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JP5610623B2 - 有機elデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、有機ELデバイスに関する。より詳細には、本発明は、光拡散素子を備えた有機ELデバイスに関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」ともいう)デバイスは、電流と電圧を印加した際に発光効率を最高にするために、発光層、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層、陰極および陽極等の多くの層が積層された構造を有する。このような構造では、各層の界面での多重干渉により出射光の位相が変わり、見る角度によって色や輝度が変化する。このような課題を解決するために、各層を構成する材料や厚みを変更することが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、これらの変更により発光効率自体も変わるため、変更には制限がある。
また、上記多重干渉により、有機ELデバイス内部に光が閉じ込められることが知られている。このような課題を解決するために、一般的には有機ELデバイスの最外層に、表面に微細形状(例えば、表面に微細な空隙が形成された形状)を有する拡散層(例えば、マイクロレンズアレイ)を設ける構成が提案されている。しかしながら、このような微細形状は加工が困難であるため生産性が悪く、かつ、大型の有機ELデバイスには適していない。また、拡散層の表面に形成された空隙が埋まると拡散性能が低下するため、屋外での使用には適していない。拡散層として、内部に微粒子を含む拡散板を用いる構成も提案されている。しかしながら、このような内部散乱を有する拡散板は、後方散乱が増大するため、有機ELデバイス内に閉じ込められた光を十分に取り出すことができない。
特表2009−516902号公報
本発明の目的は、光取り出し効率が向上し、輝度および色変化の視野角依存性が改善された有機ELデバイスおよび該有機ELデバイスを用いた照明器具を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下に示す有機ELデバイスにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の有機ELデバイスは、有機EL素子と、該有機EL素子の発光面側に配置された光拡散素子とを有し、該光拡散素子が、樹脂成分および超微粒子成分を含むマトリクスと、該マトリクス中に分散された光拡散性微粒子とを有し、該樹脂成分、該超微粒子成分および該光拡散性微粒子は、それらの屈折率が下記式(1)を満たし、該光拡散性微粒子の表面近傍外部に形成され、該光拡散性微粒子から遠ざかるにつれて該樹脂成分の重量濃度が低くなり該超微粒子成分の重量濃度が高くなる濃度変調領域を有する:
|n−n|<|n−n|・・・(1)
式(1)中、nはマトリクスの樹脂成分の屈折率を表し、nはマトリクスの超微粒子成分の屈折率を表し、nは光拡散性微粒子の屈折率を表す。
好ましい実施形態においては、上記光拡散性微粒子の表面近傍内部に上記樹脂成分が浸透して形成された第2の濃度変調領域をさらに有する。
好ましい実施形態においては、上記光拡散素子のヘイズは90%〜99%である。
好ましい実施形態においては、上記光拡散素子は、0.01≦|n−n|≦0.10、および、0.10≦|n−n|≦1.50を満たす。
好ましい実施形態においては、上記樹脂成分および上記光拡散性微粒子は同系の材料で構成され、上記超微粒子成分は該樹脂成分および該光拡散性微粒子とは異なる系の材料で構成されている。
好ましい実施形態においては、上記樹脂成分および上記光拡散性微粒子は有機化合物で構成され、上記超微粒子成分は無機化合物で構成されている。
好ましい実施形態においては、上記光拡散性微粒子は、平均粒径が1μm〜5μmである。
好ましい実施形態においては、上記超微粒子成分は、平均粒径が1nm〜100nmである。
好ましい実施形態においては、上記光拡散素子の光拡散半値角は10°〜150°である。
本発明の別の局面によれば、照明器具が提供される。この照明器具は、上記有機ELデバイスを有する。
本発明の有機ELデバイスは、内部に屈折率変調領域を有する光拡散素子を含む。これにより、光拡散素子の内部の屈折率変調領域により光の方向を変えることができ、臨界角を超えて閉じ込められている斜め方向の光を、散乱によるロスを生じることなく取り出すことができ、光取り出し効率を向上させることができる。さらに、光拡散素子の内部の屈折率変調領域により、輝度が向上し、様々な方向の光を混色させることができる。これにより、有機ELデバイスの視野角ごとの輝度および色変化を抑制することができる。また、本発明で用いる光拡散素子は、内部に屈折率変調領域を有するため、屋外で使用される製品にも好適に用いることができる。
本発明の好ましい実施形態における有機ELデバイスの概略断面図である。 本発明に用いられる光拡散素子の好ましい実施形態におけるマトリクスの樹脂成分および超微粒子成分、ならびに光拡散性微粒子の分散状態を説明するための模式図である。 本発明に用いられる光拡散素子の別の実施形態におけるマトリクスの樹脂成分および超微粒子成分、ならびに光拡散性微粒子の分散状態を説明するための模式図である。 (a)は、図2Aの光拡散素子における光拡散性微粒子中心部からマトリクスまでの屈折率変化を説明するための概念図であり、(b)は、図2Bの光拡散素子における光拡散性微粒子中心部からマトリクスまでの屈折率変化を説明するための概念図であり、(c)は、従来の光拡散素子における微粒子中心部からマトリクスまでの屈折率変化を説明するための概念図である。 本発明で用いられる光拡散素子に用いられる光拡散性微粒子におけるr1およびr2の関係を示す模式図である。 静置時間が異なる塗工液について、乾燥温度と得られる拡散半値角との関係を示すグラフである。 本発明で用いられる有機EL素子の概略断面図である。 参考例1の光拡散素子について濃度変調領域の有無を確認する透過型顕微鏡写真である。
<A.有機ELデバイスの概要>
図1は、本発明の好ましい実施形態による有機ELデバイスの概略断面図である。この有機ELデバイス300は、有機EL素子200と、該有機EL素子200の発光面側に配置された光拡散素子100とを有する。有機ELデバイス300の最外層に光拡散素子100を配置することにより、有機ELデバイスからの光取り出し効率を向上させることができる。さらに、光拡散素子100の濃度変調領域により、視野角に依存した色および輝度の変化を抑制することができる。また、該光拡散素子100は、内部に屈折率変調領域を有するので、屋外での使用により、光取り出し効率が低下することを抑制することができる。
<B.光拡散素子>
B−1.全体構成
本発明で用いられる光拡散素子は、樹脂成分および超微粒子成分を含むマトリクスと、該マトリクス中に分散された光拡散性微粒子とを有する。本発明で用いられる光拡散素子は、マトリクスと光拡散性微粒子の屈折率差により、光拡散機能を発現する。図2Aおよび図2Bは、それぞれ、本発明で用いられる光拡散素子の好ましい実施形態におけるマトリクスの樹脂成分および超微粒子成分、ならびに光拡散性微粒子の分散状態を説明するための模式図である。本発明で用いられる光拡散素子100は、樹脂成分11および超微粒子成分12を含むマトリクス10と、マトリクス10中に分散された光拡散性微粒子20とを有する。マトリクスの樹脂成分および超微粒子成分、ならびに光拡散性微粒子は、それらの屈折率が下記式(1)を満たす。
|n−n|<|n−n|・・・(1)
式(1)中、nはマトリクスの樹脂成分の屈折率を表し、nはマトリクスの超微粒子成分の屈折率を表し、nは光拡散性微粒子の屈折率を表す。また、本発明においては、上記樹脂成分、上記超微粒子成分および上記光拡散性微粒子の屈折率は、下記式(2)も満足し得る。
|n−n|<|n−n|・・・(2)
本発明で用いられる光拡散素子は、1つの実施形態においては、図2Aに示すように、光拡散性微粒子20の表面近傍外部に濃度変調領域31が形成されている。本発明で用いられる光拡散素子は、別の実施形態においては、図2Bに示すように、光拡散性微粒子20の表面近傍内部に樹脂成分11が浸透して形成された第2の濃度変調領域32をさらに有する。本明細書においては、便宜上、光拡散性微粒子20の表面近傍外部の濃度変調領域31を第1の濃度変調領域と称する場合がある。
図2Aに示すように第1の濃度変調領域31のみが形成される場合、上記式(1)における|n−n|は、好ましくは0.0〜0.1であり、さらに好ましくは0.0〜0.06であり、特に好ましくは0を超えて0.06以下である。|n−n|が0.1を超えると、後方散乱が増大し、斜め方向の輝度の低下や光取り出し効率が低下するおそれがある。図2Bに示すように第1の濃度変調領域31および第2の濃度変調領域32が形成される場合、上記式(1)における|n−n|は、好ましくは0.01〜0.10であり、さらに好ましくは0.01〜0.06であり、特に好ましくは0.02〜0.06である。|n−n|が0.01未満であると、第2の濃度変調領域が形成されない場合がある。|n−n|が0.10を超えると、後方散乱が増大し、斜め方向の輝度の低下や光取り出し効率が低下するおそれがある。第2の濃度変調領域32が形成されるか否かにかかわらず、|n−n|は、好ましくは0.10〜1.50であり、さらに好ましくは0.20〜0.80である。|n−n|が0.10未満であると、光を十分に混色できないため視野角に依存する色変化が抑制できず、十分な光取り出し効率が得られないおそれがある。|n−n|が1.50を超えると、後方散乱が増大し、斜め方向の輝度の低下や光取り出し効率が低下するおそれがある。さらに、第2の濃度変調領域32が形成されるか否かにかかわらず、|n−n|は、好ましくは0.10〜1.50であり、さらに好ましくは0.20〜0.80である。|n−n|が0.10未満であると、光を十分に混色できないため視野角に依存する色変化が抑制できず、十分な光取り出し効率が得られないおそれがある。|n−n|が1.50を超えると、後方散乱が増大し、斜め方向の輝度の低下や光取り出し効率が低下するおそれがある。以上のように、屈折率が近接したマトリクスの樹脂成分および光拡散性微粒子と、樹脂成分および光拡散性微粒子とは屈折率が大きく異なる超微粒子成分とを組み合わせて用いることにより、後述の第1の濃度変調領域および第2の濃度変調領域に起因する効果と相俟って、後方散乱を抑制し、光取り出し効率が向上し、かつ、視野角に依存した輝度および色変化を抑制することができる。
上記第1の濃度変調領域31においては、光拡散性微粒子20から遠ざかるにつれて、樹脂成分11の重量濃度が低くなり、かつ、超微粒子成分12の重量濃度が高くなる。言い換えれば、第1の濃度変調領域31における光拡散性微粒子20の最近接領域には、超微粒子成分12が相対的に低濃度で分散しており、光拡散性微粒子20から遠ざかるにつれて超微粒子成分12の濃度が増大する。例えば、第1の濃度変調領域31における光拡散性微粒子20の最近接領域では、樹脂成分の重量濃度は、マトリクス全体における樹脂成分の平均重量濃度よりも高く、超微粒子成分の重量濃度は、マトリクス全体における超微粒子成分の平均重量濃度よりも低い。一方、第1の濃度変調領域31における光拡散性微粒子20から最遠位領域では、樹脂成分の重量濃度は、マトリクス全体における樹脂成分の平均重量濃度と同等か場合によっては低くなっており、超微粒子成分の重量濃度は、マトリクス全体における超微粒子成分の平均重量濃度と同等か場合によっては高くなっている。このような第1の濃度変調領域が形成されることにより、マトリクス10と光拡散性微粒子20との界面近傍(光拡散性微粒子20の周辺部、すなわち表面近傍外部)において、屈折率を段階的または実質的に連続的に変化させることができる(図3(a)参照)。一方、従来の光拡散素子においては、このような第1の濃度変調領域は形成されず、微粒子とマトリクスとの界面が明確であるので、屈折率は微粒子の屈折率からマトリクスの屈折率へと不連続に変化する(図3(c)参照)。図3(a)に示すように、第1の濃度変調領域31を形成してマトリクス10と光拡散性微粒子20との界面近傍(光拡散性微粒子20の表面近傍外部)において屈折率を段階的または実質的に連続的に変化させることにより、マトリクス10と光拡散性微粒子20との屈折率差を大きくしても、マトリクス10と光拡散性微粒子20との界面の反射を抑えることができ、後方散乱を抑制し、光取り出し効率を向上し、視野角による輝度および色の変化を抑制することができる。さらに、第1の濃度変調領域31の外側では、光拡散性微粒子20とは屈折率が大きく異なる超微粒子成分12の重量濃度が相対的に高くなるので、マトリクス10と光拡散性微粒子20との屈折率差を大きくすることができる。その結果、薄膜であっても高いヘイズ(強い拡散性)を実現することができる。したがって、本発明で用いられる光拡散素子によれば、このような第1の濃度変調領域を形成することにより、後方散乱を抑制し、光取り出し効率を向上し、視野角による輝度および色の変化を抑制することができる。一方、図3(c)に示すように、従来の光拡散素子によれば、屈折率差を大きくすることにより強い拡散性(高ヘイズ値)を付与しようとすると、界面での屈折率のギャップを解消することができない。その結果、界面反射による後方散乱が大きくなってしまうので、十分な光取り出し効率が得られず、視野角による輝度および色の変化が生じる場合がある。
上記第1の濃度変調領域31の厚み(光拡散性微粒子表面から第1の濃度変調領域末端までの距離)は、一定であってもよく(すなわち、第1の濃度変調領域が光拡散性微粒子の周囲に同心球状に拡がってもよく)、光拡散性微粒子表面の位置によって厚みが異なっていてもよい(例えば、金平糖の外郭形状のようになっていてもよい)。好ましくは、第1の濃度変調領域31の厚みは、光拡散性微粒子表面の位置によって異なっている。このような構成であれば、マトリクス10と光拡散性微粒子20との界面近傍において、屈折率をより連続的に変化させることができる。第1の濃度変調領域31が十分な厚みで形成されていれば、光拡散性微粒子の周辺部で屈折率をよりスムーズに連続的に変化させることができ、後方散乱を抑制し、光取り出し効率を向上し、視野角による輝度および色の変化を抑制することができる。一方、厚みが大きすぎると、本来光拡散性微粒子が存在すべき領域まで第1の濃度変調領域が占有することとなり、十分な光拡散性(例えば、ヘイズ値)が得られない場合がある。したがって、第1の濃度変調領域31の厚みは、好ましくは10nm〜500nm、より好ましくは20nm〜400nm、さらに好ましくは30nm〜300nmである。また、第1の濃度変調領域31の厚みは、光拡散性微粒子の平均粒径に対して、好ましくは10%〜50%、より好ましくは20%〜40%である。
上記第2の濃度変調領域32は、樹脂成分11が光拡散性微粒子20内部に浸透することにより形成される。実質的には、樹脂成分11の前駆体(代表的にはモノマー)が光拡散性微粒子20内部に浸透した後重合することにより、第2の濃度変調領域32が形成される。1つの実施形態においては、第2の濃度変調領域32において、樹脂成分11の重量濃度は実質的に一定である。別の実施形態においては、第2の濃度変調領域32において、樹脂成分11の重量濃度は光拡散性微粒子20の表面から遠ざかるにつれて(すなわち、光拡散性微粒子20の中心に向かうにつれて)低くなる。第2の濃度変調領域32は、光拡散性微粒子20の内部に形成されていれば、その効果が発揮される。例えば、第2の濃度変調領域32は、光拡散性微粒子20の表面から当該光拡散性微粒子の平均粒径の好ましくは10%〜95%の範囲まで形成されている。第2の濃度変調領域32の厚み(光拡散性微粒子表面から第2の濃度変調領域最内部までの距離)は、一定であってもよく、光拡散性微粒子表面の位置によって異なっていてもよい。第2の濃度変調領域32の厚みは、好ましくは100nm〜4μm、より好ましくは100nm〜2μmである。樹脂成分11が浸透して第2の濃度変調領域32を形成することにより、以下の効果が得られ得る:(1)上記第1の濃度変調領域31の形成が促進され得る;(2)光拡散微粒子の内部にも濃度変調領域が形成されることにより、上記屈折率が段階的または実質的に連続的に変化する領域を大きくすることができる(すなわち、光拡散性微粒子内側の第2の濃度変調領域から光拡散性微粒子外側の第1の濃度変調領域まで屈折率を段階的または実質的に連続的に変化させることができる:図3(b)参照)。その結果、光拡散性微粒子外側に第1の濃度変調領域のみが形成される場合に比べて、後方散乱をさらに抑制し、光取り出し効率をさらに向上し、視野角による輝度および色の変化を抑制することができる;(3)樹脂成分11が光拡散性微粒子20内部に浸透することにより、浸透しない場合に比べてマトリクス10における樹脂成分濃度が低くなる。その結果、マトリクス10全体の屈折率に対する超微粒子成分12の屈折率の寄与が大きくなるので、超微粒子成分の屈折率が大きい場合にはマトリクス全体の屈折率が大きくなり(逆に、超微粒子成分の屈折率が小さい場合にはマトリクス全体の屈折率が小さくなり)、マトリクスと光拡散性微粒子との屈折率差がさらに大きくなる。したがって、樹脂成分が浸透しない場合に比べて、さらに高い拡散性(ヘイズ値)を実現することができる。加えて、樹脂成分が浸透しない場合に比べて、より薄い厚みであっても十分な拡散性を実現することができる。
上記第1の濃度変調領域および第2の濃度変調領域は、それぞれ、マトリクスの樹脂成分および超微粒子成分ならびに光拡散性微粒子の構成材料、ならびに化学的および熱力学的特性を適切に選択することにより形成することができる。例えば、樹脂成分および光拡散性微粒子を同系の材料(例えば有機化合物同士)で構成し、超微粒子成分をマトリクスおよび光拡散性微粒子とは異なる系の材料(例えば無機化合物)で構成することにより、第1の濃度変調領域を良好に形成することができる。さらに、例えば、樹脂成分および光拡散性微粒子を同系材料の中でも相溶性の高い材料同士で構成することにより、第2の濃度変調領域を良好に形成することができる。第1の濃度変調領域および第2の濃度変調領域の厚みおよび濃度勾配は、マトリクスの樹脂成分および超微粒子成分ならびに光拡散性微粒子の化学的および熱力学的特性を調整することにより制御することができる。なお、本明細書において「同系」とは、化学構造や特性が同等または類似であることをいい、「異なる系」とは、同系以外のものをいう。同系か否かは、基準の選択の仕方によって異なり得る。例えば、有機か無機かを基準にした場合、有機化合物同士は同系の化合物であり、有機化合物と無機化合物とは異なる系の化合物である。ポリマーの繰り返し単位を基準にした場合、例えばアクリル系ポリマーとエポキシ系ポリマーとは有機化合物同士であるにもかかわらず異なる系の化合物であり、周期律表を基準にした場合、アルカリ金属と遷移金属とは無機元素同士であるにもかかわらず異なる系の元素である。
上記第1の濃度変調領域31および上記第2の濃度変調領域32は、上記光拡散性微粒子の半径をr1、当該光拡散性微粒子の最大断面(光拡散性微粒子の半径を含む平面)に平行な断面の半径をr2としたとき、r1に対するr2の比率が好ましくは20%〜80%、より好ましくは40%〜60%、さらに好ましくは約50%となるような位置において適切に形成されている。このような位置に第1の濃度変調領域31および必要に応じて第2の濃度変調領域32を適切に形成することにより、光拡散性微粒子の半径方向に対して入射角の大きい入射光(以下、側方入射光という)の界面反射を良好に抑制することができる。r1およびr2の関係を、模式的に図4に示す。より具体的には、マトリクスと光拡散性微粒子との界面反射による後方散乱は、図4に示すような3種類に大別される。すなわち、正面入射光の界面反射光(図4の矢印A)、側方入射光の界面反射光で後方に散乱するもの(図4の矢印B)、および、側方入射光の界面反射光で前方に散乱するが全反射により光拡散素子から出られずに後方に散乱するもの(図4の矢印C)である。スネルの法則に基づき、側方入射光は正面入射光に比べて反射率が高いので、側方入射光の界面反射を抑制することにより、後方散乱をより効率的に低減することができる。したがって、側方入射光の後方散乱を効果的に低減できる位置に濃度変調領域が形成されていることが好ましい。なお、r2が小さすぎると、そのような位置で反射した光は臨界角に到達せず前方に透過するので、後方散乱の低減効果にはそれほど影響しない場合が多い。
本発明で用いられる光拡散素子は、ヘイズが高ければ高いほど好ましく、具体的には、好ましくは90%〜99%であり、より好ましくは92%〜99%であり、さらに好ましくは95%〜99%であり、特に好ましくは97%〜99%である。ヘイズが90%以上であることにより、光が拡散し、様々な方向の光を混色させ、色変化を抑制できる。また、斜め方向の光が取り出され、輝度を向上させることができる。
本発明で用いられる光拡散素子の拡散特性は、光拡散半値角で示すならば、好ましくは10°〜150°(片側5°〜75°)であり、より好ましくは10°〜100°(片側5°〜50°)であり、さらに好ましくは30°〜80°(片側15°〜40°)である。
本発明で用いられる光拡散素子の厚みは、目的や所望の拡散特性に応じて適切に設定され得る。具体的には、上記光拡散素子の厚みは、好ましくは4μm〜50μm、より好ましくは4μm〜20μmである。本発明によれば、このように非常に薄い厚みにもかかわらず、上記のような非常に高いヘイズを有する光拡散素子が得られ得る。
B−2.マトリクス
上記のとおり、マトリクス10は、樹脂成分11および超微粒子成分12を含む。図2Aおよび図2Bに示すように、超微粒子成分12は、光拡散性微粒子20の周辺部に第1の濃度変調領域31を形成するようにして、樹脂成分11に分散している。
B−2−1.樹脂成分
樹脂成分11は、上記第1の濃度変調領域および必要に応じて第2の濃度変調領域が良好に形成され、かつ、屈折率が上記式(1)の関係を満足する限りにおいて、任意の適切な材料で構成される。好ましくは、上記のように、樹脂成分11は、光拡散性微粒子と同系の化合物であってかつ超微粒子成分とは異なる系の化合物で構成される。これにより、マトリクスと光拡散性微粒子との界面近傍(光拡散性微粒子の表面近傍外部)に第1の濃度変調領域を良好に形成することができる。さらに好ましくは、樹脂成分11は、光拡散性微粒子と同系の中でも相溶性の高い化合物で構成される。これにより、必要に応じて光拡散性微粒子20の表面近傍内部に第2の濃度変調領域32を良好に形成することができる。より詳細には、樹脂成分は、光拡散性微粒子と同系材料であることに起因して、その前駆体(代表的にはモノマー)が光拡散性微粒子内部に浸透し得る。当該前駆体が重合した結果、樹脂成分による第2の濃度変調領域が光拡散性微粒子内部に形成され得る。さらに、樹脂成分は、光拡散性微粒子の近傍においては、局所的には、超微粒子成分と均一溶解もしくは分散している状態よりも、むしろ、樹脂成分のみで光拡散性微粒子を取り囲む方が、系全体のエネルギーが安定する。その結果、樹脂成分の重量濃度は、光拡散性微粒子の最近接領域において、マトリクス全体における樹脂成分の平均重量濃度よりも高く、光拡散性微粒子から遠ざかるにつれて低くなる。したがって、光拡散性微粒子の表面近傍外部(周辺部)に第1の濃度変調領域31が形成され得る。
上記樹脂成分は、好ましくは有機化合物で構成され、より好ましくは電離線硬化型樹脂で構成される。電離線硬化型樹脂は、塗膜の硬度に優れているため、後述する超微粒子成分の弱点である機械強度を補いやすい。電離線としては、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線が挙げられる。好ましくは紫外線であり、したがって、樹脂成分は、特に好ましくは紫外線硬化型樹脂で構成される。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート樹脂(エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルアクリレート、エーテルアクリレート)などのラジカル重合型モノマーもしくはオリゴマーなどが挙げられる。アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の分子量は、好ましくは200〜700である。アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:分子量298)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA:分子量212)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:分子量632)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA:分子量578)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA:分子量296)が挙げられる。このようなモノマー成分(前駆体)は、光拡散性微粒子の架橋構造(三次元網目構造)に浸透するに適切な分子量および立体構造を有するので好ましい。必要に応じて、開始剤を添加してもよい。開始剤としては、例えば、UVラジカル発生剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製イルガキュア907、同127、同192など)、過酸化ベンゾイルが挙げられる。上記樹脂成分は、上記電離線硬化型樹脂以外に別の樹脂成分を含んでいてもよい。別の樹脂成分は、電離線硬化型樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。別の樹脂成分の代表例としては、脂肪族系(例えば、ポリオレフィン)樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。別の樹脂成分を用いる場合、その種類や配合量は、上記第1の濃度変調領域および必要に応じて第2の濃度変調領域が良好に形成され、かつ、屈折率が上記式(1)の関係を満足するよう調整される。
上記樹脂成分の屈折率は、好ましくは1.40〜1.60である。
上記樹脂成分の配合量は、好ましくは20重量部〜80重量部であり、より好ましくは40重量部〜65重量部である。
B−2−2.超微粒子成分
超微粒子成分12は、上記のように、好ましくは上記樹脂成分および後述の光拡散性微粒子とは異なる系の化合物で構成され、より好ましくは無機化合物で構成される。好ましい無機化合物としては、例えば、金属酸化物、金属フッ化物が挙げられる。金属酸化物の具体例としては、酸化ジルコニウム(ジルコニア)(屈折率:2.19)、酸化アルミニウム(屈折率:1.56〜2.62)、酸化チタン(屈折率:2.49〜2.74)、酸化ケイ素(屈折率:1.25〜1.46)が挙げられる。金属フッ化物の具体例としては、フッ化マグネシウム(屈折率:1.37)、フッ化カルシウム(屈折率:1.40〜1.43)が挙げられる。これらの金属酸化物および金属フッ化物は、光の吸収が少ない上に、電離線硬化型樹脂や熱可塑性樹脂などの有機化合物では発現が難しい屈折率を有しているので、光拡散性微粒子との界面から離れるにつれて超微粒子成分の重量濃度が相対的に高くなることにより、屈折率を大きく変調させることができる。光拡散性微粒子とマトリクスとの屈折率差を大きくすることにより、薄膜であっても高ヘイズを実現でき、かつ、第1の濃度変調領域が形成されるので後方散乱防止の効果も大きい。さらに、有機ELデバイスの光取り出し効率を向上させ、視野角に依存した輝度および色変化を抑制することができる。特に好ましい無機化合物は、酸化ジルコニウムである。光拡散性微粒子との屈折率差が大きく、かつ、樹脂成分との分散性が適切であるので、所望の第1の濃度変調領域31を形成することができるからである。
上記超微粒子成分の屈折率は、好ましくは1.40以下または1.60以上であり、さらに好ましくは1.40以下または1.70〜2.80であり、特に好ましくは1.40以下または2.00〜2.80である。屈折率が1.40を超えまたは1.60未満であると、光拡散性微粒子とマトリクスとの屈折率差が不十分となり、十分な光取り出し効率が得られないおそれがある。
上記超微粒子成分は、多孔質化することにより、屈折率を下げてもよい。
上記超微粒子成分の平均粒径は、好ましくは1nm〜100nmであり、より好ましくは10nm〜80nmであり、さらに好ましくは20nm〜70nmである。このように、光の波長より小さい平均粒径の超微粒子成分を用いることにより、超微粒子成分と樹脂成分との間に幾何光学的な反射、屈折、散乱が生じず、光学的に均一なマトリクスを得ることができる。その結果、光学的に均一な光拡散素子を得ることができる。
上記超微粒子成分は、上記樹脂成分との分散性が良好であることが好ましい。本明細書において「分散性が良好」とは、上記樹脂成分と超微粒子成分と(必要に応じて少量のUV開始剤と)揮発溶剤とを混合して得られた塗工液を塗布し、溶剤を乾燥除去して得られた塗膜が透明であることをいう。
好ましくは、上記超微粒子成分は、表面改質がなされている。表面改質を行うことにより、超微粒子成分を樹脂成分中に良好に分散させることができ、かつ、上記第1の濃度変調領域を良好に形成することができる。表面改質手段としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な手段が採用され得る。代表的には、表面改質は、超微粒子成分の表面に表面改質剤を塗布して表面改質剤層を形成することにより行われる。好ましい表面改質剤の具体例としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤、脂肪酸系界面活性剤等の界面活性剤が挙げられる。このような表面改質剤を用いることにより、樹脂成分と超微粒子成分との濡れ性を向上させ、樹脂成分と超微粒子成分との界面を安定化させ、超微粒子成分を樹脂成分中に良好に分散させ、かつ、第1の濃度変調領域を良好に形成することができる。
上記超微粒子成分の配合量は、マトリクス100重量部に対して、好ましくは10重量部〜70重量部であり、より好ましくは35重量部〜60重量部である。
B−3.光拡散性微粒子
光拡散性微粒子20もまた、上記第1の濃度変調領域および必要に応じて第2の濃度変調領域が良好に形成され、かつ、屈折率が上記式(1)の関係を満足する限りにおいて、任意の適切な材料で構成される。好ましくは、上記のように、光拡散性微粒子20は、上記マトリクスの樹脂成分と同系の化合物で構成される。例えば、マトリクスの樹脂成分を構成する電離線硬化型樹脂がアクリレート系樹脂である場合には、光拡散性微粒子もまたアクリレート系樹脂で構成されることが好ましい。より具体的には、マトリクスの樹脂成分を構成するアクリレート系樹脂のモノマー成分が例えば上記のようなPETA、NPGDA、DPHA、DPPAおよび/またはTMPTAである場合には、光拡散性微粒子を構成するアクリレート系樹脂は、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルアクリレート(PMA)、およびこれらの共重合体、ならびにそれらの架橋物である。PMMAおよびPMAとの共重合成分としては、ポリウレタン、ポリスチレン(PSt)、メラミン樹脂が挙げられる。特に好ましくは、光拡散性微粒子は、PMMAで構成される。マトリクスの樹脂成分および超微粒子成分との屈折率や熱力学的特性の関係が適切であるからである。さらに、好ましくは、光拡散性微粒子は、架橋構造(三次元網目構造)を有する。架橋構造を有する光拡散性微粒子は膨潤可能である。したがって、このような光拡散性微粒子は、緻密または中実な無機粒子と異なり、適切な相溶性を有する樹脂成分の前駆体をその内部に良好に浸透させることができ、必要に応じて第2の濃度変調領域を良好に形成することができる。光拡散性微粒子の架橋密度は、好ましくは、所望の浸透範囲(後述)が得られる程度に小さい(粗である)。例えば、後述の塗工液を塗布する際の光拡散性微粒子の樹脂成分前駆体(溶媒を含んでいてもよい)に対する膨潤度は、好ましくは110%〜200%である。ここで、「膨潤度」とは、膨潤前の粒子の平均粒径に対する膨潤状態の粒子の平均粒径の比率をいう。
上記光拡散性微粒子は、平均粒径が、好ましくは1.0μm〜5.0μmであり、より好ましくは1.0μm〜4.0μmであり、さらに好ましくは1.5μm〜3.0μmである。光拡散性微粒子の平均粒径は、好ましくは、光拡散素子の厚みの1/2以下(例えば、1/2〜1/20)である。光拡散素子の厚みに対してこのような比率を有する平均粒径であれば、光拡散性微粒子を光拡散素子の厚み方向に複数配列することができるので、入射光が光拡散素子を通過する間に当該光を多重に拡散させることができ、その結果、十分な光拡散性が得られ得る。
光拡散性微粒子の重量平均粒径分布の標準偏差は、好ましくは1.0μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下である。重量平均粒径に対して粒径の小さい光拡散性微粒子が多数混在していると、拡散性が増大しすぎて後方散乱を良好に抑制できない場合がある。重量平均粒径に対して粒径の大きい光拡散性微粒子が多数混在していると、光拡散素子の厚み方向に複数配列することができず、多重拡散が得られない場合があり、その結果、光拡散性が不十分となり、十分な光取り出し効率が得られない場合がある。
上記光拡散性微粒子の形状としては、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。具体例としては、真球状、燐片状、板状、楕円球状、不定形が挙げられる。多くの場合、上記光拡散性微粒子として真球状微粒子が用いられ得る。
上記光拡散性微粒子の屈折率は、好ましくは1.30〜1.70であり、さらに好ましくは1.40〜1.60である。
上記光拡散性微粒子の配合量は、マトリクス100重量部に対して、好ましくは10重量部〜100重量部であり、より好ましくは10重量部〜40重量部である。例えばこのような配合量で上記好適範囲の平均粒径を有する光拡散性微粒子を含有させることにより、非常に優れた光拡散性を有する光拡散素子が得られ得る。
B−4.光拡散素子の製造方法
本発明で用いられる光拡散素子の製造方法は、マトリクスの樹脂成分またはその前駆体と超微粒子成分と光拡散性微粒子とを揮発性溶剤中に溶解または分散させた塗工液を基材に塗布する工程(工程Aとする)と、該基材に塗布された塗工液を乾燥させる工程(工程Bとする)と、を含む。
(工程A)
樹脂成分またはその前駆体、超微粒子成分、および光拡散性微粒子については、それぞれ、上記B−2−1項、B−2−2項およびB−3項で説明したとおりである。代表的には、上記塗工液は前駆体および揮発性溶剤中に超微粒子成分および光拡散性微粒子が分散した分散体である。超微粒子成分および光拡散性微粒子を分散させる手段としては、任意の適切な手段(例えば、超音波処理)が採用され得る。
上記揮発性溶剤としては、上記各成分を溶解または均一に分散し得るかぎりにおいて、任意の適切な溶剤が採用され得る。揮発性溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、2‐ブタノン(メチルエチルケトン)、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、トルエン、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、シクロペンタン、水が挙げられる。
上記塗工液は、目的に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。例えば、超微粒子成分を良好に分散させるために、分散剤が好適に用いられ得る。添加剤の他の具体例としては、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、変色防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、消泡剤が挙げられる。
上記塗工液における上記各成分の配合量は、上記B−2項〜B−3項で説明したとおりである。塗工液の固形分濃度は、好ましくは10重量%〜70重量%程度となるように調整され得る。このような固形分濃度であれば、塗工容易な粘度を有する塗工液が得られ得る。
上記基材としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切なフィルムが採用され得る。具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム、ラクトン変性アクリルフィルムなどが挙げられる。上記基材は、必要に応じて、易接着処理などの表面改質がなされていてもよく、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤が含まれていてもよい。当該基材は、後述の光拡散素子付偏光板において、保護層として機能し得る場合がある。
上記塗工液の基材への塗布方法としては、任意の適切なコーターを用いた方法が採用され得る。コーターの具体例としては、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、グラビアコーター、ダイコーター、コンマコーターが挙げられる。
(工程B)
上記塗工液の乾燥方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥が挙げられる。好ましくは、加熱乾燥である。加熱温度は、例えば60℃〜150℃であり、加熱時間は、例えば30秒〜5分である。
以上のようにして、基材上に、図2Aに示すような光拡散素子が形成される。
図2Bに示すように光拡散性微粒子内部に第2の濃度変調領域を形成する場合には、本発明の製造方法は、上記工程Aの塗工液において、上記樹脂成分の前駆体と上記光拡散性微粒子とを接触させる工程(工程A−1とする)と、該前駆体の少なくとも一部を該光拡散性微粒子の内部に浸透させる工程(工程A−2とする)と、をさらに含む。
(工程A−1)
上記塗工液に上記樹脂成分の前駆体を含有させれば、当該前駆体と上記光拡散性微粒子との接触は、格別な処理や操作を行うことなく実現される。
(工程A−2)
工程A−2において上記前駆体の少なくとも一部を該光拡散性微粒子の内部に浸透させる手段としては、代表的には、上記塗工液を静置することが挙げられる。樹脂成分と光拡散性微粒子とは、好ましくは同系の材料で構成され、さらに好ましくは相溶性の高い材料で構成されるので、塗工液を静置することにより、特別な処理や操作を行わなくても樹脂成分の前駆体(モノマー)が光拡散性微粒子の内部に浸透する。すなわち、樹脂成分の前駆体と光拡散性微粒子とを所定時間接触させることにより、樹脂成分の前駆体が光拡散性微粒子の内部に浸透する。静置時間は、好ましくは、光拡散性微粒子の粒径が実質的に最大になるまでの時間よりも長い時間である。ここで、「光拡散性微粒子の粒径が実質的に最大になるまでの時間」とは、光拡散性微粒子が最大限に膨潤し、それ以上膨潤しなくなる(すなわち、平衡状態になる)までの時間をいう(以下、最大膨潤時間とも称する)。最大膨潤時間より長い時間にわたって樹脂成分の前駆体と光拡散性微粒子とを接触させることにより、光拡散性微粒子に対する樹脂成分前駆体の浸透が飽和状態となり、それ以上、光拡散性微粒子内部の架橋構造にとりこまれなくなる。その結果、後述の重合工程により、第2の濃度変調領域が良好かつ安定的に形成され得る。最大膨潤時間は、樹脂成分と光拡散性微粒子との相溶性によって変化し得る。したがって、静置時間は、樹脂成分および光拡散性微粒子の構成材料によって変化し得る。例えば、静置時間は、好ましくは1時間〜48時間であり、より好ましくは2時間〜40時間であり、さらに好ましくは3時間〜35時間であり、特に好ましくは4時間〜30時間である。静置時間が1時間未満では、前駆体が光拡散性微粒子内部に十分に浸透しない場合があり、その結果、第2の濃度変調領域が良好に形成されない場合がある。静置時間が48時間を超えると、光拡散性微粒子間の物理的相互作用により、光拡散性微粒子が凝集してしまい、塗工液の粘度が高くなり、塗工性が不十分となるおそれがある。静置は、室温で行ってもよく、目的や使用材料に応じて設定された所定の温度条件下で行ってもよい。
工程A−2において、上記前駆体は、上記光拡散性微粒子の表面から該光拡散性微粒子の一部に浸透していればよく、例えば平均粒径の好ましくは10%〜95%の範囲まで浸透する。浸透範囲が10%未満である場合には、第2の濃度変調領域が良好に形成されず、後方散乱を十分に低減できない場合がある。浸透範囲が95%を超えても、浸透範囲が小さい場合と同様に、第2の濃度変調領域が良好に形成されず、後方散乱を十分に低減できない場合がある。浸透範囲は、樹脂成分および光拡散性微粒子の材料、光拡散性微粒子の架橋密度、静置時間、静置温度等を調整することにより制御することができる。
この実施形態においては、上記前駆体の光拡散性微粒子への浸透を制御することが重要である。例えば、図5に示すように、上記塗工液を調製した直後に基材に塗布して光拡散素子を形成する場合には、乾燥温度によって拡散半値角が大きく変化する。一方、上記塗工液を例えば24時間静置した後で基材に塗布して光拡散素子を形成する場合には、拡散半値角は乾燥温度にかかわらずほぼ一定である。これは、静置により前駆体が光拡散性微粒子へ飽和状態まで浸透するので、濃度変調領域の形成が乾燥温度の影響を受けないためであると考えられる。したがって、上記のように、静置時間は、最大膨潤時間よりも長い時間であることが好ましい。静置時間をこのように設定することにより、乾燥時間にかかわらずほぼ一定で良好な拡散半値角を得ることができるので、拡散性が高い光拡散素子をばらつきなく安定して製造することができる。さらに、例えば60℃の低温乾燥で製造できるので、安全性やコストの面からも好ましい。一方、前駆体および光拡散性微粒子の種類に応じて浸透が飽和状態に達するまでの時間を決定することができるのであれば、乾燥温度を適切に選択することにより、静置時間を短くしても、拡散性が高い光拡散素子をばらつきなく安定して製造することができる。例えば、上記塗工液を調製した直後に基材に塗布して光拡散素子を形成する場合であっても、乾燥温度を100℃に設定することにより、拡散性が高い光拡散素子をばらつきなく安定して製造することができる。より具体的には、光拡散性微粒子、樹脂成分の前駆体、および乾燥条件を適切に選択すれば、上記静置時間をとらなくても、第2の濃度変調領域を形成することができる。
上記のように、工程A−1および工程A−2はいずれも、特別な処理や操作を必要としないので、塗工液を塗布するタイミングを厳密に設定する必要はない。
(工程C)
第2の濃度変調領域を形成する場合には、上記製造方法は、好ましくは、上記塗布工程の後に上記前駆体を重合させる工程(工程C)をさらに含む。重合方法は、樹脂成分(したがって、その前駆体)の種類に応じて任意の適切な方法が採用され得る。例えば、樹脂成分が電離線硬化型樹脂である場合には、電離線を照射することにより前駆体を重合する。電離線として紫外線を用いる場合には、その積算光量は、好ましくは200mJ〜400mJである。電離線の光拡散性微粒子に対する透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。また例えば、樹脂成分が熱硬化型樹脂である場合には、加熱することにより前駆体を重合する。加熱温度および加熱時間は、樹脂成分の種類に応じて適切に設定され得る。好ましくは、重合は電離線を照射することにより行われる。電離線照射であれば、屈折率分布構造(濃度変調領域)を良好に保持したまま塗膜を硬化させることができるので、良好な拡散特性の光拡散素子を作製することができる。前駆体を重合することにより、光拡散性微粒子20の表面近傍内部に第2の濃度変調領域32が形成され、ならびに、マトリクス10および第1の濃度変調領域31が形成される。より詳細には、第2の濃度変調領域32は、光拡散性微粒子20内部に浸透した前駆体が重合することにより形成され;マトリクス10は、光拡散性微粒子20に浸透しなかった前駆体が超微粒子成分を分散した状態で重合することにより形成され;第1の濃度変調領域31は、主に、樹脂成分、超微粒子成分および光拡散性微粒子の相溶性に起因して形成され得る。すなわち、本実施形態の製造方法によれば、光拡散性微粒子内部に浸透した前駆体と光拡散性微粒子に浸透しなかった前駆体とを同時に重合することにより、光拡散性微粒子20の表面近傍内部に第2の濃度変調領域32を形成すると同時に、マトリクス10および第1の濃度変調領域31を形成することができる。
上記重合工程(工程C)は、上記乾燥工程(工程B)の前に行ってもよく、工程Bの後で行ってもよい。
本発明で用いられる光拡散素子の製造方法が、上記工程A〜工程Cに加えて、任意の適切な時点で任意の適切な工程、処理および/または操作を含み得ることは言うまでもない。そのような工程等の種類およびそのような工程等が行われる時点は、目的に応じて適切に設定され得る。
以上のようにして、上記B−1項〜B−3項で説明したような光拡散素子が基材上に形成される。得られた光拡散素子は、基材から剥離して単一部材として用いてもよく、基材付光拡散素子として用いてもよい。
<C.有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)>
図6は、本発明の好ましい実施形態による有機EL素子の概略断面図である。この有機EL素子200は、透明基板210と、透明基板210上に順次形成された透明電極220、有機EL層230および対向電極240とを備える。
有機EL素子においては、有機EL層230の発光を取り出すために、少なくとも1つの電極(代表的には、陽極)が透明であることが必要とされる。透明電極の形成材としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物(IWO)、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物(IWZO)、酸化チタンを含むインジウム酸化物(ITiO)、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物(ITTiO)、モリブテンを含む酸化インジウムスズ(ITMO)等が用いられる。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数が小さい物質を用いることが重要である。したがって、代表的には、対向電極240は、Mg−Ag、Al−Li等の金属膜から構成され、陰極として使用される。
有機EL層230は、種々の有機薄膜の積層体である。図示例では、有機EL層230は、正孔注入性有機材料(例えば、トリフェニルアミン誘導体)からなり、陽極からの正孔注入効率を向上させるべく設けられた正孔注入層231と、発光性有機物質(例えば、アントラセン)からなる発光層232と、電子注入性材料(例えば、ペリレン誘導体)からなり、陰極からの電子注入効率を向上させるべく設けられた電子注入層233とを有する。有機EL層230は、図示例に限定されず、発光層232において電子と正孔とが再結合して発光を生じさせ得る任意の適切な有機薄膜の組み合わせが採用され得る。例えば、第1正孔輸送層(例えば、銅フタロシアニン)、第2正孔輸送層(例えば、N,N´−ジフェニル−N,N´−ジナフチルベンジジン)および電子輸送層兼発光層(例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)からなる構成が採用され得る。
透明電極−対向電極間に閾値以上の電圧を印加すると、陽極から正孔が供給され、正孔注入層231を経て発光層232に達する。一方、陰極からは電子が供給され、電子注入層233を経て発光層232に達する。発光層232において正孔と電子とが再結合することによって生じるエネルギーが、発光層中の発光性有機物質を励起し、励起された発光性有機物質が基底状態に戻る際に光を放射し、発光する。所望の画素ごとに電圧を印加して有機EL層を発光させることにより、画像表示が可能となる。カラー表示を行う場合には、例えば隣接する3つの画素の発光層を、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の発光を示す発光性有機物質で構成してもよく、任意の適切なカラーフィルターを発光層の上に設けてもよい。
このような有機EL素子においては、有機EL層230の厚みは、できる限り薄いことが好ましい。発光した光を可能な限り透過させることが好ましいからである。有機EL層230は、例えば、厚み10nm程度のきわめて薄い膜で構成され得る。
<D.照明器具>
本発明の1つの実施形態による照明器具は、上記有機ELデバイスを含む。上記の通り、本発明の有機ELデバイスは、内部に屈折率変調領域を有する光拡散素子を用いることにより、光取り出し効率を向上させるものである。したがって、屋外で使用した場合でも、経時的な光取り出し効率の低下を抑制し得る。また、本発明で用いられる光拡散素子は複雑な製造工程を必要とせず、大型化も可能である。したがって、本発明の有機ELデバイスは、大型の照明器具にも適用可能である。
本発明について、以上の実施例および比較例を用いてさらに説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた各分析方法は、以下の通りである。
(1)第1の濃度変調領域および第2の濃度変調領域の有無:
参考例で得られた光拡散素子と基材との積層体を液体窒素で冷却しながら、ミクロトームにて0.1μmの厚さにスライスし、測定試料とした。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、当該測定試料の光拡散素子部分の微粒子の状態および当該微粒子とマトリクスとの界面の状態を観察した。微粒子とマトリクスとの界面が不明瞭な場合を「第1の濃度変調領域あり」とし、微粒子とマトリクスとの界面が明瞭な場合を「第1の濃度変調領域なし」とした。また、微粒子内部において前駆体浸透によるコントラストが確認できる場合を「第2の濃度変調領域あり」とし、微粒子内部にコントラストが確認できず均一色である場合を「第2の濃度変調領域なし」とした。
(2)斜め輝度:
コノスコープ850(オプトデザイン社製)を用いて、手測定した極角60°方位角45°方向における輝度を測定した。輝度が高いほど斜め方向でも良好な輝度を有することを示す。
(3)光束:
コノスコープ850(オプトデザイン社製)を用いて測定した全角度の輝度にcosθを乗じて、角度0〜90°まで積分した値を求めた。値が大きいほど光取り出し効率が良好であることを示す。
(4)色変化:
xy色度図で正面から極角60°方位角45°への移動距離を以下の式で求めた。値が小さいほど色変化が小さいことを表す。
正面から極角60°、方位角45°への移動距離=√{(X0°,0°−X60°,45°+(Y0°,0°−Y60°,45°
光拡散素子の作製
[参考例1]
超微粒子成分としてのジルコニアナノ粒子(平均粒径60nm、屈折率2.19)を62%含有するハードコート用樹脂(JSR社製、商品名「オプスターKZ6661」(MEK/MIBK含有))100部に、樹脂成分の前駆体としてのペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名「ビスコート#300」、屈折率1.52)の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液を11部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製、商品名「イルガキュア907」)を0.5部、レベリング剤(DIC社製、商品名「GRANDIC PC 4100」)を0.5部、および、光拡散性微粒子としてのポリメタクリル酸メチル(PMMA)微粒子(積水化成品社製、商品名「XX131AA」、平均粒径2.5μm、屈折率1.49)を15部添加し、固形分濃度が55重量%となるようにMIBKを加えた。この混合物を5分間超音波処理し、上記の各成分が均一に分散した塗工液を調製した。当該塗工液を調製後ただちに、バーコーターを用いてTACフィルム(コニカ・ミノルタ社製、商品名「KC4UY」、厚み40μm)上に塗工し、100℃にて1分間乾燥後、積算光量300mJの紫外線を照射し、厚み10.5μmの光拡散素子を得た。得られた光拡散素子の光拡散半値角は60°、ヘイズは97%であった。
得られた光拡散素子の微粒子を除いたマトリックスの屈折率は1.61であった。得られた光拡散素子の濃度変調領域の有無を確認した断面TEM写真を図7に示す。断面TEM写真(直接倍率×50,000)を観察すると、光拡散微粒子とマトリクスとの界面近傍において、屈折率が段階的または実質的に連続的に変化する40nm〜200nmほどの濃度変調領域(第1の濃度変調領域)が確認された。
光拡散素子の作製
[参考例2]
光拡散素子の厚みが15μmになるよう塗工液を塗布した以外は参考例1と同様にして光拡散素子を得た。得られた光拡散素子の光拡散半値角は70°、ヘイズは98%であった。
得られた光拡散素子の微粒子を除いたマトリックスの屈折率は1.61であった。得られた光拡散素子の濃度変調領域の有無を断面TEM写真(直接倍率×50,000)を観察すると、光拡散微粒子とマトリクスとの界面近傍において、屈折率が段階的または実質的に連続的に変化する40nm〜200nmほどの濃度変調領域(第1の濃度変調領域)が確認された。
有機ELデバイスの作製
[実施例1]
有機EL素子として、以下の構成のものを用いた。
ガラス(厚み:1000μm)/陰極(Al、厚み:120nm)/電荷注入〜発光〜電荷輸送層(厚み:130nm)/電荷発生層(厚み:4nm)/電荷注入〜発光〜電荷輸送層(厚み:85nm)/電荷発生層(厚み:3nm)/電荷注入〜発光〜電荷輸送層(厚み:85nm)/陽極(ITO、厚み:460nm)/ガラス(厚み:1000μm)
上記有機EL素子の発光面側に、参考例1で得られた光拡散素子を粘着剤を介して貼り合せることにより、有機ELデバイスを得た。得られた有機ELデバイスを13V、1Aで発光させ、斜め輝度、光束および色変化を測定した。得られた有機ELデバイスの特性を表1に示す。
[実施例2]
光拡散素子として、参考例2で得られた光拡散素子を用いた以外は実施例1と同様にして、有機ELデバイスを作製した。得られた有機ELデバイスの特性を表1に示す。
[比較例1]
光拡散素子を用いなかった(有機EL素子のみを使用した)以外は、実施例1と同様にして有機ELデバイスを作製した。得られた有機ELデバイスの特性を表1に示す。
[比較例2]
参考例1で得られた光拡散素子の代わりに、マイクロレンズアレイ(オプトサイエンス社製、ポリスチレン樹脂の表面に半径15μmの球形を付与したもの)と有機EL素子とを貼り合せた以外は、実施例1と同様にして有機ELデバイスを作製した。得られた有機ELデバイスの特性を表1に示す。
[比較例3]
参考例1で得られた光拡散素子の代わりに、拡散板(ゼオノア樹脂に底辺80μm□、高さ56μmの楔形(逆ピラミッド型)の表面形状を付与したもの)と有機EL素子とを貼り合せた以外は、実施例1と同様にして有機ELデバイスを作製した。得られた有機ELデバイスの特性を表1に示す。
[比較例4]
参考例1で得られた光拡散素子の代わりに、拡散板(ツジデン社製、商品名「D114 series」、ゼオノアフィルムにアクリルビーズをコーティングしたもの)と有機EL素子とを貼り合せた以外は、実施例1と同様にして有機ELデバイスを作製した。得られた有機ELデバイスの特性を表1に示す。
[評価]
表1から明らかな通り、内部に濃度変調領域を有する光拡散素子を用いた実施例1および2の有機ELデバイスは、臨界角を超え、有機ELデバイス内に閉じ込められている斜め方向の光を散乱する光をロスが生じることなく取り出すことができ、光取り出し効率(光束)が向上した。また、斜め方向の輝度も向上し、様々な方向の光を混色できるので、色変化も抑制することができた。
一方、光拡散素子を有さない比較例1では、光取り出し効率が向上せず、斜め輝度が小さく、色変化も大きかった。また、外部に微細な空隙を設けた拡散層を有する比較例2および3では、斜め方向の光がそのまま取り出されることにより、光取り出し効率は向上したが、斜め方向の輝度が小さく、色変化も大きかった。内部に微粒子を含むことにより拡散性能を有する拡散板を用いた比較例4は、拡散板内部での混色により色変化が抑制されたが、後方散乱を抑制することができないため、斜め方向の輝度が小さく、光取り出し効率が十分に得られなかった。
本発明の有機ELデバイスは、任意の適切な用途に使用され、照明器具、バックライト、各種表示装置等に好適に用いることができる。
10 マトリクス
11 樹脂成分
12 超微粒子成分
20 光拡散性微粒子
31 濃度変調領域(第1の濃度変調領域)
32 第2の濃度変調領域
100 光拡散素子
200 有機EL素子
300 有機ELデバイス

Claims (9)

  1. 有機EL素子と、該有機EL素子の発光面側に配置された光拡散素子とを有し、
    該光拡散素子が、樹脂成分および超微粒子成分を含むマトリクスと、該マトリクス中に分散された光拡散性微粒子とを有し、
    該樹脂成分、該超微粒子成分および該光拡散性微粒子は、それらの屈折率が下記式(1)を満たし、
    該光拡散性微粒子の表面近傍外部に形成され、該光拡散性微粒子から遠ざかるにつれて該樹脂成分の重量濃度が低くなり該超微粒子成分の重量濃度が高くなる濃度変調領域を有し、
    該光拡散素子のヘイズが97〜99%である、有機ELデバイス:
    |nP−nA|<|nP−nB|・・・(1)
    式(1)中、nAはマトリクスの樹脂成分の屈折率を表し、nBはマトリクスの超微粒子成分の屈折率を表し、nPは光拡散性微粒子の屈折率を表す。
  2. 前記光拡散性微粒子の表面近傍内部に前記樹脂成分が浸透して形成された第2の濃度変調領域をさらに有する、請求項1に記載の有機ELデバイス。
  3. 前記光拡散素子が0.01≦|nP−nA|≦0.10、および、0.10≦|nP−nB|≦1.50を満たす、請求項1または2に記載の有機ELデバイス。
  4. 前記樹脂成分および前記光拡散性微粒子が同系の材料で構成され、前記超微粒子成分が該樹脂成分および該光拡散性微粒子とは異なる系の材料で構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の有機ELデバイス。
  5. 前記樹脂成分および前記光拡散性微粒子が有機化合物で構成され、前記超微粒子成分が無機化合物で構成されている、請求項4に記載の有機ELデバイス。
  6. 前記光拡散性微粒子は、平均粒径が1μm〜5μmである、請求項1から5のいずれかに記載の有機ELデバイス。
  7. 前記超微粒子成分は、平均粒径が1nm〜100nmである、請求項1から6のいずれかに記載の有機ELデバイス。
  8. 前記光拡散素子の光拡散半値角が10°〜150°である、請求項1から7のいずれかに記載の有機ELデバイス。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の有機ELデバイスを用いた、照明器具。
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