JP5583080B2 - ウエハ加工用テープおよびそれを用いた半導体加工方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記の様なダイシング・ダイボンディングテープは、高速回転する薄型砥石で半導体ウエハとともに接着剤層を切削した場合、個片化されたはずの接着剤層が一部再癒着し、ピックアップする際に半導体チップの一部が隣接する半導体チップと繋がったままダイボンディング工程に供されてしまう、所謂「ダブルダイエラー」が発生し、工程の歩留まりが悪化するという欠点があった。
支持基材と粘着剤層とからなる粘着テープの該粘着剤層に、エポキシ基を有する化合物を含む熱硬化性の接着剤層が積層され、貼合された半導体ウエハを個片化する際に該半導体ウエハと前記接着剤層および前記粘着剤層とが切削されるとともに前記支持基材が厚み方向に所定深さ切削されるウエハ加工用テープにおいて、
前記支持基材は、エチレン−(メタ)アクリル酸2元共重合体またはエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体を、金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂よりなり、
前記共重合体中の前記(メタ)アクリル酸成分の重量分率は、1%以上10%未満であり、且つ前記アイオノマー樹脂中の前記(メタ)アクリル酸の中和度は、50%以上であることを特徴とする。
前記粘着剤層は、一層もしくは二層以上の構造を有し、その内の少なくとも一層がエネルギー線硬化型粘着剤で形成されていることを特徴とする。
前記ウエハ加工用テープに半導体ウエハを貼合する工程と、
次いで、高速回転する薄型砥石を用いて前記半導体ウエハと前記ウエハ加工用テープの前記接着剤層および前記粘着剤層とを切削するとともに、該ウエハ加工用テープの前記支持基材を厚み方向に10μm以上切削して、該半導体ウエハおよび該接着剤層を個片化する工程と、
次いで、前記ウエハ加工用テープの前記粘着テープを拡張した状態で、個片化された前記半導体ウエハを一つずつピックアップする工程と、
を有することを特徴とする。
前記支持基材の厚みは、60μm以上であり、
前記個片化する工程では、前記支持基材を厚み方向に10〜30μm切削することを特徴とする。
高速回転する薄型砥石を用いたダイシング工程において、個片化されたはずの接着剤層が一部再癒着する所謂「ダブルダイエラー」の発生について、本発明者らは半導体ウエハとともに切削された接着剤層の屑を含む切削屑の集合体が、図6に示すように隣接する半導体チップ同士の間に詰まることで、隣接する半導体チップ同士の再癒着を引き起こすことが原因であることを見出した。
ダイシング・ダイボンディングテープの接着剤層中から、エポキシ基を有する化合物を除けば、該接着剤層の熱硬化による接着性能が低下するにともなって、ダイシング工程で発生する切削屑中の接着剤成分に由来する接着力も低下する。その結果、隣接する半導体チップ間の再癒着部分も脆化して、ダブルダイエラーの発生を抑制できるが、その様な場合は、接着剤層の半導体チップに対する接着力が低下して、本来の性能が損なわれてしまう。
よって、ダブルダイエラー発生の抑制策としては、接着材層に含まれるエポキシ基を有する化合物を減らすことなしに、接着剤成分を含む切削屑による半導体チップ同士の再癒着を脆化する様な方法が求められる。
支持基材(アイオノマー樹脂)における共重合体中の(メタ)アクリル酸成分の重量分率が1%以上であれば、支持基材に均一拡張性を期待でき、3%以上であれば、更に支持基材の均一拡張性が期待できる。
例えば、熱分解GC−msスペクトルのピークから、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体のアルキルエステルドメインにおけるアルキル基を同定できる。
また、1H−NMRを用いれば、エチレン−(メタ)アクリル酸2元共重合体のアイオノマー樹脂における(メタ)アクリル酸単位のα位水素或いは(メタ)アクリル酸単位のメチル基の水素のピークの積分値をエチレン単位の水素のピークの積分値と比較することで定量できる。(メタ)アクリル酸単位のメチル基に由来するピークと、化学シフトの近いエチレン末端や(メタ)アクリル酸アルキルエステルのエステル末端に由来するピークが、互いに一部重なり合って観測される場合は、(メタ)アクリル酸単位のメチル基に由来するピークの方がより低磁場側にピークが現れるので、低磁場側積分によって(メタ)アクリル酸成分の分率を見積もることができる。エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体についても、やはり1H−NMRを用いることで、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルエステルのα位水素或いは(メタ)アクリル酸単位のメチル基の水素のピークから、(メタ)アクリル酸の分率と(メタ)アクリル酸アルキルエステルの分率の合計を定量でき、さらに(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位の分率をアルキル基の1位炭素に結合した水素のピークから、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのみの分率を定量できるので、(メタ)アクリル酸の重量分率を計算できる。
このような支持基材をダイシング・ダイボンディングテープ等のウエハ加工用テープに適用することで、ダブルダイエラーの発生を抑制することができ、加えて、ダイシング工程における支持基材への切りこみ量を深くする程、その効果は大きくなる。一方、支持基材への切りこみ量を必要以上に大きくすると、テープ拡張時に破断する虞がある。
支持基材への切りこみ量は厚み方向へ10μm以上切削するのであれば、ダブルダイエラーの発生抑制に十分な効果があり、支持基材に厚み方向へ30μm以下の切削を行い、且つ該支持基材の厚みが60μm以上であれば、支持基材の破断を防止できる。
本実施形態では、ウエハ加工用テープとしてダイシング・ダイボンディングテープを例示して説明することとする。
図1に示すように、ダイシング・ダイボンディングテープ10は、支持基材12aとその上に形成された粘着剤層12bとからなる粘着テープとしてのダイシングテープ12上に、接着剤層13が積層されて構成されている。図1においては、接着剤層13を保護するため、剥離ライナー11がダイシング・ダイボンディングテープ10に設けられている様子が示されている。
また、ダイシングテープ12及び接着剤層13は、使用工程や装置にあわせて予め所定形状に切断(プリカット)されていてもよい。
また、ダイシング・ダイボンディングテープ10は、半導体ウエハ一枚分ごとに切断された形態のものであってもよいし、これが複数形成された長尺のシートをロール状に巻き取った形態のものであってもよい。
半導体装置の製造工程の中で、ダイシング・ダイボンディングテープ10は、以下の様に使用される。
図2には、ダイシング・ダイボンディングテープ10に、半導体ウエハ1とリングフレーム20とが貼り合わされた様子が示されている。
なお、一回の切削によって半導体ウエハ1表面から所定の深さまで切削してもよいし、複数回の切削によって所定に深さまで切削してもよい。
具体的には、薄型砥石21によって半導体ウエハ1と接着剤層13とをダイシングするため、吸着ステージ22により、ダイシング・ダイボンディングテープ10をダイシングテープ12側から吸着支持する。
そして、高速回転する薄型砥石21によって半導体ウエハ1および接着剤層13を半導体チップ単位に切断して個片化する。
また、粘着剤層12bが二層以上の粘着剤層により積層されて構成されている場合、各粘着剤層の内の一層又は全層をエネルギー線硬化型粘着剤で形成し、エネルギー線照射によって硬化させて、各粘着剤層の内の該一層又は全層の粘着力を低下させてもよい。
なお、エネルギー線の照射に代えて、加熱などの外部刺激によってダイシングテープ12の粘着力を低下させてもよい。
具体的には、複数の半導体チップ2及び接着剤層13を保持した状態のダイシングテープ12に対して、中空円柱形状の突き上げ部材30を、ダイシングテープ12の下面側から上昇させ、ダイシングテープ12をリングフレーム20の径方向に引き伸ばす。これにより、エキスパンド工程により、半導体チップ2同士の間隔を広げ、ダイシング工程において発生した切削屑による半導体チップ2同士の再接着(再癒着)を破壊して、ピックアップ工程におけるダブルダイエラーの発生を防止することができる。
具体的には、ダイシングテープ12の下面側から半導体チップ2をピン31によって突き上げるとともに、ダイシングテープ12の上面側から吸着冶具32で半導体チップ2を吸着することで、半導体チップ2を接着剤層13とともにピックアップする。
具体的には、ピックアップ工程で半導体チップ2とともにピックアップされた接着剤層13(接着フィルム)により、半導体チップ2をリードフレームやパッケージ基板等に接着し、積層する。
接着剤層13は、半導体ウエハ1等が貼り合わされてダイシングされた後、半導体チップ2をピックアップする際に、ダイシングテープ12から剥離して半導体チップ2に付着し、半導体チップ2を基板やリードフレーム等に固定する際の接着剤として使用されるものである。従って、接着剤層13は、ダイボンディング工程において、半導体チップ2を基板やリードフレーム等に接着固定するために、十分な接着信頼性を有するものである。
上記エポキシ基を有する化合物としては、硬化して接着作用を呈するものであれば特に制限はないが、二官能基以上で、500〜5000未満のエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジリエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジリエーテル化物、フェノール類のジグリシジリエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などの二官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂や複素環含有エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することもできる。
これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。
また、接着剤層13はダイシングテープ12の全面に積層してもよいが、予め貼り合わされる半導体ウエハ1に応じた形状に切断された(プリカットされた)接着フィルムを積層して、接着剤層13を形成してもよい。半導体ウエハ1に応じた接着フィルムを積層する場合、図2に示すように、半導体ウエハ1が貼り合わされる部分には接着剤層13があり、ダイシング用のリングフレーム20が貼り合わされる部分には接着剤層13がなくダイシングテープ12のみが存在する。一般に、接着剤層13は被着体と剥離しにくいため、プリカットされた接着フィルムを使用することで、リングフレーム20はダイシングテープ12に貼り合わすことができ、使用後のテープ剥離時にリングフレーム20への糊残りを生じにくいという効果が得られる。
ダイシングテープ12は、半導体ウエハ1をダイシングする際には、半導体ウエハ1が剥離しないように十分な粘着力を有し、ダイシング後の半導体チップ2をピックアップする際には、容易に接着剤層13から剥離できるよう低い粘着力を有するものであり、図1に示すように、支持基材12aに粘着剤層12bを設けたものである。
共重合体中の(メタ)アクリル酸成分の重量分率は1%以上10%未満であり、且つアイオノマー樹脂中のアクリル酸の中和度は50%以上である。
また、支持基材12aがエチレン−メタクリル酸2元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂よりなる場合、下記構造式2中の“b・Mwb/(a・Mwa+b・Mwb)”で規定される。
また、支持基材12aがエチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂よりなる場合、下記構造式3中の“m・Mwm/(n・Mwn+m・Mwm+l・Mwl)”で規定される。
また、支持基材12aがエチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル3元共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂よりなる場合、下記構造式4中の“b・Mwb/(a・Mwa+b・Mwb+c・Mwc)”で規定される。
なお、アイオノマー樹脂には必要に応じて、酸化防止剤、アンチブロック剤、レべリング剤、などを添加してもよい。
また、ピックアップ時にダイシングテープ12の下面側からピン31で半導体チップ2を突き上げて接着剤層13と粘着剤層12bとの剥離を促す場合を考慮して、支持基材12aの厚みは150μm以下が基材剛性の観点から好ましい。
なお、粘着剤層12bと支持基材12aの剥離を防止する為に、粘着剤層12bを積層する前の支持基材12aの表面に対して、コロナ放電やプラズマ照射、紫外線照射、その他の活性化処理を施してもよい。
また、支持基材12aの下面(粘着剤層12bが形成された面とは反対側の面)には、ダイシング・ダイボンディングテープ10をロール状に巻いた際のブロッキングを防止するため、表面に細かな凹凸を設けたり、滑り性を付与する様な公知のコーティング方法を施すなどしてもよい。
なお、粘着剤層12bの厚さは、特に限定されるものではなく適宜に設定してよいが、5〜30μmが好ましい。
具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートや、オリゴエステルアクリレート等、シリコンアクリレート等、アクリル酸や各種アクリル酸エステル類の共重合体等が適用可能である。
また、上記の様なアクリレート系化合物のほかに、ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。ウレタンアクリレート系オリゴマーは、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物と、多価イソシアナート化合物(例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアナートなど)を反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有するアクリレートあるいはメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなど)を反応させて得られる。
また、粘着剤層12bを形成する粘着剤として挙げた上記粘着剤の材料は、トリフルオロメチル基、ジメチルシリル基、長鎖アルキル基等の無極性基をなるべく多く分子構造中に含むことが、極性の高いエポキシ基を含む接着剤層13との剥離を容易にするうえで望ましい。
また、粘着剤層12bを形成する粘着剤(樹脂)には、放射線を粘着剤層12bに照射して該粘着剤層12bを硬化させる放射線重合性化合物の他、アクリル系粘着剤、光重合開始剤、硬化剤等を適宜配合して調製することもできる。
光重合開始剤を使用する場合、例えばイソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等を使用することができる。
したがって、支持基材12aが均一拡張性を有するとともに、半導体チップ2同士の再癒着部分を脆化できるので、ピックアップ時における半導体チップ2同士の再癒着を十分に抑制することができ、ダブルダイエラーの発生の更なる抑制が可能となる。
したがって、ダイシング・ダイボンディングテープ10を使用するとともに、ダイシング工程において、ダイシング・ダイボンディングテープ10の支持基材12aを厚み方向に10μm以上切削するので、ピックアップ時における半導体チップ2同士の再癒着をより一層十分に抑制することができ、ダブルダイエラーの発生の更なる抑制が可能となる。
したがって、支持基材12aの厚みが60μm以上であり、ダイシング工程において支持基材12aを厚み方向に10〜30μm切削するので、ダイシングテープ12を拡張しても支持基材12aが破断しないだけの強度を有するとともに、ピックアップ時における半導体チップ2同士の再癒着をほぼ完全に抑制することができる。
次いで、接着剤組成物を調整し、接着剤組成物を離型処理したポリエチレン−テレフタレートフィルムよりなる剥離ライナーに、乾燥後の厚さが60μmになるように、調
整した接着剤組成物を塗工し、110℃で3分間乾燥させて、剥離ライナー上に接着フィルム(接着剤層)を作成した。
そして、作成した粘着シート及び接着フィルムを図1に示す形状に裁断した後、粘着シートの粘着剤層側に接着フィルムを貼り合わせて、実施例1〜5及び比較例1〜6のサンプルを作成した。
以下に、支持基材A〜Kの作成方法、粘着剤組成物及び接着剤組成物の調整方法を示す。
メタクリル酸成分の重量分率が1%、該メタクリル酸の中和度が60%の、エチレン−メタクリル酸2元共重合体亜鉛アイオノマーの樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Aを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が3%、該メタクリル酸の中和度が50%の、エチレン−メタクリル酸2元共重合体亜鉛アイオノマーの樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Bを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が5%、該メタクリル酸の中和度が50%の、エチレン−メタクリル酸2元共重合体亜鉛アイオノマーの樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Cを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が9%、該メタクリル酸の中和度が60%の、エチレン−メタクリル酸2元共重合体亜鉛アイオノマーの樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Dを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が9%、メタクリル酸ブチルエステル成分の重量分率が12%、該メタクリル酸の中和度が70%の、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ブチルエステル3元共重合体亜鉛アイオノマーの樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Eを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が10%、該メタクリル酸の中和度が60%の、エチレン−メタクリル酸2元共重合体亜鉛アイオノマーの樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Fを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が0%の、市販の低密度ポリエチレン(ペトロセン217:東ソー株式会社製)の樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Gを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が5%、該メタクリル酸の中和度が0%の、エチレン−メタクリル酸2元共重合体の樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Hを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が9%、該メタクリル酸の中和度が0%の、エチレン−メタクリル酸メタクリル酸ブチルエステル3元共重合の樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Iを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が1%、該メタクリル酸の中和度が30%の、エチレン−メタクリル酸2元共重合体亜鉛アイオノマーの樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Jを得た。
メタクリル酸成分の重量分率が5%、該メタクリル酸の中和度が40%の、エチレン−メタクリル酸2元共重合体亜鉛アイオノマーの樹脂ビーズを140℃で溶融し、押し出し機を用いて厚さ100μmの長尺フィルム状に成形し、支持基材Kを得た。
n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタアクリレート共重合体(平均分子量50万、ガラス転移温度−40℃)に、放射性硬化性炭素−炭素二重結合を有する化合物としてトリメチロールプロパントリメタクリレートを20重量部、硬化剤としてポリイソシアネート化合物コロネートL(日本ポリウレタン株式会社製、商品名)7重量部、さらに光重合開始剤としてイルガキュア184(日本チバガイギー株式会社製、商品名)5重量部を加えて、放射線硬化性の粘着剤組成物を得た。
アクリル系共重合体(グリシジルアクリレート系共重合体)100重量部に、エポキシ基を有する化合物として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂100重量部を加え、更にキシレンノボラック型フェノール樹脂10重量部に、エポキシ硬化剤として2−フェニルイミダゾール5重量部とキシレンジアミン0.5重量部を配合して、平均粒径:0.012μmのナノシリカフィラー60重量部を加え、接着剤組成物を得た。
支持基材Aに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、実施例1のサンプルを作成した。
支持基材Bに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、実施例2のサンプルを作成した。
支持基材Cに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、実施例3のサンプルを作成した。
支持基材Dに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、実施例4のサンプルを作成した。
支持基材Eに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、実施例5のサンプルを作成した。
支持基材Fに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、比較例1のサンプルを作成した。
支持基材Gに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、比較例2のサンプルを作成した。
支持基材Hに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、比較例3のサンプルを作成した。
支持基材Iに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、比較例4のサンプルを作成した。
支持基材Jに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、比較例5のサンプルを作成した。
支持基材Kに上記調整した粘着剤組成物を塗工してダイシングテープを作成し、上記調整した接着剤組成物を該ダイシングテープに積層して、比較例6のサンプルを作成した。
(ピックアップ試験)
実施例1〜5及び比較例1〜6の各サンプルに、厚さ50μm、直径200mmのシリコンウェハを70℃で加熱貼合し、ダイシング装置(Disco製 DFD6340)を用いて5mm×5mmサイズにダイシングした。その際、ダイシング・ダイボンディングテープの接着剤層および粘着剤層を切削分割し、さらに支持基材を厚み方向に所定の深さ(0μm、10μm、20μm)で切削する様に装置を調整した。
次いで、ダイシングした各サンプルに、メタルハライドランプを用いて、200mJ/cm2の紫外線を照射した。
その後、各サンプルに対して、ピックアップ装置(キヤノンマシナリー製 CAP−300II)を用いて、図4に示す方法で、各サンプルのダイシングテープに5%の拡張を加えた状態で、各サンプルに100回ピックアップを試行し、その内、一つずつ個々に半導体チップがピックアップできた事例を成功として数えた。2つ以上の半導体チップが再癒着してピックアップされた事例は失敗とみなして数えた。
その評価の結果を表1および表2に示す。
これに対し、表2の結果から、支持基材における共重合体中の(メタ)アクリル酸成分の重量分率が1%以上10%未満であり、且つアイオノマー樹脂中の(メタ)アクリル酸の中和度が50%以上であるという条件を満たさない比較例1〜6のサンプルでは、支持基材を切削しない場合は、実施例1〜5のサンプルの支持基材を切削しない場合と同程度またはそれ以上の割合でピックアップ時における再癒着が発生し、支持基材を切削しても、ピックアップ時における再癒着が発生することが分かった。
以上から、支持基材における共重合体中の(メタ)アクリル酸成分の重量分率が1%以上10%未満であり、且つアイオノマー樹脂中の(メタ)アクリル酸の中和度が50%以上であれば、ダブルダイエラーの発生を十分に抑制できることが分かる。さらに、支持基材を厚み方向に10μm以上切削すれば、ダブルダイエラーの発生をより一層抑制できることが分かる。
2 半導体チップ
10 ダイシング・ダイボンディングテープ(ウエハ加工用テープ)
11 剥離ライナー
12 ダイシングテープ(粘着テープ)
12a 支持基材
12b 粘着剤層
13 接着剤層
20 リングフレーム
21 薄型砥石
22 吸着ステージ
30 突き上げ部材
31 ピン
32 吸着冶具
Claims (4)
- 支持基材と粘着剤層とからなる粘着テープの該粘着剤層に、エポキシ基を有する化合物を含む熱硬化性の接着剤層が積層され、貼合された半導体ウエハを個片化する際に該半導体ウエハと前記接着剤層および前記粘着剤層とが切削されるとともに前記支持基材が厚み方向に所定深さ切削されるウエハ加工用テープにおいて、
前記支持基材は、エチレン−(メタ)アクリル酸2元共重合体またはエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体を、金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂よりなり、
前記共重合体中の前記(メタ)アクリル酸成分の重量分率は、1%以上10%未満であり、且つ前記アイオノマー樹脂中の前記(メタ)アクリル酸の中和度は、50%以上であることを特徴とするウエハ加工用テープ。 - 前記粘着剤層は、一層もしくは二層以上の構造を有し、その内の少なくとも一層がエネルギー線硬化型粘着剤で形成されていることを特徴とする請求項1記載のウエハ加工用テープ。
- 請求項1または2記載のウエハ加工用テープを用いた半導体加工方法において、
前記ウエハ加工用テープに半導体ウエハを貼合する工程と、
次いで、高速回転する薄型砥石を用いて前記半導体ウエハと前記ウエハ加工用テープの前記接着剤層および前記粘着剤層とを切削するとともに、該ウエハ加工用テープの前記支持基材を厚み方向に10μm以上切削して、該半導体ウエハおよび該接着剤層を個片化する工程と、
次いで、前記ウエハ加工用テープの前記粘着テープを拡張した状態で、個片化された前記半導体ウエハを一つずつピックアップする工程と、
を有することを特徴とする半導体加工方法。 - 前記支持基材の厚みは、60μm以上であり、
前記個片化する工程では、前記支持基材を厚み方向に10〜30μm切削することを特徴とする請求項3記載の半導体加工方法。
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