JP5526886B2 - 離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム - Google Patents
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Description
(1)実質的にポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と粒子(B)のみからなる二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムであり、該二軸延伸フィルムの少なくとも片方の表面の表面平均中心線粗さ(SRa)が100nm以上である離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
(2)フィルムの長手および幅方向の160℃、10分における熱収縮率が0%以上である(1)に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
(3)少なくとも片表面の表面平均中心線粗さ(SRa)が130nm以上である(1)または(2)に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
(4)160℃におけるフィルムの長手および幅方向の平均破断伸度が100%以上である(1)〜(3)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
(5)フィルム中に粒子(B)を0.5〜10重量%含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
(6)不活性粒子の平均粒径が0.5μm以上5μm以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
(7)フィルムの表面電位の絶対値が10kv以下である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される基が採用されたものが好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSとも称する)、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、PPSが好ましく例示される。本発明においては、上記ポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、下記構造式で示されるパラアリーレンスルフィド単位を好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上含むことが望ましい。パラアリーレンスルフィド単位が95モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、ポリアリーレンスルフィドの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性および誘電特性などを損なうことがある。
本発明において、表面平均中心線粗さ(SRa)とは触針曲率半径2μmの触針式の3次元粗さ計にて、カットオフ値を0 .25mmとし、測定長0.5mmで、ある方向に対して直交する方向に5μm間隔で40回測定したときの中心線平均粗さである。また最大面粗さ(SRmax) とは該測定における最大粗さを意味する。
本発明の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムにおいては、少なくとも片方の表面の表面平均中心線粗さ(SRa)が100nm以上であることが必要である。より好ましくは130nm以上であり、さらに好ましくは、150nm以上である。本発明においては、二軸配向フィルムの両表面の表面平均中心線粗さが上記範囲であることは無論好ましい態様である。該表面平均中心線粗さが100nm未満の場合、フィルム表面の粗面化が不十分となり、エポキシプリプレグとの間のエア抜け性が悪化し、残留した気泡がプリプレグに転写し欠点となる場合があり、一方で、該表面平均中心線粗さの上限値は特に限定されないが、プリプレグとの離型性、フィルムの破断伸度低下抑制、成型追従性を考慮すると500nm以下とすることが通常である。
本発明の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの最大面粗さ(SRmax)は、1000nm以上であることが好ましく、より好ましくは1500nm以上である。該最大面粗さが1000nm未満の場合、エポキシプリプレグとの間のエア抜け性が悪化する場合がある。
平均粒子径0.5μm以上、5μm以下の粒子を用い、フィルム全体に対して0.5〜10重量%の粒子含有量においてフィルム表面の表面平均中心線粗さあるいは最大面粗さを上記範囲とするためには、製膜時の面積延伸倍率を13倍以下となるように長手方向および幅方向に延伸し、二軸延伸後の熱固定を2段以上の異なる温度で行うことにより、平面性を維持したまま、表面粗さを上記範囲とすることが可能となる。
本発明の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムは、160℃、10分におけるフィルムの長手方向および幅方向の熱収縮率が共に0%以上であることが好ましい。好ましくは共に0.5%以上であり、さらに好ましくは共に0.7%以上である。160℃のフィルムの長手方向および幅方向の熱収縮率が0%よりも小さい場合、フィルムの熱膨張によって160℃の金型成型後のプリプレグと離型フィルムの間に皺が発生し易くなり、皺が発生するとプリプレグに皺形状が転写する場合がある。フィルムの熱収縮率に特に上限値はないが、フィルムの製膜性などに鑑みると5%程度が上限である。ここで、160℃は、エポキシプリプレグの熱成型温度であり、本発明においては、該熱成型温度におけるフィルムの熱膨張によりフィルム皺が発生することを見出し、フィルムの熱収縮率を0%以上とすることで改善できることを見出した。
160℃、10分の熱収縮率を上記範囲とするには、後述する製膜条件を適宜調整することで可能となるが、例えば、二軸延伸後の熱固定を後述する2段以上の異なる温度で行い、更に熱固定後の弛緩処理(定長で処理する場合も含まれる)を行うことにより得ることが可能となる。
本発明の離型用二軸配向二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムは、フィルムの長手方向および幅方向の平均破断伸度が160℃において共に100%以上であることが好ましく、より好ましくは、共に110%以上であり、さらに好ましくは共に120%以上である。かかる平均破断伸度を上記の範囲とするためには、先述するような平均粒子径、粒子含有量とし、製膜時の面積延伸倍率を先述した範囲とすることにより得ることが可能となる。160℃におけるフィルムの平均破断伸度が100%未満の場合、成型時に金型形状に追従できず、皺が発生する場合があり、また、プリプレグに形状を賦型する場合、転写性が悪化する場合がある。
例えば、特開平2−91130号公報などを参考に作製することができる。すなわち、硫化アルカリとp − ジハロベンゼンを極性溶媒中で高温高圧下に反応させる方法を用いる。特に、硫化ナトリウムとジクロロベンゼン(好ましくはp−ジクロロベンゼン)をN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと称することがある)等のアミド系極性溶媒中で反応させるのが好ましい。この場合、重合度を調節するために、苛性アルカリ、カルボン酸アルカリ金属塩等のいわゆる重合助剤を添加して230〜280℃で反応させるのが最も好ましい。重合系内の圧力および重合時間は、使用する助剤の種類や量および所望する重合度などによって適宜決定される。重合終了後、系を徐冷して析出させたポリマを水中または有機溶媒中に投入してできるスラリーをフィルターで瀘別してポリマーケークを得る。得られたポリマーケークは、イオン交換水または有機溶媒にて洗浄を繰り返した後、必要に応じてさらに酢酸塩等の水溶液中で30〜100℃の温度で10〜60分間撹拌処理後、イオン交換水にて30〜80℃の温度にて数回洗浄を繰り返した後乾燥し、ポリフェニレンスルフィド粉末とする。
上述のようにして得られたポリフェニレンスルフィド粉末と液体中に粒子を分散させたスラリーとを混合し、該混合物をベント押出機に供給して溶融混練と同時に該液体を除去し、ポリフェニレンスルフィド中に粒子を分散させる。好ましい分散方法は、まず粒子を沸点が90℃〜290℃の液体中に微分散させスラリ−とする(以下粒子スラリ−と称することがある)。ここで必要に応じて瀘過やデカンター等により、粗大粒子や微小粒子を除去することは好ましい。また、本発明のフィルムとするには、該粒子の平均粒径は粒子スラリー中においても0.5μm〜3.0μmの範囲が好ましく、かつ粒子の濃度は2次凝集を防ぐ観点から80重量%以下が好ましい。該液体は、例えば水、エチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、NMP、ジフェニルエ−テルなどが挙げられるが、該液体の沸点以上でポリフェニレンスルフィドを溶解しない水、エチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ルが好ましい。
また、(1)で得たポリフェニレンスルフィド粉末のみを(2)と同様の方法で粒子を含まないペレット(以下無粒子ペレットと称することがある)とし、フィルム製造の際に上記粒子ペレットと混合して使用することができる。
上述のようにして得られた粒子ペレットおよび/ または無粒子ペレットを減圧下で乾燥した後、押出機の溶融部を300〜350℃の温度、好ましくは310〜340℃に加熱された押出機に投入する。その後、押出機を経た溶融ポリマをフィルター内に通過させ、その溶融ポリマをTダイの口金を用いてシート状に吐出する。このフィルター部分や口金の設定温度は、押出機の溶融部の温度より3〜20℃高い温度にすることが好ましく、より好ましくは5〜15℃高い温度にする。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行い、試料数10にて、フィルム長手方向、および幅方向のそれぞれについて平均値をとり、下記式にて50%平均破断応力、平均破断伸度を算出した。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:300mm/分
測定環境:160℃。
幅10mm、長さ200mmにサンプリングした試料に、約100mm間隔となるように直線を引き、その間隔の長さを万能投影機により測定し、L0(mm)とする。次に、該サンプルを2.5gの荷重下で、160℃に加熱されたギアオーブン中で、10分間保持し、その後、室温で2時間冷却した後、再び、直線の間隔を万能投影機で測定し、L(mm)とする。この測定結果から、熱収縮率=((L0−L)/L0)×100)(%)とし、フィルム長手方向および幅方向につきそれぞれn数5サンプルの平均値を採用した。なお、熱収縮率の符号が、「−(負)」の場合は伸びを示している。
走査型電子顕微鏡の試料台に固定した測定フィルム表面を、スパッタリング装置を用いて真空度10−3Torr、電圧0.25KV、電流12.5mAの条件にて10分間、イオンエッチング処理を施す。次に、同装置にて該表面に金スパッタを施し、走査型電子顕微鏡にて10000〜30000倍の写真を撮影する。平均粒径(D)は、10個以上n個(本実施例では100個を測定した)の粒子の面積円相当径(Di)を求め、下記式(式1)により求める。ここで面積円相当径(Di)は個々の粒子の像において外接円の直径である。
小坂研究所製Surfcorder ET30HKを用い、下記条件にて表面の平均中心線粗さ(SRa)、最大面粗さ(SRmax)を求めた。
カットオフ : 0.25mm
測定長 : 0.5mm
測定間隔 : 5μm
測定回数 : 40回。
幅60cmで巻き取られたロール品を50cm×50cmサイズに切り出した離型フィルムおよびエポキシプリプレグを重ね合わせ、160℃に調整したプレス成型機で1MPaの圧力を5分間加えたのちにサンプルを取り出して、室温中に十分冷却してから、エポキシプリプレグと離型フィルムを手で引き剥がした。離型性、エア噛み、皺、金型汚れについて、以下の基準で判断した。○、△が合格水準である。
離型性
○:フィルムが破断することなくプリプレグから容易に剥がれた
△:フィルムが一部破断するがプリプレグから剥がれた
×:プリプレグから剥がれなかった
エア噛み
○:プリプレグ表面にエア噛みが存在しない
△:プリプレグの四隅部分にエア噛みが存在する
×:プリプレグの全面にエア噛みが存在する
皺
○:プリプレグ表面にフィルム皺の転写が存在しない
△:プリプレグの四隅にフィルム皺が転写する
×:プリプレグの全面にフィルム皺が転写する
金型汚れ
金型汚れが確認されない:10サイクルの金型成型において、金型汚れが発生しない
金型汚れが確認される:10サイクルの金型成型において、金型に付着物による金型汚れが発生する。
幅60cmで巻き取られたロール品を50cm×50cmサイズに切り出した離型フィルムおよびエポキシプリプレグを用い、深さ30μmの溝を掘った凹凸金型の間に、離型フィルムおよびエポキシプリプレグを重ね合わせ、160℃、5分間、1MPaで加圧したのちにサンプルを取り出して、室温中に十分冷却してから、エポキシプリプレグと離型フィルムを手で引き剥がし、プリプレグ表面のうち、溝部分(凹部分)を目視観察し、以下の基準で判断した。○、△が合格水準である。
△:溝の転写性は良好であるが、溝部周辺で皺が発生する
×:溝の転写性が悪く、かつ、溝部周辺で皺が発生する。
幅60cmで巻き取られたロール品を50cm幅に公知のスリッターでスリットしたのち、50cmの長さに断裁した50cm×50cmサイズの離型フィルムおよびエポキシプリプレグあるいは、フェノールプリプレグを重ね合わせ、160℃に調整したプレス成型機で1MPaの圧力を5分間加えたのちにサンプルを取り出して、室温中に十分冷却してから、エポキシプリプレグと離型フィルムを手で引き剥がした。離型性、エア噛み、皺について、以下の基準で判断した。○、△が合格水準である。
○:フィルムが破断することなくプリプレグから容易に剥がれた
△:フィルムが一部破断するがプリプレグから剥がれた
×:プリプレグから剥がれなかった
エア噛み
○:プリプレグ表面にエア噛みが存在しない
△:プリプレグの四隅部分にエア噛みが存在する
×:プリプレグの全面にエア噛みが存在する
皺
○:プリプレグ表面にフィルム皺の転写が存在しない
△:プリプレグの四隅にフィルム皺が転写する
×:プリプレグの全面にフィルム皺が転写する。
JIS K−6768に従い測定した。
以下、実施例ではポリアリーレンスルフィドとしてPPS、粒子として炭酸カルシウムの例を具体例として挙げて説明しているが、ポリアリーレンスルフィドを作製する場合は下記方法と同様の方法で得ることができ、また、他の粒子を用いた場合でも、下記実施例を参考として本発明にかかるフィルムを作製すれば、所定の効果を得ることができることはいうまでもない。
50Lオートクレーブ(SUS316製)に水硫化ナトリウム(NaSH)56.25モル、水酸化ナトリウム54.8モル、酢酸ナトリウム16モル、およびN−メチルピロリドン(NMP)170モルを仕込む。次に、窒素ガス気流下に撹拌しながら内温を220℃まで昇温させ脱水を行なった。脱水終了後、系を170℃まで冷却した後、55モルのp−ジクロロベンゼン(p−DCB)と0.055モルの1,2,4,−トリクロロベンゼン(TCB)を2.5LのNMPとともに添加し、窒素気流下に系を2.0kg/cm2まで加圧封入した。235℃にて1時間、さらに270℃にて5時間撹拌下にて加熱後、系を室温まで冷却、得られたポリマのスラリーを水200モル中に投入し、70℃で30分間撹拌後、ポリマを分離する。このポリマをさらに約70℃のイオン交換水(ポリマー重量の9倍)で撹拌しながら5回洗浄後、約70℃の酢酸カルシウムの1重量%水溶液にて窒素気流下にて約1時間撹拌した。さらに、約70℃のイオン交換水で3回洗浄後、分離し、120℃、1torrの雰囲気下で20時間乾燥することによって白色のポリフェニレンスルフィド粉末を得た。
〔粒子ペレット1〕
平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粒子をエチレングリコール中に50重量%分散させたスラリーを調製した。このスラリーをフィルタで濾過した後、ヘンシェルミキサーを用いて、(1)で得られたポリマに炭酸カルシウムの含有量が20重量%となるよう混合した。得られた混合物を、30mm径の二軸のスクリューを有するベント押出機に供給し、温度320℃で溶融した。この溶融物を金属繊維からなる95%カット孔径10μmのフィルタに通して瀘過した後、2mm孔径ダイから押し出し、ガット状の樹脂組成物を得た。さらに該組成物を約3mm長に裁断し、粒子含有量20重量%の粒子ペレット1を得た。
平均粒径2.5μmの炭酸カルシウム粒子を用いる以外は、粒子ペレット1と同様にして、粒子ペレット2を得た。
〔粒子ペレット3〕
平均粒径3.5μmの炭酸カルシウム粒子を用いる以外は、粒子ペレット1と同様にして、粒子ペレット3を得た。
〔粒子ペレット4〕
平均粒径5.0μmの炭酸カルシウム粒子を用いる以外は、粒子ペレット1と同様にして、粒子ペレット4を得た。
〔無粒子ペレット〕
(1)で得られたポリマのみを粒子を添加しなかった他は、上記粒子ペレットと同様にして溶融押出し、粒子を含有しない無粒子ペレットを得た。
上記で得られた無粒子ペレットに粒子ペレット1を炭酸カルシウムの含有量が5重量%となるように混合した後、回転式真空乾燥機を用いて、3mmHgの減圧下にて温度180℃で4時間乾燥させた。得られた乾燥チップを、溶融部が310℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給し、温度320℃に設定したフィルターで濾過した後、温度310℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
実施例1で、粒子ペレット1を用いて炭酸カルシウムの含有量を7.5重量%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、プリプレグの四隅にフィルムの皺の転写が存在したが、離型性、エア噛み、追従性に優れたものであり、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、粒子ペレット1を用いて炭酸カルシウムの含有量を3重量%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、プリプレグ四隅にエア噛みが存在したが、離型性、皺、追従性に優れたものであり、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、粒子ペレット1を用いて炭酸カルシウムの含有量を1重量%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、プリプレグから剥離はできたが、フィルムの一部破断が見られ、また、プリプレグ四隅にエア噛みが存在した。皺、追従性に優れたものであり、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、弛緩処理ゾーンで横方向に3%の弛緩処理を行う以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、プリプレグの四隅にフィルムの皺の転写が存在したが、離型性、エア噛み、追従性に優れたものであり、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、延伸倍率を縦方向に3.4倍、横方向に3.4倍とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、プリプレグから剥離はできたが、フィルムの一部破断が見られ、また、プリプレグ四隅にエア噛みが存在し、溝の転写性は良好であるが、溝部周辺で皺が確認された。プリプレグ表面に皺はなく、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、粒子ペレット2の炭酸カルシウム用いる以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、溝の転写性は良好であるが、溝部周辺で皺が確認された。離型性、エア噛み、皺に優れたものであり、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、粒子ペレット3の炭酸カルシウム用いる以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、溝の転写性は良好であるが、溝部周辺で皺が確認された。離型性、エア噛み、皺に優れたものであり、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、弛緩熱処理温度を240℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、プリプレグの四隅にフィルムの皺の転写が存在したが、離型性、エア噛み、追従性に優れたものであり、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、粒子ペレット1を用いて炭酸カルシウムの含有量を12重量%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、プリプレグの四隅にフィルムの皺の転写が存在し、溝の転写性は良好であるが、溝部周辺で皺が確認された。離型性、エア噛みに優れたものであり、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、粒子ペレット4の炭酸カルシウム用いる以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、プリプレグの四隅にフィルムの皺の転写が存在し、溝の転写性は良好であるが、溝部周辺で皺が確認された。離型性、エア噛み、追従性に優れたものであり、金型汚れは確認されなかった。
実施例1で、弛緩処理ゾーンで横方向に7%の弛緩処理を行う以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、金型汚れはなく、離型性、エア噛み、追従性に優れたものであるが、プリプレグ全面にフィルム皺の転写が確認された。
実施例5において、1段目および2段目熱固定温度を260℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1と同様にして得られた幅500mm、厚み25μmの二軸配向PPSフィルムを用いて、速度200m/分で走行させて250mm幅にスリットした。静電気除去装置は、シムコ社製静電気除去装置スタティックバーを用い、スリッター搬送系でフィルム面と平行になるように3カ所設置した(製品巻だしロール後、搬送ロール中ゴムロール後、巻き取りロール前)。電極先端とフィルムまでの距離を40mm、印加電圧は4kv条件とした。得られた二軸配向PPSフィルムの表面電位の絶対値は3kv以下であった。トナー確認により、放電痕の存在は確認されなかった。この二軸配向PPSフィルムの測定、評価結果は表1に示したとおりであり、離型性、エア噛み、皺、追従性に優れたものであった。
実施例14で、スリッター搬送系で静電気除去装置を1カ所(巻き取りロール前)使用する以外は、実施例14と同様にスリットした。得られた二軸配向PPSフィルムの表面電位の絶対値は10kv以下であり、トナー確認により、放電痕の存在が確認されなかった。この二軸配向PPSフィルムの測定、評価結果は表1に示した通りであり、離型性、エア噛み、皺、追従性に優れたものであった。
実施例14で、スリッター搬送系で静電気除去装置を使用しない以外は、実施例14と同様にスリットした。得られた二軸配向PPSフィルムの表面電位の絶対値は20kv以上であり、トナー確認により、放電痕の存在が確認された。この二軸配向PPSフィルムの測定、評価結果は表1に示した通りであり、離型性の悪化が確認された。
実施例16で得られたスリット断裁品をフェノールプリプレグに積層し、金型成型テストを実施した。評価結果は表1に示した通りであり、エア噛み、皺は存在せず、離型性に優れたものであった。
実施例1でフィルム表面にコロナ処理を実施する以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。フィルムの表面濡れ張力は、58ダイン/cmであった。
得られた二軸配向PPSフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPSフィルムは、金型汚れはなく、エア噛み、追従性に優れたものであるが、離型性が悪化した。
実施例1で、延伸倍率を縦方向に4.2倍、横方向に3.4倍とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で、延伸倍率を縦方向に3.6倍、横方向に3.4倍とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で、粒子ペレット1を用いて炭酸カルシウムの含有量を0.3重量%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で用いた無粒子ペレット79.5重量%と熱可塑性樹脂としてポリエーテルイミド20重量%(ジーイープラスチックス社製 “ウルテム1010”)(PEI)を用い、相溶化剤としてγ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.5重量%を配合後、300℃に加熱された、ベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップを作製した。得られたPPS/PEI(20重量%)のブレンドチップ25重量部に対し実施例1用いた粒子ペレット1を25重量部、無粒子ペレット50重量部添加し、炭酸カルシウムの含有量が5.0重量%となるように混合した後、実施例1と同様に未延伸フィルムを作製した。得られた未延伸フィルムは、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
Claims (6)
- 実質的にポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と粒子(B)のみからなる二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムであり、該二軸延伸フィルムの少なくとも片方の表面の表面平均中心線粗さ(SRa)が100nm以上であって、フィルム長手および幅方向の160℃、10分における熱収縮率が0%以上であることを特徴とする離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
- 少なくとも片表面の表面平均中心線粗さ(SRa)が130nm以上である請求項1に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
- 160℃におけるフィルムの長手および幅方向の平均破断伸度が100%以上である請求項1または2に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
- フィルム中に粒子(B)を0.5〜10重量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
- 粒子の平均粒径が0.5μm以上5μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
- フィルムの表面電位の絶対値が10kv以下である請求項1〜5のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
Priority Applications (1)
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