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JP5561598B2 - 二重壁構造を有する合成樹脂製ボトル - Google Patents

二重壁構造を有する合成樹脂製ボトル Download PDF

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Description

本発明は、インサート成形技術を利用して成形した二重壁構造を有する合成樹脂製ボトルに関するものである。
二重壁構造の合成樹脂製ボトルとして、外殻体を透明にした構成のものが優れた光学的な加飾機能が発揮できることから、高級感のあるパーケージングで商品の差別化が要望される化粧料容器への利用展開が進んでいる。
その二重壁構造の成形手法として、内層を構成するボトル本体の一部もしくは全体をインサート材とし、透明な外殻体を射出成形により成形するインサート成形手法が知られている。
このインサート成形にあっては、インサート材となるボトル本体を金型内に保持し、ボトル本体の外周面と割金型との間に形成されたキャビティ内に溶融樹脂を射出して充填する。
しかし、ボトル本体は合成樹脂製で内部は中空であるので、ボトル本体内に冷却水や冷却エアを充填、さらに循環することにより、ボトル本体が外殻体の射出成形の際に作用する充填圧力により変形しないようにすると共に、ボトル本体を冷却して溶融樹脂により熱変形しないようにする必要がある。
たとえば、特許文献1には、ボトル本体をインサート材として割金型に組付け、ボトル本体内に冷却水を循環供給して冷却する方法が記載されている。
特開昭49−083751号公報
上記説明したような二重壁構造を有するボトルではボトル本体の胴部の外周面に、印刷層等の加飾層を積層し、この加飾層による模様が透明な外殻体の周壁の中に浮き上がるような3次元的な視覚効果を発揮させることができる。
特に、ホットスタンプ法を使用し、金色等のメタリック調の文字に形成された金属箔膜層で商品名やブランド名を表すことにより、さらに高いレベルで高級感のあるパッケージングとすることが可能となる。
図7はホットスタンプ法の該略説明図であり、ホットスタンプ法に使用する転写フィルム51は基本的に、基材フィルム52a/剥離層52b/クリアコート層53a/金属箔膜層53b/接着層53cと云うような層構成のものを使用する。そして、図7(a)にあるように転写フィルム51を成形品56の表面に配設し、加熱した刻印55で押圧することにより、押圧された領域で接着層53cが軟化し、成形品56の表面に接着固定され、図7(b)に示されるように当該領域で、クリアコート層53a/金属箔膜層53b/接着層53cからなる加飾層53が、剥離層52bから剥離して成形品56の表面に転写される。
ここで、上記したホットスタンプ法の基本的なメカニズムからの要請により、転写される加飾層53で、接着層53cは熱を加えることにより軟化、変形する構成であり、さらに金属箔膜層53bとこの金属箔膜層53bでの擦り傷の発生を防止するためのクリアコート層53aを含めて容易に分断可能に構成されており、ホットスタンプ法で外周面を加飾したボトル本体をインサート材として外殻体を射出成形すると、この加飾層は直接、高温の溶融樹脂に接触するため、溶融樹脂の流動圧力により、加飾層自体の剥がれ、また金属箔膜層において皺あるいはひび割れが発生し、加飾性が損なわれてしまうと云う問題がある。
そして、このようなホットスタンプ法に係る加飾層のインサート成形による加飾性の劣化の問題は前述した冷却水や冷却エアによる冷却の強化、溶融樹脂圧力を小さくするために外殻体の周壁を厚肉化する等の手段では容易には解消されないものである。
そこで、本発明は、外周面にホットスタンプ法により金属箔膜層を有する加飾層を転写、積層したボトル本体をインサート材とし、透明な外殻体を射出成形した二重壁構造を有する合成樹脂製ボトルにおいて、加飾層自体の剥がれや、金属箔膜層における皺あるいはひび割れの発生を効果的に抑制することを技術的課題とし、ホットスタンプ法によるメタリック調の加飾効果と二重壁構造による3次元的な視覚効果が相俟って、高級感のあるパッケージングを実現した合成成樹脂製ボトルを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明の主たる構成は、口筒部を連設した合成樹脂製ブロー壜体であるボトル本体と、このボトル本体の胴部と底部を外装する有底筒状の透明な合成樹脂製の外殻体(21)とを有する合成樹脂製ボトルにおいて、
トル本体は、胴部の外周面にホットスタンプ法により金属箔膜層を有する加飾層片転写、積層されると共に、外周面の加飾層片とその周囲を含む所定領域透明な保護層で被覆され
外殻体)がボトル本体をインサート材として射出成形されることにより、外周面に形成された加飾層片が、保護層を介して外殻体の内周面に接する構成としたことを特徴とする、と云うものである。
ここで、ホットスタンプ法による加飾層は文字等の断片的なものとなるので、上記構成では加飾層片としている。
そして、ホットスタンプ法による加飾層片は一般的に、クリアコート層/金属箔膜層/接着層と云う層構成を有し、ボトル本体をインサート材とした外殻体の射出成形では、前述したように高温の溶融樹脂の流動圧力が加飾層片に直接作用し、熱により軟化しやすい接着層の変形により加飾層片自体が剥れたり、金属箔膜層に皺や、ひび割れが発生することになるが、
上記構成によりよれば、加飾層片とその周囲を含む所定領域を保護層で被覆することにより、加飾層片の接着層部分が露出しないので、この接着層の変形に起因する加飾層片自体の剥がれを確実に防止することができる。
また、保護層として、熱処理や紫外線照射により硬質で耐熱性をする樹脂材料、あるいは高い耐熱性を有するフィルム等を使用することができ、金属箔膜層での皺や、ひび割れの発生を効果的に抑制することが可能となる。
なお、ブロー成形によるボトル本体の形状は、円筒状等の丸形、角筒状、多角形筒状等さまざまな形状のものを使用することができ、また有底筒状の外殻体についても丸形、角筒状、多角形筒状等することができ、ボトル本体と外殻体の形状の組み合せにより、透明な外殻体を利用して、例えば多角形筒状のボトル本体と多角形筒状の外殻体を組み合せてクリスタルガラス様の光学効果を現出させる等、さまざまに光学的な加飾効果を現出させることができる。
また、ボトル本体は目的に応じて不透明なものとすることができるし、透明なものとすることもできる。
また、透明な外殻体は、半透明なもの、あるいは着色透明なものも含む。
本発明の他の構成は、上記主たる構成において、保護層を印刷による透明な印刷層、若しくは塗装による透明な塗膜層とする、と云うものである。
透明な印刷層や塗膜層は、ボトル本体の外周面に積層された加飾層片を損傷したり、変形させたりすることなく被覆でき、また、熱乾燥や紫外線照射により硬質で高い耐熱性を有するものとすることができ、保護層としての機能を十分発揮させることができる。
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、透明なフィルム製の基材を有するラベルを貼着して保護層とする、と云うものである。
透明なフィルム製の基材に、たとえばポリエチレンテレフタレート樹脂製の2軸延伸フィルム等の、高い耐熱性を有するフィルムを使用して、接着層を介して加飾層片を被覆することにより、保護層としての機能を十分、発揮させることができる。
本発明は、上記した構成となっているので、以下の示す効果を奏する。
すなわち、ホットスタンプ法による加飾層片とその周囲を含む所定領域を保護層で被覆することにより、加飾層片自体の剥がれを確実に防止し、金属箔膜層での皺や、ひび割れの発生を効果的に抑制することができ、金属箔膜層による本来の加飾性を高品位に発揮させることができ、透明な外殻体による光学的な視覚効果が相俟って、高級感のあるパッケージングを実現するための合成成樹脂製ボトルを提供することができる。
本発明の合成樹脂製ボトルの一実施例を示す、全体斜視図である。 図1のボトルの(a)は半縦断面図、(b)は底面図である。 図1のボトルに使用されるボトル本体の(a)は正面図、(b)は底面図である。 加飾層片の(a)は図3のボトル本体での積層状態、(b)は図1のボトルでの積層状態を概略的に示す断面図である。 本発明の成形方法の説明に供する、成形前の金型構成図である。 本発明の成形方法の説明に供する、成形後の金型構成図である。 ホットスタンプ法の該略説明図である。
以下、本発明の実施形態を、実施例に沿って図面を参照しながら説明する。
図1〜4は本発明の二重壁構造を有する合成樹脂製ボトル(以下、単にボトルと記す。)の一実施例を示すものであり、図1は全体斜視図、図2(a)は半縦断面図、図2(b)は底面図、図3(a)は図1のボトル1に使用されるボトル本体11の正面図、図3(b)は底面図、図4(a)はボトル本体11での加飾層片17の積層状態、図4(b)はボトル1での加飾層片17の積層状態を概略的に示す断面図である。
このボトル1は円筒状の口筒部2、肩部3、円筒状の胴部4そして底部5を有し、ボトル本体11とこのボトル本体11を外装する透明で厚肉の外殻体21から構成されており、全高さが85mm、胴部4の径が47mmの壜体である。
ボトル本体11はポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製の着色した2軸延伸ブロー成形品である。
また、図3(a)、図4(a)に示されるようにボトル本体11の胴部14の外周面にはホットスタンプ法により、金属箔膜層17bを有する加飾層片17が配置、積層されており、図案化した金色の文字(A、B、C、D、E)が描かれている。
また、これら5つの加飾層片17を含む、矩形状の領域にこれら加飾層片17を被覆するように保護層18が積層されている。
ここで、加飾層片17の層構成は、クリアコート層17a/金属箔膜層17b/接着層17cである。
また、本実施例では保護層18はシルク印刷による透明な熱乾燥タイプのインクを使用した印刷層で、
保護層18は、上記のような熱乾燥タイプのインクを使用した印刷層に限定されず、保護膜としての性能の他にも中空のボトル本体11への2次加工性等も考慮して、UV硬化性のインクを使用した印刷層とすることもでき、さらに塗装により塗膜層で被覆する方法や、耐熱性を有するフィルムを基材とした透明なラベルを貼着する方法等も適宜に選択することもできる。
外殻体21は、PET樹脂製のボトル本体11との接着性等の相性や、成形性、機械的な強度、耐薬品性に優れている点から透明なポリエステル樹脂系のPCTA樹脂製としており、円筒状の筒状部24と底部25からなる有底筒状体のもので、筒状部24の周壁の肉厚を2.5mm、また底部25の肉厚は薄い部分で3.5mmである。
本実施例のボトル1は後ほど説明する方法で、ボトル本体11をインサート材として射出成形により外殻体21を成形して得られたものであるが、保護層18の保護機能が十分に発揮され、インサート成形の際の高温溶融樹脂の流動、充填と云う苛酷な条件に拘わらず、加飾層片17自体の剥がれは勿論のこと、金属箔膜層17bでの皺やひび割れも全く見られなかった。
そして、着色したボトル本体11と共に、金属箔膜層17bによる図案化した文字が厚肉で透明な外殻体21の中に浮かぶような視覚効果が発揮され、高品位で高級な加飾性が発揮されている。
次に、上記実施例のボトル1の成形方法について図5、6を参照しながら説明する。図5、6はボトル本体11をインサート材として外殻体21を成形するための射出金型31の構成例と、ボトル1の成形手順例を説明する図で、図5は成形前の金型構成図、図6は成形後の金型構成図、である。
図5に示されるように、射出金型31は、主としてボトル本体保持部32とキャビティ金型33とから構成されており、ボトル本体11はその口筒部12をボトル体保持部32で固定し、キャビティ金型33内に垂下状にセットされ、ボトル本体11をコア部としての機能を発揮するインサート材とし、キャビティ金型33との間に溶融樹脂を充填して外殻体21が成形されるキャビティ34が形成されている。また、キャビティ金型33のボトル本体11の底部15に対向する位置にはキャビティ34と連通するようにゲート口37が配設されている。
また、垂下設されたボトル本体11にはエアピン36が挿入されておりこのエアピン36は、その先端をボトル本体11の底部15に当接させ、その先端部に冷却エアaの噴出孔を開口させている。
そして、ボトル本体11には、エアピン36を介して冷却エアaが循環供給されるが、この冷却エアaは、冷却機により冷たくした空気を使用しても良いし、射出される溶融樹脂よりも温度の低い常温空気を使用しても良い。
そして、図5に示されるようにキャビティ金型33内にボトル本体11をセットした状態で、外殻体21を形成する合成樹脂、本実施例ではアイオノマー樹脂を溶融した状態でゲート口37からキャビティ34に射出する。
この際、溶融樹脂は図5中に示めされる白抜き矢印のようにボトル本体11の底部15に衝突するように流動し、胴部14の周壁に回り込み、その後周壁に沿って胴部14の上端部まで流動し、キャビティ34を充填し、図6に示されるように外殻体21が成形される。
ここで、上記のような溶融樹脂の流動挙動によると、射出される高温の溶融樹脂の熱および射出圧がボトル本体11の底部15近傍に直接的に作用し、底部15近傍が極端な場合には大きく押潰し状に変形してしまう恐れがあり、また小さな押潰し状の変形でも、底部15近傍の外表面にはその変形に伴って皺が発生するので成形されたボトル1では透明な外殻体21を透してこの皺が現出し、本来の加飾性が損なわれてしまう恐れがあるが、
この点は、底部15近傍の変形を、ボトル本体11の冷却エアaによる冷却の強化の他にも、計量充填法の採用、外殻体21の底部25も含めた周壁の厚肉化、と云う手段を合せることにより抑制することができる。
計量充填法はキャビティ34の容積に合わせて予め決めた量の溶融樹脂をキャビティ34に充填し、保圧工程を省略するものであり、この計量充填法を採用することにより保圧工程による大きな圧力上昇を回避することができる。
また、外殻体21の周壁の厚肉化と云う点ついては、実験的に検討した結果では、筒状部24の周壁が少なくとも2.5mm、また底部25が少なくとも3mmの肉厚を有するようにすることが目安となり、上記実施例の壜体では外殻体21の筒状部24の肉厚を2.5mm、また底部25の肉厚は薄い部分で3.5mmとしている。
勿論、外殻体21の周壁の厚さに係る上記数値はあくまでも目安であり、ボトル本体11に使用する樹脂の耐熱性や、ボトル本体11の周壁の肉厚等を考慮して適宜設定するものである。
以上、実施例に沿って本発明の二重壁構造を有する合成樹脂製ボトルの構成と、その作用効果について説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
たとえばボトル本体と外殻体の形状の組み合わせについて上記実施例では円筒状の胴部に円筒状の筒状部を組み合せたものとしたが、外殻体を多角形筒状としてクリスタルガラス状にする等、さまざまな組み合わせを採用することができる。
また、ボトル本体11や外殻体21に使用される合成樹脂材料についても限定されることはなく、上記実施例のPET樹脂とPCTA樹脂と云う組み合せの他にも、その相性を考慮しながら、ポリプロピレン(PP)樹脂製の2軸延伸ブロー成形品であるボトル本体11にエチレン系アイオノマー樹脂製の外殻体21を組み合せる等、成形性を含めて要求される特性を発揮できる樹脂材料を、自由に選択して使用することができるのは云うまでもない。
また、たとえばPP樹脂製の2軸延伸ブロー成形品で、PP樹脂に微粉末フィラーを分散し、ボトル本体11が白色を基調としてパール調の外観を呈するようにする等により、さらに加飾態様のバリエーションを多様にすることができる。
また、ホットスタンプ法による加飾についても図案化した文字に限定されることなく、絵柄や模様等、加飾目的に合せた形状とすることができ、さらに加飾目的に応じて印刷層や蒸着層等の他の加飾層を追加、積層することもできる。
また、保護層を被覆は、本実施例のように個々の文字全部を囲う狭い領域に被覆する方法の他にも、文字が形成される範囲で、胴部の全高さ範囲に亘って被覆する方法、あるいは全周に亘って被覆する方法、さらには個々の文字それぞれを個別に被覆する方法等の様々な被覆態様の中から、保護層による保護機能共に被覆工程の生産性等も考慮して適宜選択することができる。
以上説明したように、本発明の二重壁構造を有する合成樹脂製ボトルは、ホットスタンプ法による金属箔膜層による本来の加飾性を高品位に発揮させることができ、透明な外殻体による光学的な視覚効果が相俟って、高級感のあるパッケージングを実現することができ、化粧料容器等の分野で幅広い利用展開が期待される。
1 ;ボトル
2 ;口筒部
3 ;肩部
4 ;胴部
5 ;底部
11;ボトル本体
12;口筒部
13;肩部
14;胴部
15;底部
17;加飾層片
17a;クリアコート層
17b;金属箔膜層
17c;接着層
18;保護層
21;外殻体
24;筒状部
25;底部
31;射出金型
32;ボトル本体保持部
33;キャビティ金型
34;キャビティ
36;エアピン
37;ゲート口
51;転写フィルム
52a;基材フィルム
52b;剥離層
53 ;加飾層
53a;クリアコート層
53b;金属箔膜層
53c;接着層
a ;冷却エア

Claims (3)

  1. 口筒部(12)を連設した合成樹脂製ブロー壜体であるボトル本体(11)と、該ボトル本体(11)の胴部(14)と底部(15)を外装する有底筒状の透明な合成樹脂製の外殻体(21)とを有し、
    記ボトル本体(11)は、胴部(14)の外周面にホットスタンプ法により金属箔膜層(17b)を有する加飾層片(17)転写、積層されると共に、前記外周面の前記加飾層片(17)とその周囲を含む所定領域透明な保護層(18)で被覆され
    前記外殻体(21)が前記ボトル本体(11)をインサート材として射出成形されることにより、前記外周面に形成された前記加飾層片(17)が、前記保護層(18)を介して前記外殻体(21)の内周面に接する構成としたことを特徴とする二重壁構造を有する合成樹脂製ボトル。
  2. 保護層(18)を印刷による透明な印刷層、若しくは塗装による透明な塗膜層とした請求項1記載の二重壁構造を有する合成樹脂製ボトル。
  3. 透明なフィルム製の基材を有するラベルを貼着して保護層(18)とした請求項1記載の二重壁構造を有する合成樹脂製ボトル。
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