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JP5669528B2 - 自動分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、血液、尿等の生体サンプルの定性・定量分析を行なう自動分析装置に関する。
臨床検査用の自動分析装置で使用される試薬は、試薬開発時に測定波長、試薬量、検体量、分析方法などを試験により最適な条件を決定する。決定された分析パラメータは、薬事法の元で申請され、登録される。これら試薬の分析パラメータや処方は、申請後は薬事法のもとで容易に変更することはできない。
ところで、試薬の製造では、反応釜を用いており、一回に製造できる量は決定されている。この製造量が1ロットとして管理され、一定量が試薬ボトルに充填されて販売される。このとき、試薬ボトルにはロットの情報が刻印され、管理される。
酵素反応や抗原抗体反応といった化学反応を利用して、検体中の測定対象物質の濃度を測定するための測定試薬の反応特性は、試薬の材料の差や調製時期などによって僅かに異なる。従って、試薬のロットにより、感度やブランクの吸光度などといった値が異なる。
従来の自動分析装置では、各測定項目の分析パラメータに、試薬量、測定波長などの薬事申請登録パラメータと、キャリブレーション結果の許容範囲とをまとめて分析パラメータとして記憶部に格納していた。この場合、試薬ロットごとに許容値を変えることはなく、分析パラメータが設定されていた。
自動分析装置に試薬をセットして患者検体を測定する場合、その試薬と自動分析装置との校正を行なうため、患者検体を測定する前にキャリブレーションを実施する。現在では試薬のロットごとにキャリブレーションにより補正を行なうことで、試薬ロット単位の反応特性の差異を最小にするという方法がとられている。
試薬製造ロット単位により反応特性の差異に関して、特許文献1には、試薬バーコードに試薬ロットごとに固有の分析条件を保持することで、試薬ロット間の反応特性の差異をなくし、キー入力なしに正確な測定を行なう自動分析装置が開示されている。
最近になり、臨床検査では従来以上の詳細なデータチェックが求められるようになってきた。データのチェック方法は、装置のパラメータ設定時に許容範囲を設定できるようになっており、許容範囲を超えたデータをアラームして検出できるようになっている。
試薬の反応特性によって異なるデータチェック方法は、リニアリティチェック値、プロゾーンチェック値、反応限界吸光度、テクニカルリミットと、キャリブレーションの測定結果のチェックに関わる第一標準液吸光度、ばらつき許容吸光度、感度許容吸光度、収束許容吸光度などがある。
これらのチェック方法では、化学反応の僅かな違いを検出するのは困難であったが、特許文献2に示された反応過程近似法では、試薬のロット差と化学反応の差とを定量的に捉えて判断することができる。このチェック方法を試薬の品質評価に用いることで、試薬ロットごとの反応特性の違いを検出することができる。
特開平08−262029号公報 特開2009−204448号公報
自動分析装置の測定結果に対する信頼性を向上するためには、測定結果を医師に報告する前に、異常な測定結果を検出する必要がある。そのためには、例えば使用する試薬の測定可能範囲や、ばらつき、あるいは試薬の経時変化とともに変化するブランク値などといった試薬由来の変動が一定の管理値を超えた場合のデータを検知することで対応できる。
これら管理値は、試薬のロットによって変化する。このため、分析パラメータとして登録し、ロットの変更に関係なく固定値を設定した場合には、ある試薬ロットでは適切な設定値であったとしても、他のロットに変わった場合には全てデータアラームが検出されてしまう場合がある。
しかしながら、これらデータアラームが検出されたデータが全て異常かといえば必ずしもそうとは限らない。また、使用したロットの試薬が使用不可の劣化したものであるかといえばそうともいえない。測定に関してはキャリブレーションを行なうことで、補正したり、設定値を試薬ロットごとに正しい設定値に変更すれば測定は続行可能となる可能性が高い。
ところが、従来の自動分析装置では、試薬の分析パラメータは、その試薬を自動分析装置で使用する際に、装置にパラメータを入力設定する時点で試薬メーカーから指定された設定値を使用することがある。また、分析パラメータをユーザ自身が入力設定する汎用試薬などを用いる場合においては、ユーザがその試薬を用いてコントロール検体や標準物質等を測定した結果や実作業を行なった経験値などから適切な設定値を入力しなければならなかった。
しかも、試薬メーカからの指定値による設定値はロットごとに指定されたものではないために、必ずしも適切な設定値ではない。また、ユーザが適切な設定値を入力する場合は、試薬のロットが変わる度に、ユーザが設定値を変更しなければならないため、業務上で多大な負担をかけるものであり、これらの設定機能は利用されていない状況が現状である。
また、1台の自動分析装置に架設された試薬のロットは、分析項目あたり1つとは限らず、何百検体もの測定依頼をして、検体測定の途中に試薬のロットが切り替わる場合もある。そのような場合、従来の装置では、試薬のロットが変わった場合にキャリブレーションを実行するという機能により、ロットによるキャリブレーションの補正ができる。
しかしながら、分析パラメータに関しては1つの分析項目に対して1つのパラメータが対応しており、2つ以上のロットの試薬が同時に存在した場合に、装置が動いている測定途中に分析パラメータの設定値を変更することはできない。
このため、従来技術においては、試薬のロットの変更に伴い変更すべきパラメータの値を、適切に設定することができないという問題があった。
本発明の目的は、試薬ロットごとに異なる試薬の特性を反映した分析パラメータを適切に設定可能な自動分析装置を実現することである。
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成される。
本発明の自動分析装置は、試料に試薬とを混合し、試料を分析する自動分析装置であって、使用する試薬の試薬情報について、分析項目によって決定される固定パラメータ情報と、試薬の製造ロットによって異なり、試料の測定結果の評価に必要な変動パラメータを記憶する記憶手段と、上記記憶手段に記憶された固定パラメータ情報及び変動パラメータ情報を用いて、試料と試薬との混合及び試料の分析動作を制御する制御部とを備える。
本発明によれば、試薬ロットごとに異なる試薬の特性を反映した分析パラメータを適切に設定可能な自動分析装置を実現することができる。
本発明が適用される自動分析装置の概略構成図である。 本発明の実施例1における記憶部に記憶される分析パラメータの構成図である。 本発明の実施例1における試薬のセットから測定結果出力までの動作フローチャートである。 本発明の実施例1における分析パラメータの表示画面例を示す図である。 本発明の実施例1における試薬ロットごとに実施するキャリブレーション時に得られるデータを示す図である。 本発明の実施例2におけるキャリブレーションチェック値の経時管理画面表示例を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施例について、1組の試薬ボトルを1カセットで運用する方式の自動分析装置を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例1が適用される自動分析装置の概略構成図である。図1において、筐体21上の反応ディスク9には複数の反応容器5が円周上に並んでいる。
試薬ディスク15にはそれぞれ複数の試薬カセット16が円周上に配置可能である。1つの試薬カセット16には最大3種類(第1試薬〜第3試薬)の試薬が収容可能となっている。
反応ディスク9の近くにサンプル容器2を載せたラック1を移動する搬送機構3が設置されている。試薬ディスク15上には、レール25、26が配置され、レール25には、3軸方向に移動可能な試薬プローブ11と、試薬開封機構12と、試薬カセット搬送機構14とが設置されている。
また、レール26には3軸方向に移動可能な試薬プローブ13が設置されている。試薬プローブ11、13は、図示されていない試薬用ポンプと接続している。
新たな試薬カセットは、試薬カセット投入口18から投入される。この新たな試薬カセットに表示されているバーコードは、試薬バーコード読み取り装置17により読み取られる。
反応容器5と搬送機構3との間には、回転及び上下動可能なサンプルプローブ4が設置されている。サンプルプローブ4は、図示されていないサンプル用ポンプに接続している。反応ディスク9の周囲には、攪拌装置6、7、光源および検出光学装置10、容器洗浄機構8が配置されている。容器洗浄機構8は、図示されていない洗浄用ポンプに接続している。
そして、サンプル用ポンプ(図示せず)、試薬用ポンプ(図示せず)、洗浄用ポンプ(図示せず)、光源および検出光学装置10、反応ディスク9、試薬ディスク15、試薬プローブ11、13、サンプルプローブ4は、それぞれコントローラ20に接続されている。
ラック1が搬送機構3により搬送され、そのラック1のサンプル容器2に保持され、試料吸引位置に位置付けられた検体(試料)は、サンプルプローブ4にて吸引され、反応ディスク9の反応容器5に検体(試料)分注位置において放出される。
検体が放出された反応容器5は、反応ディスク9の回転により、第1の試薬分注位置に移動される。そこで、その反応容器5には試薬ディスク15に保持されている試薬カセット16内の第1の試薬が、第1の試薬プローブ11により分注される。第1の試薬が分注された反応容器5は、攪拌位置に移動され、そこで攪拌装置6により試料と第1の試薬との攪拌が行われる。
更に、第2の試薬の添加が必要な場合は、攪拌処理済みの反応容器5は、第2の試薬分注位置に移動され、そこで、反応容器5には、試薬ディスク15に保持されている第1試薬と同じ試薬カセット16内の第2の試薬が第2の試薬プローブ13によって分注される。分注済みの反応容器5は、攪拌位置に移動され、そこで、攪拌装置7により反応容器5内の検体、第1の試薬及び第2の試薬の攪拌が行われ、その反応液が生成される。
反応液が生成された反応容器5は、測定位置に移動され、検出光学装置10の光源から発した光束の中を通過し、この時の吸光度が多波長光度計である検出光学装置測光機構10により検知される。検知された吸光度信号は制御部33に入り、検体の濃度に変換される。また、制御部33では同時に吸光度に基づいた異常の判定を行なう。
濃度変換されたデータは、記憶部32にて記憶され、表示部34で表示される。測光が終了した反応容器5は、洗浄機構8の位置まで移動し洗浄され、次の分析に供される。
操作部31は、例えばキーボードやCRTから構成され、測定検体の情報や、測定項目の登録、分析パラメータ等を設定する。
次に、記憶部32において、格納される分析パラメータの構造を図2に示す。図2において、記憶部32には、分析パラメータ35の情報が格納され、この分析パラメータ35は、固定パラメータ37と変動パラメータ38とから構成されている。固定パラメータ37としては、試料測定の軸となる試薬分注量や検体分注量、測定波長などが登録されており、試薬ボトル36に示された項目コードとボトルコードの情報から、使用するパラメータを選択することができる。
変動パラメータ38としては、一般検体の測定結果のチェックに関わるリニアリティチェック値、プロゾーンチェック値、反応限界吸光度、テクニカルリミットと、キャリブレーションの測定結果のチェックに関わる第一標準液吸光度、ばらつき許容吸光度、感度許容吸光度、収束許容吸光度などが登録されている。
また、試薬の反応特性によってはキャリブレーションの方法についても変動パラメータ38としてもよい。さらに、反応過程近似法によって得られるパラメータを変動パラメータ38の1つとして加えるとより好ましい。
この変動パラメータ38は、一つの固定パラメータテーブルに対して、複数バージョンの変動パラメータテーブルを備えており、制御部33により、試薬ボトルに貼付されたバーコード情報等の記録媒体を読み取ることにより、項目コード、ボトルコードと、試薬のロット情報をキーとして、それに対応するバージョンの変動パラメータを採用する。
図3は、試薬カセット16のセットから測定結果出力までの動作フローチャートである。なお、動作制御は制御部33によって行われる。
図3において、自動分析装置の試薬ディスク15に試薬カセット(試薬ボトル)16がセットされる(ステップS1)と、試薬ボトル16に付加されたバーコード情報を試薬バーコード読み取り装置17が読み取る(ステップS2)。
試薬カセット16に添付された記録媒体に記録されたバーコード情報には、試薬の項目コードが付加されている。よって、その試薬項目コードをキーとして記憶部32に分析パラメータが登録されているかどうかを制御部33が判定する(S3)。
ステップS3において、記憶部32に分析パラメータが登録されていなければ(NOならば)、分析パラメータの登録を行なう(ステップS4)。ここで、試薬ボトル16に付加された情報に分析パラメータ情報が含まれている場合には、自動的に装置の記憶部32に記憶することもできる。そして、ステップS5に進む。
ステップS3において、記憶部32に分析パラメータが登録されていれば(YESの場合には)、次に、登録されている試薬のロットをキーとして変動パラメータ38が記憶部32に登録されているかどうかを判定する(ステップS5)。
ステップS5において、変動パラメータ38が記憶部32に登録されていなければ(NOならば)、変動パラメータの情報を記憶部32に記憶させる(ステップS6)。
この時、試薬ロットごとの変動パラメータは、自動分析装置に接続される通信ネットワークを介して、試薬メーカーが提供するサーバーからデータを取得しても良い。また、試薬ボトル16に付加された情報に変動パラメータ情報が含まれている場合には、自動的に自動分析装置の記憶部32に記憶することもできる。さらにはユーザが直接設定することも可能である。
ステップS5において、変動パラメータ38が記憶部32に登録されていれば(YESの場合には)、記憶部32に記憶された複数の変動パラメータ情報から、自動分析装置に架設された試薬カセット16の試薬ロット情報のみを表示部34の分析パラメータ画面へ反映させる(ステップS7)。
次に、標準液をセットして(ステップS8)、キャリブレーションを実施する(ステップS9)。そして、キャリブレーション実施結果に対して、試薬のロットごとに異なるキャリブレーションのチェック値をもって許容範囲内かどうかを判定する(ステップS10)。
ステップS10において、キャリブレーションのチェック結果が許容範囲内ではない場合(NOの場合)には、アラームを表示して(ステップS11)、操作を終了する。
ステップS10において、キャリブレーションのチェック結果が許容範囲内である場合(YESの場合)には、測定検体をセットし(ステップS12)、コントロール検体や一般検体を測定する(ステップS13)。
検出光学装置10による吸光度の測定終了後、キャリブレーションの結果を利用して測定値の濃度演算を行なう(ステップS14)。さらに、検体測定ごとに、プロゾーン値や反応過程近似ファクターなどといったデータチェック値の演算を行う(ステップS15)。
ステップS14、S15で得られた値に対して、試薬のロットをキーとして、測定結果がデータチェック値の許容範囲内かどうかを判定する(ステップS16)。
ステップS16において、測定結果がデータチェック値の許容範囲内ではない場合(NOの場合)にはアラームを表示し(ステップS17)、検体測定値を表示部34に出力して(ステップS18)、測定を終了する。
ステップS16において、測定結果がデータチェック値の許容範囲内である場合(YESの場合)には、その判定結果を測定値とともに表示部34に表示する。(ステップS18)。その際、その測定結果がどの試薬ロットが使用された結果かがわかりやすいように、表示部34に表示させてもよい。
分析パラメータ35の情報を自動分析装置の記憶部32に記憶させる方法は、試薬メーカーが新しい試薬ロットの試薬を販売する際に、インターネットを介して各検査室の児童分析装置に情報を配信して登録しても良いし、試薬のボトルにバーコードやQRコード、ICチップなどのような形状で、情報を付加してもよい。
試薬のボトルにバーコード等により情報を付加した場合は、試薬ボトルが自動分析装置内に設置されると、その情報を自動的に装置の記憶部32に記憶するようなシステムにしても良い。記憶部32には各項目コードごとに複数の変動パラメータ38を同時に格納することができ、検体測定ごとに試薬のロット情報から採用する変動パラメータ38を自動的に選択できるようにするのが好ましい。
また、複数記憶された変動パラメータ38は、試薬のロットが変わるたびに新しく登録されていくが、装置上である一定期間対象のロットが使用されなければ、古い情報から削除されていくようにする。
図4は、本発明の実施例1による自動分析装置上の分析パラメータの画面構成例を示す図である。
図4において、自動分析装置に登録した項目名の一覧39から項目を選択すると、画面の右側に分析パラメータが表示される。分析パラメータはその種類によってシート等で分けられており、分析やキャリブレーションに関わるパラメータ値といった試薬項目に固定のパラメータと、その検査室における固有の設定値を設定する設定画面40のほかに、試薬のロットごとに変化する変動パラメータを設定できる画面41から構成される。
変動パラメータの設定画面41は、複数のロットの情報を保持し、それぞれのロットの条件を見ることができるようにラジオボタン42などで選択できるようにする。複数の登録情報のうち、目的の試薬ロットごとに項目コードやボトルコード、試薬のロットやシーケンス番号、使用期限などの試薬情報43が表示できる。
変動パラメータ画面41のうち、キャリブレーションの結果をチェックするチェック値44と測定したデータをチェックするデータチェック値45を表示する。これらのデータは試薬が自動分析装置にセットされ、試薬ボトルにバーコード等に示されている試薬の項目コードやロット番号などから記憶部32に記憶している変動パラメータの情報を自動的に表示することが好ましい。また、例えば、アドミニストレーターレベルのユーザが設定値を編集できるようにデータ変更ボタン46を設置してもよい。
以上のように、本発明の実施例1によれば、試薬ボトル36に添付された項目コード、ボトルコード、試薬ロット情報を読み取り、読み取った情報を、試薬ロット毎には変動しない、測定を行うための固定パラメータと、試薬ロット毎に変動する、測定結果のチェックを行うための変動パラメータとに区別して記憶部32に記憶しておき、新たな試薬ボトルに添付された情報が記憶部32に記憶されているものか否かを判断して、記憶されていなければ記憶部に記憶させるように構成されている。
これにより、同一の試薬ロットに関わる試薬ボトルである場合と、異なる試薬ロットに関わる試薬ボトルである場合とは、明確区別して、測定結果にチェックを行うことができる。
つまり、試薬のロットごとに値付けし、装置での採用が可能となれば、試薬由来の異常を適切に検出することが可能となるため、ユーザは異常なデータを見逃して、間違った測定結果を医師に報告するミスを防ぐことができる。
また、試薬ボトルに付加した情報から自動的に装置側にパラメータ設定値が記憶されることで、入力の手間や入力ミスを排除することが可能となる。
試薬由来の異常を適切に検出できるようになれば、装置由来の異常の切り分けや装置状態の管理がし易くなるため、装置メーカー側にとってもメンテナンスのメリットが高い。さらには、試薬メーカー側にとっても、予め設定値をロットごとに設定し、予めその試薬の反応特性を示し、そのロットの試薬の保証範囲を提供することで、データチェック値の管理値のずれによるデータアラームの発生を防ぐことができるし、異常データに対するユーザからの問合せに対して、ロット上の反応特性からその要因を追及することも可能となる。
次に、本発明の実施例2について説明する。
本発明の実施例2は、図1に示す装置構成、図3に示す処理ステップともに実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
本発明の実施例2は、図3のステップ9と10で算出されるキャリブレーションのチェック値を用いて算出値の経時変化や試薬・装置の精度管理を制御部33が行う場合の例である。
実施例1では変動パラメータ38は複数記憶され、一定期間経過した試薬ロットの情報は削除されると記載したが、実施例2では、この変動パラメータ38の値を複数、長期間記憶し、かつ経時的(ロットごと)に表示することによって試薬の品質の変化をユーザが確認しやすい構成とする。
例えば、図3のステップ9とステップ10では、キャリブレーションを実施すると、標準液の吸光度測定と検量線の作成が行なわれる。その際、キャリブレーションチェックで設定された、(1)第一標準液許容吸光度、(2)ばらつき許容吸光度、(3)感度許容吸光度、(4)収束許容吸光度の値がそれぞれ算出される。
つまり、図5に示すように、試薬のロット47毎及びキャリブレーション実施日49毎に、変動パラメータ48と、キャリブレーション結果から算出したチェック値50が得られる。
制御部33は、算出したチェック値と予め設定された許容値とを比較して範囲を超えた場合に、図3のステップS11でアラームを表示させる。このとき、算出された値と、設定した値とを同じグラフ上に、キャリブレーション実施日ごと、または試薬ロットごとに表示する。算出した値は、試薬ロットごとの変動パラメータの許容値とともに記憶部32に記憶される。
以下、変動パラメータである第一標準液許容吸光度、ばらつき許容吸光度、感度許容吸光度、収束許容吸光度のそれぞれの管理について説明する。
(1)第一標準液許容吸光度の管理
まず、キャリブレーションに使用する第1標準液の吸光度の範囲を設定する。これはほとんどの場合、測定対象物質を含まないブランクの値であるため、試薬自体の吸光度の大きさを示す。
この管理値を精度管理に使用した場合の画面表示例を図6に示す。
図6の(A)は、横軸にキャリブレーション実施日51を示し、そのときに使用された試薬のロット52を併記する。図6の(A)の縦軸に吸光度53を示し、試薬ロットごとに設定された許容幅(上限値と下限値)と、キャリブレーションを実施したときに、算出された第一標準液吸光度50をプロットしている。許容幅と算出値とは、凡例54のように表示されている。
このように、経時的に試薬の設定値を管理することにより、試薬の品質の変化をユーザは試薬ロットごとに確認することができる。また、許容値からはずれた場合、自動分析装置が自動的にアラームを表示するとともに、値がはずれたのは、どの日で、どの試薬で、どの程度はずれたのかを容易に確認することができる。
また、キャリブレーションの結果の値が許容値のどの位置にあるかを見ることができるため、キャリブレーション結果が、試薬メーカーが提示する許容値と比較して高めになるのか低めになるのかを確認することができる。
この値については、図6の(B)に示すように、縦軸を管理許容幅における算出値の相対比55としても良い。このように表示すれば、試薬ロットごとに変化する許容幅の大きさやバラツキの影響を受けることなく、キャリブレーションをおこなった結果が許容幅のどのあたりに位置するかを相対的に評価できる。
第一標準液の吸光度は、試薬の組成分により変化し、また使用する装置(光学系)にも影響を受ける。
図6の(B)に示すように、使用されている自動分析装置は、常に試薬メーカーから提示される試薬ロットごとの許容幅の高めに測定されるという装置特性があることがわかる。
相対比が低めになった場合には、例えば、自動分析装置の光学系のランプの劣化等、装置特性が変化した可能を見出すことができる。さらに、同じ試薬ロットではあるが、ボトルが変わった場合にブランクキャリブレーションのみを行なうようなキャリブレーションの設定をした場合、そのボトルの試薬の劣化を検出できる可能性がある。
(2)ばらつき許容吸光度の管理
各標準液の二重測定のばらつきの許容値をパーセントあるいは吸光度で設定する。この場合の、画面表示するグラフの横軸は、図6のとおり、キャリブレーション実施日51と試薬ロット52とし、縦軸には、その許容値とキャリブレーションを実施した後、次式(1)、(2)から算出される値をプロットする。ただし、式(1)、(2)において、Aは吸光度を示す。
([ASTD(N)(1回目)−ASTD(N)(2回目)]/[ASTD(N)(1回目)+ASTD(N)(2回目)])/2*100 ・・・(1)
[ASTD(N)(1回目)−ASTD(N)(2回目)] ・・・(2)
なお、上記式(1)、(2)において、かぎかっこは絶対値を表す。
(2)感度許容吸光度の管理
第一標準液の吸光度とスパンポイントの吸光度との差を設定する。感度許容吸光度は、次式(3)より算出され、試薬ロットごとに設定された上限値と下限値の許容範囲内にあるかどうかチェックされる。画面表示における感度許容吸光度の試薬ロットごとのプロットは、図6に示した方法と同じ表示方法とするのが好ましい。なお、次式(3)において、Cは各標準液の濃度を示す。
STD(N)−ASTD(1)/CSTD(N)−CSTD(1) ・・・(3)
(4)収束許容吸光度の管理
非直線検量線およびリニア(多点)検量線において、標準液の各濃度に対する近似式の吸光度と実測吸光度の差のSD値を設定する。
チェック値は(3)の感度許容吸光度と同様に表示するのが好ましい。
以上のように、これまで管理に使用されることのなかったキャリブレーションチェック値を時系列で長期間管理することにより、精度管理試料の測定値の結果から評価していた、装置状態を、キャリブレーションの結果からも試薬の品質の確認や、装置状態の変化を検出する。
本発明の実施例2によれば、実施例1の効果を得ることができる他、記憶部32に複数の変動パラメータを記憶し、これまで管理に使用されることのなかったキャリブレーションチェック値を時系列で長期間管理するように構成したので、キャリブレーションの結果から試薬の品質の確認や、装置状態の経年変化を検出することが可能となる。
以上のように、本発明の実施例1及び2で説明したように、本発明を適用した自動分析装置では、従来技術よりも最適な測定結果の管理を実施できる。また、試薬の品質管理や装置の状態の管理などに貢献し、自動分析装置を用いた測定の信頼性向上を期待することができる。
したがって、本発明よれば、ユーザ、装置、試薬の3方面から自動分析装置を用いた測定データの信頼性の向上に貢献しつつ、かつ入力操作を自動にすることでオペレータの労力軽減に努めることが期待できる。
1・・・検体ラック、 2・・・検体(サンプル)容器、 3・・・ラック搬送ライン、 4・・・検体分注プローブ、 5・・・反応容器、 6、7・・・撹拌機構、 8・・・洗浄機構、 9・・・反応ディスク、 11、13・・・試薬分注プローブ、 12・・・試薬開封機構、 14・・・カセット搬送機構、 15・・・試薬ディスク、 16・・・試薬カセット、 17・・・試薬バーコード読取装置、 18・・・試薬カセット投入口、 20・・・コントローラ、 31・・・操作部、 32・・・記憶部、 33・・・制御部、 34・・・表示部、 35・・・分析パラメータ、 36・・・試薬ボトル、 37・・・固定パラメータ、 38・・・変動パラメータ、 39・・・項目リスト、 40・・・固定パラメータ、 41・・・変動パラメータ、 42・・・試薬ロット選択するラジオボタン、 43・・・試薬情報、 44・・・キャリブレーションチェック値、 45・・・データチェック値、 46・・・データ登録ボタン、 47・・・試薬ロット、 48・・・変動パラメータ設定値、 49・・・キャリブレーション実施日、 50・・・キャリブレーション算出チェック値、 51・・・横軸(キャリブレーション実施日)、 52・・・横軸(試薬ロット)、 53・・・吸光度、 54・・・凡例、 55・・・相対比

Claims (4)

  1. 試料と試薬とを混合し、試料を分析する自動分析装置において、
    試薬を収容する試薬容器に示された試薬情報を読み取る試薬情報読み取り手段と、
    試薬情報が格納される記憶手段と、
    上記試薬情報読み取り手段の動作、試料と試薬との混合及び試料の分析動作を制御するとともに、上記試薬情報読み取り手段により、読み取られた試薬情報から、分析項目によって決定される固定パラメータ情報と、試薬の製造ロットによって値が異なり、試料測定結果の評価に必要な変動パラメータ情報とを算出し、上記固定パラメータ情報と上記変動パラメータ情報とを上記記憶手段に記憶させる制御手段と、
    を備え、
    上記変動パラメータ情報は、固定パラメータ情報を示す1つの固定パラメータテーブルに対して、複数の試薬製造ロットに対応する複数の変動パラメータテーブルを有し、
    上記制御手段は、上記変動パラメータ情報のうち、キャリブレーションのチェックに関わる第一標準液吸光度、ばらつき許容吸光度、感度許容吸光度、収束許容吸光度などの許容値と、キャリブレーションを実施したときに得られる上記チェック値の出力値を、試薬製造ロットとキャリブレーション実施時期ごとにプロットし、試薬の品質や装置状態の経時変化を管理することを特徴とする自動分析装置。
  2. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    上記制御手段は、上記記憶手段に記憶された変動パラメータ情報について、記憶手段に記憶された期間が、一定期間経過したときには上記記憶手段から消去することを特徴とする自動分析装置。
  3. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    上記変動パラメータ情報には、リニアリティチェック値、プロゾーンチェック値、反応限界吸光度、テクニカルリミットと、キャリブレーションの測定結果のチェックに関わる第一標準液吸光度、ばらつき許容吸光度、感度許容吸光度、収束許容吸光度、キャリブレーションの方法、反応過程近似法によって得られる評価ファクターのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする自動分析装置。
  4. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    情報表示手段を備え、上記制御手段は、上記変動パラメータ情報のうち、キャリブレーションのチェックに関わる第一標準液吸光度、ばらつき許容吸光度、感度許容吸光度、収束許容吸光度などの許容値と、キャリブレーションを実施したときに得られる上記チェック値の出力値を、試薬ロットとキャリブレーション実施時期ごとにプロットし、上記情報表示手段に表示させることを特徴とする自動分析装置。
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