JP5519208B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
また、無機質の長繊維及び短繊維を含む三次元網目状構造体に、白金等の貴金属を含む触媒成分を担持させた触媒が開示されている(特許文献2参照)。
これらの特許文献に開示されている触媒によれば、触媒とPMとの接触効率を向上させることができ、より効率良くPMを燃焼除去できるとされている。
これらの特許文献に開示されているAg担持触媒によれば、PMに対して極めて優れた浄化活性を示すAgを含むため、従来に比して低温でPMを効率良く浄化できる。
また、PMの燃焼除去は、通常、ポスト噴射により実行されることから、上記のようなPMの非効率的な燃焼は、燃費の悪化を招いていた。
本発明は以上に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来に比して効率良くPMを浄化できる排気浄化装置を提供することにある。
また、触媒層中に触媒と針状物質とを含有させたため、針状物質の表面にも触媒が付着する。このため、触媒層中に入り込んだPMと触媒との接触率を高めることができ、より効率良くPMを浄化できる。
また、Ag担持触媒は、従来の白金系触媒に比して優れたPM浄化性能を有している。具体的には、白金系触媒では600℃程度の高温条件下でなければPMを燃焼除去できなかったところ、Ag担持触媒によれば300℃程度の低温条件下でPMを燃焼除去できる。
図3は、図2における隔壁5の部分拡大図である。図3に示されるように、隔壁5は、排気流入路2と排気流出路3とを連通する微細な細孔6を有し、この細孔6を排気が流通する。また、排気流入路2、排気流出路3、及び細孔6から構成される排気流路の壁面には、触媒層7が設けられている。
触媒層7は、後述する触媒を含んで構成されており、DPF1により捕捉されて排気中のPMを浄化する機能を有する。
触媒層7は、DPFで捕捉したPMを浄化するための触媒を含むとともに、主として0.5μm〜1.0μmの大きさの空隙を有することを特徴とする。より詳しくは、触媒層7は、主として0.5μm〜1.0μmの大きさの空隙を有し、1.0μmより大きく5.0μm以下の大きさの空隙を一部に有する。
ここで、DPF表面に捕捉されたPM二次粒子のSEM写真を図4に示す。この図4によれば、PM二次粒子の大きさは約500nm(=0.5μm)であり、上記空隙の大きさよりも小さい。このため、上記空隙の存在によって、触媒層7はPMの濾過材として作用する。また、空隙の大きさが1.0μm以下であるため、PMと触媒との接触率が低下することがない。
なお、触媒層7はDPFの細孔内にも形成されており、厚みに幅があることから、厚みの最小値及び最大値が上記の範囲内にあればよい。
また、Ag担持触媒は、PMとAgとが接触することによって燃焼反応が進行するものであり、特にPMとの良好な接触性が求められる触媒である。この点、排気中のNOをNO2に変換した後、生成したNO2が拡散してPMに接触することによりPMの燃焼反応が進行する従来の白金系触媒と大きく相違する。
従って、主として0.5μm〜1.0μmの大きさの空隙を触媒層中に形成することでPMと触媒との良好な接触状態を実現できる本実施形態において、Ag担持触媒は好適に用いられる。
上記有機化合物としては、クエン酸及びでんぷんのうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。発泡剤のクエン酸や造孔剤のでんぷんをスラリー中に添加してDPFの含浸担持させることにより、主として0.5μm〜1.0μmの大きさの空隙を触媒層7中に形成することがさらに容易となる。
これに対して、図6は、本実施形態に係るDPF表面のSEM写真である。図6に示されるように、比較的大きな触媒粒子と針状TiO2とが全体的に均一に分布しており、DPF表面が露出している箇所は見受けられない。また、針状TiO2が疎に嵩高く堆積しており、主として0.5μm〜1.0μmの大きさの空隙が形成されていることが分かる。
また、図7は、図6の部分拡大図である。図7に示されるように、針状TiO2の表面に、小さな触媒粒子が均一に付着していることが分かる。この結果から、本実施形態に係るDPFは、従来のDPFに比して、触媒量としては同一であるにも関わらず、触媒が全体的に均一に担持されており、触媒とPMとの接触率が高いことが分かる。
これに対して、図9は、本実施形態のDPF断面のSEM写真である。図9に示されるように、DPF細孔内に、触媒と針状TiO2が入り込んで触媒層が形成されているものの、触媒層中には主として0.5μm〜1.0μmの大きさの空隙が存在し、PMの濾過材として機能し得ることが分かる。また、触媒層の厚みは40μm〜100μmであり、PMの濾過材として機能し得る十分な厚みを有していることが分かる。
これに対して、本実施形態のDPFでは、DPFの細孔内に形成された触媒層中にはPM二次粒子よりも大きい空隙が存在するため、触媒層がPMの濾過材として機能する結果、DPFの表面全体にPMが層状に堆積するのを回避でき、上記不具合が生じることはない。
本実施形態によれば、DPFの表面及びDPFの細孔内表面に設けられた触媒層中に、主として0.5μm〜1.0μmの大きさの空隙を形成した。上述した通り、PM二次粒子の大きさは、およそ500nm(=0.5μm)であり、触媒層中に形成された空隙の大きさよりも小さい。このため、触媒層がPMの濾過材として作用することが可能となり、PMが二次粒子の大きさで触媒層中に入り込み易くなる。また、空隙の大きさが1.0μm以下であることにより、PMと触媒との接触率の低下を回避できる。従って、DPF表面にPMが層状に堆積するのを抑制でき、触媒とPMの良好な接触状態を確保できる結果、従来に比して効率良くPMを浄化できる。
また、触媒層中に触媒と針状物質とを含有させたため、針状物質の表面にも触媒が付着する。このため、触媒層中に入り込んだPMと触媒との接触率を高めることができ、より効率良くPMを浄化できる。
また、Ag担持触媒は、従来の白金系触媒に比して優れたPM浄化性能を有している。具体的には、白金系触媒では600℃程度の高温条件下でなければPMを燃焼除去できなかったところ、Ag担持触媒によれば300℃程度の低温条件下でPMを燃焼除去できる。
<実施例1>
針状物質、Pd、Ag、CeZrO2、及びSiバインダーが、表1に示す割合となるように、触媒の調製を行った。針状物質としては、径が0.35μm、長さが13.3μmの市販の針状TiO2(石原産業株式会社製「FTL400」(商品名))を使用した。
具体的には、上記の各構成材料を混合した後、エバポレーターにより減圧下で乾燥後、さらに電気炉で乾燥させた後に焼成を行った。焼成後、整粒してから水系媒体とともにボールミルにて混合し、スラリー化した。得られたスラリーに、発泡剤のクエン酸を添加して混合した後、ディッピング法によりDPF単体に触媒を含浸担持させた。次いで、触媒を含浸担持させたDPF単体を焼成することにより、実施例1のDPFを得た。
[乾燥・焼成条件]
乾燥温度:200℃(大気中)
乾燥時間:2時間
焼成装置:電気炉
焼成温度:700℃(5℃/分)
焼成時間:2時間
[DPF単体]
サイズ:1インチ(2.54cm)φ×30mm
壁厚:12ミル
セル数:300
材質:SiC
形状:ハニカム構造体
製造メーカ名:NGK
針状物質として、径が0.27μm、長さが5.15μmの市販の針状TiO2(石原産業株式会社製「FTL300」(商品名))を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2のDPFを得た。
針状物質として、市販のチラノ繊維(トスコ株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、参考例1のDPFを得た。
針状物質を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1のDPFを得た。
また、以下に示す条件で500℃強制再生試験を実施し、90%のPMの燃焼が完了するまでの時間(以下、「T90」という)を調査した。評価結果を表2に示す。
[500℃強制再生試験条件]
ガス組成:NO=700ppm、O2=5%、N2=バランスガス(定常状態)
PM:ディーゼル発電機排出PMを4g/L堆積
また、実施例1〜2及び参考例1では、比較例1に比してT90の値は小さいことが分かった。これにより、本実施例によれば、従来に比して効率良くPMを浄化できることが確認された。
発泡剤としてクエン酸の代わりにでんぷんを使用し、実施例よりも添加量を多くした以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例2のDPFを得た。即ち、実施例に比してより大きな空隙を意図的に作製した。
得られたDPFについて、空隙の直径(μm)と平均容積(cm3/g)との関係を調べた。結果を図12に示す。また、上記実施例と同様の条件で500℃強制再生試験を実施し、T90を調べた。
また、空隙の直径が10μm以上のピークは、DPF単体由来のピークを表しており、触媒層中の空隙のピークではない。空隙の直径が1μmを超えるピークが、触媒層中の空隙のピークを表しており、この結果から、比較例2のDPFは、触媒層中に1μmを超える大きさの空隙が形成されていることが確認された。
これらの結果から、触媒層中に主として0.5μm〜1.0μmの大きさの空隙を有する本発明によれば、従来に比して効率良くPMを浄化できることが確認された。
2…排気流入路
3…排気流出路
4…目封止材
5…隔壁
6…細孔
7…触媒層
Claims (8)
- 内燃機関の排気通路に設けられ、当該内燃機関の排気中の粒子状物質を捕捉するフィルタを備えた内燃機関の排気浄化装置において、
前記フィルタは、当該フィルタの表面及び当該フィルタの細孔内表面に設けられ且つ捕捉した粒子状物質を浄化するための触媒を含む触媒層を備え、
前記触媒層は、水銀圧入法により算出される直径が0.5μm〜1.0μmの大きさの空隙を有するとともに、針状物質としてのTiO 2 を含むことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記針状物質としてのTiO 2 の含有量は、前記フィルタの単位容量あたり30g/L〜100g/Lであり、
前記触媒層の厚みは、25μm〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記針状物質としてのTiO 2 の含有量は、前記フィルタの単位容量あたり50g/L〜70g/Lであり、
前記触媒層の厚みは、30μm〜60μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記針状物質としてのTiO 2 の平均直径は、0.1μm〜1.0μmであることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記針状物質としてのTiO 2 の平均長さは、1.0μm〜20μmであることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記触媒層は、前記触媒及び前記針状物質としてのTiO 2 に、有機化合物からなる発泡剤又は造孔剤を添加してスラリーを調製した後、当該スラリーを前記フィルタの表面及び当該フィルタの細孔内表面に塗布することにより形成されることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記有機化合物は、発泡剤のクエン酸及び造孔剤のでんぷんのうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項6記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記触媒は、Ag担持触媒であることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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