JP5698798B2 - 熱変位量補正機能を有する工作機械 - Google Patents
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Description
特許文献1には、これらの問題を解決する手段として、工作機械の各構成要素の温度を測定して得られた計測温度と刃先位置の座標に基づき、熱変位量を推定する技術が開示されている。
特許文献2には、主軸の負荷や回転数、前回の熱変位量に基づいて演算を行い、熱変位量を計算する技術が開示されている。
特許文献3には、暖気運転の時間をなくすか短縮するために、検出部の検出に基づいて、第一の接触検出時の座標と第二の検出時の座標との差から補正量を決定するという技術が開示されている。
特許文献2に開示されている技術は、主軸の負荷や回転数に基づいて演算を行っているために、機械が設置されている環境などの機械の動作以外の要因を織り込んで予測することが難しい場合がある。
特許文献3に開示されている技術は、接触検出にあたって、接触センサを用いて検出を行っているため、センサの信頼性によっては適切な検出を行うことができなかったり、センサの保守点検の労力が発生するおそれがある。
このような構成により、X軸モータ24及びY軸モータ26によってテーブル20をXY平面に沿って移動させつつ、主軸16をZ軸モータ28によってZ軸方向に前後進させて、主軸16に取り付けられている工具30によって、テーブル20上に設置されている図示しないワークの加工を行っている。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
本実施形態においては、図4(a)に示されているように、まず第一ステップとして機械の温度が理想的な状態で1回目の一連の加工プログラムを動作させ、加工プログラムの動作開始と同時に計時を開始し、その後工具30が被加工物(ワーク32)に接触する瞬間の時間をA(1)、A(2)・・・と順番に記録する。工具の接触判定については主軸負荷を監視し、回転している工具30がワーク32に接触した瞬間にある一定以上の主軸負荷を検出し、かつ主軸モータ22の回転数を変化させる指令を直前に出していないときに主軸接触判定を出すものとする。
まずは第一ステップとして、各加工動作における加工動作開始から工具接触までの基準となる時間を設定するために一連の加工プログラムを動作させる。このステップを行う際には、工作機械の置かれた環境(機械温度や機外温度など)が理想的な状態(一例として、機械が十分に冷えた状態や、機外温度が25℃程度に保たれている)といった状態で行うことが望ましい。
・(ステップSA1)加工プログラムを開始し、主軸負荷の監視及び計時を開始する。n=1に設定する。
・(ステップSA2)主軸負荷が所定値を超え、かつ主軸回転数を直前に変えていないかどうかを判定する。いずれも満たしている場合(YES)は、ステップSA3に進み、いずれかを満たしていない場合(NO)は、ステップSA2を繰り返し行っていずれも満たすのを待つ。
・(ステップSA4)加工プログラムが終了したかどうかを判定する。プログラムが終了した場合(YES)は終了し、終了していない場合はステップSA5に進む。
・(ステップSA5)nの値に1を加えて、ステップSA2に戻る。
これにより、加工プログラム中に何度か生じる工具とワークとの接触時間を、接触順番ごとに基準接触時間として記憶しておくことができる。
計測した時間B(1)を第一ステップで記憶させた1つ目の加工動作の時間A(1)と比較する。A(1)とB(1)を比較した際、B(1)がA(1)よりある許容値(k[msec])以上の差をもって小さかった場合、外気温の変化などによって主軸が許容値以上に変位しており、補正が必要であるものとする。
Zm=X[msec]×Y[mm/sec]
X:B(n)とA(n)(この場合はn=1)の時間差
Y:A(n)(この場合はn=1)接触時のZ軸の送り速度
で表すことができる。なお、第一ステップと第二ステップでは同じ加工プログラムを動作させているため、各接触時のZ軸送り速度が同じである。
その後の加工動作においてはZ軸原点Z0を以下のように更新する(An<Bnの場合)。
Z0’=Z0+Zm
Z0’:更新後のZ軸原点
Z0 :更新前のZ軸原点
Z軸原点の更新後、2つ目の加工動作においても同様に加工動作開始から工具接触までの時間B(2)を計測してA(2)と比較を行い、補正が必要か否かを判定し、補正が必要な場合は補正を行う。
この繰り返しを加工プログラムが終了するまで行う。
・(ステップSB1)加工プログラムを開始し、主軸負荷の監視及び計時を開始する。n=1に設定する。
・(ステップSB2)主軸負荷が所定値を超え、かつ主軸回転数を直前に変えていないかどうかを判定する。主軸負荷が所定値を超え、かつ主軸回転数を直前に変えていない場合(YES)は、ステップSB3に進み、それ以外の場合(NO)は、ステップSB2を繰り返し行っていずれの条件も満たすのを待つ。
・(ステップSB4)A(n)とB(n)との差の絶対値が許容値であるkより大きいかどうかを判定する。大きい場合(YES)はステップSB6に進み、差がk以下の場合はステップSB5に進む。
・(ステップSB5)nの値に1を加えて、ステップSB2に戻る。
・(ステップSB7)次回以降のプログラムコードにおいて、Z軸原点をZ0’=Z0−Zmに補正し、ステップSB9に進む。
・(ステップSB8)次回以降のプログラムコードにおいて、Z軸原点をZ0’=Z0+Zmに補正し、ステップSB9に進む。
・(ステップSB9)加工プログラムが終了したかどうかを判定する。プログラムが終了した場合(YES)は終了し、終了していない場合はステップSB5に戻る。
本実施形態においては、第1の実施形態における接触時間の比較に代えて、工具30が被加工物(ワーク32)に接触した際の工具30の座標を比較する点が異なっている。
なお、本実施形態における「座標」は、工作機械固有の座標としている。
本実施形態の熱変位の補正の流れを、図7及び図8に示されたフローチャートも用いて説明する。
まずは第一ステップとして、各加工動作における工具接触までの基準となる座標を設定するために一連の加工プログラムを動作させる。このステップを行う際には、工作機械の置かれた環境(機械温度や機外温度など)が理想的な状態(一例として、機械が十分に冷えた状態や、機外温度が25℃程度に保たれている)といった状態で行うことが望ましい。
・(ステップSC1)加工プログラムを開始し、主軸負荷の監視を開始する。n=1に設定する。
・(ステップSC2)主軸負荷が所定値を超え、かつ主軸回転数を直前に変えていないかどうかを判定する。いずれも満たしている場合(YES)は、ステップSC3に進み、いずれかを満たしていない場合(NO)は、ステップSC2を繰り返し行っていずれも満たすのを待つ。
・(ステップSC4)加工プログラムが終了したかどうかを判定する。プログラムが終了した場合(YES)は終了し、終了していない場合はステップSC5に進む。
・(ステップSC5)nの値に1を加えて、ステップSC2に戻る。
これにより、加工プログラム中に何度か生じる工具とワークとの接触座標を、接触順番ごとに基準接触座標として記憶しておくことができる。
計測した時間B(1)を第一ステップで記憶させた1つ目の加工動作の座標A(1)と比較する。A(1)とB(1)を比較した際、B(1)がA(1)との差の絶対値が許容値(k[mm])以上である場合、外気温の変化などによって主軸が許容値以上に変位しており、補正が必要であるものとする。
Zm=B(n)−A(n)
で表すことができる。
その後の加工動作においては変位量Zmを用いて、Z軸原点Z0を以下のように更新する。
Z0’=Z0+Zm
Z0’:更新後のZ軸原点
Z0 :更新前のZ軸原点
Z軸原点の更新後、2つ目の加工動作においても同様に加工動作開始から工具接触までの時間B(2)を計測してA(2)と比較を行い、補正が必要か否かを判定し、補正が必要な場合は補正を行う。
この繰り返しを加工プログラムが終了するまで行う。
・(ステップSD1)加工プログラムを開始し、主軸負荷の監視を開始する。n=1に設定する。
・(ステップSD2)主軸負荷が所定値を超え、かつ主軸回転数を直前に変えていないかどうかを判定する。主軸負荷が所定値を超え、かつ主軸回転数を直前に変えていない場合(YES)は、ステップSD3に進み、それ以外の場合(NO)は、ステップSD2を繰り返し行っていずれの条件も満たすのを待つ。
・(ステップSD4)A(n)とB(n)との差の絶対値が許容値であるkより大きいかどうかを判定する。大きい場合(YES)はステップSD6に進み、差がk以下の場合はステップSD5に進む。
・(ステップSD5)nの値に1を加えて、ステップSD2に戻る。
・(ステップSD7)次回以降のプログラムコードにおいて、Z軸原点をZ0’=Z0−Zmに補正し、ステップSD9に進む。
・(ステップSD8)次回以降のプログラムコードにおいて、Z軸原点をZ0’=Z0+Zmに補正し、ステップSD9に進む。
・(ステップSD9)加工プログラムが終了したかどうかを判定する。プログラムが終了した場合(YES)は終了し、終了していない場合はステップSD5に戻る。
12 ベッド
14 コラム
16 主軸
18 主軸ヘッド
20 テーブル
22 主軸モータ
24 X軸モータ
26 Y軸モータ
28 Z軸モータ
30 工具
32 ワーク
Claims (2)
- 工具が取り付けられた主軸を移動させる主軸直線移動軸とテーブルを移動させる2つ以上のテーブル直線移動軸と、前記主軸直線移動軸及び前記テーブル直線移動軸とを制御する数値制御装置を備えた数値制御工作機械において、
前記主軸直線移動軸を駆動する主軸モータの負荷を測定する軸負荷測定手段と、
前記工具が前記テーブルに配置されたワークに接触していない所定の位置から前記主軸の移動及び時間の計測を開始して、前記軸負荷測定手段が測定した前記主軸モータの負荷が予め決められた値を超えて前記工具が前記ワークに接触したと判定するまでの時間を基準接触時間として記憶する基準接触時間記憶手段と、
前記基準接触時間記憶後の加工において、前記工具が前記テーブルに配置されたワークに接触していない所定の位置から前記主軸の移動及び時間の計測を開始して、前記軸負荷測定手段が測定した前記主軸モータの負荷が予め決められた値を超えて前記工具が前記ワークに接触したと判定するまでの時間を実接触時間として記憶する実接触時間記憶手段と、
前記基準接触時間と前記実接触時間との時間差が予め設定された時間を超えたとき、前記主軸の送り速度と前記時間差の時間とを積算することによって熱変位量を算出する熱変位量算出手段と、
前記熱変位量算出手段によって算出された熱変位量に基づき、前記主軸直線移動軸の移動量を補正する熱変位補正手段と、
を有することを特徴とする熱変位量補正機能を有する工作機械。 - 工具が取り付けられた主軸を移動させる主軸直線移動軸とテーブルを移動させる2つ以上のテーブル直線移動軸と、前記主軸直線移動軸及び前記テーブル直線移動軸とを制御する数値制御装置を備えた数値制御工作機械において、
前記主軸直線移動軸を駆動する主軸モータの負荷を測定する軸負荷測定手段と、
前記軸負荷測定手段が測定した前記主軸モータの負荷が予め決められた値を超えて前記工具が前記ワークに接触したと判定したときの座標を基準接触座標として記憶する基準接触座標記憶手段と、
前記基準接触座標記憶後の加工において、前記軸負荷測定手段が測定した前記主軸モータの負荷が予め決められた値を超えて前記工具が前記ワークに接触したときの座標を実接触座標として記憶する実接触座標記憶手段と、
前記基準接触座標と前記実接触座標との差が予め設定された値を超えたとき、前記基準接触座標と前記実接触座標との差の値を熱変位量として算出する熱変位量算出手段と、
前記熱変位量算出手段によって算出された熱変位量に基づき、前記主軸直線移動軸の移動量を補正する熱変位補正手段と、
を有することを特徴とする熱変位量補正機能を有する工作機械。
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