以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に「前方」「後方」「左方」「右方」「上方」「下方」の注記がある場合は、明細書中の説明における「前方(前)」「後方(後)」「左方(左)」「右方(右)」「上方(上)」「下方(下)」とは、その注記された方向を指す。
<ロボット装置>
まず、本実施形態のロボット装置の全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態のロボット装置1は、ロボット100と、ロボットコントローラ200(コントローラ)とを有する。ロボット100とロボットコントローラ200とは、相互通信可能に接続ケーブル2で接続されている。なお、ロボット100とロボットコントローラ200とを無線で接続してもよい。また、ロボットコントローラ200をロボット100の内部に設けてもよい。
<ロボット>
図1〜図4に示すように、ロボット100は、基台101と、ロボット本体102とを有する。基台101は、ロボット100の設置箇所(例えば床部や台座等)に設置される。ロボット本体102は、基台101の上端部に設けられている。このロボット本体102は、胴体部110と、胴体部110にそれぞれ取り付けられた2つのアーム部120L,120Rと、2つの手首部130L,130Rとを有する、いわゆる双腕ロボットである。
胴体部110は、基台101の上端部に対し回転可能に接続されている。具体的には、胴体部110は、基台101の上端部において、当該基台101の固定面(図示省略)に略直交する旋回軸線Ax0まわりに旋回可能に支持されている。この胴体部110は、基台101に設けられたアクチュエータAc0の駆動により、基台101の上端部に対し旋回軸線Ax0まわりに旋回駆動される。
アーム部120Lは、胴体部110の一方側(各図中に示すロボット本体102の姿勢では左側)の先端部(以下では、適宜「左端部」と称する)に対し回動可能に接続されている。このアーム部120Lは、肩部121Lと、上腕A部122Lと、上腕B部123Lと、下腕部124Lとからなる多関節構造(多軸構造)を備えている。
肩部121Lは、胴体部110の左端部において、回転軸線Ax0に略垂直な回動軸線Ax1Lまわりに回動可能に支持されている。この肩部121Lは、胴体部110に設けられたアクチュエータAc1Lの駆動により、胴体部110の左端部に対し回動軸線Ax1Lまわりに回動駆動される。
上腕A部122Lは、肩部121Lの先端側において、回転軸線Ax1Lに略垂直な旋回軸線Ax2Lまわりに旋回可能に支持されている。この上腕A部122Lは、肩部121Lに設けられたアクチュエータAc2Lの駆動により、肩部121Lの先端側に対し旋回軸線Ax2Lまわりに旋回駆動される。
上腕B部123Lは、上腕A部122Lの先端側において、回転軸線Ax2Lに略垂直な回動軸線Ax3Lまわりに回動可能に支持されている。この上腕B部123Lは、上腕A部122Lに設けられたアクチュエータAc3Lの駆動により、上腕A部122Lの先端側に対し回動軸線Ax3Lまわりに回動駆動される。
下腕部124Lは、上腕B部123Lの先端側において、回転軸線Ax3Lに略垂直な旋回軸線Ax4Lまわりに旋回可能に支持されている。この下腕部124Lは、上腕B部123Lに設けられたアクチュエータAc4Lの駆動により、上腕B部123Lの先端側に対し旋回軸線Ax4Lまわりに旋回駆動される。
手首部130Lは、アーム部120Lの先端部(つまり下腕部124Lの先端側)に対し回動可能に接続されている。この手首部130Lは、手首A部131Lと、手首B部132Lと、フランジ部133Lとからなる多関節構造(多軸構造)を備えている。
手首A部131Lは、下腕部124Lの先端側において、旋回軸線Ax4Lに略垂直な旋回軸線Ax5Lまわりに旋回可能に支持されている。この手首A部131Lは、下腕部124Lに設けられたアクチュエータAc5Lの駆動により、下腕部124Lの先端側に対し旋回軸線Ax5Lまわりに旋回駆動される。
手首B部132Lは、手首A部131Lの先端側において、手首部130Lの長手方向に略垂直でかつ旋回軸線Ax5Lに略垂直な旋回軸線Ax6Lまわりに旋回可能に支持されている。この手首B部132Lは、手首A部131Lに設けられたアクチュエータAc6Lの駆動により、手首A部131Lの先端側に対し旋回軸線Ax6Lまわりに旋回駆動される。
フランジ部133Lは、手首B部132Lの先端側において、旋回軸線Ax5L及び旋回軸線Ax6Lのどちらにも略垂直な回動軸線Ax7Lまわりに回動可能に支持されている。このフランジ部133Lは、手首B部132Lに設けられたアクチュエータAc7Lの駆動により、手首B部132Lの先端側に対し回動軸線Ax7Lまわりに回動駆動される。このとき、フランジ部133Lの先端部には、ロボット100の作業対象(図示省略)に対し所望の作業を行うための種々のツール(図示省略)が取り付けられる。フランジ部133Lの先端部に取り付けられたツールは、フランジ部133Lの回動軸線Ax7Lまわりの回動により、当該回動軸線Ax7Lまわりに回動駆動される。
なお、ここではアーム部120L及びに手首部130Lの長手方向(あるいは延材方向)に沿った回転軸まわりの回転を「回動」と呼び、当該長手方向に略垂直な回転軸まわりの回転を「旋回」と呼んで区別している。
また、「垂直」「直交」の説明は厳密なものではなく、実質的な生じる公差・誤差は許容される。また、「垂直」「直交」とは仮想軸線が交わることを意味するものではなく、仮想軸線同士がなす方向が交差するものであればねじれの位置の場合も含まれる。
一方、アーム部120Rは、胴体部110の他方側(各図中に示すロボット本体102の姿勢では右側)の先端部(以下では、適宜「右端部」と称する)に対し回動可能に接続されており、肩部121Rと、上腕A部122Rと、上腕B部123Rと、下腕部124Rとからなる多関節構造(多軸構造)を備えている。
肩部121Rは、胴体部110の右端部において、回転軸線Ax0に略垂直な回動軸線Ax1Rまわりに回動可能に支持されている。この肩部121Rは、胴体部110に設けられたアクチュエータAc1Rの駆動により、胴体部110の右端部に対し回動軸線Ax1Rまわりに回動駆動される。
上腕A部122Rは、肩部121Rの先端側において、回転軸線Ax1Rに略垂直な旋回軸線Ax2Rまわりに旋回可能に支持されている。この上腕A部122Rは、肩部121Rに設けられたアクチュエータAc2Rの駆動により、肩部121Rの先端側に対し旋回軸線Ax2Rまわりに旋回駆動される。
上腕B部123Rは、上腕A部122Rの先端側において、回転軸線Ax2Rに略垂直な回動軸線Ax3Rまわりに回動可能に支持されている。この上腕B部123Rは、上腕A部122Rに設けられたアクチュエータAc3Rの駆動により、上腕A部122Rの先端側に対し回動軸線Ax3Rまわりに回動駆動される。
下腕部124Rは、上腕B部123Rの先端側において、回転軸線Ax3Rに略垂直な旋回軸線Ax4Rまわりに旋回可能に支持されている。この下腕部124Rは、上腕B部123Rに設けられたアクチュエータAc4Rの駆動により、上腕B部123Rの先端側に対し旋回軸線Ax4Rまわりに旋回駆動される。
手首部130Rは、アーム部120Rの先端部(つまり下腕部124Rの先端側)に対し回動可能に接続されており、上記手首部130Lと左右対称の構造を備える。即ち、手首部130Rは、手首A部131Rと、手首B部132Rと、フランジ部133Rとからなる多関節構造(多軸構造)を備えている。
手首A部131Rは、下腕部124Rの先端側において、旋回軸線Ax4Rに略垂直な旋回軸線Ax5Rまわりに旋回可能に支持されている。この手首A部131Rは、下腕部124Rに設けられたアクチュエータAc5Rの駆動により、下腕部124Rの先端側に対し旋回軸線Ax5Rまわりに旋回駆動される。
手首B部132Rは、手首A部131Rの先端側において、手首部130Rの長手方向に略垂直でかつ旋回軸線Ax5Rに略垂直な旋回軸線Ax6Rまわりに旋回可能に支持されている。この手首B部132Rは、手首A部131Rに設けられたアクチュエータAc6Rの駆動により、手首A部131Rの先端側に対し旋回軸線Ax6Rまわりに旋回駆動される。
フランジ部133Rは、手首B部132Rの先端側において、旋回軸線Ax5R及び旋回軸線Ax6Rのどちらにも略垂直な回動軸線Ax7Rまわりに回動可能に支持されている。このフランジ部133Rは、手首B部132Rに設けられたアクチュエータAc7Rの駆動により、手首B部132Rの先端側に対し回動軸線Ax7Rまわりに回動駆動される。このとき、フランジ部133Rの先端部には、上記ロボット100の作業対象に対し所望の作業を行うための種々のツール(図示省略)が取り付けられる。フランジ部133Rの先端部に取り付けられたツールは、フランジ部133Rの回動軸線Ax7Rまわりの回動により、当該回動軸線Ax7Rまわりに回動駆動される。
なお、上記肩部121L,121R、上腕A部122L,122R、上腕B部123L,123R、下腕部124L,124R、手首A部131L,131R、手首B部132L,132R、及びフランジ部133L,133Rのそれぞれが、アーム要素に対応する。
また、ロボットコントローラ200は、例えば演算器、記憶装置、入力装置等を有するコンピュータにより構成されている。このロボットコントローラ200は、ロボット本体102全体の動作を制御する。なお、ロボットコントローラ200については、後でより詳しく説明する。
<ロボット>
次に、上記ロボット100の各部の詳細構成について順次説明する。
<基台>
図1〜図4に示すように、基台101は、その外郭を構成する略円筒状の筐体101aを有する。筐体101aは、例えばアルミニウム等の鋳物により形成されている。
また、基台101には、上述したように、胴体部110を旋回軸線Ax0まわりに旋回駆動するアクチュエータAc0が設けられている。アクチュエータAc0は、胴体部110を駆動する回転駆動力を発生するモータM0と、モータM0の回転を制動又は保持するブレーキ装置B0(後述の図5及び図7参照)と、モータM0の回転を減速し胴体部110に伝達して当該胴体部110を駆動させる減速機G0とを含む。このとき、減速機G0の軸(入力軸や出力軸等)は中空構造を備えており、その内部には後述する制御ケーブル3が挿通されている。
ところで、上記アクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7R(以下では、これらを区別なく示す場合には、適宜「アクチュエータAc」と称する)からは、これらアクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7Rの駆動制御(例えば電力供給や信号送受等)を行うための制御ケーブル3が引き出されている。その引き出された制御ケーブル3は、ロボット本体102の各部の内部で引き回されている。なお、図2中では、制御ケーブル3の図示を省略している。そして、上記引き回された制御ケーブル3の先端側は、筐体101aの上端部に配設された減速機G0の軸の内部を通って、最終的に筐体101aの内部に導入される。本実施形態では、上記筐体101aの内部に導入された制御ケーブル3に対する接続を、利用者の用途や利便性に応じて、基台101の下端部及び後面のうちいずれか一方において選択的に行うことができる。
即ち、筐体101aには、その下面に開口部10a(第1開口部)が設けられ(図4参照)、その側面(この例では後面)に開口部10b(第2開口部)が設けられている(図3参照)。なお、筐体101aの後面以外の側面(例えば前面、左面、右面等)に対し開口部を設けてもよい。そして、これら開口部10a,10bのそれぞれには、上記筐体101aの内部に導入された制御ケーブル3の先端部を取付可能なコネクタを備えたコネクタプレート、及び、当該コネクタを備えない蓋部のうち、いずれか一方を選択的に着脱可能となっている。なお、図3及び図4中では、開口部10a,10bに対しコネクタプレート及び蓋部のいずれも取り付けていない状態を表している。
このとき、図3に示すように、筐体101aの上端部に配設された減速機G0の軸の内部には、パイプPが配設されている。パイプPは、上記引き回された制御ケーブル3の先端側を内部に挿通しつつ筐体101aの内部に導入する。また、パイプPは、筐体101aの内部に導入した制御ケーブル3の先端部が開口部10a,10bのいずれにも指向可能なように、当該制御ケーブル3の先端側を筐体101aの内部で支持する。このように制御ケーブル3の先端部がパイプPにより支持されることによって、開口部10aに対しコネクタプレートが取り付けた場合での当該コネクタプレートのコネクタへの接続、及び、開口部10bに対しコネクタプレートを取り付けた場合での当該コネクタプレートのコネクタへの接続、のいずれもが可能となっている。
図5及び図6(a)(b)に、開口部10aに対しコネクタプレートを取り付けると共に、開口部10bに対し蓋部を取り付けた場合を示す。
図5及び図6(a)(b)に示す例では、開口部10aには、当該開口部10aに対応したコネクタプレート11a(第1コネクタプレート)が取り付けられており、このコネクタプレート11aにより開口部10aが塞がれている。コネクタプレート11aには、制御ケーブル3の先端部を取付可能なコネクタを含むコネクタ群13aが備えられている。また、開口部10bには、当該開口部10bに対応した蓋部12b(第2蓋部)が取り付けられており、この蓋部12bにより開口部10bが塞がれている。この場合、コネクタプレート11aのコネクタにおける筐体101a内部側の接続部に対し、上記パイプPにより支持されつつ開口部10a(基台101の下端部)側に向けられた制御ケーブル3の先端部が接続される。一方、コネクタプレート11aのコネクタにおける筐体101a外部側の接続部に対し、筐体101aの外部からの接続ケーブル(例えば、上記ロボットコントローラ200からの接続ケーブル2等)の先端部が接続される。従って、この場合には、制御ケーブル3に対する接続、例えば上記ロボットコントローラ2等と上記アクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7Rとの電気的接続を、基台101の下端部を介して実行することができる。
図7及び図8(a)(b)に、開口部10aに対し蓋部を取り付けると共に、開口部10bに対しコネクタプレートを取り付けた場合を示す。
図7及び図8(a)(b)に示す例では、開口部10aには、当該開口部10aに対応した蓋部12a(第1蓋部)が取り付けられており、この蓋部12aにより開口部10aが塞がれている。また、開口部10bには、当該開口部10bに対応したコネクタプレート11b(第2コネクタプレート)が取り付けられており、このコネクタプレート11bにより開口部10bが塞がれている。コネクタプレート11bには、制御ケーブル3の先端部を取付可能なコネクタを含むコネクタ群13bが備えられている。この場合、コネクタプレート11bのコネクタにおける筐体101a内部側の接続部に対し、上記パイプPにより支持されつつ開口部10b(基台101の後面)側に向けられた制御ケーブル3の先端部が接続される。一方、コネクタプレート11bのコネクタにおける筐体101a外部側の接続部に対し、筐体101aの外部からの接続ケーブル(例えば、上記ロボットコントローラ200からの接続ケーブル2等)の先端部が接続される。従って、この場合には、制御ケーブル3に対する接続、例えば上記ロボットコントローラ2等と上記アクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7Rとの電気的接続を、基台101の後面を介して実行することができる。
<胴体部>
図1〜図4に示すように、胴体部110は、1以上の強度部材Fr0と、強度部材Fr0を覆って当該胴体部110の外郭を構成するカバーCv0(詳細は後述)とを有する。強度部材Fr0は、例えば高張力鋼(いわゆるハイテン鋼)等のプレートにより形成されている。即ち、胴体部110は、カバーCv0に覆われた強度部材Fr0が重力分及び加減速時の負荷分の強度を担持する構成する骨格部材となる、内骨格構造を備えている。なお、胴体部110の構造としては、この例のように内骨格構造に限定されるものではなく、外郭を形成する部材を骨格部材として用いる外骨格構造として構成されてもよい。
<肩部>
図1〜図4に示すように、肩部121Lは、1以上の強度部材Fr1と、強度部材Fr1を覆って当該肩部121Lの外郭を構成するカバーCv1(詳細は後述)とを有する。強度部材Fr1は、例えば高張力鋼(いわゆるハイテン鋼)等のプレートにより形成されている。即ち、肩部121Lは、カバーCv1に覆われた強度部材Fr1が重力分及び加減速時の負荷分の強度を担持する支持構造を構成する骨格部材となる、内骨格構造を備えている。なお、肩部121Lの構造としては、この例のように内骨格構造に限定されるものではなく、外骨格構造として構成されてもよい。
また、肩部121Lには、上述したように、上腕A部122Lを旋回軸線Ax2Lまわりに旋回駆動するアクチュエータAc2Lが設けられている。図9〜図11に示すように、アクチュエータAc2Lは、モータM2と、ブレーキ装置B2と、肩部121L及び上腕A部122Lを互いに可動となるように連結する減速機G2(関節部)とを含む。
モータM2は、上腕A部122Lを駆動する回転駆動力を減速機G2に対して発生する。このモータM2の出力軸であるモータ軸52aは、旋回軸線Ax2Lと略平行に配置されている。また、モータ軸52aにおける後述する第1軸方向一方側の端部には、ベルト取付部を備えたプーリ6a(モータプーリ)が当該モータ軸52aと共に回転するように固定されている。なお、プーリ6aの回転中心は、モータ軸52aの回転中心と一致する。
ブレーキ装置B2は、モータ軸52aの回転を制動又は保持する。このブレーキ装置B2の軸であるブレーキ軸52bは、旋回軸線Ax2Lと略平行に(つまり、モータ軸52aと略平行に)配置されている。また、ブレーキ軸52bにおける軸方向一方側(各図中に示すロボット本体102の姿勢では上側。以下適宜「第1軸方向一方側」と称する)の端部には、2つのベルト取付部を備えたプーリ6b(第1ブレーキプーリ、第2ブレーキプーリ)が当該ブレーキ軸52bと共に回転するように固定されている。なお、プーリ6bの回転中心は、ブレーキ軸52bの回転中心と一致する。
このとき、上記モータM2側のプーリ6aのベルト装着部と、このブレーキ装置B2側のプーリ6bにおける一方のベルト取付部との間には、無端状(ループ状)のベルト7a(第1ベルト)が掛け渡されている。そして、これらプーリ6a、ベルト7a、及びプーリ6bを介して、モータ軸52aとブレーキ軸52bとが連結されている。従って、モータ軸52aの回転駆動力は、プーリ6a、ベルト7a、及びプーリ6bを介して、ブレーキ軸52bに伝達される。なお、上記プーリ6a、ベルト7a、及びプーリ6bは、第1伝達機構を構成する。
減速機G2は、肩部121Lの先端部に配設されている。減速機G2の入力軸52cは、旋回軸線Ax2Lに略沿って(つまり、モータ軸52aやブレーキ軸52bと略平行に)配置されており、肩部121Lの先端部に対し回転自在に支持されている。減速機G2の出力軸52dは、適宜のギア機構を介して入力軸52cに連結されており、肩部121Lの先端部に対し旋回軸線Ax2Lまわりに回転自在に支持されている。また、入力軸52cにおける上記第1軸方向一方側の端部には、ベルト取付部を備えたプーリ6c(減速機プーリ)が当該入力軸52cと共に回転するように固定されている。なお、プーリ6cの回転中心は、入力軸52cの回転中心と一致する。
このとき、上記ブレーキ装置B2側のプーリ6bにおける他方のベルト取付部と、この減速機G2側のプーリ6cのベルト装着部との間には、無端状(ループ状)のベルト7b(第2ベルト)が掛け渡されている。そして、これらプーリ6b、ベルト7b、及びプーリ6cを介して、ブレーキ軸52bと入力軸52cとが連結されている。従って、ブレーキ軸52bの回転駆動力は、プーリ6b、ベルト7b、及びプーリ6cを介して、入力軸52cに伝達される。なお、上記プーリ6b、ベルト7b、及びプーリ6cは、第2伝達機構を構成する。
以上のような減速機G2は、入力軸52cを介して入力されたモータ軸52aの回転を減速し出力軸52dを介して上腕A部122Lに伝達して、当該上腕A部122Lを駆動させる。このとき、減速機G2の入力軸52c及び出力軸52dは中空構造を備えており、それらの内部には上記制御ケーブル3が挿通されている。なお、モータ軸52a及び入力軸52cは、ブレーキ軸52bに比べると軸方向寸法が大きくなっている。
なお、アーム部120L及び手首部130Lとアーム部120R及び手首部130Rとは、それぞれ同様な形状に構成されており、肩部121Lと肩部121Rとは、それぞれのアクチュエータAc1L,Ac1Rの基点となる回転位置が互いに180度異なるように胴体部110に取り付けられている。これにより、アーム部120L及び手首部130Lとアーム部120R及び手首部130Rとの軸構成は、左右対称となる構造である。
肩部121Rには、上述したように、上腕A部122Rを旋回軸線Ax2Rまわりに旋回駆動するアクチュエータAc2Rが設けられている。アクチュエータAc2Rは、その駆動対象である上腕A部122Rが上記アクチュエータAc2Lの駆動対象である上腕A部122Lと同様の構造であるため、これら肩部121R及びアクチュエータAc2Rについては説明を省略する。
<上腕A部>
図1〜図4に示すように、上腕A部122Lは、1以上の強度部材Fr2と、強度部材Fr2を覆って当該上腕A部122Lの外郭を構成するカバーCv2(詳細は後述)とを有する。強度部材Fr2は、例えば高張力鋼(いわゆるハイテン鋼)等のプレートにより形成されている。即ち、上腕A部122Lは、カバーCv2に覆われた強度部材Fr2が重力分及び加減速時の負荷分の強度を担持する支持構造を構成する骨格部材となる、内骨格構造を備えている。なお、上腕A部122Lの構造としては、この例のように内骨格構造に限定されるものではなく、外骨格構造として構成されてもよい。
また、上腕A部122Lには、上述したように、上腕B部123Lを回動軸線Ax3Lまわりに旋回駆動するアクチュエータAc3Lが設けられている。図9、図10、及び図12に示すように、アクチュエータAc3Lは、モータM3と、上腕A部122L及び上腕B部123Lを互いに可動となるように連結する減速機G3(関節部)とを含む。
モータM3は、上腕B部123Lを駆動する回転駆動力を減速機G3に対して発生する。このモータM3は、略円筒状の固定子8と、回転子9と、出力軸であるモータ軸53aと、モータフレーム10と、ブレーキ部60とを備える、いわゆるブレーキ付きモータである。回転子9は、固定子8の外周面と径方向に対向するように、当該固定子8に対し回転自在に支持されている。モータ軸53aは、回動軸線Ax3Lと略平行に配置されており、回転子9の内周面に結合されている。モータフレーム10は、固定子8の外周側に設けられており、モータM3の外郭を構成する。ブレーキ部60は、モータ軸53aの回転を制動又は保持する。
減速機G3は、ボルトによって強度部材Fr2に固定されており、モータフレーム10は、ボルトによって減速機G3に固定されている。一方、モータフレーム10は、連結部材11とも応力伝達可能に連結されている。本実施形態では、連結部材11は、具体的には屈曲された鋼板で形成されており、一方が強度部材Fr2にボルトによって固定され、他方ではモータフレーム10の端部に沿って接触し、モータフレーム10と連結部材11とで応力及び熱の伝達が行われるように構成されている。即ち、モータフレーム10は、強度部材Fr2、連結部材11、及び減速機G3と共にロボット100及びロボット100が保持するツールの重力分及び加減速時の負荷分の強度を担持する強度部材(骨格部材)の一部をなしている。なお、図9中では、連結部材11の図示を省略している。即ち、モータフレーム10は、モータM3の外郭だけではなく、上腕A部122Lの骨格部材を兼用している。このとき、上記連結部材11を熱伝達可能な部材によって構成することにより、モータM3により発生した熱を、連結部材11を介して強度部材Fr2に伝達することができる(モータM3により発生した熱を逃がすことができる)。
減速機G3は、上腕A部122Lの先端部に配設されている。減速機G3の入力軸53bは、モータ軸53aに固定されており、上腕A部122Lの先端部に対し回転自在に支持されている。減速機G3の出力軸53cは、ギア12,13を介して入力軸53bに連結されており、上腕A部122Lの先端部に対し回動軸線Ax3Lまわりに回転自在に支持されている。このとき、上記ギア12,13の少なくとも一方は、例えば熱硬化性プラスチック等の樹脂により形成されている。これにより、入力軸53b及び出力軸53cに対するグリースを不要とすることができ、オイルシールを省略することができる。なお、上記ギア12,13の少なくとも一方を樹脂ではなく適宜の金属により形成してもよい。このような減速機G3は、入力軸53bを介して入力されたモータ軸53aの回転を減速し出力軸53cを介して上腕B部123Lに伝達して、当該上腕B部123Lを駆動させる。このとき、出力軸53cは中空構造を備えており、それらの内部には上記制御ケーブル3が挿通されている。
上腕A部122Rには、上述したように、上腕B部123Rを回動軸線Ax3Rまわりに旋回駆動するアクチュエータAc3Rが設けられている。アクチュエータAc3Rは、その駆動対象である上腕B部123Rが上記アクチュエータAc3Lの駆動対象である上腕B部123Lと同様の構造であるため、これら上腕A部122R及びアクチュエータAc3Rについては説明を省略する。
<上腕B部>
図1〜図4に示すように、上腕B部123Lは、1以上の強度部材Fr3と、強度部材Fr3を覆って当該上腕B部123Lの外郭を構成するカバーCv3(詳細は後述)とを有する。強度部材Fr3は、例えば高張力鋼(いわゆるハイテン鋼)等のプレートにより形成されている。即ち、上腕B部123Lは、カバーCv3に覆われた強度部材Fr3が重力分及び加減速時の負荷分の強度を担持する支持構造を構成する骨格部材となる、内骨格構造を備えている。なお、上腕B部123Lの構造としては、この例のように内骨格構造に限定されるものではなく、外骨格構造として構成されてもよい。
また、上腕B部123Lには、上述したように、下腕部124Lを旋回軸線Ax4Lまわりに旋回駆動するアクチュエータAc4Lが設けられている。図9及び図13〜図15に示すように、アクチュエータAc4Lは、モータM4と、ブレーキ装置B4と、上腕B部123L及び下腕部124Lを互いに可動となるように連結する減速機G4(関節部)とを含む。
モータM4は、下腕部124Lを駆動する回転駆動力を減速機G4に対して発生する。このモータM4の出力軸であるモータ軸54aは、旋回軸線Ax4Lと略平行に配置されている。また、モータ軸54aにおける後述する第2軸方向一方側の端部には、ベルト取付部を備えたプーリ14a(モータプーリ)が当該モータ軸54aと共に回転するように設置されている。なお、プーリ14aの回転中心は、モータ軸54aの回転中心と一致する。
ブレーキ装置B4は、モータ軸54aの回転を制動又は保持する。このブレーキ装置B4の軸であるブレーキ軸54bは、旋回軸線Ax4Lと略平行に(つまり、モータ軸54aと略平行に)配置されている。また、ブレーキ軸54bにおける軸方向一方側(各図中に示すロボット本体102の姿勢では上側。以下適宜「第2軸方向一方側」と称する)の端部には、ベルト取付部を備えたプーリ14b(第1ブレーキプーリ)が当該ブレーキ軸54bと共に回転するように固定されている。なお、プーリ14bの回転中心は、ブレーキ軸54bの回転中心と一致する。また、ブレーキ軸54bにおける軸方向他方側(各図中に示すロボット本体102の姿勢では下側。以下適宜「第2軸方向他方側」と称する)の端部には、ベルト取付部を備えたプーリ14c(第2ブレーキプーリ)が当該ブレーキ軸54bと共に回転するように固定されている。なお、プーリ14cの回転中心は、ブレーキ軸54bの回転中心と一致する。
このとき、上記モータM4側のプーリ14aのベルト装着部と、このブレーキ装置B4側のプーリ14bのベルト取付部との間には、無端状(ループ状)のベルト15a(第1ベルト)が掛け渡されている。そして、これらプーリ14a、ベルト15a、及びプーリ14bを介して、モータ軸54aとブレーキ軸54bとが連結されている。従って、モータ軸54aの回転駆動力は、プーリ14a、ベルト15a、及びプーリ14bを介して、ブレーキ軸54bに伝達される。なお、上記プーリ14a、ベルト15a、及びプーリ14bは、第1伝達機構を構成する。
減速機G4は、上腕B部123Lの先端部に配設されている。減速機G4の入力軸54cは、旋回軸線Ax4Lに略沿って(つまり、モータ軸54aやブレーキ軸54bと略平行に)配置されており、上腕B部123Lの先端部に対し回転自在に支持されている。減速機G4の出力軸54dは、適宜のギア機構を介して入力軸54cに連結されており、上腕B部123Lの先端部に対し旋回軸線Ax4Lまわりに回転自在に支持されている。また、入力軸54cにおける上記第2軸方向他方側の端部には、ベルト取付部を備えたプーリ14d(減速機プーリ)が当該入力軸54cと共に回転するように固定されている。なお、プーリ6dの回転中心は、入力軸54cの回転中心と一致する。
このとき、上記ブレーキ装置B4側のプーリ14cのベルト取付部と、この減速機G4側のプーリ14dのベルト装着部との間には、無端状(ループ状)のベルト15b(第2ベルト)が掛け渡されている。そして、これらプーリ14c、ベルト15b、及びプーリ14dを介して、ブレーキ軸54bと入力軸54cとが連結されている。従って、ブレーキ軸54bの回転駆動力は、プーリ14c、ベルト15b、及びプーリ14dを介して、入力軸54cに伝達される。なお、上記プーリ14c、ベルト15b、及びプーリ14dは、第2伝達機構を構成する。
以上のような減速機G4は、入力軸54cを介して入力されたモータ軸54aの回転を減速し出力軸54dを介して下腕部124Lに伝達して、当該下腕部124Lを駆動させる。このとき、減速機G4の入力軸54c及び出力軸54dは中空構造を備えており、それらの内部には上記制御ケーブル3が挿通されている。なお、モータ軸54a及び入力軸54cは、ブレーキ軸54bに比べると軸方向寸法が大きくなっている。
上腕B部123Rには、上述したように、下腕部124Rを旋回軸線Ax4Rまわりに旋回駆動するアクチュエータAc4Rが設けられている。アクチュエータAc4Rは、その駆動対象である下腕部124Rが上記アクチュエータAc4Lの駆動対象である下腕部124Lと同様の構造であるため、これら上腕B部123R及びアクチュエータAc4Rについては説明を省略する。
<下腕部>
図1〜図4に示すように、下腕部124Lは、1以上の強度部材Fr4と、強度部材Fr4を覆って当該下腕部124Lの外郭を構成するカバーCv4(詳細は後述)とを有する。強度部材Fr4は、例えば高張力鋼(いわゆるハイテン鋼)等のプレートにより形成されている。即ち、下腕部124Lは、カバーCv4に覆われた強度部材Fr4が重力分及び加減速時の負荷分の強度を担持する支持構造を構成する骨格部材となる、内骨格構造を備えている。なお、下腕部124Lの構造としては、この例のように内骨格構造に限定されるものではなく、外骨格構造として構成されてもよい。
また、下腕部124Lには、上述したように、手首A部131Lを旋回軸線Ax5Lまわりに旋回駆動するアクチュエータAc5Lが設けられている。図16〜図18に示すように、アクチュエータAc5Lは、モータM5(第1駆動モータ)と、2つのベベルギアにより構成されるベベルギアセットの一種であり、上腕B部123L及び手首A部131Lを互いに可動となるように連結するハイポイド(登録商標)ギアセットG5(第1ベベルギアセット、関節部)とを含む。ハイポイドギアセットG5は、ギアケース61により覆われている。
モータM5は、手首A部131Lを駆動する回転駆動力をハイポイドギアセットG5に対して発生する。このモータM5の出力軸であるモータ軸55aは、アーム部120Lの長手方向に略沿って配置されている。
ハイポイドギアセットG5は、モータM5の回転速度を所定の減速比で減速するものであり、互いの軸線が交わる2つのベベルギアにより構成される通常のベベルギアセットと異なり、互いの軸線がずれて食い違うピニオンギアG5a及びリングギアG5bにより構成されている。ピニオンギアG5aは、その軸線Axaがアーム部120Lの長手方向に略沿うようにモータ軸55aに連結されており、下腕部124Lの先端部に対し回転自在に支持されている。このピニオンギアG5aは、モータG5からの回転駆動力がモータ軸55aを介して入力されることにより、下腕部124Lの先端部に対し軸線Axaまわりに回転する。リングギアG5bは、その軸線Axbがアーム部120Lの長手方向に略直交する(言い換えれば、ピニオンギアG5aの軸線Axaに略直交する)ようにピニオンギアG5aに噛合しており、下腕部124Lの先端部に対し旋回軸線Ax5Lまわりに回転自在に支持されている。なお、リングギアG5bの軸線Axbは、旋回軸線Ax5Lと一致する。このとき、リングギアG5bには、ピニオンギアG5aの先端側が軸線Axbから当該軸線Axbに略直交する方向にオフセットした状態で噛合されている。このリングギアG5bは、ピニオンギアG5aを介して入力されたモータ軸55aの回転を減速しギア16、17を介して手首A部131Lに伝達して、当該手首A部131Lを駆動させる。このとき、ギア16、17は中空構造を備えており、それらの内部には上記制御ケーブル3が挿通されている。
下腕部124Rには、上述したように、手首A部131Rを旋回軸線Ax5Rまわりに旋回駆動するアクチュエータAc5Rが設けられている。アクチュエータAc5Rは、その駆動対象である手首A部131Rが上記アクチュエータAc5Lの駆動対象である手首A部131Lと同様の構造であるため、これら下腕部124R及びアクチュエータAc5Rについては説明を省略する。
<手首A部>
図1〜図4に示すように、手首A部131Lは、1以上の強度部材Fr5と、強度部材Fr5を覆って当該手首A部131Lの外郭を構成するカバーCv5(詳細は後述)とを有する。強度部材Fr5は、例えば高張力鋼(いわゆるハイテン鋼)等のプレートにより形成されている。即ち、手首A部131Lは、カバーCv5に覆われた強度部材Fr5が重力分及び加減速時の負荷分の強度を担持する支持構造を構成する骨格部材となる、内骨格構造を備えている。なお、手首A部131Lの構造としては、この例のように内骨格構造に限定されるものではなく、外骨格構造として構成されてもよい。
また、手首A部131Lには、上述したように、手首B部132Lを旋回軸線Ax6Lまわりに旋回駆動するアクチュエータAc6Lが設けられている。図16、図19、及び図20に示すように、アクチュエータAc6Lは、モータM6(第2駆動モータ)と、2つのベベルギアにより構成されるベベルギアセットの一種であり、手首A部131L及び手首B部132Lを互いに可動となるように連結するハイポイドギアセットG6(第2ベベルギアセット、関節部)とを含む。ハイポイドギアセットG6は、ギアケース62により覆われている。
モータM6は、手首B部132Lを駆動する回転駆動力をハイポイドギアセットG6に対して発生する。このモータM6の出力軸であるモータ軸56aは、手首A部131Lの長手方向に略沿って配置されている。
ハイポイドギアセットG6は、モータM6の回転速度を所定の減速比で減速するものであり、互いの軸線が交わる2つのベベルギアにより構成される通常のベベルギアセットと異なり、互いの軸線がずれて食い違うピニオンギアG6a及びリングギアG6bにより構成されている。ピニオンギアG6aは、その軸線Axcが手首A部131Lの長手方向に略沿うようにモータ軸56aに連結されており、手首A部131Lの先端部に対し回転自在に支持されている。このピニオンギアG6aは、モータG6からの回転駆動力がモータ軸56aを介して入力されることにより、手首A部131Lの先端部に対し軸線Axcまわりに回転する。リングギアG6bは、その軸線Axdが手首A部131Lの長手方向に略直交する(言い換えれば、ピニオンギアG6aの軸線Axcに略直交する)ようにピニオンギアG6aに噛合しており、手首A部131Lの先端部に対し旋回軸線Ax6Lまわりに回転自在に支持されている。なお、リングギアG6bの軸線Axdは、旋回軸線Ax6Lと一致する。このとき、リングギアG6bには、ピニオンギアG6aの先端側が軸線Axdから当該軸線Axdに略直交する方向にオフセットした状態で噛合されている。このリングギアG6bは、ピニオンギアG6aを介して入力されたモータ軸56aの回転を減速しギア18、19を介して手首B部132Lに伝達して、当該手首B部132Lを駆動させる。このとき、ギア18、19は中空構造を備えており、それらの内部には上記制御ケーブル3が挿通されている。
手首A部131Rには、上述したように、手首B部132Rを旋回軸線Ax6Rまわりに旋回駆動するアクチュエータAc6Rが設けられている。アクチュエータAc6Rは、その駆動対象である手首B部132Rが上記アクチュエータAc6Lの駆動対象である手首B部132Lと同様の構造であるため、これら手首A部131R及びアクチュエータAc6Rについては説明を省略する。
<手首B部>
図1〜図4に示すように、手首B部132Lは、1以上の強度部材Fr6と、強度部材Fr6を覆って当該手首B部132Lの外郭を構成するカバーCv6(詳細は後述)とを有する。強度部材Fr6は、例えば高張力鋼(いわゆるハイテン鋼)等のプレートにより形成されている。即ち、手首B部132Lは、カバーCv6に覆われた強度部材Fr6が重力分及び加減速時の負荷分の強度を担持する支持構造を構成する骨格部材となる、内骨格構造を備えている。なお、手首B部132Lの構造としては、この例のように内骨格構造に限定されるものではなく、外骨格構造として構成されてもよい。
また、手首B部132Lには、上述したように、フランジ部133Lを回動軸線Ax7Lまわりに旋回駆動するアクチュエータAc7Lが設けられている。図16に示すように、アクチュエータAc7Lは、モータM7と、手首B部132L及びフランジ部133Lを互いに可動となるように連結する減速機G7(関節部)とを含む。モータM7は、フランジ部133Lを駆動する回転駆動力を減速機G7に対して発生する。減速機G7は、モータM7による回転を減速しフランジ部133Lに伝達して当該フランジ部133Lを駆動させる。このとき、減速機G7に備えられたギア機構の少なくとも1つのギアは、例えば熱硬化性プラスチック等の樹脂により形成されている。これにより、減速機G7の軸(入力軸や出力軸等)に対するグリースを不要とすることができ、オイルシールを省略することができる。なお、減速機G7に備えられたギア機構の少なくとも1つのギアを樹脂ではなく適宜の金属により形成してもよい。またこのとき、減速機G7の軸は中空構造を備えており、それらの内部には上記制御ケーブル3が挿通されている。
手首B部132Rには、上述したように、フランジ部133Rを回動軸線Ax7Rまわりに旋回駆動するアクチュエータAc7Rが設けられている。アクチュエータAc7Rは、その駆動対象であるフランジ部133Rが上記アクチュエータAc7Lの駆動対象であるフランジ部133Lと同様の構造であるため、これら手首B部132R及びアクチュエータAc7Rについては説明を省略する。
<カバー>
次に、上記カバーCv0〜Cv6について説明する。なお、以下では、ロボット本体102のうち、内骨格構造を備えた胴体部110、肩部121L,121R、上腕A部122L,122R、上腕B部123L,123R、下腕部124L,124R、手首A部131L,131R、及び手首B部132L,132Rを、適宜「内骨格構造を備えた各部」と総称する。また、ロボット本体102のうち内骨格構造を備えた各部のそれぞれに備えられた強度部材Fr0〜Fr6を区別なく示す場合には、適宜「強度部材Fr」と称する。また、ロボット本体102のうち内骨格構造を備えた各部のそれぞれに備えられたカバーCv0〜Cv6を区別なく示す場合には、適宜「カバーCv」と称する。
即ち、ロボット本体102のうち内骨格構造を備えた各部のそれぞれは、上述したように、強度部材Fr0〜Fr6のそれぞれを覆って当該各部のそれぞれの外郭を構成するカバーCv0〜Cv6を有する。これらカバーCv0〜Cv6は、形状については覆う対象となる強度部材Frの形状に合わせるため互いに異なるものの、組成について互いに同等である。以下では、これらカバーCv0〜Cv6のうち、上腕A部122LのカバーCv2について、図21を参照しつつ説明する。
図21に示すように、上腕A部122LのカバーCv2は、2層の積層構造を備えている。即ち、上腕A部122LのカバーCv2は、内層である樹脂層40aと、外層である弾性外皮40bとにより構成されている。樹脂層40aは、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂やポリカーボネート等の樹脂により形成されており、強度部材Fr2を覆っている。弾性外皮40bは、例えばシリコンゴム等の弾性体により形成されており、樹脂層40aの表面に接合されて上腕A部122Lの表面外皮を形成している。
なお、ここでは上腕A部122LのカバーCv2について説明したが、これ以外の胴体部110のカバーCv0、肩部121L,121RのカバーCv1、上腕A部122RのカバーCv2、上腕B部123L,123RのカバーCv3、下腕部124L,124RのカバーCv4、手首A部131L,131RのカバーCv5、及び手首B部132L,132RのカバーCv6についても同様、内層である樹脂層40aと、外層である弾性外皮40bとの2層の積層構造を備えている。
<接触スイッチ>
また、上記上腕A部122L、上腕B部123L、下腕部124L、手首A部131L、及び手首B部132Lのうち少なくとも1つ、及び、上記上腕A部122R、上腕B部123R、下腕部124R、手首A部131R、及び手首B部132Rのうち少なくとも1つは、弾性外皮40bに対する互いに直交する3方向からの外部からの接触を検出する接触スイッチ41(センサ。後述の図22等参照)を備えている。以下では、上記各部のそれぞれが接触スイッチ41を備えているものとして説明する。また、以下では、上記各部のうち、上腕A部122Lに備えられた接触スイッチ41について、図21及び図22を参照しつつ説明する。
図21及び図22に示すように、上腕A部122Lに備えられた接触スイッチ41は、その先端側の検出部41aが上記樹脂層40aの肉厚部42に設けられた凹部42aに収納されるように、当該上腕A部122Lの強度部材Fr2に連結されたプレート44に対し立設されている。このとき、接触スイッチ41の検出部41aがその周囲の樹脂層40aに接触しないように、検出部41aとその周囲の樹脂層40aとの間には適宜の間隔が形成されている。
また、上記プレート44における接触センサ41の近傍には、適宜の弾性体(例えばゴム等)により形成された略円柱状の弾性部材43が、その先端部が上記樹脂層40aの肉厚部42に密着するように立設されている。
従って、物体や人体が上腕A部122Lの弾性外皮40b(又は、別の部分の弾性外皮40b)に接触して当該弾性外皮40bに対し荷重(圧縮力)が掛かると、その衝撃により樹脂層40a及び弾性部材43が動く。このとき、樹脂層40aが検出部41aに接触すると、接触スイッチ41は、弾性外皮40bに対する外部からの接触を検出し、その旨を表す検出信号を上記ロボットコントローラ200へ出力する。
なお、ここでは上腕A部122Lに備えられた接触スイッチ41について説明したが、これ以外の、肩部121L,121R、上腕A部122R、上腕B部123L,123R、下腕部124L,124R、手首A部131L,131R、及び手首B部132L,132Rにそれぞれ備えられた接触スイッチ41について同様であるので、説明を省略する。
<ロボットコントローラ>
次に、上記ロボットコントローラ200の機能的構成について説明する。
図23に示すように、ロボットコントローラ200は、検出信号取得部201と、ロボット制御部202とを有する。
検出信号取得部201は、上記肩部121L,121R、上腕A部122L,122R、上腕B部123L,123R、下腕部124L,124R、手首A部131L,131R、及び手首B部132L,132Rの接触スイッチ41から出力される検出信号を取得する。
ロボット制御部202は、上記各アクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7Rの動作を制御することにより、ロボット本体102全体の動作を制御する。このロボット制御部202は、動作制御部202aを備える。
動作制御部202aは、検出信号取得部201が検出信号を取得した場合に、当該検出信号を出力した接触スイッチ41が設けられたロボット本体102の各部を駆動する各アクチュエータ(又は、全てのアクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7R)の動作を停止させる。あるいは、動作制御部202aは、上記ロボット本体102の各部を駆動する各アクチュエータ(又は、全てのアクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7R)の動作速度を所定の速度(例えば物体や人体が接触しても安全な速度、言い換えればほぼ停止しているような速度)以下まで減速させてもよい。
以上説明したように、本実施形態においては、基台101における筐体101aの下面には開口部10aが設けられ、さらに筐体101aの後面には同様に開口部10bが設けられている。開口部10aには、コネクタプレート11a及び蓋部12aのいずれかを選択的に取り付けることができる。開口部10bには、コネクタプレート11b及び蓋部12bのいずれかを選択的に取り付けることができる。これにより、利用者の用途や利便性に応じて、ロボットコントローラ200等と上記アクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7Rとの電気的接続を、基台101の下端部又は基台101の後面のどちらでも実行することができる。この結果、利用者の利便性を向上できると共に、それぞれに併せて別々の基台101を製造する場合に比べて製品の共通化を図ることで製造コストの低減を図ることもできる。
このとき特に、開口部10aにコネクタプレート11aを取り付けると共に、開口部10bに蓋部12bを取り付けた場合には、制御ケーブル3の先端部をコネクタプレート11aのコネクタに接続すると共に、当該コネクタに対して基台101外部から接続ケーブル(例えば、ロボットコントローラ200からの接続ケーブル2等)を接続することで、当該ロボットコントローラ200等と上記アクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7Rとの電気的接続を、基台101の下端部を介して実行することができる。一方、開口部10bにコネクタプレート11bを取り付けると共に、開口部10aに蓋部12aを取り付けた場合には、、制御ケーブル3の先端部をコネクタプレート11bのコネクタに接続すると共に、当該コネクタに対して基台101外部から接続ケーブル(例えば、ロボットコントローラ200からの接続ケーブル2等)を接続することで、当該ロボットコントローラ200等と上記アクチュエータAc0,Ac1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7Rとの電気的接続を、基台101の後面を介して実行することができる。
また、本実施形態では特に、ロボット100には、制御ケーブル3の先端部が開口部10a,10bのいずれにも指向可能なように、当該制御ケーブル3を筐体101aの内部で支持するパイプPが設けられている。これにより、上述のような、開口部10aに取り付けたコネクタプレート11aのコネクタへの制御ケーブル3の接続、及び、開口部10bに取り付けたコネクタプレート11bのコネクタへの制御ケーブル3の接続、のいずれもが可能となる。
また、本実施形態においては、アーム部120L及び手首部130Lと、アーム部120R及び手首部130Rとが、多関節構造で構成されている。ここで、上記のような多関節構造の、アーム部120L及び手首部130Lと、アーム部120R及び手首部130Rとは、先端側はロボット100の作業対象に対し所望の作業を行うツールが取り付けられる一方、基端側は回動可能に基台101に接続される。即ち、アーム部120L及び手首部130Lの全体と、アーム部120R及び手首部130Rの全体としては、基端側からの片持ち支持構造となる。従って、アーム部120L及び手首部130Lと、アーム部120R及び手首部130Rとは、各部において、当該各部の重力分及び加減速時の負荷分等をそれぞれ支える支持構造を備える必要がある。本実施形態においては、上腕A部122L,122Rに設けられたモータM3のモータフレーム10が、強度部材Fr2に応力伝達可能に連結されると共に、モータM3が、減速機G3及び上腕B部123L,123Rに応力伝達可能に連結されている。即ち、上腕A部122L,122Rに設けられたモータM3のモータフレーム10が、当該上腕A部122L,122Rの骨格部材を兼用している。これにより、上腕A部122L,122Rの重力分及び加減速時の負荷分は、それぞれのモータフレーム10によっても支持される。この結果、重力分及び加減速時の負荷分の支持のための強度部材や骨格構造を小さくすることができるので、上腕A部122L,122Rの軽量化・小型化を図ることができる。
また、本実施形態では特に、上腕A部122L,122Rに設けられたモータM3は、モータ軸53aがアーム部120L,120Rの長手方向に沿うように配置されている。これにより、上腕A部122L,122Rにおいて支持構造をアーム部120L,120Rの長手方向に配置する場合に、モータフレーム10を骨格部材として兼用することで確実に軽量化・小型化を図ることができる。
また、本実施形態においては、肩部121L,121Rには、モータM2と減速機G2とが設けられている。モータM2のモータ軸52aから出力される回転駆動力が減速機G2の入力軸52cに伝達され、減速機G2において所定の減速比により減速された後に上腕A部122L,122Rに伝達され、当該上腕A部122L,122Rが所定の態様で駆動される。このとき、肩部121L,121Rの不用意な動作を防止する等の観点から、上記モータM2による上腕A部122L,122Rへの駆動を停止するためのブレーキ装置B2が設けられる。
ここで、上記ブレーキ装置B2をモータM2へ一体的に組み込む構造とすると、モータM2のモータ軸52aとブレーキ装置B2のブレーキ軸52bとが一直線状に配置されることとなってモータM2の大型化を招く。そこで本実施形態においては、それらモータ軸52aとブレーキ軸52bとを(上記一直線上の配置とせず)横並びの配置とする。そのために、モータ軸52aにプーリ6aを設けると共に、ブレーキ軸52bにもプーリ6bを設け、それらプーリ6aとプーリ6bとの間にベルト7aを掛け渡して駆動力の伝達を行う。これにより、上記ブレーキ・モータ一体形構造に比べ、小型化を図ることができる。
さらに本実施形態では、上記同様の軸方向一直線上配置による大型化防止の観点から、減速機G2の入力軸52cについても、上記モータ軸52a及びブレーキ軸52bに対して横並びの配置とする。そのために、上記同様、減速機G2の入力軸52cにもプーリ6cを設ける。即ち、モータM2のモータ軸52a、ブレーキ装置B2のブレーキ軸52b、減速機G2の入力軸52cにそれぞれプーリを設け、ベルトにより各プーリを連結する。この場合、モータ軸52aと入力軸52cとにベルトを掛け渡すと共にモータ軸52aとブレーキ軸52bとに別のベルトを掛け渡す構造(ブレーキ軸52a、モータ軸52b、入力軸52cの並びとなる)と、モータ軸52aとブレーキ軸52bとにベルトを掛け渡すと共にブレーキ軸52bと入力軸52cとに別のベルトを掛け渡す構造(モータ軸52a、ブレーキ軸52b、入力軸52cの並びとなる)と、が考えられる。
ここで、上述したように、モータ軸52a及び入力軸52cは、ブレーキ軸52bに比べると軸方向寸法が大きい。従って、モータ軸52aのプーリと入力軸52cのプーリとを直接ベルトで連結すると、モータ軸52aと入力軸52cとの相対位置関係に制約が生じ(例えばモータ軸52aの端部と入力軸52cの端部とを一致させる必要が生じ)、モータM2及び減速機G2の全体を配置する際の省スペース化が困難となる。
そこで本実施形態においては、(モータM2側のプーリと減速機G2側のプーリとを直接連結せず)モータM2側のプーリ6aとブレーキ装置B2側のプーリ6bとをベルト7aで連結すると共に、ブレーキ装置B2側のプーリ6bと減速機G2側のプーリ6cとをベルト7bで連結する構成とする。これにより、ベルト7aによりモータM2側のプーリ6aとブレーキ装置B2側のプーリ6bとが連結される軸方向位置と、ベルト7bによりブレーキ装置B2側のプーリ6bと減速機G2側のプーリ6cとが連結される軸方向位置と、を互いに異なる位置とすることができる。この結果、上述のようなモータ軸52aと入力軸52cとの相対位置関係の制約がなくなり(モータ軸52aの端部と入力軸52cの端部とを一致させる必要がなくなり)、モータM2及び減速機G2それぞれを適宜に配置することで、それらモータM2及び減速機G2全体の配置のために必要な軸方向寸法を低減し、省スペース化を図ることができる。
また、本実施形態においては、上腕B部123L,123Rには、モータM4と、減速機G4と、ブレーキ装置B4とが設けられている。そして、これらに関しても上記同様、モータM4のモータ軸54a、ブレーキ装置B4のブレーキ軸54b、減速機G4の入力軸54cにそれぞれプーリを設け、ベルトにより各プーリを連結する。この場合、モータ軸54aと入力軸54cとにベルトを掛け渡すと共にモータ軸54aとブレーキ軸54bとに別のベルトを掛け渡す構造(ブレーキ軸54a、モータ軸54b、入力軸54cの並びとなる)と、モータ軸54aとブレーキ軸54bとにベルトを掛け渡すと共にブレーキ軸54bと入力軸54cとに別のベルトを掛け渡す構造(モータ軸54a、ブレーキ軸54b、入力軸54cの並びとなる)と、が考えられる。
ここで、上述したように、モータ軸54a及び入力軸54cは、ブレーキ軸54bに比べると軸方向寸法が大きい。従って、モータ軸54aのプーリと入力軸54cのプーリとを直接ベルトで連結すると、モータ軸54aと入力軸54cとの相対位置関係に制約が生じ(例えばモータ軸54aの端部と入力軸54cの端部とを一致させる必要が生じ)、モータM4及び減速機G4の全体を配置する際の省スペース化が困難となる。
そこで本実施形態においては、(モータM4側のプーリ14aと減速機G4側のプーリ14dとを直接連結せず)モータM4側のプーリ14aとブレーキ装置B4側のプーリ14bとをベルト15aで連結すると共に、ブレーキ装置B4側のプーリ14cと減速機G4側のプーリ14dとをベルト15bで連結する構成とする。これにより、ベルト15aによりモータM4側のプーリ14aとブレーキ装置B4側のプーリ14bとが連結される軸方向位置と、ベルト15bによりブレーキ装置B4側のプーリ14cと減速機G4側のプーリ14dとが連結される軸方向位置と、を互いに異なる位置とすることができる。この結果、上述のようなモータ軸54aと入力軸54cとの相対位置関係の制約がなくなり(モータ軸54aの端部と入力軸54cの端部とを一致させる必要がなくなり)、モータM4及び減速機G4それぞれを適宜に配置することで、それらモータM4及び減速機G4全体の配置のために必要な軸方向寸法を低減し、省スペース化を図ることができる。
以上の結果、モータM2、減速機G2、及びブレーキ装置B2を配置する肩部121L,121Rや、モータM4、減速機G4、及びブレーキ装置B4を配置する上腕B部123L,123R、さらにはアーム部120L,120R全体の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では特に、肩部121L,121Rに設けられたモータM2、ブレーキ装置B2、及び減速機G2は、モータ軸52a、ブレーキ軸52b、及び入力軸52cが互いに平行になるように配置されている。これにより、上述した、モータM2のモータ軸52a、ブレーキ装置B2のブレーキ軸52b、及び減速機G2の入力軸52cの横並び配置を確実に実現し、肩部121L,121Rの小型化を確実に図ることができる。また、上腕B部123L,123Rに設けられたモータM4、ブレーキ装置B4、及び減速機G4は、モータ軸54a、ブレーキ軸54b、及び入力軸54cが互いに平行になるように配置されている。これにより、上述した、モータM4のモータ軸54a、ブレーキ装置B4のブレーキ軸54b、及び減速機G4の入力軸54cの横並び配置を確実に実現し、上腕B部123L,123Rの小型化を確実に図ることができる。
また、本実施形態では特に、肩部121L,121Rに設けられたモータM2のモータ軸52a、ブレーキ装置B2のブレーキ軸52b、及び減速機G2の入力軸52cは、アーム部120L,120Rの長手方向に直交する方向に沿って配置されている。互いに平行であるモータM2のモータ軸52a、ブレーキ装置B2のブレーキ軸52b、及び減速機G2の入力軸52cが、アーム部120L,120Rの長手方向に直交する方向(言い換えれば、アーム部120L,120Rの太さ方向)に配置されている場合、各軸の軸方向寸法が大きいとアーム部120L,120Rの太径化を招く。また、上腕B部123L,123Rに設けられたモータM4のモータ軸54a、ブレーキ装置B4のブレーキ軸54b、及び減速機G4の入力軸54cは、アーム部120L,120Rの長手方向に直交する方向に沿って配置されている。互いに平行であるモータM4のモータ軸54a、ブレーキ装置B4のブレーキ軸54b、及び減速機G4の入力軸54cが、アーム部120L,120Rの長手方向に直交する方向(言い換えれば、アーム部120L,120Rの太さ方向)に配置されている場合、各軸の軸方向寸法が大きいとアーム部120L,120Rの太径化を招く。したがって、このような配置に上記の構成を適用することにより、アーム部120L,120Rの太径化を特に効果的に防止することができる。
また、本実施形態では特に、上腕B部123Lに設けられたブレーキ装置B4のブレーキ軸54bにおいて、上記第2軸方向一方側に設けたプーリ14bでモータM4側のプーリ14aとのベルト連結を行い、軸方向他方側に設けたプーリ14cで減速機G4側のプーリ14dとのベルト連結を行う。このようにブレーキ軸54bで別々の位置に設けたプーリ14b,14cでモータM4側と減速機G4側との連結をそれぞれ行うことで、上述したモータ軸54aと入力軸54cとの相対位置関係の制約を確実になくし、確実に上腕B部123L及びアーム部120L,120R全体の小型化を図ることができる。
また、本実施形態においては、アーム部120L,120Rの先端側に、多関節構造の手首部130L、130Rが接続されている。手首部130L、130Rは、アーム部120L,120R側から先端側に向かって、手首A部131L,131R、手首B部132L,132R、フランジ部133L,133Rの順で、互いに回動可能に連結されている。
このとき、フランジ部133L,133Rと手首B部132L,132Rとの連結構造においては、手首部130L、130Rの長手方向に沿う回動軸線Ax7L,Ax7Rまわりに回動可能に連結されている。これに対し、手首B部132L,132Rと手首A部131L,131Rとの連結構造(以下、第2連結構造という)においては、手首部130L,130Rの長手方向と直交する方向(言い換えれば手首部130L,130Rの太さ方向)に沿う旋回軸線Ax6L,Ax6Rまわりに回動可能に連結されている。同様に、手首A部131L,131Rとアーム部120L,120Rとの連結構造(以下、第1連結構造という)においては、手首部130L,130Rの長手方向と直交する方向(言い換えれば手首部130L,130Rの太さ方向)に沿う旋回軸線Ax5L,Ax5Rまわりに回動可能に連結されている。
上記のように、第1連結構造又は第2連結構造においては、旋回軸線Ax5L,Ax5R又は旋回軸線Ax6L,Ax6Rが手首部130L,130Rの太さ方向に配置される。この結果、通常の歯車機構を用いて駆動モータの回転速度を減速する構成とすると、歯車機構の各歯車の軸線及び駆動モータのモータ軸がいずれも旋回軸線Ax5L,Ax5R又は旋回軸線Ax6L,Ax6Rに沿って配列されることから、それらの設置のために手首部130L,130Rあるいはアーム部120L,120Rの太さの増大を招く。
そこで本実施形態においては、上記通常の歯車機構ではなく、ハイポイドギアセットG5,G6が用いられる。ハイポイドギアセットG5,G6では、駆動ギアであるピニオンギアG5a,G6aの軸線Axa,Axcと従動ギアであるリングギアG5b,G6bの軸線Axb,Axdとが直交するようなギア配置となる。そして、上記第1連結構造に関し、リングギアG5bは軸線Axbが手首部130L,130Rの太さ方向に沿うように配置される一方、ピニオンギアG5a及びモータ軸55aについては軸線Axaが手首部130L,130R又はアーム部120L,120Rの長手方向に沿うように配置される。同様に、上記第2連結構造に関しても、リングギアG6bは軸線Axdが手首部130L,130Rの太さ方向に沿うように配置される一方、ピニオンギアG6a及びモータ軸56aについては軸線Axcが手首部130L,130R又はアーム部120L,120Rの長手方向に沿うように配置される。
以上の結果、本実施形態においては、手首部130L,130Rやアーム部120L,120Rの太さ方向の寸法増大を抑制し、手首部130L,130Rやアーム部120L,120Rのスリム化(扁平化)を図ることができる。
また、本実施形態では特に、手首B部132L,132Rは、手首部130L,130Rの長手方向と直交しかつ旋回軸線Ax5L,Ax5Rと直交する旋回軸線Ax6L,Ax6Rまわりに、旋回可能に支持されている。これにより、手首A部131L,131Rが旋回可能に支持される旋回軸線Ax5L,Ax5Rと手首B部132L,132Rが旋回可能に支持される旋回軸線Ax6L,Ax6Rとが互いにねじれの位置にある構成において、手首部130L,130Rやアーム部120L,120Rの太さ方向の寸法増大を抑制し、スリム化(扁平化)を図ることができる。
また、本実施形態では特に、モータM5はアーム部120L,120Rの先端部に設けられており、モータM6は手首A部131L,131Rに設けられている。これにより、モータM5が配置されるアーム部120L,120Rの太径化を防止してスリム化(扁平化)を図るとともに、モータM6が配置される手首A部131L,131Rの太径化を防止してスリム化(扁平化)を図ることができる。
また、本実施形態では特に、ハイポイドギアセットG5は、モータM5からの回転が入力されるピニオンギアG5aと、ピニオンギアG5aに噛合して手首A部131L,131Rを駆動するためのリングギアG5bとを備える。また、ハイポイドギアセットG6は、モータM6からの回転が入力されるピニオンギアG6aと、ピニオンギアG6aに噛合して手首B部132L,132Rを駆動するためのリングギアG6bとを備える。モータM5,M6からの駆動力をピニオンギアG5a,G6aに入力して伝達することにより、ピニオンギアG5a,G6aの径を適宜に小さくすることでアーム部120L,120R又は手首A部131L,131Rの太径化を防止することができる。
また、本実施形態では特に、モータM5は、モータ軸55aがアーム部120L,120Rの長手方向に沿うように設けられ、ピニオンギアG5aは、軸線Axaがアーム部120L,120Rの長手方向に沿うように設けられ、リングギアG5bは、軸線Axbがアーム部120L,120Rの長手方向に直交するように設けられている。また、モータM6は、モータ軸56aが手首A部131L,131Rの長手方向に沿うように設けられ、ピニオンギアG6aは、軸線Axcが手首A部131L,131Rの長手方向に沿うように設けられ、リングギアG6bは、軸線Axdが手首A部131L,131Rの長手方向に直交するように設けられている。これにより、モータM5及びピニオンギアG5aの配置によるアーム部120L,120Rの太径化を確実に防止できると共に、モータM6及びピニオンギアG6aの配置による手首A部131L,131Rの太径化を確実に防止することができる。
また、本実施形態においては、アーム部120L,120R及び手首部130L、130Rが多関節構造で構成されている。これらアーム部120L,120R及び手首部130L、130Rの各部は、ロボットコントローラ200の制御に基づいて動作する各アクチュエータアクチュエータAc1L〜Ac7L,Ac1R〜Ac7Rからの駆動力が伝達されることにより、駆動される。そして、これらアーム部120L,120R及び手首部130L、130Rの各部では、重力分及び加減速時の負荷分の支持構造である骨格部材Fr1〜Fr6が弾性外皮40bで覆われており、その弾性外皮40bによって各部の表面外皮が構成される。これにより、仮に、アーム部120L,120Rの動作中に、周囲の物体や人体へアーム部120L,120Rが干渉した場合を想定したとしても、弾性外皮40bを構成する弾性体の弾性力により干渉時の衝撃は大きく吸収され、緩和される。この結果、上記物体や人体へ作用する力を著しく低減することができるので、安全性の面で万全を期すことができ、より安全性を向上させることができる。これにより、従来、安全確保の面でロボット100の周囲に設置が必要であった安全柵をなくすこともできる。
また、本実施形態では特に、アーム部120L,120R及び手首部130L、130Rの各部は、弾性外皮40bに対する外部からの接触を検出する接触スイッチ41を備える。これにより、仮に、上記アーム部120L,120Rの周囲の物体や人体への干渉が生じた場合には、接触スイッチ41によって当該干渉を確実に検出することができる。
また、本実施形態では特に、接触スイッチ41は、弾性外皮40bに対する、互いに直交する3方向からの接触を検出可能な3方向接触スイッチである。これにより、アーム部120L,120Rと周囲の物体や人体とが干渉したとき、各部に対しいずれの方向から接触が生じていたとしても、当該接触の検出を確実に行うことができる。
また、本実施形態では特に、ロボットコントローラ200は、接触スイッチ41から出力される検出信号に基づいて、当該接触スイッチ41が設けられた各部を駆動するアクチュエータの動作を減速又は停止可能な動作制御部202aを備える。これにより、仮に、上記アーム部120L,120Rの周囲の物体や人体への干渉が生じた場合には、ロボットコントローラ200の制御によってそれ以降のアーム部120L,120Rの動作を減速又は停止させることができる。これにより、安全性の面でさらに万全を期すことができる。
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、上腕A部122L,122Rに設けられたモータM3は、モータ軸53aがアーム部120L,120Rの長手方向に沿うように配置されていた。しかしながら、これに限られず、上腕A部122L,122Rに設けられたモータM3を、モータ軸53aがアーム部120L,120Rの長手方向に略直交する方向に沿うように配置してもよい。この場合、上腕A部122L,122Rにおいて重力分及び加減速時の負荷分の支持構造をアーム部120L,120Rの長手方向に直交する方向(言い換えれば、アーム部120L,120Rの太さ方向)に配置する必要がある場合であっても、モータフレーム10を骨格部材として兼用することで確実に軽量化・小型化を図ることができる。
また、上記実施形態では、上腕A部122L,122Rに設けられたモータM3のモータフレーム10が、当該上腕A部122L,122Rの骨格部材を兼用していた。しかしながら、これに限られず、上腕A部122L,122R以外の各部に設けられたモータのモータフレームを、当該各部の骨格部材として兼用してもよい。
また、上記実施形態では、各モータM2〜M7は、アーム部120L,120R及び手首部130L、130Rの各部のうち駆動対象の部とは別の部に設けられていたが、これに限られない。例えば、各モータM2〜M7を、アーム部120L,120R及び手首部130L、130Rの各部のうち駆動対象の部に設けてもよい。
また、上記実施形態では、ロボット本体102が、2つのアーム部120L,120R及び手首部130L、130Rを有する、いわゆる双腕ロボットである場合について説明したが、これに限られない。例えば、ロボット本体としては、1つのアーム部及び手首部を有する、いわゆる単腕ロボットでもよいし、3つ以上のアーム部及び手首部を有するロボットでもよい。
また、図23中に示す矢印は、信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。