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JP5600452B2 - 溶融めっき設備 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属ポットに金属帯を浸漬して金属帯の表面にめっき層を形成する溶融めっき設備に関する。
従来用いられていたこの種の溶融めっき設備としては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成が用いられている。図3は、従来の溶融めっき設備において用いられる調質圧延機10を示す構成図であり、図4は、図3の調質圧延機を金属帯2が蛇行して通過する状態を示す説明図である。一般に、このような溶融めっき設備では、溶融金属のコーティングが施された金属帯2が冷却された後に、調質圧延機10で金属帯2が軽圧下されることで、溶融金属によって構成されるめっき層の性質が整えられる。
図3に示すように、調質圧延機10には、上下ワークロール10a,10bと、上下バックアップロール10c,10dとが設けられている。ワークロール10a,10bは、金属帯2に直接的に触れるロールであり、金属帯2を上下から挟み込むものである。バックアップロール10c,10dは、各ワークロール10a,10bの外側に配置されるロールであり、ワークロール10a,10bを介して金属帯2に圧下力を付与するものである。各ワークロール10a,10bの外周面は凸状の円弧に形成されているので、金属帯2に付与される圧下力の分布にも偏りが生じる。すなわち、圧下力は、各ロール10a〜10dの幅方向に沿う中央領域で高く、幅方向に沿う外側に向けて徐々に低くなる。このため、図4に示すように金属帯2が蛇行して、金属帯2の中央部が各ロール10a〜10dの幅方向に沿う中央領域を通過しない場合には、例えば絞り込みや耳じわ等の形状不良が金属帯2に生じる可能性がある。
このため、従来の溶融めっき設備では、例えば下記の特許文献2,3等に示されるようなステアリング機能を有するステアリングロールが設けられて、金属帯2の蛇行を低減できるように構成されている。但し、調質圧延機10近傍には、ブライドルロール等の大型の装置が配置されるので、調質圧延機10近傍にステアリングロールを設置するスペースを確保することが難しい。このため、調質圧延機10から離れた位置に配置されたステアリングロールが調質圧延機10での蛇行制御を兼ねることが多い。
特開2005−89849号公報 特開平05−195184号公報 特開2003−213391号公報
上記のような従来の溶融めっき設備では、調質圧延機10から離れた位置に配置されたステアリングロールが調質圧延機10での蛇行制御を兼ねるので、このステアリングロールで蛇行制御を行っても、例えばステアリングロール下流の搬送路の据え付け誤差等によって、調質圧延機10を通過する金属帯2にずれが生じる可能性があり、金属帯2に形状不良が生じる可能性が依然として残っている。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、調質圧延機から離れた位置に配置されたステアリングロールが調質圧延機での蛇行制御を兼ねる構成でも、調質圧延機での金属帯の蛇行をより確実に抑えることができ、金属帯に形状不良が生じる可能性をより小さくできる溶融めっき設備を提供することである。
本発明に係る溶融めっき設備は、ポット内の溶融金属に浸漬された金属帯を前記ポットから引き上げて、冷却搬送路を通過させることにより前記金属帯を冷却し、前記冷却搬送路の出側に配置されたデフレクタロールにより前記金属帯の搬送方向を水平方向とした後に、前記金属帯を調質圧延機で軽圧下する溶融めっき設備であって、前記冷却搬送路に配置されたステアリングロールと、前記ステアリングロールの下流側に配置され、前記ステアリングロールの直後における前記金属帯の第1偏差量を検出する第1センサと、前記デフレクタロールと前記調質圧延機との間に配置され、前記調質圧延機前における前記金属帯の第2偏差量を検出する第2センサと、前記ステアリングロール、前記第1センサ、及び前記第2センサに接続され、前記第1及び第2センサからの前記第1及び第2偏差量に基づいて前記ステアリングロールを傾動させることで、前記冷却搬送路及び前記調質圧延機前での前記金属帯の蛇行を制御する蛇行制御手段とを備え、前記蛇行制御手段は、前記第1偏差量を(A)、前記第2偏差量を(B)、所定のバイアス量を(a)、所定のゲイン値を(G)とした場合に、∫{(A)+(a)+∫(B)dt}dt×(G)に基づいて前記ステアリングロールの傾動量を求める。
た、前記蛇行制御手段は、前記ステアリングロールの傾動量を求める演算を行う際に、積分時間設定値×金属帯の現在の搬送スピード÷金属帯の最大の搬送スピードの計算式により求められる積分時間を上記∫(B)dtの演算に用いる。
本発明の溶融めっき設備によれば、第1センサがステアリングロールの直後における金属帯の第1偏差量を検出し、第2センサが調質圧延機前における金属帯の第2偏差量を検出し、蛇行制御手段が、第1及び第2センサからの第1及び第2偏差量に基づいてステアリングロールを傾動させることで、冷却搬送路及び調質圧延機前での金属帯の蛇行を制御するので、調質圧延機から離れた位置に配置されたステアリングロールが調質圧延機での蛇行制御を兼ねる構成でも、調質圧延機での金属帯の蛇行をより確実に抑えることができ、金属帯に形状不良が生じる可能性をより小さくできる。
本発明の実施の形態1による溶融めっき設備を示す構成図である。 図1の蛇行制御手段によるステアリングロールの傾動量算出の状態を示す説明図である。 従来の溶融めっき設備において用いられる調質圧延機を示す構成図である。 図3の調質圧延機を金属帯が蛇行して通過する状態を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による溶融めっき設備を示す構成図である。図において、ポット1には、例えば溶融亜鉛めっきや合金化溶融亜鉛めっき等の溶融金属めっきを施すための溶融金属1aが溜められている。このポット1には、例えば鋼板等の金属帯2がスナウト3から連続的に送られる。溶融金属1aに金属帯2が浸漬されることで、金属帯2の表面が溶融金属1aによってコーティングされる。
ポット1から引き上げられた金属帯2は、冷却搬送路4を通過されることで冷却される。冷却搬送路4には、ポット1が設けられている位置から金属帯2が上昇される上昇路4aと、この上昇路4aを上昇された金属帯2が降下される降下路4bとが含まれている。上昇路4aには、付着量調節器5と冷却帯6とが設けられている。付着量調節器5は、金属帯2の表面に過剰に付着した溶融金属1aをガスワイピング等により除去するものである。冷却帯6は、金属帯2の表面に冷却用ガスを吹き付けて、金属帯2表面の溶融金属1aを冷却するものである。
冷却搬送路4の降下路4bには、ステアリングロール20と第1センサ21とが設けられている。ステアリングロール20は、周知のステアリング機能を有するロールであり、傾動されることで金属帯2の蛇行を修正するものである。なお、このステアリングロール20の傾動は、ステアリングロール20の幅方向に沿う一端が第1方向に変位された際に、ステアリングロール20の他端が第1方向とは逆向きの第2方向に向けて同量だけ変位されることで行われるものである。第1センサ21は、ステアリングロール20の直後における金属帯2の第1偏差量21aを検出するものである。なお、偏差量とは、幅方向に沿う金属帯2の中央位置が所定の基準位置からずれている量を示すものである。
冷却搬送路4の出側にはデフレクタロール7が配置されている。このデフレクタロール7は、金属帯2の搬送方向を水平方向に変えるものである。金属帯2の搬送方向に沿うデフレクタロール7の下流側には、ミストプレイ8、第2センサ22、第1ブライドルロール9、調質圧延機10(スキンパスロール)、及び第2ブライドルロール11が設けられている。ミストプレイ8は、金属帯2に冷却用ミストを吹き付けて、金属帯2表面の溶融金属1aをさらに冷却するものである。第1及び第2ブライドルロール9,11は、金属帯2に所与の張力を付与するものである。調質圧延機10は、周知のように金属帯2を軽圧下して、金属帯2表面の溶融金属1aによって構成されるめっき層の性質を整えるものである。
第2センサ22は、第1ブライドルロール9の前、すなわち調質圧延機10前における金属帯2の第2偏差量22aを検出するものである。この実施の形態では、一般に第1ブライドルロール9と調質圧延機10との間のスペースが狭いことを考慮して、ミストプレイ8と第1ブライドルロール9との間に第2センサ22を配置している。しかしながら、第2センサ22は、調質圧延機10に進入する前の調質圧延機10近傍での金属帯2の偏差量を検出できればよく、第2センサ22の配置位置はデフレクタロール7と調質圧延機10との間であればよい。
ステアリングロール20、第1センサ21、及び第2センサ22には、蛇行制御手段23が接続されている。蛇行制御手段23は、後述のように、第1及び第2センサ21,22からの第1及び第2偏差量21a,22aに基づいてステアリングロール20の傾動制御を行うことで、冷却搬送路4及び調質圧延機10前での金属帯2の蛇行を制御するものである。すなわち、この実施の形態のステアリングロール20による蛇行制御は、冷却搬送路4での金属帯2の蛇行制御と、調質圧延機10前での金属帯2の蛇行制御とを兼ねるものである。
オペレータが調質圧延機10の動作を監視できるように調質圧延機10の前に設けられたデスク30には、第1偏差計24、第2偏差計25、及び設定値入力部26が設けられている。第1及び第2偏差計24,25は、蛇行制御手段23に接続された表示器であり、第1及び第2センサ21,22によって検出された第1及び第2偏差量21a,22aをオペレータに対して表示するものである。設定値入力部26は、オペレータによって操作される操作盤であり、上位制御手段27を介して蛇行制御手段23に設定値26aを入力するものである。この設定値入力部26は、蛇行制御手段23によるステアリングロール20の傾動制御にオペレータが関与できるように、蛇行制御手段23の傾動量演算に用いられる変数をオペレータが設定できるようにするものである。
上位制御手段27は、例えば金属帯2の搬送等の溶融めっき設備全体の動作制御を行うものである。上位制御手段27は、設定値入力部26からの設定値26aとともに、金属帯2の搬送スピード27aを蛇行制御手段23に入力する。蛇行制御手段23は、以下に説明するように、設定値26a及び搬送スピード27aを用いてステアリングロール20の傾動量を求める。
次に、図2は、図1の蛇行制御手段23によるステアリングロール20の傾動量算出の状態を示す説明図である。図に示すように、蛇行制御手段23には、第1センサ21からの第1偏差量21a、第2センサ22からの第2偏差量22a、並びに上位制御手段27からの設定値26a及び搬送スピード27aが入力される。設定値26aには、以下に説明するバイアス量及びゲイン値が含まれている。
蛇行制御手段23は、第1偏差量21aを(A)、第2偏差量22aを(B)、設定値26aに含まれるバイアス量を(a)、設定値26aに含まれるゲイン値を(G)とした場合に、∫{(A)+(a)+∫(B)dt}dt×(G)に基づいて前記ステアリングロール20の傾動量を求める。
(A)+(a)は、冷却搬送路4での金属帯2の蛇行制御を行う制御ループを示している。オペレータは、設定値入力部26を操作してバイアス量(a)を変更することで、蛇行制御を適宜調節できる。∫(B)dtは、調質圧延機10前での金属帯2の蛇行制御を行う制御ループを示しており、傾動制御全体にサブループとして作用する。(B)が積分項として含まれることで、調質圧延機10前での金属帯2の蛇行制御を可能としつつ、全体としての制御発散を防止できるようにされている。
蛇行制御手段23は、上述の傾動量演算の∫(B)dtの積分時間を搬送スピード27aに基づいて決定する。具体的には、蛇行制御手段23は、ステアリングロールの傾動量を求める演算を行う際に、搬送スピード27aに反比例する積分時間を∫(B)dtの演算に用いる。(B)は応答遅れが大きく(検出部が制御部から非常に遠い)ので、(B)の値が大きくなるほど制御が発散しやすくなる。このため、積分時間を一定にすると、ライン速度の増加に対して制御不足となるとともに、ライン速度の減少に対して過剰制御となる。そこで「積分時間設定値×金属帯2の現在の搬送スピード÷金属帯2の最大の搬送スピード」の計算式により求められる積分時間を∫(B)dtの演算に用いることで、このような制御不足及び過剰制御の発生を回避している。搬送スピード27aは、50〜180m/min程度の幅で変動される。すなわち、この実施の形態では、上述の計算式における最大の搬送スピードは180m/minである。なお、上述の積分時間設定値(sec)は、外部から入力される設定値である。全体の積分時間は、ライン速度に影響を受けない所定の一定値としている。
蛇行制御手段23には、ステアリングロール20に設けられた傾動量検出器(図示せず)からの傾動量検出信号20aが入力される。蛇行制御手段23は、求めた傾動量と傾動量検出信号20aが示す現在の傾動量の検出値との差を求め、この差を示す駆動信号23aをステアリングロール20のアクチュエータ(図示せず)に入力する。ステアリングロール20のアクチュエータは、駆動信号23aに基づいてステアリングロール20を傾動駆動する。
このような溶融めっき設備では、第1センサ21がステアリングロール20の直後における金属帯2の第1偏差量21aを検出し、第2センサ22が調質圧延機10前における金属帯2の第2偏差量22aを検出し、蛇行制御手段23が、第1及び第2センサ21,22からの第1及び第2偏差量21a,22aに基づいてステアリングロール20を傾動させることで、冷却搬送路4及び調質圧延機10前での金属帯2の蛇行を制御するので、調質圧延機10から離れた位置に配置されたステアリングロール20が調質圧延機10での蛇行制御を兼ねる構成でも、調質圧延機10での金属帯2の蛇行をより確実に抑えることができ、金属帯2に形状不良が生じる可能性をより小さくできる。また、2つのステアリングロール20を設ける構成に比べて、導入コストを低減できるとともに、例えば定期修理等のメンテナンスに要する時間も短縮できる。
また、蛇行制御手段23は、第1偏差量21aを(A)、第2偏差量22aを(B)、所定のバイアス量を(a)、所定のゲイン値を(G)とした場合に、∫{(A)+(a)+∫(B)dt}dt×(G)に基づいてステアリングロール20の傾動量を求めるので、調質圧延機10前での金属帯2の蛇行制御を可能としつつ、全体としての制御発散を防止できる。
さらに、蛇行制御手段23は、ステアリングロール20の傾動量を求める演算を行う際に、積分時間設定値×金属帯2の現在の搬送スピード÷金属帯2の最大の搬送スピードの計算式により求められる積分時間を∫(B)dtの演算に用いるので、ライン速度の増加に対して制御不足となることを回避しつつ、ライン速度の減少に対して過剰制御となることを回避できる。
1 ポット
1a 溶融金属
2 金属帯
4 冷却搬送路
7 デフレクタロール
10 調質圧延機
20 ステアリングロール
21,22 第1及び第2センサ
21a,22a 第1及び第2偏差量
23 蛇行制御手段

Claims (2)

  1. ポット(1)内の溶融金属(1a)に浸漬された金属帯(2)を前記ポット(1)から引き上げて、冷却搬送路(4)を通過させることにより前記金属帯(2)を冷却し、前記冷却搬送路(4)の出側に配置されたデフレクタロール(7)により前記金属帯(2)の搬送方向を水平方向とした後に、前記金属帯(2)を調質圧延機(10)で軽圧下する溶融めっき設備であって、
    前記冷却搬送路(4)に配置されたステアリングロール(20)と、
    前記ステアリングロール(20)の下流側に配置され、前記ステアリングロール(20)の直後における前記金属帯(2)の第1偏差量(21a)を検出する第1センサ(21)と、
    前記デフレクタロール(7)と前記調質圧延機(10)との間に配置され、前記調質圧延機(10)前における前記金属帯(2)の第2偏差量(22a)を検出する第2センサ(22)と、
    前記ステアリングロール(20)、前記第1センサ(21)、及び前記第2センサ(22)に接続され、前記第1及び第2センサ(21,22)からの前記第1及び第2偏差量(21a,22a)に基づいて前記ステアリングロール(20)を傾動させることで、前記冷却搬送路(4)及び前記調質圧延機(10)前での前記金属帯(2)の蛇行を制御する蛇行制御手段(23)と
    を備え
    前記蛇行制御手段(23)は、前記第1偏差量(21a)を(A)、前記第2偏差量(22a)を(B)、所定のバイアス量を(a)、所定のゲイン値を(G)とした場合に、
    ∫{(A)+(a)+∫(B)dt}dt×(G)
    に基づいて前記ステアリングロール(20)の傾動量を求める
    ていることを特徴とする溶融めっき設備。
  2. 前記蛇行制御手段(23)は、前記ステアリングロール(20)の傾動量を求める演算を行う際に、積分時間設定値×金属帯(2)の現在の搬送スピード÷金属帯(2)の最大の搬送スピードの計算式により求められる積分時間を上記∫(B)dtの演算に用いることを特徴とする請求項記載の溶融めっき設備。
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