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JP5591515B2 - 近赤外線吸収分散液、近赤外線吸収インク、ならびに印刷物 - Google Patents

近赤外線吸収分散液、近赤外線吸収インク、ならびに印刷物 Download PDF

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JP5591515B2 JP2009240908A JP2009240908A JP5591515B2 JP 5591515 B2 JP5591515 B2 JP 5591515B2 JP 2009240908 A JP2009240908 A JP 2009240908A JP 2009240908 A JP2009240908 A JP 2009240908A JP 5591515 B2 JP5591515 B2 JP 5591515B2
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Description

本発明は、近赤外線吸収分散液、該分散液から調製した近赤外線吸収インク、およびそれを用いた印刷物に関する。
近赤外線吸収色素は、プラズマディスプレイパネル(PDP)やCCD用の赤外線カットフィルムや熱線遮蔽フィルムとしての光学フィルター用途や、追記型光ディスク(CD−R)やフラッシュ溶融定着材料としての光熱変換材料用途、セキュリティーインクや、不可視バーコードインクとしての情報表示材料として用いられている。セキュリティーインクとは、得られる画像が可視領域での着色が少なく、近赤外線領域での大きな吸収を持つことを利用して、近赤外線(700〜1800nm)検出によるプリペイドカート、金券、商品券、証券等の偽造防止あるいは近赤外線検出によるOCR読み取り、位置確認、機器誤動作防止等を目的とするインクである。また、偽造防止以外にも、目立たないため、印刷物のデザインを損なわない隠しインクとしても用いることができる。
また、特に近赤外線吸収色素に特長的な性能として、近赤外領域に強い吸収を有することに併せて、目に見えないという不可視性への高い要求がある。また、同時に色素全般に要求される性能として高い堅牢性が要求されている。
400nm〜700nmの波長領域に吸収をほとんど持たない不可視性に優れる色素としては、第一にシアニンメチン色素やそのJ会合体が挙げられる。しかし、長いメチン共役鎖は、フレキシブルであるため異性化に伴う吸収形の変化や熱や酸素、求核剤との反応による分解が起こりやすく、堅牢性が低い。
剛直な骨格をもち高堅牢な近赤外線吸収色素としては、バナジルフタロシアニン色素やクオータリレン色素がある。しかし、バナジルフタロシアニンは不可視性が不十分である。また、クオータリレンは溶液など分子分散状態では良好な不可視性を有するものの、濃度を上げると会合により可視域に吸収を生じ、不可視性が失われ、使用形態が限定される。
不可視性に優れ、赤外領域を広くカバーする色素としては、ジインモニウム色素がある。しかしこの色素は、還元されやすく、堅牢性は不十分であり、使用形態が限定されてしまう。
このように、現在、不可視性と堅牢性の性能を同時に満足する近赤外線吸収色素はなく、近赤外領域に強い吸収を有すると同時に高い不可視性を有し、さらに十分な堅牢性を有する材料の開発が望まれている。
また、近赤外線吸収インクとしては、溶解型の近赤外線吸収染料を溶解させた有機溶剤型のものが知られている。しかし従来の有機溶剤型の近赤外線吸収インクは、塗布されたインクの耐久性が低く、短期間で分解し吸収が無くなり判別不可能になってしまう問題がある。特許文献1、2には、耐久性を向上させるためにアクリル系のバインダー樹脂を用いる方法や、紫外線吸収剤を添加する方法が提案されている。しかしこれらの方法では性能面でいまだ不十分である。また、これらの近赤外線吸収インクは有機溶剤を使用しているため、安全面や環境衛生上で問題がある。そこで水性の近赤外線吸収インクが望まれている。
一方、特許文献3、4、5、6には、水性の近赤外線吸収塗料およびインクの例が記載されている。しかしこれらの文献に記載されているナフタロシアニンやジインモニウム、クロコニウム系の色素を用いた近赤外線吸収塗料やインクは、耐久性や不可視性において十分とはいえない。
特開平6−248213号公報 特開平7−164729号公報 特開2002−187955号公報 特開平9−263717号公報 特開2002−309131号公報 特開2002−146254号公報
本発明の課題は、高い不可視性と近赤外線吸収能、さらには高い耐光性を有する性能を具備する塗膜を形成することができる近赤外線吸収微粒子分散液およびそれを用いた近赤外線吸収インクやインクジェット用インクを提供することにある。さらに本発明は、これらのインクを用いて印刷した近赤外線吸収画像を印刷した印刷物を提供することを課題とする。
本発明の課題は、下記の手段により解決された。
<1>下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物を分散媒中に微粒子分散させてなる近赤外線吸収分散液。
Figure 0005591515
(式中、R1a及びR1bは同じであっても異なっても良く、各々独立にアルキル基、または、アルキル基、アリール基、分岐アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される置換基を有してもよいアリール基またはヘテロアリール基を表す。R及びRは各々独立に水素原子、シアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、カルボキシル基またはヘテロ環基を表し、少なくとも一方はHammettのσp値が0.2以上の電子吸引性基であり、R及びRは結合して環を形成しても良い。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素(該置換ホウ素の置換基はハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である)または金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はRと共有結合もしくは配位結合しても良い。
2>前記Rが前記置換ホウ素であることを特徴とする<1>に記載の近赤外線吸収分散液。
<3>前記分散媒が水系溶媒であることを特徴とする<1>または<2>に記載の近赤外線吸収分散液。
<4>前記微粒子の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収分散液。
<5>極大吸収波長が700nm〜1000nmであることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収分散液。
<6>550nmにおける吸光度が極大波長における吸光度の1/5以下であることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収分散液。
<7>前記<1>〜<6>のいずれか1項に近赤外線吸収分散液を含有してなるインク。
<8>前記<1>〜<6>のいずれか1項に近赤外線吸収分散液を含有してなるインクジェット記録用インク。
<9>前記<7>に記載のインクを用いて近赤外線吸収画像を印刷した印刷物。
<10>前記<8>に記載のインクジェット記録用インクを用いて近赤外線吸収画像を印刷した印刷物。
<11>近赤外線吸収分散液の製造方法であって、下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物を分散媒中に微粒子分散させることを特徴とする近赤外線吸収分散液の製造方法。
Figure 0005591515
(式中、R1a及びR1bは同じであっても異なっても良く、各々独立にアルキル基、または、アルキル基、アリール基、分岐アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される置換基を有してもよいアリール基またはヘテロアリール基を表す。R及びRは各々独立に水素原子、シアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、カルボキシル基またはヘテロ環基を表し、少なくとも一方はHammettのσp値が0.2以上の電子吸引性基であり、R及びRは結合して環を形成しても良い。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素(該置換ホウ素の置換基はハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である)または金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はRと共有結合もしくは配位結合しても良い。
本発明の近赤外線吸収分散液を用いて作製した塗膜は、高い不可視性と近赤外線吸収能を有する。また本発明の近赤外線吸収分散液は、十分な分散安定性を具備する。また、本発明の近赤外線吸収分散液は、環境に及ぼす影響も少ない。さらに、該分散液を含むインクを用いて近赤外線吸収画像を印刷した印刷物は、高い不可視性と耐光性を有する。
例示化合物D−10およびD−28の溶液吸収スペクトルを表すグラフである。 水性分散液A−1およびA−4の透過スペクトルを表すグラフである。 水性分散液A−7およびA−8の透過スペクトルを表すグラフである。 水性分散液A−1の粘度の経時変化を示すグラフである。 水性分散液A−1の平均粒径の経時変化を示すグラフである。 水性分散液A−1のHPLC純度の経時変化を示すグラフである。 塗布サンプルB−1の反射スペクトルを示すグラフである。 インクジェット印刷サンプルC−1の反射スペクトルを示すグラフである。
本発明の近赤外線吸収分散液は、前記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物の微粒子を分散媒中に分散状態で含有する(微粒子分散状態で含有する)ことを特徴とし、適宜その他の材料を含んでもよい。分散媒は水系溶媒が好ましい。
前記近赤外線吸収化合物は、分散媒を用いて分散(好ましくは水性分散)を行うことで、分散安定性に優れ、かつ不可視性が高く、高堅牢な近赤外線吸収分散液を調製することができる。
以下、一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物について説明する。
Figure 0005591515
(式中、R1a及びR1bは同じであっても異なっても良く、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R2及びR3は各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R2及びR3は結合して環を形成しても良い。R4は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素または金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はR3と共有結合もしくは配位結合しても良い。)
一般式(1)中、R1a、R1bで表されるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30(本発明では、「A〜B」は、「A以上B以下」の意味で用いる。)、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、2−メチルブチル、2−エチルシクロへキシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
また、R1a、R1bで表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル、o−メチルフェニル、p−メチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。
1a、R1bで表されるヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロアリール基であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ナフトチアゾリル、ベンズオキサゾリ、m‐カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。
一般式(1)中のR1a及びR1bは、互いに同一でも異なってもよい。
2及びR3は各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R2及びR3は結合して環を形成しても良い。置換基としては例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、2−メチルブチル、2−エチルシクロへキシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、
芳香族ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されていてもよい。
2又はR3で表される電子吸引性基としては、Hammettのσp値(シグマパラ値)が正の置換基を表し、好ましくはシアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、ヘテロ環基などが挙げられる。これら電子吸引性基はさらに置換されていても良い。
ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版,1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)、Chem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページなどに詳しい。本発明におけるハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基とは電子求引性基であることを示している。σp値として好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。上限は特に制限はないが、好ましくは0.80である。
具体例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(−COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(−COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(−COOPh:0.44)、カルバモイル基(−CONH:0.36)、アルキルカルボニル基(−COMe:0.50)、アリールカルボニル基(−COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(−SOMe:0.72)、またはアリールスルホニル基(−SOPh:0.68)などが挙げられる。特に好ましくは、シアノ基である。
本明細書において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。なお、括弧内の値は代表的な置換基のσp値をChem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページから抜粋したものである。
さらに、R2及びR3が結合して環を形成する場合は、5ないし7員環(好ましくは5ないし6員環)の環を形成し、形成される環としては通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましく、その具体例としては例えば以下のものが挙げられる。
(a)1,3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン核、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオンなど。
(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オンなど。
(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オンなど。
(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドールなど。
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツル酸または2−チオバルビツル酸およびその誘導体など。誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体、1,3−ジ(2−ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニンおよびその誘導体など。誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン、3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオンなど。
(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイドなど。
(i)2−チオ−2,5−チオゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオンなど。
(j)2,4−チオゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオンなど。
(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、2−エチル−4−チアゾリノンなど。
(l)4−チアゾリジノン核:例えば2−エチルメルカプト−5−チアゾリン−4−オン、2−アルキルフェニルアミノ−5−チアゾリン−4−オンなど。
(m)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(n)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(o)イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オンなど。
(p)3,5−ピラゾリジンジオン核:例えば1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン、1,2−ジメチル−3,5−ピラゾリジンジオンなど。
(q)ベンゾチオフェン−3−オン核:例えばベンゾチオフェン−3−オン、オキソベンゾチオフェンー3−オン、ジオキソベンゾチオフェンー3−オンなど。
(r)インダノン核:例えば1−インダノン、3−フェニル−1−インダノン、3−メチル−1−インダノン、3,3−ジフェニル−1−インダノン、3,3−ジメチル−1−インダノンなど。
なお、環を形成する場合のR2及びR3のσp値を規定することができないが、本発明においてはR2及びR3にそれぞれ環の部分構造が置換しているとみなして、環形成の場合のσp値を定義することとする。例えば1,3−インダンジオン環を形成している場合、R2及びR3にそれぞれベンゾイル基が置換したものとして考える。
2及びR3が結合して形成される環としては、好ましくは1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、またはインダノン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、またはインダノン核である。
3はヘテロ環であることが特に好ましい。ヘテロ環として特に好ましくは、ピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、これらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環、又はこれら縮環の複合体である。
一般式(1)中の2つのR2は、互いに同一でも異なってもよく、また、2つのR3は、互いに同一でも異なってもよい。
4で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は、R1a、R1bで説明した置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。R4で表される置換ホウ素の置換基は、R2及びR3について上述した置換基と同義であり、好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基である。また、R4で表される金属原子は、好ましくは遷移金属、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、又はスズであり、より好ましくはアルミニウム、亜鉛、スズ、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、イリジウム、又は白金であり、特に好ましくはアルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、又は白金である。
4で特に好ましくは置換ホウ素である。
4は、R1a、R1b及び/又はR3と共有結合もしくは配位結合しても良い。
一般式(1)中の2つのR4は、互いに同一でも異なってもよい。
前記一般式(1)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(2)、(3)又は(4)のいずれかで表される近赤外線吸収化合物である。
Figure 0005591515
(式中、Z1a及びZ1bは各々独立にアリール環もしくはヘテロアリール環を形成する原子団を表す。R5a及びR5bは各々独立に炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のカルバモイル基、ハロゲン原子、又はシアノ基のいずれか1つを表し、R5a又はR5bとZ1a又はZ1bとが結合して縮合環を形成しても良い。R22及びR23は各々独立にシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜20の含窒素ヘテロアリール基を表し、又はR22及びR23が結合して環状酸性核を表す。R4は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、金属原子、又は置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20のヘテロアリール基を有する置換ホウ素を表し、R23と共有結合もしくは配位結合を有しても良い。また、当該化合物は更に置換基を有しても良い。)
Figure 0005591515
(式中、R31a及びR31bは各々独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表す。R32はシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基を表す。R6及びR7は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数4〜10のヘテロアリール基を表し、R6及びR7は結合して環を形成してよく、形成する環としては炭素数5〜10の脂環、炭素数6〜10のアリール環、又は炭素数3〜10のヘテロアリール環である。R8及びR9は各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数3〜10のヘテロアリール基を表す。Xは酸素原子、イオウ原子、−NR−、−CRR’−、−CH=CH−を表し、R及びR’は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)
Figure 0005591515
(式中、R41a及びR41bは互いに異なる基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表す。R42はシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基を表す。Z2は−C=N−と共に含窒素ヘテロ5又は6員環を形成する原子団を表し、含窒素ヘテロ環としてはピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、これらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環、又はこれら縮環の複合体を表す。R44は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、金属原子、又は置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20のヘテロアリール基を有する置換ホウ素を表し、Z2が形成する含窒素ヘテロ環と共有結合もしくは配位結合を有しても良い。また、当該化合物は更に置換基を有しても良い。)
前記一般式(2)について説明する。
前記一般式(2)中、Z1a及びZ1bは各々独立にアリール環もしくはヘテロアリール環を形成する原子団を表す。形成されるアリール環、ヘテロアリール環は、前記一般式(1)におけるR2及びR3の置換基として説明したアリール基、ヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Z1a及びZ1bは同一であることが好ましい。
5a及びR5bは各々独立に炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のカルバモイル基、ハロゲン原子、又はシアノ基のいずれか1つを表す。具体例には、前記一般式(1)におけるR2及びR3で説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。R5a及びR5bは同一であることが好ましい。
5a又はR5bとZ1a又はZ1bとが結合し縮合環を形成しても良く、該縮合環としてはナフチル環、キノリン環などが挙げられる。
1a又はZ1bが形成するアリール環もしくはヘテロアリール環にR5a又はR5bで表される基を導入することで、不可視性を大きく向上することができる。
22及びR23は各々独立にシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜20の含窒素ヘテロアリール基を表し、又はR22及びR23が結合して環状酸性核を表す。具体的には、前記一般式(1)におけるR2及びR3で説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。R4は前記一般式(1)におけるR4と同義であり、好ましい範囲も同様である。R4はR23と共有結合もしくは配位結合を有しても良い。
前記一般式(2)で表される化合物は更に置換基を有しても良く、該置換基としてはR2及びR3の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(2)における好ましい組合せとしては、Z1a及びZ1bが各々独立にベンゼン環もしくはピリジン環を形成し、R5a及びR5bが各々独立にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基であり、R22及びR23が各々独立にヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はR22及びR23が結合した環状酸性核であり、R4が水素原子、置換ホウ素、遷移金属原子、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、スズである場合である。特に好ましい組合せとしては、Z1a及びZ1bが共にベンゼン環を形成し、R5a及びR5bが共にアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基であり、R22及びR23が各々独立に含窒素ヘテロ環基とシアノ基もしくはアルコキシカルボニル基との組合せ、又はR22及びR23が結合した環状酸性核であり、R4が水素原子、置換ホウ素、アルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、白金である場合である。
前記一般式(3)について説明する。
一般式(3)中、R31a及びR31bは各々独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表し、具体的には、前記一般式(1)におけるR1a及びR1bで説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。R31a及びR31bは同一であることが好ましい。
32はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR2の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。
6及びR7は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数4〜10のヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR2及びR3の置換基の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。また、R6及びR7は結合して環を形成してよく、形成する環としては炭素数5〜10の脂環、炭素数6〜10のアリール環、炭素数3〜10のヘテロアリール環であり、好ましい例としてはベンゼン環やナフタレン環、ビリジン環などが挙げられる。
6及びR7が置換した5員含窒素ヘテロ環を導入し、更にホウ素錯体とすることで、高い堅牢性、高い不可視性を両立する赤外線吸収色素を実現することができる。
8及びR9は各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数3〜10のヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR2及びR3の置換基の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Xは酸素原子、イオウ原子、−NR−、−CRR’−、−CH=CH−を表す。R及びR’は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表し、好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基である。
前記一般式(3)における好ましい組合せとしては、R31a及びR31bが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、ベンゼン環もしくはピリジン環であり、R32がシアノ基、アルコキシカルボニル基であり、R6及びR7が結合してベンゼン環もしくはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環を形成し、R8及びR9が各々独立に炭素原子1〜6のアルキル基、フェニル基、ナフチル基であり、Xが酸素原子、イオウ原子、−NR−、−CRR’−、−CH=CH−であり、R及びR’が各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基である場合である。特に好ましい組合せとしては、R31a及びR31bが共に炭素数1〜10のアルキル基またはベンゼン環であり、R32がシアノ基であり、R6及びR7が結合してベンゼン環もしくはピリジン環であり、R8及びR9が各々独立に炭素原子1〜6のアルキル基、フェニル基、ナフチル基であり、Xが酸素、硫黄である場合である。
前記一般式(4)について説明する。
一般式(4)中、R41a及びR41bは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表し、具体的には、前記一般式(1)におけるR1a及びR1bで説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。ただし、R41a及びR41bは互いに異なる基を表す。
42はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR2の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2は−C=N−と共に含窒素ヘテロ5又は6員環を形成する原子団を表し、含窒素ヘテロ環としてはピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、これらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環、又はこれら縮環の複合体を表す。
44は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、金属原子または置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20のヘテロアリール基を有する置換ホウ素を表し、Z2が形成する含窒素ヘテロ環と共有結合もしくは配位結合を有しても良い。
互いに異なるR41a及びR41bで表される基を導入し、Z2が−C=N−と共に形成する含窒素ヘテロ5又は6員環を導入することで、高い堅牢性および高い不可視性、優れた分散性、高い有機溶媒溶解性を付与することができる。
前記一般式(4)における好ましい組合せとしては、R41a及びR41bが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、ベンゼン環もしくはピリジン環であり、R42がシアノ基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基であり、Z2が−C=N−と共にチアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、又はこれらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環を形成し、R44が水素原子、置換ホウ素、遷移金属原子、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、又はスズである場合である。特に好ましい組合せとしては、R41a及びR41bが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基またはベンゼン環であり、R42がシアノ基であり、Z2が−C=N−と共にチアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、又はこれらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環を形成し、R44が水素原子、置換ホウ素(置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、ベンゼン環、ピリジン環、又はチオフェン環)、アルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、又は白金である場合である。
以下に、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物(色素化合物)の具体例を示すが、本発明は下記具体例に限定されるものではない。本明細書において、Etはエチル基を、Buはブチル基を表す。
Figure 0005591515
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Figure 0005591515
Figure 0005591515
次に、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物の合成法について説明する。
前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、該当するジケトピロロピロール化合物に、活性メチレン化合物を縮合させ、場合によっては、さらに、ホウ素や金属を反応させることで合成することができる。ジケトピロロピロール化合物は、「ハイパフォーマンス・ピグメンツ(High Performance Pigments)」,Wiley−VCH,2002年,160〜163ページに記載の方法で合成でき、より具体的な例としては米国特許第5,969,154号明細書や特開平9−323993号公報に記載の方法で合成できる。また、ジケトピロロピロール化合物と活性メチレン化合物との縮合反応やその後のホウ素化については、非特許文献Angewante Chemie International Edition of English,第46巻,第3750〜3753ページ(2007年)に従って合成できる。ホウ素化試薬はJ.Med.Chem.第3巻356〜360頁(1976年)を参考にして合成することができる。また、例えばブロモカテコールボランは東京化成工業社より購入して使用することができる。
前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、特に限定されないが、好ましくは700〜1200nm、より好ましくは700〜1000nmに吸収極大を有する。前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、波長700nm以上1000nm以下の赤外線を選択的に吸収することが好ましい。
また、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、モル吸光係数εは特に限定されないが、好ましくは50,000〜300,000であり、より好ましくは100,000〜250,000である。
前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、IR色素として好ましく用いることができる。不可視であるため化合物の色は透明であることが好ましいが、ごくわずかに緑色、灰色に着色していてもよい。
次に本発明の分散液について説明する。
本発明の近赤外線吸収分散液の分散媒は水系溶媒であることが好ましい。ここで、水系溶媒とは、水、または、水を主成分とし(好ましくは60質量%以上)アルコール等の水溶性有機溶媒を含んでいるものをいう。水溶性有機溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル等があげられる。また、近赤外線吸収化合物は、水性分散微粒子状態で用いることが好ましい。ここで、水性分散微粒子とは、分散媒としての水系溶媒に分散させた微粒子をいう。このとき、近赤外線吸収化合物の水溶性はほぼゼロであることが好ましい。
前記近赤外線吸収化合物を水性分散微粒子状態で用いると、微粒子内部にある化合物同士が会合することにより、高い耐光性と耐湿熱性とを付与できる。
本発明において、微粒子の粒径の測定装置には、ナノトラックUPA粒度分析計(UPA−EX150、商品名、日機装社製)を用いることができる。その測定は、微粒子分散体3mlを測定セルに入れ、所定の測定方法に従って行う。なお、測定時に入力するパラメーターとしては、粘度には溶媒の粘度を、分散粒子の密度には微粒子の密度を用いる。
微粒子の平均粒径は0.5μm以下が好ましく、さらに250nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、さらに好ましくは120nm以下である。平均粒径の下限に特に制限はないが、通常、1nm以上である。なお、微粒子の平均粒径とは、微粒子そのものの粒径、又は微粒子に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。
一般的な顔料などにおいては、分散微粒子の平均粒径が小さいほど、微粒子の表面積が大きいため発色性は高まり、吸収スペクトルはシャープになるが、同時に堅牢性も低くなることが知られている。また、分散微粒子の平均粒径が小さいほど、微粒子の凝集力が強くなるため、保存安定性の高い分散物を得ることが難しいことが知られている。しかし、本発明における分散微粒子は、平均粒径が小さく、シャープな吸収スペクトルを示すにも関わらず、高い堅牢性を有し、保存安定性にも優れる。
本発明の分散液における前記近赤外線吸収化合物の含有量は0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。このような含有量とすることにより、必要な近赤外線吸収性能と分散安定性等の特性が得られる。
本発明の分散液の極大吸収波長は、好ましくは700〜1200nmであり、より好ましくは700〜1000nmである。
また、本発明の分散液の550nmにおける吸光度は、極大吸収波長の吸光度に対して、好ましくは1/4以下、より好ましくは1/5以下である。
前記近赤外線吸収化合物の水性分散微粒子を作製する際、界面活性剤および分散剤を用いて分散の品質を向上させてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性の界面活性剤が挙げられ、いずれの界面活性剤を用いてもよいが、
アニオン性または非イオン性の界面活性剤を用いるのが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコン系等が挙げられる。
水性分散微粒子を作製する分散装置としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ロールミル、ジェットミル、ペイントシェイカー、アトライター、超音波分散機、ディスパー等が挙げられる。本発明の分散液の調製方法としては、分散媒中に前記近赤外線吸収化合物を加えて前記分散装置で微粒子分散させる方法が好ましい。
あるいは、あらかじめ微粒子とした前記近赤外線吸収化合物を用いて分散液を調製する方法を採用することもできる。具体的には、粗結晶として得られた近赤外線吸収化合物に対し、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の摩砕処理、溶媒加熱処理などによる微粒子制御工程、樹脂、界面活性剤および分散剤等による表面処理工程を行ったものを用いることができる。
本発明のインクは、上記の近赤外線吸収分散液を含んでなるインクジェット記録用インクもしくは印刷用インクである。
本発明のインクは、インク媒体中に前記近赤外線吸収化合物の分散微粒子を分散させた近赤外線吸収分散液を用いて作製することができる。このとき水性媒体を用いることが好ましい。必要に応じてその他の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、樹脂、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相または水相に添加してもよい。
インク媒体としては、平板印刷インク、グラビア印刷用インク、インクジェット記録用インク、紫外線硬化型インク等のインク媒体が利用でき、特に制限を受けない。それらの中で特に好ましいインク媒体は水を主成分とする水系媒体である。また、本発明においてインクに使用される水は、イオン交換水またはイオン交換した蒸留水が好ましい。
前記樹脂は、印刷物上で塗膜を形成し、色素微粒子を分散し、保護する目的で用いられる。好ましい樹脂は印刷インクの種類によって異なるが、水溶性樹脂または水分散性樹脂を用いることが好ましく、例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
さらに、印刷安定性、塗膜物性の観点からは、水分散性樹脂が好ましく、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が使用できる。
前記アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
前記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。上記ビニル樹脂は、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより架橋可能なポリマーとする。
前記ポリウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
前記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが挙げられる。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加してもよい。
尚、前記ポリマーの前記水性分散物の分散状態としては、前記ポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持つもの等いずれでもよい。なお、本発明におけるポリマーの水性分散物(または単に水分散物と呼ぶ)については「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」等に記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
なお、前記水分散物としては下記のような市販ポリマーを用いてもよい。
スーパフレックス830、460、870、420、420NS(第一工業製薬製ポリウレタン)、ボンディック1370NS、1320NS、ハイドランHw140SF、WLS201、WLS202、WLS213(大日本インキ化学工業製ポリウレタン)、オレスターUD350、UD500、UD600(三井化学製ポリウレタン)、ネオレッツR972、R966、R9660(楠本化成製ポリウレタン)、ファインテックスEs650、Es2200(大日本インキ化学工業製ポリエステル)、バイロナールMD1100、MD1400、MD1480(東洋紡製ポリエステル)、ジュリマーET325、ET410、AT−613、SEK301(日本純薬製アクリル)、ボンコートAN117、AN226(大日本インキ化学工業製アクリル)、ラックスターDS616、DS807(大日本インキ化学工業製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX110、LX206、LX426、LX433(日本ゼオン製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX513、LX1551、LX550、LX1571(日本ゼオン製アクリロニトリル−ブタジエンゴム)(いずれも商品名)。
前記乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
前記浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。前記浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール,ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
前記褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。前記褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチ・ディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
前記防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
前記pH調整剤としては前記中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。前記pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
前記表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。本発明のインクジェット用インクの表面張力は20〜60mN/mが好ましい。さらに25〜45mN/mが好ましい。また本発明のインクジェット用インクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましい。界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(商品名、AirProducts&Chemicals社製)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
前記消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
本発明のインクには、前述のとおり、水性媒体を含有させることが好ましい。水性媒体は水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
上記のインクジェット記録用インクの調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、同11−286637号、特願2000−87539号、同2000−80259号、同2000−78491号、同2000−203857号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクの調製にも利用できる。
本発明のインクにおいては、前記近赤外線吸収化合物を0.2〜20質量%含有させることが好ましく、0.1〜10質量%含有させることがより好ましい。また、本発明のインクには、前記近赤外線吸収化合物とともに、他の色素を併用してもよい。2種類以上の色素を併用する場合は、色素の含有量の合計を前記範囲とすることが好ましい。
なお、単色の画像を形成する場合やフルカラー画像を形成する場合にも、本発明の近赤外線吸収分散液中に、これらのインクに使用されている可視吸収色素もしくは顔料を含有してもよく、または本発明の近赤外線吸収分散液によるインクをこれらのインクとともに用いてもよい。ここで、フルカラー画像を形成するためには、マゼンタ色調インク、シアン色調インクおよびイエロー色調インクが挙げられ、また、色調を整えるために、さらにブラック色調インクが挙げられる。
本発明のインクを適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができる。紙類としては、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、上質紙、OCR用紙、アート紙、コート紙、ミラーコート紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などが挙げられ、ポリエステル、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリルなどのプラスティックフィルム、銅、アルミニウムなどの金属類などを組み合わせた加工紙などの複合紙基材を用いてもよい。各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
合成例1
[例示化合物(D−17)の調製]
下記スキームに従って、例示化合物(D−17)を調製した。
本明細書において、Prはプロピル基を表す。
Figure 0005591515
まず、ジケトピロロピロール化合物(DPP)を、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゾニトリルを原料にして、米国特許第5,969,154号明細書に記載された方法に従って、合成した。
ジケトピロロピロール化合物3グラム(1モル当量)と2−ベンゾチアゾールアセトニトリル1.6グラム(2.5モル当量)をトルエン60mL中で攪拌し、オキシ塩化リン6.5グラム(8モル当量)を加えて4時間加熱還流した。室温(25℃)に冷却してクロロホルム50mLと水20mLを加え、さらに30分攪拌した。分液操作により有機層を取り出し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒クロロホルム)で精製し、さらにクロロホルム/アセトニトリル溶媒を用いて再結晶し、目的化合物(D−17)を3.3グラム、収率70%で得た。
1H−NMR(CDCl3):δ0.9−1.0(m,12H),1.35−1.6(m,16H),1.8(m,2H),3.95(d,4H),7.1(d,4H),7.4−7.5(m,4H),7.7(d,4H),7.75(d,2H),8.0(d,2H)
合成例2
[例示化合物(D−10)の調製]
前記スキームに従い例示化合物(D−10)を調製した。
ジフェニルボリン酸2−アミノメチルエステル(1.4g、3モル当量)のトルエン溶液(1.2M)に塩化チタン(0.9mL、3モル当量)を添加し、30分間、外接温度100℃で攪拌した。次に、例示化合物(D−17)(2.3g)のトルエン混合液(0.2M)を添加し、さらに2時間加熱還流条件で攪拌した。室温まで冷やし、メタノールを加えたところ、結晶が析出したため、これをろ別し、クロロホルム/メタノールで再結晶を行い、例示化合物(D−10)を3.0g、収率93%で得た。
λmaxはクロロホルム中で779nmであった。モル吸収係数は、クロロホルム中、2.06×105dm3/mol・cmであった。
1H−NMR(CDCl3):δ0.9−1.0(m,12H),1.35−1.6(m,16H),1.8(m,2H),3.85(d,4H),6.45(s,8H),7.0(d,4H),7.15(m,12H),7.2(m,2H),7.25(m,4H+4H),7.5(m,2H)
合成例3
[例示化合物(D−28)の調製]
例示化合物(D−28)を、原料を代えたこと以外は同様にして調製した。構造同定した1H−NMRを示す。
例示化合物(D−28)
1H−NMR(CDCl):δ1.9(s,6H),6.65(d,2H),6.7−6.8(m,6H),6.95(m,8H),7.0−7.1(m,4H),7.25−7.35(m,12H),7.5(m,2H),7.85(d,2H)
λmaxはクロロホルム中で752nmであった。モル吸収係数は、クロロホルム中、1.53×105dm3/mol・cmであった。
なお、例示化合物(D−10)、(D−28)の溶液吸収スペクトルを図1に示す。
例示化合物(D−10)、(D−28)はいずれも近赤外光の吸収性に優れ、400〜500nmの吸収が小さく、不可視性が非常に優れることがわかった。
合成例4
[例示化合物(D−133)の調製]
原料を代えたこと以外は上記と同様にして、例示化合物(D−133)を調製した。構造同定したH−NMRを示す。
例示化合物(D−133)
H−NMR(CDCl):δ0.9−1.0(m,12H),1.35−1.6(m,16H),1.8(m,2H),3.85(d,4H),6.4(m,4H),6.5−6.65(m,8H),7.1(d,2H),7.15−7.3(m,4H),7.65(d,2H)
λmaxはクロロホルム中で716nmであった。モル吸収係数は、クロロホルム中、1.24×10dm/mol・cmであった。
合成例5
[例示化合物(D−143)の調製]
原料を代えたこと以外は同様にして、例示化合物(D−143)を調製した。D−143はDMSOやクロロホルムへの溶解性が低く、H−NMR測定が困難であった。構造同定したMALDI−MASSスペクトルの結果を示す。計算値:〔M+〕=1100.42、実測値:〔M−H〕=1099.5
合成例6
[例示化合物(D−147)の調製]
原料を代えたこと以外は上記と同様にして、例示化合物(D−147)を調製した。構造同定したH−NMRを示す。
例示化合物(D−147)
H−NMR(CDCl):δ0.9−1.0(m,12H),1.35−1.6(m,64H),1.8(m,2H),3.85(d,4H),6.45(s,8H),7.0(d,4H),7.15(m,12H),7.2(m,2H),7.25(m,4H+4H),7.5(m,2H)
λmaxはクロロホルム中で779nmであった。モル吸収係数は、クロロホルム中、1.60×10dm/mol・cmであった。
実施例1
(近赤外線吸収化合物の水性分散微粒子の製造)
下記表1に示す種類及び質量部の、近赤外線吸収化合物と分散剤とに、水を加え500質量部とした。これにさらに0.1mmφのジルコニアビーズを500質量部添加し、遊星型ボールミルにて300rpmで5時間処理を行い、ビーズを濾過で分離し、微細粒子からなる水性分散液A−1〜A−8を作製した。分散液A−1、A−4、A−7、及びA−8の吸収スペクトルを極大吸収波長で規格化したものを図2及び図3に示す。図2及び図3に示すとおり、A−1、A−4、A−7、及びA−8はともに550nmの吸光度が0.1以下であり、吸収可視部の吸収をほとんど有さず、高い不可視性を有することがわかった。また、赤外領域の吸収は非常にシャープであることがわかった。
また、ナノトラックUPA粒度分析計(UPA−EX150、商品名、日機装社製)によって水性分散液A−1〜A−8中の微細粒子の粒径を測定した。平均粒径を下記表1に示す。表1に示すように、A−1〜A−8は平均粒径が50nm以下の微粒子分散液であった。
Figure 0005591515
(水性分散液の保存安定性評価)
水性分散液A−1を4℃、25℃、60℃の条件下に14日間置き、分散液粘度、平均粒径、HPLC純度の変化を測定した。それぞれの結果を、図4〜図6に示す。
図4〜図6に示すように、水性分散液A−1の分散液粘度、平均粒径、HPLC純度は14日間でほとんど変化せず、水性分散液A−1の保存安定性が優れて高いことがわかった。
実施例2
(水性インクの作成・紙への塗布)
水性分散液A−1に、ポリエステル系ウレタン樹脂R9660(商品名、楠本化成製)を添加し、D−10の固形分濃度が1質量%、R9660の固形分濃度が3質量%となるように水で希釈して、水性インクを作成した。
作成した水性インクを、市販のフォトマット紙上にバーコーターNo.3を用いて塗布し、塗布サンプルB−1を得た。塗布サンプルB−1の反射スペクトルを図7に示す。
図7に示すように、塗布サンプルB−1は800〜850nmの平均反射率が10%と低く、450nm〜650nmの可視領域の平均反射率は71%と高いため、塗布部と非塗布部の境界が見た目に目立たなかった。また、可視光カットフィルタを備えたCCDカメラにより観察すると塗布部と非塗布部の境界は鮮明に認識することができた。
比較例1
特許文献5で用いられているナフタロシアニン化合物(R―1)を用いて、実施例1のA−1と同様の方法で水分散液A−6を作成し、ポリエステル系ウレタン樹脂R9660(商品名、楠本化成製)を添加し、R−1の固形分濃度が1質量%、R9660の固形分濃度が3質量%となるように水で希釈して、水性インクを作成した。
Figure 0005591515
作成した水性インクを、市販のフォトマット紙上にバーコーターNo.3を用いて塗布し、塗布サンプル(B−2)を得た。塗布サンプル(B−2)は、800〜850nmの平均反射率が16%、450nm〜650nmの可視領域の平均反射率は58%であった。以上より、本発明の塗布サンプルB−1は、比較例サンプルB−2に比べ、不可視性が非常に優れることがわかった。
実施例3
(インクジェット印刷インクの作成・紙へのインクジェット印刷)
水性分散液A―1の80質量部に、グリセリン5質量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10質量部、2−ピロリドン5質量部を添加し、D−10の固形分濃度が2.4質量%である水性インクジェット記録用インクを作成した。
作成したインクジェットインクを、空のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンター(PX−V630、商品名、セイコーエプソン社製)でフォトマット紙上に印刷し、インクジェット印刷サンプルC−1を得た。C−1の反射スペクトルを図8に示す。
図8に示すように、インクジェット印刷サンプルC−1は800〜850nmの反射率が低く、可視領域の反射率は高いため、塗布部と非塗布部の境界が見た目に全く目立たなかった。また、可視光カットフィルタを備えたCCDカメラにより観察すると塗布部と非塗布部の境界は鮮明に認識することができた。
比較例2
水性分散液をA−1からA―6に変更した以外は実施例2と同様の方法で、水性インクジェット記録用インクを作成し、そのインクを用いてインクジェット印刷サンプルC−2を得た。
(耐光性試験)
得られた塗布サンプルB−1とインクジェット印刷サンプルC−1、および比較サンプルB−2、C−2を、それぞれ22万ルクスのキセノンランプにて48時間照射した。照射前後の800〜850nmにおける極小反射率の変化を表2に示す。なお、残存率は反射率の値を吸光度に変換して算出した。すなわち、残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100として算出した。
Figure 0005591515
表2から明らかなように、本発明のサンプルB−1は、比較例サンプルB−2に比べ、耐光性に優れることが分かる。また、本発明のインクジェット印刷サンプルC−1は、比較例サンプルC−2に対して耐光性が優れる。
以上の結果、本発明の近赤外線吸収分散液から作製した塗膜は良好な近赤外線吸収性と不可視性を有することがわかる。また、本発明の近赤外吸収分散液は高い保存安定性を有し、該分散液を用いたインクが塗布された印刷物は高い耐光性を有する、という優れた特徴を有する。本発明の近赤外線吸収分散液を使用することにより、良好な近赤外線吸収性と不可視性を有する印刷物を作製できる良好な近赤外線吸収性の水性インク、インクジェット記録用インクを調製できる。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物を分散媒中に微粒子分散させてなる近赤外線吸収分散液。
    Figure 0005591515
    (式中、R1a及びR1bは同じであっても異なっても良く、各々独立にアルキル基、または、アルキル基、アリール基、分岐アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される置換基を有してもよいアリール基またはヘテロアリール基を表す。R及びRは各々独立に水素原子、シアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、カルボキシル基またはヘテロ環基を表し、少なくとも一方はHammettのσp値が0.2以上の電子吸引性基であり、R及びRは結合して環を形成しても良い。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素(該置換ホウ素の置換基はハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である)または金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はRと共有結合もしくは配位結合しても良い。
  2. 前記Rが前記置換ホウ素であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収分散液。
  3. 前記分散媒が水系溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収分散液。
  4. 前記微粒子の平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収分散液。
  5. 極大吸収波長が700nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収分散液。
  6. 550nmにおける吸光度が極大波長における吸光度の1/5以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の近赤外線吸収分散液。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載の近赤外線吸収分散液を含有してなるインク。
  8. 請求項1〜6いずれか1項に記載の近赤外線吸収分散液を含有してなるインクジェット記録用インク。
  9. 請求項7に記載のインクを用いて近赤外線吸収画像を印刷した印刷物。
  10. 請求項8に記載のインクジェット記録用インクを用いて近赤外線吸収画像を印刷した印刷物。
  11. 近赤外線吸収分散液の製造方法であって、下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物を分散媒中に微粒子分散させることを特徴とする近赤外線吸収分散液の製造方法。
    Figure 0005591515
    (式中、R1a及びR1bは同じであっても異なっても良く、各々独立にアルキル基、または、アルキル基、アリール基、分岐アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される置換基を有してもよいアリール基またはヘテロアリール基を表す。R及びRは各々独立に水素原子、シアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、カルボキシル基またはヘテロ環基を表し、少なくとも一方はHammettのσp値が0.2以上の電子吸引性基であり、R及びRは結合して環を形成しても良い。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素(該置換ホウ素の置換基はハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基である)または金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はRと共有結合もしくは配位結合しても良い。
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