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JP5560797B2 - 作業用車両の走行装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ホイールクレーンやホイールローダなどの作業用車両の走行装置に関し、特に、HSTと呼ばれる油圧駆動装置を備えたものに係わる。
従来、ホイールクレーンなどの作業用車両の走行装置又は走行駆動装置として、いわゆるHSTと呼ばれる油圧駆動装置を備えたものは知られている。このHSTは、動力源としてのエンジンにより駆動される油圧ポンプと油圧モータとを閉回路で連通したものであり、動力が油圧配管を介して伝達されるため、エンジンのレイアウト上の自由度が非常に高く、作業用車両の走行駆動装置として好適である反面、油圧ポンプ及び油圧モータでの動力損失や配管の圧損などが大きく、一般に燃費が悪いという問題がある。
そこで、従来のHSTの利点を生かしつつ燃費を改善するために、例えば特許文献1に開示されているように、エンジンの出力軸にHSTの油圧ポンプと同軸で連結され、発電機及び電動機として機能する発電・電動機と、この発電・電動機と電力を蓄電及び放電可能に接続された蓄電装置と、アクセル操作手段(アクセルペダル)の非操作時又は操作量の減少時、つまり車両の減速時に車両の運動エネルギーをHSTを介して回生し、上記発電・電動機を発電機として動作させ、発生した電力を上記蓄電装置に蓄電するように制御を行い、アクセル操作手段の操作時にこの蓄電装置に蓄電した電力により上記発電・電動機を電動機として動作させ、エンジンと発電・電動機の両方の動力でエンジンの出力軸の回転数をアクセル操作手段が設定する目標回転数にまで上げるように制御を行う制御手段とを備えたものが提案されている。
しかしながら、上記提案のものでは、アクセル操作手段の非操作時又は操作量の減少時に常に回生したエネルギーにより発電・電動機を発電機として動作させて発電し、この発電した電力を蓄電装置に蓄電することにしているため、例えば長い下り坂を連続的に走行する場合に蓄電装置が過充電を起こす虞がある。また、この過充電を防止するために発電動作を中止した場合には、発電動作により発生する回生ブレーキ力がなくなるため、長い下り坂を連続的に走行する場合に主ブレーキ装置に過剰な負荷がかかり、主ブレーキ装置が過熱により破損したり、ベーパーロックなどによりブレーキ力不足を引き起こしたりするという問題もある。
一方、特許文献2には、エンジンの出力を変速機やクラッチなどを介して車軸に伝達する乗用車などの一般車両において、車両減速時に発電機として機能する回生手段(発電・電動機に相当)と、車両に補助的にブレーキ力を付与する排気ブレーキやリターダなどの補助ブレーキ手段とを備え、車両減速時に上記回生手段による回生制御が実施される場合に上記補助ブレーキ手段によるブレーキ力を低減させることなどが記載されている。この文献のものでは、上述した長い下り坂を連続的に走行する場合に回生手段による回生制御つまり発電動作を中止し、補助ブレーキ手段によるブレーキ力を付与することで主ブレーキ装置に対する負荷を軽減し、主ブレーキ装置の過熱による破損やベーパーロックなどによるブレーキ力不足の発生を防止することができる。
ところが、HSTを備えた作業用車両の場合、例えば特許文献3に記載されているように、HSTの油圧ポンプは、モータ駆動圧(走行負荷)が低下するとポンプ傾転角が上昇し、ポンプ容量が増加する一方、HSTの油圧モータは、モータ駆動圧が低下するとモータ傾転角が低下し、モータ容量が減少するような容量制御が一般に行われる。これに対し、下り坂では、車両は自重により自然に増速しようとするため、HSTによる駆動力を必要としなくなり、モータ駆動力が低下し、上記の容量制御の下ではポンプ容量が増加し、モータ容量が減少する。これにより、ポンプ回転数が低くても車速を維持できるようになるため、ポンプを駆動するためのエンジン回転数及びエンジンに連結された発電・電動機の回転数が低下する。エンジン回転数が低下した状態では、エンジン排気ブレーキやエンジンリターダなどのエンジンブレーキを利用した補助ブレーキ手段のブレーキ力が低下するため、主ブレーキ装置のブレーキ力を補助するためのブレーキ力を十分に確保できないという問題がある。また、発電・電動機の回転数が低下するため、回生電力が十分に得られず、燃費改善を十分に図ることができないという問題もある。
特開2003−264903号公報 特開2006−220045号公報 特開2008−137524号公報(第4−5頁、図3、図4)
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、HSTを備える作業用車両において、主ブレーキ装置とは別に補助的にブレーキ力を付与する排気ブレーキやリターダなどの補助ブレーキ装置を装備するに当たり、HSTの油圧ポンプ及び油圧モータの容量制御及び補助ブレーキ装置の動作制御などを車両減速時の状況に応じて適切に行うことにより、蓄電装置の過充電を防止するとともに、主ブレーキ装置に対し過剰な負荷がかかることによる主ブレーキ装置の過熱による破損やベーパーロックなどによるブレーキ力不足の発生を防止することができ、また減速時に十分なブレーキ力を確保しかつ燃費改善も十分に図り得る作業用車両の走行装置を提供せんとするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、作業用車両の走行装置として、車両に搭載されたエンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプと可変容量型油圧モータとを閉回路で連通してなる油圧駆動装置と、この油圧駆動装置の油圧モータの動力により駆動される車軸と、運転者が操作するアクセル操作量入力装置と、このアクセル操作量入力装置によって入力されたアクセル操作量に応じて上記エンジンの調速制御を行うガバナと、ブレーキペダルの踏み込み量に応じてブレーキ力を発生する主ブレーキ装置と、この主ブレーキ装置とは別にブレーキ力を発生する補助ブレーキ装置と、上記エンジンの出力軸に上記油圧駆動装置の油圧ポンプと同軸で連結され又は動力分配装置を介して連結され、発電機及び電動機として機能する発電・電動機と、この発電・電動機と電力を蓄電及び放電可能に接続された蓄電装置と、制御装置とを備える。そして、上記制御装置において、車両の走行中に運転者が上記アクセル操作量入力装置によりアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとした場合、あるいは上記ブレーキペダルの踏み込みによりブレーキ操作を行った場合の減速走行時には、それ以外の走行時よりも上記油圧駆動装置の油圧モータの容量を増加させるか、あるいは上記油圧駆動装置の油圧ポンプの容量を減少させ、この状態で車両の運動エネルギーを油圧駆動装置を介して回生するように制御を行うとともに、上記減速走行時でかつ上記蓄電装置の蓄電量が設定値より小さい場合には、回生したエネルギーにより上記発電・電動機を発電機として動作させて発電し、この発電した電力を上記蓄電装置に蓄電し、このとき上記補助ブレーキ装置が動作中であれば、発電量の増加に応じて上記補助ブレーキ装置のブレーキ力を減じるかあるいはオフとするように制御を行い、上記減速走行時でかつ上記蓄電装置の蓄電量が設定値より大きい場合には、回生したエネルギーによる上記発電・電動機の発電動作を減じるかオフとするか、あるいは発電した電力を上記蓄電装置で蓄電せずに抵抗により消費させ、発電・電動機の発電動作を減じるかオフとするとき上記補助ブレーキ装置を作動させるように制御を行うように設ける構成にする。
この構成では、車両の走行中に運転者がアクセル操作量入力装置によりアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとした場合、あるいはブレーキペダルの踏み込みによりブレーキ操作を行った場合の減速走行時には、蓄電装置の蓄電量の有無に拘わらず、それ以外の走行時よりも油圧駆動装置の油圧モータの容量を増加させるか、あるいは油圧駆動装置の油圧ポンプの容量を減少させ、車両の運動エネルギーを効率良く回生するように制御が行われるため、発電・電動機が発電機として動作する際の回転数を高めて十分な回生電力を得ることができ、また減速力が必要な場合にエンジン回転数を高めて、エンジン排気ブレーキやエンジンリターダなどのエンジンブレーキを利用した補助ブレーキ装置のブレーキ力を高めることができ、主ブレーキ装置のブレーキ力を補助するためのブレーキ力を十分に確保することができる。
また、上記減速走行時でかつ蓄電装置の蓄電量が設定値より小さい場合には、回生したエネルギーにより発電・電動機を発電機として動作させて発電し、この発電した電力を蓄電装置に蓄電するとともに、補助ブレーキ装置が動作中であれば、発電量の増加に応じて補助ブレーキ装置のブレーキ力を減じるかあるいはオフとするように制御が行われるため、上述した車両の運動エネルギーを効率良く回生することと相俟って、蓄電装置での蓄電を効率的に行うことができる。
一方、上記減速走行時でかつ蓄電装置の蓄電量が設定値より大きい場合には、回生したエネルギーによる発電・電動機の発電動作を減じるかオフとするか、あるいは発電した電力を蓄電装置で蓄電せずに抵抗により消費させ、発電・電動機の発電動作を減じるかオフとするとき補助ブレーキ装置を作動させるように制御が行われるため、蓄電装置の過充電を防止することができるとともに、補助ブレーキ装置の作動により十分なブレーキ力を確保することができる。特に、補助ブレーキ装置がエンジンブレーキを利用したものである場合、上述した車両の運動エネルギーを効率良く回生してエンジン回転数を高めることと相俟って、補助ブレーキ装置の作動によるブレーキ力の十分な確保を確実に図ることができる。
請求項に係る発明は、上述した構成に加えて、上記制御装置を、減速走行時でかつ蓄電装置の蓄電量が設定値より小さい場合に発電・電動機を発電動作させるとき、その発電動作により発生するブレーキ力が、上記補助ブレーキ装置が動作するときのブレーキ力と同じになるように発電トルク目標値を設定し、発電・電動機をトルク制御するように設ける構成にする。この構成では、減速走行時で発電・電動機を発電動作させる場合と、発電・電動機の発電動作をオフとし補助ブレーキ装置を作動させる場合とで、発電動作により発生するブレーキ力と補助ブレーキ装置のブレーキ力の総和が変化しないため、発電動作の有無によりブレーキ力が変化するのを防止することができる。
以上のように、本発明における作業用車両の走行装置によれば、減速走行時には、蓄電装置の蓄電量の有無に拘わらず、それ以外の走行時よりも油圧駆動装置の油圧モータの容量を増加させるか、あるいは油圧駆動装置の油圧ポンプの容量を減少させ、車両の運動エネルギーを効率良く回生するように制御が行われるため、発電・電動機が発電機として動作する際の回転数を高めて十分な回生電力を得ることができ、燃費改善を図ることができる。また、減速力が必要な場合にエンジン回転数を高めて、エンジンブレーキを利用した補助ブレーキ装置のブレーキ力を高めることができ、主ブレーキ装置のブレーキ力を補助するためのブレーキ力を十分に確保することができる。
しかも、減速走行時でかつ蓄電装置の蓄電量が少ない場合には、蓄電装置での蓄電を効率的に行うことができる上、減速走行時でかつ蓄電装置の蓄電量が多い場合には、回生したエネルギーによる発電・電動機の発電動作を減じるかオフとするか、あるいは発電した電力を蓄電装置で蓄電せずに抵抗により消費させ、発電・電動機の発電動作をオフとするとき補助ブレーキ装置を作動させるように制御が行われるため、蓄電装置の過充電を防止することができるとともに、補助ブレーキ装置の作動により十分なブレーキ力を確保することができる。特に、補助ブレーキ装置がエンジンブレーキを利用したものである場合、上述した車両の運動エネルギーを効率良く回生してエンジン回転数を高めることと相俟って、補助ブレーキ装置の作動によるブレーキ力の十分な確保を確実に図ることができる。この結果、主ブレーキ装置の負荷をその分軽減することができ、主ブレーキ装置の過熱による破損やベーパーロックなどによるブレーキ力不足の発生を防止することができる。
さらに、減速走行時で発電・電動機を発電動作させる場合と、発電・電動機の発電動作をオフとし補助ブレーキ装置を作動させる場合とで、発電動作により発生するブレーキ力と補助ブレーキ装置のブレーキ力の総和が変化しないため、発電動作の有無によりブレーキ力が変化するのを防止することができ、走行フィーリングを高めることができるという効果を併有する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る作業用車両の走行装置の構成図である。 図2はコントローラの制御内容を示すフローチャート図である。 図3はエンジン回転数と排気ブレーキトルクの関係を示す特性図である。 図4はエンジン回転数とブレーキ動力の関係を示す特性図である。 図5は本発明の第2の実施形態を示す図1相当図である。 図6はプロペラシャフト回転数と補助リターダトルクの関係を示す特性図である。 図7は本発明の第3の実施形態を示す図1相当図である。 図8はコントローラの制御内容を示すフローチャート図である。 図9は同じく制御内容の一部を構成するフローチャート図である。 図10はエンジン回転数と発電機目標トルクの関係を示す特性図である。 図11は車速とエンジン回転数の関係を示す特性図である。 図12は車速と発電機動力の関係を示す特性図である。 図13は車速とブレーキ動力の関係を示す特性図である。
以下、本発明実施するための形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る作業用車両の走行装置Aの全体構成を示し、1は車両に搭載されたエンジン、2はエンジン1の出力軸に連結されたパワーデバイダであって、このパワーデバイダ2は、動力分配装置として、エンジン1の出力を油圧駆動装置10の油圧ポンプ11と発電機及び電動機として機能する発電・電動機30とに分配するものである。
上記油圧駆動装置10は、エンジン1の出力により駆動される可変容量型の油圧ポンプ11と、この油圧ポンプ11の吐出圧油により駆動される可変容量型の油圧モータ12とを有し、この両者11,12を一対の配管13a,13bからなる閉回路13で接続したいわゆるHST(hydrostatic transmission)と呼ばれる構成になっている。油圧ポンプ11は、エンジン1によって回転駆動され、吐出された圧油は、車両の前進時には閉回路13の一方の配管13aを通して油圧モータ12を正転駆動し、戻り油は、閉回路13の他方の配管13bを通して油圧ポンプ11に戻る。一方、車両の後退時には油圧ポンプ11の吐出方向を反転させ、閉回路13の配管13bより吐出した圧油を油圧モータ12に送り、油圧モータ12を逆転駆動し、戻り油は、配管13aを通して油圧ポンプ11に戻るようになっている。
上記閉回路13内の圧力は、一対の安全弁としての高圧リリーフ弁14a,14bにより所定値以下に設定されている。また、油圧ポンプ11にはチャージポンプ15が付設され、このチャージポンプ15から吐出された圧油は低圧リリーフ弁16により最低設定圧を確保しており、閉回路13内の圧力が最低設定圧以下になった場合、チェック弁17a,17bから圧油を閉回路13内に送り込むことで閉回路13内の圧力を最低設定圧以上に確保し、閉回路13内でのキャビテーションの発生を防止するようになっている。
上記油圧駆動装置(HST)10の出力部である油圧モータ12の回転動力(出力)は、差動装置20を介して左右の車軸21a,21b及び車輪22a,22bに伝達され、この車軸21a,21b及び車輪22a,22bを回転駆動するようになっている。各車輪22a,22bにはブレーキ力を付与する主ブレーキ装置23a,23bが設けられている。
一方、上記発電・電動機30にはコンバータ31及びインバータ32を介して蓄電装置としてのバッテリ33が電力を蓄電及び放電可能に接続されている。コンバータ31は、発電・電動機30が発電機として動作するときその発電した交流電力を直流電力に変換してバッテリ33に供給する回路であり、インバータ32は、発電・電動機30が電動機として動作するときバッテリ33に蓄電された直流電力を交流電力に変換して発電・電動機30に供給する回路である。
また、40は走行装置Aの制御装置としてのコントローラ、41は運転者が操作するアクセル操作量入力装置としてのアクセルペダル装置であり、このアクセルペダル装置41の信号は、コントローラ40を介して、エンジン1に装備されたガバナ42に入力するようになっており、このガバナ42は、アクセル操作量(アクセルペダル41aの踏み込み量)に応じてエンジン1の調速制御を行うものである。43は運転者が操作するブレーキペダル装置であり、このブレーキペダル装置43の信号は、コントローラ40に入力するとともに、上記主ブレーキ装置23a,23bに入力するようになっており、主ブレーキ装置23a,23bは、ブレーキ操作量としてのブレーキペダル43aの踏み込み量に応じて車輪22a,22bにブレーキ力を付与するようになっている。
上記コントローラ40には、上述の如きアクセルペダル装置41及びブレーキペダル装置43の信号の外に、前後進切替スイッチ44の信号、バッテリ33の蓄電量の信号、油圧ポンプ11の吸入側と吐出側の差圧を測定する一対の圧力センサ45a,45bの信号、及びエンジン1の回転数を検出する回転数センサ46の信号などが入力するようになっている。コントローラ40は、前後進切替スイッチ44の信号に従って、油圧ポンプ11の圧油吐出方向を切り替えるとともに、発電・電動機30の動作をコンバータ31及びインバータ32を介して制御するようになっている。
さらに、51は上記主ブレーキ装置23a,23bとは別にブレーキ力を発生する補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置であり、この排気ブレーキ装置51は、エンジン1の排気管52内に設けられた排気ブレーキ用バルブ53と、この排気ブレーキ用バルブ53を駆動する駆動用シリンダ54とを有し、コントローラ40からの作動指令を受けた場合排気ブレーキ用バルブ53によりエンジン1の排気側を閉じることにより、エンジン1の排気抵抗を増加させてエンジンブレーキ力を増加させるようになっている。
次に、上記コントローラ40による制御のうち、発電・電動機30の動作制御などを、図2に示すフローチャートに従って説明する。
図2において、スタートした後、先ず、ステップS1でアクセルペダル装置41の信号に基づいて車両の走行中にアクセル操作量が増加しているか否かを判定する。この判定がYESのときには、ステップS2でバッテリ33の蓄電量信号に基づいてその蓄電量が設定値1以上であるか否かを判定する。この判定がYESのときには、ステップS3で電動機トルクの目標値を設定し、ステップS4で発電・電動機30を電動機として動作させ、その際の電動機トルクが目標値になるようにトルク制御を行い、リターンする。
一方、上記ステップS2の判定がNOのときには、ステップS5で発電・電動機30は動作なしにし、リターンする。
また、上記ステップS1の判定がNOのとき、つまり車両の走行中に運転者がアクセル操作量を増加していないとき、換言すれば運転者がアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとしたとき、あるいは運転者がブレーキペダル43aの踏み込みによりブレーキ操作を行ったときには、ステップS6でHST10の油圧モータ12の容量を増加させる制御又はHST10の油圧ポンプ11の容量を減少させる制御を行うとともに、この状態で車両の運動エネルギーをHST10を介して回生するように制御を行う。続いて、ステップS7でバッテリ33の蓄電量信号に基づいてバッテリ33の蓄電量が設定値2以下であるか否かを判定する。尚、この設定値2は、ステップS2の設定値1と同じ値又は異なる値のいずれに設定しても良い。
そして、上記ステップS7の判定がYESのときには、ステップS8で補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置51をオフにし、ステップS9で回転数センサ46の信号に基づいてエンジン回転数に応じて排気ブレーキトルクを算出する。ここで、図3は、エンジン回転数と排気ブレーキ装置51の排気ブレーキトルクの関係を示しており、コントローラ40には、予め図3の関係が記憶されており、ステップS9では、排気ブレーキ装置51が作動しないときに作動したときの排気ブレーキトルクを算出するものである。
続いて、ステップS10で先に算出した排気ブレーキトルクにエンジン1と発電・電動機30との増速比を乗じることで、排気ブレーキトルクに見合った発電機トルクの目標値を設定し、ステップS11で発電・電動機30を発電機として動作させ、その際の発電機トルクが目標値になるようにトルク制御を行い、リターンする。尚、発電・電動機30の発電動作により発生した電力は、バッテリ33に蓄電する。
一方、上記ステップS7の判定がNOのときには、ステップS12で補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置46をオンにし、ステップS13で発電・電動機30は動作なしにし、リターンする。
次に、上記走行装置Aの作動について説明するに、車両の走行中に運転者がアクセルペダル装置41によりアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとした場合、あるいはブレーキペダル43aの踏み込みによりブレーキ操作を行った場合の減速走行時には、車軸21a,21bに連結されたHST10の油圧モータ12は、車体の慣性により回転駆動され、油圧ポンプとして動作し、戻り側配管13bに圧油を吐出する。HST10の油圧ポンプ11は、油圧モータ12が吐出した圧油により油圧モータとして動作し、パワーデバイダ2を介してエンジン1及び発電・電動機30を駆動する。
このとき、上記油圧ポンプ11の回転数ωは、下記の式(1)のように、車速Vと油圧モータ12の容量qと油圧ポンプ11の容量qとの関係になる。
ω=ηvp×ηvm×(V/R)×Nax×q/q (1)
但し、ηvpはポンプ容積効率、ηvmはモータ容積効率、Rは車輪22a,22bのタイヤ半径、Naxは車軸減速比である。尚、エンジン1及び発電・電動機30は油圧ポンプ11の回生動力により駆動されるため、これらの回転数は、油圧ポンプ11の回転数ωに対し、それぞれの減速比を乗じたものになる。
上記減速走行時には、コントローラ40によって、減速走行時以外のときに比べて油圧モータ12の容量を増加させるか、あるいは油圧ポンプ11の容量を減少させるような制御が行われる(図2のステップS6)。このため、上記式(1)の関係により、油圧ポンプ11の回転数が増加し、これに伴ってエンジン1及び発電・電動機30の回転数が共に増加する。
エンジン1が外部駆動された場合のエンジンブレーキのブレーキ動力は、図4に示すように、エンジン回転数が上昇するに従って、ブレーキ動力が増加する傾向にあるため、上記コントローラ40の制御により油圧ポンプ11の回転数が増加することで、エンジンブレーキのブレーキ力を高める効果を得ることができる。尚、図4中、X特性線は排気ブレーキ装置51がオンのときのものであり、Y特性線は排気ブレーキ装置51がオフのときのものである。
また、一般に発電・電動機30は、回転数を増加させればトルクを下げても必要な動力を確保できるようになっているため、回転数を増加させることにより発電・電動機30のサイズを小型化することができる。本実施形態では、上記のように油圧モータ12の容量増加制御又は油圧ポンプ11の容量減少制御により発電・電動機30の回転数を増加させ、小型の発電・電動機30でも大きな回生動力を確保できるという効果が得られる。
さらに、上記減速走行時でかつバッテリ33の蓄電量が設定値2以下の場合には、コントローラ40によって、エンジン1の排気ブレーキ装置51をオフにするとともに、発電・電動機30を発電機として動作させ、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換しバッテリ33に蓄電することで運動エネルギーを回生するような制御が行われる(図2のステップS8,S11)。回生したエネルギーは、アクセルペダル41aによるアクセル操作量が増加しかつバッテリ33の蓄電量が設定値1以上の場合に発電・電動機30を電動機として動作させるのに利用される(図2のステップS4)。このため、加速時におけるエンジン1の燃料消費量を低減することができ、走行燃費の改善を図ることができる。尚、発電・電動機30を電動機として動作させ、エンジン1をアシストする場合、発電・電動機30の電動動作は、回転数制御ではなく、トルク制御とし、エンジン1のトルクをアシストするように制御する(図2のステップS4)。この方法によれば、エンジン1及び発電・電動機30の回転数制御は、エンジン1のガバナ制御により行われるため、発電・電動機30の回転数制御とエンジンガバナ42の回転数制御とが相互干渉して回転数が不安定になるのを防止できる効果が得られる。
その上、上記の如く発電・電動機30を発電機として動作させエネルギー回生を行うに当たっては、エンジン1の排気ブレーキ装置51をオフにすることで(図2のステップS8)、図4のY特性線に示すように、エンジンのブレーキ動力を全体に減少させるため、減少したブレーキ動力分を発電・電動機30のエネルギー回生動力に回すことが可能となり、回生動力の増加による走行燃費の改善を一層図ることができる。
一方、上記減速走行時でかつバッテリ33の蓄電量が設定値2以上の場合には、コントローラ40によって、エンジン1の排気ブレーキ装置51をオンにするとともに、発電・電動機30を動作なしにするような制御が行われる(図2のステップS12,S13)。このため、バッテリ33の蓄電量が設定値2以上の場合にバッテリ33に過充電させて性能の劣化が生じるのを防止できるとともに、バッテリ33の蓄電量が設定値2以下の場合と比較して、発電・電動機30を発電動作させないことによる発電トルクの減少によるブレーキ力の減少を排気ブレーキ装置51の作動によるブレーキ力の増加により埋め合わせることができる。この結果、長い下り坂を走行する場合などでも主ブレーキ装置23a,23bの負荷をその分軽減することができ、主ブレーキ装置23a,23bの過熱による破損やベーパーロックなどによるブレーキ力不足の発生を防止することができる。
加えて、上記減速走行時のうち、バッテリ33の蓄電量が設定値2以下の場合と設定値2以上の場合とでは異なるブレーキ力が付与されるが、バッテリ33の蓄電量が設定値2以下の場合にブレーキ力を付与する発電・電動機30の発電動作では、それにより発生するブレーキ力(詳しくは発電トルク)が排気ブレーキ装置51が動作するときのブレーキ力(詳しくは排気ブレーキトルク)と同じになるような制御が行われる(図2のステップS9〜S11)。このため、発電動作により発生するブレーキ力と補助ブレーキ装置のブレーキ力の総和が変化することはなく、発電動作の有無によるブレーキ力の変化を防止して走行フィーリングの向上を図ることができる。
図5は本発明の第2の実施形態に係る作業用車両の走行装置Bの全体構成を示す。この走行装置Bにおいて、上記第1の実施形態の走行装置Aと異なる点は、主ブレーキ装置23a,23bとは別にブレーキ力を発生する補助ブレーキ装置として、第1の実施形態の走行装置Aの排気ブレーキ装置51の代わりに、HST10の油圧モータ12と差動装置20とを連結するプロペラシャフト61に介在される補助リターダ62を備えることと、コントローラ40による制御のために、車速を検出する車速センサ63を備えることである。尚、走行装置Bのその他の構成は、第1の実施形態の走行装置Aと同じであり、同一の部材・部品には同一の符号を付してその説明は省略する。
上記補助リターダ62は、流体の抵抗によりブレーキ力を発生する流体式のもの、又は渦電流によりブレーキ力を発生する電磁式のものなどのいずれでも良い。この補助リターダ62は、コントローラ40の指令によりプロペラシャフト61にブレーキトルクとしてブレーキ力を付与するように動作する。
また、上記コントローラ40による制御は、第1の実施形態の場合と基本的に同じであり、図2に示すフローチャートに基づいて行われるが、図2のステップS9での排気ブレーキトルクの算出の代わりに、補助リターダトルクの算出を行うことなどが異なる。
すなわち、上記補助リターダ62はプロペラシャフト61上に設けられているため、補助リターダ62のブレーキトルクは、図6に示すように、プロペラシャフト61の回転数ωpsと相関がある。プロペラシャフト61の回転数ωpsは、下記の式(2)のように、車速Vより求められる。
ωps=(V/R)×Nax (2)
従って、車速センサ63の検出値を用いて式(2)からプロペラシャフト61の回転数ωpsを求め、図6の関係を用いて補助リターダトルクTrdを算出する。続いて、この補助リターダトルクTrdに見合ったブレーキ力を付与するための発電機トルクの目標値Tgeを設定する(図2のステップS10)。この目標値Tgeは、下記の式(3)のようになる。
ge=Trd×(ωps/ω)×Nge (3)
但し、ωはエンジン回転数、Ngeは発電・電動機30とエンジン1との間に減速比である。従って、上述した補助リターダトルクTrdの算出及びプロペラシャフト回転数ωpsの算出と共に、エンジン回転数センサ46の検出値ωとから、上記の式(3)を用いることで、発電機トルクの目標値Tgeを算出する。
そして、上記第2の実施形態の走行装置Bにおいても、第1の実施形態の走行装置Aの場合と同様に作動し、またそれにより同様の効果を奏するものは勿論である。
図7は本発明の第3の実施形態に係る作業用車両の走行装置Cの全体構成を示す。この走行装置Cの場合、補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置51は、運転者によって切り替えられる減速力増加スイッチ71を有し、このスイッチ71の切替に伴いコントローラ40の制御の下にブレーキ力を高低2段に発生するようになっている。尚、走行装置Cのその他の構成は、第1の実施形態の走行装置Aと同じであり、同一の部材・部品には同一の符号を付してその説明は省略する。
上記コントローラ40による制御は、図8及び図9に示すフローチャートに従って行われる。
すなわち、図8において、スタートした後、先ず、ステップS21でアクセルペダル装置41の信号に基づいて車両の走行中にアクセル操作量が増加しているか否かを判定する。この判定がYESのときには、ステップS22でバッテリ33の蓄電量信号に基づいてその蓄電量が設定値1以上であるか否かを判定する。この判定がYESのときには、ステップS23で電動機トルクの目標値を設定し、ステップS24で発電・電動機30を電動機として動作させ、その際の電動機トルクが目標値になるようにトルク制御を行い、リターンする。
一方、上記ステップS22の判定がNOのときには、ステップS25で発電・電動機30は動作なしにし、リターンする。
また、上記ステップS21の判定がNOのとき、つまり車両の走行中に運転者がアクセル操作量を増加していないとき、換言すれば運転者がアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとしたとき、あるいは運転者がブレーキペダル43aの踏み込みによりブレーキ操作を行ったときには、ステップS26でHST10の油圧モータ12の容量を増加させる制御又はHST10の油圧ポンプ11の容量を減少させる制御を行うとともに、この状態で車両の運動エネルギーをHST10を介して回生するように制御を行う。
続いて、図9において、ステップS27でバッテリ33の蓄電量信号に基づいてバッテリ33の蓄電量が設定値2以下であるか否かを判定するとともに、ステップS28で減速力増加スイッチ71により速力増加指令があるか否かを判定する。
そして、上記ステップS27の判定がYESでかつステップS28の判定がNOのとき、つまりバッテリ33の蓄電量が設定値2以下でかつ減速力増加指令がないときには、ステップS29で補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置51をオフにし、ステップS30で回転数センサ46の信号に基づいてエンジン回転数に応じて排気ブレーキトルクを算出する。この排気ブレーキトルクの算出方法は、第1の実施形態の場合と同じである。
続いて、ステップS31で排気ブレーキトルクに見合った発電機トルクの目標値を設定し、ステップS32で発電・電動機30を発電機として動作させ、その際の発電機トルクが目標値になるようにトルク制御を行い、リターンする。この場合、発電機トルクの目標値(発電機目標トルク)とエンジン回転数とは、図10のX特性線に示すような関係を有する。
一方、上記ステップS27の判定がNOのとき、つまりバッテリ33の蓄電量が設定値2以上のときには、ステップS33で補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置51をオンにし、ステップS34で発電・電動機30は動作なしにし、リターンする。
また、上記ステップS27の判定及びステップS28の判定が共にYESのとき、つまりバッテリ33の蓄電量が設定値2以下でかつ減速力増加指令があるときには、ステップS35で補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置46をオンにし、ステップS36でHST10の油圧モータ12の容量を更に増加させる制御又はHST10の油圧ポンプ11の容量を更に減少させる制御を行う。続いて、ステップS37で発電機トルクの目標値を設定し、ステップS37で発電・電動機30を発電機として動作させ、その際の発電機トルクが目標値になるようにトルク制御を行い、リターンする。この場合、発電機トルクの目標値(発電機目標トルク)とエンジン回転数とは、図10のY特性線に示すような関係を有し、発電機トルクの目標値は、ステップS31での目標値よりも高く設定される。
そして、上記第3の実施形態の走行装置Cにおいては、第1の実施形態の走行装置Aの場合と同様に作動しかつ効果を発揮するだけでなく、以下のような作用効果を発揮することができる。
すなわち、減速走行時でかつバッテリ33の蓄電量が設定値2以下の場合において、運転者が減速力増加スイッチ71により減速力を増加する指令を入力しているときには、補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置51が作動してブレーキ力を発生するだけでなく、発電・電動機30が発電機として動作する際の目標値が、減速力増加指令のないときに比べて高く設定され、発電機トルクがその目標値になるようにトルク制御が行われるため、減速力を増加する効果を高めることができる。また、発電・電動機30の発電量の増加に伴い運動エネルギーの回収量を増加し、その分走行燃費の改善を一層図ることができる。
その上、上記減速力増加指令が入力されているときには、HTS10の油圧モータ12の容量を更に増加する制御又はHST10の油圧ポンプ11の容量を更に減少する制御が行われるため、上記した式(1)の関係により、油圧ポンプ11の回転数が更に増加し、これに伴ってエンジン1及び発電・電動機30の回転数が共に更に増加する。図11は車速とエンジン回転数の関係を示し、減速力増加指令がない場合をX特性線で、減速力増加指令がある場合をY特性線でそれぞれ示している。この図から分かるように、減速力増加指令がある場合には、エンジン回転数は減速力増加指令がない場合に比べて全車速域で高くかつ車速の増加に従ってその差が大きくなる。また、図12は車速と発電機動力の関係を示し、減速力増加指令がない場合をX特性線で、減速力増加指令がある場合をY特性線でそれぞれ示している。この図から分かるように、減速力増加指令がある場合には、発電・電動機30の発電機動力は、減速力増加指令がない場合に比べて発電・電動機30の回転数の増加により全車速域で高くかつ車速の増加に従ってその差が大きくなる。このように、減速力増加指令がある場合にエンジン1の回転数及び発電・電動機30の発電機動力を高めることができるので、高い減速力を確実に確保することができるとともに、運動エネルギーの回収量を更に増加して走行燃費の改善をより一層図ることができる。
尚、本発明は上記第1ないし第3の実施形態に限定されるものではなく、その他種々の形態を包含するものである。例えば上記第1の実施形態では、補助ブレーキ装置として、排気ブレーキ装置51を用いた場合について述べたが、本発明は、この排気ブレーキ装置51の代わりに、エンジンリターダを用いても良い。エンジンリターダは、コントローラ40からの作動指令を受けた場合、エンジン1の圧縮行程の終了間際で排気バルブを開き、シリンダ内の圧縮された空気を逃がすことでエンジンブレーキ力を増加させるものである。このエンジンリターダを用いた場合でも、第1の実施形態の場合と同様に制御することにより、同様な作用効果を発揮することができる。
また、補助ブレーキ装置として、2種類以上のものを併用するように構成しても良い。例えば上記第3の実施形態の如き減速力増加スイッチ71を有する排気ブレーキ装置51と、上記第2の実施形態の如き補助リターダ62とを併用し、発電・電動機30の発電量が最大となった場合に排気ブレーキ装置51と補助リターダ62とを共に作動させることにより、図13にZ特性線で示すような強大なブレーキ動力を発揮するようにしても良い。尚、図13中、X特性線は、減速力増加スイッチ71を有する排気ブレーキ装置51において減速力増加スイッチ71を入力せずに作動させた場合のものであり、Y特性線は、同じく排気ブレーキ装置51において減速力増加スイッチ71を入力して作動させた場合のものである。
さらに、上記各実施形態では、減速走行時でかつバッテリ33の蓄電量が設定値2以下のときには、いずれも補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置51又は補助リターダ62をオフにする制御を行った(図2のステップS8、図9のステップS29)が、本発明は、減速走行時かつバッテリ33の蓄電量が設定値2以下のときに、補助ブレーキ装置が作動中であれば、発電量の増加に応じて補助ブレーキ装置のブレーキ力を減じるように制御を行っても良く、同様な効果を奏することができる。
また同様に、上記各実施形態では、減速走行時でかつバッテリ33の蓄電量が設定値2以上のときには、常に補助ブレーキ装置としての排気ブレーキ装置51又は補助リターダ62をオンにし、発電・電動機30は動作なしにする制御を行った(図2のステップS12,S13、図9のステップS33,S34)が、本発明は、減速走行時でかつバッテリ33の蓄電量が設定値2以上のとき、発電・電動機30の発電動作を減じるように制御したり、あるいは発電・電動機30の発電動作を維持しつつ発電した電力をバッテリ33で蓄電せずに抵抗により消費させるように制御したりしても良い。
加えて、上記各実施形態では、蓄電装置としてバッテリ33を用いたが、本発明は、このバッテリ33の代わりに、キャパシタを用いても良いのは言うまでもない。
A,B,C 走行装置
1 エンジン
2 パワーデバイダ(動力分配装置)
10 油圧駆動装置(HST)
11 油圧ポンプ
12 油圧モータ
13 閉回路
21a,21b 車軸
23a,23b 主ブレーキ装置
30 発電・電動機
33 バッテリ(蓄電装置)
40 コントローラ(制御装置)
41 アクセルペダル装置(アクセル操作量入力装置)
42 ガバナ
43 ブレーキペダル装置
43a ブレーキペダル
51 排気ブレーキ装置(補助ブレーキ装置)
62 補助リターダ(補助ブレーキ装置)

Claims (1)

  1. 車両に搭載されたエンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量型油圧ポンプと可変容量型油圧モータとを閉回路で連通してなる油圧駆動装置と、この油圧駆動装置の油圧モータの動力により駆動される車軸と、運転者が操作するアクセル操作量入力装置と、このアクセル操作量入力装置によって入力されたアクセル操作量に応じて上記エンジンの調速制御を行うガバナと、ブレーキペダルの踏み込み量に応じてブレーキ力を発生する主ブレーキ装置と、この主ブレーキ装置とは別にブレーキ力を発生する補助ブレーキ装置と、上記エンジンの出力軸に上記油圧駆動装置の油圧ポンプと同軸で連結され又は動力分配装置を介して連結され、発電機及び電動機として機能する発電・電動機と、この発電・電動機と電力を蓄電及び放電可能に接続された蓄電装置と、制御装置とを備えており、
    上記制御装置は、車両の走行中に運転者が上記アクセル操作量入力装置によりアクセル操作量を減少若しくはアクセルオフとした場合、あるいは上記ブレーキペダルの踏み込みによりブレーキ操作を行った場合の減速走行時には、それ以外の走行時よりも上記油圧駆動装置の油圧モータの容量を増加させるか、あるいは上記油圧駆動装置の油圧ポンプの容量を減少させ、この状態で車両の運動エネルギーを油圧駆動装置を介して回生するように制御を行うとともに、上記減速走行時でかつ上記蓄電装置の蓄電量が設定値より小さい場合には、回生したエネルギーにより上記発電・電動機を発電機として動作させて発電し、この発電した電力を上記蓄電装置に蓄電し、このとき上記補助ブレーキ装置が動作中であれば、発電量の増加に応じて上記補助ブレーキ装置のブレーキ力を減じるかあるいはオフとするように制御を行い、上記減速走行時でかつ上記蓄電装置の蓄電量が設定値より大きい場合には、回生したエネルギーによる上記発電・電動機の発電動作を減じるかオフとするか、あるいは発電した電力を上記蓄電装置で蓄電せずに抵抗により消費させ、発電・電動機の発電動作を減じるかオフとするとき上記補助ブレーキ装置を作動させるように制御を行うように設けられており、
    また、上記制御装置は、減速走行時でかつ蓄電装置の蓄電量が設定値より小さい場合に発電・電動機を発電動作させるとき、その発電動作により発生するブレーキ力が、上記補助ブレーキ装置が動作するときのブレーキ力と同じになるように発電トルク目標値を設定し、発電・電動機をトルク制御するように設けられていることを特徴とする作業用車両の走行装置。
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