JP5659455B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および、画像形成装置 - Google Patents
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本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に単層型感光層(以下、単に「感光層」ともいう。)を有し、その感光層が、下記式(1)で表されるエナミン系化合物を少なくとも一種含有する。この単層型感光層は、電荷輸送材料およびバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生材料を分散させたものであり、下記式(1)で表されるエナミン系化合物は、その感光層中に電荷輸送材料として含まれる。
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(インジウム−スズ酸化物)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性支持体の表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
下引き層としては、樹脂単独、あるいは、樹脂に金属酸化物等の粒子や有機顔料等の分散剤を分散したもの等が用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。このように、一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理が施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すので好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性から0.1μmから25μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
本発明における単層型感光層では、バインダー樹脂中に、電荷輸送材料が溶解又は分散されると共に電荷発生材料が分散され、同一の層となる。具体的には、例えば電荷輸送材料及び電荷発生材料等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
上記式(P−1)〜(P−3)の中でも、R1,R2が置換基を有していてもよいアリール基である、下記式(P−4)で表されるペリレン誘導体を好ましく挙げることができる。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
本実施の形態が適用される電子写真感光体の調製方法は特に限定されないが、通常、この感光体を構成する層は、電子写真感光体の感光層形成方法として公知な、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、バーコート法、ロールコート法、ブレード塗布法等により支持体上に塗布して形成される。これらの中でも生産性の高さから浸漬塗布方法が好ましい。
該層の形成方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を順次塗布する等の公知の方法が適用できる。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行うことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行うことで電子写真感光体の除電を行う工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
(実施例1)
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機(カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0質量%の下引き層用分散液とした。
実施例1において、正孔輸送材料を(CT−3)の代わりに、先に示した具体例中の(CT−4)を用いた以外はすべて実施例1と同様に行い、単層型感光体Bを得た。
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3°に強い回折ピークを示し、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10質量部を1,2−ジメトキシエタン150質量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。こうして得られた160質量部の顔料分散液を、ポリビニルブチラール(電気化学工業社製、商品名#6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液100質量部と適量の1,2−ジメトキシエタンに加え、最終的に固形分濃度4.0質量%の分散液を作製した。
この分散液を、外径30mm、長さ244mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダー上に、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように浸漬塗布した後、乾燥して下引き層を形成した。この上に、実施例2と同様の感光層を25μm浸漬塗布することで、単層型感光体Cを得た。
実施例3において、正孔輸送材料(CT−4)を60部使用する代わりに、(CT−4)を20部と下記構造式の正孔輸送材料−1を60部使用した以外は、すべて実施例3と同様に行い、単層型感光体Dを得た。
実施例4において、正孔輸送材料(CT−4)20部の代わりに、先に示した具体例中の(CT−12)を20部使用した以外は、すべて実施例4と同様に行い、単層型感光体Eを得た。
実施例4において、正孔輸送材料(CT−4)20部の代わりに、先に示した具体例中の(CT−2)を20部使用した以外は、すべて実施例4と同様に行い、単層型感光体Fを得た。
実施例3において、電荷発生材料として、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニンを使用する代わりに、図3(B型です)に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニンを使用した以外は、すべて実施例3と同様に行い、単層型感光体Gを得た。
実施例4において、正孔輸送材料として、上記構造式の正孔輸送材料−1のみを80部使用した以外は、すべて実施例4と同様に行い、単層型感光体Hを得た。
実施例3において、正孔輸送材料(CT−4)の代わりに、下記構造式の正孔輸送材料−2を使用した以外は、すべて実施例3と同様に行い、単層型感光体Iを得た。
実施例3において、正孔輸送材料(CT−4)の代わりに、正孔輸送材料−1を使用した以外は、すべて実施例3と同様に行い、単層型感光体Jを得た。
実施例4において、正孔輸送材料(CT−4)20部の代わりに正孔輸送材料−2を20部使用した以外は、すべて実施例4と同様に行い、単層型感光体Kを得た。
作製した感光体ドラムA〜Kについて、以下の電気特性試験及び画像評価試験を行い、これらの結果を表1にまとめた。
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(電子写真学会編、「続電子写真技術の基礎と応用」、コロナ社1996年発行、404頁〜405頁)を使用し、上記感光体ドラムを一定回転数60pmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、感光体の初期表面電位が+700になるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを1.0μJ/cm2で露光したときの露光後表面電位(以下、VLと呼ぶことがある)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を100msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行った。
上記感光体ドラムを、正帯電で使用される市販のレーザープリンタHL−5140(ブラザー製)のドラムカートリッジ(DR510)に装着し、ハーフトーン画像を出力し、標準ドラム(DR510純正) を用いた画像との濃度差と、黒点発生の有無を確認した。画像濃度は「濃」「良好」「薄」「極薄」で示し、黒点発生した場合に限り、「黒点」と表記した。画像が「濃」の感光体はなかった。
特に、比較例のように、従来用いられてきたトリフェニルアミン化合物では、十分な濃度が出せる程の低い明部電位を得ることができないが、本発明の化合物を単独で用いた場合は言うまでもないが、少量添加するだけでも、十分な効果が得られることがわかった。
また、実施例3 のように、フタロシアニン化合物を下引き層に用いることで、より低い明部電位を達成できることも明らかとなった。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材( 加圧ローラ)
72 下部定着部材( 定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (6)
- 導電性支持体上に単層型感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記式(1)で表されるエナミン系化合物を少なくとも一種、およびCuKα特性X線を用いた粉末X線回折において、ブラッグ角2θ±0.2°が27.2°に明瞭なピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンを含有することを特徴とする、電子写真感光体。
- 前記単層型感光層が、ペリレン誘導体を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記導電性支持体と前記単層型感光層との間に下引き層を有し、該下引き層がフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、および、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、および、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 前記帯電装置が、前記電子写真感光体を正に帯電させる帯電装置である、請求項5に記載の画像形成装置。
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