JP5535522B2 - 石炭焚ボイラ - Google Patents
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このうち、微粉炭焚きの旋回燃焼ボイラにおいては、燃料の微粉炭とともに石炭バーナから投入される1次空気の上下に2次空気投入用の2次空気投入ポートを設置し、石炭バーナ周囲の2次空気について流量調整を行っている。(たとえば、特許文献1参照)
上述した2次空気は、旋回燃焼ボイラ内において火炎全体を形成するために必要となる空気量を吹き込むものである。従って、旋回燃焼ボイラの2次空気量は、概ね微粉炭の燃焼に必要な全空気量から1次空気量を差し引いたものとなる。
また、従来のバーナでは、微粉炭バーナの外周に保炎機構(先端角部の調整、旋回等)を設置し、さらに、微粉炭バーナのすぐ外周に近接して2次空気、あるいは3次空気を投入するための空気投入ポートを設置した構成が一般的である。このため、微粉炭バーナにおいては、投入された微粉炭への着火が火炎外周で起こり、火炎外周の着火領域では空気投入ポートからの空気が多量に混合されることとなる。
こうして、微粉炭バーナの火炎外周から発生したNOxは、そのまま火炎外周を通過することになるので、燃焼環境が異なる火炎内部と比較すれば、還元が遅れることとなる。この結果、火炎外部で発生したNOxは還元されずに残り、この残存したNOxが従来の微粉炭バーナ及び石炭焚ボイラにおけるNOx発生の原因となっている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制(弱く)することにより、NOx発生量の低減を可能にした石炭焚ボイラを提供することにある。
本発明に係る石炭焚ボイラは、粉体燃料及び空気を炉内へ投入するバーナが各段の各コーナ部あるいは壁面部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部とされ、各段にそれぞれ1または複数の旋回火炎が形成される石炭焚ボイラにおいて、前記バーナが、粉体燃料及び空気を投入する燃料バーナと、該燃料バーナの上下または左右に各々配置されて流量調整手段を有する2次空気投入ポートとを備え、前記燃料バーナの流路内に前記粉体燃料の流れをバーナ軸中心部へ集中させる濃炎部形成部材を設けるとともに、前記燃料バーナと前記2次空気投入ポートとの間に、前記燃料バーナから炉内へ向けて形成される火炎に前記2次空気投入ポートから投入される2次空気が干渉しない程度の離間距離を設けたことを特徴とするものである。
また、火炎と干渉しない程度に離間した配置の2次空気投入ポートから2次空気を緩慢に供給することにより、低温の2次空気による火炎の温度低下(冷却)が最小限に抑えられるため、火炎が空気不足の状況にあるにもかかわらず、火炎が高温化して安定した着火を継続するので、高温かつ低酸素濃度での燃焼が可能になる。すなわち、火炎の外周に形成されていた高温酸素残存領域が抑制され、NOx及び未燃分を大幅に低減した燃焼が可能になる。
なお、濃炎部形成部材が粉体燃料を火炎内部に集中させることにより、燃料バーナの濃炎部形成部材下流側では、粉体燃料により内壁が摩耗することを抑制できる。
この場合、前記濃炎部形成部材は、前記中央開放型キッカの上流に流路中央部を部分的に塞ぐ中央閉鎖型キッカを備えていることが好ましく、これにより、粉体燃料の流れは中央閉鎖型キッカによりいったん外周側(壁面側)へ分離するので、この流れを中央部へ折り返して中央開放型キッカの開口から火炎内部へ向けて集中させることで、より一層集中度を増した燃料投入(濃炎部の形成)が可能になる。
なお、請求項6に記載したようなスプリット部材を併用し、補助ノズルの先端部に保炎機構を設けると、着火をより一層安定させることができる。
また、2次空気投入ポートが隣接する場合には、2次空気を火炎に対して斜めに投入することにより、2次空気と火炎との混合を遅延させることができる。
ここで、2次空気投入ポートの流路内部に、たとえば流路内側(燃料バーナ側)にリブを設けることにより、火炎に対する2次空気の混合を調整することができる。また、流路内部に旋回羽根車を設けることにより、バーナ高さを抑制して2次空気の流れが火炎と干渉しないように離すことも可能になる。
すなわち、燃料バーナから投入される微粉炭等の粉体燃料を火炎中央部に集中させることで火炎内部に濃炎部を形成し、濃炎部形成と濃炎部形成部材下流に生じる流れの乱れとの相乗効果によって安定した着火を確保することができるようになるので、低酸素濃度の環境下においても粉体燃料を安定燃焼させることができる。さらに、火炎と干渉しない程度に離間して配置された2次空気投入ポートから2次空気が緩慢に供給されるため、低温の2次空気による火炎の温度低下(冷却)を最小限に抑え、火炎が空気不足の状況にあるにもかかわらず、高温の火炎を維持して安定した着火が継続される。従って、本発明の石炭焚ボイラは、高温かつ低酸素濃度の環境下での燃焼が可能になり、NOx及び未燃分ともに大幅に低下させた燃焼が可能になる。
図3及び図4に示す石炭焚ボイラ10は、火炉11内へ空気を多段で投入することにより、バーナ部12から追加空気投入部(以下、「AA部」と呼ぶ)14までの領域を還元雰囲気にして燃焼排ガスの低NOx化を図っている。還元雰囲気となるバーナ部12からAA部14までの距離については、すなわち、還元燃焼ゾーンの距離(高さ)については、長くなるほど燃焼ガスの滞留時間が長くなってNOx発生量は小さくなる。なお、図中の符号20は微粉炭等の粉体燃料及び空気を投入するバーナ、15は追加空気を投入する追加空気投入ノズルである。
微粉炭バーナ21は、1次空気により搬送された微粉炭を投入する矩形状のコール1次ポート22と、コール1次ポート22の周囲を取り囲むように設けられて2次空気の一部を投入するコール2次ポート23とを備えている。微粉炭バーナ21から投入される微粉炭は、火炉11内へ向けて略真っ直ぐに流れる。
2次空気投入ポート30の各流路及びコール2次ポート23には、たとえば図2に示すように、送気ダクト17から各々分岐した流路を介して供給される2次空気の流量調整手段として、開度調整可能なダンパ40が設けられている。なお、2次空気投入ポート30の位置については、微粉炭バーナ21の上下に限定されることはなく、左右であってもよい。
このような離間距離Lを設けることにより、火炎Fに混合される2次空気量が減少するので、火炎F内の酸素濃度を減少させるとともに、火炎温度の低下を最小限に抑えて比較的高温の状態に維持することができる。
このとき、離間距離Lを設けて配置した2次空気投入ポート30から2次空気が緩慢に供給されるため、低温の2次空気による火炎Fの温度低下を最小限に抑えることができ、従って、火炎Fが空気不足で低酸素濃度の状況にあるにもかかわらず、火炎Fが高温化して安定した着火を継続し、高温かつ低酸素濃度での燃焼が可能になる。すなわち、火炎Fの外周に形成されていた局所的な高温酸素残存領域Hが抑制されることで小さく弱いものとなるので、NOx及び未燃分を大幅に低減した燃焼が可能になる。
中央開放型のキッカ24と中央閉鎖型キッカ25とを併用することにより、微粉炭の流れは中央閉鎖型キッカ25によりいったん外周側の壁面22a側へ分離するので、この流れを中央開放型のキッカ24が再度中央部へ折り返し、火炎Fの中央部へ集中させた投入を行うことになる。従って、中央開放型のキッカ24を単独で使用する場合と比較して、
外向きの流れを中央に導くことでより一層集中度を増した燃料投入(濃炎部の形成)が可能になる。
このようなキッカ24Aを設置することにより、火炎Fに投入される微粉炭の集中度をより一層増した燃料投入(濃炎部の形成)が可能になり、さらに、キッカ24Aの下流では、流れに生じる乱れをより一層促進することができる。
図示の補助ノズル50は、コール1次ポート22の先端出口から火炉11側へ上下方向に流路断面積を狭める上下一対の外壁部51と、中央部に所定の間隔を設けて略平行に配置された上下一対のガイド板52とを備えている。ガイド板52の間に形成される所定の間隙は、流路断面積に変化のないガイド流路53となり、このガイド流路53は、火炉11側から見た正面視においてキッカ24が形成する開口24aと略一致するように設けられている。なお、外壁部51とガイド板52との間には、流路断面積が出口側へ減少する絞り流路54が形成されている。
このような補助ノズル50は、補助ノズル50Aの先端部にスプリット部材27による保炎機構が形成されている。具体的には、ガイド板52の先端部側にスプリット部材27を取り付けて保炎機構を形成したので、着火をより一層安定させることができる。
この結果、微粉炭ノズル21の上下に2次空気投入ポート30Aが配設されたバーナ20は、離間距離L1が低減されたことにより、バーナ20の全高寸法を小さくすることができる。
このような構成を採用すれば、バーナ高さを最小限に抑えて2次空気の流れが火炎と干渉しないように離間させることも可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば粉体燃料が微粉炭に限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 火炉
12 バーナ部
14 追加空気投入部(AA部)
20 バーナ
21 微粉炭バーナ(燃料バーナ)
22 コール1次ポート(燃料流路)
23 コール2次ポート
24,24A キッカ(濃炎部形成部材)
25 中央閉鎖型キッカ
26 サイクロン部
27 スプリット部材
30,30A,30B,30C 2次空気投入ポート
31 リブ
32 旋回羽根
50,50A 補助ノズル
F 火炎
Fa 濃炎部
H 高温酸素残存領域
Claims (7)
- 粉体燃料及び空気を炉内へ投入するバーナが各段の各コーナ部あるいは壁面部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部とされ、各段にそれぞれ1または複数の旋回火炎が形成される石炭焚ボイラにおいて、
前記バーナが、粉体燃料及び空気を投入する燃料バーナと、該燃料バーナの上下または左右に各々配置されて流量調整手段を有する2次空気投入ポートとを備え、
前記燃料バーナの流路内に前記粉体燃料の流れをバーナ軸中心部へ集中させる濃炎部形成部材を設けるとともに、
前記燃料バーナと前記2次空気投入ポートとの間に、前記燃料バーナから炉内へ向けて形成される火炎に前記2次空気投入ポートから投入される2次空気が干渉しない程度の離間距離を設け、
前記濃炎部形成部材は、前記燃料バーナの壁面に設置されて流路中央部を部分的に開口させる中央開放型キッカであり、
前記燃料バーナの先端出口部に複数本のスプリット部材が出口中央部に間隔を設けて配置されていることを特徴とする石炭焚ボイラ。 - 前記濃炎部形成部材は、前記中央開放型キッカの上流に流路中央部を部分的に塞ぐ中央閉鎖型キッカを備えていることを特徴とする請求項1に記載の石炭焚ボイラ。
- 前記中央開放型キッカの開口部に凹凸を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の石炭焚ボイラ。
- 前記バーナの先端出口部に流路断面積を絞る補助ノズルを設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の石炭焚ボイラ。
- 前記2次空気投入ポートは、前記燃料バーナの軸中心から外向きの角度となるように設置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の石炭焚ボイラ。
- 前記2次空気投入ポートの流路内部にリブを設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の石炭焚ボイラ。
- 前記2次空気投入ポートの流路内部に旋回羽根を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の石炭焚ボイラ。
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