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JP5680325B2 - 車両の路外逸脱防止制御装置 - Google Patents

車両の路外逸脱防止制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、制動力制御によりヨーモーメントや減速度を発生させて路側障害物への逸脱防止、白線から路外への逸脱防止を図る車両の路外逸脱防止制御装置に関する。
近年、車両の路外逸脱防止を図り安全性を向上する、様々な車両の路外逸脱防止制御装置の技術が提案され実用化されている。例えば、特開2003−112540号公報(特許文献1)では、走行車線からの逸脱量推定値に基づいて、走行車線からの逸脱を回避する方向にヨーモーメントが発生するように各車輪の制駆動力制御量を左右輪の制駆動力の差を上限値で制限しつつ算出すると共に、逸脱量推定値に基づいて、減速するように各車輪の制動力制御量を算出し、各車輪の制駆動力を制御する技術が開示されている。
特開2003−112540号公報
ところで、上述の特許文献1に開示されるような車線逸脱防止装置では、制動力制御で車両に路外逸脱を防止するヨーモーメントや減速度を発生させる場合、どのような車線逸脱量にも対応できるように、ブレーキシステムのハイドロリックユニットのポンプモータをフル駆動させて予め大きな液圧を発生させ、この発生した液圧を所望の液圧となるようにバルブによって調整する構成となっている。このため、ブレーキシステムのポンプモータの寿命が短縮し、また、作動音や振動が大きくなるといった課題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、どのような車線逸脱量にも対応でき、ポンプモータの作動を必要最低限にして、作動音や振動の発生を抑制し、長寿命化を図ることができる車両の路外逸脱防止制御装置を提供することを目的としている。
本発明は、少なくとも路側の障害物情報や白線情報を検出する道路情報検出手段と、上記路側の障害物情報や白線情報に基づいて障害物や白線に対する逸脱量を算出する逸脱量算出手段と、車両にヨーモーメントや減速度を発生させて上記障害物や白線に対する車両の逸脱を防止する制動力を上記障害物や白線に対する逸脱量を基に算出して制動手段を制動制御する制動制御手段と、車速と、現在の自車両の進行方向と白線とのなす角からのハンドル角の差と、上記逸脱量に応じてポンプモータ目標回転数設定用逸脱度を設定し、該ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度に応じて上記制動手段のポンプモータの目標回転数を設定し、該ポンプモータの回転数を可変制御するポンプモータ回転数制御手段を備え、上記逸脱量が所定値より小さい領域の場合には、前記逸脱量に関わらず前記ポンプモータの目標回転数を所定の回転数に保つ、ブレーキ液圧を予圧する領域としたことを特徴としている。
本発明による車両の路外逸脱防止制御装置によれば、どのような車線逸脱量にも対応でき、ポンプモータの作動を必要最低限にして、作動音や振動の発生を抑制し、長寿命化を図ることが可能となる。
本発明の実施の一形態に係る車両に搭載した路外逸脱防止制御装置の概略構成図である。 本発明の実施の一形態に係る制御ユニットの機能ブロック図である。 本発明の実施の一形態に係る減速制御用制動力算出部の機能ブロック図である。 本発明の実施の一形態に係るポンプモータ制御部の機能ブロック図である。 本発明の実施の一形態に係る路外逸脱防止制御プログラムのフローチャートである。 本発明の実施の一形態に係る減速制御用制動力算出ルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の一形態に係るポンプモータ制御ルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の一形態に係る白線と路側障害物に対する自車両の位置関係とそれぞれに対する逸脱量の説明図である。 本発明の実施の一形態に係るヨーモーメントを発生させるための第1、第2の制動力制御量と減速度を発生させるための第3、第4の制動力制御量の説明図である。 本発明の実施の一形態に係る各輪に付加される制動力の説明図である。 本発明の実施の一形態に係る車速に応じた逸脱度の特性を示す説明図である。 本発明の実施の一形態に係るハンドル角に応じた逸脱度の特性を示す説明図である。 本発明の実施の一形態に係る白線からの逸脱量に応じた逸脱度の特性を示す説明図である。 本発明の実施の一形態に係るポンプモータ目標回転数設定用逸脱度により設定されるポンプモータ目標回転数の特性を示す説明図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1において、符号1は自動車等の車両(自車両)で、この車両1には、路外逸脱防止制御装置2が搭載されている。この路外逸脱防止制御装置2は、ステレオカメラ3、画像認識装置4、制御ユニット5等を有して主要に構成されている。
また、自車両1には、車速V0を検出して制御ユニット5に出力する車速センサ6、ハンドル角θHを検出して制御ユニット5に出力するハンドル角センサ7が設けられている。更に、複数のバルブ、ポンプモータからなるハイドロリックユニットを備え、通常のブレーキ制御、アンチロックブレーキ制御、横滑り防止制御等のブレーキ制御を行う制御部を備えた制動手段としてのブレーキ制御装置10が設けられている。このブレーキ制御装置10の制御部は、上述の各制御に加えて、制御ユニット5から制御信号(路外逸脱防止制御用各輪制動力Bfi、Bfo、Bri、Bro(尚、添え字「f」は前輪であることを示し、添え字「r」は後輪であることを示す。また、添え字「i」は道路中央側の車輪であることを示し、添え字「o」は路側側の車輪であることを示す。)、ポンプモータ目標回転数Rp)が入力される。そして、ポンプモータの回転数をポンプモータ目標回転数Rpに設定しつつ、路外逸脱防止制御用各輪制動力Bfi、Bfo、Bri、Broが得られるようにハイドロリックユニットの各バルブを制御して、ヨーモーメント制御及び減速制御を実行する。
ステレオカメラ3は、ステレオ光学系として例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた1組の(左右の)CCDカメラで構成される。これら左右のCCDカメラは、それぞれ車室内の天井前方に一定の間隔をもって取り付けられ、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像し、画像データを画像認識装置4に入力する。
画像認識装置4における、ステレオカメラ3からの画像の処理は、例えば以下のように行われる。まず、ステレオカメラ3のCCDカメラで撮像した自車両の進行方向の環境の1組のステレオ画像対に対し、対応する位置のずれ量から距離情報を求める処理を行なって、三次元の距離分布を表す距離画像を生成する。
このデータを基に、周知のグルーピング処理や、予め記憶しておいた3次元的な道路形状データ、側壁データ、立体物データ等と比較し、白線データ、路側障害物データ(道路に沿って存在するガードレール、縁石等の側壁、電柱等の固定障害物、4輪車、2輪車、歩行者等の立体物データ)を抽出する。こうして抽出された白線データ、路側障害物データは、それぞれのデータの種類毎に異なったナンバーが割り当てられる。
そして、画像認識装置4は、白線、及び、路側障害物について、予め定めた自車両1のカメラ位置を中心とする所定の2次元座標上に、それぞれが存在する位置をメモリし、制御ユニット5に出力する。
また、画像認識装置4は、図8に示すように、現在の自車両1の進行方向(カメラ位置を中心とする直進方向)と白線とのなす角を交差角αとして算出し、また、現在の、自車両の中心から白線までの距離(白線への垂線方向距離)yL0、及び、現在の自車両の中心から障害物までの距離(白線への垂線方向と平行な方向での距離)ys0を算出して制御ユニット5に出力する。このように、ステレオカメラ3、画像認識装置4は、道路情報検出手段として設けられている。
制御ユニット5は、上述の画像認識装置4から白線、及び、路側障害物の座標位置情報、交差角α、現在の自車両の中心から白線までの距離yL0、現在の自車両の中心から障害物までの距離ys0が入力される。また、車速センサ6から車速V0が入力され、ハンドル角センサ7からハンドル角θHが入力される。
そして、制御ユニット5は、後述の路外逸脱防止制御プログラムに従って、白線位置情報に基づいて所定時間後の自車両の白線からの逸脱量を第1の逸脱量yLとして算出し、障害物位置情報に基づいて所定時間後の自車両の障害物に対する逸脱量を第2の逸脱量ySとして算出し、車両1にヨーモーメントや減速度を発生させて障害物や白線に対する車両の逸脱を防止する制動力(路外逸脱防止制御用各輪制動力Bfi、Bfo、Bri、Bro)を障害物や白線に対する逸脱量yL、ySを基に算出してブレーキ制御装置10に出力する一方、車速V0と、交差角αからのハンドル角θHの差と、第1の逸脱量yLとに応じてポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kを設定し、該ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kに応じてブレーキ制御装置10のハイドロリックユニットのポンプモータの目標回転数Rpを設定し、ブレーキ制御装置10に出力してポンプモータの回転数を可変制御するようになっている。
すなわち、制御ユニット5は、図2に示すように、予見距離算出部51、白線からの逸脱量算出部52、障害物に対する逸脱量算出部53、減速制御用制動力算出部54、ポンプモータ制御部55から主要に構成されている。
予見距離算出部51は、車速センサ6から車速V0が入力され、例えば、以下の(1)式により、予見距離Lxを算出し、白線からの逸脱量算出部52、障害物に対する逸脱量算出部53に出力する。
Lx=V0・t …(1)
ここで、tは、予め設定しておいた予見時間である。すなわち、予見距離とは、予見時間t後に、自車両1が存在すると推定される位置までの距離である。尚、予見距離Lxは、上述の(1)式で算出する距離に限るものではない。
白線からの逸脱量算出部52は、画像認識装置4から交差角α、現在の自車両の中心から白線までの距離yL0が入力され、予見距離算出部51から予見距離Lxが入力される。そして、図8に示すように、以下の(2)式により、予見距離Lxにおける自車両1の白線からの逸脱量(第1の逸脱量)yLを算出して、減速制御用制動力算出部54、ポンプモータ制御部55に出力する。
yL=Lx・sin(α)−yL0 …(2)
このように、白線からの逸脱量算出部52は、逸脱量算出手段として設けられている。
障害物に対する逸脱量算出部53は、画像認識装置4から交差角α、現在の自車両の中心から障害物までの距離ys0が入力され、予見距離算出部51から予見距離Lxが入力される。そして、図8に示すように、以下の(3)式により、予見距離Lxにおける自車両1の障害物に対する逸脱量(第2の逸脱量)ySを算出して、減速制御用制動力算出部54に出力する。
yS=Lx・sin(α)−ys0 …(3)
このように、障害物に対する逸脱量算出部53は、逸脱量算出手段として設けられている。
減速制御用制動力算出部54は、制動制御手段として設けられており、画像認識装置4から交差角αが入力され、車速センサ6から車速V0が入力され、白線からの逸脱量算出部52から第1の逸脱量yLが入力され、障害物に対する逸脱量算出部53から第2の逸脱量ySが入力される。
そして、減速制御用制動力算出部54は、後述の減速制御用制動力算出ルーチンに従って、自車両1にヨーモーメントを発生させて自車両1の白線からの逸脱を防止するための第1の制動力制御量ByLを第1の逸脱量yLに応じて設定し、自車両1にヨーモーメントを発生させて自車両1の障害物に対する逸脱を防止するための第2の制動力制御量BySを第2の逸脱量ySに応じて設定する。また、自車両1に減速度を発生させて自車両1の白線からの逸脱を防止するための第3の制動力制御量BDLを第1の逸脱量yLに応じて設定し、自車両1に減速度を発生させて自車両1の障害物に対する逸脱を防止するための第4の制動力制御量BDSを第2の逸脱量ySに応じて設定する。そして、第1、第2の制動力制御量ByL、BySにより自車両1にヨーモーメントを発生させるための制動力制御を実行する際に、フロントサスペンションのキングピン配置に起因する路外逸脱方向へのステアリングトルクの発生が予め設定した閾値(前軸左右輪の制動力差最大値ΔBf_max)を超えないようにヨーモーメントを発生させるための制動力制御量の前軸側の分担率を制限すると共に、左輪側と右輪側のどちらかの制動力が高くなる方の前後の制動力配分が予め設定する制動力配分(例えば、接地荷重配分)となるように制動力配分を補正して、各輪の制動力Bfi、Bfo、Bri、Broを算出し、ブレーキ制御装置10に出力して路外逸脱防止制御を実行するようになっている。
すなわち、減速制御用制動力算出部54は、図3に示すように、第1の制動力制御量設定部54a、第2の制動力制御量設定部54b、第3の制動力制御量設定部54c、第4の制動力制御量設定部54d、前軸左右輪の制動力差算出部54e、後軸左右輪の制動力差算出部54f、減速制御用制動力の前軸負担率算出部54g、前輪の減速制御用制動力算出部54h、後輪の減速制御用制動力算出部54i、路外逸脱防止制御用各輪制動力算出部54jから主要に構成されている。
第1の制動力制御量設定部54aは、画像認識装置4から交差角αが入力され、白線からの逸脱量算出部52から白線からの逸脱量yLが入力される。そして、実験・計算等に基づいて予め設定しておいた、図9(a)に示すような、白線からの逸脱量yLと交差角αと第1の制動力制御量ByLのマップを参照して、第1の制動力制御量ByLを設定して前軸左右輪の制動力差算出部54e、後軸左右輪の制動力差算出部54f、減速制御用制動力の前軸負担率算出部54g、前輪の減速制御用制動力算出部54hに出力する。尚、図9(a)中の、基準位置は、予め設定した位置であり、例えば、白線から道路中央側に一定距離離れた位置、或いは、白線の内側(道路中央側)端部である。また、第1の制動力制御量ByLは、図9(a)に示したマップから設定するものに限るものではなく、予め設定しておいた算出式等から算出するようにしても良い。
第1の制動力制御量ByLは、図9(a)からも解るように、交差角αが大きいほど、すなわち、白線に対して直交していき、緊急度が高いと判断される場合ほど、大きな値に設定される。また、第1の制動力制御量ByLは、白線からの逸脱量yLが大きい場合ほど、大きな値に設定される。
また、図9(a)中の破線は、第3の制動力制御量BDL(後述する)であり、第1の制動力制御量ByLは、白線からの逸脱量yLが第3の制動力制御量BDLが設定される逸脱量の領域よりも小さい逸脱量の領域から設定される特性となっている。
このため、自車両1の白線からの逸脱量yLが小→大→小と変化していくと、まず、白線からの逸脱量yLが小さいときには、第1の制動力制御量ByLによる自車両1にヨーモーメントを発生させて自車両1の白線からの逸脱を防止するための制動力制御が行われる。
次に、白線からの逸脱量yLが大きくなると、第1の制動力制御量ByLによるヨーモーメント発生による逸脱防止制御に加え、第3の制動力制御量BDLによる減速度を発生させて白線からの逸脱を防止するための制動力制御が行われる。
そして、再び、白線からの逸脱量yLが小さくなると、第1の制動力制御量ByLによるヨーモーメント発生による逸脱防止制御のみが行われるようになっている。
第2の制動力制御量設定部54bは、障害物に対する逸脱量算出部53から障害物に対する逸脱量ySが入力される。そして、実験・計算等に基づいて予め設定しておいた、図9(b)に示すような、障害物に対する逸脱量ySと第2の制動力制御量BySのマップを参照して、第2の制動力制御量BySを設定して前軸左右輪の制動力差算出部54e、後軸左右輪の制動力差算出部54f、減速制御用制動力の前軸負担率算出部54g、前輪の減速制御用制動力算出部54hに出力する。尚、図9(b)中の、基準位置は、予め設定した位置であり、例えば、障害物端部から道路中央側に一定距離離れた位置である。また、第2の制動力制御量BySは、図9(b)に示したマップから設定するものに限るものではなく、予め設定しておいた算出式等から算出するようにしても良い。
第2の制動力制御量BySは、図9(b)からも解るように、障害物に対する逸脱量ySが大きい場合ほど、大きな値に設定される。
また、図9(b)中の破線は、第4の制動力制御量BDS(後述する)であり、第2の制動力制御量BySは、障害物に対する逸脱量ySが第4の制動力制御量BDSが設定される逸脱量の領域よりも小さい逸脱量の領域から設定される特性となっている。
このため、自車両1の障害物に対する逸脱量ySが小→大→小と変化していくと、まず、障害物に対する逸脱量ySが小さいときには、第2の制動力制御量BySによる自車両1にヨーモーメントを発生させて自車両1の白線からの逸脱を防止するための制動力制御が行われる。
次に、障害物に対する逸脱量ySが大きくなると、第2の制動力制御量BySによるヨーモーメント発生による逸脱防止制御に加え、第4の制動力制御量BDSによる減速度を発生させて白線からの逸脱を防止するための制動力制御が行われる。
そして、再び、障害物に対する逸脱量ySが小さくなると、第2の制動力制御量BySによるヨーモーメント発生による逸脱防止制御のみが行われるようになっている。
第3の制動力制御量設定部54cは、白線からの逸脱量算出部52から白線からの逸脱量yLが入力される。そして、実験・計算等に基づいて予め設定しておいた、図9(a)に示すような、白線からの逸脱量yLと第3の制動力制御量BDLのマップを参照して、第3の制動力制御量BDLを設定して減速制御用制動力の前軸負担率算出部54g、前輪の減速制御用制動力算出部54h、後輪の減速制御用制動力算出部54iに出力する。尚、第3の制動力制御量BDLは、図9(a)に示したマップから設定するものに限るものではなく、予め設定しておいた算出式等から算出するようにしても良い。
第3の制動力制御量BDLは、図9(a)からも解るように、白線からの逸脱量yLが大きい場合ほど、大きな値に設定される。また、上述したように、第1の制動力制御量ByLが、第3の制動力制御量BDLが設定される逸脱量の領域よりも小さい逸脱量の領域から設定される特性となっている。
第4の制動力制御量設定部54dは、障害物に対する逸脱量算出部53から障害物に対する逸脱量ySが入力される。そして、実験・計算等に基づいて予め設定しておいた、図9(b)に示すような、障害物に対する逸脱量ySと第4の制動力制御量BDSのマップを参照して、第4の制動力制御量BDSを設定して減速制御用制動力の前軸負担率算出部54g、前輪の減速制御用制動力算出部54h、後輪の減速制御用制動力算出部54iに出力する。尚、第4の制動力制御量BDSは、図5(b)に示したマップから設定するものに限るものではなく、予め設定しておいた算出式等から算出するようにしても良い。
第4の制動力制御量BDSは、図9(b)からも解るように、障害物に対する逸脱量ySが大きい場合ほど、大きな値に設定される。また、上述したように、第2の制動力制御量BySが、第4の制動力制御量BDSが設定される逸脱量の領域よりも小さい逸脱量の領域から設定される特性となっている。
以上のように、本実施の形態では、自車両の白線・障害物に対する逸脱を防止すべくヨーモーメントを発生させるための制動力制御量は、(第1の制動力制御量ByL+第2の制動力制御量ByS)となっており、図10に示すように、道路中央側(i側)の車輪(前後輪)に付加される。また、自車両の白線・障害物に対する逸脱を防止すべく減速度を発生させるための制動力制御量は、(第3の制動力制御量BDL+第4の制動力制御量BDS)となっており、図10に示すように、全輪に付加される。
前軸左右輪の制動力差算出部54eは、第1の制動力制御量設定部54aから第1の制動力制御量ByLが入力され、第2の制動力制御量設定部54bから第2の制動力制御量BySが入力される。そして、以下の(4)式により、自車両にヨーモーメントを発生させるための制動力制御を実行する際に前軸側で分担させる制動力制御量、すなわち、前軸左右輪の制動力差ΔBfを算出し、後軸左右輪の制動力差算出部54f、前輪の減速制御用制動力算出部54h、路外逸脱防止制御用各輪制動力算出部54jに出力する。
ΔBf=min((ByL+ByS)・Cy,ΔBf_max) …(4)
ここで、(4)式における、minは、(ByL+ByS)・CyとΔBf_maxの小さい方を選択する関数である。
Cyは、予め実験、計算等により設定しておいたヨーモーメントの前軸負担率である。また、ΔBf_maxは、前軸左右輪の制動力差最大値であり、以下の(5)式で算出される。
ΔBf_max=−(Tf_str・Gstr)/Lscr …(5)
ここで、Tf_strはステアリング系のフリクショントルクであり、Gstrはステアリングギヤ比であり、Lscrはスクラブ半径(但し、ポジティブスクラブは+、ネガティブスクラブは−の符号)である。すなわち、前軸左右輪の制動力差最大値ΔBf_maxは、ステアリングのフリクション、スクラブ半径等を左右輪の制動力差に換算した値となっており、上述の(4)式により、前軸左右輪の制動力差ΔBfは、常に、前軸左右輪の制動力差最大値ΔBf_max以下に制限される。すなわち、第1、第2の制動力制御量ByL、BySにより自車両1にヨーモーメントを発生させるための制動力制御を実行する際に、フロントサスペンションのキングピン配置に起因する路外逸脱方向へのステアリングトルクの発生が予め設定した閾値(前軸左右輪の制動力差最大値ΔBf_max)を超えないようにヨーモーメントを発生させるための制動力制御量の前軸側の分担率が制限されることとなる。
後軸左右輪の制動力差算出部54fは、第1の制動力制御量設定部54aから第1の制動力制御量ByLが入力され、第2の制動力制御量設定部54bから第2の制動力制御量BySが入力され、前軸左右輪の制動力差算出部54eから前軸左右輪の制動力差ΔBfが入力される。そして、以下の(6)式により、自車両にヨーモーメントを発生させるための制動力制御を実行する際に後軸側で分担させる制動力制御量、すなわち、後軸左右輪の制動力差ΔBrを算出し、路外逸脱防止制御用各輪制動力算出部54jに出力する。
ΔBr=(ByL+ByS)−ΔBf …(6)
減速制御用制動力の前軸負担率算出部54gは、第1の制動力制御量設定部54aから第1の制動力制御量ByLが入力され、第2の制動力制御量設定部54bから第2の制動力制御量BySが入力され、第3の制動力制御量設定部54cから第3の制動力制御量BDLが入力され、第4の制動力制御量設定部54dから第4の制動力制御量BDSが入力される。そして、以下の(7)式により、減速制御用制動力の前軸負担率CDを算出し、前輪の減速制御用制動力算出部54hに出力する。
CD=(Wf−((BDL+BDS)+(ByL+ByS))・(Hg/Lwb))
/(m・g) …(7)
ここで、Wfは加減速していないときの前軸荷重、mは車両質量、Hgは重心高さ、Lwbはホイールベース、gは重力加速度である。すなわち、減速制御用制動力の前軸負担率CDは、動的な荷重移動を考慮した前軸側の接地荷重配分となっている。
前輪の減速制御用制動力算出部54hは、第1の制動力制御量設定部54aから第1の制動力制御量ByLが入力され、第2の制動力制御量設定部54bから第2の制動力制御量BySが入力され、第3の制動力制御量設定部54cから第3の制動力制御量BDLが入力され、第4の制動力制御量設定部54dから第4の制動力制御量BDSが入力され、前軸左右輪の制動力差算出部54eから前軸左右輪の制動力差ΔBfが入力され、減速制御用制動力の前軸負担率算出部54gから減速制御用制動力の前軸負担率CDが入力される。そして、以下の(8)式により、前輪の減速制御用制動力Bfを算出し、後輪の減速制御用制動力算出部54i、路外逸脱防止制御用各輪制動力算出部54jに出力する。
Bf=((BDL+BDS)/2+(ByL+ByS))・CD−ΔBf …(8)
すなわち、この(8)式は、前輪の減速制御用の制動力Bfを、減速制御用制動力の前軸負担率CDを用いて、動的な荷重移動を考慮した理想的な制動力配分となるように補正して求める算出式となっている。
後輪の減速制御用制動力算出部54iは、第3の制動力制御量設定部54cから第3の制動力制御量BDLが入力され、第4の制動力制御量設定部54dから第4の制動力制御量BDSが入力され、前輪の減速制御用制動力算出部54hから前輪の減速制御用制動力Bfが入力される。そして、以下の(9)式により、後輪の減速制御用制動力Brを算出し、路外逸脱防止制御用各輪制動力算出部54jに出力する。
Br=(BDL+BDS)/2−Bf …(9)
路外逸脱防止制御用各輪制動力算出部54jは、前軸左右輪の制動力差算出部54eから前軸左右輪の制動力差ΔBfが入力され、後軸左右輪の制動力差算出部54fから後軸左右輪の制動力差ΔBrが入力され、前輪の減速制御用制動力算出部54hから前輪の減速制御用制動力Bfが入力され、後輪の減速制御用制動力算出部54iから後輪の減速制御用制動力Brが入力される。そして、以下の(10)〜(13)式により、道路中央側前輪の減速用制動力Bfi、路側側前輪の減速用制動力Bfo、道路中央側後輪の減速用制動力Bri、路側側後輪の減速用制動力Broを算出し、ブレーキ制御装置10に出力して、それぞれの路外逸脱防止制御用制動力Bfi、Bfo、Bri、Broに相当する制動力をそれぞれの車輪に発生させる。
Bfi=ΔBf+Bf …(10)
Bfo=Bf …(11)
Bri=ΔBr+Br …(12)
Bro=Br …(13)
このように、本実施の形態では、自車両1の道路中央側の前後輪に、路外逸脱を防止するヨーモーメントを発生させるための制動力制御量が付加されるので、確実に路外逸脱を防止することができる。そして、このヨーモーメントを発生させるための制動力制御量は、フロントサスペンションのキングピン配置に起因する路外逸脱方向へのステアリングトルクの発生が防止されるように、ステアリングのフリクション、スクラブ半径等を考慮して前後軸間で補完しつつ前軸の分担率が制限されるので、たとえ、ドライバがステアリングホイールから手を放すような状況が生じても、路外逸脱方向へのステアリングの回転を確実に防止することができる。また、どのような形式のフロントサスペンションにおいても容易に精度良く実現することができる。更に、前輪の路外逸脱防止制御用制動力Bf、後輪の路外逸脱防止制御用制動力Brは、動的な荷重移動を考慮して補正されるので、常に、理想的な制動力配分となる。
また、図2に戻り、ポンプモータ制御部55は、ポンプモータ回転数制御手段として設けられており、画像認識装置4から交差角αが入力され、車速センサ6から車速V0が入力され、ハンドル角センサ7からハンドル角θHが入力され、白線からの逸脱量算出部52から第1の逸脱量yLが入力される。
そして、ポンプモータ制御部55は、後述のポンプモータ制御ルーチンに従って、車速V0と、交差角αからのハンドル角θHの差と、第1の逸脱量yLとに応じてポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kを設定し、該ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kに応じてブレーキ制御装置10のハイドロリックユニットのポンプモータの目標回転数Rpを設定し、ブレーキ制御装置10に出力してポンプモータの回転数を可変制御するようになっている。
すなわち、ポンプモータ制御部55は、図4に示すように、車速に応じた逸脱度設定部55a、ハンドル角に応じた逸脱度設定部55b、白線からの逸脱量に応じた逸脱度設定部55c、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度算出部55d、ポンプモータ目標回転数設定部55eから主要に構成されている。
車速に応じた逸脱度設定部55aは、車速センサ6から車速V0が入力される。そして、例えば、予め設定しておいた、図11に示すようなマップを参照して、車速に応じた逸脱度Kvを設定し、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度算出部55dに出力する。車速に応じた逸脱度Kvは、図11からも解るように、車速V0が高いほど、路外逸脱の可能性が高いと判断されて大きな値に設定される。
ハンドル角に応じた逸脱度設定部55bは、画像認識装置4から交差角αが入力され、ハンドル角センサ7からハンドル角θHが入力される。そして、例えば、予め設定しておいた、図12に示すようなマップを参照して、ハンドル角に応じた逸脱度Khを設定し、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度算出部55dに出力する。ハンドル角に応じた逸脱度Khは、図12からも解るように、交差角αからのハンドル角θHの差が大きいほど、路外逸脱の可能性が高いと判断されて大きな値に設定される。
白線からの逸脱量に応じた逸脱度設定部55cは、白線からの逸脱量算出部52から第1の逸脱量yLが入力される。そして、例えば、予め設定しておいた、図13に示すようなマップを参照して、白線からの逸脱量に応じた逸脱度Kiを設定し、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度算出部55dに出力する。白線からの逸脱量に応じた逸脱度Kiは、図13からも解るように、第1の逸脱量yLが大きいほど、路外逸脱の可能性が高いと判断されて大きな値に設定される。尚、図13中の、基準位置は、予め設定した位置であり、例えば、白線から道路中央側に一定距離離れた位置、或いは、白線の内側(道路中央側)端部である。
ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度算出部55dは、車速に応じた逸脱度設定部55aから車速に応じた逸脱度Kvが入力され、ハンドル角に応じた逸脱度設定部55bからハンドル角に応じた逸脱度Khが入力され、白線からの逸脱量に応じた逸脱度設定部55cから白線からの逸脱量に応じた逸脱度Kiが入力される。そして、例えば、以下の(14)式により、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kを算出し、ポンプモータ目標回転数設定部55eに出力する。
K=α・Kv+β・Kh+γ・Ki …(14)
ここで、α、β、γは、予め実験、演算等により設定しておいた定数である。尚、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kは、上述の(14)式以外の数式、或いは、マップ等を用いて設定するようにしても良い。
ポンプモータ目標回転数設定部55eは、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度算出部55dからポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kが入力される。そして、例えば、予め設定しておいた、図14に示すようなマップを参照して、ポンプモータ目標回転数Rpを設定し、ブレーキ制御装置10に出力してポンプモータの回転数を可変制御する。ポンプモータ目標回転数Rpは、図14からも解るように、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kが高く、逸脱の可能性が高い場合には、十分な制動力が発揮できるように高い回転数に設定される。また、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kが低くなる、図14中のKpの領域は、たとえポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kが低くても、路外逸脱の可能性が予測されるため、ポンプモータを低回転数に保ちながら、レスポンス良く制動力が発生できるようにブレーキ液圧を予圧する領域となっている。
次に、上述の路外逸脱防止制御装置2で実行される路外逸脱防止制御プログラムを図5のフローチャートで説明する。
まず、ステップ(以下、「S」と略称)101で、必要なパラメータ、すなわち、白線、及び、路側障害物の座標位置情報、交差角α、現在の自車両の中心から白線までの距離yL0、現在の自車両の中心から障害物までの距離ys0、車速V0、ハンドル角θHを読み込む。
次いで、S102に進み、予見距離算出部51で、前述の(1)式により、予見距離Lxを算出する。
次に、S103に進み、白線からの逸脱量算出部52で、前述の(2)式により、白線からの逸脱量yLを算出する。
次いで、S104に進み、障害物に対する逸脱量算出部53で、前述の(3)式により、障害物に対する逸脱量ySを算出する。
次に、S105に進み、減速制御用制動力算出部54で、後述の図6に示す減速制御用制動力算出ルーチンに従って、減速制御用の各輪の制動力Bfi、Bfo、Bri、Broを算出し、ブレーキ制御装置10に出力する。
次いで、S106に進んで、ポンプモータ制御部55で、後述の図7に示すポンプモータ制御ルーチンに従って、ブレーキ制御装置10のハイドロリックユニットのポンプモータの目標回転数Rpを設定し、ブレーキ制御装置10に出力してポンプモータの回転数を可変制御し、プログラムを抜ける。
図6は、上述の路外逸脱防止制御プログラムのS105で実行される減速制御用制動力算出ルーチンのフローチャートを示す。
まず、S201では、第1の制動力制御量設定部54aで、図9(a)に示すような、白線からの逸脱量yLと交差角αと第1の制動力制御量ByLのマップを参照して、ヨーモーメントを発生させるための第1の制動力制御量ByLを設定する。また、第2の制動力制御量設定部54bで、図9(b)に示すような、障害物に対する逸脱量ySと第2の制動力制御量BySのマップを参照して、ヨーモーメントを発生させるための第2の制動力制御量BySを設定する。
次いで、S202に進み、第3の制動力制御量設定部54cで、図9(a)に示すような、白線からの逸脱量yLと第3の制動力制御量BDLのマップを参照して、減速度を発生させるための第3の制動力制御量BDLを設定する。また、第4の制動力制御量設定部54dで、図9(b)に示すような、障害物に対する逸脱量ySと第4の制動力制御量BDSのマップを参照して、減速度を発生させるための第4の制動力制御量BDSを設定する。
次に、S203に進み、前軸左右輪の制動力差算出部54eで、前述の(4)式により、前軸左右輪の制動力差ΔBfを算出する。
次いで、S204に進んで、後軸左右輪の制動力差算出部54fで、前述の(6)式により、後軸左右輪の制動力差ΔBrを算出する。
次に、S205に進み、減速制御用制動力の前軸負担率算出部54gで、前述の(7)式により、減速制御用制動力の前軸負担率CDを算出する。
次いで、S206に進んで、前輪の減速制御用制動力算出部54hで、前述の(8)式により、前輪の減速制御用制動力Bfを算出する。
次に、S207に進み、後輪の減速制御用制動力算出部54iで、前述の(9)式により、後輪の減速制御用制動力Brを算出する。
そして、S208に進んで、路外逸脱防止制御用各輪制動力算出部54jで、前述の(10)〜(13)式により、道路中央側前輪の路外逸脱防止用制動力Bfi、路側側前輪の路外逸脱防止用制動力Bfo、道路中央側後輪の路外逸脱防止用制動力Bri、路側側後輪の路外逸脱防止用制動力Broを算出し、ブレーキ制御装置10に出力して、ルーチンを抜ける。
このように、本発明の実施の形態の減速制御用制動力算出部54によれば、白線からの逸脱量を第1の逸脱量yLとして算出し、障害物に対する逸脱量を第2の逸脱量ySとして算出し、自車両1にヨーモーメントを発生させて自車両1の白線からの逸脱を防止するための第1の制動力制御量ByLを第1の逸脱量yLに応じて設定し、自車両1にヨーモーメントを発生させて自車両1の障害物に対する逸脱を防止するための第2の制動力制御量BySを第2の逸脱量ySに応じて設定する。また、自車両1に減速度を発生させて自車両1の白線からの逸脱を防止するための第3の制動力制御量BDLを第1の逸脱量yLに応じて設定し、自車両1に減速度を発生させて自車両1の障害物に対する逸脱を防止するための第4の制動力制御量BDSを第2の逸脱量ySに応じて設定する。そして、第1、第2の制動力制御量ByL、BySにより自車両1にヨーモーメントを発生させるための制動力制御を実行する際に、フロントサスペンションのキングピン配置に起因する路外逸脱方向へのステアリングトルクの発生が予め設定した閾値(前軸左右輪の制動力差最大値ΔBf_max)を超えないようにヨーモーメントを発生させるための制動力制御量の前軸側の分担率を制限すると共に、左輪側と右輪側のどちらかの制動力が高くなる方の前後の制動力配分が予め設定する制動力配分(例えば、接地荷重配分)となるように制動力配分を補正して、各輪の路外逸脱防止制御用制動力Bfi、Bfo、Bri、Broを算出し、ブレーキ制御装置10に出力して路外逸脱防止制御を実行する。
このため、自車両1の道路中央側の前後輪に、路外逸脱を防止するヨーモーメントを発生させるための制動力制御量が付加されるので、確実に路外逸脱を防止することができる。そして、このヨーモーメントを発生させるための制動力制御量は、フロントサスペンションのキングピン配置に起因する路外逸脱方向へのステアリングトルクの発生が防止されるように、ステアリングのフリクション、スクラブ半径等を考慮して前後軸間で補完しつつ前軸の分担率が制限されるので、たとえ、ドライバがステアリングホイールから手を放すような状況が生じても、路外逸脱方向へのステアリングの回転を確実に防止することができる。また、どのような形式のフロントサスペンションにおいても容易に精度良く実現することができる。更に、前輪の減速制御用制動力Bf、後輪の減速制御用制動力Brは、動的な荷重移動を考慮して補正されるので、常に、理想的な制動力配分となる。
次に、図7は、上述の路外逸脱防止制御プログラムのS106で実行されるポンプモータ制御ルーチンのフローチャートを示す。
まず、S301で、車速に応じた逸脱度設定部55aで、例えば、予め設定しておいた、図11に示すようなマップを参照して、車速に応じた逸脱度Kvを設定する。
次いで、S302に進み、ハンドル角に応じた逸脱度設定部55bで、例えば、予め設定しておいた、図12に示すようなマップを参照して、ハンドル角に応じた逸脱度Khを設定する。
次に、S303に進み、白線からの逸脱量に応じた逸脱度設定部55cで、例えば、予め設定しておいた、図13に示すようなマップを参照して、白線からの逸脱量に応じた逸脱度Kiを設定する。
次いで、S304に進み、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度算出部55dで、例えば、前述の(14)式により、ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kを算出する。
そして、S305に進んで、ポンプモータ目標回転数設定部55eで、例えば、予め設定しておいた、図14に示すようなマップを参照して、ポンプモータ目標回転数Rpを設定し、ブレーキ制御装置10に出力してポンプモータの回転数を可変制御してルーチンを抜ける。
このように本実施の形態のポンプモータ制御部55によれば、車速V0と、交差角αからのハンドル角θHの差と、第1の逸脱量yLとに応じてポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kを設定し、該ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kに応じてブレーキ制御装置10のハイドロリックユニットのポンプモータの目標回転数Rpを設定し、ブレーキ制御装置10に出力してポンプモータの回転数を可変制御する。このため、どのような車線逸脱量にも対応でき、ポンプモータの作動を必要最低限にして、作動音や振動の発生を抑制し、長寿命化を図ることが可能となる。特に、ポンプモータの目標回転数Rpは、第1の逸脱量yLのみで設定されずに、他の車速V0と、交差角αからのハンドル角θHの差を考慮したポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kに応じて設定されるので、たとえ第1の逸脱量yLが低くても、総合的にポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kが高くなって、路外逸脱の可能性が予測される場合には、ポンプモータは予圧も含めて作動されるので、レスポンス良くどのような車線逸脱量にも対応することが可能となっている。
尚、白線が検出されないような走行路では、ナビゲーション装置等の地図情報を基に、或いは、検出された路側障害物の位置情報を基に、仮想的な白線を設定し、該仮想的な白線を基に制御するようにしても良い。また、路側障害物が検出されない場合は、予め設定しておいた値(例えば、大きな値)を基に制御するようにしても良い。
また、ブレーキ制御装置10のハイドロリックユニットのポンプモータの目標回転数Rpの設定は、障害物に対する逸脱量である第2の逸脱量ySを考慮して設定するようにしても良い。例えば、障害物に対する逸脱量に応じた逸脱度をマップ等で設定し、この逸脱度を含むように(更に加算して)ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kを算出し、このポンプモータ目標回転数設定用逸脱度Kによりポンプモータの目標回転数Rpの設定を行うようにする。
1 自車両
2 路外逸脱防止制御装置
3 ステレオカメラ(道路情報検出手段)
4 画像認識装置(道路情報検出手段)
5 制御ユニット
51 予見距離算出部
52 白線からの逸脱量算出部(逸脱量算出手段)
53 障害物に対する逸脱量算出部(逸脱量算出手段)
54 減速制御用制動力算出部(制動制御手段)
55 ポンプモータ制御部(ポンプモータ回転数制御手段)
6 車速センサ
7 ハンドル角センサ
10 ブレーキ制御装置(制動手段)

Claims (1)

  1. 少なくとも路側の障害物情報や白線情報を検出する道路情報検出手段と、
    上記路側の障害物情報や白線情報に基づいて障害物や白線に対する逸脱量を算出する逸脱量算出手段と、
    車両にヨーモーメントや減速度を発生させて上記障害物や白線に対する車両の逸脱を防止する制動力を上記障害物や白線に対する逸脱量を基に算出して制動手段を制動制御する制動制御手段と、
    車速と、現在の自車両の進行方向と白線とのなす角からのハンドル角の差と、上記逸脱量に応じてポンプモータ目標回転数設定用逸脱度を設定し、該ポンプモータ目標回転数設定用逸脱度に応じて上記制動手段のポンプモータの目標回転数を設定し、該ポンプモータの回転数を可変制御するポンプモータ回転数制御手段を備え、
    上記逸脱量が所定値より小さい領域の場合には、前記逸脱量に関わらず前記ポンプモータの目標回転数を所定の回転数に保つ、ブレーキ液圧を予圧する領域としたことを特徴とする車両の路外逸脱防止制御装置。
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