JP5582516B2 - 繊維芽細胞増殖因子制御ペプチド - Google Patents
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Description
(2)下記(I)〜(V)のいずれかに記載のアミノ酸配列で示される上記(1)に記載のペプチド又はその塩。
(I)Gly-Ser-Leu-Tyr
(II)Ser-Leu-Tyr
(III)Gly-Ser-Leu
(IV)Leu-Tyr
(V)Leu-Tyr-Phe-Arg
(3)上記(1)又は(2)に記載のペプチドを有効成分として含有することを特徴とする、繊維芽細胞成長因子5様活性を有する薬剤。
(4)上記(1)又は(2)に記載のペプチドを有効成分として含有することを特徴とする、繊維芽細胞成長因子5の活性促進剤。
(5)上記(1)又は(2)に記載のペプチドを有効成分として含有することを特徴とする、FGF5の欠乏により生ずる疾患の治療剤。
(6)上記(1)又は(2)に記載のペプチドを有効成分として含有することを特徴とする、毛髪成長阻害剤又は脱毛剤。
(7)上記(1)又は(2)に記載のペプチドを有効成分として含有することを特徴とする、チロシナーゼ阻害剤。
(8)上記(1)又は(2)に記載のペプチドを有効成分として含有することを特徴とする、美白又は日焼け防止剤。
したがって、本発明によれば、より低分子量で、安価なFGF5様作用を有する薬剤あるいはFGF5様活性促進作用を有する薬剤を提供することが可能となり、FGF5様活性あるいはその促進作用を有効に利用できる皮膚外用剤として、特に毛髪成長阻害剤及び脱毛剤、チロシナーゼ阻害剤もしくは美白剤あるいは日焼防止剤等の開発に大いに貢献することができる。すなわち、本発明は、FGF5アゴニストペプチドを有効成分として含有し、毛髪成長阻害剤や脱毛剤、および美白剤などの皮膚外用剤として極めて有用な医薬組成物、医薬部外品組成物または化粧料を提供するものである。
本発明におけるペプチドを具体的に挙げると、例えば、以下のアミノ酸配列を有するものが挙げられる。
(I)Gly-Ser-Leu-Tyr(配列番号1)
(II)Ser-Leu-Tyr
(III)Gly-Ser-Leu
(IV)Leu-Tyr
(V)Leu-Tyr-Phe-Arg(配列番号2)
本発明のペプチドは少なくともFGF5様作用を有するほか、FGF5の活性をさらに増強・促進する作用も有する。したがって、本発明のペプチドは、毛髪成長阻害作用、繊維芽細胞の増殖作用、脳神経系の栄養または機能調節作用、毛髪成長阻害作用、チロシナーゼ阻害作用、美白作用および紫外線防御作用等を有し、FGF5欠乏が原因で生じる様々な症状、疾患を改善乃至治療し得る。
さらに、FGF5及びこれらのペプチドを同時添加した結果、各ペプチドはFGF5による細胞増殖活性を促進することも確認されている。また、何れのペプチドも該細胞のInterleukin -3による細胞増殖に対しては作用せず、本発明のペプチドは、FGF5に対して高い特異性を有するFGF5の活性促進剤となりうるものである。
同実施例1(2)は、本発明のアミノ酸配列(I)〜(V)のペプチドが、FGF5により増殖するR1c/Ba/F3細胞に対して、単独でFGF5様の細胞増殖活性を示すものである。これらのペプチドは、また、FGF5によるR1c/Ba/F3細胞の増殖を更に促進し、FGF5活性促進作用を有することを示した。
実施例2は、本発明のアミノ酸配列(IV)のペプチドの in vivo 作用について、毛周期の休止期にあるC3H/Heマウスに塗布することによって試験し、当該ペプチドには、発毛抑制剤としての作用があることを示したものである。
(1) R1c/Ba/F3細胞は以下の参考文献1に記載されているそれ自体公知の方法に従い作成した。すなわちヒトFGFR-1(III)cプラスミド(参考文献2)を電気せん孔法によりBa/F3細胞に挿入した。10% FBS、500μg/mlの抗Antibiotic G-418 Sulfate(プロメガ社)、10 ng/mlのFGF1と10μg/mlのheparinを含むRPMI培地で継代培養して形質転換させた安定なR1c/Ba/F3細胞を得た。
参考文献1;Yoneda, A., Asada, M., Oda, Y., Suzuki, M. and Imamura, T., 2000. Engineering of an FGF-proteoglycan fusion protein with heparin-independent, mitogenic activity. Nat. Biotec. 18(6):641-644.
参考文献2;Ornitz, DM., Xu, J., Colvin, JS., McEwen, DG., MacArthur, CA., Coulier, F., Gao, G. and Goldfarb, M., 1996. Receptor specificity of the fibroblast growth factor family. J. Biol. Chem. 271(25):15292-15297.
一方、図1bは、本発明の(I)〜(IV)のぺプチド(終濃度1mM)について、FGF5による細胞増殖活性を更に促進する作用(FGF5活性促進作用)について示したグラフである。図1bによれば、本発明のぺプチドのFGF5活性促進作用は、アミノ酸配列(IV)のペプチドでは、FGF5無添加でペプチド(IV)(1mM)の単独添加による細胞増殖は、450 nmの発色量で0.018であったが、FGF5及びペプチドを添加すると発色量は0.057増大し、ペプチド単独添加により誘導される細胞増殖活性を大幅に上回っていた。この結果は、当該ペプチドには、FGF5活性を増強するFGF5活性促進作用を有することが示された。FGF5の活性増強・促進作用は、本発明の(I)〜(IV)のぺプチドすべてについて示された。
一方、図3bは、本発明のアミノ酸配列(V)のペプチド(終濃度1mM及び0.1mM)について、FGF5による細胞増殖活性を更に促進する作用(FGF5活性促進作用)について示したグラフである。図3bによれば、本発明のぺプチドのFGF5活性促進作用は、アミノ酸配列(V)のペプチドでは、FGF5無添加で、ペプチド(V)(1mM)の単独添加による細胞増殖は、450 nmの発色量で0.029増大したが、FGF5存在下でペプチド(V)(1mM)を添加すると発色量は0.061増大し、ペプチド単独添加により誘導される細胞増殖活性を大幅に上回っていた。ペプチドの添加濃度を更に低くすると、FGF5存在下でペプチド(V)(終濃度0.1mM)を添加した場合では発色量の増大は0.009であり、添加濃度依存的にFGF5活性促進作用は低下した。この結果は、当該ペプチドには、FGF5活性を増強するFGF5活性促進作用を有することが示された。
FGF5様活性物質の in vivo での作用を見るために、毛周期の休止期にあるC3H/Heマウスで試験した。
ペプチド(IV)を生理的リン酸緩衝液(PBS(-))に溶解し、同量のエタノールを添加することによって、ペプチド(IV)の50%エタノール溶液を作製した。その後、グリセロールを1%になるように添加し、被験液とした。この様にして得られたペプチド(IV)溶液(49.5%エタノール、1%グリセロールを含有)について、毛周期の休止期にある7週齢のC3H/He 雄マウスの背部皮膚に塗布した。マウスに麻酔をし、背部毛をバリカンにより優しく剃毛した。剃毛後、被験液として12mMペプチド(IV)溶液(49.5%エタノール、1%グリセロールを含有)、陽性対照として、2%ミノキシジル溶液、陰性対照として、水−エタノール−グリセロール溶液(49.5%水、49.5%エタノール、1%グリセロールを含有)、200μl をそれぞれ1群5匹のマウス背部皮膚に塗布した(第0日)。同様にして、11日間(5日目、及び6日目を除く)に渡って毎日塗布し、第7日、10日、14日、17日、22日、24日目のマウス背部の発毛状態を目視により観察し、また、写真撮影を行うとともに、発毛スコアーを得た。発毛スコアーは、1)皮膚の黒化:1点、2)短かな毛並み:2点、3)通常の毛並み:3点とし、それぞれの発毛状態の面積が全剃毛面積に対して占める割合を%で示し、以下の式で求めた。本算出法によると、全剃毛面積が通常の毛並みに回復した場合、100点となる。
発毛スコアー=(皮膚の黒化面積の割合(%)×1+(短かな毛並み面積の割合(%)×2+通常毛並み面積の割合(%)×3)/3
第一回の塗布後、第7日、10日、14日、17日、22日、24日目におけるマウス背部の発毛状態を観察した結果、図2に示す通り、ペプチド(IV)溶液塗布群は、陰性対照群(水−エタノール−グリセロール溶液(49.5%水、49.5%エタノール、1%グリセロールを含有)塗布群)に比較して発毛スコアーが低く、発毛が有意に抑制された。
以下の処方に従ってヘアシャンプーを製造した。
(処方)
成 分 重量%
1.12mMペプチド(IV)溶液 0.1
2.ラウリルエーテル硫酸ナトリウムエタノール 20
3.ラウリル硫酸ナトリウム 10
4.1,3ブチレングリコール 1
5.香料 適量
6.精製水 残量(全量で100とする)
上記処方成分を80℃に加熱し、攪拌混合した後、攪拌冷却し本発明のヘアシャンプーを製造した。
以下の処方に従ってヘアリキッドを製造した。
(処方)
成 分 重量%
1.12mMペプチド(IV)溶液 0.1
2.エタノール 40
3.グリセリン 1
4.香料 適量
5.精製水 残量(全量で100とする)
上記処方成分を加えて攪拌溶解した後、精製水を加えてヘアリキッドを製造した。
この実施例は、本発明であるペプチドを用いたヘアクリームの処方及び製造法を示すものである。
以下の処方に従ってヘアクリームを製造した。
(処方)
成 分 重量%
1.12mMペプチド(IV)溶液 0.1
2.流動パラフィン 40
3.ワセリン 1
4.セトステアリルアルコール 1
5.メチルポリシロキサン 1
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
7.プロピレングリコール 5
8.香料 適量
9.精製水 残量(全量で100とする)
上記処方成分を攪拌混合し、本発明のヘアクリームを製造した。
Claims (5)
- 下記(I)又は(V)に記載のアミノ酸配列で示される、繊維芽細胞成長因子5様活性を有するペプチド又はその塩。
(I)Gly-Ser-Leu-Tyr
(V)Leu-Tyr-Phe-Arg - 下記(I)又は(V)に記載のアミノ酸配列で示されるペプチドを有効成分として含有することを特徴とする、繊維芽細胞成長因子5様活性を有する薬剤。
(I)Gly-Ser-Leu-Tyr
(V)Leu-Tyr-Phe-Arg - 下記(V)に記載のアミノ酸配列で示されるペプチドを有効成分として含有することを特徴とする、繊維芽細胞成長因子5の活性促進剤。
(V)Leu-Tyr-Phe-Arg - 下記(I)又は(V)に記載のアミノ酸配列で示されるペプチドを有効成分として含有することを特徴とするFGF5の欠乏により生ずる疾患の治療剤。
(I)Gly-Ser-Leu-Tyr
(V)Leu-Tyr-Phe-Arg - 下記(IV)に記載のアミノ酸配列で示されるペプチドを有効成分として含有することを特徴とする、毛髪成長阻害剤又は脱毛剤(但し、化粧品に適用する場合を除く)。
(IV)Leu-Tyr
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