JP5552294B2 - インクジェット記録用顔料水分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
インクジェット記録に使用されるインクとしては、耐水性や耐候性の観点から、近年、顔料、ポリマー、水を分散させた顔料系インクが主に使用されている。
例えば、特許文献1には、保存安定性に優れた着色剤分散体の製造方法として、着色剤、イオン性分散剤、揮発性中和剤、不揮発性中和剤、有機溶媒及び水を混合し、分散処理した後、得られた分散体から有機溶媒、及び揮発性中和剤を除去する方法が開示されている。
特許文献2には、保存安定性、耐水性、耐溶剤性に優れた水性顔料分散体を製造する製造方法として、(1)顔料を、界面活性剤及び/又は水可溶性樹脂を用いて予め水媒体に分散させる第1工程、(2)第1工程で得られた分散液と重量平均分子量が3000〜10万の自己乳化型樹脂を水溶性溶剤に溶解させた液とを混合し、顔料表面に自己乳化型樹脂を固着させる第2工程からなる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2の水分散体は、保存安定性において十分に満足のいくものではない。
これは、中和剤を比較的低い中和度になるように用いることで水溶性ポリマーを顔料に吸着させることができ、更に、得られた水分散体に追加の中和剤を添加することで、比較的低い中和度にしたことにより生じたポリマー間の凝集を緩和でき、その結果、保存安定性と印字濃度とを向上させることができると考えられる。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔3〕を提供する。
〔1〕下記工程(I)〜(III)を有するインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法。
工程(I):顔料、塩生成基を有する水溶性ポリマー(x)、塩生成基を有する水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒、中和剤、及び水を含有する混合物を分散処理して、顔料分散体を得る工程
工程(II):工程(I)で得られた顔料分散体から有機溶媒を除去して、中和剤による全ポリマーの塩生成基の平均中和度が25〜60モル%である、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(III):工程(II)で得られた水分散体に、中和剤を添加して、顔料水分散体を得る工程
〔2〕前記〔1〕の製造方法によって得られるインクジェット記録用顔料水分散体。
〔3〕前記〔2〕の顔料水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
本発明のインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法は、前記工程(I)〜(III)を有することを特徴とする。
以下、本発明に用いられる各成分、各工程について説明する。
本発明に用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、色相は特に限定されず、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーン有機顔料等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
例えば、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料、ジアゾ顔料、アゾ顔料等が挙げられる。
また、固溶体顔料も用いることができる。固溶体顔料としては、β型、γ型等の無置換キナクリドンと、2,9−ジクロルキナクリドン、3,10−ジクロルキナクリドン、4,11−ジクロルキナクリドン等のジクロロキナクリドンからなるキナクリドン固溶体顔料が挙げられる。
本発明においては、「塩生成基を有する水溶性ポリマー(x)」、及び「塩生成基を有する水不溶性ポリマー(y)」が用いられる。
ここで、「水不溶性ポリマー(x)」及び「水溶性ポリマー(y)」とは、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、該ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和したもの10gに、25℃の純水100gを加え、十分撹拌したときに、全て溶解すれば、該ポリマーは本発明における「水溶性ポリマー(y)」である。なお、市販のポリマーを用いる場合、又は合成時に酢酸又は水酸化ナトリウム以外の中和剤で中和されたポリマーは、100%の中和度に満たない場合は、酢酸又は水酸化ナトリウムを加え、100%中和として前記溶解性を判断する。中和度は後述する方法で求めることができる。
前記の溶解性試験を行い、100%の中和度で溶解しない部分があるポリマーの場合、純水がポリマー内に浸透し難いため、次のような手順(具体的には実施例の方法)で、水不溶性ポリマー(x)と水溶性ポリマー(y)とに分離することができる。
すなわち、予めポリマーをメチルエチルケトン等の有機溶媒に溶解しておき、その100%中和品を純水中に滴下し、有機溶媒を除去して濃度を10重量%にした水分散物を、遠心分離によって分離し、沈殿したポリマーを「水不溶性ポリマー(x)」、溶解しているポリマーを「水溶性ポリマー(y)」とする。ただし、ポリマー中の「水不溶性ポリマー(x)」及び「水溶性ポリマー(y)」の各々の重量%は、小数点一桁目を四捨五入する。
本発明に用いられる、塩生成基を有する水溶性ポリマー(x)(以下、単に「水溶性ポリマー(x)」ともいう)に特に制限はないが、顔料の分散を効率よく行う観点から、ビニル単量体の付加重合により得られるビニルポリマーが好ましく、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と(b)疎水性モノマー(以下「(b)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニルポリマーがより好ましい。
(a)塩生成基含有モノマーは、得られるポリマー粒子の分散性を高める観点から用いられる。ポリマー粒子の分散性が高まれば、水系インクの吐出性が向上するものと考えられる。
(a)塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマーが挙げられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられるが、なかでもカルボキシ基が好ましい。
アニオン性モノマーとしては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、ポリマー粒子の分散性の観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましく、水への溶解性の観点から、アクリル酸が更に好ましい。
カチオン性モノマーの代表例としては、アミン含有モノマー、アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
(b)疎水性モノマーは、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられ、顔料との親和性を高め、分散性、安定性を高める観点から、芳香族基含有モノマーが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
芳香族基含有モノマーとしては、スチレン系モノマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン及び2−メチルスチレンが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
水溶性ポリマー(x)は、分散性の観点から、その重量平均分子量が、好ましくは1000〜300,000、より好ましくは2,000〜200,000である。なお、該ポリマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、(a)成分がアニオン性モノマーである場合の水溶性ポリマー(x)の酸価は、好ましくは100〜400KOHmg/g、より好ましくは150〜300KOHmg/g更に好ましくは170〜280KOHmg/gである。
水溶性ポリマー(x)の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社のジョンクリル(登録商標)57J、同60J、同61J、同63J、同70J、同PD−96J、同501J等が挙げられる。
本発明に用いられる、塩生成基を有する水溶性ポリマー(x)(以下、単に「水溶性ポリマー(x)」ともいう)に特に制限はないが、顔料の分散を効率よく行う観点から、ビニル単量体の付加重合により得られるビニルポリマーが好ましく、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と(b)疎水性モノマー(以下「(b)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニルポリマーがより好ましい。
水不溶性ポリマー(y)における(a)塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマーが挙げられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基が好ましい。
水不溶性ポリマー(y)における(b)疎水性モノマーとしては、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。また、顔料分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)における(b)成分は同一であることが好ましい。
更に、任意である(c)マクロマー(以下「(c)成分」ともいう)由来の構成単位を有していてもよく、(a)成分由来の構成単位、(b)成分由来の構成単位、及び(c)成分由来の構成単位を全て含むものが好ましい。
(c)マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500〜100,000の化合物であり、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から用いられる。ポリマーの顔料への親和性が高まれば、ポリマー粒子の分散安定性が向上し、水系インクの吐出性が向上するものと考えられる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。その数平均分子量は、500〜100,000であり、1,000〜10,000が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(c)マクロマーとしては、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー、及びシリコーン系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、スチレン系モノマーの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。共重合される他のモノマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレート又はアクリロニトリル等が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン等が挙げられる。
スチレン系マクロマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亜合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
マクロマーはシリコーン系マクロマーであってもよく、シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
水不溶性ポリマー(y)における(c)マクロマーとしては、水溶性ポリマー(x)との親和性を高める観点から、水溶性ポリマー(x)における(b)疎水性モノマーと同一のモノマーの重合体を用いることが好ましく、スチレン系マクロマーであることがより好ましい。
モノマー混合物には、更に、(d)ノニオン性モノマー(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。
(d)成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(a)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマー粒子の分散性を高める観点から、好ましくは4〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
(b)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(c)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(d)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマー粒子の分散性を高める観点から、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
水不溶性ポリマー(y)の重量平均分子量は、顔料水分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万が更に好ましく、2万〜30万が特に好ましい。なお、該ポリマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、(a)成分がアニオン性モノマーである場合の水不溶性ポリマー(y)の酸価は、好ましくは80〜300KOHmg/g、より好ましくは90〜200KOHmg/g、更に好ましくは90〜180KOHmg/gである。
本発明で用いられる水溶性ポリマー(x)及び水不溶性ポリマー(y)(以下、両者を総称して、単に「ポリマー」ともいう)は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜3の脂肪族アルコール;炭素数3〜8のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、アゾ化合物や有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概にはいえないが、通常、重合温度は好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、公知の方法により生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
中和剤は、ポリマーが有する塩生成基の種類に応じて、酸性又は塩基性を有するものが用いられる。例えば、塩生成基がアニオン性基である場合、中和剤としては塩基が用いられる。中和剤としては、揮発性中和剤、及び不揮発性中和剤が用いられる。
ここで、「揮発性中和剤」とは、常圧下での沸点が130 ℃未満のものをいい、「不揮発性中和剤」とは、常圧下での沸点が130 ℃以上のものをいう。
揮発性中和剤としては、塩酸、酢酸、プロピオン酸等の揮発性の酸、及びアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の揮発性塩基が挙げられる。
不揮発性中和剤としては、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の不揮発性の酸、及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩基が挙げられる。
本発明のインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法は、下記工程(I)〜(III)を有する。
工程(I):顔料、塩生成基を有する水溶性ポリマー(x)〔水溶性ポリマー(x)〕、塩生成基を有する水不溶性ポリマー(y)〔水不溶性ポリマー(y)〕、有機溶媒、中和剤、及び水を含有する混合物を分散処理して、顔料分散体を得る工程
工程(II):工程(I)で得られた顔料分散体から有機溶媒を除去して、中和剤による全ポリマーの塩生成基の平均中和度が25〜60モル%である、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(III):工程(II)で得られた水分散体に、中和剤を添加して、顔料水分散体を得る工程
工程(I)は、顔料、水溶性ポリマー(x)、水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒、中和剤、及び水を含有する混合物を分散処理して、顔料分散体を得る工程である。中和剤は、工程(II)で有機溶媒を蒸留で除去する場合、同時に留去されないようにするため不揮発性中和剤を含むことが好ましい。
工程(I)における各成分の混合順序等に特に制限はないが、下記工程(I-1)及び(I-2)を有する方法によれば、より効率的に行うことができる。
工程(I-1):顔料を、有機溶媒、水溶性ポリマー(x)、中和剤及び水を混合し、該混合物を分散して、分散体を得る工程
工程(I-2):工程(I-1)で得られた分散体に水不溶性ポリマー(y)、及び中和剤を混合し、混合物を得る工程
工程(I-3):工程(I-2)で得られた混合物を分散して、顔料分散体を得る工程
ここで、工程(I-1)及び(I-2)で用いられる中和剤は、不揮発性中和剤であっても揮発性中和剤であってもよいが、工程(I-1)及び(I-2)のいずれかの工程又は両方の工程において不揮発性中和剤が用いられることが好ましい。
揮発性中和剤を用いる場合は、蒸留条件を調整して揮発性中和剤の残存量を調節してもよく、蒸留以外の方法で有機溶媒を除去してもよい。操作性の観点からは、工程(I-2)において不揮発性中和剤が用いられることが好ましい。
また、工程(I-1)において揮発性中和剤を用いて水溶性ポリマー(x)を中和してもよいが、予め水溶性ポリマー(x)を揮発性中和剤で中和して用いてもよい。
工程(I-1)は、顔料を、有機溶媒、水溶性ポリマー(x)、中和剤及び水を混合し、該混合物を分散して、分散体を得る工程である。
工程(I-1)における混合物中、顔料は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、水溶性ポリマー(x)は、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。
水溶性ポリマー(x)に対する顔料の重量比〔顔料/水溶性ポリマー(x)〕は、分散安定性の観点から、10〜50が好ましく、12〜40がより好ましく、12〜30が更に好ましい。
工程(I-1)において混合する中和剤の合計量は、水溶性ポリマー(x)の中和度に換算して、分散性の観点から、好ましくは70〜150モル%であり、好ましくは80〜120モル%である。
有機溶媒により、水不溶性ポリマー(y)を膨潤又は溶解して、顔料との親和性を高めることができる。有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該有機溶媒の水100gに対する溶解量は、水不溶性ポリマー(y)を膨潤又は溶解し、顔料との親和性を高める観点から、20℃において、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上であり、100g以下が好ましく、80g以下が更に好ましく、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンがより好ましい。
工程(I-1)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけで顔料粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、顔料粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(I-1)の分散における温度は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、1〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
工程(I-2)は、工程(I-1)で得られた分散体に水不溶性ポリマー(y)、及び中和剤を混合して混合物を得る工程である。工程(I-2)に中和剤を混合する代わりに、予め水不溶性ポリマー(y)が中和されているものを用いてもよい。
工程(I-2)においては、水不溶性ポリマー(y)、中和剤、有機溶媒及び水を含有する水不溶性ポリマー(y)の分散体を予め調製し、工程(I-1)で得られた分散体に混合する。
工程(I-2)における混合物中、顔料は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、水不溶性ポリマー(y)は、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。
水不溶性ポリマー(y)に対する顔料の重量比〔顔料/水不溶性ポリマー(y)〕は、ポリマー粒子のインク中での分散安定性の観点から、1.0〜20.0が好ましく、1.0〜10.0がより好ましく、1.0〜6.0が更に好ましい。
工程(I)における、水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の合計量[(x)+(y)]に対する顔料の重量比〔顔料/[(x)+(y)]〕は、水分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、50/50〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜95/5が更に好ましい。
また、水溶性ポリマー(x)に対する水不溶性ポリマー(y)の重量比〔(y)/(x)〕は、水分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、2.0〜5.0が好ましく、2.5〜4.5がより好ましく、3.0〜4.0が更に好ましい。ポリマーの重量比は、未中和品の重量比である。
工程(I-2)において混合する中和剤の合計量は、水不溶性ポリマー(y)の中和度に換算して、分散性の観点から、好ましくは40〜100モル%であり、好ましくは50〜80モル%である。
工程(I-3)は、工程(I-2)で得られた混合物を分散して、顔料分散体を得る工程である。ここで得られる顔料分散体は、顔料を含有するポリマー粒子を含む分散体であることが好ましい。
工程(I-3)における混合物の分散方法は、工程(I-1)と同様に、特に制限はなく、本分散だけでポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行ってもよい。工程(I-3)の分散における温度は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、前述の混合撹拌装置等が好ましく用いられる。
本分散の剪断応力を与える手段としては、前述の混練機、高圧ホモジナイザー、メディア式分散機が挙げられる。これらの中では、ポリマー粒子を小粒子径化する観点及び分散体を安定化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
工程(I)、即ち工程(I-3)においては、得られる顔料分散体中の不揮発性中和剤による全ポリマーの塩生成基の平均中和度(下記式で求められる水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の平均中和度)が25〜60モル%になるように中和することが好ましい。すなわち、不揮発性中和剤による水溶性ポリマー(x)及び水不溶性ポリマー(y)の塩生成基の平均中和度は、水分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、好ましくは25〜60モル%であり、より好ましくは25〜55モル%、更に好ましくは30〜50モル%である。これにより、工程(II)で有機溶媒を除去した後のポリマーの塩生成基の平均中和度を容易に調整することができる。
ここで、塩生成基がアニオン性基である場合の平均中和度は、下記計算式によって求めることができる。
平均中和度(モル%)={[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/〔[水溶性ポリマー(x)の酸価(KOHmg/g)×水溶性ポリマーの重量(g)+水不溶性ポリマー(y)の酸価(KOHmg/g)×水不溶性ポリマーの重量(g)]/(56×1000)〕}×100)
また、塩生成基がカチオン性基である場合の中和度は、下記計算式によって求めることができる。
平均中和度(モル%)=[[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/〔[水溶性ポリマー(x)のアミン価(HCLmg/g)×水溶性ポリマーの重量(g)+水不溶性ポリマー(y)のアミン価(HCLmg/g)×水不溶性ポリマーの重量(g)]/(56×1000)〕]×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から算出することができるが、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法を用いて求めることもできる。
塩生成基がカチオン性基である場合、工程(I)、即ち工程(I-3)において、分散性を向上する観点から、得られる顔料分散体中のpH(20℃)が好ましくは3〜6、更に好ましくは4〜6となるように調整することが好ましい。pHは、前記不揮発性中和剤と、揮発性中和剤の量により調整することができる。
以上の観点から、工程(I)は、顔料、水溶性ポリマー(x)、水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒、揮発性中和剤、不揮発性中和剤、及び水を含有する混合物を分散処理して、顔料分散体を得る工程であって、得られた分散体中の中和剤、好ましくは不揮発性中和剤によるポリマーの塩生成基の中和度が25〜60モル%である工程が好ましい。
工程(II)は、工程(I)で得られた顔料分散体から有機溶媒を除去して、中和剤による全ポリマーの塩生成基の平均中和度が25〜60モル%である、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程である。工程(I)で揮発性中和剤を用いた場合、工程(II)で、有機溶媒を蒸留で除去する場合、通常、該揮発性中和剤は有機溶媒と共に留去(除去)され易い。これにより、ポリマーの平均中和度が低下することで、水溶性ポリマー(x)の水溶性が低下し、顔料に固着すると考えられる。
工程(II)においては、得られた分散体中の中和剤、好ましくは不揮発性中和剤による全ポリマーの塩生成基の平均中和度(前記式で求められる水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の平均中和度)は、水分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、25〜60モル%であり、好ましくは25〜55モル%、更に好ましくは30〜50モル%である。
工程(II)で得られた水分散体のpH(20℃)は、好ましくは7〜10、更に好ましくは8〜10である。
工程(II)により、顔料表面又は表面の一部に水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)が付着した、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得ることができる。有機溶媒の除去は、減圧蒸留等による一般的な方法により行うことができる。また必要に応じて、有機溶媒を除去する前に加熱撹拌処理することもできる。
また、水分散体中における水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の含有量は、水分散体の安定性と印字濃度の観点から、顔料100重量%に対してそれぞれ1〜10重量%、5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。また、顔料の含有量も同じ観点から、10〜50重量%が好ましく、15〜40重量%がより好ましい。
得られた顔料を含有するポリマー粒子の水分散体は、該ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料と水溶性ポリマー(x)、水不溶性ポリマー(y)により粒子が形成されていればよい。例えば、(i)水溶性ポリマー(x)が付着した顔料を、水不溶性ポリマー(y)が内包又は部分付着した粒子形態、(ii)水不溶性ポリマー(y)が付着した顔料を、水溶性ポリマー(x)が内包又は部分付着した粒子形態、(iii)顔料を水不溶性ポリマー(y)と水溶性ポリマー(x)とのポリマー混合物で内包又は部分付着した粒子形態等が含まれる。
工程(IV)は、任意の工程であり、工程(II)で得られた水分散体に架橋剤を添加してポリマーを架橋し、顔料を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を得る工程である。工程(IV)は、水系インクの粘度を低減し、印字濃度を向上させる観点から行うことが好ましく、この架橋工程(IV)を行った後、中和工程(III)を行うことが好ましい。
架橋反応により、水溶性ポリマー(x)同士の間、水不溶性ポリマー(y)同士の間、又は水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)との間に架橋が生じると考えられる。
ポリマーを架橋させる場合は、架橋前の全ポリマーの塩生成基の平均中和度は、ポリマー粒子のインク中での分散安定性と架橋効率の観点から、好ましくは25〜60モル%、より好ましくは25〜55モル%、更に好ましくは30〜50モル%である。
ここで、架橋剤としては、ポリマーの塩生成基と反応する官能基を有する化合物が好ましく、該官能基を分子中に2以上、好ましくは2〜6有する化合物がより好ましい。
この架橋剤は、ポリマーの表面を効率よく架橋する観点から、25℃の水100gに溶解させたときの溶解量が、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。また、架橋剤の分子量は、インクの粘度及び印字濃度の観点から、好ましくは120〜2000、より好ましくは150〜1500、更に好ましい150〜1000である。
架橋剤の好適例としては、次の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。
(b)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。
(c)分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物:例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマー。
これらの中では、(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。
工程(IV)で得られた、架橋ポリマー粒子の水分散体における架橋ポリマーは、架橋ポリマー1g当たり、中和された塩生成基(好ましくはカルボキシ基)を0.5mmol以上含有することが好ましい。かかる架橋ポリマーは、水分散体中で解離して、塩生成基同士の電荷反発により、顔料を含有する架橋ポリマー粒子の安定性に寄与すると考えられる。
ここで、下記式(1)から求められる架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。架橋率は、架橋剤の使用量と反応性基のモル数、ポリマーの使用量と架橋剤の反応性基と反応できるポリマーの反応性基のモル数から計算で求めることができる。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数/ポリマーが有する架橋剤と反応し得る反応性基のモル数]×100 (1)
式(1)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。
工程(III)は、工程(II)又は工程(IV)で得られた水分散体に、中和剤を添加して、顔料水分散体を得る工程であり、好ましくは、工程(II)で得られた顔料を含有するポリマー粒子の水分散体、又は工程(IV)で得られた顔料を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体に、中和剤を添加して、顔料水分散体を得る工程である。ここで添加する中和剤は、工程(II)で有機溶媒を除去した際の平均中和度が比較的低いため、ポリマー間に生じた過度な凝集を緩和すると考えられ、これにより保存安定性が向上すると考えられる。中和剤は、不揮発性中和剤であってもよく、揮発性中和剤であってもよいが、プリンターのノズル部分の腐食性や顔料水分散体のpH安定性等の観点から、不揮発性中和剤が好ましい。得られる顔料水分散体は、工程(II)と同じ形態であると考えられる。
工程(III)において、添加する中和剤量は、得られる顔料水分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、前記式で求められる水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の平均中和度換算で、好ましくは1モル%以上中和する量であり、より好ましくは1〜50モル%、より好ましくは1〜30モル%、より好ましくは3〜30モル%、更に好ましくは3〜20モル%中和する量である。
例えば、エポキシ基を有する架橋剤で反応させた場合は、下記の式になる。
平均中和度(モル%)={[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/〔[水溶性ポリマー(x)の酸価(KOHmg/g)×水溶性ポリマーの重量(g)+水不溶性ポリマー(y)の酸価(KOHmg/g)×水不溶性ポリマーの重量(g)/(56×1000)−架橋剤量(g)/エポキシ当量(モル/g)]〕}×100)
工程(III)で得られる水分散体のpH(20℃)は、塩生成基がアニオン性基を有する場合、8〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。塩生成基がカチオン性基を有する場合、3〜6が好ましく、4〜6がより好ましい。
工程(III)で得られる顔料水分散体中の全ポリマーの塩生成基の平均中和度(工程(I)と工程(III)の中和度の合計、但し、カルボキシ基が架橋反応に用いられる場
合は、それを勘案する)は、好ましくは35〜100モル%、より好ましくは45〜80モル%、更に好ましくは47〜70モル%である。
前記工程(I)〜(III)の後には、遠心分離やフィルターろ過を行い、粗大粒子を除去して、保存安定性を更に高める操作を行ってもよい。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、(1)顔料を水溶性ポリマー(x)及び水不溶性ポリマー(y)で分散して得られる、顔料を含有するポリマー粒子を含有する水分散体、又は(2)水溶性ポリマー(x)及び水不溶性ポリマー(y)を架橋した架橋ポリマー粒子で顔料を分散して得られる、顔料を含有する架橋ポリマー粒子を含有する水分散体を含むものである。
ここで、「水系」とは、水系インクに含まれる媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味するものであり、媒体が水のみの場合もあり、水と一種以上の有機溶媒との混合溶媒の場合も含まれる。この水系インクには、水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加することができる。
本発明の水系インク中の各成分の含有量は、下記のとおりである。
着色剤の含有量は、印字濃度と保存安定性等の観点から、好ましくは3〜30重量%、より好ましくは4〜20重量%、更に好ましくは4〜15重量%、特に好ましくは4〜13重量である。水の含有量は、好ましくは20〜90重量%,より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
ポリマー粒子中の、顔料と水溶性ポリマー(x)の重量比(顔料/水溶性ポリマー(x))は、インクの粘度及び印字濃度の観点から、12〜20が好ましく、12〜18がより好ましく、12〜15が更に好ましい。
水溶性ポリマー(x)に対する水不溶性ポリマー(y)の重量比〔(y)/(x)〕は、インクの印字濃度、粘度の観点から、2.0〜5.0が好ましく、2.5〜4.5がより好ましく、3.0〜4.0が更に好ましい。ポリマーの重量比は、未中和品の重量比である。
本発明の水系インクの表面張力(20℃)は、好ましくは23〜50mN/m、より好ましくは23〜45mN/m、更に好ましくは25〜45mN/mであり、水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出信頼性を維持するために、好ましくは2〜20mPa・sであり、より好ましくは2.5〜16mPa・s、更に好ましくは2.5〜12mPa・sである。
本発明の水系インクを適用するインクジェット記録方式は制限されず、ピエゾ方式及びサーマル方式のインクジェットプリンターに用いることができる。
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK-GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)顔料水分散体の平均粒径
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定濃度は、約5×10-3重量%で行い、標準物質としてセラディン(Seradyn) 社製のユニフォーム・マイクロパーティクルズ(平均粒径204nm)を用いた。
(3)固形分濃度の測定
顔料を含有するポリマー粒子の水分散体1gと硫酸ナトリウム(芒硝)10gとを均一に混合し、蒸発皿10.5cm2に均一に広げて、105℃、2時間、−0.07MPaで減圧乾燥させ、乾燥後の水分散体の重量を測定し、次式により固形分濃度(重量%)を求めた。
固形分濃度(%)=(乾燥後の水分散体の重量/乾燥前の水分散体の重量)×100
分散液(固形分含有量:25重量%)の粘度をE型粘度計〔東機産業株式会社製、型番:RE80型〕を用いて、標準ローター(1°34′×R24)を使用し、測定温度20℃で測定した。
(5)顔料水分散体の保存安定性
スクリュー管に顔料水分散体を充填、密閉し、70℃の恒温槽にて1週間保存した。保存前後の顔料分散体の粘度を上記(4)の方法により測定し、下記計算式により粘度増加率(%)を求め、顔料分散体の保存安定性の評価を行った。数値が100%に近い方が、保存安定性が良い。
粘度増加率(%)=〔[保存後の粘度]/[保存前の粘度]〕×100
(6)印字濃度
インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型番:EM−930C、ピエゾ式)を用いて、実施例及び比較例記載の水系インクを市販の上質普通紙(ゼロックス株式会社製、商品名:XEROX 4200)にベタ印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ファイン〕し、25℃で24時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:スペクトロアイ)で印字物の中心及び四隅の計5点を測定し、その平均値を求めた。印字濃度の数値が大きいほうが良好である。
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.05部、及び表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.45部、メチルエチルケトン60部、及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を撹拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、さらにメチルエチルケトン加え、30分間撹拌し、純分(固形分)40重量%の水不溶性ポリマー溶液を得た。結果を表1に示す。
なお、得られた水不溶性ポリマーのメチルエチルケトン溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加して100%中和とし、ポリマー純分換算で10gを量り取った。これを純水中に滴下し、ロータリーエバポレーターで、メチルエチルケトン及び水の一部を除去し、ポリマー濃度を10重量%とした分散物を遠心分離(株式会社久保田製作所製、テーブルトップ遠心機2100を使用。回転数:4000r/m、時間:20分、温度:20℃)し、沈降した部分を水不溶性ポリマー(y-2)、溶解部分を水溶性ポリマー(x-2)とすると、〔水不溶性ポリマー(y-2)/水溶性ポリマー(x-2)〕の比率は、小数点一桁目を四捨五入すると100/0であった。
・(c)43PAPE−600B
フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマー43PAPE−600B、エチレンオキシド平均付加モル数=6、プロピレンオキシド平均付加モル数=6、末端:フェニル基)
・(c)PP−800
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800、プロピレンオキシド平均付加モル数=13、末端:水酸基)
・(d)AS−6S
スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基)
(1)顔料を含有するポリマー粒子を含む分散体の調製(工程(I))
(I-1)水溶性ポリマー(ジョンクリル61J:BASFジャパン株式会社製、重量平均分子量12000、酸価195、スチレン/アクリル酸(75重量%/25重量%)共重合体、100モル%アンモニア中和)30.5重量%水溶液37gにイオン交換水1029g及びメチルエチルケトン222gを加え、ポリマー水溶液を得た。
得られたポリマー水溶液に、イエロー顔料としてPY74(C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化工業株式会社製)を214g加え、ディスパー翼を用いて20℃で1時間混合して予備分散体(固形分濃度15%)を得た。
得られた予備分散体1500gをウルトラ・アペックス・ミル:型式UAM-05(寿工業株式会社、メディア式分散機、商品名)を用いて、メディア粒子として粒径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズ充填率85体積%、撹拌翼周速8m/s、循環流量200cc/minの条件で1時間(ミル内における総平均滞留時間:7.5分)、循環方式による分散処理を行い、分散体を得た。
(I-2)水不溶性ポリマーエマルジョンの調製
製造例1で得られたポリマー溶液(酸価137)105gに5N−NaOH水溶液14.5g、25%アンモニア水溶液12.6g及びイオン交換水154gを加え、スターラーにより混合しポリマーエマルジョンを調製した。水不溶性ポリマーの5N−NaOH水溶液による中和度を表2に示す。
次に、前記(I-1)で得られた分散体をスターラーで混合しながら、調製したポリマーエマルジョンを添加して、混合物(固形分濃度15%)を得た。
(I-3)混合物の分散処理
前記(I-2)で得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、高圧ホモジナイザー、商品名)を用いて、150MPaの圧力で5パスの連続方式による分散処理を行って、顔料分散体を得た。得られた顔料分散体のpH(20℃)を表2に示す。
前記(1)で得られた分散体を、減圧下、温水加熱媒体(−0.08MPa,60℃)を用いてメチルエチルケトン、揮発性中和剤を除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度27%の顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得た。
得られた水分散体のpH(20℃)、中和剤によるポリマーの平均中和度を表2に示す。
なお、ポリマーの平均中和度は以下のように計算した。揮発性中和剤は除去されているので、不揮発性中和剤量で計算する。
(水溶性ポリマー量の計算)
水溶性ポリマー(酸価195、スチレン/アクリル酸(75重量%/25重量%)共重合体、100モル%アンモニア中和)30.5重量%水溶液37gを用いている。
水溶性ポリマーは25重量%アクリル酸を有しているので、アクリル酸はポリマー1gあたり、0.25/72モル(0.0035モル)有している。アンモニアの分子量は17であるので、ポリマー1gあたりのアンモニア量は、17×0.0035=0.06gとなる。従って、ポリマー1gあたり0.06gのアンモニアで中和されている。
未中和品の水溶性ポリマーの重量:37×0.305×100/106=10.6g
酸価:195
(水不溶性ポリマー量の計算)
未中和品の水不溶性ポリマーの重量:105×0.4=42g 酸価:137
(平均中和度の計算)
前記の計算式を用い、5N水酸化ナトリウムの比重1.185を考慮すると、ポリマーの平均中和度は下記のとおりとなる。
10.6×195+42×137=7821
5×0.0145/1.185/(7821/56000)×100=43.8モル%
前記(2)で得られた固形分濃度27%の水分散体100.0g、1N−NaOH水溶液0.145g、イオン交換水7.850gを混合し、固形分濃度25%の顔料水分散体を得た。
前記(2)で得られた固形分濃度27%の水分散体は、顔料214g、ポリマー52.6g(水溶性ポリマー(x)10.6g、水不溶性ポリマー(y)42g)を含有するので、添加した不溶性中和剤量は、平均中和度換算で下記のとおりとなる。
(平均中和度の計算)
前記の計算式を用い、1N水酸化ナトリウムの比重1.041を考慮すると、ポリマーの平均中和度は下記のとおりとなる。
0.000145/1.041/〔(1.06×195+4.2×137)/56000〕×100=1モル%
得られた分散体のpH(20℃)、平均中和度(モル%)を表2に示す。
得られた顔料水分散体に、以下の混合溶液を添加し、顔料分換算が10.0部となるように水系インクを調製した。
まず混合溶液は、水溶性有機溶媒である、1,2−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製、溶解度パラメーター13.15)2.0部、2−ピロリドン(和光純薬株式会社製、溶解度パラメーター13.66)2.0部、グリセリン(花王株式会社製、溶解度パラメーター19.40)2.0部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ブチルトリグリコール、日本乳化剤株式会社製、溶解度パラメーター10.21)10.0部、ノニオン界面活性剤である、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)0.5部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)0.5部、防腐剤であるプロキセルXL2(アビシア株式会社製、)0.3部、及びイオン交換水をマグネチックスターラーで撹拌しながら、混合し、更に室温で15分間攪拌して、混合溶液を得た。ここでイオン交換水の配合量は、混合溶液と前記の顔料水分散体を加えた全量が100部となるように調整した量である。
実施例1(3)において、実施例1(2)で得られた固形分濃度27%の水分散体100.0gに、表2に示す量の1N−NaOH水溶液とイオン交換水を混合し、固形分濃度25%の顔料水分散体を得た。更に、得られた顔料水分散体を用いて実施例1(4)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
実施例6
実施例1(1)において、5N−NaOH水溶液量を表2に示す量に調整し、実施例1(2)で得られた固形分濃度27%の水分散体100.0gに、表2に示す量の1N−NaOH水溶液とイオン交換水を混合し、固形分濃度25%の顔料水分散体を得た。更に、得られた顔料水分散体を用いて実施例1(4)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
実施例1(3)において、実施例1(2)で得られた固形分濃度27%の水分散体100.0g、イオン交換水8.000gを混合し、固形分濃度25%の顔料水分散体を得た。更に、得られた顔料水分散体を用いて実施例1(4)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
比較例2〜3
実施例1(1)(I-2)において、5N−NaOH水溶液10.2g(比較例2)又は17.0g(比較例3)を用いた以外は、実施例1(1)(2)と同様の操作を行い、実施例1(3)(中和工程(III))は行わずに固形分濃度27%の水分散体を得た。得られた水分散体100.0g、イオン交換水8.000gを混合し、固形分濃度25%の顔料水分散体を得た。更に、得られた顔料水分散体を用いて実施例1(4)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
比較例4
実施例1(1)(I-2)において、5N−NaOH水溶液26.5gを用いた以外は、実施例1と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
実施例1において、実施例1(2)で得られた固形分濃度27%の水分散体100.0g、架橋剤(商品名:デナコールEX321L、エポキシ当量129、ナガセケムテックス株式会社製)1.112g、イオン交換水3.000gを混合した後、90℃下で1時間撹拌した(架橋工程(IV))。撹拌後、冷却し、5.0μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を用いて濾過し、固形分濃度27%の顔料を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。
得られた固形分濃度27%の水分散体100.000g、1N−NaOH0.058g、イオン交換水3.140gを混合し、固形分濃度25%の顔料水分散体を得た(中和工程(III))。更に、得られた顔料水分散体を用いて実施例1(4)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
(平均中和度の計算)
前記の計算式を用い、1N水酸化ナトリウムの比重1.041を考慮すると、ポリマーの平均中和度は下記のとおりとなる。
0.000058/1.04/〔(1.06×195+4.2×137)/56000−1.112/129〕×100=1.1モル%
実施例7において、固形分濃度27%の水分散体100.000gに、表2に示す量の1N−NaOH水溶液とイオン交換水を混合し、固形分濃度25%の顔料水分散体を得た。更に、得られた顔料水分散体を用いて実施例1(4)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
Claims (7)
- 下記工程(I)〜(III)を有するインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法。
工程(I):顔料、塩生成基を有する水溶性ポリマー(x)、塩生成基を有する水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒、中和剤、及び水を含有する混合物を分散処理して、顔料分散体を得る工程
工程(II):工程(I)で得られた顔料分散体から有機溶媒を除去して、中和剤による全ポリマーの塩生成基の平均中和度が25〜60モル%である、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(III):工程(II)で得られた水分散体に、中和剤を添加して、顔料水分散体を得る工程 - 工程(I)の中和剤が、不揮発性中和剤を含む、請求項1に記載のインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法。
- 塩生成基がアニオン性基であり、工程(I)で得られた顔料分散体のpHが8〜12である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法。
- 工程(III)において、中和剤の添加量が、中和剤による全ポリマーの塩生成基の平均中和度換算で1モル%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法。
- 水溶性ポリマー(x)に対する水不溶性ポリマー(y)の重量比〔(y)/(x)〕が2.0〜5.0である、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法。
- 工程(II)で得られた水分散体に架橋剤を添加してポリマーを架橋し、顔料を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を得る工程(IV)を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用顔料水分散体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られた顔料水分散体に、更に水又は水溶性有機溶媒を混合する工程を有する、インクジェット記録用水系インクの製造方法。
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