JP5625309B2 - ブーム - Google Patents
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Description
図1はブームの断面図である。なお図1は図2に示すF1−F1矢視断面図である。図2は図1に示すブームの側面図である。以下、図1及び図2を参照してブーム1の構成について詳細に説明する。
側板33は、薄肉部33aと厚肉部33bとを有する。これらは側板32の薄肉部32aおよび厚肉部32bと同様に形成される。
本発明に係るブーム1を含む、様々なブームについて曲げ解析を行った。すなわち、図3に示す寸法の内側ブームについて、内側ブームの支持方法(スライディングパッドの設置位置や範囲)を様々に変化させたときの、ブームの変形および荷重を調べた。なお、内側ブームをY方向から見たときのX方向における中心よりもX2側の部分(すなわち図3に示すような、左半分の部分)で解析を行った。また、内側ブームの支持に寄与しないスライディングパッド(図2に示すブーム1における上部スライディングパッド41および下部スライディングパッド22)を取り除いたブームについて解析を行った。この曲げ解析のモデルとして、図4(a)〜図8(a)に示すケース1〜5のモデルを用いた。
ブームを軽量かつ高剛性にするためには、図1に示すように、ブーム軸方向(Y方向)から見た断面において、ブーム曲げ中心(図示なし)から遠方に離れた位置に上板14および下板17を配置する必要がある。すなわち断面を縦長にして断面二次モーメントを大きくする必要がある。このような配置(断面形状)にすれば、結果として側板11は上下方向(Z方向)に広い面を持つことになり、側板11は座屈が生じやすいものとなる。よってブームに吊荷重を加えたとき、上述したような大きな外側変形(波W1)が内側ブーム10に生じる。
また、スライディングパッド140C1の上端の直上が最大変形点となった。これは、スライディングパッド140C1の反力による局所圧縮座屈が卓越していることを示している。
この結果に示すように、内側ブーム10の外面の全周に渡ってスライディングパッド140C4を設置したケース4(図7参照)や、側板31(図1参照)の中央部だけでなく側板31のZ方向における全体に設置したケース5(図8参照)と同等の効果を、わずかな幅の側部スライディングパッド51を設置したケース3(図6参照)で得られていることがわかる。
本実施形態に係るブーム1では、図1に示すように、外側ブーム30の軸方向(Y方向)から見た断面において、側部スライディングパッド51が、外側ブーム30の2つの側板31(32及び33)の内面に、内側ブーム10(の側板12及び13)に沿うように設置される。ここで、ブーム1(内側ブーム10)が曲げ荷重を受けたとき(図2の矢印Bの向きの吊荷重を受けたとき)、内側ブーム10の側板11(12及び13)は断面の外側(側板12はX1側、側板13はX2側)に変形しようとする。この変形は、外側ブーム30の側部スライディングパッド51により断面の内側に押さえられる(側板12は側部スライディングパッド52によりX2側に押さえられる。側板13は側部スライディングパッド53によりX1側に押さえられる)。よって、内側ブーム10の側板11の座屈が抑制される。したがって、ブーム1の側板(側板11)の座屈特性を向上できる。
図10は第2実施形態に係るブーム(入れ子状のブームが最も縮んだ状態での前方側先端付近)の側面図である。図11は図10に示すブームの隙間調整機構238付近の断面図であり、図10に示すF11−F11矢視断面図である。第1実施形態では、図2に示すように、側部スライディングパッド51は、外側ブーム30の軸方向(Y方向)前方側(Y2側)先端部に設置した。第2実施形態では、図10に示すように、側部スライディングパッド51は、外側ブーム230の軸方向(Y方向)前方側(Y2側)先端部230Tよりも後方側(Y1側)に設置される。以下、図10および図11を参照して第2実施形態に係るブーム201の構成について説明する。なお第1実施形態と同一の部分については同一符号を付して説明を省略する。
ブーム201は入れ子状であり、7つのブームを備える。これらの7つのブームのうち最も内側のブームを除くブーム(すなわち外側ブームになり得るブーム)にはそれぞれ隙間調整機構238が取り付けられる。この隙間調整機構238を配置するために、各ブームのY2側端部はY1側へオフセット(詳細は後述)している。このように端部がオフセットした形状のブーム(外側ブーム230)では下部スライディングパッド42の直上(Z1側)に側部スライディングパッド51を設置することは難しい。したがって、外側ブーム230の端部の形状に沿うように、側部スライディングパッド51を軸方向(Y方向)前方側(Y2側)先端部230Tよりも後方側(Y1側)に設置している(オフセットしている)。なお、7つのブームのうち最も内側のブームには各種アタッチメントが取り付けられる装着部202が取り付けられる。以下、各構成要素について説明する。
本発明(実施形態2)に係るブーム201を含む、様々なブームについて曲げ解析を行った。すなわち、曲げ解析1に係るケース3のモデル(図6(a)参照)をベースとして、側部スライディングパッド51のオフセット量Oaを様々に変化させたときの、ブームの変形および荷重を調べた。この曲げ解析のモデルとして、オフセット量Oaを200mm、400mm、および800mmとしたケース3−1、3−2、及び3−3を使用した(図12(a)〜図14(a)に示す)。
これらの図により、ケース3−1、3−2、3−3の順に、すなわちオフセット量Oaを増すほど、ケース3で観察された変形モード(2波の変形。図6(b)参照)から、ケース1で観察された変形モード(大きな1波の変形。図4(b)参照)へ座屈波形が移行していくことが示されている。具体的には次のようになった。ケース3−1では、図12(b)に示すように、内側に変形する波W3−1−1および外側に変形する波W3−1−2の2波が生じた。ケース3−2および3−3では、図13(b)及び図14(b)に示すように、内側に変形する波W3−2−1およびW3−3−1が生じたが、波W3−1−1に比べて内側への変形は小さく生じた。一方でこれらのケースでは、ケース1で観察された波W1(図4(b)参照)のようにブーム軸方向に沿う大きな波W3−2−2および波W3−3−2が生じた。
このブーム201では、図10に示す側部スライディングパッド51の外側ブーム230の先端部230Tからのオフセット量Oaは、外側ブーム230の軸方向から見た断面(Y方向から見た断面)における外側ブーム230の側板31の高さH(図1参照)の100%以内である。よって、オフセット量Oaがこの範囲内でない場合に比べ、内側ブーム10の側板31の座屈がより確実に抑制される(曲げ解析2を参照)。したがって、ブーム201の側板(側板11)の座屈特性をより向上できる。
10 内側ブーム
11、12、13 側板(内側側板)
30、230 外側ブーム
31、32、33 側板(外側側板)
34 上板
37 下板
42 下部スライディングパッド
42u 上端
51 側部スライディングパッド
230T 先端部
H 高さ
N 曲げ中立軸
Oa オフセット量
Claims (2)
- 外側ブームと、当該外側ブーム内に収容される内側ブームと、を備える入れ子式箱型のブームにおいて、
前記内側ブームは、当該内側ブームの軸方向から見た断面において、それぞれ直線状に形成された2つの内側側板を備え、
前記外側ブームは、
前記外側ブームの軸方向から見た断面において、それぞれ直線状に形成された2つの外側側板と、
前記断面において、2つの前記外側側板の上端をつなぐように配置された上板と、
前記断面において、2つの前記外側側板の下端をつなぐように配置され、U字状に形成された下板と、
前記下板の前記軸方向前方側先端部の内面に、前記内側ブームを支持するように設置され、前記断面においてU字状に形成された下部スライディングパッドと、
2つの前記外側側板の内面に、前記内側ブームの前記内側側板に沿うように設置された側部スライディングパッドと、を備え、
前記側部スライディングパッドは、前記外側ブームの曲げ中立軸よりも下方側に設置され、かつ、前記下部スライディングパッドの上端よりも上方側に設置され、
前記側部スライディングパッドの下端と前記下部スライディングパッドの上端との間には、上下方向の間隔があけられることを特徴とするブーム。 - 前記側部スライディングパッドは、前記外側ブームの前記軸方向前方側先端部よりも後方側に設置され、
前記側部スライディングパッドの前記軸方向における前記先端部からのオフセット量は、前記断面における前記外側側板の高さの100%以内であることを特徴とする請求項1に記載のブーム。
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