて、ゴム質重合体質量を求めた。
また、アセトン不溶分をC.H.N.Oコーダを用いて元素分析して窒素含有量(N値)を求めた。次いで、N値を換算してシアン化ビニル単量体量を算出してシアン化ビニル単量体単位の割合を求めた。
得られた各値を下記式に代入してアセトン不溶分中のゴム質重合体以外の重合体に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(アセトン不溶分中のゴムを除くAN量(GA))を求めた。
GA=アセトン不溶分中のシアン化ビニル単量体単位の質量/(アセトン不溶分質量−アセトン不溶分中のゴム質重合体質量)
[シャルピー衝撃値]
ISO 179に準拠して測定した。
[表面光沢]
得られた成形品表面に対してスガ試験機(株)製のデジタル変角光計「UGV−5D」を用い、入射角60°、反射角60°での反射率の測定を行った。
[成形性]
<厚みの均一性>
得られた成形品から四角形の板状体を切り出し、その断面において、溶融加工用樹脂組成物で形成された表層が全周4辺で厚みが均一であるかを目視観察し、良好は○、偏り等の不均一のあるものを×とした。
<サージング現象>
2層異型押出成形機のダイより材料が安定して流れるものを○、脈動して流れるものを×とした。
<ダイ出の樹脂温度>
安立計器(株)製の放射温度計「デュアルサーモAR−1701」を使用し、ダイ出直後の樹脂表面の温度測定を行った。
<引き取り速度>
2層異型押出成形時の、引き取り機の速度計を読み取った。
[グラフト共重合体(A)の製造]
<製造例1〜4:グラフト共重合体(A−1)〜(A−4)の製造>
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機及び攪拌装置を備えた反応器内に、イオン交換水200部(ゴム質重合体テックス中の水も含む)、不均化ロジン酸カリウム0.3部(固形分)、硫酸第一鉄七水塩0.01部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、及び結晶ブドウ糖0.5部を仕込み、完全に溶解させた後に、表1に示すゴム質重合体を固形分換算で表2に示す配合量で混合した。
反応器内の内容物を攪拌しながら65℃まで昇温させ、表2に示すビニル単量体と連鎖移動剤であるターシャルドデシルメルカプタンと重合開始剤であるクメンハイドロパーオキサイドとを連続的に滴下、供給してグラフト重合させた。その間、反応器内温を65℃に保つようにジャケット温度を制御した。
滴下終了後70℃まで昇温させ、さらに1時間保ってグラフト重合反応を完結させた。冷却後、酸化防止剤(ジラウリルチオジプロピオネート)を添加し、グラフト共重合体のラテックスを得た。
得られたグラフト共重合体ラテックスを、その1倍量の2.5%硫酸水溶液(80℃)中に攪拌下で投入し、さらに90℃で5分間保持して凝固させてグラフト共重合体のスラリーを得た。そして、そのスラリーの水洗と脱水を2度繰り返した後、一晩70℃で静置し、乾燥して乳白色粉末のグラフト共重合体(A−1)〜(A−4)を得た。
Figure 0005636711
Figure 0005636711
[ビニル共重合体(B)の製造]
<製造例5:ビニル共重合体(B−1)の製造>
アクリロニトリル20部及びスチレン80部から公知の懸濁重合により質量平均分子量22,6000のアクリロニトリル−スチレン共重合体(B−1)を製造した。
<製造例6:ビニル共重合体(B−2)の製造>
アクリロニトリル27部及びスチレン73部から公知の懸濁重合により質量平均分子量12,6000のアクリロニトリル−スチレン共重合体(B−2)を製造した。
<製造例7:ビニル共重合体(B−3)の製造>
アクリロニトリル44部及びスチレン56部から公知の懸濁重合により質量平均分子量10,2000のアクリロニトリル−スチレン共重合体(B−3)を製造した。
[実施例1〜、比較例1〜
上記の各製造例で得られたグラフト共重合体(A−1)〜(A−4)と、ビニル共重合体(B−1)〜(B−3)とを表3,4に示す割合で混合してなる混合物100部に、滑剤0.7部を混合し(比較例3,4では更に無機充填材を表4に示す割合で混合した。)、バンバリーミキサーにより溶融混練してペレット化した。
各実施例、比較例で得られたペレットを用い、前述の評価試験を行い、その結果を表3及び表4に示した。
なお、表面光沢及び成形性の評価は、40mm押出機と25mm押出機とラチス型からなる異型押出機を用い、ベース層材料としてUMGABS(株)製ABS樹脂組成物ペレット「EX74C」を、表層用材料として、各実施例、比較例で得られたペレット状の溶融加工用樹脂組成物を使用して、表3,4に示す成形条件で押出成形して得られたベース層と表層からなる2層異型押出成形品について行った。
Figure 0005636711
Figure 0005636711
[考察]
表3から明らかなように、実施例1〜の樹脂組成物は機械的特性を損なうことなく、ダイ出の樹脂温度が211〜256℃まで幅広い成形温度条件で良好な艶消し表面を持ち、スクリュー回転数を25rpmより50rpmまで上げることにより吐出量(単位時間あたりの量)が増加する事で、生産性を2倍に高めることもできる。
一方、比較例1は、ゴム質重合体の含有量が12.5質量%未満であり、機械的特性が低く、厚みの均一性(材料が片寄って流れるため)が得られず、成形性が劣り、また充分な艶消し効果を得る事が出来なかった。
比較例2は、ゴム質重合体の含有量が30質量%を超え、ダイより材料が安定して流れず、成形不良現象の一例である、サージング現象を起こした。
比較例3−1,3−2は、充填剤(タルク)添加材料であるが、アセトン不溶分中のゴムを除くAN量(GA)が20質量%を超え、機械的特性が乏しく、低温成形では艶消し効果が認められるが、高温成形(ダイ出の樹脂温度が244℃)で充分な艶消し効果を得る事が出来ず、成形条件幅が狭い。
比較例4は、アセトン不溶分中のゴムを除くAN量(GA)が20質量%を超え、充分な艶消し効果を得ることができなかった。
比較例5−1,5−2は、アセトン不溶分中のゴムを除くAN量(GA)と、アセトン可溶分中のAN量(RA)との差(SA=|RA−GA|)が10質量%を超え、低温成形では艶消し効果が認められるが、高温成形(ダイ出の樹脂温度が242℃)で充分な艶消し効果を得ることができず、成形条件幅が狭い。
本発明の溶融加工用樹脂組成物及び成形品は、自動車内装部品やOA機器、住宅関連、エクステイア部品などに有用である。

Claims (3)

  1. ゴム質重合体に、少なくとも芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体を含むビニル単量体を重合してなるグラフト共重合体(A)と、少なくとも芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体を含むビニル単量体を共重合させてなるビニル共重合体(B)とを配合してなる溶融加工用樹脂組成物であって、
    該ゴム質重合体が、ポリブタジエン、及び、ブタジエンとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体から選ばれる1種又は2種以上であり、
    該溶融加工用樹脂組成物のゴム質重合体の含有量が12.5〜30質量%で、
    該溶融加工用樹脂組成物のアセトン不溶分中のゴム質重合体を除くビニル単量体単位の総量に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(GA)が10〜20質量%であり、且つ、
    該溶融加工用樹脂組成物のアセトン可溶分中に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(質量%)(RA)と、該溶融加工用樹脂組成物のアセトン不溶分中のゴム質重合体を除くビニル単量体単位の総量に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(質量%)(GA)との差の絶対値(SA=|RA−GA|)が10質量%以下であることを特徴とする溶融加工用樹脂組成物。
  2. 請求項1において、該溶融加工用樹脂組成物のアセトン可溶分中に占めるシアン化ビニル単量体単位の割合(RA)が15〜35質量%であることを特徴とする溶融加工用樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の溶融加工用樹脂組成物を溶融加工してなることを特徴とする成形品。
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