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JP5636590B2 - 粉体溶解装置 - Google Patents

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Description

本発明は、粉体を定量供給する容積式の定量供給機構を有し、定量供給機構から供給される粉体を受入れる受入空間が形成された定量供給装置を備え、受入空間から吸引溶解ポンプ内に粉体を負圧吸引するとともに、吸引溶解ポンプ内に溶媒を負圧吸引し、負圧吸引した粉体及び溶媒を吸引溶解ポンプ内で溶解混合する粉体溶解装置に関する。
かかる粉体溶解装置においては、吸引溶解ポンプ内に負圧吸引される粉体の量を所定量に安定させるために、粉体を定量供給する容積式の定量供給機構を有する定量供給装置が、吸引溶解ポンプの上流側に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に開示の定量供給装置は、例えば、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆錐体形状に形成され、上部開口部から受入れた粉体を下部開口部から排出させるホッパと、ホッパの下部開口部に接続される粉体供給口と吸引溶解ポンプ側に接続される粉体送出口とが形成された矩形状のケーシングとを備えて構成されている。このケーシング内には、粉体を単位時間当たりに所定量ずつ下流側に定量供給する定量式の定量供給機構が設けられ、定量供給機構から供給される粉体を受入れる受入空間が形成されている。
これにより、ホッパからケーシング内に供給された粉体は定量供給機構により所定量ずつ受入空間に供給され、受入空間の下流側に粉体送出口を介して接続された吸引溶解ポンプにより所定量ずつ負圧吸引されて、当該吸引溶解ポンプ内に定量供給されることとなる。
従って、吸引溶解ポンプ内への粉体の供給量を安定化し、当該安定化された所定量ずつ供給される粉体と、別途、所定量ずつ供給される溶媒とを溶解混合させることができ、均一な溶解混合を行って所望の濃度の溶解液を得ることができるとされる。この装置にあっては、吸引溶解ポンプにより形成される負圧が受入空間でも作用することで良好な粉体供給を実現できる。
特開2010−274237号公報
さらに詳細に説明すると、上記特許文献1に記載の粉体溶解装置では、吸引溶解ポンプ内に配設された回転翼の回転により、当該吸引溶解ポンプ内に吸引される粉体や溶媒の量に対して排出される粉体や溶媒の量を増大させることにより、吸引溶解ポンプ内を負圧状態(例えば、−0.06MPa程度の略真空状態)としている。この負圧状態により発生する負圧吸引力を、吸引溶解ポンプの上流側に接続された定量供給装置のケーシング内における受入空間に作用させ、当該受入空間内に定量供給される状態で存在する粉体を吸引溶解ポンプ内に吸引するように構成されている。そして、この吸引溶解ポンプ内において、定量供給された粉体と溶媒とは、回転翼の回転及び通流路に配設されたスリットにより、混合、せん断、キャビテーション、遠心作用を受けて連続的に均一混合されペースト状の溶解液となる。
ここで、粉体溶解装置が溶解対象とする粉体としては、粉体であれば特に除外されるものではないが、例えば、電池電極材料等の化学原料、脱脂粉乳や小麦粉等の食品原料、医薬原料等であって、顆粒、粉体、細粒等の粉体(これら粉体の混合物)を例示することができる。なお、粉体には、粉粒体も含まれる。
このような粉体と溶媒とを溶解混合して溶解液とする際には、吸引溶解ポンプ内において溶解混合が進むに連れて当該溶解液の濃度や粘度が上昇する場合がある。溶解液の濃度や粘度が上昇すると、吸引溶解ポンプと定量供給装置内の受入空間との間に存在する連通空間が高濃度及び高粘度となった溶解液により閉塞された状態となり、吸引溶解ポンプ内で発生した負圧吸引力を上流側の受入空間に作用させることが困難となる。この場合、吸引溶解ポンプ側に粉体を定量供給できず、受入空間内に存在する粉体が滞留して、詰まった状態となる。特に、ケーシングの受入空間内に負圧吸引力を作用させ易くするために、当該ケーシングの粉体送出口の開口面積が小さく形成されている場合には、当該負圧吸引力を受入空間に作用させることがより困難となる。
また、このような溶解液における濃度や粘度の上昇は、溶媒に対する粉体の混合量(混合比)を増加させるに伴って増大する傾向にあり、粉体の混合量を増加させて、より濃度の高い溶解液を得ようとする場合には、より顕著な問題として顕在化することとなる。
このような場合には、吸引溶解ポンプ内に粉体を定量供給することが困難となり、溶解液の濃度を所望の濃度まで上昇させることができない場合がある。また、吸引溶解ポンプと受入空間との間に存在する連通空間が完全に閉塞されていない場合でも、粉体の供給が遅れる可能性があり、所望の濃度に溶解混合するまでの時間が長くなってしまう虞がある。さらには、溶解混合する時間が長くなると、吸引溶解ポンプ内における溶解液の温度が摩擦熱により上昇し、溶解液の濃度を所望の濃度にまで上昇させることがより困難となり易い。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸引溶解ポンプ内において粉体及び溶媒を溶解混合した溶解液の濃度や粘度が上昇して、定量供給装置の受入空間内の粉体を吸引溶解ポンプ内に負圧吸引することが困難な場合でも、当該受入空間内に存在する粉体を吸引溶解ポンプ側に所定量ずつ確実に定量供給して、吸引溶解ポンプ内で確実に溶解混合できる粉体溶解装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る、粉体を定量供給する容積式の定量供給機構を有し、前記定量供給機構から供給される粉体を受入れる受入空間が形成された定量供給装置を備え、前記受入空間から吸引溶解ポンプ内に前記粉体を負圧吸引するとともに、前記吸引溶解ポンプ内に溶媒を負圧吸引し、負圧吸引した前記粉体及び前記溶媒を前記吸引溶解ポンプ内で溶解混合する粉体溶解装置の特徴構成は、
前記定量供給装置が、前記受入空間を画定するとともに、前記受入空間において前記定量供給機構から前記粉体を受入れる粉体受部と前記粉体受部からの粉体を送出する粉体送出部とを画定するケーシングと、前記ケーシング内の前記粉体受部と前記粉体送出部とに亘って配設され、外周に螺旋状の翼部を有するスクリューの回転により、前記粉体受部に受入れた粉体を前記粉体送出部の粉体送出口を介して前記吸引溶解ポンプ側に強制的に供給する強制供給機構とを備え
前記強制供給機構のスクリューが、前記粉体受部側に配置された大径スクリューと、前記大径スクリューよりも小径の螺旋状の翼部を外周に有し、前記粉体送出部側に配置された小径スクリューとを同軸上に備え、
前記小径スクリューが、前記大径スクリューの先端部から前記粉体送出口に亘って配置され、前記大径スクリューに対して相対回転自在に構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、定量供給装置のケーシング内において、定量供給機構から受入空間に定量供給された粉体は、吸引溶解ポンプから受入空間に作用する負圧吸引力に加え、受入空間内の粉体受部及び粉体送出部に亘って設けられた強制供給機構としてのスクリューの回転による強制押出しにより、粉体送出口を介して吸引溶解ポンプ側に強制的、かつ、連続的に定量供給される。
これにより、吸引溶解ポンプ内で粉体と溶媒との溶解混合が進んで、吸引溶解ポンプ内で溶解混合された溶解液の濃度や粘度が上昇しても、上記強制供給機構により受入空間内から吸引溶解ポンプ側に粉体を常に定量供給でき、吸引溶解ポンプ内における所定量の粉体と所定量の溶媒とを、順次、ムラなく均一に分散させながら、所望の濃度にまで確実に溶解混合することができる。
説明を加えると、定量供給装置のケーシング内において、まず、粉体は、定量供給機構により下流側の受入空間の粉体受部に定量ずつ供給される。続いて、当該粉体受部に定量供給された粉体は、スクリューの外周に形成された螺旋状の翼部間の空間に収容され、当該スクリューの回転により粉体送出部に送出されて、粉体送出口を介して吸引溶解ポンプ側に送出される。従って、吸引溶解ポンプによる負圧吸引力が粉体送出口に充分に作用している場合には、当該負圧吸引力とスクリューの強制押出しとにより、受入空間から吸引溶解ポンプ側への粉体の定量供給が行われ、一方で、当該負圧吸引力が粉体送出口に充分に又は全く作用していない場合でも、スクリューの強制押出しにより、受入空間から吸引溶解ポンプ側への粉体の定量供給が確実に行われることとなる。
よって、吸引溶解ポンプ内において粉体及び溶媒を溶解混合した溶解液の濃度や粘度が上昇して、定量供給装置の受入空間内の粉体を吸引溶解ポンプ内に負圧吸引することが困難な場合でも、当該受入空間内に存在する粉体を吸引溶解ポンプ側に所定量ずつ確実に定量供給して、吸引溶解ポンプ内で確実に溶解混合することができる。
また、定量供給機構から粉体受部に定量供給された粉体は、大径スクリューの外周に形成された螺旋状の翼部間の空間に収容され、大径スクリューの回転により当該大径スクリューの先端部(粉体送出部)にまで送出される。そして、粉体送出部に送出された粉体は、当該大径スクリューの先端部から粉体送出口に亘って同軸上に配置された小径スクリューの外周に形成された螺旋状の翼部間の空間に収容され、小径スクリューの回転により当該小径スクリューの先端部(粉体送出口)にまで、強制的、かつ、連続的に定量供給され、当該粉体送出口を介して吸引溶解ポンプ側に送出される。
これにより、粉体受部に受入れた粉体を、大径スクリューによりかさ密度が高い状態を維持したまま比較的ゆっくりと粉体送出部に送出することができる。さらに、粉体送出部に受入れた粉体を、大径スクリューにより高い状態に維持されたかさ密度をそのまま維持しつつ、小径スクリューの回転により粉体送出口を介して吸引溶解ポンプ側に送出することができる。
よって、強制供給機構により受入空間から吸引溶解ポンプ側への粉体の強制的、かつ、連続的な定量供給過程において、粉体が不必要に押し固められることを防止して、より確実に吸引溶解ポンプ側への粉体の定量供給を行うことができる。
本発明に係る粉体溶解装置の更なる特徴構成は、前記強制供給機構と前記吸引溶解ポンプとの間に、前記強制供給機構から前記吸引溶解ポンプ側に負圧吸引される前記粉体と負圧吸引される前記溶媒とを初期混合する吸引混合部を備えた点にある。
上記特徴構成によれば、強制供給機構と吸引溶解ポンプとの間に、強制供給機構から吸引溶解ポンプ側に負圧吸引される粉体と負圧吸引される溶媒とを初期混合する吸引混合部を備えているので、吸引混合部において、強制供給機構を介して確実に定量供給される粉体と、別途、定量供給される溶媒とを、所望の混合割合で、順次、初期混合することができる。これにより、吸引混合部において、粉体及び溶媒をムラなく均一に分散させた状態としてから、吸引溶解ポンプ内で更に溶解混合することができ、より均一な溶解状態で所望の濃度にまで、より迅速に溶解混合した溶解液を得ることができる。
このような吸引混合部を備えた場合、当該吸引混合部において濃度や粘度が上昇すると、高濃度の溶解液や高粘度の溶解液が当該吸引混合部を閉塞して、吸引溶解ポンプからの負圧吸引力を受入空間に対して作用させることが困難となることがあるが、このような場合であっても、受入空間からは、強制供給機構による強制押出しにより粉体が強制的かつ連続的に吸引混合部に定量供給されるので、吸引溶解ポンプ内にも当該粉体が定量供給される。
従って、吸引混合部において粉体と溶媒との初期混合を行う構成を採用することで、吸引溶解ポンプ内における溶解液をより均一な分散状態とし、所望の濃度にまで高めても、より迅速に溶解混合できる。しかも、吸引混合部における閉塞等が発生しそうになった場合でも吸引溶解ポンプ内への粉体の定量供給を継続して、当該吸引溶解ポンプ内において、粉体と溶媒とを順次ムラなく均一に分散させながら、所望の濃度にまでより確実、かつ迅速に溶解混合することができる。
本発明に係る粉体溶解装置の更なる特徴構成は、前記粉体送出部が円筒状に形成され、前記粉体送出部の内径が、前記粉体送出口側に進むに連れて、前記大径スクリューの翼部の外径及び前記小径スクリューの翼部の外径に沿って順次縮径するように形成されている点にある。
上記特徴構成によれば、粉体送出部が円筒状に形成されているので、当該粉体送出部に送出された粉体のかさ密度の増加が抑制された状態を、維持することができる。また、粉体送出部の内径が、粉体送出口側に進むに連れて、大径スクリューの翼部の外径及び小径スクリューの翼部の外径に沿って順次縮径するように形成されているので、粉体送出部の基端側を大径スクリューの回転に伴って粉体の流入が良好な大径としつつ、負圧吸引力を作用させ易い比較的小径な粉体送出部の粉体送出口(先端側)に、小径スクリューの回転により粉体をスムーズに送出する構成とすることができる。
本発明に係る粉体溶解装置の更なる特徴構成は、前記粉体送出部において、前記大径スクリュー及び前記小径スクリューのそれぞれが送出する粉体の単位時間当たりの容積が同じになるように、前記大径スクリュー及び前記小径スクリューの回転数が設定されている点にある。
上記特徴構成によれば、大径スクリュー及び小径スクリューのそれぞれが送出する粉体の単位時間当たりの容積が同じになるように、大径スクリュー及び小径スクリューの回転数が設定されているので、定量供給機構から粉体受部、粉体送出部、粉体送出口を介して吸引溶解ポンプ側に単位時間当たりに強制的かつ連続的に供給される粉体の量(容積)を、常に所定の量(容積)に安定させることができる。また、粉体送出部において大径スクリューから小径スクリューへの粉体の受け渡し部分で粉体の圧縮や膨張がなく、スムーズに粉体を送出することができる。これにより、粉体送出部における粉体の圧縮及び膨張を防止し、吸引溶解ポンプ内で所定量の粉体と所定量の溶媒とを、ムラなく均一に分散させながら、より確実に所望の濃度にまで溶解混合することができる。
定量供給装置を備えた粉体溶解装置の概略構成図 定量供給装置の要部を示す部分拡大断面図 図2のIII−III方向視の概略断面図 吸引混合部の概略構成を示す一部切欠き断面図 吸引溶解ポンプの要部を示す部分拡大断面図
以下、図1〜図5に基づいて、本発明の定量供給装置Xを備えた粉体溶解装置Yの実施の形態を説明する。
図1〜図5に示すように、定量供給装置Xを備えた粉体溶解装置Yは、吸引溶解ポンプ50の回転翼51(図5参照)の回転により生じる負圧吸引力によって、粉体Pを容積式の定量供給装置Xから吸引溶解ポンプ50内に負圧吸引するとともに、吸引溶解ポンプ50内に溶媒Rを負圧吸引し、負圧吸引した粉体Pを吸引溶解ポンプ50内で溶媒Rと溶解混合するように構成されている。
具体的には、図1に示すように、粉体溶解装置Yは、粉体Pを定量供給する定量供給装置Xと、溶媒Rを定量供給する溶媒供給装置70と、定量供給装置Xから定量供給される粉体Pと溶媒供給装置70から定量供給される溶媒Rとを負圧吸引して溶解混合する吸引溶解ポンプ50と、吸引溶解ポンプ50から吐出された粉体Pが溶解した溶媒R(溶解液)のうち、完全に溶解していない粉体Pを含む溶媒Rと粉体Pが略完全に溶解した溶媒Rとを分離する分離装置80とを備えて構成されている。
定量供給装置Xは、吸引溶解ポンプ50に粉体Pを所定量ずつ定量供給する容積式の定量供給機構1を有する装置である。
具体的には、定量供給装置Xは、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆錐体形状に形成され、上部開口部2aから受け入れた粉体Pを下部開口部2bから排出させるホッパ2と、ホッパ2内に配設された攪拌部材としての攪拌羽根3Aにより、ホッパ2内の粉体Pを攪拌させる攪拌機構3と、受入空間4を画定するとともに、受入空間4において定量供給機構1から粉体Pを受入れる粉体受部5と粉体受部5からの粉体Pを送出する粉体送出部6とを画定するケーシング7とを備える。当該ケーシング7内には、下部開口部2bの下流側に接続された吸引溶解ポンプ50の負圧吸引によって、下部開口部2bから排出された粉体Pを吸引溶解ポンプ50に定量供給させる容積式の定量供給機構1と、定量供給機構1から定量供給される粉体Pを受入れる受入空間4において、粉体受部5と粉体送出部6とに亘って回転自在に配設され、外周に螺旋状の翼部8を有するスクリュー9の回転により、粉体受部5に受入れた粉体Pを粉体送出部6の粉体送出口7bを介して吸引溶解ポンプ50側に強制的に供給する強制供給機構10とを備える。
以下では、まず、定量供給装置Xについて説明し、次に粉体溶解装置Yについて説明する。
なお、粉体Pとしては、粉体であれば特に除外されるものではないが、例えば、電池電極材料等の化学原料、脱脂粉乳や小麦粉等の食品原料、医薬原料等であって、顆粒、粉体、細粒等の粉体(これら粉体の混合物を含む)を例示することができる。粉体には、粉粒体も含まれる。また、溶媒Rとしては、粉体Pを良好に溶解することができる溶媒であれば特に除外されるものではないが、例えば、液体や液状体を用いることができる。
本実施形態においては、例えば、粉体PをCMC(カルボキシルメチルセルロース)とし、溶媒Rを水とした。
〔定量供給装置X〕
ホッパ2は、図1〜図3に示すように、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆円錐形状に形成され、大気開放された上部開口部2aから受け入れた粉体Pを貯留して、下部開口部2bから排出させることができるように構成されている。上部開口部2a及び下部開口部2bの横断面形状(上面視)は中心軸Zを中心とする円形状とされ、上部開口部2aは下部開口部2bより大径に形成されている。逆円錐形状の内側壁面2Aの傾斜角度は水平面に対して略60度とされる。なお、上部開口部2aを蓋体(図示せず)等により密閉する構成を採用することもできる。
ホッパ2の内側壁面2Aの下端部には、下部開口部2bが形成され、外側壁面2Bの下端部には、定量供給機構1との間に配設される導入部11の上端部に形成された連結フランジ部12と連結可能な連結フランジ部13が形成されている。なお、連結フランジ部12と連結フランジ部13とは、両連結フランジ部12,13をそれぞれ上下方向から挟持するブラケット(図示せず)により挟持固定されている。
導入部11は、ホッパ2の下部開口部2bとケーシング7の上部に形成された粉体供給口7aとを連通する逆三角錐形状に形成されている。逆三角錐形状の導入部11の最下端には、ケーシング7の粉体供給口7aと同形状のスリット状の開口が形成されている。なお、逆三角錐形状の導入部11は、図2の右側の壁面を底辺とし、当該底辺に接続する両辺を備えた概略二等辺三角形状に形成され、上記スリット状の開口は、両辺が交わる頂点から底辺の中間点に沿う向きに形成されている。また、当該スリット状の開口の形状は、ホッパ2の大きさ、粉体Pの供給量、粉体Pの特性等に応じて適宜設定することができる。なお、導入部11とケーシング7は、ボルト(図示せず)により固定連結されている。
攪拌機構3は、ホッパ2内の粉体Pを攪拌する攪拌羽根3Aと、当該攪拌羽根3Aをホッパ2の中心軸Z周りに回転させる羽根駆動モータM1と、羽根駆動モータM1を、ホッパ2の上部開口部2aにおける外側壁面2Bに固定する取付部材3Bと、羽根駆動モータM1の回転駆動力を攪拌羽根3Aに伝動させる伝動部材3Cとを備えて構成される。
攪拌羽根3Aは、縦断面視で概略L字形状に形成された棒状部材であり、長手方向がホッパ2の内側壁面2Aに沿う状態で、かつ、短手方向が中心軸Zと同軸となるように配設されている。また、当該攪拌羽根3Aは、横断面形状が三角形に形成されており、三角形の一辺を形成する面がホッパ2の内側壁面2Aと略平行となるように配設されている。これにより、攪拌羽根3Aは、ホッパ2の内側壁面2Aに沿って中心軸Z周りに回転可能に配設されている。
ケーシング7は、図1〜図4に示すように、概略矩形状に形成され、導入部11を介して水平方向に対して45度傾斜した姿勢でホッパ2と接続されている。
ケーシング7の上面には、導入部11のスリット状の開口に対応したスリット状の粉体供給口7aが設けられ、ホッパ2の下部開口部2bからの粉体Pをケーシング7内に供給可能に構成されている。ケーシング7の右側面下部には、定量供給機構1にて定量供給された粉体Pを、受入空間4を介して下流側の粉体溶解装置Y側に送出する粉体送出口7bが設けられている。なお、ケーシング7の粉体送出口7bが形成される箇所には、後述するミキシングノズル52(吸引混合部の一例)の連結フランジ部52aと連結可能な連結フランジ部7cが形成される。
ケーシング7内において、粉体供給口7aのすぐ下流側には、定量供給機構1が配設され、当該定量供給機構1のすぐ下流側には、受入空間4が形成される。当該受入空間4は、上流側に形成される粉体受部5と下流側に形成される粉体送出部6とにより形成されている。また、受入空間4は、粉体送出口7bを介して作用する負圧吸引力によって、粉体供給口7aよりも低圧に維持される(例えば、−0、06MPa程度)。すなわち、粉体送出口7bは、粉体溶解装置Yの吸引溶解ポンプ50の一次側に接続されることによって、負圧吸引力が受入空間4に作用し粉体供給口7aよりも低圧状態に維持されるようにしている。
容積式の定量供給機構1は、ホッパ2の下部開口部2bから供給された粉体Pを、ケーシング7内において当該定量供給機構1の下流側に形成された受入空間4に所定量ずつ定量供給する機構である。
具体的には、定量供給機構1は、ケーシング7内の粉体供給口7aのすぐ下流側で、回転自在に配設される計量回転体14と、計量回転体14を回転軸芯S周りで回転駆動させる計量回転体駆動モータM2とを備える。
計量回転体14は、図2及び図3に示すように、計量回転体駆動モータM2の駆動軸15に配設した円盤部材16に、この円盤部材16の中心部を除いて放射状に複数(例えば、8枚)の板状隔壁14aを等間隔に取り付けて構成され、周方向で等間隔に粉体収容室14bを複数区画(例えば、8室)形成するように構成されている。粉体収容室14bは、計量回転体14の外周面及び中心部において開口するように構成されている。計量回転体14の中心部には開口閉鎖部材14cが周方向に偏在して配設され、各粉体収容室14bの中心部側の開口をその回転位相に応じて閉塞或いは開放可能に構成されている。なお、粉体Pの受入空間4側への供給量は、計量回転体14を回転駆動する計量回転体駆動モータM2による計量回転体14の回転数を変化させることで、調整できる。
計量回転体14の回転に伴って、各粉体収容室14bが、受入空間4に開放される受入空間開放状態、受入空間4及び粉体供給口7aと連通しない第1密閉状態、粉体供給口7aに開放される供給口開放状態、粉体供給口7a及び受入空間4と連通しない第2密閉状態の順で、その状態が繰り返して変化するように構成されている。この計量回転体14の回転に伴って、各粉体収容室14bの状態が負圧状態(例えば、−0、06MPa程度)と当該負圧状態よりも高圧の状態に変化するように構成されている。なお、計量回転体14の外周面側の開口が第1密閉状態及び第2密閉状態において閉鎖されるようにケーシング7が形成されるとともに、計量回転体14の中心部側の開口が第1密閉状態、供給口開放状態及び第2密閉状態において閉鎖されるように開口閉鎖部材14cがケーシング7に固定して配設される。
従って、定量供給装置Xにおいては、基本的に、ホッパ2内に貯留された粉体Pは攪拌羽根3Aにより攪拌されながら定量供給機構1に供給され、定量供給機構1によりホッパ2の下部開口部2b、ケーシング7の受入空間4及び粉体送出口7bを介して吸引溶解ポンプ50に定量供給される。
具体的に説明すると、定量供給機構1の粉体送出口7bの下流側に接続された吸引溶解ポンプ50からの負圧吸引力により、ケーシング7内における受入空間4の圧力が負圧状態(例えば、−0、06MPa程度)となる。一方で、ホッパ2の上部開口部2aは大気開放されているので、ホッパ2内は大気圧程度の状態となる。受入空間4と計量回転体14の隙間を介して連通する導入部11の内部及び下部開口部2bの近傍は、上記負圧状態と大気圧状態との間の圧力状態となる。
この状態で、ホッパ2の内側壁面2A及び下部開口部2bの近傍の粉体Pを、攪拌機構3の攪拌羽根3Aにより攪拌することで、攪拌羽根3Aによるせん断作用により解砕された粉体Pは下部開口部2bへ流下する。当該粉体Pは、導入部11を介して容積式の定量供給機構1の粉体供給口7aから計量回転体14の粉体収容室14bに供給される。粉体収容室14bは、計量回転体駆動モータM2により回転させられ、粉体供給口7aから供給された粉体Pを所定量ずつ受入空間4の粉体受部5に定量供給させる。
強制供給機構10は、図1〜図4に示すように、ケーシング7内において定量供給機構1から受入空間4に定量供給された粉体Pを、粉体送出口7bを介して下流側の吸引溶解ポンプ50(溶質溶解装置Y)に所定量ずつ強制的かつ連続的に定量供給する機構である。
具体的には、強制供給機構10は、ケーシング7内の粉体受部5と粉体送出部6とに亘って回転自在に配設され、外周に螺旋状の翼部8を有するスクリュー9と、当該スクリュー9を回転軸芯T周りで回転駆動させるスクリュー駆動モータM3,M4とを備える。
受入空間4は、図2及び図3に示すように、ケーシング7内において定量供給機構1の下流側に形成されており、当該受入空間4内の上流側領域を粉体受部5とし、下流側領域を粉体送出部6とするように、ケーシング7により画定されている。粉体受部5は、上部に開口部を有する概略U字形状(横断面視)の長手筒状に形成され、粉体送出部6は、円形状(横断面視)の長手円筒状に形成されている。
また、粉体送出部6の内径が、粉体送出口7b側に進むに連れて、大径スクリュー9Aの翼部8aの外径及び小径スクリュー9Bの翼部8bの外径に沿って順次縮径するように形成されている。
スクリュー9は、螺旋状の翼部8aを外周に有する大径スクリュー9Aと、螺旋状の翼部8bを外周に有する小径スクリュー9Bとを同軸上に備えており、大径スクリュー9Aは粉体受部5側に配設され、小径スクリュー9Bは粉体送出部6側に配置される。また、小径スクリュー9Bの駆動軸17を、大径スクリュー9Aの円筒状の駆動軸18内に内嵌することで2重軸として構成するとともに、小径スクリュー9Bの翼部8bが形成された部分を大径スクリュー9Aの先端部19から粉体送出口7bに亘って配置することにより、大径スクリュー9Aと小径スクリュー9Bとを同軸上に配設し、それぞれ回転軸芯T周りで相対回転自在に構成されている。従って、大径スクリュー9Aの回転により、大径スクリュー9Aの外周に形成された螺旋状の翼部8a間の空間に収容された粉体Pを、大径スクリュー9Aの先端部19(粉体送出部6)にまで送出可能に構成される。また、大径スクリュー9Aの回転により粉体送出部6に送出された粉体Pは、大径スクリュー9Aの先端部19から粉体送出口7bに亘って同軸上に配置された小径スクリュー9Bの外周に形成された螺旋状の翼部8b間の空間に収容され、小径スクリュー9Bが大径スクリュー9Aと同一方向に回転することにより、当該小径スクリュー9Bの先端部(粉体送出口7b)にまで、強制的、かつ、連続的に定量供給され、当該粉体送出口7bを介して吸引溶解ポンプ50側に送出される。なお、両スクリュー9A,9Bの回転軸芯Tと定量供給機構1の計量回転体14の回転軸芯Sとは平行(図2に示す例では、水平方向に対して45度傾斜する角度)に設定されている。
また、小径スクリュー9Bは、大径スクリュー9Aに内嵌された状態で、スクリュー駆動モータM3により回転軸芯T周りで独立に回転駆動可能に構成されている。また、小径スクリュー9Bを内嵌した状態の大径スクリュー9Aは、当該大径スクリュー9Aの外周に一体形成された回転軸芯T周りで回転可能なプーリ20と回転軸芯U周りで回転可能なプーリ21とがタイミングベルト22にて伝動連結された状態で、スクリュー駆動モータM4によりプーリ21が回転駆動されることにより回転軸芯T周りで独立に回転駆動可能に構成されている。
また、大径スクリュー9A及び小径スクリュー9Bの回転数は、粉体送出部6において、大径スクリュー9A及び小径スクリュー9Bのそれぞれが送出する粉体Pの単位時間当たりの容積が同じになるように設定されている。この場合、大径スクリュー9Aの翼部8aの外径は、小径スクリュー9Bの翼部8bの外径の2倍程度の外径に形成され、駆動軸17及び駆動軸18に沿う方向における翼部8a間の距離、及び翼部8b間の距離を勘案して、大径スクリュー9Aと小径スクリュー9Bとの単位時間当たりの粉体の送出容積が同じになるように、大径スクリュー9Aの回転数に対する小径スクリュー9Bの回転数が設定される。
なお、本実施形態では、大径スクリュー9Aの翼部8aの外径が34mm、駆動軸18の外径が18mm、小径スクリュー9Bの翼部8bの外径が18mm、駆動軸17の外径が6mm、粉体送出部6の最大内径が35mm、最小内径が22mmに設定され、大径スクリュー9Aの回転数に対して小径スクリュー9Bの回転数を2〜3倍の回転数に設定している。
〔粉体溶解装置Y〕
図1〜図5に示すように、粉体溶解装置Yは、定量供給装置Xと、溶媒供給装置70と、吸引溶解ポンプ50と、分離装置80とを備えて構成されている。
定量供給装置Xは、ケーシング7の粉体送出口7bが吸引溶解ポンプ50の一次側であるミキシングノズル52(吸引混合部の一例)に接続される。
溶媒供給装置70は、図1及び図4に示すように、溶媒源71からの溶媒Rを、吸引溶解ポンプ50のミキシングノズル52に連続的に定量供給するように構成されている。
具体的には、溶媒供給装置70は、溶媒Rを供給する溶媒源71と、溶媒源71からの溶媒Rの流量を設定量に調整する流量計及び流量調整バルブ(図示せず)と、設定量に調整された溶媒Rをミキシングノズル52を介して吸引溶解ポンプ50内に供給する管部72とを備えて構成されている。
吸引溶解ポンプ50は、図5に示すように、円筒部53Aと、円筒部53Aの前側(図5において左側)に配設された前面封止部53Bと、円筒部53Aの後側(図5において右側)に配設された後面封止部53Cとを備えた円筒状の本体ケーシング53を備える。本体ケーシング53の内部において、ポンプ駆動モータM5の駆動軸54に取り付けたロータ55の外周部に複数の回転翼51が突設され、ロータ55とともに回転翼51を回転させる。当該回転翼51の回転により生じる負圧吸引力によって、第1吸入部56から粉体P及び溶媒Rを第1導入室57に吸引して攪拌し、吐出部58から溶解液を吐出させるように構成されている。なお、第1吸入部56は前面封止部53Bに貫通形成され、吐出部58は円筒部53Aに貫通形成される。
吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56には、ケーシング7の粉体送出口7bと接続され受入空間4と連通する直管状のミキシングノズル52が設けられ、粉体送出口7bから定量供給される粉体Pを溶媒供給装置70から定量供給される溶媒Rと初期混合した後、第1吸入部56内に導入可能に構成されている。ミキシングノズル52には、粉体送出口7bと第1吸入部56との間に、吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56への粉体Pの供給を停止可能なシャッタバルブ59(閉止手段)が配設されている。また、ミキシングノズル52におけるシャッタバルブ59と第1吸入部56との間には、溶媒供給装置70の管部72が接続されている。この管部72からの溶媒Rの噴出方向は、ミキシングノズル52の横断面視で当該ミキシングノズル52の接線方向と略平行に配設され、溶媒Rをミキシングノズル52の内周面(図示せず)に沿って供給可能に構成されており、図4に示すように、当該溶媒Rは、ミキシングノズル52内の内壁面に沿って螺旋状の軌跡を描きながら、吸引溶解ポンプ50側に負圧吸引される。同時に、ケーシング7の粉体送出口7bを介して定量供給される粉体Pは、ミキシングノズル52内を当該ミキシングノズル52の筒軸芯に沿って直線的に吸引溶解ポンプ50側に負圧吸引される。これにより、吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56からの負圧吸引力により、ミキシングノズル52に溶媒供給装置70の管部72から溶媒Rを旋回させながら供給するとともに、定量供給機構1から粉体Pを定量供給することにより、粉体P及び溶媒Rの初期混合を良好に行った後、吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56から吸引して、粉体P及び溶媒Rの吸引溶解ポンプ50内における溶解混合が円滑に行われる。
ロータ55には、回転翼51よりも内周側に、濾斗状の仕切板60が複数のボス60aを介して駆動軸54周りで回転可能に配設されている。この仕切板60は、第1吸入部56から、ミキシングノズル52において初期混合を行った粉体P及び溶媒Rが導入される第1導入室57と、吐出部58から吐出された溶解液の一部が、後述する第2吸入部61を介して循環し、導入される第2導入室62とを区画するもので、この仕切板60と前面封止部53Bとの摺動部は、階段状のラビリンス構造となっている。
吸引溶解ポンプ50の吐出部58には、比重によって溶解液を循環流路81と排出流路82とに分離して供給する分離手段80における循環流路81の一端が接続される。循環流路81の他端は、前面封止部53Bに貫通形成された第2吸入部61と接続される。なお、当該第2吸入部61には流入する溶解液の流量を制限する絞り部63が設けられている。
前面封止部53Bには、回転翼51の内周側で、回転翼51と第1導入室57及び第2導入室62との間に位置するように円筒状の第1ステータ64を配設し、第1ステータ64に形成した透孔64a,64bによって絞り流路Wを構成している。第1導入室57に対応する前面側には円形の透孔64a、第2導入室62に対応する後面側には長孔形の透孔64bをそれぞれ形成されている。なお、絞り流路Wは、透孔のほか、スリットやノズルによって構成することもできる。また、後面封止部53Cには、回転翼51の外周側で、回転翼51と吐出部58との間に位置するように円筒状の第2ステータ65を配設し、第2ステータ65に形成した透孔65a(スリット状の長孔)によって絞り流路Wを構成している。これにより、溶解液に対して、絞り流路Wの透孔64a、64b、65aを通過する際に、回転翼51によるせん断作用により、粉体Pと溶媒Rとの溶解混合を促進させることができる。
ここで、回転翼51が回転すると、第1導入室57及び第2導入室62から吐出部58に粉体P及び溶媒Rの溶解液が強制的に通流させられるが、第2吸入部61を介して第2導入室62に通流させられる溶解液は、第2吸入部61に設けられた絞り部63を通過する際に流量が制限される。この状態で、回転翼51の回転が制御されて、第2導入室62から吐出部58に通流させられる溶解液の流量(例えば、30m3/Hr)に対して、第2吸入部61の絞り部63を通流して第2導入室62に流入する溶解液の流量(例えば、15m3/Hr)が少なく設定されることにより、第1導入室57及び第2導入室62を負圧状態(−0.06MPa程度)とすることが可能に構成されている。従って、回転翼51が回転することにより、ミキシングノズル52内、ケーシング7の受入空間4内を負圧状態(−0.06MPa程度)とすることが可能に構成されている。
分離装置80は、円筒状容器83内において比重によって溶解液を分離するように構成され、吸引溶解ポンプ50の吐出部58から吐出された粉体Pが溶解した溶媒R(溶解液)のうち、完全に溶解していない粉体Pを含む溶媒Rを循環流路81に、粉体Pが略完全に溶解した溶媒Rを排出流路82にそれぞれ分離するように構成されている。円筒状容器83の下部に接続される循環流路81の一端は、吸引溶解ポンプ50の吐出部58に接続され、他端は第2吸入部61に接続される。円筒状容器83の上部に接続される排出流路82は溶解液(製品)の供給先90に接続される。
なお、分離装置80は、図示しないが、吸引溶解ポンプ50の吐出部58に連なる導入パイプを円筒状容器83の底面から内部に突出して配設し、円筒状容器83の上部に排出流路82と連なる排出部を備えるとともに、下部に循環流路81と連なる循環部を備え、導入パイプの吐出上端に、導入パイプから吐出される溶解液の流れを旋回させる捻り板を配設して構成している。
次に、この溶質溶解装置Yの動作について説明する。
まず、定量供給装置Xを停止し、シャッタバルブ59を閉止してミキシングノズル52を介する粉体Pの吸引を停止した状態で、溶媒供給装置70から溶媒Rのみを供給しながら回転翼51を回転させ、吸引溶解ポンプ50の運転を開始する。所定の運転時間が経過して、吸引溶解ポンプ50内が、負圧状態(例えば、−0.06MPa程度の真空状態)となると、シャッタバルブ59を開放する。これによって、ミキシングノズル52の内部、及びケーシング7の受入空間4を負圧状態(−0.06MPa程度)とし、導入部11の内部及びホッパ2の下部開口部2b近傍を当該負圧状態と大気圧状態との間の圧力状態にする。
そして、定量供給装置Xを作動させ、ホッパ2内に貯留された粉体Pを、攪拌羽根3Aの攪拌作用及び吸引溶解ポンプ50の負圧吸引力により、ホッパ2の下部開口部2bから定量供給機構1に流下させる。この定量供給機構1では、上述のとおり、下部開口部2bから回転計量体14に流下した粉体Pを、受入空間4の粉体受部5に所定量ずつ連続的に定量供給させる。
また、上記定量供給装置Xの作動により、強制供給機構10も作動状態となり、粉体受部5に定量供給された粉体Pを、大径スクリュー9Aの回転により粉体送出部6に送出するとともに、小径スクリュー9Bの回転により粉体送出部6から順次、粉体送出部7bを介してミキシングノズル52内に強制的かつ連続的に定量供給される。なお、定量供給機構1から定量供給される粉体Pの量と強制供給機構10によりミキシングノズル52に定量供給される粉体Pの量は略同量となっている。一方で、吸引溶解ポンプ50の負圧吸引力により、溶媒供給装置70の管部72から溶媒Rが定量供給される。
これにより、ミキシングノズル52内には、強制供給機構10による強制押出し及び吸引溶解ポンプ50の負圧吸引力により、粉体P及び溶媒Rが常に定量供給され、当該ミキシングノズル52において、初期混合を良好に行った後、吸引溶解ポンプ50内に供給することができる。
この初期混合された粉体P及び溶媒Rは、吸引溶解ポンプ50の第1吸入部56から第1導入室57に導入され、回転翼51の内側と外側とに配設された第1ステータ64の透孔64a及び第2ステータ65に形成した透孔65b(絞り流路W)を通過することによって、せん断作用を受けながら攪拌、溶解混合され、吐出部58から吐出される。この際、負圧状態の第1導入室57、第2導入室62において絞り流路Wを通過する溶解液にキャビテーションを起こさせ、溶解液に含まれる気泡の膨張とそれによって生じる衝撃により、溶解を促進することができる。
吐出部58から吐出された粉体Pが溶解した溶媒R(溶解液)のうち、完全に溶解していない粉体Pを含む溶媒Rは、循環流路81を介して吸引溶解ポンプ50の第2吸入部61から第2導入室62に導入され、第1ステータ64の透孔64b及び第2ステータ65に形成した透孔65b(絞り流路W)を通過することによって、せん断作用を受けながら攪拌、溶解混合され、吐出部58から吐出される。一方、粉体Pが略完全に溶解した溶媒Rは、排出流路82を介して供給先90に供給される。
この場合、粉体P及び溶媒Rの溶解混合が進むに連れて、吸引溶解ポンプ50の内部、特にミキシングノズル52の内部において溶解液の濃度や粘度が上昇すると、高濃度の溶解液や高粘度の溶解液が当該ミキシングノズル52を閉塞して、吸引溶解ポンプ50からの負圧吸引力を受入空間4に対して作用させることが困難となることがあるが、このような場合であっても、受入空間4からは、強制供給機構10による強制押出しにより粉体Pが強制的かつ連続的にミキシングノズル52に定量供給されるので、吸引溶解ポンプ50内にも当該粉体Pが確実に定量供給される。従って、ミキシングノズル52及び吸引溶解ポンプ50内への粉体Pの定量供給を常に安定した状態で行うことができ、吸引溶解ポンプ50内における溶解液をより均一な分散状態とし、所望の濃度にまでより迅速に溶解混合できる。しかも、ミキシングノズル52における閉塞等が発生しそうになった場合でも吸引溶解ポンプ50内への粉体Pの定量供給を継続して、当該吸引溶解ポンプ50内において、粉体Pと溶媒Rとを順次ムラなく均一に分散させながら、所望の濃度にまでより確実、かつ迅速に溶解混合することができる。
そして、所定量の粉体Pの供給がなされたとき、シャッタバルブ59を閉止して、粉体Pの負圧吸引を遮断する。また、所定量の溶媒Rの供給がなされたときは、溶媒供給装置70の運転を停止する。その後、粉体Pが溶媒Rに完全に溶解するまで吸引溶解ポンプ50の運転を継続する。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、強制供給機構10のスクリュー9として、大径のスクリュー9A及び小径のスクリュー9Bを用いたが、粉体Pの物性等に応じてスクリュー9の数を適宜変更することが可能である。例えば、粉体送出部6の内径を大径、中径、小径のスクリュー9が配設可能に順次粉体送出口7b側に縮径する構成を採用し、当該粉体送出部6に3つの大径、中径、小径のスクリューを同軸上に配設することもできる。
(2)上記実施形態では、円筒状の粉体送出部6の内径を粉体送出口7bに近づくに連れて縮径するように構成したが、粉体送出部6にスクリュー9を配設することで粉体送出口7bに強制的かつ連続的に粉体Pを定量供給できる構成であれば、特にこの構成に限定されるものではない。例えば、粉体送出部6の内径を粉体受部5の内径と同程度、或いは大きく形成することも可能である。
この場合、受入空間4に適切に負圧吸引力を作用させることができれば、粉体送出口7bの開口面積を、粉体受部5の内径と同程度、或いは大きく形成することも可能である。
(3)上記実施形態では、容積式の定量供給機構1として計量回転体14を用いた構成を例示したが、特にこの構成に限定されるものではなく、例えば、ギアポンプを用いて、ホッパ2内の粉体Pを、下部開口部2bから下流側に定量供給することができる機構を採用することもできる。
(4)上記実施形態では、粉体溶解ポンプ50にて溶解混合された溶解液のうち、完全に溶解していない粉体Pを含む溶媒Rを循環流路81に、粉体Pが略完全に溶解した溶媒Rを排出流路82にそれぞれ分離する分離装置80を設けたが、1バッチで、吸引溶解ポンプ50内で良好に溶解混合できる場合には、当該分離装置80を省略することもできる。
また、分離装置80において、循環流路81にて溶解液を順次循環させながら粉体Pと溶媒Rの溶解混合を実行する状態で、例えば、溶解混合が充分に進む前に所定量の溶媒Rの供給が終了した場合には、分離装置80において完全に溶解されたとして分離され、供給先90に供給される溶解液を、溶媒供給装置70の管路72を介して再度供給し、ミキシングノズル52において粉体Pと再度混合する構成としてもよい。
(5)上記実施形態では、粉体Pとして単一種類のCMC粉体を用いたが、必要に応じて、複数種類の粉体を混合した混合粉体を粉体Pとして用いることができる。また、同様に、溶媒Rとして単一種類の水を用いたが、必要に応じて、複数種類の液体を混合した混合液体を溶媒Rとして用いることができる。
本発明は、吸引溶解ポンプ内において粉体及び溶媒を溶解混合した溶解液の濃度や粘度が上昇して、定量供給装置の受入空間内の粉体を吸引溶解ポンプ内に負圧吸引することが困難な場合でも、当該受入空間内に存在する粉体を吸引溶解ポンプ側に所定量ずつ確実に定量供給して、吸引溶解ポンプ内で確実に溶解混合できる粉体溶解装置として良好に利用することができる。
1 定量供給機構(定量供給装置)
4 受入空間(ケーシング)
5 粉体受部(受入空間)
6 粉体送出部(受入空間)
7 ケーシング(定量供給装置)
7a 粉体供給口(ケーシング)
7b 粉体送出口(ケーシング)
8 翼部(スクリュー)
9 スクリュー(強制供給機構)
9A 大径スクリュー(スクリュー)
9B 小径スクリュー(スクリュー)
10 強制供給機構(定量供給装置)
17 駆動軸(小径スクリュー)
18 駆動軸(大径スクリュー)
19 先端部(大径スクリュー)
50 吸引溶解ポンプ
52 ミキシングノズル(吸引混合部)
X 定量供給装置
Y 粉体溶解装置
P 粉体
R 溶媒
T 回転軸芯

Claims (4)

  1. 粉体を定量供給する容積式の定量供給機構を有し、前記定量供給機構から供給される粉体を受入れる受入空間が形成された定量供給装置を備え、前記受入空間から吸引溶解ポンプ内に前記粉体を負圧吸引するとともに、前記吸引溶解ポンプ内に溶媒を負圧吸引し、負圧吸引した前記粉体及び前記溶媒を前記吸引溶解ポンプ内で溶解混合する粉体溶解装置であって、
    前記定量供給装置が、前記受入空間を画定するとともに、前記受入空間において前記定量供給機構から前記粉体を受入れる粉体受部と前記粉体受部からの粉体を送出する粉体送出部とを画定するケーシングと、前記ケーシング内の前記粉体受部と前記粉体送出部とに亘って配設され、外周に螺旋状の翼部を有するスクリューの回転により、前記粉体受部に受入れた粉体を前記粉体送出部の粉体送出口を介して前記吸引溶解ポンプ側に強制的に供給する強制供給機構とを備え
    前記強制供給機構のスクリューが、前記粉体受部側に配置された大径スクリューと、前記大径スクリューよりも小径の螺旋状の翼部を外周に有し、前記粉体送出部側に配置された小径スクリューとを同軸上に備え、
    前記小径スクリューが、前記大径スクリューの先端部から前記粉体送出口に亘って配置され、前記大径スクリューに対して相対回転自在に構成されている粉体溶解装置。
  2. 前記強制供給機構と前記吸引溶解ポンプとの間に、前記強制供給機構から前記吸引溶解ポンプ側に負圧吸引される前記粉体と負圧吸引される前記溶媒とを初期混合する吸引混合部を備えた請求項1に記載の粉体溶解装置。
  3. 前記粉体送出部が円筒状に形成され、前記粉体送出部の内径が、前記粉体送出口側に進むに連れて、前記大径スクリューの翼部の外径及び前記小径スクリューの翼部の外径に沿って順次縮径するように形成されている請求項1又は2に記載の粉体溶解装置。
  4. 前記粉体送出部において、前記大径スクリュー及び前記小径スクリューのそれぞれが送出する粉体の単位時間当たりの容積が同じになるように、前記大径スクリュー及び前記小径スクリューの回転数が設定されている請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体溶解装置。
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