JP5513247B2 - 鍛造性と耐応力腐食割れ性に優れた鉛レス銅基合金 - Google Patents
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Description
同公報には、Sbを含有する場合にはPは任意元素であると記載されているが、本発明者の検討ではBi系合金において、Pが存在しない状態でのSbの存在は機械的性質を著しく劣化させることが明らかになり、実用材料として不安がある。
具体的には、特に伸び値の低下が著しく衝撃値が低いことが明らかになった。
また、同公報にはNiが任意元素であることが記載されているものの、全ての実施例にNiが含まれていてNiの含有していないものの実証がない。
しかも、これらの製品には耐応力腐食割れ性に優れた材料であることが不可欠である。
本発明は、かかる傾向および要請に応えるべくなされたもので、工業的に満足しうる被削性を有し、且つ優れた鍛造性、耐応力腐食割れ性を有する銅基合金の提供を目的とする。
また、本発明に係る銅基合金は特許文献1の実施例に示すようなNi成分が不要でビスマス系の鉛レス合金において、Cuの成分範囲を59.0%以上、61.0%未満に制御し、Sb,Pの添加量の最適化を図ったものである。
また、本発明に係る銅基合金は特許文献1の発明とは相違し、γ相平均結晶粒包囲率を特に制御する必要がない。
本出願人は、先の特許第3966896号に係る発明ではCu:61.0〜63.0%としたが、その後の研究によりCu成分を59.0%以上あれば61.0%未満に制御することで熱間鍛造性と耐応力腐食割れ性の両立を図ることができたものである。
より具体的に説明すると本願成分系においてCu成分が59.0%未満では、鍛造可能温度範囲が狭くなり、Cu成分を61.0%以上にすると割れが生じない限界アプセット率がやや低下する。
Sbとの併用でSn単独で得られないとされる耐応力腐食割れが改善する。
本願成分系においてSn成分が1.5%未満では鍛造性が劣り、2.5%を超えると脆くなる。
Feの添加量が0.06%未満では十分に発揮されない。また、0.2%を超えるとP−Fe化合物が増加してPが消費され、Pの有効添加量が不足し耐食性が低下する。
有効に作用するには少なくとも0.02%の添加が必要である。しかし、Sbは銅合金を非常に脆くさせるので、0.06%が限界である。できれば、0.05%未満が望ましい。
Pの適正添加量は0.04〜0.15%となる。
また、熱間加工性が悪くなるので0.45%以下が望ましい。
従ってSe成分を添加する場合は、0.02〜0.45%の範囲が好ましい。
図1の表中、No.1〜10が本発明に係る実施例に該当し、No.21〜26は比較例である。
<評価試験>
(1)鍛造試験
上記で得られた銅基合金材を長さ22mmに切断し、図3に示す試験方法にて鍛造性を評価した。
図3にてアプセット率(%)={(22−h)/22}×100の値が大きい方が厳しい試験方法となる。
本発明においては、継手や中空バルブ等を製造することを念頭においているので、アプセット率90%にて鍛造性を評価した。
鍛造温度は620℃〜770℃まで50℃きざみで4種類とした。
鍛造機はメカニカルプレス250トンを使用した。
評価としては、上記4種類の温度の中で最も鍛造性の良い温度での品物を選び、割れが生じていないものを○、部分的に割れが認められたものを△、全体に割れが見られたものを×とした。
(2)応力腐食割試験
外径が22mmの銅基合金材を長さ78mmに切断し、熱間鍛造を行なって図4(a)に示す形状に仕上げた。
めねじ部外径が25mmでネジは1/2インチのテーパーめねじとした。
これに図4(b)に示すようなシールテープを巻いた1/2インチテーパーおねじの継手を90N・mのトルクでねじ込み、アンモニア濃度14%のアンモニア水を入れたデシケータ内に24時間放置し、試験を行なった。
図5に試験状態を示す。
24時間経過後にデシケータ内から各供試材を取り出して希硝酸で洗浄した後に、目視確認により割れ有無の評価を行なった。
割れの発生がないものを「○」、割れの発生が認められたものを「×」とした。
(3)機械的性質
図1に示すような各種合金組成の鋳塊(外径60mm、長さ80mmの円柱形状)を熱間(750℃)で外径10mmの丸棒状に押出加工し、その後、常温まで空冷することによって銅基合金材を得た。
これを平行部の径が7mm、標点距離は25ミリになるように機械加工して引っ張り試験を行ない、0.2%耐力、引張強さ、破断伸びを測定した。
ここで、0.2%耐力が190N/mm2以上、引張強さが380N/mm2以上、破断伸びが15%以上を判定基準とした。
3項目全てを満足する場合を◎、2項目を満足する場合を○、1項目以下しか満足できない場合を×と判定した。
実施例合金No.1〜10は、特徴としてCu:59.0%以上で61.0%未満であり、Bi:0.5〜1.5%,Sn:1.5〜2.5%,Sb:0.02〜0.06%,P:0.04〜0.15%の範囲であるので、鍛造性、応力腐食割れ性、機械的性質のいずれにおいても実用上、問題がない。
比較例と比較すると、比較例No.21はCu成分が61.8%と61.0%以上なので、鍛造性に劣り、比較例No.22はSn:1.38%と1.5%未満なので鍛造性に劣っていた。
比較例No.23〜25はPが添加されていなく、Sb成分が0.06%を超えているので、機械的性質に問題があった。
特に比較例No.25は、Biが上限を超え、Snが下限以下なので、鍛造性及び耐応力腐食割れ性においても劣っていた。
比較例No.26は、Pが添加されていてもSbが添加されていないため、耐応力腐食割れ性に劣っていた。
Claims (2)
- 質量%において、Cu:59.0〜61.0(61.0を除く)%、Bi:0.5〜1.5%、Sn:1.5〜2.5%、Fe:0.06〜0.2%、Sb:0.02〜0.06%、P:0.04〜0.15で残部がZnと不純物からなり、鍛造性と耐応力腐食割れに優れたことを特徴とする銅基合金。
- 質量%において、Cu:59.0〜61.0(61.0を除く)%、Bi:0.5〜1.5%、Sn:1.5〜2.5%、Fe:0.06〜0.2%、Sb:0.02〜0.06%、P:0.04〜0.15、更に、Te:0.01〜0.45%、Se:0.02〜0.45%のうち、少なくとも1種の元素を含有し、残部がZnと不純物からなり、鍛造性と耐応力腐食割れ性に優れたことを特徴とする銅基合金。
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JP2010104405A JP5513247B2 (ja) | 2010-04-28 | 2010-04-28 | 鍛造性と耐応力腐食割れ性に優れた鉛レス銅基合金 |
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