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JP5650023B2 - プリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板 - Google Patents

プリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板 Download PDF

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Description

本発明は、プリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板に関し、特にフレキシブルプリント配線板用の銅箔及びそれを用いた積層板に関する。
プリント配線板はここ半世紀に亘って大きな進展を遂げ、今日ではほぼすべての電子機器に使用されるまでに至っている。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着、もしくは絶縁基板上にNi合金等を蒸着させた後に電気めっきで銅層を形成させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔または銅層面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。そのため、プリント配線板用の銅箔または銅層には絶縁基板との接着性やエッチング性が要求される。
ここでの接着性とは、形成された回路が絶縁基板から剥離しないことを言う。このため、銅箔または銅層の樹脂との接着面側には凹凸を形成する粗化処理や、必要に応じてさらにNiめっきやクロメート等の処理が施されるのが一般的である。または、表皮効果等の観点から、粗化処理を行わずにクロメート処理等を銅箔に直接施す方法も知られている(特許文献1)。
また、エッチング性とは回路間の絶縁部に表面処理由来の金属が残存しないこと、回路の裾引きが小さいことをいう。回路間の絶縁部に金属が残存していれば、回路間で短絡が起こってしまう。また、回路形成のエッチングでは、回路上面から下(絶縁基板側)に向かって、末広がりにエッチングされ、回路の断面は台形になる。この台形の上底と下底との差(以下「裾引き」と呼ぶ)が小さければ、回路間のスペースを狭くでき、高密度配線基板が得られる。裾引きが大きければ、回路間のスペースを狭くすると回路が短絡するので、高密度実装基板を製造することができない。
エッチングは銅箔または銅層の板厚方向及び平面方向の2方向に進行する。板厚方向のエッチング速度が平面方向のそれよりも低いので、回路断面は台形になる。このため、裾引きが小さい回路を得るためには、銅箔または銅層の厚みを薄くしてエッチング時間を短くすれば良い(特許文献2)。
銅箔または銅層の他にもフォトレジストの厚みもエッチング時間に影響する。通常、FPC用途であれば厚みが3μm以上のドライフィルムレジストが用いられる。レジストが厚いと開口部にエッチング液が十分に供給されず、エッチングは銅箔または銅層の厚み方向よりも平面方向に進み、十分な幅を有する回路が形成できない。そこで、細線回路を形成する場合には、液体レジストが広く使用されている。液体レジストの厚みは1μm程度なので、ドライフィルムレジストを使用した場合よりも開口部にエッチング液が十分に供給される。
また、裾引きを小さくするために、銅箔のエッチング面側に銅よりもエッチング速度が遅い金属又はその合金層を形成する方法がある(特許文献3、4)。これらの候補金属はNi、Co等である。これらを銅箔または銅層のエッチング面に多量に付着させて形成した数10nmの層で回路上部の横方向のエッチングが抑制され、裾引きが小さい回路が形成される。
プリント配線板の配線回路のファインピッチ化が進展に伴い、回路間隔も小さくなっていくので、回路の裾引きは小さくなければならない。非特許文献1によれば、回路幅(L、単位はμm)と回路間隔(S、単位はμm)は年々狭まる傾向にあり、フレキシブルプリント配線板に関しては2012年にはL/S=25/25に達するとのことである。配線回路のファインピッチ化に対応するためには、回路の裾引きを小さくするべく銅箔の厚みを薄くしなければならない。しかしながら、銅箔の厚みが薄くなると製造時の取り扱いが困難になるため、電解銅箔や圧延銅箔で対応できる配線パターンはL/S=25/25が限界と言われている。銅箔のエッチング面にNi,Co等の金属層を形成しても、このような回路パターンに対応するのは困難であると予想される。
ポリイミド等の樹脂フィルム上にニッケル合金等をスパッタリングで蒸着させることで導電性を付与し、その後銅めっきを施す方法(メタライジング法)は微細配線パターンを形成するのに適している。この方法はめっきで形成した銅層の厚さを容易に変えることが可能なため、配線回路のファインピッチ化に適した素材である。しかしながら、銅層を形成するめっきに時間を要するため、製造コストが高いという問題点がある。
特開2006−222185号公報 特開2000−269619号公報 特開1994−81172号公報 特開2002−176242号公報
2009年度版 日本実装技術ロードマップ プリント配線板編
銅箔から回路を形成する方法(サブトラクティブ法)では、従来の厚みでは、銅箔の板厚方向のエッチングが完了するまでに平面方向のエッチングが進行し、裾引きが大きな断面形状の回路しか得ることができない。幅が狭くなった回路上面では電流が集中するので発熱し、場合によっては断線する可能性がある。また、ICチップを搭載するのが困難になると予想される。
回路断面の裾引きを小さくするためには、銅箔の厚みを薄くし、エッチング時間を短くすれば良い。しかしながら、銅箔が薄くなるほどCCL製造工程での取り扱いが困難になり、製品歩留まりに悪影響を与える。また、特許文献2のように銅層が薄くなると、回路の断面積が減少するので、必要な導電量を確保できない可能性がある。
銅箔のエッチング面にNi、Co層等を設ける技術は、今後進展すると予想される回路パターンの狭ピッチ化には対応できない可能性がある。また、先行技術ではこれらの金属は多量に付着させる必要がある。これらの金属層は強磁性を有するため、電子機器に悪影響を及ぼす可能性がある。従って、回路形成のエッチング、レジスト除去後に、ソフトエッチングでこれらの層を除去する必要があり、製造工程が増えてしまう。
また、銅箔または銅層のエッチング面にドライフィルムレジストを熱圧着させて物理的な密着力が得られる場合とは異なり、液体レジストはスピンコート若しくはそれに準ずる方法でエッチング面に塗工される。一般的に液体レジストは銅との密着を想定しているので、エッチング面に施された表面処理との相性が良いとは限らず、レジストが容易に剥離する場合がある。液体レジストを用いる場合は前処理でエッチング面を粗し、物理的な密着力を確保する場合が多い。
そこで、本発明は、ファインピッチ化に適した、裾引きが小さい断面形状の回路を良好な製造効率で製造可能なプリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板を提供することを課題とする。
従来、ファインピッチの回路をサブトラクティブ法で形成するためには銅箔の厚みを薄くする必要があった。また、裾引きが小さい断面形状の回路を形成するためには、銅箔のエッチング面に強磁性を有するNiやCoを多量に付着させ、数10nmの厚みの層を形成する必要があった。これに対し、本発明者らは鋭意検討の結果、微量の貴金属を銅箔のエッチング面に付着させた場合に、形成された回路の裾引きが小さくなることを見出した。これにより、銅箔の厚みが薄くなくても裾引きが小さい回路を形成することが可能となるため、高密度実装基板の形成が可能となる。さらに貴金属を異種金属で覆うことによって、液体レジストとの密着性が確保される。これにより、従来行われていた前処理の工程が省略可能となるとともに、安定して微細配線パターンが形成できる。また、本来耐食性を有する貴金属が多すぎると、レジスト開口部に露出した部分の初期エッチング性が劣化し、回路の直線性が悪くなるが、CCL製造工程に種々の熱履歴を受けることで表面近傍が酸化され、銅箔の表層近傍にCuの酸化物が適度に存在することで、貴金属が存在しても初期エッチング性が向上することを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、銅箔基材と、該銅箔基材のエッチング側表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、前記被覆層が、Pt、Pd、及び、Auの少なくともいずれか1種からなる層及び前記3種以外の1種以上の金属からなる層で構成され、前記被覆層には、Auが200〜2000μg/dm2、Ptが200〜2000μg/dm2、Pdが120〜1200μg/dm2の被覆量で存在し、前記Pt、Pd、及び、Au以外の金属の層が、Ni、Co、Sn及びZnの何れか1種以上の単体層又は合金層であり、Niが1500μg/dm 2 以下、Coが1500μg/dm 2 以下、Snが1200μg/dm 2 以下、Znが1092μg/dm 2 以上1200μg/dm 2 以下の被覆量で存在し、CCL製造工程の熱履歴を受けて、20nmの深さまでの表層の2価のCuの酸化物の原子数の割合である(2価のCuの酸化物の原子数)/{(1価のCuの酸化物の原子数)+(単体のCuの原子数)}(%)が80%以下となるプリント配線板用銅箔である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の一実施形態においては、Auが400〜1000μg/dm2、Ptが400〜1050μg/dm2、Pdが240〜600μg/dm2の被覆量で存在する。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の実施形態においては、前記Pt、Pd、及び、Au以外の金属の層が、Ni合金層である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の実施形態においては、前記Ni合金層が、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び500μg/dm2以下のVからなるNi−V合金層、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び500μg/dm2以下のSnからなるNi−Sn合金層、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び1100μg/dm2以下のZnからなるNi−Zn合金層、又は、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び500μg/dm2以下のMnからなるNi−Mn合金層である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の実施形態においては、最表層に、クロム層若しくはクロメート層、及び/又は、シラン処理層で構成された防錆処理層が形成されている。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の実施形態においては、プリント配線板がフレキシブルプリント配線板である。
本発明は、別の一側面において、本発明の銅箔で構成された圧延銅箔又は電解銅箔を準備する工程と、銅箔の被覆層をエッチング面として銅箔と樹脂基板との積層体を作製する工程と、積層体を塩化第二鉄水溶液又は塩化第二銅水溶液を用いてエッチングし、銅の不必要部分を除去して銅の回路を形成する工程とを含む電子回路の形成方法である。
本発明は、更に別の一側面において、本発明の銅箔と樹脂基板との積層体である。
本発明は、更に別の一側面において、銅層と樹脂基板との積層体であって、銅層の表面の少なくとも一部を被覆する本発明の被覆層を備えた積層体である。
本発明に係る積層体の一実施形態においては、樹脂基板がポリイミド基板である。
本発明は、更に別の一側面において、本発明の積層体を材料としたプリント配線板である。
本発明によれば、ファインピッチ化に適した、裾引きが小さい断面形状の回路を良好な製造効率で製造可能なプリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板を提供することができる。
Cu2p3(930−940eV程度)のピークに着目したCuO由来のCuのピークとCu2OまたはCu由来のCuのピークとの面積比を示す図である。 健全部(レジストと銅基材が剥離していない部分)を示す写真である。 異常部(レジストと銅基材が一部剥離している部分)を示す写真である。 回路パターンの一部の表面写真、当該部分における回路パターンの幅方向の横断面の模式図、及び、該模式図を用いたエッチングファクター(EF)の計算方法の概略である。
(銅箔基材)
本発明に用いることのできる銅箔基材の形態に特に制限はないが、典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で用いることができる。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。屈曲性が要求される用途には圧延銅箔を適用することが多い。
銅箔基材の材料としてはプリント配線板の導体パターンとして通常使用されるタフピッチ銅や無酸素銅といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできる銅箔基材の厚さについても特に制限はなく、プリント配線板用に適した厚さに適宜調節すればよい。例えば、5〜100μm程度とすることができる。但し、ファインパターン形成を目的とする場合には30μm以下、好ましくは20μm以下であり、典型的には5〜20μm程度である。
本発明に使用する銅箔基材は、特に限定されないが、例えば、粗化処理をしないものを用いても良い。従来は特殊めっきで表面にμmオーダーの凹凸を付けて表面粗化処理を施し、物理的なアンカー効果によって樹脂との接着性を持たせるケースが一般的であるが、一方でファインピッチや高周波電気特性は平滑な箔が良いとされ、粗化箔では不利な方向に働くことがある。また、粗化処理をしないものであると、粗化処理工程が省略されるので、経済性・生産性向上の効果がある。
(1)被覆層の構成
銅箔基材の絶縁基板との接着面の反対側(回路形成予定面側)の表面の少なくとも一部には、被覆層が形成されている。被覆層は、Pt、Pd、及び、Auの少なくともいずれか1種を含んでいる。また、被覆層は、銅箔基材表面から順に積層した、Pt、Pd、及び、Auの少なくともいずれか1種からなる層及び前記3種以外の1種以上の金属からなる層で構成されていてもよい。Pt、Pd、及び、Au以外の金属としては、Ni、Co、Sn及びZnの何れか1種以上を挙げることができる。また、Pt、Pd、及び、Au以外の金属としては、Ni−V、Ni−Sn、Ni−Zn及びNi―Mn等のNi合金を用いてもよい。このように、微量の貴金属を銅箔のエッチング面に付着させると、形成された回路の裾引きが小さくなる。これにより、銅箔の厚みが薄くなくても裾引きが小さい回路を形成することが可能となるため、高密度実装基板の形成が可能となる。さらに貴金属を異種金属で覆うことによって、液体レジストとの密着性が確保され、これにより、従来行われていた前処理の工程が省略可能となるとともに、安定して微細配線パターンが形成できる。
銅箔基材への被覆層の形成方法として、リール・ツー・リール方式等の連続搬送方式で銅箔基材を搬送しながらプラズマ中でスパッタリングを行うことで被覆層を形成する方法がある。このような方法では、スパッタリングにより銅箔基材表面に到達した金属粒子が当該表面で拡散できる時間が短く、金属粒子の付着量が少ない場合、形成された層が島状になり、それが小さければエッチング性に悪影響を与える。このため、被覆層が島状に形成されている場合は、その断面を透過型電子顕微鏡によって観察した時に、貴金属層の一部または全部が1nm以上の長軸径を有するのが好ましい。ここで、「長軸径」とは、当該島状部分の最も長い径を示す。
また、被覆の形態は銅箔側の酸化の状態、前処理の影響を受け、銅箔表面が良好に清浄されていれば、「島状」ではなく、「層状」に被覆される。さらに、被覆量を増やすことによっても「層状」に被覆される。本発明の被覆層は、このように島状であっても層状であってもよい。
(2)被覆層の同定
被覆層の同定はXPS、若しくはAES等表面分析装置にて表層からアルゴンスパッタし、深さ方向の化学分析を行い、夫々の検出ピークの存在によって同定することができる。
(3)付着量
被覆層がPtで構成されている場合は、Ptの付着量が200〜2000μg/dm2であり、400〜1050μg/dm2であるのがより好ましい。被覆層がPdで構成されている場合は、Pdの付着量が120〜1200μg/dm2であり、240〜600μg/dm2であるのがより好ましい。被覆層がAuで構成されている場合は、Auの付着量が200〜2000μg/dm2であり、400〜1000μg/dm2であるのがより好ましい。被覆層のPtの付着量が200μg/dm2未満、被覆層のPdの付着量が120μg/dm2未満、及び、被覆層のAuの付着量が200μg/dm2未満であると、それぞれ効果が十分でない。一方、被覆層のPtの付着量が2000μg/dm2、被覆層のPdの付着量が1200μg/dm2、及び、被覆層のAuの付着量が2000μg/dm2を超えると、それぞれ初期エッチング性に悪影響を及ぼす。
また、Pt、Pd、及び、Au以外の金属の層が、Ni、Co、Sn及びZnの何れか1種以上の単体層又は合金層である場合、Niが1500μg/dm2以下、Coが1500μg/dm2以下、Snが1200μg/dm2以下、Znが1200μg/dm2以下の被覆量で存在する。被覆層のNiの付着量が1500μg/dm2、被覆層のCoの付着量が1500μg/dm2、被覆層のSnの付着量が1200μg/dm2、被覆層のZnの付着量が1200μg/dm2を超えると、それぞれ初期エッチング性に悪影響を及ぼす。
Ni合金層は、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び500μg/dm2以下のVからなるNi−V合金層、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び500μg/dm2以下のSnからなるNi−Sn合金層、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び1100μg/dm2以下のZnからなるNi−Zn合金層、又は、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び500μg/dm2以下のMnからなるNi−Mn合金層であってもよい。各金属元素の被覆量が上記範囲を超えれば、それぞれ初期エッチング性に悪影響を及ぼす。
上述のように、銅箔のエッチング面を貴金属で覆うことで、サイドエッチングが抑制され、矩形に近い断面形状の回路を得ることができる。しかしながら、本来耐食性を有する貴金属が多すぎると、レジスト開口部に露出した部分の初期エッチング性が劣化し、回路の直線性が悪くなる。これに対し、銅箔の表層近傍にCuの酸化物が適度に存在することで、貴金属が存在しても初期エッチング性が向上する。CCL製造工程中、銅箔は種々の熱履歴を受けるので、表面近傍は酸化する。金属銅よりも酸化銅(2価)の方が安定的に存在する。金属銅の割合が多ければ、金属銅がレジストと反応したり、レジスト分解反応の触媒として作用し、エッチング中のレジスト剥離が起こりやすくなる。このため、化学的に安定な酸化銅が存在していればレジスト/銅箔界面の結合が安定する。ただし、酸化銅が多すぎると、例えばレジスト塗工前の酸洗で酸化銅とともに貴金属が溶出してしまうので、サイドエッチングは抑制されない。また、銅の酸化物は1価と2価が存在するが、1価の酸化物は化学的に不安定であり2価に変化しやすい。このため、本発明では2価の銅の酸化物の割合を規定している。以上の知見により、本発明の銅箔は、CCL製造工程の熱履歴を受けて、20nmの深さまでの表層の2価のCuの酸化物の原子数の割合である(2価のCuの酸化物の原子数)/{(1価のCuの酸化物の原子数)+(単体のCuの原子数)}(%)が80%以下となるものである。ここで、「CCL製造工程で受ける熱履歴」は、具体的には、300〜400℃にて0.5〜10時間程度の加熱を示す。
また、銅箔基材と被覆層との間には、初期エッチング性に悪影響を及ぼさない限り、耐加熱変色性の観点から下地層を設けてもよい。下地層としてはニッケル、ニッケル合金、コバルト、銀、マンガンが好ましい。下地層を設ける方法は乾式、湿式法いずれでも良い。
被覆層上の最表層には、防錆効果を高めるために、さらに、クロム層若しくはクロメート層、及び/又は、シラン処理層で構成された防錆処理層を形成することができる。また、被覆層と銅箔との間に、さらに加熱処理による酸化を抑制するため、耐酸化性を有する下地層を形成してもよい。
(銅箔の製造方法)
本発明に係るプリント配線板用銅箔は、スパッタリング法により形成することができる。このときの銅箔基材の搬送には、リール・ツー・リール方式等の連続搬送方式を用いることができる。このように、リール・ツー・リール方式等の連続搬送方式で銅箔基材を搬送しながらプラズマ中でスパッタリングを行う方法では、スパッタリングにより銅箔基材表面に到達した金属粒子が当該表面で拡散できる時間が短く、金属粒子の付着量が少ない場合、形成された層が島状になり、それが小さければエッチング性に悪影響を与える。本発明に係る被覆層は、初期エッチング性が劣化しない程度に、適度なPt、Pd、及び、Auの少なくともいずれか1種を含む金属で銅箔のエッチング面が覆われていれば、エッチング性が良好となる。このようなスパッタリング法によって銅箔基材の表面の少なくとも一部を、被覆層により被覆する。具体的には、スパッタリング法によって、銅箔のエッチング面側に銅よりもエッチングレートの低いPt、Pd、及び、Auのいずれか1種以上を含む層を形成する。また、好ましくは、Pt、Pd、及び、Auのいずれか1種以上からなる層及び前記3種以外の1種以上の金属からなる層を形成する。被覆層は、スパッタリング法に限らず、例えば、電気めっき、無電解めっき等の湿式めっき法で形成してもよい。なお、本発明の被服層の形成の前に、銅箔の処理面が酸化変色するのを防ぐために、ベンゾトリアゾールのような有機防錆処理を施しておいても良く、NiZnめっき等を施しておいても良い。
(プリント配線板の製造方法)
本発明に係る銅箔を用いてプリント配線板(PWB)を常法に従って製造することができる。以下に、プリント配線板の製造方法の例を示す。
まず、銅箔と絶縁基板とを貼り合わせて積層体を製造する。銅箔が積層される絶縁基板はプリント配線板に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用し、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等を使用する事ができる。
貼り合わせの方法は、リジッドPWB用の場合、ガラス布などの基材に樹脂を含浸させ、樹脂を半硬化状態まで硬化させたプリプレグを用意する。銅箔を被覆層の反対側の面からプリプレグに重ねて加熱加圧させることにより行うことができる。
フレキシブルプリント配線板(FPC)用の場合、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムと銅箔とをエポキシ系やアクリル系の接着剤を使って接着することができる(3層構造)。また、接着剤を使用しない方法(2層構造)としては、ポリイミドの前駆体であるポリイミドワニス(ポリアミック酸ワニス)を銅箔に塗布し、加熱することでイミド化するキャスティング法や、ポリイミドフィルム上に熱可塑性のポリイミドを塗布し、その上に銅箔を重ね合わせ、加熱加圧するラミネート法が挙げられる。キャスティング法においては、ポリイミドワニスを塗布する前に熱可塑性ポリイミド等のアンカーコート材を予め塗布しておくことも有効である。
本発明に係る積層体は各種のプリント配線板(PWB)に使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、導体パターンの層数の観点からは片面PWB、両面PWB、多層PWB(3層以上)に適用可能であり、絶縁基板材料の種類の観点からはリジッドPWB、フレキシブルPWB(FPC)、リジッド・フレックスPWBに適用可能である。また、本発明に係る積層体は、銅箔を樹脂に貼り付けてなる上述のような銅張積層板に限定されず、樹脂上にスパッタリング、めっきで銅層を形成したメタライジング材であってもよい。
本発明の銅箔は、それを用いたCCLの製造工程における熱履歴を受けて、20nmの深さまでの表層の2価のCuの酸化物の原子数の割合である(2価のCuの酸化物の原子数)/{(1価のCuの酸化物の原子数)+(単体のCuの原子数)}(%)が80%以下となる。
上述のように作製した積層体の銅箔上に形成された被覆層表面にレジストを塗布し、マスクによりパターンを露光し、現像することによりレジストパターンを形成する。このとき、積層体の被覆層表面にPt、Pd、及び、Auの3種以外の1種以上の金属からなる層が形成されていれば、液体レジストとの密着性が良好となり、あらかじめ被覆層表面の前処理を行う必要がない。
続いて、レジストパターンの開口部に露出した被覆層を、試薬を用いて除去する。当該試薬としては、塩酸、硫酸又は硝酸を主成分とするものを用いるのが、入手しやすさ等の理由から好ましい。貴金属層は非常に薄いため、製造時の熱履歴で銅箔基材の銅と適度に拡散し合っており、この拡散によって最表層近傍にまで達した銅原子が大気又はレジストの乾燥工程の加熱で酸化され、酸化銅が生成する。拡散により形成された貴金属/銅の合金層中におけるこの酸化銅は酸で容易に溶解するため、同時に貴金属も除去される。よって耐腐食性がある貴金属層であっても、レジストパターンの開口部に露出した部分から容易に除去することが可能となる。
次に、積層体をエッチング液に浸漬する。このとき、エッチングを抑制するPt、Pd、及び、Auのいずれか1種以上を含む被覆層は、銅箔上のレジスト部分に近い位置にあり、レジスト側の銅箔のエッチングは、この被覆層近傍がエッチングされていく速度よりも速い速度で、被覆層から離れた部位の銅のエッチングが進行することにより、銅の回路パターンのエッチングがほぼ垂直に進行する。これにより銅の不必要部分を除去されて、次いでエッチングレジストを剥離・除去して回路パターンを露出することができる。
積層体に回路パターンを形成するために用いるエッチング液に対しては、被覆層のエッチング速度は、銅よりも十分に小さいためエッチングファクターを改善する効果を有する。エッチング液は、塩化第二銅水溶液、又は、塩化第二鉄水溶液等を用いることができる。
また、被覆層を形成する前に、あらかじめ銅箔基材表面に耐熱層を形成しておいてもよい。
(プリント配線板の銅箔表面の回路形状)
上述のように被覆層側からエッチングされて形成されたプリント配線板の銅箔表面の回路は、その長尺状の2つの側面が絶縁基板上に垂直に形成されるのではなく、通常、銅箔の表面から下に向かって、すなわち樹脂層に向かって、末広がりに形成される(ダレの発生)。これにより、長尺状の2つの側面はそれぞれ絶縁基板表面に対して傾斜角θを有している。現在要求されている回路パターンの微細化(ファインピッチ化)のためには、回路のピッチをなるべく狭くすることが重要であるが、この傾斜角θが小さいと、それだけダレが大きくなり、回路のピッチが広くなってしまう。また、傾斜角θは、通常、各回路及び回路内で完全に一定ではない。このような傾斜角θのばらつきが大きいと、回路の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、被覆層側からエッチングされて形成されたプリント配線板の銅箔表面の回路は、長尺状の2つの側面がそれぞれ絶縁基板表面に対して65〜90°の傾斜角θを有し、且つ、同一回路内のtanθの標準偏差が1.0以下であるのが望ましい。また、エッチングファクターとしては、回路のピッチが50μm以下であるとき、1.5以上であるのが好ましく、2.5以上であるのが更に好ましい。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
(例1:実施例1〜15)
(銅箔への被覆層の形成)
実施例1〜15の銅箔基材として、厚さ8μmの圧延銅箔(日鉱金属製C1100)を用意した。圧延銅箔の表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
神港精機社製のロールコーターで銅箔基材に表面処理を施した。イオンガン処理で銅箔表面の酸化物層を取り除いた後にスパッタリングで被覆層を形成した。被覆層の厚みは搬送速度、出力、Ar圧力を調整することで制御した。
・到達真空度:1.0×10-5Pa
・スパッタリング圧力:Ar 0.2〜0.4Pa
・スパッタリング電力:300〜4000W
・銅箔搬送速度:分速1〜15m
・ターゲット:
Ni、Cr、Au、Pt、Pd(3N)
被覆層を設けた銅箔に対して、被覆層と反対側の表面にあらかじめ付着している酸化皮膜をイオンガン処理によって取り除きNi層及びCr層を順に成膜した。
上記手順が施された銅箔に、接着剤付きポリイミドフィルム(ニッカン工業製、CISV1215)を7kgf/cm2の圧力、160℃で40分間の加熱プレスで大気雰囲気または不活性雰囲気中で積層させた。一部の銅箔は、窒素雰囲気下で350℃で2時間保持した後に、上記手順でポリイミドフィルムと積層させた。後述するレジストパターン形成まで含めた場合にサンプルが受ける熱履歴は以下の通りである。
・工程1
ラミネート(160℃×40分:大気中)
→レジストパターン形成(85℃×30分+125℃×30分:大気中)
・工程2
PI硬化想定熱処理(350℃×2時間:窒素中)
→ラミネート(160℃×40分:大気中)
→レジストパターン形成(85℃×30分+125℃×30分:大気中)
・工程3
レジストパターン形成(85℃×30分+125℃×30分:大気中)
<付着量の測定>
被覆層のAu,Pd、Ptの付着量測定は、王水で表面処理銅箔サンプルを溶解させ、その溶解液を希釈し、原子吸光分析法で行った。
<XPSによる測定>
表層20nmの酸化銅の割合を算出した際のXPS稼動条件を以下に示す。
・装置:XPS測定装置(アルバックファイ社、型式5600MC)
・到達真空度:3.8×10-7Pa
・励起源:単色化 AlKα
・出力:210W
・検出面積:800μmφ
・入射角:15度、45度
・取出角:75度、45度
・中和条件なし
・スパッタ条件
イオン種:Ar+
加速電圧:3kV
掃引領域:3mm×3mm
レート:2.0nm/min(SiO2換算)
Cu2p3(930−940eV程度)のピークに着目し、CuO由来のCuのピークとCu2OまたはCu由来のCuのピークを解析ソフトMultiPak(アルバックファイ社製)により分離する(図1)。面積比から、(2価のCuの酸化物の原子数)/{(1価のCuの酸化物の原子数)+(0価のCuの酸化物の原子数)}(%)を算出した。
<透過型電子顕微鏡による測定>
透過型電子顕微鏡によって、被覆後、被覆層の断面において、貴金属層中の島状又は層状部分を観察し、島状部分についてはその長軸径を測定した。測定長は1000nmとした。島状部分の長軸径が0.5nm未満の貴金属粒子は装置の分解能上判定が困難であったから、長軸径が0.5nmを超える貴金属粒子を調査対象とした。
・装置:STEM(日立製作所社、型式HD−2000STEM)
・加速電圧:200kV
・倍率:100000倍
(レジストパターン形成)
上記手順で作製したCCLのエッチング面をアセトンで脱脂し、硫酸(100g/L)に30秒浸漬させて、表面の汚れを取り除いた。次にスピンコーターを用いて液体レジスト(東京応化工業製、OFPR−800LB)をエッチング面に滴下し、乾燥(プリベーク85℃、30分)させた。乾燥後のレジストの厚みは1μmとなるように調製した。その後、露光、現像、乾燥(ポストベーク125℃、30分)工程を経て、10本の回路(30μmピッチ回路(レジストL/S=25μm/5μm))を印刷し、さらに銅箔の不要部分を除去するエッチング処理を以下の条件で実施した。
<エッチング条件>
・塩化第二鉄水溶液:37wt%(ボーメ度:40°)
・液温:50℃
・スプレー圧:0.25MPa
・仕上がり回路ボトム(底部)幅:15μm前後
<耐レジスト剥離性評価>
ここで、図2及び3に、エッチング後のアルカリでレジストを剥離していない回路上部からの写真を示す。このうち、図2は健全部(レジストと銅基材が剥離していない部分)を示し、図3は異常部(レジストと銅基材が一部剥離している部分)を示す。レジストが基材と十分に密着していれば、図2のように金属光沢がレジスト越しに確認できるうえ、回路が直線であることが確認できる。一方、レジストと基材がエッチング中に剥離してしまうと、図3の点線で囲まれた部分のようにレジスト越しに金属光沢は確認できず、さらに健全部と比べるとこの部分は回路の直線性が劣っている。このため、本実施例における耐レジスト剥離性評価では、レジストパターン(L/S=25μm/5μm、10本)中に図3のようなレジスト剥離が5箇所までなら◎、6〜15箇所までなら○、16〜25箇所までなら△、26箇所以上は×とした。耐レジスト剥離性評価後、45℃のNaOH水溶液(100g/L)に1分間浸漬させてレジストを剥離した。
<エッチングファクターの測定条件>
エッチングファクターは、末広がりにエッチングされた場合(ダレが発生した場合)、回路が垂直にエッチングされたと仮定した場合の、銅箔上面からの垂線と樹脂基板との交点からのダレの長さの距離をaとした場合において、このaと銅箔の厚さbとの比:b/aを示すものであり、この数値が大きいほど、傾斜角は大きくなり、エッチング残渣が残らず、ダレが小さくなることを意味する。図4に、回路パターンの一部の表面写真と、当該部分における回路パターンの幅方向の横断面の模式図と、該模式図を用いたエッチングファクターの計算方法の概略とを示す。このaは回路上方からのSEM観察により測定し、エッチングファクター(EF=b/a)を算出した。このエッチングファクターを用いることにより、エッチング性の良否を簡単に判定できる。さらに、傾斜角θは上記手順で測定したa及び銅箔の厚さbを用いてアークタンジェントを計算することにより算出した。これらの測定範囲は回路長600μmで、12点のエッチングファクター、その標準偏差及び傾斜角θの平均値を結果として採用した。
(例2:実施例16〜25)
厚さ8μmの圧延銅箔(日鉱金属製C1100)への表面処理の際に、以下のスパッタリングターゲットでAu、Pt、Pd以外の金属の層(第1層)を成膜した後に、これらの上にAu、Pt、Pd層(第2層)を成膜した。
ターゲット:
Ni、Co、Sn、Zn(3N)、Ni−7wt%V、Ni−25wt%Zn、Ni−20wt%Sn、Ni−20wt%Mn、Ni−70wt%Cu、Ni−18wt%Zn−64wt%Cu
他は例1と同様の手順でエッチングサンプルを作製し、各種評価を行った。
(例3:実施例26〜29)
厚さ8μmの圧延銅箔(日鉱金属製C1100)への表面処理の際に、例2とは逆にAu、Pt、Pdを下地層(第1層)として、その上に他の金属の層(第2層)を形成した。
他は例1と同様の手順でエッチングサンプルを作製し、各種評価を行った。
(例4:実施例30〜32)
銅層厚さ8μmのメタライジングCCL(日鉱金属製マキナス、銅層側Ra0.01μm、タイコート層の金属付着量Ni1780μg/dm2、Cr360μg/dm2)に例1の手順でPdを蒸着させ、エッチング性を評価した。
(例5:比較例1)
厚さ8μmの圧延銅箔(日鉱金属製C1100)に表面処理を施さず、例1と同様の手順でエッチングサンプルを作製し、各種評価を行った。
(例6:比較例2〜17)
例2と同様の手順でエッチングサンプルを作製し、各種評価を行った。
例1〜6の各測定結果を表1〜4に示す。
<評価>
実施例では、いずれもエッチングファクターが大きく且つバラツキもなく、矩形方に近い断面の回路を形成することができた。
貴金属層の下地に貴金属以外の金属の層を形成した実施例16〜25は、銅の酸化が抑制され、レジスト剥離もなく、裾引きが小さい回路を形成できた。逆に貴金属層を下地とした実施例26〜29も、銅の酸化が抑制され、レジスト剥離もなく、裾引きが小さい回路を形成できた。
表面処理が施されていない比較例1は、レジスト剥離は起こらなかったものの、裾引きが大きい回路となった。
比較例2、4、6、8〜16は、レジスト剥離は起こらなかったものの、初期エッチング性が悪く、回路を形成することができなかった。
比較例3、5、7、17は貴金属の付着量が少なく、銅の酸化が進行し、レジストが剥離した。

Claims (11)

  1. 銅箔基材と、該銅箔基材のエッチング側表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、
    前記被覆層が、Pt、Pd、及び、Auの少なくともいずれか1種からなる層及び前記3種以外の1種以上の金属からなる層で構成され、
    前記被覆層には、Auが200〜2000μg/dm2、Ptが200〜2000μg/dm2、Pdが120〜1200μg/dm2の被覆量で存在し、
    前記Pt、Pd、及び、Au以外の金属の層が、Ni、Co、Sn及びZnの何れか1種以上の単体層又は合金層であり、Niが1500μg/dm 2 以下、Coが1500μg/dm 2 以下、Snが1200μg/dm 2 以下、Znが1092μg/dm 2 以上1200μg/dm 2 以下の被覆量で存在し、
    CCL製造工程の熱履歴を受けて、20nmの深さまでの表層の2価のCuの酸化物の原子数の割合である(2価のCuの酸化物の原子数)/{(1価のCuの酸化物の原子数)+(単体のCuの原子数)}(%)が80%以下となるプリント配線板用銅箔。
  2. Auが400〜1000μg/dm2、Ptが400〜1050μg/dm2、Pdが240〜600μg/dm2の被覆量で存在する請求項1に記載のプリント配線板用銅箔。
  3. 前記Pt、Pd、及び、Au以外の金属の層が、Ni合金層である請求項1又は2に記載のプリント配線板用銅箔。
  4. 前記Ni合金層が、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び500μg/dm2以下のVからなるNi−V合金層、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び500μg/dm2以下のSnからなるNi−Sn合金層、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び1100μg/dm2以下のZnからなるNi−Zn合金層、又は、被覆量が1500μg/dm2以下のNi及び500μg/dm2以下のMnからなるNi−Mn合金層である請求項1〜3のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  5. 最表層に、クロム層若しくはクロメート層、及び/又は、シラン処理層で構成された防錆処理層が形成された請求項1〜のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  6. プリント配線板がフレキシブルプリント配線板である請求項1〜のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の銅箔で構成された圧延銅箔又は電解銅箔を準備する工程と、前記銅箔の被覆層をエッチング面として該銅箔と樹脂基板との積層体を作製する工程と、前記積層体を塩化第二鉄水溶液又は塩化第二銅水溶液を用いてエッチングし、銅の不必要部分を除去して銅の回路を形成する工程とを含む電子回路の形成方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の銅箔と樹脂基板との積層体。
  9. 銅層と樹脂基板との積層体であって、前記銅層の表面の少なくとも一部を被覆する請求項1〜のいずれかに記載の被覆層を備えた積層体。
  10. 前記樹脂基板がポリイミド基板である請求項又はに記載の積層体。
  11. 請求項10のいずれかに記載の積層体を材料としたプリント配線板。
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