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JP5507147B2 - ピリミジニルアルコール誘導体の製造方法及びその合成中間体 - Google Patents

ピリミジニルアルコール誘導体の製造方法及びその合成中間体 Download PDF

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Description

本発明はピリミジニルアルコール誘導体を製造する方法及びその合成中間体に関するものである。
ピリミジニルアルコール誘導体である(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールは、除草剤の合成中間体であることは知られている(特許文献1、2参照)。この(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを得る方法として、(5―クロロ−3−メトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトンのハロゲン原子、ニトロ基、ケトンの3ヶ所を接触的水素添加法にて同一系内で1工程で還元し、(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを得る方法は知られている(特許文献2参照)。しかし、この方法は、約2MPaもの高水素圧を要し工業的に好ましくなく、一方、この反応を水素大気圧下で行った場合には難溶性の中間体を生成してしまい(400/molもの)大量の溶媒を用いなければ反応は途中で停止するという問題点があった。さらに、この方法で得られる(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの粗生成物のHPLC純度は65%と低純度であり、工業的実施に適しているとはいい難い。
また、上述の如き難溶性の中間体を生成しないような(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの製造方法である、(3−アルコキシメチル−5―クロロ−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトンのニトロ基、ケトン部位の2ヶ所を1工程で鉄粉還元することにより、(2−アミノ−3−アルコキシメチル−5−クロロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを得た後に、このものをPd触媒存在下にハロゲン原子を還元して(2−アミノ−3−アルコキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを得る方法は知られていなかった。また、(2−アミノ−5−クロロ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールは新規化合物である。
WO00/06553号公報 特開2003−212861号公報
上記従来の技術の持つ欠点を解決した、(3−アルコキシメチル−5―クロロ−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトンから、収率良く高純度の(2−アミノ−5−クロロ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールに代表されるピリミジニルアルコール誘導体を製造する方法が望まれていた。
上記のような状況に鑑み、本発明者が(2−アミノ−5−クロロ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを製造する方法について鋭意研究を重ねた結果、意外にも、3箇所の還元部位の還元を2工程に分けて行うことにより上記課題を解決できることを見出した。第一に、(3−アルコキシメチル−5―クロロ−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトンをメタノール中、パラジウム触媒及びギ酸塩の存在下でニトロ基及びハロゲン原子を還元し、(3−アルコキシメチル−2−アミノフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトンを得た後に、エタノール存在下に水素化ホウ素ナトリウムでケトン部位を還元し、(3−アルコキシメチル−2−アミノフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを得る方法が見出した。更に、第二に(3−アルコキシメチル−5―クロロ−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトンのニトロ基、ケトン部位の2ヶ所を1工程で鉄粉還元することにより、(3−アルコキシメチル−2−アミノ−5−クロロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを得た後に、Pd触媒存在下にハロゲン原子を還元除去することにより、(3−アルコキシメチル−2−アミノフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを得る方法が見出された。本発明者は、この知見に基づき更に検討を行い、より高純度の目的物が得られる点で第二の方法が優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明方法により、一般式(3)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の新規な工業的製造法が提供される。本発明方法によれば、(3−アルコキシメチル−5―クロロ−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトンを還元する方法として、入手容易な鉄粉及びパラジウム触媒を用いて、特殊な反応装置を用いることなく、穏やかな条件下で目的とするピリミジニルアルコール誘導体を高選択的に効率良く、しかも簡便な操作で製造できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、下記〔1〕乃至〔〕項に記載の発明を提供する事により前記課題を解決したものである。
〔1〕一般式(1)
Figure 0005507147
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Rはアルコキシメチル基を示す。)
で表されるピリミジニルケトン誘導体を、鉄粉を用いて還元することにより、一般式(2)
Figure 0005507147
(式中、X、Rは前記と同じ意味を示す。)
で表されるピリミジニルアルコール誘導体とした後、一般式(2)で表される化合物を還元することを特徴とする、一般式(3)
Figure 0005507147
(式中、Rは前記と同じ意味を示す。)
で表されるピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
〕一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体の還元が、カルボン酸の存在下に行われるものである、〔1〕に記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
〕一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体の還元が、酢酸の存在下に行われるものである、〔1〕に記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
〕一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体の還元が、酢酸又はプロピオン酸の存在下に行われるものである、〔1〕記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
〕一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の還元が、パラジウム触媒を用いて行われるものである、〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
〕一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の還元が、ギ酸化合物の存在下に行われるものである、〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
〕一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の還元が、ギ酸アンモニウムの存在下に行われるものである、〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
〕一般式(2)
Figure 0005507147
(式中、X、Rは〔1〕におけるそれらと同じ意味を示す。)
で表されるピリミジニルアルコール誘導体。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体のニトロ基、ケトン部位の2ヶ所を1工程で、鉄粉を用いて、好ましくはカルボン酸存在下に還元して一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体を得たのち、一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体のハロゲン原子を、好ましくはパラジウム触媒存在下に、更に好ましくはギ酸化合物を還元剤として還元除去することによる、一般式(3)で表されるピリミジニルメタノール誘導体製造方法、及び、当該方法の中間体である一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体を提供するものである。
まず、一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体について説明する。
一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体の式中の基Xは、例えば、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨ−ド等のハロゲン原子を示し、一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体の式中の基Rは、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基等の(C1〜C6アルコキシ)−メチル基を示す。
一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体としては、具体的には例えば、(5−ブロモ−3−メトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−クロロ−3−メトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−フルオロ−3−メトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−ヨード−3−メトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−ブロモ−3−エトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−クロロ−3−エトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(3−エトキシメチル−5−フルオロ−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−ヨード−3−エトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−ブロモ−2−ニトロ−3−プロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−クロロ−2−ニトロ−3−プロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−フルオロ−2−ニトロ−3−プロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−ヨード−2−ニトロ−3−プロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−ブロモ−3−イソプロポキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−クロロ−3−イソプロポキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(5−フルオロ−3−イソプロポキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン、(3−イソプロポキシメチル−5−ヨード−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトンを挙げることができる。
一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体は公知の化合物であるか、あるいは、例えば2−アルコキシメチル−4−ハロニトロベンゼンと4−クロロフェノキシアセトニトリルを原料として塩基存在下に反応させ、(3−アルコキシメチル−5−ハロ−2−ニトロフェニル)アセトニトリルとした後、4,6−ジメトキシ−2−メチルスルホニルピリミジンと塩基存在下に反応させる方法などにより製造することができる化合物である。
続いて一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体を還元することによる一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の製造工程について説明する。
一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体、一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体中のR、Xは前記と同じ意味を示す。
当反応は、ニトロ基、ケトン部位の2ヶ所を1工程で還元するために、鉄粉を用いて還元を行う。当反応における、鉄粉の使用モル比は、一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体(原料化合物)に対して如何なるモル比でも反応が進行するが、通常、一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体(原料化合物)1モルに対して、0.5〜50.0モル、好ましくは2.0〜20.0モルの範囲を、より好ましくは4.0〜12.0モルの範囲を例示できる。
当反応はニトロ基、ケトン部位の2ヶ所を1工程で還元できればいかなる試剤を用いてもよいが、好ましくはカルボン酸を用いる。当反応に用いるカルボン酸としては、具体的には例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等を挙げることができる。これらのカルボン酸は公知化合物である。カルボン酸は単独で、又は任意の割合で混用してもよい。入手性や取り扱いの簡便さ、反応性等の観点から、酢酸、プロピオン酸等の使用が好ましく、酢酸の使用がより好ましい。
当反応における、カルボン酸の使用モル比は、一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体(原料化合物)に対して如何なるモル比でも反応が進行するが、通常、一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体(原料化合物)1モルに対して、0.5〜200.0モル、好ましくは4.0〜100.0モルの範囲を、より好ましくは10.0〜50.0モルの範囲を例示できる。
当反応は無溶媒で実施してもよいが反応を円滑に進行させるために溶媒を用いるのが好ましい。当反応に用いうる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば良く、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、アセトニトリル、プロピレンカーボネート等の非プロトン性極性溶媒類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;フェニルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロメタン等の含ハロゲン溶媒;ペンタン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸を用いるのが好ましい。
溶媒は単独で、又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることができる。アルコール類とカルボン酸との混合溶媒として用いるとカルボン酸が溶媒を兼ねるためより好ましい。
溶媒量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であれば良いが、一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体(原料化合物)1モルに対して通常0.05〜10、好ましくは0.2〜2の範囲であれば良い。
当反応の反応温度は、0℃〜使用する溶媒の還流温度、の範囲を例示できるが、好ましくは10〜100℃の範囲が良い。
当反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、好ましくは1時間〜30時間がよい。
続いて、上述のごとく一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体より得られる、新規化合物である一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体について説明する。
一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体中のX、Rは、前記と同じ意味を示す。
一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体としては、具体的には例えば、(2−アミノ−5−ブロモ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−クロロ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−フルオロ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−ヨード−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−ブロモ−3−エトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−クロロ−3−エトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−3−エトキシメチル−5−フルオロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−3−エトキシメチル−5−ヨードフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−ブロモ−3−プロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−クロロ−3−プロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−フルオロ−3−プロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−ヨード−3−プロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−ブロモ−3−イソプロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−クロロ−3−イソプロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−5−フルオロ−3−イソプロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−3−イソプロポキシメチル−5−ヨードフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを挙げることができる。
続いて一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体を還元することによる一般式(3)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の製造工程について説明する。
一般式(3)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の式中の基Rは前記と同じ意味を示す。
当反応は、ハロゲン原子を還元除去できればいかなる触媒を用いてもよいが、好ましくはパラジウム触媒を用いる。当反応に用いるパラジウム触媒としては当反応が可能なパラジウム触媒であればいずれでも構わないが、具体的には例えば、パラジウムカーボン、パラジウム担持アルミナ、パラジウム担持硫酸バリウム、パラジウム担持炭酸カルシウム等のパラジウム触媒を挙げることができる。これらのパラジウム触媒は公知化合物である。反応性が高く、反応後に高価なパラジウム触媒を容易に回収可能なパラジウムカーボン、パラジウム担持アルミナの使用が好ましく、入手性や取り扱いの簡便さ、反応性等の観点からは、パラジウムカーボンの使用が好ましい。これらのパラジウム触媒は単独で、又は任意の割合で混用してもよい。
当還元反応における、パラジウム触媒の使用モル比は、一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体に対して如何なるモル比でも反応が進行するが、通常一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の使用モル比の0.00001〜1.0モル、好ましくは金属パラジウム換算で0.0001〜0.1モルの範囲を、より好ましくは0.0001〜0.05モルの範囲を例示できる。
当反応は還元剤(水素源)を用いる。当反応に用いる還元剤としては当反応が可能な還元剤であればいずれでも構わないが、具体的には例えば、ギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム等のギ酸化合物;水素;水素化ホウ素ナトリウム等のホウ素水素化物;水素化リチウムアルミニウム等のアルミニウム水素化物等を挙げることができる。これらの還元剤は公知化合物である。入手性や取り扱いの簡便さ、反応性等の観点からギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム等のギ酸化合物の使用がより好ましい。これらの還元剤は単独で、又は任意の割合で混用してもよい。
当反応における、還元剤の使用モル比は、一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体に対して如何なるモル比でも反応が進行するが、通常一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体1モルに対して、0.1〜10.0モル、好ましくは0.33〜5.0モルの範囲を、より好ましくは0.5〜3.0モルの範囲を例示できる。
当反応は無溶媒で実施してもよいが、反応を円滑に進行するために溶媒を用いるのが好ましい。当反応に用いうる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば良く、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;水;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、アセトニトリル、プロピレンカーボネート等の非プロトン性極性溶媒類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;フェニルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;ジクロロメタン等の含ハロゲン溶媒;ペンタン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、水を用いるのが良く、メタノールを溶媒として用いると特に好ましい。
溶媒は単独で、又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることができる。
溶媒量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であれば良いが、一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体1モルに対して通常0.05〜10、好ましくは0.2〜2の範囲であれば良い。
当反応の反応温度は、0℃〜使用する溶媒の還流温度、の範囲を例示できるが、好ましくは10〜100℃の範囲が良い。
当反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、好ましくは1時間〜30時間がよい。
続いて、本発明方法により得られる一般式(3)で表されるピリミジニルアルコール誘導体について説明する。
一般式(3)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の式中の基Rは、前記と同じ意味を示す。
一般式(3)で表されるピリミジニルアルコール誘導体としては、具体的には例えば、(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−3−エトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−3−プロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノール、(2−アミノ−3−イソプロポキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを挙げることができる。
本発明方法によれば、原料として、一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体を用いて、特別な反応装置を用いることなく、穏やかな条件下で高選択的に目的とする一般式(3)で表されるピリミジニルアルコール誘導体を高選択的に効率良く、しかも簡便な操作で製造できる。得られる一般式(3)で表されるピリミジニルアルコール誘導体は、除草剤の合成中間体として有用な化合物である。
また、一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体は、本発明方法の中間体として有用な新規化合物である
次に、実施例を挙げて本発明化合物の製造方法を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1(〔1〕項記載の発明):
A):(2−アミノ−5−クロロ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの製造
メカニカルスターラー、温度計、還流管を備えた100mlの四つ口フラスコに、(5−クロロ−3−メトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン7.36g(20mmol)、鉄粉8.93g(160mmol)、エタノール20ml、酢酸20ml(349mmol)を加え、反応系を50℃に昇温した。発熱が収まった後、系の温度75〜80℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、反応系に水100ml、トルエン100mlを加え10分間攪拌した後セライトろ過した。ろ液を分液し、水層をトルエン100mlで再抽出した。トルエン層を併せ、水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下でトルエンを留去し、褐色オイルを得た。このオイルにトルエン50ml、シリカゲル3.4gを加え、10分間攪拌した後ろ過し、ろ液から減圧下でトルエンを留去し、6.4gの淡黄色オイルを得た。HPLC純度93.9%、粗収率94.2%。この粗オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−へキサン)で精製し、さらにイソプロピルアルコールで再結晶し、4.7gの(2−アミノ−5―クロロ―3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの白色結晶が得られた。HPLC純度98.9%、収率74.0%。
融点 80〜82℃
H−NMR(300MHz,CDCl、δ):7.20(d,J=2.7Hz,1H),6.99(d,J=2.7Hz,1H),5.95(s,1H),5.79(d,J=5.4Hz,1H),5.18(br,2H),4.73(d,J=5.4Hz,1H),4.46(dd,J=15.2,12.3Hz,2H),3.95(s,6H),3.31(s,3H)ppm.
LC−MS M=340.1.
B):(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの製造
マグネットスターラー、滴下ロートを備えた25mlのナス型フラスコに、(2−アミノ−5−クロロ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの粗オイル6.4g(18.8mmol)、ギ酸アンモニウム2.38g(37.6mmol)、メタノール19mlを加え、反応系内を窒素置換した後、10%パラジウムカーボン320mg(Aldrich社製、5wt%)を加え、40℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応系を室温まで冷却し、ろ過した。減圧下でメタノールを回収した後、反応系に酢酸エチル30ml、水50mlを加え分液し、水層を酢酸エチル30mlで再抽出した。酢酸エチル層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で酢酸エチルを留去し、5.68gの淡黄色オイルとして(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールを得た。HPLC純度96.0%、収率99.0%。
H−NMR(300MHz,CDCl、δ):7.30(dd,J=7.5,1.5Hz,1H),7.01(dd,J=7.5,1.5Hz,1H),6.71(dd,J=7.5,7.5Hz,1H),5.93(s,1H),5.84(br,1H),5.16(br,2H),4.51(dd,J=16.2,12.0Hz,2H),3.94(s,6H),3.32(s,3H)ppm.
GC−MS M=305.
比較例1:(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの製造
マグネットスターラーを備えた100mlの密閉用金属反応器(オートクレーブ)に、(5−クロロ−3−メトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン1.0g(2.72mmol)、酢酸ナトリウム0.45g(5.4mmol)、アセトニトリル5.4ml、10%パラジウムカーボン0.1g(Merck社製、10wt%)を加え、水素圧2〜3MPaで室温下18.5時間攪拌した。反応液をろ過し、ろ液から減圧下でアセトニトリルを留去し、酢酸エチルを加え、重曹水、水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で酢酸エチルを留去し、0.87gの淡黄色オイルを得た。HPLC純度>66.7%、粗収率104.8%。
GC−MS M=305.
比較例2:(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの製造
マグネットスターラーを備えた100mlのナス型フラスコに、(5−クロロ−3−メトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン18mg(0.05mmol)、酢酸ナトリウム8.2mg(0.1mmol)、アセトニトリル20ml、10%パラジウムカーボン10mg(Aldrich社製、50wt%)を加え、大気圧水素雰囲気下で室温下24時間攪拌した。この時の反応液の(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの純度はHPLCで57.4%であった。
参考例1:(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールの製造
メカニカルスターラー、温度計、還流管を備えた500mlの四つ口フラスコに、(5−クロロ−3−メトキシメチル−2−ニトロフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトン18.4g(50mmol)、ギ酸アンモニウム18.9g(300mmol)、メタノール400ml、10%パラジウムカーボン1.84g(Aldrich社製、10wt%)を加え、2時間還流した。室温まで冷却後、反応液をろ過し、ろ液から減圧下でメタノールを留去し、酢酸エチル100ml、水100mlを加え分液し、酢酸エチル50mlで水層を再抽出した。酢酸エチル層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で酢酸エチルを留去し、15.3gの(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ケトンの淡黄色結晶をHPLC純度82.3%、粗収率100.6%で得た。得られた粗結晶のうち3.0g(10mmol)を、マグネットスターラーを備えた25mlのナス型フラスコに取り、テトラヒドロフラン(THF)5mlを加え溶解させた後、水素化ホウ素ナトリウム0.19g(5mmol)、エタノール5mlを加え、室温で6時間攪拌した。反応系内に3%塩酸40ml、酢酸エチル40mlを加え攪拌後、25%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、分液した。酢酸エチル層を、水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で酢酸エチルを留去し、3.3gの(2−アミノ−3−メトキシメチルフェニル)(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)メタノールのオイルを得た。HPLC純度88.1%、粗収率108.1%。
GC−MS M=305.
ピリミジニルアルコール誘導体の新規な工業的製造法が提供される。本発明方法によれば、原料として、入手容易な一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体を用いることが可能で、特殊な反応装置を用いることなく、穏やかな条件下で目的とする一般式(3)で表されるピリミジニルアルコール誘導体を高選択的に、しかも簡便な操作で製造できる上、触媒もしくは遷移金属に由来する有害な廃棄物も出ないので廃棄物処理が容易で環境にも優しく、工業的な利用価値が高い。

Claims (8)

  1. 一般式(1)
    Figure 0005507147
    (式中、Xはハロゲン原子を示し、Rはアルコキシメチル基を示す。)
    で表されるピリミジニルケトン誘導体を、鉄粉を用いて還元することにより、一般式(2)
    Figure 0005507147
    (式中、X、Rは前記と同じ意味を示す。)
    で表されるピリミジニルアルコール誘導体とした後、一般式(2)で表される化合物を還元することを特徴とする、一般式(3)
    Figure 0005507147
    (式中、Rは前記と同じ意味を示す。)
    で表されるピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
  2. 一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体の還元が、カルボン酸の存在下に行われるものである、請求項1に記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
  3. 一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体の還元が、酢酸の存在下に行われるものである、請求項1に記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
  4. 一般式(1)で表されるピリミジニルケトン誘導体の還元が、酢酸又はプロピオン酸の存在下に行われるものである、請求項1記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
  5. 一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の還元が、パラジウム触媒を用いて行われるものである、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
  6. 一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の還元が、ギ酸化合物の存在下に行われるものである、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
  7. 一般式(2)で表されるピリミジニルアルコール誘導体の還元が、ギ酸アンモニウムの存在下に行われるものである、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のピリミジニルアルコール誘導体の製造方法。
  8. 一般式(2)
    Figure 0005507147
    (式中、X、Rは請求項1におけるそれらと同じ意味を示す。)
    で表されるピリミジニルアルコール誘導体。
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