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JP5557564B2 - 含窒素カーボンアロイ及びそれを用いた炭素触媒 - Google Patents

含窒素カーボンアロイ及びそれを用いた炭素触媒 Download PDF

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Description

本発明は含窒素カーボンアロイ及びそれを用いた炭素触媒に係り、更に詳しくは、含窒素有機化合物が共有結合したカーボン材料に由来する含窒素カーボンアロイ及びそれを用いた炭素触媒に関する。
燃料電池は電気化学システムを用いて化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できるシステムであり、高効率であるため次世代エネルギーとして期待されている。特に、固体高分子型燃料電池は自動車用、定置用、小型モバイル用に活発に開発が進められている。従来、これらの固体高分子型燃料電池の電極触媒には、高い酸素還元活性を有する白金や白金合金等を用いる貴金属系触媒が用いられているため、コスト、資源量、供給安定性の面から脱白金触媒が求められている。しかし、現状の脱白金触媒の性能は、白金等の貴金属触媒に比べて十分ではない。そのため、白金を大幅に低減した触媒や、白金を使用しない触媒の技術開発が現在も進められている。
例えば、特許文献1では、高分子金属錯体に炭素添加物を混合し熱処理した炭素化物に、窒素をドープした炭素材料が提案されている。このように酸素還元活性を付与された炭素材料は酸素還元活性を有する非白金触媒として利用され得る。また、特許文献2では、表面処理した炭素材料にイオン交換性官能基をグラフト化により導入した炭素材料が炭素触媒として提案されている。
しかし、特許文献1の炭素触媒では、焼成前の前駆体において炭素材料と金属元素及び窒素元素とが結合しておらず、また前駆体の作製時に高分子金属錯体と炭素材料とを均一に混合することが困難であるため、金属元素や窒素元素の導入率が低くなり、触媒活性の向上は僅かであると考えられる。更に、金属錯体が高分子なので構造が限定されるというデメリットも有する。
また、炭素材料に窒素原子をアロイ化する方法としては、炭素材料に含窒素有機化合物を含浸させて焼成する方法、炭素材料の表面を窒素原子含有ポリマーで被覆した後焼成する方法等が知られているが、前者の方法では、焼成時に含窒素有機化合物が揮発して、カーボンアロイ材料への窒素原子導入率を高くする事が困難である。後者の方法では、カーボン材料の表面全体を被覆することや、被覆の厚みを制御することが難しく被覆が厚くなりやすいことから導電性の高い材料を安定に調する事が出来ない。
一方、特許文献2の炭素触媒では、導入されるイオン交換性官能基はプロトン伝導部位として導入されるため、触媒活性点として寄与するものではなく、また修飾後に焼成が必須ではないことから、炭素構造が不規則になり、酸素還元性能や導電性に劣ると考えられる。
特開2008−282725号公報 特開2009−295441号公報
本発明の目的は、上記の問題点を解決するものであり、カーボン材料に窒素原子を高い導入率で均一に導入することで、酸素還元活性が充分に高く触媒性能にばらつきがなく、また高い導電性を有し、更に導入できる含窒素有機化合物の選択肢が広い含窒素カーボンアロイ及びそれを用いた触媒を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、カーボン材料に含窒素有機化合物を共有結合させた、含窒素有機基置換カーボン材料を前駆体として焼成することにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、カーボン材料の焼成前に、カーボン材料に含窒素有機基を共有結合により導入したため、焼成プロセスにおける触媒活性点や前駆体の気化を抑制することができた。また、それにより窒素含有率が高く、高酸素還元活性のカーボンアロイ材料を得ることができた。またカーボン材料の表面に共有結合で含窒素有機基を結合することにより、カーボンアロイの表面を分子レベルの厚さで修飾することができ、そのため原料のカーボン材料の導電性を維持したカーボンアロイ材料の調製が可能となった。そして、反応溶媒の検討により含窒素有機化合物を均一に導入することができ、含窒素有機基の添加量の調整により所望の量の含窒素有機基を均一に結合することができ、活性ばらつきの少ないカーボンアロイ材料の調製が可能となった。また更に導入できる含窒素有機化合物は低分子、高分子を問わず選択肢が非常に広いので、表面積を向上させるなどのコントロールも容易であり、より活性の高い触媒を得ることができる。
すなわち、上記課題は以下の手段により達成することができる。
すなわち、本発明は下記の[1]〜[1]に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載した。
[1]
カーボン材料の表面に含窒素有機化合物を共有結合させた含窒素有機基置換カーボン材料を少なくとも一種含む前駆体を焼成して得られたものであって、11N/mm で圧密した際の電気抵抗率が2.0Ω・cm以下の導電性を有し、前記含窒素有機化合物は、含窒素ヘテロ環化合物又は含窒素基が置換した芳香族環化合物であることを特徴とする含窒素カーボンアロイ。
[2]
前記含窒素ヘテロ環化合物が、含窒素複素単環化合物及び含窒素縮合複素環化合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]に記載の含窒素カーボンアロイ。
[3]
前記含窒素複素単環化合物が、5員環化合物であるピロール及びその誘導体、ジアゾール類及びその誘導体、トリアゾール類及びその誘導体、6員環化合物であるピリジン及びその誘導体、ジアジン類及びその誘導体、並びに、トリアジン類及びその誘導体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする[2]に記載の含窒素カーボンアロイ。
[4]
前記含窒素縮合複素環化合物が、キノリン、フェナントロリン、及びプリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする[2]又は[3]に記載の含窒素カーボンアロイ。
[5]
前記含窒素基が置換した芳香族環化合物が、ベンゾニトリル、及びアニリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
[6]
前記含窒素有機化合物の含有する窒素元素の炭素元素に対する比率が、0.5%〜50%であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
[7]
前記焼成が、不活性ガス雰囲気下において500℃〜1500℃の焼成温度で行われことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
[8]
含有する窒素元素の炭素元素に対する元素比率が、0.5%〜50%であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
[9]
11N/mmで圧密した際の電気抵抗率が.0Ω・cm以下の導電性を有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
[10]
[1]〜[9]のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイを有することを特徴とする触媒。
[11]
固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜に接して設けられた触媒層とを備え、該触媒層が[10]に記載の触媒を含むことを特徴とする電極膜接合体。
[12]
[11]に記載の電極膜接合体を有することを特徴とする燃料電池。
[13]
黒鉛、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノホーンより選択される少なくとも1種のカーボン材料に含窒素有機化合物を共有結合させ、得られた含窒素有機基置換カーボン材料を少なくとも一種含む前駆体を焼成することを特徴とする製造方法であって、前記含窒素有機化合物は、含窒素ヘテロ環化合物又は含窒素基が置換した芳香族環化合物であることを特徴とする含窒素カーボンアロイの製造方法。
〔1〕
カーボン材料に含窒素有機化合物を共有結合させた含窒素有機基置換カーボン材料を少なくとも一種含む前駆体を焼成して得られた含窒素カーボンアロイ。
〔2〕
前記含窒素有機化合物が含窒素ヘテロ環化合物又は含窒素基が置換した芳香族環化合物であることを特徴とする〔1〕に記載の含窒素カーボンアロイ。
〔3〕
前記含窒素有機化合物の含有する窒素元素の炭素元素に対する比率が、0.5%〜50%であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の含窒素カーボンアロイ。
〔4〕
前記焼成が、不活性ガス雰囲気下において500℃〜1500℃の焼成温度で行われることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
〔5〕
含窒素カーボンアロイにおける含有する窒素元素の炭素元素に対する元素比率が、0.5%〜50%であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
〔6〕
11N/mmで圧密した際の電気抵抗率が2.0Ω・cm以下の導電性を有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイを有することを特徴とする触媒。
〔8〕
固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜に接して設けられた触媒層とを備え、該触媒層が〔7〕に記載の触媒を含むことを特徴とする電極膜接合体。
〔9〕
〔8〕に記載の電極膜接合体を有することを特徴とする燃料電池。
本発明によれば、カーボン材料に含窒素有機化合物を共有結合させた含窒素有機基置換カーボン材料を前駆体として焼成することにより、酸素還元活性が充分に高く触媒性能にばらつきがなく、また高い導電性を有し、更に導入できる含窒素有機化合物の選択肢が広い含窒素カーボンアロイ及びそれを用いた触媒を提供することができる。
本発明のカーボンアロイを用いた燃料電池の概略構成図である。 本発明のカーボンアロイを用いた電気二重層キャパシタの概略構成図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)含窒素カーボンアロイ
本発明の含窒素カーボンアロイは、カーボン材料に含窒素有機化合物を共有結合させた含窒素有機基置換カーボン材料を少なくとも一種含む材料を焼成して得られる。
(カーボン材料)
本発明において用いられるカーボン材料は、特に限定されるものではなく、例えば、黒鉛、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ(CNT)及びカーボンナノホーン(CNH)などが挙げられる。カーボンブラック及びカーボンナノチューブは高い導電性を有することから好ましく用いることができ、アセチレンブラック及び多層カーボンナノチューブは特に好ましく用いることができる。カーボン材料は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、本発明の趣旨に反しない範囲であれば、カーボン材料以外の成分を含むカーボン材料組成物をカーボン材料として用いてもよい。
前記カーボン材料の形状は特に限定されるものではなく、粉末状、粒子状、塊状、繊維状、シート状などあらゆる形状とすることができる。例えば、粉末状、粒子状、繊維状の場合は、その粒子サイズや繊維径が小さいほど比表面積が大きくなり、触媒活性の観点から有利である。したがって、カーボン材料が粉末状、粒状である場合には平均粒子サイズが150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。繊維状である場合には、平均直径が150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
前記カーボン材料は高純度の炭素微粒子からできていることが好ましく、炭素微粒子が鎖状に連なっていることが更に好ましく、グラファイト化が進んでいることがより好ましい。また表面状態は、特に限定はされないが有機官能基が少ない方が好ましい。
本発明に用いることのできるカーボン材料の具体例としては、電気化学工業社製デンカブラック(登録商標)や、Cabot製Vulcan(登録商標)XC−72、ライオン株式会社製ケッチェンブラック(登録商標)EC−300J、ワコーケミカル製MWCNTなどを挙げることができ、なかでもデンカブラック、ケッチェンブラックEC300が好ましくより好ましくはデンカブラックであるが、特にこれらに限定されるものではない。
(含窒素有機化合物)
本発明において用いられる含窒素有機化合物としては、窒素原子を含む有機化合物であれば、低分子、高分子を問わず特に制限はない。例えば、含窒素ヘテロ環式化合物、含窒素基が置換した芳香族環化合物、アミン類、イミン類、ニトリル類、含窒素ポリマー等が挙げられるが酸素還元活性や耐熱性の観点から含窒素ヘテロ環式化合物又は含窒素基が置換した芳香族環化合物であることが好ましい。また、焼成時に含窒素有機化合物がカーボン材料と縮環構造を形成出来るような置換基を有することが更に好ましい。これらの含窒素有機化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
含窒素有機化合物の含有する窒素元素の炭素元素に対する比率は、0.5%〜50%であることが好ましく、2%〜45%であることがより好ましく、5%〜40%であることが更に好ましい。上記範囲で窒素を含有する化合物を使用することにより、別途窒素源となる化合物を導入する必要がなく、良好な酸素還元活性が得られやすい。
上記含窒素ヘテロ環式化合物としては、含窒素複素単環化合物及び含窒素縮合複素環化合物が挙げられる。
含窒素複素単環化合物としては、5員環化合物であるピロール及びその誘導体、ピラゾールやイミダゾール等のジアゾール類及びその誘導体、トリアゾール類及びその誘導体、並びに、6員環化合物であるピリジン及びその誘導体、ピリダジンやピリミジンやピラジン等のジアジン類及びその誘導体、トリアジン類及び、メラミンやシアヌル酸等のトリアジン類誘導体が挙げられる。
含窒素縮合複素環化合物としては、キノリン、フェナントロリン、プリン等が挙げられる。キノリン、フェナントロリンが好ましく、キノリンがより好ましい。
上記含窒素基が置換した芳香族環化合物としては、ベンゾニトリル、アニリン等が挙げられる。
上記アミン類としては、第1級〜第3級アミン、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類及びアミノ化合物等が挙げられる。第1級〜第3級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミン等の脂肪族アミン及びその誘導体等が挙げられ、ジアミン類としては、エチレンジアミン等が挙げられ、アミノ化合物としては、エタノールアミン等のアミノアルコール等が挙げられる。また、上記イミン類としては、ピロリジン及びエチレンイミン等が挙げられる。更に、上記ニトリル類としては、アセトニトリル等の脂肪族ニトリル等が挙げられる。上記含窒素ポリマーとしては、ナイロン等のポリアミド類、ポリアクリロニトリル等の含窒素高分子化合物及びポリイミド類等が挙げられる。また、その他の含窒素有機化合物としては、ガラクトサミン等のアミノ糖及びアミノ酸等が挙げられる。
(含窒素有機基置換カーボン材料)
本発明において用いられる含窒素有機基置換カーボン材料は、上記カーボン材料に上記含窒素有機化合物が共有結合したものである。共有結合は、例えばカップリング剤を用いたカップリング反応等の合成反応により得られる。含窒素有機基の導入位置は、特に限定はされないが、カーボン材料の表面であることが好ましい。カーボン材料表面のみを均一に修飾することで、共有結合した含窒素有機官能基の厚さを分子レベルとすることができ、カーボン材料の導電性低下を容易に抑制し得るからである。
(無機金属及び無機金属塩)
本発明において、焼成に供する有機材料は、一種以上の含窒素有機基置換カーボン材料に加え無機金属及び無機金属塩から選択される少なくとも1種を含むことができる。これにより、窒素原子との相互作用によって、より高い酸素還元活性を有するカーボンアロイが生成し得る。
また、カーボンアロイは、ナノシェル構造の炭素粒子を少なくとも一部に含有し、繊維状に構成されていることが好ましい。
本実施の形態のカーボンアロイは、遷移金属又は遷移金属化合物が添加されることが好ましく、該好ましい態様においては、窒素原子(N)を構成元素として含む炭素前駆体高分子を、乾式紡糸、湿式紡糸、又は、電界紡糸等の紡糸方法により繊維化し、繊維化された炭素前駆体高分子を炭素化することにより製造しても良い。このとき窒素原子(N)を構成元素として含む炭素前駆体高分子に添加されている遷移金属又は遷移金属化合物の触媒作用等により、窒素原子(N)を高濃度に含有したナノシェル構造の炭素粒子が形成されることが好ましい。
本実施の形態のナノシェル炭素が高い活性を示す要因として以下のことが考えられる。ナノシェル炭素の基本構造は、炭素がsp混成軌道により化学結合し、二次元に広がった六角網面構造を持つ炭素原子の集合体であるグラフェンが、球状に積層した構造である。炭素化過程で窒素原子(N)が六角網面構造に導入されると、ピリジン形、ピロール型、酸化型の窒素原子(N)が配位し、異元素の化学結合により誘起されたグラフェン構造の欠陥が触媒活性を示す、とされている。つまり、本実施の形態の優れた触媒活性は、ナノシェル炭素の粒径を50nm以下、より好ましくは20nm以下、更に好ましくは10nm以下とし、形状を繊維状とすることで表面積を広げ、更にナノシェル炭素の表面に窒素原子(N)を高濃度に存在させことできたことが要因と考えられる。
このようなナノシェル構造の微細化は、本実施の形態のナノシェル炭素におけるグラフェン層の厚みが10nm以下、より好ましくは5nm以下で形成していることが要因と考えられる。このグラフェン層の厚さがグラフェンの屈曲を良くし、より小さな粒径のナノシェル炭素の形成を促していると考えられる。
炭素前駆体高分子、又は炭素前駆体高分子−金属間化合物の形状は、炭素触媒の活性を有する限り特に限定はされない。例えば、球状以外の多くの楕円、扁平、角型など、大きく歪んだ構造を示すことがあり、シート状、繊維状、ブロック状、粒子状等が挙げられる。
無機金属及び無機金属塩から選択される少なくとも1種に含有される金属は炭素触媒の活性を阻害しない限り種類が限定されるものではないが、より好ましくは遷移金属であり、更に好ましくは、周期律表の3族から12族の第4周期に属する元素が挙げられる。このような遷移金属としてコバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、セリウム(Ce)等が挙げられ、なかでもコバルト、鉄、マンガン、ニッケル、銅又はセリウムであることが好ましい。コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、銅及びその化合物は、炭素触媒の触媒活性を向上させるナノサイズのシェル構造を形成することに優れ、その中でも特に、コバルト、鉄は、ナノサイズのシェル構造を形成することに優れる。また、炭素触媒に含有されたコバルト、鉄は、炭素触媒中において触媒の酸素還元活性を向上させる。
なお、炭素触媒の活性を阻害しない限り、遷移金属以外の元素(例えば、ホウ素等)が含まれてもよい。
無機金属塩としては、特に限定はされないが、水酸化物、酸化物、窒化物、硫化物、炭素化物、硝化物、ハロゲン化物等とすることができる。好ましくは対イオンがハロゲンイオン、硝酸イオン又は硫酸イオンである。対イオンがハロゲンイオン、硝酸イオン又は硫酸イオンであるハロゲン化物、硝化物、又は硫化物であれば溶媒和しやすいため好ましい。
また無機金属塩は結晶水を含むことができる。無機金属塩が結晶水を含むことにより
溶解性が向上する点で好ましい。結晶水を含む無機金属塩としては、例えば、塩化コバルト含水塩、塩化鉄(III)含水塩、塩化コバルト、塩化鉄(II)含水塩を好適に使用することができる。
有機材料における無機金属及び無機金属塩の総量の含率は、10ppm〜10000ppmであることが好ましく、100ppm〜1000ppmであることがより好ましい。この範囲とすることで、より高い酸素還元反応活性を有するカーボンアロイが生成し得る。
なお、無機金属及び無機金属塩の粒径は、直径1nm以上50nm以下であることが好ましい。より好ましくは1nm以上20nm以下、更に好ましくは1nm以上10nm以下である。無機金属及び無機金属塩の粒径を小さくすることで、カーボンアロイからの脱落を抑えることができる。
(焼成)
有機材料の焼成は、不活性雰囲気下で行われることが好ましい。焼成温度は、含窒素有機基置換カーボン材料が熱分解及び炭素化する温度であれば特に制限されないが、500〜1500℃であることが好ましく、650〜700℃の範囲であることがより好ましい。反応温度が500℃以上の場合には、含窒素有機化合物の熱分解が起こりやすくなるため、反応時間及びエネルギー消費が小さくなる傾向がある。また、反応温度が1500℃以下であれば、炭素骨格中に窒素が残留し易いため、N/C原子比が低下するのを防ぎ、酸素還元反応活性の低下を抑制できる。
(カーボンアロイ)
上記有機材料の焼成により得られた本発明のカーボンアロイは、窒素が導入されている含窒素カーボンアロイである。更に、導入されている窒素は、1s軌道の電子の結合エネルギーが398.5±1.0eVである第1の窒素原子と、1s軌道の電子の結合エネルギーが401±1.0eVである第2の窒素原子との、各エネルギーにおけるピークの面積の比、第1の窒素原子/第2の窒素原子の値が1.2以下であることが好ましい。
本発明のカーボンアロイは、炭素がsp混成軌道により化学結合し、二次元に広がった六角網面構造を持つ炭素原子の集合体であるグラフェンが存在する。そして、この六角網面構造に窒素原子が導入されると、ピロール型、グラフェン置換型、ピリジン型、ピリドン型などの構造をとり、これによって触媒活性を示す、とされている。
ピロール型は、グラフェンの六角形から、窒素原子を含む五角形に変化したものである。グラフェン置換型は、グラフェンの網目の隣接する六角形の境界部にある1つの炭素原子がそのまま窒素原子に置換されたものであり、窒素原子が3つの炭素原子と結合している。ピリジン型は、グラフェンの網目の六角形の境界部でない1つの炭素原子(主として分子の外周部にある)が窒素原子に置換されたものであり、窒素原子が2つの炭素原子と結合して、六角形を構成している。ピリドン型は、窒素原子が2つの炭素原子と結合して、六角形を構成すると共に、窒素原子と結合している1つの炭素原子に、OH基又はOが結合している。
1s軌道の電子の結合エネルギーが398.5±1.0eVである第1の窒素原子としては、ピリジン型が含まれる。また、1s軌道の電子の結合エネルギーが401±1.0eVである第2の窒素原子としては、ピロール型、グラフェン置換型、ピリドン型が含まれる。
各結合エネルギーの量比をXPS(X線光電子分光観察)によって測定することにより、各エネルギーにおけるピークの面積比を計算することができる。触媒活性の点から、第1の窒素元素/第2の窒素元素の数の比の値が1.2以下であることが好ましく、より好ましくは、1.1以下である。1.2以下であれば、十分な活性が得られる。
更に、本発明のカーボンアロイにおいて、炭素触媒中の表面窒素元素の含有量は表面の炭素に対して原子比で0.01以上0.3以下であることがより好ましい。窒素元素の含有量が0.01以上だと触媒活性が高く、また、0.3以下であれば触媒活性が高い。
また上記窒素元素の炭素元素に対する比率(N/C)の上限値は好ましくは50%であり、40%であることがより好ましい。一方、その下限値は好ましくは0.5%であり、0.7%であることがより好ましい。窒素元素の炭素元素に対する比率(N/C)が0.5%以上であれば、金属と結合する有効な窒素原子の数が減少することなく、十分な酸素還元触媒特性が得られる。また、窒素元素の炭素元素に対する比率(N/C)が50%以下であれば、カーボンアロイの炭素骨格の強度の低下を抑制し、また電気伝導性が低下するのを防ぐことができる。
なお、窒素元素の炭素元素に対する比率(N/C)は、CHN元素分析又はXPS(X線光電子分光分析)によって求めることができる。
また、カーボンアロイの骨格は、少なくとも炭素原子及び窒素原子により形成されていればよく、その他の原子として水素原子や酸素原子等を含んでいてもよい。その場合、その他の原子と炭素原子及び窒素原子との原子比((その他の原子)/(C+N))は1.0以下であることが好ましい。
更に、XPSのN1sスペクトルのピーク分離により求めたN型及びN型窒素原子の数の和と全窒素原子の数の和との比{(N+N)/N}が0.2〜1.0であることが好ましく、0.3〜1.0であることがより好ましい。この比{(N+N)/N}が0.2未満の場合には、金属と結合できる有効な窒素原子の数が少なく、十分な酸素還元触媒特性が得られなくなる場合がある。また、この比{(N+N)/N}の上限は、原理的に1である。
なお、含窒素カーボンアロイ中の窒素原子は様々な状態で炭素骨格の中に存在する。すなわち、(i)酸化された状態で、ハロゲン、酸素等と結合しているもの(NOX)、(ii)主に炭素網面の内部に存在し、3つの炭素原子と結合しており、孤立電子対を持たないもの(N)、(iii)主に炭素網面の端部に存在し、6員環のピリジン類似の構造をしているもの(N)、(iv)5員環のピロール類似の構造をしているもの(N)、に分類される。
これらの窒素原子のうち、N、Nの状態の窒素原子には、ピリジン、ピロールと同様に、孤立電子対が存在するので、これを利用して金属と配位結合を形成することができる。それぞれの存在比は、XPSのN1sスペクトルに異なった結合エネルギーのピークとして現れることを利用して、ピーク分離して強度を比較することにより、それぞれの存在比を求めることができる。典型的な各窒素状態のピーク位置は、NOXが402.9±0.2eV、Nが401.2±0.2eV、Nが400.5±0.2eV、Nが398.5±0.2eVである。なお、これらの他に、OH基がついた炭素に結合しているピリドン型の窒素原子も存在し得るが、Nと同じ400.5±0.2eVにピークを持つので、N型窒素原子と区別することはできない(E.Raymundo−Pinero et al.,Carbon,40,p.597〜608(2002)参照)。したがって、本明細書においては、ピリドン型窒素原子もN型窒素原子に包含されるものとして記載する。
そして、金属との結合に適しているかどうかは、窒素原子が孤立電子対を有しているかどうかによる。これは、窒素原子の孤立電子対が金属イオンの空軌道に電子を供与することで配位結合を形成することによる。上記の種々の窒素原子のうち、N型とN型の窒素原子は孤立電子対を持つので金属との結合に有効であるが、NOX型とN型の窒素原子は有効ではない。したがって、N1sスペクトルを上記の成分毎にピーク分離して各窒素原子の比率を求めた場合に、低い結合エネルギーの成分(N型及びN型窒素原子)の比率が大きいものほど金属との複合化(結合形成)に有効でありこの比{(N+N)/N}が0.2以上であることが好ましい。
カーボンアロイの電気抵抗率はJIS規格(K1469電池用アセチレンブラック)に準じた装置を用いることが出来る。本発明のカーボンアロイは、11N/mmで圧密した際の電気抵抗率が2.0Ω・cm以下であることが好ましい。より好ましくは1.0Ω・cm以下である。抵抗値を1.0Ω・cm以下とすることで、触媒として十分な導電性を有することができるからである。これは、焼成前の含窒素有機基置換カーボン材料において共有結合で置換基導入し、表面を分子レベルの厚さで修飾することによって、原料のカーボン材料の導電性を維持したものである。したがって、該抵抗値は、原料のカーボン材料とほぼ等しい。また、電気抵抗率が2.0Ω・cm以下であれば燃料電池発電時の出力低下を抑制でき、良好な性能が得られる。
また、カーボンアロイの比表面積は、50m2/g以上であることが好ましく、200m2/g以上であることがより好ましく、600m2/g以上であることが更に好ましく、800〜1500m2/gであることが特に好ましい。比表面積が50m2/g未満の場合には、担持成分との接触面積の低下及び担持成分を取り込む細孔の減少が生じ、十分な酸素還元触媒特性が得られない場合がある。
また、カーボンアロイの平均細孔径は、1〜50nmであることが好ましく、2〜10nmであることがより好ましい。平均細孔径が1nm未満の場合には、細孔の大きさが担持成分の大きさよりも小さくなることが多くなり、十分な酸素還元触媒特性が得られない場合がある。また、平均細孔径が50nmを超える場合には、比表面積の低下を招き、やはり十分な酸素還元触媒特性が得られない場合がある。
更に、カーボンアロイの細孔容量は、上記比表面積及び平均細孔径によっても変動するため特に制限されないが、0.1〜50ml/gであることが好ましく、0.2〜2.5ml/gであることがより好ましい。
これらの比表面積、平均細孔径及び細孔容量は、以下に述べる方法により求めることができる。すなわち、カーボンアロイを所定の容器に入れて液体窒素温度(−196℃)に冷却し、容器内に窒素ガスを導入して定容量法又は重量法によりその吸着量を求める。次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットして窒素吸着等温線を得る。この窒素吸着等温線を用い、SPE(Subtracting Pore Effect)法により比表面積、平均細孔径及び細孔容量を算出することができる(K.Kaneko,C.Ishii,M.Ruike,H.Kuwabara,Carbon 30,1075,1986)。上記SPE法とは、α−プロット法、t−プロット法等によってミクロ細孔解析を行い、ミクロ細孔の強いポテンシャル場の効果を取り除いて比表面積等を算出する方法であり、ミクロ細孔性多孔体の比表面積等の算出においてBET法よりも精度の高い方法である。
カーボンアロイの細孔形状は特に制限されず、例えば、表面のみに細孔が形成されていても、表面のみならず内部にも細孔が形成されていてもよく、内部にも細孔が形成されている場合には、例えば、トンネル状に貫通したものであってもよく、また、球状又は六角柱状等の多角形状の空洞が互いに連結したような形状を有していてもよい。
本発明のカーボンアロイの形状は、酸化還元反応活性を有する限り特に限定はされない。例えば、シート状、繊維状、ブロック状、粒子状等が挙げられる。
更に、本発明のカーボンアロイを溶媒に分散させることにより、カーボンアロイを含有するスラリーを作製することができる。これにより、例えば、燃料電池の電極触媒や、蓄電装置の電極材の作製を容易する際に、カーボンアロイが溶媒に分散されたスラリーを支持材料に塗布して焼成、乾燥させて、任意の形状に加工した炭素触媒を形成することができる。このようにカーボンアロイをスラリーとすることにより、炭素触媒の加工性が向上し、容易に電極触媒や電極材として用いることができる。
溶媒としては、燃料電池の電極触媒や、蓄電装置の電極材を作製する際に用いられる溶媒を適宜選択して使用することができる。例えば蓄電装置の電極材を作製する際に用いられる溶媒としては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)等一般的な極性溶媒を単独又は複数混合して使用することができる。また、燃料電池の電極触媒を作製する際に用いられる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等を挙げることができる。
(2)含窒素カーボンアロイの製造方法
本発明の含窒素カーボンアロイの製造方法は、特に限定されるものではないが、カーボン材料に含窒素有機化合物を共有結合させて含窒素有機基置換カーボン材料を得る工程と、該含窒素有機基置換カーボン材料を含む有機材料を焼成する焼成工程を含むことができる。
上記焼成工程は、含窒素有機基置換カーボン材料を含む有機材料を二段階で加熱処理することができ、例えば、第一段階の昇温は炭素化温度までとすることが出来る。
より具体的には、比較的低温での第一段階の処理を行うことで、有機材料中に金属が含まれるときは、より活性が高い状態で安定化することができる。例えば鉄イオンを、2価の状態で含むものとすることができる。その結果、高い酸素還元性能を有するカーボンアロイの製造が可能になった。一方、比較的低温での第一段階の処理を行うことなく、第一段階で高温度での炭化処理を行うと、得られる金属含有炭化物中の金属イオンは活性が高い状態を保つことができない場合がある。例えば、鉄イオンは、2価よりも活性の低い3価となってしまう。結果として、優れた酸素還元性能を有する金属含有炭化物は得られない場合がある。
更に、第一段階の処理を行うことで、続く炭素化工程における処理温度を上げることができ、炭素構造の規則性がより高められたカーボンアロイがより簡単に得られる。その結果、カーボンアロイの導電性が向上し、高い酸素還元性能が得られ、また、触媒としての耐久性も向上する。一方、比較的低温での第一段階の処理を行うことなく、一段階で高温度での炭素化処理を行う場合、カーボンアロイの収率が低減する傾向にあり、炭素化温度を上げることが難しくなる傾向にある。
第一段階の温度を炭素化温度まで昇温するのは、適切な第一炭化物を得るためである。一方、炭素化温度を超えると炭化が過剰に進み、適切な第一炭化物が得られない場合があることに加え、収率が低下するおそれがある。
これらの炭素化処理は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気とは、窒素ガスや希ガス雰囲気下などのガス雰囲気をいう。なお、酸素が含まれていたとしても、被処理物を燃焼させない程度まで酸素量を制限した雰囲気であればよい。当該雰囲気は、閉鎖系又は新たなガスを流通させる流通系の何れであってもよく、好ましくは流通系とする。流通系とする場合には、被処理物1グラム当たり0.01〜0.5リットル/分のガスを流通させることが好ましい。
第一段階の昇温工程では、有機材料を30℃〜500℃に0.1〜72時間保持することが好ましく、0.5〜24時間程度保持することがよりに好ましく、更に好ましくは1〜15時間程度保持する。1時間以上であれば、第一炭化処理の目的を達することができ、均一な予備炭化物が得られる。一方、20時間を超えて炭化処理しても、処理時間に相応する効果は得られず不経済である。
第一段階の昇温工程は、有機材料を炭化装置等に挿入した後に常温から所定温度まで昇温してもよいし、或いは、所定温度の炭化装置等へ有機材料を挿入してもよい。好適には、常温から所定温度まで昇温するのがよい。常温から所定温度まで昇温する場合には、昇温温度を一定にすることが好ましい。
第一段階の昇温工程の終了後は、そのまま温度を上げて第二段階の炭素化工程を行ってもよい。しかし好適には、一旦室温まで冷却した後に温度を上げ、炭素化工程を行う。また、昇温工程後に予備炭化物を室温まで冷却した際には、均一に粉砕してもよいし、更に成形してもよい。また、第二段階の炭素化工程は行わなくてもよい。
第二段階の炭素化工程の温度は500℃〜1500℃が好ましく、より好ましくは550℃〜1000℃、更に好ましくは600℃〜1000℃とする。当該温度を500℃以上にすることによって、十分に炭化が進んで高い触媒性能を有するカーボンアロイが得られる。一方、1000℃超で炭化処理すると炭化物の収率が著しく低減し、炭化物が収率よく製造できない場合がある。
第二段階の炭素化工程においては、被処理物を500℃〜1500℃で、0.1時間〜30時間保持することが好ましく、0.5時間〜15時間保持することがより好ましく、更に好ましくは1〜5時間保持する。5時間を超えて炭化処理しても処理時間に相応する効果は得られない場合がある。
第二段階の炭素化工程は、昇温工程と同様に不活性雰囲気下で行うことが好ましく、また流通系で行うことが好ましい。流通系とする場合には、被処理物1g当たり0.01〜5L/分のガスを流通させることが好ましく、0.05〜1L/分がより好ましく、更に好ましくは0.1〜0.5L/分流通させる。
但し、第二炭化処理は、賦活剤の存在下で行うことが好ましい。賦活剤の存在下、高温で炭化処理することにより、カーボンアロイの細孔が発達して表面積が増大し、カーボンアロイの表面における金属の露出度が向上することにより、触媒としての性能が向上する。なお、炭化物の表面積は、N2吸着量により測定することができる。
本発明においては賦活剤を用いても良い。使用できる賦活剤は、特に制限されないが、例えば、二酸化炭素、水蒸気、空気、酸素、アルカリ金属水酸化物、塩化亜鉛、及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができ、更に好ましくは、二酸化炭素、水蒸気、空気、酸素からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。二酸化炭素や水蒸気などの気体賦活剤は、第二炭化処理の雰囲気中に2〜80モル%、好ましくは10〜60モル%含有させればよい。2モル%以上であれば十分な賦活効果が得られる一方で、80モル%を超える場合には賦活効果が顕著になり炭化物の収率が著しく低減し、効率よく炭化物を製造することができなくなるおそれがある。また、アルカリ金属水酸化物等の固体賦活剤は、固体の状態で被炭化物と混合してもよく、或いは、水等の溶媒で溶解又は希釈した後、被炭化物を含浸するか、或いはスラリー状にして被炭化物に練り込んでもよい。液体賦活剤は、水等で希釈した後、被炭化物を含浸するか或いは被炭化物に練り込めばよい。
炭素化後に酸素原子を導入することもできる。このとき、酸素原子を導入する方法としては、液相ドープ法、気相ドープ法、又は、気相−液相ドープ法を用いて行うことができる。例えば、カーボンアロイに酸素源である二酸化炭素ガス雰囲気下で200℃以上800℃以下、5分以上180分以下保持することにより、熱処理して、炭素触媒の表面に酸素原子を導入することができる。
また、炭素化処理後に、カーボンアロイを室温まで冷却した後、粉砕処理を行ってもよい。粉砕処理は当業者に公知のいずれの方法でも行うことができ、例えば、ボールミルを用いて粉砕することができる。
(3)用途
本発明の含窒素カーボンアロイの用途は、構造材料、電極材料、ろ過材料、触媒材料など特に限定されないが、キャパシタやリチウム2次電池などの蓄電装置の電極材料として用いることが好ましく、高い酸素還元反応活性を有することを特徴とする燃料電池や亜鉛空気電池、リチウム空気電池などの炭素触媒として用いることがより好ましい。また、固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜に接して設けられた触媒層とを備えた電極膜接合体において、上記触媒を該触媒層に含むことができる。更に、上記電極膜接合体は、燃料電池に備えることができる。
図1に本発明のカーボンアロイから成る炭素触媒を用いた燃料電池10の概略構成図を示す。炭素触媒はアノード電極及びカソード電極に適用されている。
燃料電池10は、固体高分子電解質14を挟むように、対向配置されたセパレータ12、アノード電極触媒(燃料極)13、カソード電極触媒(酸化剤極)15及びセパレータ16とから構成される。固体高分子電解質14としては、パーフルオロスルホン酸樹脂膜を代表とするフッ素系陽イオン交換樹脂膜が用いられる。また、炭素触媒をアノード電極触媒13及びカソード電極触媒15として、固体高分子電解質14の双方に接触させることにより、アノード電極触媒13及びカソード電極触媒15に炭素触媒を備えた燃料電池10が構成される。上述の炭素触媒を固体高分子電解質の双方の面に形成し、アノード電極触媒13及びカソード電極触媒15を電極反応層側で固体高分子電解質14の両主面にホットプレスにより密着することにより、MEA(Membrane Electrode Assembly)として一体化させる。
従来の燃料電池では、集電体としての機能も有する多孔質のシート(例えば、カーボンペーパー)からなるガス拡散層を、セパレータとアノード及カソード電極触媒との間に介在させていた。これに対して図1の燃料電池10では、比表面積が大きく、更に、気体の拡散性が高い炭素触媒がアノード及びカソード電極触媒として用いることができる。上述の炭素触媒を電極として使用することにより、ガス拡散層が無い場合にも炭素触媒にガス拡散層の作用を持たせ、アノード及びカソード電極触媒13,15とガス拡散層とを一体化した燃料電池を構成することができるため、ガス拡散層を省略することによる燃料電池の小型化や、コストの削減が可能となる。
上記セパレータ12,16は、アノード及びカソード電極触媒層13,15を支持すると共に燃料ガスHや酸化剤ガスO等の反応ガスの供給・排出を行う。そして、アノード及びカソード電極触媒13,15にそれぞれ反応ガスが供給されると、両電極に備えられた炭素触媒と固体高分子電解質14との境界において、気相(反応ガス)、液相(固体高分子電解質膜)、固相(両電極が持つ触媒)の三相界面が形成される。そして、電気化学反応を生じさせることで直流電力が発生する。
上記電気化学反応において、
カソード側:O+4H++4e→2H
アノード側:H→2H++2e
の反応が起こり、アノード側で生成されたH+イオンは固体高分子電解質14中をカソード側に向かって移動し、e(電子)は外部の負荷を通ってカソード側に移動する。一方、カソード側では酸化剤ガス中に含まれる酸素と、アノード側から移動してきたH+イオン及びeとが反応して水が生成される。この結果、上述の燃料電池は、水素と酸素とから直流電力を発生し、水を生成することになる。
次に、本発明のカーボンアロイから成る炭素触媒を電極材に適用した蓄電装置について説明する。図2に該炭素触媒を用いた、蓄電容量に優れた電気二重層キャパシタ20の概略構成図を示す。
図2に示した電気二重層キャパシタ20は、セパレータ23を介して、分極性電極である第1の電極21及び第2の電極22が対向し、外装蓋24aと外装ケース24bの中に収容されている。また、第1の電極21及び第2の電極22は、それぞれ集電体25を介して、外装蓋24aと外装ケース24bに接続されている。また、セパレータ23には、電解液が含浸されている。そして、ガスケット26を介して電気的に絶縁させた状態で、外装蓋24aと外装ケース24bとをかしめて密封させて電気二重層キャパシタ20が構成されている。
図2の電気二重層キャパシタ20において、上述の炭素触媒を第1の電極21及び第2の電極22に適用することができる。そして、電極材に炭素触媒が適用された電気二重層キャパシタを構成することができる。上述の炭素触媒は、ナノシェル炭素が集合した繊維状の構造を有し、更に、繊維径がナノメートル単位であるため比表面積が大きく、キャパシタにおいて電荷が蓄積する電極界面が大きい。更に、上述の炭素触媒は、電解液に対して電気化学的に不活性であり、適度な電気導電性を有する。このため、キャパシタの電極として適用することにより、電極の単位体積あたりの静電容量を向上させることができる。
また、上述のキャパシタと同様に、例えば、リチウムイオン二次電池の負極材等のように、炭素材料から構成される電極材として上述の炭素触媒を適用することができる。そして、炭素触媒の比表面積が大きいことにより、蓄電容量の大きな二次電池を構成することができる。
次に、本発明のカーボンアロイを、白金等の貴金属を含む環境触媒の代替品として使用する例について説明する。
汚染空気に含まれる汚染物質を(主にガス状物質)等を分解処理により除去するための排ガス浄化用触媒として、白金等の貴金属系の材料が単独又は複合化物されて構成された触媒材料による環境触媒が用いられている。これらの白金等の貴金属を含む排ガス浄化用触媒の代替品として、上述の炭素触媒を使用することができる。上述の炭素触媒は、ナノシェル炭素により、触媒作用が付与されているため、汚染物質等の被処理物質の分解機能を有する。このため、上述の炭素触媒を用いて環境触媒を構成することにより、白金等の高価な貴金属類を使用する必要がないため、低コストの環境触媒を提供することができる。また、比表面積が大きいことにより、単位体積あたりの被処理物質を分解する処理面積を大きくすることができ、単位体積あたりの分解機能が優れた環境触媒を構成できる。
なお、上述の炭素触媒を担体として、従来の環境触媒に使用されている白金等の貴金属系の材料が単独又は複合化物を担持させることにより、より分解機能等の触媒作用に優れた環境触媒を構成することができる。なお、上述の炭素触媒を備える環境触媒は、上述の排ガス浄化用触媒だけでなく、水処理用の浄化触媒として用いることもできる。
また、本発明のカーボンアロイは、広く化学反応用の触媒として使用することができ、中でも白金触媒の代替品として使用することができる。つまり、白金等の貴金属を含む化学工業用の一般的なプロセス触媒の代替品として、上述の炭素触媒を使用することができる。このため、上述の炭素触媒によれば、白金等の高価な貴金属類を使用することなく、低コストの化学反応プロセス触媒を提供することができる。更に、上述の炭素触媒は、比表面積が大きいことにより、単位体積あたりの化学反応効率に優れた化学反応プロセス触媒を構成することができる。
このような化学反応用の炭素触媒は、例えば、水素化反応用触媒、脱水素反応用触媒、酸化反応用触媒、重合反応用触媒、改質反応用触媒、水蒸気改質用触媒等に適用することができる。更に具体的には、「触媒調製(講談社)白崎高保、藤堂なお之共著、1975年」等の触媒に関する文献を参照し、各々の化学反応に炭素触媒を適用することが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<実施例1>
[1.キノリンを共有結合させたVulcan XC−72の調
濃塩酸(40ml)と水(40ml)にVulcan XC−72(Cabot製)(4.80g)を加えて攪拌した。この溶液に、5−アミノキノリン(2.88g)をエタノール(50ml)に溶解させた溶液を加え氷浴につけて攪拌した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム(1.45g)を水(25ml)に溶解させた水溶液を1時間かけて滴下し、氷浴につけたまま4時間攪拌した。この溶液を20℃まで徐々に昇温して1時間攪拌した後、50℃まで昇温して5時間攪拌し、室温まで放冷した。生成物をろ取し、水、エタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥させることでキノリンを共有結合させたVulcan XC−72を得た。
[2.キノリンを共有結合させたVulcan XC−72の焼成]
1で得られた試料を管状炉を用いて、窒素雰囲気下で300℃まで1℃/minで昇温した後、900℃まで10℃/minで昇温し、900℃で1時間保持した。
<実施例2>
[3.キノリンを共有結合させたデンカブラックの調
濃塩酸(40ml)と水(40ml)にデンカブラック(100%プレス品、電気化学工業製)(4.80g)を加えて攪拌した。この溶液に、5−アミノキノリン(2.88g)をエタノール(50ml)に溶解させた溶液を加え氷浴につけて攪拌した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム(1.45g)を水(25ml)に溶解させた水溶液を1時間かけて滴下し、氷浴につけたまま4時間攪拌した。この溶液を20℃まで徐々に昇温して1時間攪拌した後、50℃まで昇温して5時間攪拌し、室温まで放冷した。生成物をろ取し、水、エタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥させることでキノリンを共有結合させたデンカブラックを得た。
[4.キノリンを共有結合させたデンカブラックの焼成]
3で得られた試料を管状炉を用いて、窒素雰囲気下で300℃まで1℃/minで昇温した後、900℃までを10℃/minで昇温し、900℃で1時間保持した。
<実施例3>
[5.キノリンを化学結合させたケッチェンブラックの調
濃塩酸(40ml)と水(40ml)にケッチェンブラック(EC−300J、ライオン株式会社製)(4.80g)を加えて攪拌した。この溶液に、5−アミノキノリン(2.88g)をエタノール(50ml)に溶解させた溶液を加え氷浴につけて攪拌した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム(1.45g)を水(25ml)に溶解させた水溶液を1時間かけて滴下し、氷浴につけたまま4時間攪拌した。この溶液を20℃まで徐々に昇温して1時間攪拌した後、50℃まで昇温して5時間攪拌し、室温まで放冷した。生成物をろ取し、水、エタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥させることでキノリンを共有結合させたケッチェンブラックを得た。
[6.キノリンを共有結合させたケッチェンブラックの焼成]
5で得られた試料を管状炉を用いて、窒素雰囲気下で300℃まで1℃/minで昇温した後、900℃までを10℃/minで昇温し、900℃で1時間保持した。
<実施例4>
[7.MWCNTの洗浄]
MWCNT(直径3〜20nm、株式会社ワコーケミカル製)(3.00g)に含有する金属を除去するため、濃塩酸(150ml)を加え攪拌した後、遠心分離に掛けて上澄み液を取り除いた。この作業を3回繰り返した後、水で十分に洗浄してからMWCNTをろ取し、減圧下で乾燥させた。
[8.キノリンを共有結合させたMWCNTの調
濃塩酸(20ml)と水(20ml)に7で得られたMWCNT(2.40g)を加えて攪拌した。この溶液に、5−アミノキノリン(1.44g)をエタノール(25ml)に溶解させた溶液を加え氷浴につけて攪拌した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム(0.72g)を水(12ml)に溶解させた水溶液を30分かけて滴下し、氷浴につけたまま4時間攪拌した。この溶液を20℃まで徐々に昇温して1時間攪拌した後、50℃まで昇温して5時間攪拌し、室温まで放冷した。生成物をろ取し、水、N,N−ジメチルアセトアミド、エタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥させることでキノリンを共有結合させたMWCNTを得た。
[9.キノリンを共有結合させたMWCNTの焼成]
8で得られた試料を管状炉を用いて、窒素雰囲気下で300℃まで1℃/minで昇温した後、900℃までを10℃/minで昇温し、900℃で1時間保持した。
<比較例1>
[14.ナフタレンを共有結合させたVulcan XC−72の調
濃塩酸(40ml)と水(40ml)にVulcan XC−72(Cabot製)(4.8g)を加えて攪拌した。この溶液に、1−ナフチルアミン(2.86g)をエタノール(50ml)に溶解させた溶液を加え氷浴につけて攪拌した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム(1.45g)を水(25ml)に溶解させた水溶液を1時間かけて滴下し、氷浴につけたまま4時間攪拌した。この溶液を20℃まで徐々に昇温して1時間攪拌した後、50℃まで昇温して5時間攪拌し、室温まで放冷した。生成物をろ取し、水、エタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥させることでナフタレンを共有結合させたVulcan XC−72を得た。
[15.ナフタレンを共有結合させたVulcan XC−72の焼成]
14で得られた試料を赤外イメージ炉を用いて、窒素雰囲気下で300℃まで1℃/minで昇温した後、300〜900℃までを10℃/minで昇温し、900℃で1時間保持した。
<比較例2>
[16.5−アミノキノリンを含浸させたデンカブラックの調]
水(40ml)にデンカブラック(100%プレス品、電気化学工業製)(2.40g)を加えて攪拌した。この溶液に、5−アミノキノリン(1.45g)をエタノール(25ml)に溶解させた溶液を加え、50℃まで昇温して5時間攪拌し、室温まで放冷した。生成物をろ取し、減圧下で乾燥させることで5−アミノキノリンを含浸させたデンカブラックを得た。
[17.5−アミノキノリンを含浸させたデンカブラックの焼成]
16で得られた試料を管状炉を用いて、窒素雰囲気下で300℃まで1℃/minで昇温した後、900℃までを10℃/minで昇温し、900℃で1時間保持した。
<比較例3>
[18.未反応のVulcan XC−72の焼成]
未反応のVulcan XC−72を赤外イメージ炉を用いて、窒素雰囲気下で300℃まで1℃/minで昇温した後、300〜900℃までを10℃/minで昇温し、900℃で1時間保持した。
[カーボンの電気抵抗率試験]
焼成して調した含窒素カーボンアロイの電気抵抗率はJIS規格(K1469電池用アセチレンブラック)に準じた装置を用いて、11N/mmの圧密条件で試験した。
Figure 0005557564
[酸素還元に関する電極活性試験:カーボンアロイ材料塗付電極の作製]
実施例1〜4と比較例1〜3で得られたカーボンアロイ材料10mgに、バインダーとしてナフィオン溶液(5%アルコール水溶液)110mgと溶媒としての水2.4ml、1−プロパノール1.6mlを加え、超音波分散器で20分間分散させた。得られた分散物を4μl採取して回転ディスク電極に塗布し、室温で乾燥させてカーボンアロイ材料塗付電極を得た。
[酸素還元に関する電極活性試験:回転ディスク電極法による酸素還元活性試験]
カーボンアロイ材料の酸素還元活性は回転ディスク電極法で評価した。結果を表2に示す。なお、作用極は前記で得られたカーボンアロイ材料塗付電極、対極と参照極はそれぞれ白金電極と飽和カロメル電極(SCE)を用いた。測定手順を以下のA〜Dに示す。
A.カーボンアロイ材料塗付電極のクリーニングのため、アルゴンを30分以上バブリングした0.5M硫酸水溶液中で掃引電位0.946〜―0.204V(vs.SCE)、掃引速度50mV/s、10サイクルのサイクリックボルタンメトリーを測定した。
B.ブランク測定のため、アルゴンを30分以上バブリングした0.5M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜―0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/sでリニアースイープボルタンメトリーを測定した。
C.酸素還元活性測定のため、酸素を30分以上バブリングした0.5M硫酸水溶液中で掃引電位0.746〜―0.204V(vs.SCE)、掃引速度5mV/s、電極回転数1500rpmでリニアースイープボルタンメトリーを測定した。
D.Cの測定データからBの測定データを減算し、真の酸素還元活性として採用した。
Figure 0005557564
10…燃料電池
12…セパレータ
13…アノード電極触媒
14…固体高分子電解質
15…カソード電極触媒
16…セパレータ
20…電気二重層キャパシタ
21…第1の電極
22…第2の電極
23…セパレータ
24a…外装蓋
24b…外装ケース
25…集電体
26…ガスケット

Claims (13)

  1. カーボン材料の表面に含窒素有機化合物を共有結合させた含窒素有機基置換カーボン材料を少なくとも一種含む前駆体を焼成して得られたものであって、11N/mm で圧密した際の電気抵抗率が2.0Ω・cm以下の導電性を有し、前記含窒素有機化合物は、含窒素ヘテロ環化合物又は含窒素基が置換した芳香族環化合物であることを特徴とする含窒素カーボンアロイ。
  2. 前記含窒素ヘテロ環化合物が、含窒素複素単環化合物及び含窒素縮合複素環化合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の含窒素カーボンアロイ。
  3. 前記含窒素複素単環化合物が、5員環化合物であるピロール及びその誘導体、ジアゾール類及びその誘導体、トリアゾール類及びその誘導体、6員環化合物であるピリジン及びその誘導体、ジアジン類及びその誘導体、並びに、トリアジン類及びその誘導体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の含窒素カーボンアロイ。
  4. 前記含窒素縮合複素環化合物が、キノリン、フェナントロリン、及びプリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2又は3に記載の含窒素カーボンアロイ。
  5. 前記含窒素基が置換した芳香族環化合物が、ベンゾニトリル、及びアニリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
  6. 前記含窒素有機化合物の含有する窒素元素の炭素元素に対する比率が、0.5%〜50%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
  7. 前記焼成が、不活性ガス雰囲気下において500℃〜1500℃の焼成温度で行われことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
  8. 含有する窒素元素の炭素元素に対する元素比率が、0.5%〜50%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
  9. 11N/mmで圧密した際の電気抵抗率が.0Ω・cm以下の導電性を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイ。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の含窒素カーボンアロイを有することを特徴とする触媒。
  11. 固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜に接して設けられた触媒層とを備え、該触媒層が請求項10に記載の触媒を含むことを特徴とする電極膜接合体。
  12. 請求項11に記載の電極膜接合体を有することを特徴とする燃料電池。
  13. 黒鉛、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノホーンより選択される少なくとも1種のカーボン材料に含窒素有機化合物を共有結合させ、得られた含窒素有機基置換カーボン材料を少なくとも一種含む前駆体を焼成することを特徴とする製造方法であって、前記含窒素有機化合物は、含窒素ヘテロ環化合物又は含窒素基が置換した芳香族環化合物であることを特徴とする含窒素カーボンアロイの製造方法。
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