JP5602455B2 - 梁部材および建物構造体 - Google Patents
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Description
プレキャスト製の梁部材を利用した柱梁架構の構築は、梁部材を支保工などの仮設部材で支持した状態で、梁部材と柱部材との接合部であるパネル部を現場打ちコンクリートにより構築し、柱と梁との一体化を行うのが一般的である。
この構造では、柱の上端部には梁と連結するための差し筋受け入れ部が予め形成されており、梁同士の突合せ部を貫通するように差し筋を挿通して差し筋受け入れ部に定着させることで、当該柱と2本の梁部材とが一体に連結されている。梁部材の両端部は、柱によって支持されているため、梁部材を支持するための支保工を省略し、支保工の設置や撤去に要する手間を省くことが可能となる。
また、梁部材と柱部材とが交差するパネル部では、梁部材同士を突き合わせた接合部(乾式の打継ぎ部またはモルタルが介在する打継ぎ部)が存在するため、地震時に梁から大きな曲げやせん断力がパネル部に作用した時に、接合部がずれて剛性が低下したり、パネル部の耐力が低下するおそれがある。
さらに、分断されたパネル部のフープ筋同士を接合するとしてもその作業に手間を要していた。また、直交方向から他の梁が取付く場合には、直交する梁主筋の継手と交錯するため、その配筋作業は困難を極めていた。ところが、これらの問題についての検討は特許文献1ではなされていなかった。
この梁部材のパネル部には、柱の主筋の位置に対応して鉄筋挿通孔が形成されていてもよいし、柱の主筋の位置に対応して縦筋が配筋されていてもよい。
ここで、「柱と同等の平断面形状」とは、柱の平断面形状と完全に一致する場合に限定されない。例えば、柱の主筋の全てを挿通し得る形状であれば、柱の平断面形状を相違する場合であっても「柱と同等の平断面形状」に含むものとする。
パネル部32は、図2(a)および(b)に示すように、柱1と同等の平断面形状に成形されているとともに、梁2の梁せいと同等の高さを有して形成されている。
パネル部32の上面には、上層階の柱1が立設される。
パネル部32と現場打ちコンクリート部分31aは、上端筋36,37を介して一体化がなされている。
中間梁4と梁部材3との接続方法は限定されるものではなく、例えば、梁部材3のパネル部32から突出する鉄筋を連結・延長して中間梁4を構築したり、パネル部32にアンカー等の接続部材を設置した状態で中間梁4を構築するなど、適宜行えばよい。
なお、中間梁4の施工方法は限定されるものではなく、適宜行えばよい。
また、梁部材3は、予めパネル部32が一体に形成されているため、大スパンにも対応することが可能である。また、緊張材33があらかじめ配設されていることにより、柱梁架構の構築時に、梁せいの低いプレキャスト梁(梁部31)の端部に大きなせん断力が生じても、これを安全に柱1に伝達し得る優れた耐力を有している。
また、プレストレス区間A1の両端部(アンボンド区間A2のスパン中央側の端部に隣接する部位)には、緊張材33を囲むスパイラル筋34が配筋されている。
例えば、柱1は、プレキャスト部材により構築してもよいし、現場施工により構築してもよい。
定着域A1’となるパネル部32はボリュームが大きいため、緊張材33に対する被り厚さを大きく取れるため、付着割裂補強用のアンボンド処理やスパイラル筋34を省略できる。
また、中間梁4は建物の規模や施工手順等に応じて形成すればよく、省略してもよい。
2 梁
3 梁部材
31 梁部
32 パネル部
33 緊張材
34 スパイラル筋
39 シース管
4 中間梁
A1 プレストレス区間
A2 アンボンド区間
S 建物構造体
Claims (3)
- 内法スパンに相当する梁部と、前記梁部の両端に形成されて柱の上面に載置されるパネル部と、が一体に形成されたプレキャスト製の梁部材であって、
前記パネル部は、前記柱と同等の平断面形状に成形されており、前記柱の主筋の位置に対応して、鉄筋挿通孔が形成または縦筋が配筋されていて、
前記パネル部の上面に他の柱が立設されていて、
一方の前記パネル部から他方の前記パネル部に至る緊張材を備えており、
前記梁部の端部と前記パネル部にプレストレスが導入されていないアンボンド区間が設けられているとともに、梁部の前記端部以外にプレストレスが導入されたプレストレス区間が設けられており、
前記アンボンド区間の前記緊張材の周囲にシース管が設けられており、
前記シース管と前記緊張材とが、プレストレス区間へのプレストレス導入後に前記シース管と前記緊張材との隙間に充填された充填材により固定されていることを特徴とする、梁部材。 - 内法スパンに相当する梁部と、前記梁部の両端に形成されて柱の上面に載置されるパネル部と、が一体に形成されたプレキャスト製の梁部材であって、
前記パネル部は、前記柱と同等の平断面形状に成形されており、前記柱の主筋の位置に対応して、鉄筋挿通孔が形成または縦筋が配筋されていて、
前記パネル部の上面に他の柱が立設されていて、
一方の前記パネル部から他方の前記パネル部に至る緊張材を備えており、
前記梁部の端部と前記パネル部にアンボンド区間を設けてなり、
前記アンボンド区間のスパン中央側の端部に隣接する部位に、前記緊張材を囲むスパイラル筋を配筋することを特徴とする、梁部材。 - 請求項1または請求項2に記載の梁部材を利用して構築された建物構造体であって、
隣り合う梁部材同士の間に、現場打ちコンクリートにより構築された中間梁を備えることを特徴とする、建物構造体。
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