以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
<構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る走行支援装置の構成図である。本実施形態の走行支援装置は、装置全体の動作を統合的に制御するコントローラ10を中心に構成される。このコントローラ10には、4つの車載カメラ1a〜1dと、起動スイッチ2と、舵角センサ3と、車輪速センサ4と、経路決定スイッチ5と、モニタ6と、スピーカ7とが接続される。
車載カメラ1a〜1dは、例えば180度程度の画角を有する広角のCCDカメラ或いはCMOSカメラよりなり、これら4つの車載カメラ1a〜1dで自車両の周囲を囲む全ての領域を撮像できるように、自車両の前後左右に各々設置されている。これらの車載カメラ1a〜1dは、例えば自車両の車体の一部を含む画像を撮像し、撮像した画像のデータをコントロールユニット10に随時出力する。
起動スイッチ2は、本実施形態の走行支援装置を起動するために自車両の運転者により操作されるスイッチであり、自車両のステアリング若しくはインストゥルメントパネル付近に設置される。この起動スイッチ2は、運転者によりスイッチ操作されると、コントロールユニット10に対して走行支援処理の開始指令を出力する。
舵角センサ3は、自車両のステアリングシャフトに設置され、ステアリング操作に応じた自車両の舵角を検出して舵角信号をコントロールユニット10に出力する。
車輪速センサ4は、自車両の車輪付近に設置され、車輪の回転数を検出して、この車輪回転数に対応する車速パルス信号をコントロールユニット10に出力する。
経路決定スイッチ5は、コントロールユニット10により計算された経路を自車両の経路として確定するために運転者により操作されるスイッチであり、自車両のステアリング若しくはインストゥルメントパネル付近に設置される。この経路決定スイッチ5は、運転者によりスイッチ操作されると、コントロールユニット10に対して経路確定の指令を出力する。
モニタ6は、例えば自車両のセンターコンソールなどに設置された液晶ディスプレイ等からなり、コントロールユニット10により生成された走行支援のための画像(以下、支援画像という。)を表示する。また、スピーカ7は、走行支援のための各種ガイド音声を出力するものであり、車両に一般的に搭載されているオーディオ用のスピーカなどが用いられる。
コントロールユニット10は、例えば、所定の処理プログラムに従って動作するマイクロコンピュータを備えた電子制御ユニット(ECU)からなり、マイクロコンピュータのCPUで処理プログラムが実行されることによって、走行支援のための各種の制御機能を実現する。コントロールユニット10により実現される各種の制御機能は、図1に示すように、視点変換部11、俯瞰画像生成部12、画像処理部13、狭部位置検出部14、中間点演算部15、操舵連動軌跡演算部16、旋回外周側前端部軌跡演算部17、旋回内周側後輪軌跡演算部18、軌跡反転演算部19、走行領域演算部20、旋回軌跡記憶部21、自車両アイコン記憶部22、自車両情報記憶部23、移動量演算部24、画像更新部25、画像合成部26、音声ガイド生成部27、の各機能構成として捉えることができる。このうち、旋回軌跡記憶部21と自車両アイコン記憶部22と自車両情報記憶部23は、コントロールユニット10内部のメモリにより実現される。
視点変換部11は、各車載カメラ1a〜1dからの出力画像を、自車両の真上を視点とした画像に視点変換(各画素の並べ替え)する。
俯瞰画像生成部12は、視点変換部11から出力される個別の視点変換された画像を合成し、自車両を略中心としてその周囲を真上から見下ろした俯瞰画像を生成する。
画像処理部13は、俯瞰画像生成部12から出力された俯瞰画像に対してエッジ検出などの画像処理を行って、自車両前方の障害物、具体的には道路の左右に存在する壁や植え込み、電柱などの立体障害物を検出する。なお、画像処理部13は、俯瞰画像に変換される前の車載カメラ1a〜1dの撮像画像に対して画像処理を行うことで電柱などの立体障害物を検出するようにしてもよい。
狭部位置検出部14は、画像処理部13の出力に基づいて自車両前方の道路上で通行可能な道幅が狭くなっている狭部位置を特定し、その狭部位置までの距離を算出する。具体的には、狭部位置検出部14は、車載カメラ1a〜1dの焦点距離と各1画素あたりの距離から、画像処理部13により検出された立体障害物までの距離を、俯瞰画像上での自車両の正面(前後方向=Y軸方向)における距離として算出する。なお、自車両にレーザレンジファインダ等の他の物体検出装置が搭載されている場合には、この物体検出装置の検出信号を用いて狭部位置の特定及び距離の算出を行うようにしてもよい。
中間点演算部15は、自車両の現在位置から狭部位置までの距離(つまり、電柱などの立体障害物までの距離)の中間点を演算する。なお、ここでの中間点は、自車両の基準点(例えば後輪車軸中心点)を通る自車両の車幅方向(=X軸方向)の直線に対して平行な直線上の任意の点として演算され、具体的な中間点の座標位置は、後述する操舵連動軌跡演算部16で算出される操舵連動軌跡とこの直線との交点となる。つまり、最終的な中間点の位置は操舵連動軌跡演算部16で算出される操舵連動軌跡の終点となり、この中間点が、詳細を後述するように、狭部位置の手前で自車両を停車させて舵角を変更する位置である舵角変更ポイントとなる。
操舵連動軌跡演算部16は、舵角センサ3の出力に基づいて、自車両が現在位置から現在の舵角を維持して進行したときに自車両の基準点(例えば後輪車軸中心点)が辿る中間点までの軌跡(以下、操舵連動軌跡という。)を算出する。
旋回外周側前端部軌跡演算部17は、舵角センサ3の出力に基づいて、自車両が現在位置から現在の舵角を維持して(つまり、操舵連動軌跡に沿って)進行したときの旋回外周側の前端部(右旋回時は左前端部、左旋回時は右前端部)が辿る軌跡を算出する。
旋回内周側後輪軌跡演算部18は、舵角センサ3の出力に基づいて、自車両が現在位置から現在の舵角を維持して(つまり、操舵連動軌跡に沿って)進行したときの旋回内周側の後輪(右旋回時は右側後輪、左旋回時は左側後輪)が辿る軌跡を算出する。
軌跡反転演算部19は、操舵連動軌跡演算部16で算出した中間点までの操舵連動軌跡を中間点を中心として180度回転させることによって、舵角変更ポイントとなる中間点から狭部位置までの軌跡(以下、反転軌跡という。)を算出する。また、軌跡反転演算部19は、旋回外周側前端部軌跡演算部17で算出した中間点までの旋回外周側前端部の軌跡と、旋回内周側後輪軌跡演算部18で算出した中間点までの旋回内周側後輪の軌跡とを、自車両の現在位置における前後方向軸(Y軸)を基準に反転し、且つ、中間点における自車両角度の変化量分だけ旋回方向に回転させるとともに平行移動して、舵角変更ポイントとなる中間点から狭部位置までの旋回外周側前端部の軌跡と旋回内周側後輪の軌跡とを算出する。
走行領域演算部20は、操舵連動軌跡演算部16の出力と、旋回外周側前端部軌跡演算部17の出力と、旋回内周側後輪軌跡演算部18の出力と、軌跡反転演算部19の出力と、自車両の大きさとに基づいて、自車両が操舵連動軌跡及び反転軌跡に沿って進行したときに自車両の車体全体が辿る軌跡を自車両の走行領域として算出する。
旋回軌跡記憶部21は、自車両の舵角に応じた各部(左右前端や後輪位置)における軌跡線に関する情報(旋回円の半径や自車両の基準位置に対する旋回円中心の相対位置など)を記憶する。
自車両アイコン記憶部22は、俯瞰画像生成部12で生成された俯瞰画像上に表示する自車両アイコンのデザインと大きさ(全長及び全幅)などの情報を記憶する。
自車両情報記憶部23は、自車両の全長と、全幅と、自車両の旋回時に最外周端部となる左右前端部の位置、及び、後輪の接地位置等の情報を記憶する。
移動量演算部24は、舵角センサ3の出力と、車輪速センサ4の出力とに基いて、自車両の移動量(前後方向、左右方向、ヨー角変化量)を演算する。
画像更新部25は、経路決定スイッチ5の操作により運転者によって決定された経路に関する経路情報(例えば、自車両が操舵連動軌跡及び反転軌跡に沿って走行したときの走行領域を示す画像)が、環境(つまり、俯瞰画像として表示される自車両周囲の背景)側に固定されてモニタ6に表示されるように、移動量演算部24により算出される自車両の移動量に応じて、モニタ6の表示画面上における経路情報の表示位置を更新する。
画像合成部26は、俯瞰画像生成部12により生成された俯瞰画像上に、経路決定スイッチ5の操作により運転者によって決定された経路に関する経路情報(例えば、自車両が操舵連動軌跡及び反転軌跡に沿って走行したときの走行領域を示す画像)と、自車両アイコン記憶部22に記憶された自車両アイコンとを重畳した画像を生成して、モニタ6へ出力する。なお、本実施形態では、自車両が操舵連動軌跡及び反転軌跡に沿って走行したときの走行領域を示す画像を経路情報として自車両周囲の俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示しているが、俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示する経路情報は、自車両の走行領域の画像に限定されるものではなく、例えば、旋回外周側前端部の軌跡や旋回内周側後輪の軌跡を操舵連動軌跡及び反転軌跡と組み合わせたものを経路情報として俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示するようにしてもよいし、走行領域の外縁を示すアウトラインのみを経路情報として俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示するようにしてもよい。
音声ガイド生成部27は、移動量演算部24により算出される自車両の移動量に基づいて、経路決定スイッチ5の操作により決定された経路上での自車両の位置を特定し、必要な運転操作を運転者に教示するためのガイド音声を生成して、スピーカ7に出力する。
<コントロールユニットによる処理>
次に、以上のように構成される本実施形態の走行支援装置のコントロールユニット10による処理の概要について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。この図2のフローチャートで示す一連の処理は、自車両の運転者により走行支援装置の起動スイッチ2が操作されることによって開始される。
起動スイッチ2の操作により走行支援処理の開始指令が入力されると、コントロールユニット10は、まずステップS101において、車載カメラ1a〜1dで撮像された自車両周囲の画像をもとに俯瞰画像を生成する。そして、ステップS102において、ステップS101で生成した俯瞰画像に対してエッジ検出などの画像処理を行って、自車両前方の狭部位置を検出する。なお、本実施形態では俯瞰画像に対する画像処理により狭部位置を検出する例を例示しているが、車載カメラ1a〜1dの撮像画像に対する画像処理により狭部位置を検出するようにしてもよいし、レーザレンジファインダ等の他の物体検出装置を用いて狭部位置を検出するようにしてもよい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS103において、自車両の現在位置からステップS102で検出した狭部位置までの中間点を算出する。ここでの中間点は、上述したように、自車両の現在位置と狭部位置との間のX軸方向に沿った直線上の任意の点として求められる。
次に、コントロールユニット10は、ステップS104において、舵角センサ3の出力を読み込む。そして、ステップS105において、ステップS104で読み込んだ舵角センサ3の出力に対応した旋回半径の軌跡線を旋回軌跡記憶部21から読み出し、自車両が現在の舵角を維持して現在位置から進行したときの操舵連動軌跡を算出する。なお、この操舵連動軌跡の始点は自車両の現在位置であり、終点はステップS103で算出した直線との交点となる中間点である。
次に、コントロールユニット10は、ステップS106において、ステップS105で算出した操舵連動軌跡の終点となる中間点を中心にして、ステップS105で算出した操舵連動軌跡を180度回転させて、中間点から狭部位置までの軌跡である反転軌跡を算出する。
次に、コントロールユニット10は、ステップS107において、自車両がステップS105で算出した操舵連動軌跡に沿って進行したときに自車両の旋回外周側前端部が辿る軌跡と、旋回内周側後輪が辿る軌跡とを求め、これを中間点までの旋回外周側前端部軌跡及び旋回内周側後輪軌跡とする。
次に、コントロールユニット10は、ステップS108において、自車両の現在位置に対する中間点(ステップS105で算出した操舵連動軌跡の終点となる中間点)での自車両のヨー角変化量を算出する。
次に、コントロールユニット10は、ステップS109において、ステップS107で算出した中間点までの旋回外周側前端部の軌跡と旋回内周側後輪の軌跡とを、自車両の現在位置における前後方向軸(Y軸)を基準に反転し、且つ、ステップS108で算出したヨー角変化量分だけ旋回方向に回転させるとともに平行移動した軌跡を求め、この軌跡を自車両がステップS106で算出した反転軌跡に沿って進行したときの旋回外周側前端部の軌跡及び旋回内周側後輪の軌跡とする。
次に、コントロールユニット10は、ステップS110において、ステップS107及びステップ109で算出した旋回外周側前端部軌跡及び旋回内周側後輪軌跡と、自車両情報記憶部23に記憶されている自車両の大きさの情報とに基づいて、自車両が操舵連動軌跡及び反転軌跡に沿って進行したときに自車両の車体全体が辿る軌跡を自車両の走行領域として算出する。
次に、コントロールユニット10は、ステップS111において、ステップS110で算出した走行領域を表す画像をステップS101で生成した自車両周囲の俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示させる。なお、このとき、操舵連動軌跡の始点となる自車両の現在位置と、操舵連動軌跡の終点で且つ反転軌跡の始点となる中間点と、反転軌跡の終点とには、自車両アイコンを重畳表示することが望ましい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS112において、自車両の運転者により経路決定スイッチ5が操作されたか否かを監視し、自車両の運転者により経路決定スイッチ5が操作された場合にはステップS114に進む。一方、経路決定スイッチ5が操作されない場合は、ステップS113において、舵角の変更がなされたか否か(舵角センサ3の出力が変化したか否か)を監視し、舵角が変更された場合はステップS104に戻ってステップS104以降の処理を繰り返す。つまり、自車両の運転者は、モニタ6に表示されている支援画像を見ながら現在の舵角に応じた狭部位置通過の経路を把握して、現在の舵角に応じた経路が適切であれば経路決定スイッチ5を操作して経路を確定させるが、現在の舵角に応じた経路では電柱などの立体障害物に接触する虞があると判断すれば、ステアリングを操作して舵角を変更し、最適な経路を探索する。
次に、コントロールユニット10は、ステップS114において、自車両の現在の舵角に応じて算出された操舵連動軌跡を通り、中間点(舵角変更ポイント)にて舵角を変更して旋回方向を反転させて反転軌跡を通る経路を、狭部位置を通過するための自車両の経路として確定し、モニタ6に表示している走行領域の画像を、俯瞰画像として表示されている環境側に固定(ロックオン)する。
次に、コントロールユニット10は、ステップS115において、現在の舵角を維持した状態で自車両を前進させる旨を運転者に教示するためのガイド音声をスピーカ7から出力させる。なお、ガイド音声の出力に代えて或いはガイド音声の出力とともに、上記内容のメッセージ文をモニタ6に表示させるようにしてもよい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS116において、車輪速センサ4の出力に基づいて自車両の移動量を算出し、ステップS117において、ステップS116で算出される自車両の移動量を監視しながら、自車両がステップS105で算出した操舵連動軌跡の終点となる中間点に到達したか否かを判定する。そして、自車両が中間点に到達したら、ステップS118において、自車両を停車させてステアリングを逆方向に回して舵角を同じ角度だけ反転させる旨を運転者に教示するためのガイド音声をスピーカ7から出力させる。なお、この場合にも、ガイド音声の出力に代えて或いはガイド音声の出力とともに、上記内容のメッセージ文をモニタ6に表示させるようにしてもよい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS119において、舵角センサ3の出力を監視しながら、自車両の舵角がステップS118で運転者に教示した舵角となったかどうかを判定する。そして、自車両の舵角が運転者に教示した舵角となったら、ステップS120において、現在の舵角を維持した状態で自車両を前進させる旨を運転者に教示するためのガイド音声を、再度、スピーカ7から出力させる。なお、この場合にも、ガイド音声の出力に代えて或いはガイド音声の出力とともに、上記内容のメッセージ文をモニタ6に表示させるようにしてもよい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS121において、車輪速センサ4の出力に基づいて自車両の移動量を算出し、ステップS122において、ステップS121で算出される自車両の移動量を監視しながら、自車両がステップS106で算出した反転軌跡の終点となる狭部位置に到達したか否かを判定する。そして、自車両が狭部位置に到達したら、図2のフローチャートで示す一連の処理を終了する。
<狭部通過のための経路算出の具体例1>
次に、具体的なシーンを想定しながら、コントロールユニット10による狭部通過のための経路の算出方法についてさらに詳しく説明する。
ここでは、図3に示すように、左右両側が側壁101,102により区画された幅狭の道路を自車両が走行しようとしており、しかも、自車両の左前方には障害物となる電柱103が道路上に設置されているシーンを想定する。このような走行シーンでは、電柱103の脇を通過する際に通過可能な道幅が最も狭くなるので、この電柱103が存在する道路位置を狭部位置とする。なお、ここでの狭部位置は、図3に示すように、電柱103の自車両側に向いた端面に接し、自車両の現在位置Vにおける前後方向(Y軸方向)に対して垂直な方向(X軸方向)の直線104により定義される位置とする。また、自車両の位置は、自車両の後輪車軸中心105を基準点としたY軸方向の直線106により定義される位置とする。なお、ここではアッカーマン旋回モデルで軌跡を演算するのに適しているとの理由で後輪車軸中心を自車両の位置の基準点としているが、例えば、自車両の左右前端部などの他の部位を自車両の位置の基準点とすることも可能である。
図3に示すシーンにおいては、コントロールユニット10は以下のような方法で狭部通過のための経路を算出する。すなわち、まず、車載カメラ1a〜1dの撮像画像を用いて生成した俯瞰画像上で自車両前方の電柱103を検出し、電柱103が存在する道路位置を狭部位置として認識して、当該狭部位置を示す直線104を求める。また、自車両の後輪車軸中心105を基準点とした自車両の現在位置Vを示す直線106を求める。そして、自車両の現在位置Vを示す直線106から狭部位置を示す直線104までの距離L1を算出する。
次に、自車両の現在位置Vから狭部位置までの中間点を算出する。ここでの中間点は、図4に示すように、自車両の現在位置Vを示す直線106及び狭部位置を示す直線104に平行で、且つ、自車両の現在位置Vを示す106からの距離L2と狭部位置を示す直線104からの距離L3とが等しくなる直線107により定義される位置とする。ここで、中間点を直線107により定義したのは、後述する操舵連動軌跡が自車両の舵角に応じて変動する軌跡であり、この段階では中間点を1つの点として特定できないからである。
次に、舵角センサ3の出力に基づき、自車両が現在位置Vから現在の舵角を維持して進行したときの操舵連動軌跡を算出する。この操舵連動軌跡は、例えば図5に示すように、自車両の位置の基準点となる後輪車軸中心105が辿る軌跡108として求め、この操舵連動軌跡108と上記の中間点を示す直線107との交点を、操舵連動軌跡108の終点となる中間点(舵角変更ポイント)109とする。
次に、図6に示すように、自車両が操舵連動軌跡108に沿って進行して舵角変更ポイント109に到達したときの車両位置及び姿勢を求め、この舵角変更ポイント109を基準点とする位置を、自車両の予測到達位置V1とする。なお、この舵角変更ポイント109を基準点とする予測到達位置V1は、自車両を停車させて舵角を変更する位置となるため、上述したように、モニタ6に表示する俯瞰画像上の該当する位置には自車両アイコンを重畳表示して、停車及び舵角の変更を運転者に促すことが望ましい。
次に、図7に示すように、操舵連動軌跡108を舵角変更ポイント109を中心として180度回転させた軌跡を求め、この軌跡を反転軌跡110とする。この反転軌跡110は、舵角変更ポイント109を基準点とする予測到達位置V1にて舵角を反対方向に同じ角度だけ反転させて進行したときの後輪車軸中心105が辿る軌跡であり、その始点は舵角変更ポイント109となり、終点は狭部位置を示す直線104上の点111となる。
次に、図8に示すように、自車両が反転軌跡110に沿って旋回して終点111に到達したときの車両位置及び姿勢を求め、この反転軌跡110の終点111を基準点とする位置を、自車両の予測到達位置V2とする。なお、この反転軌跡110の終点111を基準点とする予測到達位置V2は、狭部を適切に通過させるための支援動作が終了する位置となるため、上述したように、モニタ6に表示する俯瞰画像上の該当する位置には自車両アイコンを重畳表示して、支援動作の終了位置を運転者に明示することが望ましい。
次に、自車両が操舵連動軌跡108及び反転軌跡110に沿って進行したときに自車両の車体全体が辿る軌跡を走行領域として算出する。俯瞰画像上に操舵連動軌跡108や反転軌跡110を重畳し、さらに俯瞰画像上の予測到達位置V1,V2に自車両アイコンを重畳してモニタ6に表示すれば、コントロールユニット10により計算された経路の概要を運転者にある程度把握させることは可能であるが、このコントローラ10により計算された経路が、実際に自車両が側壁101,102や電柱103に接触することなく進行できる経路であるかを運転者に確実に把握させるには、自車両の車体全体が辿る走行領域を求めて、この走行領域を表す画像を俯瞰画像上に重畳して表示することが望ましい。つまり、自車両の走行領域を表す画像が俯瞰画像上で側壁101,102や電柱103と重なって表示されていれば、コントローラ10により計算された経路ではこれらの障害物に接触すると容易に認識できる。このような観点から、本実施形態の走行支援装置では、自車両が操舵連動軌跡108及び反転軌跡110に沿って進行したときに自車両の車体全体が辿る走行領域を算出し、この走行領域を表す画像を経路情報として俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示するようにしている。
車両の特性(アッカーマン旋回)を考えると、車両旋回時における旋回外周側の後輪の軌跡は車体全体の軌跡の内側に位置する。同様に、旋回内周側前端部の軌跡は移動後の車体全体の軌跡の内側に位置する。このため、自車両の走行領域を算出する上で、これら旋回外周側後輪の軌跡や旋回内周側前端部の軌跡は不要であり、必要となるのは、旋回外周側前端部の軌跡と旋回内周側後輪の軌跡である。
そこで、まずは、自車両が操舵連動軌跡108に沿って舵角変更ポイント109(予測到達位置V1)に到達するまでの間の旋回外周側前端部の軌跡と旋回内周側後輪の軌跡とを演算する。具体的には、操舵連動軌跡108(半径が所定値の円周の一部)の旋回中心を求め、その旋回中心を中心として、現在位置V及び予測到達位置V1における自車両の旋回外周側前端部を通る円の円周と、現在位置V及び予測到達位置V1における旋回内側周後輪の位置を通る円の円周とを求める。そして、図9に示すように、前者の円周から、現在位置Vにおける自車両の旋回外周側前端部と予測到達位置V1における自車両の旋回外周側前端部との間の円弧を抽出することで、操舵連動軌跡108に対応した旋回外周側前端部の軌跡112を求めることができる。同様に、後者の円周から、現在位置Vにおける自車両の旋回内周側後輪の位置と予測到達位置V1における自車両の旋回内周側後輪の位置との間の円弧を抽出することで、操舵連動軌跡108に対応した旋回内周側後輪の軌跡113を求めることができる。
次に、自車両が反転軌跡110に沿って予測到達位置V2に到達するまでの間の旋回外周側前端部の軌跡と旋回内周側後輪の軌跡とを演算する。具体的には、上記のように演算した操舵連動軌跡108に対応した旋回外周側前端部の軌跡112を、現在位置Vにおける自車両の前後方向(Y軸方向)を基準に左右反転し、更に、舵角変更ポイント109(予測到達位置V1)でのヨー角変化量に応じた角度だけ旋回方向に回転させる。そして、この軌跡を、図9に示すように、予測到達位置V1における旋回外周側前端部と予測到達位置V2における旋回外周側前端部との間を接続するようにX軸方向及びY軸方向に平行移動することで、反転軌跡110に対応した旋回外周側前端部の軌跡114を求めることができる。同様に、上記のように演算した操舵連動軌跡108に対応した旋回内周側後輪の軌跡113を、現在位置Vにおける自車両の前後方向(Y軸方向)を基準に左右反転し、更に、舵角変更ポイント109(予測到達位置V1)でのヨー角変化量に応じた角度だけ旋回方向に回転させる。そして、この軌跡を、予測到達位置V1における旋回内周側後輪の位置と予測到達位置V2における旋回内周側後輪の位置との間を接続するようにX軸方向及びY軸方向に平行移動することで、反転軌跡110に対応した旋回内周側後輪の軌跡115を求めることができる。
次に、以上のように求めた操舵連動軌跡108に対応した旋回外周側前端部の軌跡112及び旋回内周側後輪の軌跡113と、反転軌跡110に対応した旋回外周側前端部の軌跡114及び旋回内周側後輪の軌跡115と、自車両の大きさとに基づいて、自車両が操舵連動軌跡108及び反転軌跡110に沿って進行したときに自車両の車体全体が辿る走行領域を算出する。具体的には、図10に示すように、現在位置Vにおける自車両のアウトラインと、予測到達位置V1における自車両のアウトラインと、予測到達位置V2における自車両のアウトラインと、操舵連動軌跡108に対応した旋回外周側前端部の軌跡112及び旋回内周側後輪の軌跡113と、反転軌跡110に対応した旋回外周側前端部の軌跡114及び旋回内周側後輪の軌跡115とにより囲まれる領域を、自車両が操舵連動軌跡108及び反転軌跡110に沿って進行したときに自車両の車体全体が辿る走行領域116として算出する。
コントロールユニット10は、以上のように自車両の走行領域116を算出すると、この走行領域116を表す画像を経路情報として俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示させる。これにより、自車両の運転者は、モニタ6に表示される支援画像を参照することで、現在の舵角に応じて計算された経路が狭部通過の経路として最適な経路であるかどうかを的確に判断することができる。そして、最適な経路ではないと判断したら、モニタ6に表示される支援画像を見ながらステアリングを操作して舵角を変更することで、最適な経路を探索することが可能となる。
図11は、現在位置Vにおける自車両の舵角が変更された場合の予測到達位置V1,V2の変化を示している。ここでは、操舵方向は右方向で、舵角をθ1、θ2、θ3(θ1>θ2>θ3)の3種類で切り替えた場合を例示しており、舵角θ1のときの予測到達位置V1,V2を破線、舵角θ2のときの予測到達位置V1,V2を一点鎖線、舵角θ3のときの予測到達位置V1,V2を実線でそれぞれ示している。この図11に示す例では、現在位置Vにおける自車両の舵角がθ1の場合やθ2の場合には、電柱103を避けることはできるものの自車両の右前端部が右側の側壁102に接触してしまうが、現在位置Vにおける自車両の舵角をθ3とすることで、側壁102にも電柱103にも接触することなく狭部位置を通過可能となる。自車両の運転者は、以上のように、現在位置Vにおける自車両の舵角に応じた側壁102や電柱103への接触有無を確認することで、最適な経路を探索することができる。
なお、以上の例では、最適な経路かどうかの判定を自車両の運転者に委ねるようにしているが、例えば、俯瞰画像に対する画像処理などにより側壁101,102や電柱103などの障害物に接触することなく移動できる通行可能領域を検出する手段を設け、自車両の走行領域の一部が通行可能領域からはみ出していた場合に当該経路は最適な経路ではないと自動判定して表示を中断したり、自車両の運転者に舵角変更を促すガイド音声などを出力するようにしてもよい。
また、以上の例では、自車両前方の道路上に1つの狭部位置のみを検出した場合を説明したが、複数の狭部位置が検出される場合は、自車両に近い狭部位置を通過した後に、次の狭部位置を対象として同様の処理を繰り返すようにすればよい。
<狭部通過のための経路算出の具体例2>
次に、図12に示すように、左右両側が側壁101,102により区画された幅狭の道路上で自車両の左前方に電柱103が設置されている場合であって、自車両の現在位置における姿勢が道路に対して斜めになっている場合の経路算出方法について説明する。
コントロールユニット10は、上述した例と同様に、車載カメラ1a〜1dの撮像画像を用いて生成した俯瞰画像上で自車両前方の電柱103を検出し、電柱103が存在する道路位置を狭部位置として認識する。そして、電柱103の自車両側に向いた端面に接し、自車両の現在位置Vにおける前後方向(Y軸方向)に対して垂直な方向(X軸方向)の直線204を、狭部位置を示す直線として求める。また、自車両の後輪車軸中心205を基準点とした自車両の現在位置Vを示す直線206を求める。そして、自車両の現在位置Vを示す直線206から狭部位置を示す直線204までの距離L21を算出する。
次に、図13に示すように、自車両の現在位置Vを示す直線206及び狭部位置を示す直線204に平行で、且つ、自車両の現在位置Vを示す206からの距離L22と狭部位置を示す直線204からの距離L23とが等しくなる直線207を求め、この直線207を自車両の現在位置Vから狭部位置までの中間点を示す直線とする。
次に、図14に示すように、自車両が現在位置Vから現在の舵角を維持して進行したときに自車両の位置の基準点となる後輪車軸中心205が辿る軌跡208を、操舵連動軌跡として求める。そして、この操舵連動軌跡208と上記の中間点を示す直線207との交点を、操舵連動軌跡208の終点となる中間点(舵角変更ポイント)209とする。
次に、図15に示すように、自車両が操舵連動軌跡208に沿って進行して舵角変更ポイント209に到達したときの車両位置及び姿勢を求め、この舵角変更ポイント209を基準点とする位置を、自車両の予測到達位置V1とする。
次に、図16に示すように、操舵連動軌跡208を舵角変更ポイント209を中心として180度回転させた軌跡を求め、この軌跡を反転軌跡210とする。この反転軌跡210は、舵角変更ポイント209を基準点とする予測到達位置V1にて舵角を反対方向に同じ角度だけ反転させて進行したときの後輪車軸中心205が辿る軌跡であり、その始点は舵角変更ポイント209となり、終点は狭部位置を示す直線204上の点211となる。
次に、図17に示すように、自車両が反転軌跡210に沿って旋回して終点211に到達したときの車両位置及び姿勢を求め、この反転軌跡210の終点211を基準点とする位置を、自車両の予測到達位置V2とする。
次に、図18に示すように、自車両が操舵連動軌跡208に沿って進行したときの自車両の旋回外周側前端部の軌跡212及び旋回内周側後輪の軌跡213と、自車両が反転軌跡210に沿って進行したときの自車両の旋回外周側前端部の軌跡214及び旋回内周側後輪の軌跡215とを求める。具体的には、操舵連動軌跡208の旋回中心と、現在位置V及び予測到達位置V1における自車両の旋回外周側前端部の位置とに基づいて、操舵連動軌跡208に対応した旋回外周側前端部の軌跡212を求める。同様に、操舵連動軌跡208の旋回中心と、現在位置V及び予測到達位置V1における自車両の旋回内周側後輪の位置とに基づいて、操舵連動軌跡208に対応した旋回内周側後輪の軌跡213を求める。また、操舵連動軌跡208に対応した旋回外周側前端部の軌跡212を現在位置Vにおける自車両の前後方向を基準に左右反転し、更に、舵角変更ポイント209(予測到達位置V1)でのヨー角変化量も応じた角度だけ旋回方向に回転させたものをX軸方向及びY軸方向に平行移動することで、反転軌跡210に対応した旋回外周側前端部の軌跡214を求める。同様に、操舵連動軌跡208に対応した旋回外周側前端部の軌跡214を現在位置Vにおける自車両の前後方向を基準に左右反転し、更に、舵角変更ポイント209(予測到達位置V1)でのヨー角変化量に応じた角度だけ旋回方向に回転させたものをX軸方向及びY軸方向に平行移動することで、反転軌跡210に対応した旋回外周側前端部の軌跡215を求める。
次に、図19に示すように、現在位置Vにおける自車両のアウトラインと、予測到達位置V1における自車両のアウトラインと、予測到達位置V2における自車両のアウトラインと、操舵連動軌跡208に対応した旋回外周側前端部の軌跡212及び旋回内周側後輪の軌跡213と、反転軌跡210に対応した旋回外周側前端部の軌跡214及び旋回内周側後輪の軌跡215とにより囲まれる領域を、自車両が操舵連動軌跡208及び反転軌跡210に沿って進行したときに自車両の車体全体が辿る走行領域216として算出する。
コントロールユニット10は、以上のように自車両の走行領域216を算出すると、この走行領域216を表す画像を経路情報として俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示させる。これにより、自車両の運転者は、モニタ6に表示される支援画像を参照することで、現在の舵角に応じて計算された経路が狭部通過の経路として最適な経路であるかどうかを的確に判断することができる。そして、最適な経路ではないと判断したら、モニタ6に表示される支援画像を見ながらステアリングを操作して舵角を変更することで、最適な経路を探索することが可能となる。
図20は、現在位置Vにおける自車両の舵角が変更された場合の予測到達位置V1,V2の変化を示している。ここでは、操舵方向は右方向で、舵角をθ1、θ2、θ3(θ1>θ2>θ3)の3種類で切り替えた場合を例示しており、舵角θ1のときの予測到達位置V1,V2を破線、舵角θ2のときの予測到達位置V1,V2を一点鎖線、舵角θ3のときの予測到達位置V1,V2を実線でそれぞれ示している。この図20に示す例では、現在位置Vにおける自車両の舵角がθ1の場合には、電柱103を避けることはできるものの自車両の右前端部が右側の側壁102に接触してしまうことになり、現在位置Vにおける自車両の舵角がθ3の場合には、電柱103を避けた後の自車両の左前端部が左側の側壁101に接触してしまうことになるが、現在位置Vにおける自車両の舵角をθ2とすることで、側壁101,102にも電柱103にも接触することなく狭部位置を通過可能となる。自車両の運転者は、以上のように、現在位置Vにおける自車両の舵角に応じた側壁101,102や電柱103への接触有無を確認することで、最適な経路を探索することができる。
<支援画像の他の表示形態>
ところで、以上の説明では、コントロールユニット10が車載カメラ1a〜1dにより撮像された画像を用いて自車両の周囲を真上から見下ろした俯瞰画像を生成し、この俯瞰画像上に自車両の走行領域を表す画像を重畳したものを支援画像としてモニタ6に表示することとしているが、自車両の周囲を真上から見下ろした俯瞰画像は運転者が実際に目で見る風景との差異が大きいため、運転者によっては実際の風景との対応付けが困難となることも想定される。このような観点から、例えば図21に示すように、運転者の視点位置から見た自車両前方の実際の風景に近い画像をベースとして、この画像上に自車両の走行領域を表す画像などの経路情報を重畳したものを支援画像としてモニタ6に表示するようにしてもよい。
図21に示すような支援画像をモニタ6に表示するには、自車両の運転者の視点位置に近い車体上部位置から自車両のフード先端部Fを含む自車両前方の画像を車載カメラにより撮像し、この車載カメラにより撮像された自車両前方の画像上に、上述した自車両の走行領域を表す画像を、車載カメラの視点位置から見た画像に変換して重畳すればよい。
図22は、図21に示すような支援画像のベースとなる画像(運転者の視点位置から見た自車両前方の実際の風景に近い画像)を撮像するための車載カメラ1の具体的な設置位置を示す図である。運転者の視点位置から見た自車両前方の実際の風景に近い画像を、自車両に設置された車載カメラ1により撮像するには、車載カメラ1を自車両ピラーのルーフ側付け根付近に設置するのが最適である。この位置は、X−Y平面(自車両の前後方向及び車幅方向)では運転者の視点位置に近く、且つ、Z軸方向(自車両の高さ方向)では、運転者の視点位置よりも高い位置で自車両のフードが見下ろせる位置となるためである。
また、車載カメラ1のカメラ光軸Lの角度は、X−Y平面においては、自車両のフードの左右前端位置に向けられることが望ましい。したがって、図21に示す例では、車載カメラ1を2つ用いて、一方の車載カメラ1の光軸Lをフードの左前端位置に向け、他方の車載カメラ1の光軸Lをフードの右前端位置に向けるようにしており、これら2つの車載カメラ1で撮像した画像を左右方向で合成するようにしている。
また、車載カメラ1のカメラ光軸LのZ軸方向の角度は、撮像した画像に自車両フードが映り込み、且つ、自車両の左右側面の前方向への延長線がイメージ出来る程度の長さ、具体的には画像の上下方向で、下端から1/4〜1/3程度、フードが映り込むような角度とすることが望ましい。また、自車両左右端の前方(奥)方向につては、車速や幅員にもよるが、約20m程度先の路面までが画像内に映り込むようにすることが望ましい。
なお、以上の条件を満足する画像が得られるのであれば、車載カメラ1の設置位置やカメラ光軸Lの角度は図22の例に特に限定されるものではなく、例えば、異なる位置に設置された車載カメラ1の焦点距離や画角などを調整し、この車載カメラ1で撮像された画像から必要な部分の画像のみを切り出して用いるようにしてもよい。さらに、上述したように、俯瞰画像を生成するために自車両の前後左右の4箇所に設置された広角の車載カメラ1a〜1dを用い、これら車載カメラ1a〜1dの撮像画像から必要箇所の画素を抽出して、運転者の視点位置付近からの画像に視点変換したものを用いるようにしてもよい。
<第1の実施形態による効果>
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の走行支援装置によれば、操舵連動軌跡と舵角変更ポイントと反転軌跡とからなる一連の経路を算出して、この経路を示す自車両の走行領域の画像などの経路情報をモニタ6に表示するようにしているので、狭部を通過するための最適な経路を運転者に的確に認識させることができ、運転に不慣れな初心者でも安心して狭部を通過できるように車両の走行を支援することができる。
また、本実施形態の走行支援装置によれば、現在位置から舵角変更ポイントまでの舵角連動軌跡を、舵角変更ポイントとなる中間点を中心として180°回転させた反転軌跡を求め、これら舵角連動軌跡と反転軌跡とを繋げた経路を狭部通過の経路として算出するようにしているので、経路を算出するための演算負荷を低減することができる。
また、本実施形態の走行支援装置によれば、自車両が操舵連動軌跡及び反転軌跡に沿って進行したときに自車両の車体全体が辿る軌跡を自車両の走行領域として算出し、この自車両の走行領域を表す画像を経路情報としてモニタ6に表示するようにしているので、自車両の現在の舵角に応じて計算される経路が最適な経路かどうかを運転者に一目で把握させることができる。なお、自車両の走行領域を表す画像以外にも、自車両が操舵連動軌跡及び反転軌跡に沿って進行したときの自車両の旋回外周側前端部の軌跡や、自車両が操舵連動軌跡及び反転軌跡に沿って進行したときの自車両の旋回内周側後輪の軌跡などを経路情報としてモニタ6に表示するようにしても、同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態の走行支援装置によれば、操舵連動軌跡に対応した旋回外周側前端部の軌跡や旋回内周側後輪の軌跡を反転し、舵角変更ポイントでの自車両の角度変化量分だけ回転させて平行移動したものを、反転軌跡に対応した旋回外周側前端部の軌跡や旋回内周側後輪の軌跡としても求めるようにしているので、旋回外周側前端部の軌跡や旋回内周側後輪の軌跡を算出するための演算負荷を低減することができる。
また、本実施形態の走行支援装置によれば、運転者による経路決定スイッチ5の操作によって経路が確定されるとこの経路を示す経路情報を環境側に固定して、モニタ6の表示画面上における経路情報の表示位置を自車両の移動量に応じて更新するようにしているので、自車両が走行を開始した後にも経路情報をモニタ6に正しく表示することができる。
また、本実施形態の走行支援装置によれば、車載カメラ1a〜1dで撮像された画像を用いて自車両の周囲を真上から見下ろした俯瞰画像を生成し、この俯瞰画像上に経路情報を重畳したものを支援画像としてモニタ6に表示することにより、狭部を通過するための経路を大局的に運転者に認識させることができる。一方、車載カメラ1で運転者の視点位置に近い車体上部位置から自車両フードの左右先端部を含む自車両前方の画像を撮像して、この画像上に経路情報を重畳したものを支援画像としてモニタ6に表示するようにした場合には、狭部を通過するための経路を実際の風景と対応付けて運転者に認識させることができる。
[第2の実施形態]
<構成>
図23は、本発明の第2の実施形態に係る走行支援装置の構成図である。本実施形態の走行支援装置は、コントロールユニット10における狭部通過のための経路算出の手法及びモニタ6に表示される支援画像の内容が、上述した第1の実施形態とは異なるものである。装置の構成は、基本的な部分は上述した第1の実施形態と同様であるが、コントロールユニット10にて実現される機能構成が第1の実施形態とは異なっている。以下、本実施形態に特徴的なコントロールユニット10の構成について説明する。なお、第1の実施形態と共通の構成要素については、同一の符号を用いることとする。
本実施形態の走行支援装置におけるコントロールユニット10は、第1の実施形態と同様に、所定の処理プログラムに従って動作するマイクロコンピュータを備えた電子制御ユニット(ECU)からなり、マイクロコンピュータのCPUで処理プログラムが実行されることによって、走行支援のための各種の制御機能を実現する。コントロールユニット10により実現される各種の制御機能は、図23に示すように、視点変換部11、俯瞰画像生成部12、画像処理部13、狭部位置検出部14、舵角変更ポイント演算部31、直線軌跡線演算部32、旋回軌跡線演算部33、旋回軌跡記憶部21、自車両情報記憶部23、移動量演算部24、自車位置判断部34、表示制御部35、画像更新部25、画像合成部26、音声ガイド生成部27、の各機能構成として捉えることができる。このうち、旋回軌跡記憶部21と自車両情報記憶部23は、コントロールユニット10内部のメモリにより実現される。
視点変換部11は、各車載カメラ1a〜1dからの出力画像を、自車両の真上を視点とした画像に視点変換(各画素の並べ替え)する。
俯瞰画像生成部12は、視点変換部11から出力される個別の視点変換された画像を合成し、自車両を略中心としてその周囲を真上から見下ろした俯瞰画像を生成する。
画像処理部13は、俯瞰画像生成部12から出力された俯瞰画像に対してエッジ検出などの画像処理を行って、自車両前方の障害物、具体的には道路の左右に存在する壁や植え込み、電柱などの立体障害物を検出する。なお、画像処理部13は、俯瞰画像に変換される前の車載カメラ1a〜1dの撮像画像に対して画像処理を行うことで電柱などの立体障害物を検出するようにしてもよい。
狭部位置検出部14は、画像処理部13の出力に基づいて自車両前方の道路上で通行可能な道幅が狭くなっている狭部位置を特定し、その狭部位置に存在する電柱などの立体障害物までの距離までの距離を算出する。また、狭部位置検出部14は、自車両に対する車載カメラ1a〜1dの設置位置及び角度と電柱などの立体障害物の位置とから、自車両前後方向(Y軸方向)に対する立体障害物の角度も算出する。なお、自車両にレーザレンジファインダ等の他の物体検出装置が搭載されている場合には、この物体検出装置の検出信号を用いて狭部位置の特定及び距離や角度の算出を行うようにしてもよい。
舵角変更ポイント演算部31は、狭部位置検出部14で検出された狭部位置の手前で自車両を停車させて舵角を変更する位置である舵角変更ポイントを算出する。具体的には、舵角変更ポイント演算部31は、狭部位置に存在する電柱などの立体障害物に対して所定のマージン(例えば、電柱1本分の距離)をとった位置に、立体障害物回避の基準となる回避ポイントを設定する。また、自車両が現在位置から所定舵角(例えば、ステアリングをフル切りしたときの舵角)で旋回したときに旋回外周側後輪が辿る旋回円(例えば最小旋回円)を求める。そして、この旋回円に接し、且つ、設定した回避ポイントを通る直線を求めて、この直線に対して自車両の旋回外周側側面が一致する位置を舵角変更ポイントとして算出する。
直線軌跡線演算部32は、舵角変更ポイント演算部31で算出した直線をもとに、自車両が舵角変更ポイントに到達したときの旋回外周側前端部の位置を起点として狭部位置方向に延びる線分を求めるとともに、当該線分に対して平行で、且つ、この線分に対して自車両の車幅相当分の距離だけ離間した位置にあり、自車両が舵角変更ポイントに到達したときの旋回外周側前端部の位置を起点として狭部位置方向に延びる線分を求め、これら一対の線分を、舵角変更ポイントから狭部位置に至る自車両の直線軌跡線として算出する。
旋回軌跡線演算部33は、舵角センサ3の出力に基づいて、自車両が現在位置から現在の舵角を維持して進行したときに自車両の左右前端部が辿る一対の旋回円を、自車両の舵角に応じた旋回軌跡線として算出する。
旋回軌跡記憶部21は、自車両の舵角に応じた各部(左右前端や後輪位置)における軌跡線に関する情報(旋回円の半径や自車両の基準位置に対する旋回円中心の相対位置など)を記憶する。
自車両情報記憶部23は、自車両の全長と、全幅と、自車両の旋回時に最外周端部となる左右前端部の位置、及び、後輪の接地位置等の情報を記憶する。
移動量演算部24は、舵角センサ3の出力と、車輪速センサ4の出力とに基いて、自車両の移動量(前後方向、左右方向、ヨー角変化量)を演算する。
自車位置判断部34は、移動量演算部24で算出された自車両の移動量に基づいて、自車両が舵角変更ポイントの手前側を走行しているのか、或いは舵角変更ポイントを越えた位置を走行しているのかを判断し、判断結果を後述する表示制御部35に出力する。
表示制御部35は、自車位置判断部34により自車両が舵角変更ポイントの手前側を走行していると判断された場合は、旋回軌跡線演算部33により算出された現在の舵角に応じた旋回軌跡線と、直線軌跡線演算部32により算出された自車幅相当の直線軌跡線との双方の情報を画像更新部25に出力し、自車位置判断部34により自車両が舵角変更ポイントを越えた位置を走行していると判断された場合は、直線軌跡線演算部32により算出された自車幅相当の直線軌跡線の情報のみを画像更新部25に出力する。
画像更新部25は、直線軌跡線演算部32により算出された自車幅相当の直線軌跡線が、環境(俯瞰画像として表示される自車両周囲の背景)側に固定されてモニタ6に表示されるように、移動量演算部24により算出される自車両の移動量に応じて、モニタ6の表示画面上における直線軌跡線の表示位置を更新する。
画像合成部26は、俯瞰画像生成部12により生成された俯瞰画像上に、旋回軌跡線演算部33により算出された自車両の現在の舵角に応じた旋回軌跡線と、直線軌跡線演算部32により算出された自車幅相当の直線軌跡線と、舵角変更ポイントに到達したときの自車両の左右前端部位置を示すポール形状のアイコン(以下、ポールアイコンという。)とを重畳した支援画像を生成して、モニタ6へ出力する。
音声ガイド生成部27は、移動量演算部24により算出される自車両の移動量に基づいて、狭部通過のための経路上における自車両の位置を特定し、必要な運転操作を運転者に教示するためのガイド音声を生成して、スピーカ7に出力する。
<コントロールユニットによる処理>
次に、以上のように構成される本実施形態の走行支援装置のコントロールユニット10による処理の概要について、図24のフローチャートを参照しながら説明する。図24のフローチャートで示す一連の処理は、自車両の運転者により走行支援装置の起動スイッチ2が操作されることによって開始される。
起動スイッチ2の操作により走行支援処理の開始指令が入力されると、コントロールユニット10は、まずステップS201において、車載カメラ1a〜1dで撮像された自車両周囲の画像をもとに俯瞰画像を生成する。そして、ステップS202において、ステップS201で生成した俯瞰画像に対してエッジ検出などの画像処理を行って、自車両前方の狭部位置を検出する。なお、本実施形態では俯瞰画像に対する画像処理により狭部位置を検出する例を例示しているが、車載カメラ1a〜1dの撮像画像に対する画像処理により狭部位置を検出するようにしてもよいし、レーザレンジファインダ等の他の物体検出装置を用いて狭部位置を検出するようにしてもよい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS203において、ステップS202で検出した狭部位置に存在する電柱などの立体障害物に対して所定のマージンをとった位置に回避ポイントを設定する。
次に、コントロールユニット10は、ステップS204において、自車両が現在位置から所定舵角(例えば、ステアリングをフル切りしたときの舵角)で旋回したときに旋回外周側後輪が辿る旋回円(例えば最小旋回円)を求め、この旋回円に接し、且つ、ステップS203で設定した回避ポイントを通る直線を求めて、この直線に対して自車両の旋回外周側側面が一致する位置を舵角変更ポイントとして算出する。
次に、コントロールユニット10は、ステップS205において、ステップS204で求めた直線をもとに、舵角変更ポイントから狭部位置を通過するまでの自車両の直線軌跡線を算出する。
次に、コントロールユニット10は、ステップS206において、舵角センサ3の出力を検出し、ステップS207において、ステップS206で検出した舵角センサ3の出力に対応した旋回半径の軌跡線(自車両の左右前端部が辿る一対の軌跡線)を旋回軌跡記憶部21から読み出して、自車両の現在の舵角に応じた旋回軌跡線とする。
次に、コントロールユニット10は、ステップS208において、ステップS205で算出した直線軌跡線と、ステップS207で算出した旋回軌跡線と、自車両が舵角変更ポイントに到達したときの左右前端部位置を示すポールアイコンとを、ステップS201で生成した自車両周囲の俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示させる。
次に、コントロールユニット10は、ステップS209において、モニタ6に表示されている画像上の旋回軌跡線がポールアイコンの位置で直線軌跡線と交わるまでステアリングを操作する旨を運転者に教示するためのガイド音声をスピーカ7から出力させる。なお、ガイド音声の出力に代えて或いはガイド音声の出力とともに、上記内容のメッセージ文をモニタ6に表示させるようにしてもよい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS210において、舵角の変更がなされたか否か(舵角センサ3の出力が変化したか否か)を監視し、舵角が変更された場合はステップS206に戻ってステップS206以降の処理を繰り返し、舵角の変更が終了した段階で(舵角の変更がない場合はそのまま)次のステップS211に進む。
次に、コントロールユニット10は、ステップS211において、舵角センサ3の出力に基づいて、自車両の現在の舵角が舵角変更ポイント算出の基準とした所定舵角(例えば、ステアリングをフル切りしたときの舵角)となっているかどうかを確認する。そして、自車両の現在の舵角が所定舵角となっていれば、ステップS212において、現在の舵角を維持した状態で自車両を前進させる旨を運転者に教示するためのガイド音声をスピーカ7から出力させる。なお、この場合にも、ガイド音声の出力に代えて或いはガイド音声の出力とともに、上記内容のメッセージ文をモニタ6に表示させるようにしてもよい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS213において、車輪速センサ4の出力に基づいて自車両の移動量を算出し、ステップS214において、ステップS213で算出される自車両の移動量を監視しながら、自車両がステップS204で算出した操舵変更ポイントに到達したか否かを判定する。そして、自車両が舵角変更ポイントに到達したら、ステップS215において、自車両の現在の舵角に応じた旋回軌跡線を非表示に切り替えて、俯瞰画像上に直線軌跡線のみを重畳した画像をモニタ6に表示させる。また、コントロールユニット10は、ステップS216において、自車両を停車させてステアリングを中立状態に戻す旨を運転者に教示するためのガイド音声をスピーカ7から出力させる。なお、この場合にも、ガイド音声の出力に代えて或いはガイド音声の出力とともに、上記内容のメッセージ文をモニタ6に表示させるようにしてもよい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS217において、舵角センサ3の出力を監視しながら、自車両の舵角がステアリング中立状態の舵角となったかどうかを判定する。そして、自車両の舵角が中立状態の舵角となったら、ステップS218において、ステアリングを中立状態に維持したまま自車両を前進させる旨を運転者に教示するためのガイド音声を、再度、スピーカ7から出力させる。なお、この場合にも、ガイド音声の出力に代えて或いはガイド音声の出力とともに、上記内容のメッセージ文をモニタ6に表示させるようにしてもよい。
次に、コントロールユニット10は、ステップS219において、車輪速センサ4の出力に基づいて自車両の移動量を算出し、ステップS220において、ステップS219で算出される自車両の移動量を監視しながら、自車両が狭部位置に到達したか否かを判定する。そして、自車両が狭部位置に到達したら、図24のフローチャートで示す一連の処理を終了する。
<狭部通過のための経路算出の具体例>
次に、図25に示すように、左右両側が側壁301,302により区画された幅狭の道路上で自車両の左前方に電柱303が設置されている場合を例に挙げて、本実施形態の走行支援装置のコントロールユニット10による経路算出方法の具体例を説明する。
図25に示すシーンにおいては、コントロールユニット10は、以下のような方法で狭部通過のための経路を算出する。すなわち、まず、車載カメラ1a〜1dの撮像画像を用いて生成した俯瞰画像上で自車両の現在位置Vの左前方にある電柱303を検出し、電柱303が存在する道路位置を狭部位置として認識する。
次に、図26に示すように、この狭部位置に存在する電柱303に対して所定のマージンをとった位置に回避ポイント304を設定する。また、自車両が現在位置Vから所定舵角(例えば、ステアリングを右側にフル切りしたときの舵角)で旋回したときに旋回外周側後輪が辿る旋回円(例えば、最小旋回円)305を求める。そして、この旋回円305に接し、且つ、回避ポイント304を通る直線306を求める。
次に、図27に示すように、自車両が旋回円に沿って旋回する過程で旋回外周側の側面部が直線306と一致する位置を求め、この位置を舵角変更ポイントV11とする。また、自車両がこの舵角変更ポイントV11に位置するときの自車両左前端部の位置307と、自車両右前端部の位置308とをそれぞれ求める。
次に、図28に示すように、直線306の一部をなす線分であって、自車両が舵角変更ポイントV11に位置するときの自車両左前端部の位置307を起点とし、狭部位置の方向に延びる所定長さの線分309を求める。また、この線分309に対して平行で自車両の車幅相当分の距離だけ離間した線分、つまり、自車両が舵角変更ポイントV11に位置するときの自車両右前端部の位置308を起点とし、狭部位置の方向に延びる所定長さの線分310を求める。そして、これら一対の線分309,310を、舵角変更ポイントV11から狭部位置に至る自車両の直線軌跡線とする。
次に、図29に示すように、自車両が現在の舵角を維持して旋回したときに自車両の左右前端部が辿る一対の軌跡311,312を求め、これら一対の軌跡311,312を、自車両の現在の舵角に応じた旋回軌跡線とする。
コントロールユニット10は、以上のようにして直線軌跡線309,310と、旋回軌跡線311,312を算出すると、図30に示すように、これら直線軌跡線309,310及び旋回軌跡線311,312と、自車両が舵角変更ポイントV11に位置するときの自車両左右前端部の位置307,308を示すポールアイコンとを俯瞰画像上に重畳してモニタ6に表示させる。そして、この図30のような支援画像をモニタ6に表示させた状態で、スピーカ7からのガイド音声の出力などにより、モニタ6に表示されている画像上の旋回軌跡線311,312がポールアイコンの位置で直線軌跡線309,310と交わるまでステアリングを操作する旨を運転者に教示する。
ここで、自車両の運転者がステアリングを操作すると、俯瞰画像上に重畳されている旋回軌跡線311,312が操舵に連動して変化することとなり、所定舵角(例えばフル切り)までステアリングが操作されると、図31に示すように、旋回軌跡線311,312がポールアイコンの位置で直線軌跡線309,310と交わる。そして、このときの旋回軌跡線311,312と直線軌跡線309,310とを繋いだ経路が、狭部通過のための最適経路となる。
<支援画像の他の表示形態>
ところで、以上の説明では、コントロールユニット10が車載カメラ1a〜1dにより撮像された画像を用いて自車両の俯瞰画像を生成し、この俯瞰画像上に、旋回軌跡線309,310及び直線軌跡線311,312とポールアイコンとを重畳したものを支援画像としてモニタ6に表示することとしているが、第1の実施形態と同様、実際の風景との対応付けを容易にするとの観点から、図32及び図33に示すように、運転者の視点位置から見た自車両前方の実際の風景に近い画像をベースとして、この画像上に旋回軌跡線309,310や直線軌跡線311,312、ポールアイコンPを重畳したものを支援画像としてモニタ6に表示するようにしてもよい。なお、図32の画像例は、自車両が舵角変更ポイントの手前を走行している際にモニタ6に表示される支援画像であり、図33の画像例は、自車両が舵角変更ポイントを越えた位置を走行している際にモニタ6に表示される支援画像である。
自車両の運転者は、図32のような支援画像をモニタ6で確認することにより、所定舵角を維持しながら旋回軌跡線311,312に沿って走行している状態から、次に直進走行に切り替えるためにステアリング操作を行う位置(舵角変更ポイント)を実際の風景と対応付けながら把握できる。このため、舵角変更ポイントまでの距離感をつかみやすく、ステアリング操作の遅れなどを未然に防止することができる。また、自車両の位置が舵角変更ポイントに到達した後は、旋回軌跡線311,312は自車両の後方となるため、図33に示すように、旋回軌跡線311,312は非表示にして、モニタ6では直進軌跡線309,310のみを表示する。このように、不要な情報を非表示にすることで、左右の直線軌跡線309,310に自車両のフード先端部を合わせるための操舵に注力することができ、表示された軌跡をトレースしやすくなる。
図32及び図33に示すような支援画像をモニタ6に表示するには、例えば図22に例示した設置位置及びカメラ光軸角度となるように車載カメラ1を設置し、この車載カメラ1により自車両の運転者の視点位置に近い車体上部位置から自車両のフード先端部Fを含む自車両前方の画像を撮像して、この車載カメラ1により撮像された自車両前方の画像上に、旋回軌跡線309,310や直線軌跡線311,312、ポールアイコンPを、車載カメラ1の視点位置から見た画像に変換して重畳すればよい。
<第2の実施形態による効果>
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の走行支援装置によれば、旋回軌跡と舵角変更ポイントと直線軌跡とからなる一連の経路を算出して、この経路を示す旋回軌跡線や直線軌跡線などの経路情報をモニタ6に表示するようにしているので、狭部を通過するための最適な経路を運転者に的確に認識させることができ、運転に不慣れな初心者でも安心して狭部を通過できるように車両の走行を支援することができる。
また、本実施形態の走行支援装置によれば、舵角変更ポイントに到達したときの自車両の左右前端部位置を示すポールアイコンを経路情報の1つとしてモニタ6に表示するようにしているので、自車両の舵角に応じた旋回軌跡を直線軌跡に合わせるための運転者によるステアリング操作を容易なものとすることができる。
また、本実施形態の走行支援装置によれば、自車両が走行を開始した後はその走行位置を確認しながら、自車両の走行位置が舵角変更ポイントの手前であれば旋回軌跡線と直線軌跡線の双方をモニタ6に表示し、自車両の走行位置が舵角変更ポイントを越えた場合は、直線軌跡線のみをモニタ6に表示するようにしているので、不要な表示に運転者の注意が向くことを未然に防止して、運転操作に注力させることができる。
また、本実施形態の走行支援装置によれば、狭部通過の経路を示す旋回軌跡線や直線軌跡線、ポールアイコンなどの環境情報を環境側に固定して、モニタ6の表示画面上における経路情報の表示位置を自車両の移動量に応じて更新するようにしているので、自車両が走行を開始した後にも経路情報をモニタ6に正しく表示することができる。
また、本実施形態の走行支援装置によれば、車載カメラ1a〜1dで撮像された画像を用いて自車両の周囲を真上から見下ろした俯瞰画像を生成し、この俯瞰画像上に旋回軌跡線や直線軌跡線、ポールアイコンなどの経路情報を重畳したものを支援画像としてモニタ6に表示することにより、狭部を通過するための経路を大局的に運転者に認識させることができる。一方、車載カメラ1で運転者の視点位置に近い車体上部位置から自車両フードの左右先端部を含む自車両前方の画像を撮像して、この画像上に上記の経路情報を重畳したものを支援画像としてモニタ6に表示するようにした場合には、狭部を通過するための経路を実際の風景と対応付けて運転者に認識させることができる。
以上、本発明の具体的な実施形態として第1の実施形態及び第2の実施形態を説明したが、これらの各実施形態は本発明の一適用例を例示的に示したものであり、本発明の技術的範囲がこれらの実施形態として開示した内容に限定されることを意図するものではない。つまり、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、この開示から容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。