以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる剥離システム1の構成の概略を示す平面図である。
剥離システム1では、図2及び図3に示すように被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとが接着剤Gで接合された重合基板としての重合ウェハTを、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を「接合面WJ」といい、当該接合面WJと反対側の面を「非接合面WN」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を「接合面SJ」といい、当該接合面SJと反対側の面を「非接合面SN」という。被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面WJに複数の電子回路が形成されている。また被処理ウェハWは、例えば非接合面WNが研磨処理され、薄型化(例えば厚みが50μm)されている。支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
重合ウェハTには、ダイシングフレームFとダイシングテープPが取り付けられている。ダイシングフレームFは、平面視において略矩形状を有し、且つ内側に重合ウェハTの外周部に沿った開口部が形成された環状形状を有している。そして重合ウェハTは、ダイシングフレームFの内側の開口部に配置される。なおダイシングフレームFには、例えばステンレス鋼が用いられる。またダイシングテープPは、ダイシングフレームFの表面FSと被処理ウェハWの非接合面WNに貼り付けられている。こうして、重合ウェハTはダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。なお、ダイシングテープPは、製作の都合上、ダイシングフレームFの表面FSの端部までは貼り付けられておらず、ダイシングテープPの厚みの分だけ、ダイシングフレームFの外周部においてダイシングテープPとの間に段差Bが存在している。
そして剥離システム1において、重合ウェハTは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持された状態で、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離される。また、剥離された被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持された状態で搬送され、後続の処理が行われる。
剥離システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハWと複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCW、CTが搬入出される第1の搬入出ステーション10と、外部との間で複数の被処理ウェハSを収容可能なカセットCSが搬入出される第2の搬入出ステーション11と、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置12と、剥離された被処理ウェハWを洗浄する洗浄装置13と、剥離システム1内で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送装置14とを有している。第1の搬入出ステーション10、第2の搬入出ステーション11、剥離装置12及び洗浄装置13は、搬送装置14の周囲に例えば平面視反時計回転方向においてこの順に並ぶように配置されている。
第1の搬入出ステーション10には、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20には、例えば2つのカセット載置板21が設けられている。カセット載置板21は、Y方向(図1中の左右方向)に並べて配置されている。これらのカセット載置板21には、剥離システム1の外部に対してカセットCW、CTを搬入出する際に、カセットCW、CTを載置することができる。このように第1の搬入出ステーション10は、複数の被処理ウェハWと複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、これら被処理ウェハWと重合ウェハTは、それぞれダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。また、第1の搬入出ステーション10において、カセット載置板21の個数は、本実施の形態に限定されず任意に決定することができる。
第2の搬入出ステーション11には、カセット載置台30が設けられている。カセット載置台30には、例えば1つのカセット載置板31が設けられている。カセット載置板31には、剥離システム1の外部に対してカセットCSを搬入出する際に、カセットCSを載置することができる。このように第2の搬入出ステーション11は、複数の支持ウェハSを保有可能に構成されている。また、カセット載置板31に隣接してX方向正方向(図1中の上方向)側には、被処理ウェハWの表裏面を反転させる反転装置32が配置されている。
次に、上述した剥離装置12の構成について説明する。剥離装置12は、図4に示すように処理容器40を有している。処理容器40の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。なお、処理容器40内には、搬送装置14が設置された領域からの雰囲気が流入するようになっている。また、被処理ウェハWと重合ウェハTは、それぞれダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
処理容器40の底面には、当該処理容器40の内部の雰囲気を吸引する吸気口41が形成されている。吸気口41には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置42に連通する吸気管43が接続されている。
処理容器40の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部50と、ダイシングフレームFの表面FSを吸着保持する第2の保持部51と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第3の保持部52とが設けられている。第1の保持部50と第2の保持部51はそれぞれ第3の保持部52の上方に設けられ、第1の保持部50は第3の保持部52と対向するように配置されている。すなわち、処理容器40の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTに剥離処理が行われる。
第1の保持部50は、図5に示すように略平板形状を有している。第1の保持部50の内部には、ダイシングテープPを介して被処理ウェハWの非接合面WNを吸着保持するための吸引管60が設けられている。吸引管60は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
また、第1の保持部50の内部には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構61が設けられている。加熱機構61には、例えばヒータが用いられる。
第2の保持部51は、第1の保持部50の外周部において当該第1の保持部50と一体に設けられている。すなわち、第2の保持部51は、ダイシングテープPの外側に配置されている。また、第2の保持部51には例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)が接続され、第2の保持部51はダイシングテープPの外側においてダイシングフレームFの表面FSを吸着保持することができる。なお、図6に示すように、第2の保持部51は複数個所、例えば4箇所に設けられている。4つの第2の保持部51は、ダイシングフレームFの各辺に等間隔に配置されている。
ここで、上述したようにダイシングフレームFの外周部には、ダイシングテープPとの間に段差Bが存在している。このため、第1の保持部50でダイシングフレームFを吸着保持しようとすると、当該第1の保持部50とダイシングフレームFとの間に段差Bによる隙間が生じる。すなわち、第1の保持部50はダイシングフレームFを直接吸着保持することができない。かかる場合、ダイシングフレームFが固定されないので、第1の保持部50によって被処理ウェハWを適切に保持されない。この点、本実施の形態では、第2の保持部51によってダイシングフレームFが吸着保持されるので、第1の保持部50によって被処理ウェハWも適切に保持される。
第3の保持部52は、図5に示すように略平板形状を有している。第3の保持部52の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管70が設けられている。吸引管70は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。なお、第3の保持部52は、弾性体である例えばアルミニウムが用いられる。
また、第3の保持部52の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構71が設けられている。加熱機構71には、例えばアルミニウムからなるヒータが用いられる。
図4に示すように第1の保持部50の上面には、当該第1の保持部50を支持する支持板80が設けられている。支持板80は、処理容器40の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板80を省略し、第1の保持部50は処理容器40の天井面に当接して支持されてもよい。
第3の保持部52の下方には、第3の保持部52及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構90が設けられている。移動機構90は、第3の保持部52を保持し、且つ第3の保持部52の外周部のみを鉛直方向に移動させる第1の移動部としての第1の鉛直移動部91と、第1の鉛直移動部91を保持し、且つ第1の鉛直移動部91と第3の保持部52を鉛直方向に移動させる第2の移動部としての第2の鉛直移動部92と、第1の鉛直移動部91、第2の鉛直移動部92及び第3の保持部52を水平方向に移動させる水平移動部93とを有している。第1の鉛直移動部91、第2の鉛直移動部92、水平移動部93は、鉛直方向に上からこの順で配置されている。
第1の鉛直移動部91は、第3の保持部52の外周部を円環状に鉛直方向に移動させる複数、例えば6つのシリンダ100と、第3の保持部52の中央部を支持する支持柱101と、シリンダ100と支持柱101を支持する支持板102とを有している。図7に示すように6つのシリンダ100は、支持板102と同一円周上に等間隔に配置されている。また、これらシリンダ100は、第3の保持部52の外周部に対応する位置に配置されている。支持柱101は、支持板102の中央部であって、第3の保持部52の中央部に対応する位置に配置されている。すなわち、シリンダ100によって第3の保持部52の外周部が鉛直下方に移動する際、当該第3の保持部52の中央部の鉛直方向の位置が変化しないように、支持柱101が配置されている。
第2の鉛直移動部92は、図4に示すように支持板102を昇降させる駆動部110と、支持板102を支持する支持部材111とを有している。駆動部110は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材111は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板102と水平移動部93との間に例えば3箇所に設けられている。
水平移動部93は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有し、第1の鉛直移動部91、第2の鉛直移動部92及び第3の保持部52を水平方向に移動させることができる。
なお、第3の保持部52の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第3の保持部52に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第3の保持部52の上面から突出可能になっている。
次に、上述した洗浄装置13の構成について説明する。洗浄装置13は、図8に示すように処理容器120を有している。処理容器120の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。なお、処理容器120内には内部の雰囲気を清浄化するためのフィルタ(図示せず)が設けられている。また、被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
処理容器120内の中央部には、ウェハ保持部130が設けられている。ウェハ保持部130は、図9に示すようにダイシングテープPを介して被処理ウェハWを保持して回転させるスピンチャック131と、ダイシングフレームFの表面FSを吸着保持する吸着パッド132とを有している。
スピンチャック131は水平な上面を有し、当該上面には例えばダイシングテープPを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。またスピンチャック131は、少なくとも被処理ウェハWを覆うよう設けられている。そして吸引口からの吸引により、ダイシングテープPを介して被処理ウェハWをスピンチャック131上に吸着保持できる。また被処理ウェハWは、その接合面WJが上方を向くようにスピンチャック131に吸着保持される。
吸着パッド132は、スピンチャック131の外周部上に設けられている。すなわち、吸着パッド132は、ダイシングテープPの外側に配置されている。また、吸着パッド132には例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)が接続され、吸着パッド132はダイシングテープPの外側においてダイシングフレームFの表面FSを吸着保持することができる。なお、図10に示すように、吸着パッド132は複数個所、例えば8箇所に設けられている。
ここで、上述したようにダイシングフレームFの外周部には、図9に示すようにダイシングテープPとの間に段差Bが存在している。このため、スピンチャック131でダイシングフレームFを吸着保持しようとすると、当該スピンチャック131とダイシングフレームFとの間に段差Bによる隙間が生じる。すなわち、スピンチャック131はダイシングフレームFを直接吸着保持することができない。かかる場合、ダイシングフレームFが固定されないので、スピンチャック131によって被処理ウェハWを適切に保持されない。この点、本実施の形態では、吸着パッド132によってダイシングフレームFが吸着保持されるので、ウェハ保持部130によって被処理ウェハWも適切に保持される。
ウェハ保持部130の下方には、図8に示すように例えばモータなどを備えたチャック駆動部133が設けられている。スピンチャック131は、チャック駆動部133により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部133には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック131は昇降自在になっている。
ウェハ保持部130の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ134が設けられている。カップ134の下面には、回収した液体を排出する排出管135と、カップ134内の雰囲気を真空引きして排気する排気管136が接続されている。
ウェハ保持部130の上方には、被処理ウェハWの接合面WJを洗浄するための洗浄治具140が設けられている。洗浄治具140は、ウェハ保持部130に保持された被処理ウェハWに対向して配置されている。
洗浄治具140は、図9及び図11に示すように略円板形状を有している。洗浄治具140の下面には、少なくとも被処理ウェハWの接合面WJを覆うように供給面141が形成されている。なお、本実施の形態においては、供給面141と接合面WJはほぼ同じ大きさである。
洗浄治具140の中央部には、供給面141と接合面WJとの間の隙間142に接着剤Gの溶剤、例えばシンナーを供給する溶剤供給部150と、隙間142に溶剤のリンス液を供給するリンス液供給部151と、隙間142に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する不活性ガス供給部152とが設けられている。溶剤供給部150、リンス液供給部151、不活性ガス供給部152は、洗浄治具140の内部において合流し、洗浄治具140の供給面141に形成された供給口153に連通している。すなわち、溶剤供給部150から供給口153までの溶剤の流路、リンス液供給部151から供給口153までのリンス液の流路、不活性ガス供給部152から供給口153までの不活性ガスの流路は、それぞれ洗浄治具140の厚み方向に貫通している。なお、リンス液には接着剤Gの主溶媒の成分に応じて種々の液が用いられ、例えば純水やIPA(イソプロピルアルコール)が用いられる。また、リンス液の乾燥を促進させるため、リンス液には揮発性の高い液を用いるのが好ましい。
溶剤供給部150には、内部に溶剤を貯留する溶剤供給源154に連通する供給管155が接続されている。供給管155には、溶剤の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群156が設けられている。リンス液供給部151には、内部にリンス液を貯留するリンス液供給源157に連通する供給管158が接続されている。供給管158には、リンス液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群159が設けられている。不活性ガス供給部152には、内部に不活性ガスを貯留する不活性ガス供給源160に連通する供給管161が接続されている。供給管161には、溶剤の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群162が設けられている。
洗浄治具140の外周部には、供給面141と接合面WJとの間の隙間142の溶剤やリンス液を吸引するための吸引部170が設けられている。吸引部170は、洗浄治具140の厚み方向に貫通して設けられている。また吸引部170は、洗浄治具140と同一円周上に等間隔に複数、例えば8箇所に配置されている。各吸引部170には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置171に連通する吸気管172が接続されている。
図8に示すように処理容器120の天井面であって、洗浄治具140の上方には、洗浄治具140を鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構180が設けられている。移動機構180は、洗浄治具140を支持する支持部材181と、支持部材181を支持し、洗浄治具140を鉛直方向及び水平方向に移動させるための治具駆動部182とを有している。
また処理容器120の内部には、図10及び図12に示すように搬送装置14からウェハ保持部130に被処理ウェハWを受け渡すための受渡アーム190を有している。受渡アーム190は、ダイシングフレームFの外周部を保持できるように円環形状を有している。受渡アーム190の下面には、フレーム保持部191が複数個所、例えば4箇所に設けられている。フレーム保持部191には例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)が接続され、フレーム保持部191は被処理ウェハWが取り付けられたダイシングフレームFを吸着保持することができる。
受渡アーム190は、一対の伸縮部材192、192に支持されている。伸縮部材192は、水平方向(図10中のX方向)に伸縮自在に構成されている。また伸縮部材192は、図10中のY方向に延伸する支持部材193に支持されている。支持部材193の両端部には、当該支持部材193を鉛直方向に昇降させる昇降機構194が設けられている。昇降機構194には、例えばシリンダ等が用いられる。かかる構成により、受渡アーム190は、水平方向に移動自在であると共に、鉛直方向に昇降自在に構成されている。
次に、上述した搬送装置14の構成について説明する。搬送装置14は、図13に示すように重合ウェハT又は被処理ウェハWを保持して搬送する第1の搬送アーム200と、支持ウェハSを保持して搬送する第2の搬送アーム201を有している。なお、第1の搬送アーム200で搬送される重合ウェハTと被処理ウェハWは、それぞれダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
第1の搬送アーム200は、図14に示すように先端が2本の先端部202a、202aに分岐したアーム部202と、このアーム部202と一体に形成され、且つアーム部202を支持する支持部203とを有している。アーム部202の各先端部202aには、ダイシングフレームF又はダイシングテープPを介して重合ウェハT又は被処理ウェハWを吸着して保持する吸着パッド204が設けられている。第1の搬送アーム200は、このアーム部202上に重合ウェハT又は被処理ウェハWを水平に保持することができる。
第2の搬送アーム201は、図15に示すように支持ウェハSよりも大きい径の略3/4円環状に構成されたアーム部205と、このアーム部205と一体に形成され、且つアーム部205を支持する支持部206とを有している。アーム部205には、内側に向かって突出し、支持ウェハSの角部を保持する保持部207が例えば4箇所に設けられている。第2の搬送アーム201は、この保持部207上に支持ウェハSを水平に保持することができる。
搬送アーム200、201の基端部には、図13に示すようにアーム駆動部208が設けられている。このアーム駆動部208により、各搬送アーム200、201は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム200、201とアーム駆動部208は、基台209に支持されている。基台209の下面には、シャフト210を介して回転駆動部211が設けられている。この回転駆動部211により、基台209及び搬送アーム200、201はシャフト210を中心軸として回転でき、且つ昇降できる。
以上の剥離システム1には、図1に示すように制御部250が設けられている。制御部250は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、剥離システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、剥離システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部250にインストールされたものであってもよい。
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットCTと空のカセットCWが、第1の搬入出ステーション10の所定のカセット載置板21に載置される。また空のカセットCSが、第2の搬入出ステーション11の所定のカセット載置板31に載置される。その後、搬送装置14の第1の搬送アーム200によりカセットCT内の重合ウェハTが取り出され、剥離装置12に搬送される。このとき、重合ウェハTは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持され、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
剥離装置12に搬入された重合ウェハTは、第3の保持部52に吸着保持される。その後、図16に示すように移動機構90の第2の鉛直移動部92により第3の保持部52を上昇させて、第1の保持部50と第3の保持部52で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部50によりダイシングテープPを介して被処理ウェハWの非接合面WNが吸着保持されると共に、第2の保持部51にダイシングフレームFの表面FSが吸着保持され、また第3の保持部52に支持ウェハSの非接合面SNが吸着保持される。
その後、加熱機構61、71によって重合ウェハTが所定の温度、例えば200℃に加熱される。そうすると、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。
続いて、加熱機構61、71によって重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図17に示すように移動機構90の第1の鉛直移動部91によって第3の保持部52の外周部のみを円環状に鉛直下方に移動させる。すなわち、シリンダ100によって第3の保持部52の外周部が鉛直下方に移動する際、第3の保持部52の中央部が支持柱101に支持され、当該第3の保持部52の中央部の鉛直方向の位置が変化しない。
かかる場合、第3の保持部52に保持された支持ウェハSが、その外周部から中心部に向けて第1の保持部50及び第2の保持部51に保持された被処理ウェハWから連続的に剥離される。ここで、上述したように被処理ウェハWの接合面WJには電子回路が形成されているため、被処理ウェハWと支持ウェハSを一度に剥離しようとすると、接合面WJ、SJに多大な荷重がかかり、接合面WJ上の電子回路が損傷を被るおそれがある。この点、本実施の形態では、外周部から中心部に向けて支持ウェハSが被処理ウェハWから連続的に剥離されるので、接合面WJ、SJに大きな荷重がかからない。したがって、電子回路の損傷を抑制することができる。
その後、被処理ウェハWの中心部と支持ウェハSの中心部のみが接着した状態で、図18に示すように第2の鉛直移動部92によって第3の保持部52全体を鉛直下方に移動させる。そして、支持ウェハSの外周部が鉛直下方に撓んだ状態で、支持ウェハSが被処理ウェハWから剥離される。その後、図19に示すように第1の鉛直移動部91によって第3の保持部52と支持ウェハSの外周部が鉛直上方に移動され、当該第3の保持部52と支持ウェハSが平坦化される。こうして、第1の保持部50及び第2の保持部51に保持された被処理ウェハWと、第3の保持部52に保持された支持ウェハSとが剥離される。
その後、剥離装置12で剥離された被処理ウェハWは、搬送装置14の第1の搬送アーム200によって反転装置32に搬送され、当該反転装置32において被処理ウェハWの表裏面が反転される。すなわち、被処理ウェハWの接合面WJが上方に向けられる。その後、被処理ウェハWは、搬送装置14の第1の搬送アーム200によって洗浄装置13に搬送される。なお、剥離装置12から搬出され洗浄装置13に搬入される被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
一方、剥離装置12で剥離された支持ウェハSは、搬送装置14の第2の搬送アーム201によって第2の搬入出ステーション11のカセットCSに搬送される。その後、支持ウェハSは、第2の搬入出ステーション11から外部に搬出され回収される。なお、支持ウェハSが第2の搬入出ステーション11に搬送されるタイミングは、任意に設定できる。支持ウェハSの搬送は、例えば被処理ウェハWを反転装置32に搬送する前であってもよいし、反転装置32において被処理ウェハWの表裏面の反転中であってもよいし、被処理ウェハWを洗浄装置13に搬送した後であってもよい。
洗浄装置13に搬入された被処理ウェハWは、搬送装置14の第1の搬送アーム190から受渡アーム190に受け渡される。続いて、受渡アーム190によって、被処理ウェハWはウェハ保持部130に受け渡され保持される。具体的には、被処理ウェハWはダイシングテープPを介してスピンチャック131に吸着保持される。同時に、ダイシングフレームFの表面FSは吸着パッド132に吸着保持される。続いて、移動機構180によって洗浄治具140の水平方向の位置を調整すると共に、図20(a)に示すように洗浄治具140を所定の位置まで下降させる。このとき、洗浄治具140の供給面141と被処理ウェハWの接合面WJとの間の所定の距離Qは、後述するように供給面141と接合面WJとの間の隙間142において、接着剤Gの溶剤が表面張力によって拡散できる距離になっている。
その後、スピンチャック131によって被処理ウェハWを回転させながら、図20(b)に示すように溶剤供給源154から溶剤供給部150に溶剤Lを供給する。溶剤Lは、供給口153から供給面141と接合面WJとの間の隙間142に供給され、当該隙間142において溶剤Lの表面張力と被処理ウェハWの回転による遠心力により、被処理ウェハWの接合面WJ上を拡散する。このとき、吸引部170によって隙間142の溶剤Lの吸引を行い、溶剤Lが被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上に流入しないようにする。こうして、図20(c)に示すように、隙間142において溶剤Lが被処理ウェハWの接合面WJの全面に供給される。
その後、被処理ウェハWの接合面WJを溶剤Lに浸した状態を所定の時間、例えば数分間維持する。そうすると、接合面WJに残存していた接着剤G等の不純物が溶剤Lによって除去される。
その後、スピンチャック131による被処理ウェハWの回転と、吸引部170による隙間142の溶剤Lの吸引を引き続き行った状態で、図20(d)に示すように洗浄治具140を所定の位置、すなわち隙間142にリンス液Rを供給できる位置まで上昇させる。続いて、リンス液供給源157からリンス液供給部151にリンス液Rを供給する。リンス液Rは、供給口153から隙間142に供給されて溶剤Lと混合されつつ、当該隙間142において表面張力と遠心力により、被処理ウェハWの接合面WJ上を拡散する。こうして、図20(e)に示すように、隙間142において溶剤Lとリンス液Rとの混合液Cが、被処理ウェハWの接合面WJの全面に供給される。
その後、スピンチャック131による被処理ウェハWの回転と、吸引部170による隙間142の溶剤Lと混合液Cの吸引を引き続き行った状態で、図20(f)に示すように洗浄治具140を所定の位置まで下降させる。そして、不活性ガス供給部160から不活性ガス供給部152と供給口153を介して隙間142に、不活性ガスが供給される。不活性ガスは、隙間142に充填されていた混合液Cを当該隙間142の外部に押し流す。すなわち、混合液Cは、吸引部170から吸引される。こうして、隙間142の混合液Cが除去される。
なお、上述したように隙間142に不活性ガスを供給する際に洗浄治具140を下降させるのは、隙間142の鉛直方向の距離を小さくして不活性ガスの流速を速くするためである。これによって、隙間142の混合液Cを迅速に除去することができる。また、不活性ガスによって押し流された混合液Cは、僅かに被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上に流入する可能性もあるが、この場合であっても混合液C中の溶剤Lは希釈されているため、ダイシングテープPが損傷を被ることはない。
隙間142の混合液Cが除去された後も、スピンチャック131による被処理ウェハWの回転と、隙間142への不活性ガスの供給を引き続き行う。そして、被処理ウェハWの接合面WJが乾燥される。こうして、洗浄装置13において被処理ウェハWの接合面WJが洗浄される。
その後、洗浄装置13で洗浄された被処理ウェハWは、搬送装置14の第1の搬送アーム200によって第1の搬入出ステーション10のカセットCWに搬送される。その後、被処理ウェハWは、第1の搬入出ステーション10から外部に搬出され回収される。こうして、剥離システム1における一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
以上の実施の形態の剥離装置12によれば、第1の保持部50で被処理ウェハWを加熱しながら保持し、第2の保持部51でダイシングフレームFの表面FSを保持し、第3の保持部52で支持ウェハSを加熱しながら保持した状態で、第3の保持部52の外周部を鉛直方向に移動させ、外周部から中心部に向けて支持ウェハSを被処理ウェハWから連続的に剥離することができる。かかる場合、重合ウェハTを剥離する際に、被処理ウェハWと支持ウェハSに物理的な負荷が直接かかることがない。また、このように加熱することで被処理ウェハWと支持ウェハSとの間の接着剤Gを軟化させることができ、しかも支持ウェハSを被処理ウェハWから連続的に剥離するので、被処理ウェハWと支持ウェハSを従来よりも小さい荷重で容易に剥離することができる。このため、被処理ウェハWが損傷を受けることなく、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切且つ均一に剥離することができる。さらに、従来よりも剥離処理に要する時間を短縮することもできる。したがって、本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理を適切且つ効率よく行うことができる。
また、ダイシングフレームFの外周部にはダイシングテープPとの間に段差Bが存在しているので、第1の保持部50はダイシングフレームFを直接吸着保持することができない。この点、本実施の形態では、第2の保持部51によってダイシングフレームFが吸着保持されるので、第1の保持部50によって被処理ウェハWも適切に保持される。したがって、被処理ウェハWがダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている場合でも、当該被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理を適切に行うことができる。
また、移動機構90は第1の鉛直移動部91と第2の鉛直移動部92を有しているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理を段階的に行うことができる。すなわち、第1の鉛直移動部91によって外周部から中心部に向けて支持ウェハSを被処理ウェハWから連続的に剥離した後、第2の鉛直移動部92によって被処理ウェハWと支持ウェハSを完全に剥離することができる。このように段階的に剥離処理を行うことで、被処理ウェハWと支持ウェハSを均一に剥離することができる。しかも、第1の鉛直移動部91は第3の保持部52の外周部を円環状に鉛直下方に移動させるので、被処理ウェハWと支持ウェハSをより均一に剥離することができる。
以上の実施の形態の剥離装置12において、第1の鉛直移動部91は、第3の保持部52を保持し、且つ第3の保持部52の外周部のみを鉛直方向に移動させる構成であればよく、種々の構成を取り得る。例えば第1の鉛直移動部91のシリンダ100と支持柱101に代えて、図21に示すように第1の鉛直移動部270は、ベローズ271と支持柱272を有していてもよい。
ベローズ271は、鉛直方向に伸縮自在の例えばステンレス製のベローズにより構成されている。ベローズ271は、その上面において第3の保持部52を保持すると共に、その下面が支持板102に支持されている。ベローズ271には、当該ベローズ271の内部に流体、例えば圧縮空気を供給する流体供給管273が接続されている。流体供給管273は、流体供給源(図示せず)に接続されている。そして、ベローズ271に流体供給管273から流体を供給することで、ベローズ271が伸長するようになっている。
支持柱272は、ベローズ271の内部に設けられている。また、支持柱272は、第3の保持部52の中央部を支持している。
なお、剥離装置12のその他の構成は、上記実施の形態の剥離装置12の構成と同様であるので説明を省略する。
かかる場合、図22に示すように第1の鉛直移動部270によって第3の保持部52の外周部のみを円環状に鉛直下方が移動する。すなわち、ベローズ271によって第3の保持部52の外周部が鉛直下方に移動する際、第3の保持部52の中央部が支持柱101に支持され、当該第3の保持部52の中央部の鉛直方向の位置が変化しない。そうすると、第3の保持部52に保持された支持ウェハSが、その外周部から中心部に向けて第1の保持部50に保持された被処理ウェハWから連続的に剥離される。したがって、本実施の形態においても、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切且つ均一に剥離することができる。
以上の実施の形態の剥離装置12は、第1の保持部50と第3の保持部51を相対的に回転させる回転機構を有していてもよい。例えば図23に示すように第1の保持部50を回転させる回転機構280を有していてもよい。回転機構280は、第1の保持部50と支持板80との間に設けられている。また、回転機構280は、第1の保持部50を回転させるためのモータ(図示せず)を有している。
かかる場合、上述したように剥離装置12において、重合ウェハTを第1の保持部50、第2の保持部51、第3の保持部52で保持した後、加熱機構61、71によって重合ウェハTを加熱して重合ウェハT中の接着剤Gを軟化させると共に、回転機構280によって第1の保持部50を回転させる。その後、第3の保持部52の外周部を鉛直下方に移動させて、外周部から中心部に向けて支持ウェハSを被処理ウェハWから連続的に剥離した後、第3の保持部52全体を鉛直下方に移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する。なお、この被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離方法は、上記実施の形態で説明した方法と同様であるので説明を省略する。
本実施の形態によれば、第1の保持部50を回転させているので、接着剤Gによる被処理ウェハWと支持ウェハSとの平衡状態を崩すことができる。そうすると、その後第3の保持部52の外周部を円滑に移動させることができ、支持ウェハSの外周部を被処理ウェハWから円滑に剥離することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理をより効率よく行うことができる。
なお、上記実施の形態では、回転機構280は第1の保持部50を回転させていたが、回転機構280に代えて、第3の保持部52を回転させる回転機構(図示せず)を設けてもよい。あるいは、第1の保持部50を回転させる回転機構280と第3の保持部52を回転させる回転機構を両方設けてもよい。
以上の実施の形態の剥離装置12では、第2の保持部51は第1の保持部50と一体に設けられていたが、第1の保持部50と独立して設けられていてもよい。
また、以上の実施の形態の剥離装置12では、第1の保持部50と第3の保持部52の内部には、それぞれ加熱機構61、71が設けられていたが、これら加熱機構尾61、71を省略してもよい。かかる場合、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する際に、重合ウェハTは加熱されず、常温の状態を維持している。この場合であっても、上述したように支持ウェハSを被処理ウェハWから連続的に剥離できる。また、例えば接着剤Gの種類によっては当該接着剤Gを軟化させるのに加熱が必要ないものもあり、かかる場合に本実施の形態は特に有用である。
また、以上の実施の形態の剥離装置12では、移動機構90の第1の鉛直移動部91は、第3の保持部52の外周部を円環状に鉛直方向に移動させていたが、第3の保持部52の外周部の一端部側を鉛直方向に移動させてもよい。そして、外周部の一端部から他端部に向けて支持ウェハSを被処理ウェハWから剥離してもよい。かかる場合でも、被処理ウェハWと支持ウェハSは連続的に剥離されるので、当該被処理ウェハWと支持ウェハSを適切且つ均一に剥離することができる。
また、以上の実施の形態の剥離装置12では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。かかる場合、移動機構90は第3の保持部52を鉛直上方に移動させてもよい。
以上の実施の形態の重合ウェハTの剥離処理は、上記剥離システム1と異なる剥離システムで行ってもよい。
例えば図24に示すように剥離システム300は、外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCW、CS、CTが搬入出される搬入出ステーション310と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた剥離処理ステーション311と、剥離処理ステーション311に隣接する後処理ステーション312との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション313とを一体に接続した構成を有している。なお、本実施の形態においても、被処理ウェハWと重合ウェハTは、それぞれダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
搬入出ステーション310と剥離処理ステーション311は、X方向(図24中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション310と剥離処理ステーション311との間には、ウェハ搬送領域314が形成されている。インターフェイスステーション313は、剥離処理ステーション311のY方向負方向側(図24中の左方向側)に配置されている。インターフェイスステーション313のX方向正方向側(図24中の上方向側)には、後処理ステーション312に受け渡す前の被処理ウェハWを検査する検査装置315が配置されている。また、インターフェイスステーション313を挟んで検査装置315の反対側、すなわちインターフェイスステーション313のX方向負方向側(図24中の下方向側)には、検査後の被処理ウェハWを洗浄する検査後洗浄装置316が配置されている。
搬入出ステーション310には、カセット載置台320が設けられている。カセット載置台320には、複数、例えば3つのカセット載置板321が設けられている。カセット載置板321は、Y方向(図24中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板321には、剥離システム1の外部に対してカセットCW、CS、CTを搬入出する際に、カセットCW、CS、CTを載置することができる。このように搬入出ステーション310は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板321の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション310に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと、欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
ウェハ搬送領域314には、第1の搬送装置330が配置されている。第1の搬送装置330は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な2本の搬送アームを有している。これら2本の搬送アームは、上記実施の形態における重合ウェハT又は被処理ウェハWを保持して搬送する第1の搬送アーム200と、支持ウェハSを保持して搬送する第2の搬送アーム201とそれぞれ同様の構成を有している。第1の搬送装置330は、ウェハ搬送領域314内を移動し、搬入出ステーション310と剥離処理ステーション311との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
剥離処理ステーション311は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置12を有している。剥離装置12のY方向負方向側(図24中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置13が配置されている。剥離装置12と第1の洗浄装置13との間には、第2の搬送装置340が設けられている。また、剥離装置12のY方向正方向側(図24中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置341が配置されている。このように剥離処理ステーション311には、第1の洗浄装置13、第2の搬送装置340、剥離装置12、第2の洗浄装置341が、インターフェイスステーション313側からこの順で並べて配置されている。なお、剥離装置12は、上記実施の形態の剥離システム1における剥離装置12と同様の構成を有する。また、第1の洗浄装置13も剥離システム1における洗浄装置13と同様の構成を有するが、第2の洗浄装置341と区別するため、便宜上、第1の洗浄装置13と呼称する。
検査装置315では、剥離装置12により剥離された被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。また、検査後洗浄装置316では、検査装置315で接着剤Gの残渣が確認された被処理ウェハWの洗浄が行われる。この検査後洗浄装置316は、被処理ウェハWの接合面WJを洗浄する接合面洗浄部316a、被処理ウェハWの非接合面WNを洗浄する非接合面洗浄部316b、被処理ウェハWを上下反転させる反転部316cを有している。なお、接合面洗浄部316aと非接合面洗浄部316bは、第1の洗浄装置13と同様の構成を有する。
インターフェイスステーション313には、Y方向に延伸する搬送路350上を移動自在な第3の搬送装置351が設けられている。第3の搬送装置351は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、剥離処理ステーション311、後処理ステーション312、検査装置315及び検査後洗浄装置316との間で被処理ウェハWを搬送できる。
なお、後処理ステーション312では、剥離処理ステーション311で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理としては、例えば被処理ウェハW上のデバイスの電気的特性の検査を行う処理などが行われる。
次に、上述した第2の搬送装置340の構成について説明する。第2の搬送装置340は、図25に示すように被処理ウェハWを保持して搬送する搬送アーム360を有している。なお、搬送アーム360で搬送される被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
搬送アーム360は、図26に示すように先端が2本の先端部360a、360aに分岐した形状を有している。搬送アーム360には、ダイシングフレームF(又はダイシングテープP)を介して被処理ウェハWを吸着して保持する吸着パッド361が設けられている。これにより搬送アーム360は、当該搬送アーム360上に被処理ウェハWを水平に保持することができる。
搬送アーム360は、図25に示すように支持アーム362に支持されている。支持アーム362は、第1の駆動部363に支持されている。この第1の駆動部363により、支持アーム362は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部363の下方には、第2の駆動部364が設けられている。この第2の駆動部364により、第1の駆動部363は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
なお、第3の搬送装置351は、上述した第2の搬送装置340と同様の構成を有している。但し、第3の搬送装置351の第2の駆動部364は、図24に示した搬送路350に取り付けられ、第3の搬送装置351は搬送路350上を移動可能になっている。
次に、上述した第2の洗浄装置341の構成について説明する。第1の洗浄装置13は、図27に示すように処理容器370を有している。処理容器370の側面には、支持ウェハSの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器370内の中央部には、支持ウェハSを保持して回転させるスピンチャック380が設けられている。スピンチャック380は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック380上に吸着保持できる。
スピンチャック380の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部381が設けられている。スピンチャック380は、チャック駆動部381により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部381には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック380は昇降自在になっている。
スピンチャック380の周囲には、支持ウェハSから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ382が設けられている。カップ382の下面には、回収した液体を排出する排出管383と、カップ382内の雰囲気を真空引きして排気する排気管384が接続されている。
図28に示すようにカップ382のX方向負方向(図28中の下方向)側には、Y方向(図28中の左右方向)に沿って延伸するレール390が形成されている。レール390は、例えばカップ382のY方向負方向(図28中の左方向)側の外方からY方向正方向(図28中の右方向)側の外方まで形成されている。レール390には、アーム391が取り付けられている。
アーム391には、図27及び図28に示すように支持ウェハSに洗浄液、例えば有機溶剤を供給する洗浄液ノズル392が支持されている。アーム391は、図28に示すノズル駆動部393により、レール390上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル392は、カップ382のY方向正方向側の外方に設置された待機部394からカップ382内の支持ウェハSの中心部上方まで移動でき、さらに当該支持ウェハS上を支持ウェハSの径方向に移動できる。また、アーム391は、ノズル駆動部393によって昇降自在であり、洗浄液ノズル392の高さを調節できる。
洗浄液ノズル392には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル392には、図27に示すように当該洗浄液ノズル392に洗浄液を供給する供給管400が接続されている。供給管400は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源401に連通している。供給管400には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群402が設けられている。また、洗浄液ノズル392には、当該洗浄液ノズル392に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管403が接続されている。供給管403は、内部に不活性ガスを貯留する不活性ガス供給源404に連通している。供給管403には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群405が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル392内で混合され、当該洗浄液ノズル392から支持ウェハSに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
なお、スピンチャック380の下方には、支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはスピンチャック380に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、スピンチャック380の上面から突出可能になっている。そして、スピンチャック380を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、スピンチャック380との間で支持ウェハSの受け渡しが行われる。
また、第2の洗浄装置341において、スピンチャック380の下方には、支持ウェハSの裏面、すなわち非接合面SNに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、支持ウェハSの非接合面SNと支持ウェハSの外周部が洗浄される。
次に、以上のように構成された剥離システム300を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットCT、空のカセットCW、及び空のカセットCSが、搬入出ステーション310の所定のカセット載置板321に載置される。第1の搬送装置330によりカセットCT内の重合ウェハTが取り出され、剥離処理ステーション311の剥離装置12に搬送される。このとき、重合ウェハTは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持され、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
剥離装置12に搬入された重合ウェハTは、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離される。この剥離装置12における被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離方法は、上記実施の形態で説明した方法と同様であるので説明を省略する。
その後、剥離装置12で剥離された被処理ウェハWは、第2の搬送装置340によって第1の洗浄装置13に搬送される。ここで、第2の搬送装置340による被処理ウェハWの搬送方法について説明する。なお、被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
図29に示すように支持アーム362を伸長させて、搬送アーム360を第1の保持部50に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、搬送アーム360を上昇させ、第1の保持部50における吸引管60からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部50から搬送アーム360に被処理ウェハWが受け渡される。
次に図30に示すように、支持アーム362を回動させて搬送アーム360を第1の洗浄装置13のウェハ保持部130の上方に移動させると共に、搬送アーム360を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ウェハ保持部130をカップ134よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、搬送アーム360からウェハ保持部130に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
このようにウェハ保持部130に被処理ウェハWが吸着保持されると、ウェハ保持部130を所定の位置まで下降させる。続いて、洗浄治具140によって被処理ウェハWの接合面WJが洗浄される。なお、この第1の洗浄装置13における被処理ウェハWの接合面WJの洗浄方法は、上記実施の形態で説明した方法と同様であるので説明を省略する。
ここで、上述したように搬入出ステーション310に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、第1の洗浄装置13で接合面WJが洗浄された後、第3の搬送装置351によって検査装置315に搬送される。なお、この第3の搬送装置351による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置340による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。
検査装置315においては、被処理ウェハWの接合面WJにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される。検査装置315において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置351により検査後洗浄装置316の接合面洗浄部316aに搬送され、接合面洗浄部316aで接合面WJが洗浄される。接合面WJが洗浄されると、被処理ウェハWは第3の搬送装置351によって反転部316cに搬送され、反転部316cにおいて上下方向に反転される。なお、接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄部316aに搬送されることなく反転部316cにて反転される。
その後、反転された被処理ウェハWは、第3の搬送装置351により再び検査装置315に搬送され、非接合面WNの検査が行われる。そして、非接合面WNにおいて接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置351によって非接合面洗浄部316cに搬送され、非接合面WNの洗浄が行われる。次いで、洗浄された被処理ウェハWは、第3の搬送装置351によって後処理ステーション312に搬送される。なお、検査装置315で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄部316bに搬送されることなくそのまま後処理ステーション312に搬送される。
その後、後処理ステーション312において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、第1の洗浄装置13で接合面WJが洗浄された後、第1の搬送装置330によって搬入出ステーション310のカセットCWに搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション310から外部に搬出され回収される。
剥離装置12で剥離された被処理ウェハWに上述した処理が行われている間、当該剥離装置12で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置330によって第2の洗浄装置341に搬送される。
第2の洗浄装置341に搬入された支持ウェハSは、スピンチャック380に吸着保持される。その後、スピンチャック380を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム391によって待機部394の洗浄液ノズル392を支持ウェハSの中心部の上方まで移動させる。その後、スピンチャック380によって支持ウェハSを回転させながら、洗浄液ノズル392から支持ウェハSの接合面SJに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により支持ウェハSの接合面SJの全面に拡散されて、当該支持ウェハSの接合面SJが洗浄される。
その後、第2の洗浄装置341で洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置330によって搬入出ステーション310のカセットCSに搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション310から外部に搬出され回収される。こうして、剥離システム300における一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
以上の実施の形態の剥離システム300によれば、剥離装置12において重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離した後、第1の洗浄装置13において、剥離された被処理ウェハWを洗浄すると共に、第2の洗浄装置341において、剥離された支持ウェハSを洗浄することができる。このように本実施の形態によれば、一の剥離システム300内で、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄までの一連の剥離処理を効率よく行うことができる。また、第1の洗浄装置13と第2の洗浄装置341において、被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄をそれぞれ並行して行うことができる。さらに、剥離装置12において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する間に、第1の洗浄装置13と第2の洗浄装置341において別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離を効率よく行うことができ、剥離処理のスループットを向上させることができる。
また、このように一連のプロセスにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの後処理まで行うことができるので、ウェハ処理のスループットをさらに向上させることができる。
以上の実施の形態の剥離システム300において、剥離装置12で加熱された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
また、以上の実施の形態では、後処理ステーション312において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本発明は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。