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JP5545839B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents

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Description

本発明はアクティブフィルタを備えたスイッチング電源装置に関し、特に、補助巻線の誘起電圧に基づいて、アクティブフィルタの制御回路とスイッチング制御回路の電源電圧となる直流の補助電圧を生成するスイッチング電源装置に関する。
商用交流電圧を整流した整流後の電圧をアクティブフィルタに供給して力率を改善するとともに、世界各国の各種商用交流電圧においても使用できるよう構成したワールドワイドなスイッチング電源装置として、例えば、図3に示すスイッチング電源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図3に示すように、このスイッチング電源装置10は、100[V]/200[V]系の商用交流電源から供給された商用交流電圧VACIN(85〜132[V]/187〜264[V])を整流する整流手段(ダイオードブリッジ回路D1)を備え、その出力電圧(以下、「一次側直流電圧」という)はアクティブフィルタ2に供給されている。
アクティブフィルタ2は、チョーク等のリアクトルを介してダイオードブリッジ回路D1の出力端子間に接続されたスイッチング素子を有し、このスイッチング素子のスイッチング動作はアクティブフィルタ制御回路4からの制御信号によって制御される。アクティブフィルタ2によれば、一次側直流電圧を整形して正弦波状とすることにより、力率を改善することができる。
アクティブフィルタ2の出力端子間には、コンデンサC1と、トランスTの一次巻線T1および電力用FETQ1(スイッチング手段)のドレイン・ソース導電路とからなる直列回路が接続されている。電力用FETQ1のゲートにはスイッチング制御回路3からの制御信号が入力される。これにより、電力用FETQ1の導通期間が制御され、一次巻線T1にスイッチング電圧が供給される。
トランスTの二次巻線T2の一端には整流手段をなすダイオードD2のアノードが接続されている。また、ダイオードD2のカソードは平滑手段をなす平滑用コンデンサC2の一端に接続され、平滑用コンデンサC2の他端は二次巻線T2の他端に接続されている。平滑用コンデンサC2の両端からは、不図示の負荷に供給するための直流の二次側出力電圧VDCOUTが出力される。
平滑用コンデンサC2には、抵抗R2と抵抗R3を直列に接続してなる電圧検知手段5が並列に接続されている。抵抗R2と抵抗R3の接続点に接続されたフィードバック回路6は、二次側出力電圧VDCOUTの多寡に関する信号をスイッチング制御回路3に出力する。スイッチング制御回路3は、この信号を参照して、二次側出力電圧VDCOUTが一定となるように電力用FETQ1の導通期間を制御する。
図3に示すように、トランスTは、一次巻線T1、二次巻線T2の他に2つの補助巻線T3、T4を有している。補助巻線T3、T4は、トランスTのコアに一次巻線T1と同一の極性で巻回されており、直列に接続されている。また、補助巻線T3の一端は電力用FETQ1のソースに接続されている。なお、以下の説明では、補助巻線T3の2つの端部のうち、電力用FETQ1のソースに接続されている側の端部を「相互接続端」と呼び、その反対側の端部を「非相互接続端」(図3において、●が付されている側の端部)と呼ぶこととする。また、補助巻線T4の2つの端部のうち、補助巻線T3に接続されている側の端部を「相互接続端」と呼び、その反対側の端部を「非相互接続端」(●が付されている側の端部)と呼ぶこととする。
補助巻線T3、T4の誘起電圧に基づいて、スイッチング制御回路3およびアクティブフィルタ制御回路4の電源電圧となる補助電圧を生成する補助電源部7’には、例えば、非特許文献1に記載の定電圧回路8’と、ダイオードD3、D4と、平滑用コンデンサC3、C4が備えられている。
補助電源部7’において、ダイオードD4のアノードは補助巻線T4の非相互接続端に接続され、ダイオードD4のカソードは定電圧回路8’を構成するNPN型トランジスタQ2のコレクタに接続されている。トランジスタQ2のベースは、ツェナーダイオードZDのカソードに接続され、ツェナーダイオードZDのアノードは補助巻線T3の相互接続端に接続されている。トランジスタQ2のコレクタとベースとの間には抵抗R4が接続され、エミッタは順方向に接続されたダイオードD6を介して平滑用コンデンサC3の一端に接続されている。補助巻線T3の非相互接続端も、順方向に接続されたダイオードD3を介して平滑用コンデンサC3の一端に接続され、平滑用コンデンサC3の他端は補助巻線T3の相互接続端に接続されている。また、補助巻線T3の相互接続端とダイオードD4のカソードとの間には平滑用コンデンサC4が接続されている。
平滑用コンデンサC3の両端からは、スイッチング制御回路3およびアクティブフィルタ制御回路4の電源電圧となる補助電圧が出力される。補助電圧は、ダイオードD7を介してスイッチング制御回路3およびアクティブフィルタ制御回路4の電源ラインPに供給される。電源ラインPとダイオードブリッジ回路D1の出力端子との間には、起動抵抗R1が接続されている。また、電源ラインPと補助巻線T3の相互接続端との間にはコンデンサC5が接続されている。
このスイッチング電源装置10では、商用交流電圧VACINの入力が開始されると一次側直流電圧が上昇し、起動抵抗R1を介してコンデンサC5が充電される。そして、電源ラインPの電圧がスイッチング制御回路3およびアクティブフィルタ制御回路4の各起動電圧まで上昇すると、両制御回路はそれぞれ動作を開始し、アクティブフィルタ2および電力用FETQ1を制御し始める。
アクティブフィルタ制御回路4の制御下でアクティブフィルタ2の出力電圧VC1が上昇すると、それに伴って補助巻線T3の誘起電圧をダイオードD3で直流化した電圧と、補助巻線T3および補助巻線T4の誘起電圧の和電圧をダイオードD4で直流化した電圧VC4(=定電圧回路8’の入力電圧)も上昇する。当然ながら、補助巻線T3の誘起電圧をダイオードD3で直流化した電圧は電圧VC4よりも上昇速度が遅いので、起動当初は定電圧回路8’の出力電圧によって平滑用コンデンサC3が充電される。なお、定電圧回路8’の出力電圧は、ツェナーダイオードZDが導通状態となると、それ以上上昇することなく一定電圧に維持される。
その後、アクティブフィルタ2の出力電圧VC1がさらに上昇して、補助巻線T3の誘起電圧をダイオードD3で直流化した電圧が定電圧回路8’の出力電圧よりも高くなると、平滑用コンデンサC3はダイオードD3を通じて充電されるようになる。このとき、定電圧回路8’のトランジスタQ2は、ベース−エミッタ間に十分な順方向電圧が印加されなくなるため、オフ状態となる。
つまり、このスイッチング電源装置10のスイッチング制御回路3およびアクティブフィルタ制御回路4は、起動当初は起動抵抗R1および定電圧回路8’を介して必要な電力が供給されるが、アクティブフィルタ2の出力電圧VC1が十分上昇した後(定常時)は、補助巻線T3の誘起電圧から生成された電圧により電力が供給される。したがって、スイッチング電源装置10によれば、起動抵抗R1および定電圧回路8’による定常時の電力損失を削減することができる。
特開2001−16851号公報
実用電子回路ハンドブック1「トランジスタと組み合わせた定電圧回路」、CQ出版社、1972年9月、p.375、図4
しかしながら、この従来のスイッチング電源装置10では、定常時となってトランジスタQ2がオフ状態となった後も、抵抗R4とツェナーダイオードZDの直列回路に、ツェナーダイオードZDを導通状態とするのに十分な電圧VC4が印加され続けている。このため、定電圧回路8’は定常時においても部分的に動作を続け、抵抗R4とツェナーダイオードZDとによる電力損失が発生し続けているという問題があった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、定常時の電力損失、特に定電圧回路の電力損失を従来よりもさらに低減可能なスイッチング電源装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るスイッチング電源装置は、
(a)外部から入力された交流電圧を整流および平滑して得た一次側直流電圧が供給されるアクティブフィルタと、(b)アクティブフィルタを制御するアクティブフィルタ制御回路と、(c)アクティブフィルタの出力電圧をスイッチングしてスイッチング電圧を生成するスイッチング手段と、(d)スイッチング手段を制御するスイッチング制御回路と、(e)スイッチング電圧が供給される一次巻線と、二次巻線と、該一次巻線と同一極性に巻回された第1および第2補助巻線とを有するトランスと、(f)トランスの二次巻線の誘起電圧を整流および平滑して直流の二次側出力電圧を生成する出力電圧生成手段と、(g)第1および第2補助巻線の誘起電圧に基づいて直流の補助電圧を生成し、該補助電圧を電源電圧としてスイッチング制御回路およびアクティブフィルタ制御回路に供給する補助電源部とを備えたスイッチング電源装置であって、
上記補助電源部は、(i)第1補助巻線の誘起電圧を整流および平滑して第1直流化電圧を生成する第1直流化手段と、(ii)第1および第2補助巻線の誘起電圧の和電圧を整流および平滑して第2直流化電圧を生成する第2直流化手段と、(iii)第2直流化手段の出力側に設けられ、第2直流化電圧を制限して定電圧化することで第3直流化電圧を生成する定電圧化手段と、(iv)第1直流化手段の出力側に設けられ、第1直流化電圧が第3直流化電圧よりも高い所定の閾値電圧を超えると定電圧化手段に流れる電流を停止させる停止手段とを有し、
上記定電圧化手段は、第1ツェナーダイオードを有し、該第1ツェナーダイオードの降伏電圧によって第2直流化電圧を定電圧化して第3直流化電圧を生成するとともに、停止手段によりオン/オフ制御されるスイッチ素子をさらに有し、スイッチ素子がオンされることで第2直流化手段の出力と第1ツェナーダイオードとを導通させる一方、スイッチ素子がオフされることで第2直流化手段の出力と第1ツェナーダイオードとの導通を遮断するよう構成され、
上記停止手段は、第2ツェナーダイオードを有し、該第2ツェナーダイオードの降伏電圧によって所定の閾値電圧が定められるとともに、第2ツェナーダイオードが降伏することでスイッチ素子をオフさせるよう構成され、
第1直流化電圧および第3直流化電圧の大きい方が補助電圧としてスイッチング制御回路およびアクティブフィルタ制御回路に供給されることを特徴とする。
この構成では、起動当初は、第1直流化電圧よりも高く、確実にスイッチング制御回路およびアクティブフィルタ制御回路を動作させることができる第3直流化電圧が補助電圧として両制御回路に供給される。その後、第1直流化電圧が上昇して第3直流化電圧を超えると、第3直流化電圧に代えて第1直流化電圧が補助電圧として両制御回路に供給される。そして、さらに第1直流化電圧が上昇して所定の閾値電圧を超えると、停止手段が、もはや第3直流電圧を生成する必要のない定電圧化手段に流れる電流を停止させる。つまり、この構成によれば、第1直流化電圧が補助電圧として両制御回路に供給される状況において、定電圧化手段で電力損失が発生するのを防ぐことができる。
上記構成における第3直流化電圧は、定電圧化手段が有する第1ツェナーダイオードの降伏電圧によって第2直流化電圧を制限して定電圧化することにより簡易に生成することができる。また、この場合は、定電圧化手段がさらに有するスイッチ素子を停止手段によってオン/オフ制御することで、比較的簡単な構成で第2直流化手段の出力と第1ツェナーダイオードとを導通させたり、該出力と第1ツェナーダイオードとの導通を遮断させたりすることができる。
上記構成における所定の閾値電圧は、停止手段が有する第2ツェナーダイオードの降伏電圧によって簡易に定めることができる。また、この場合は、第2ツェナーダイオードが降伏することで定電圧化手段のスイッチ素子を比較的簡単な構成でオフさせることができる。
本発明によれば、定常時の電力損失を従来よりもさらに低減可能なスイッチング電源装置を提供することができる。
本発明に係るスイッチング電源装置の回路図である。 本発明に係るスイッチング電源装置の各部電圧波形を簡略化したグラフである。 従来のスイッチング電源装置の回路図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係るスイッチング電源装置およびその起動方法の好ましい実施形態について説明する。なお、図1に示されている各構成要素のうち、図3と同一の符号を付した構成要素については従来技術で説明したものと同様なので、ここでは説明を一部省略する。また、以下の説明中の符号VC1、VC3、VC4、VC5は、それぞれ平滑用コンデンサC1、C3、C4、C5の両端の電圧を意味する。また、説明の簡単のために、オン状態となっているバイポーラトランジスタのベース−エミッタ間電圧は1[V]とし、順方向に導通状態となっているダイオードの電圧降下はないものとする。
[スイッチング電源装置の構成]
図1に示すように、本発明に係るスイッチング電源装置1において、トランスTは、一次巻線T1、二次巻線T2の他に第1および第2補助巻線T3、T4を有している。第1および第2補助巻線T3、T4は、トランスTのコアに一次巻線T1と同一の極性で巻回されており、直列に接続されている。また、第1補助巻線T3の一端(相互接続端)は電力用FETQ1のソースに接続されている。
第1および第2補助巻線T3、T4の誘起電圧に基づいて、スイッチング制御回路3およびアクティブフィルタ制御回路4の電源電圧となる補助電圧を生成する補助電源部7には、定電圧回路8と、停止回路9と、ダイオードD3、D4と、平滑用コンデンサC3、C4とが備えられている。
このうち、ダイオードD3および平滑用コンデンサC3は本発明の「第1直流化手段」を構成し、第1補助巻線T3の誘起電圧を整流および平滑して「第1直流化電圧」(=VC3)を生成する。また、ダイオードD4および平滑用コンデンサC4は本発明の「第2直流化手段」を構成し、第1および第2補助巻線T3、T4の誘起電圧の和電圧を整流および平滑して「第2直流化電圧」(=VC4)を生成する。
第2直流化手段の出力側に設けられた定電圧回路8は本発明の「定電圧化手段」を構成し、予め設定された既定電圧を超えないように第2直流化電圧VC4を制限して定電圧化することで「第3直流化電圧」を生成する。また、第1直流化手段の出力側に設けられた停止回路9は本発明の「停止手段」を構成し、第1直流化電圧VC3が所定の閾値電圧を超えると、定電圧回路8に流れる電流を遮断し、定電圧回路8を完全に停止させる。
補助電源部7において、第2直流化手段を構成するダイオードD4のアノードは第2補助巻線T4の非相互接続端に接続され、ダイオードD4のカソードは定電圧回路8を構成するNPN型トランジスタQ2のコレクタに接続されている。トランジスタQ2のベースは、第1ツェナーダイオードZD1のカソードに接続され、第1ツェナーダイオードZD1のアノードは第1補助巻線T3の相互接続端に接続されている。トランジスタQ2のコレクタとベースとの間には、本発明の「スイッチ素子」に相当するPNP型トランジスタQ3と抵抗R4が接続され、エミッタは順方向に接続されたダイオードD6を介して電源ラインP(スイッチング制御回路3およびアクティブフィルタ制御回路4の電源端子に繋がるライン)に接続されている。
第1直流化手段を構成するダイオードD3のアノードは第1補助巻線T3の非相互接続端に接続され、ダイオードD3のカソードは順方向に接続されたダイオードD5を介して電源ラインPに接続されている。また、ダイオードD3のカソードと第1補助巻線T3の相互接続端の間には、第1直流化手段を構成する平滑用コンデンサC3が接続され、ダイオードD4のカソードと第1補助巻線T3の相互接続端の間には、第2直流化手段を構成する平滑用コンデンサC4が接続されている。
停止回路9を構成する第2ツェナーダイオードZD2のカソードはダイオードD3のカソードが接続され、第2ツェナーダイオードZD2のアノードはNPN型トランジスタQ4のベースに接続されている。トランジスタQ4は、エミッタが第1補助巻線T3の非相互接続端に接続され、コレクタが抵抗R5を介してダイオードD3のカソードに接続されるとともにNPN型トランジスタQ5のベースに接続されている。トランジスタQ5は、エミッタが第1補助巻線T3の非相互接続端に接続され、コレクタが定電圧回路8を構成するトランジスタQ3のベースに接続されている。
スイッチング制御回路3およびアクティブフィルタ制御回路4の電源ラインPとダイオードブリッジ回路D1の出力端子との間には、起動抵抗R1が接続されている。また、電源ラインPと第1補助巻線T3の相互接続端(両制御回路の基準電位ラインでもある)との間には、コンデンサC5が接続されている。このコンデンサC5は、起動当初は、起動抵抗R1を介して入力される一次側直流電圧、およびダイオードD6を介して入力される第3直流化電圧によって充電され、その後、第1直流化電圧VC3が第3直流化電圧よりも高くなると、ダイオードD5を介して入力される第1直流化電圧VC3によって充電される。
本実施形態に係るスイッチング電源装置1では、第3直流化電圧を第1ツェナーダイオードZD1の降伏電圧により任意の電圧値に設定することができる。例えば、第3直流化電圧を14[V]に設定する場合は、トランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧を考慮して、降伏電圧15[V]の第1ツェナーダイオードZD1を使用すればよい。
また、本実施形態に係るスイッチング電源装置1では、停止回路9が定電圧回路8に流れる電流を停止させる所定の閾値電圧を第2ツェナーダイオードZD2の降伏電圧により任意の電圧値に設定することができる。例えば、閾値電圧を18[V]に設定する場合は、トランジスタQ4のベース−エミッタ間電圧VBE4を考慮して、降伏電圧17[V]の第2ツェナーダイオードZD2を使用すればよい。ただし、定電圧回路8から出力される第3直流化電圧が補助電圧として両制御回路に供給されている最中に定電圧回路8を停止させると、両制御回路の動作に支障をきたすので、閾値電圧は第3直流化電圧よりも高めに設定しなければならない。
[スイッチング電源装置の起動時の動作]
次に、図1および図2を参照して、本発明に係るスイッチング電源装置1の起動時の動作について具体的に説明する。なお、図2は、下記条件の下でスイッチング電源装置1を起動させた場合の各部電圧波形の一例であって、条件が異なれば異なった電圧波形となることは言うまでもない。
・商用交流電圧VACIN=AC90[V]
・トランスTの巻数比T1:T3:T4=44:2:7
・スイッチング制御回路3の起動電圧=16[V]
・アクティブフィルタ制御回路4の起動電圧=13[V]
・第1ツェナーダイオードZD1の降伏電圧=15[V]
・第2ツェナーダイオードZD2の降伏電圧=17[V]
・アクティブフィルタ2の設定電圧=370[V](≒264[V]×√2)
図2に示すように、時間t0において商用交流電圧VACINの入力が開始され、一次側直流電圧が上昇すると、起動抵抗R1を通ってダイオードブリッジ回路D1の出力端子から電源ラインPに電流が流れる。そして、この電流によってコンデンサC5が充電され、電源ラインPの電圧が上昇し、アクティブフィルタ制御回路4およびスイッチング制御回路3が順次起動する。
スイッチング制御回路3が起動し、スイッチング制御回路3による電力用FETQ1の制御が始まると、第1および第2補助巻線T3、T4に誘起電圧が発生して第2直流化電圧VC4が上昇し、トランジスタQ2がオン状態となる。そして、第2直流化電圧VC4がさらに上昇し、時間t1において15[V]になると、図2(D)に示すように、第3直流化電圧はそれ以上上昇することなく14[V]で一定となる。
時間t1以降も、第1直流化電圧VC3は上昇を続ける。そして、時間t2を過ぎて、第1直流化電圧VC3が第3直流化電圧(=14[V])を超えると、補助電源部7は、第3直流化電圧に代えて第1直流化電圧VC3を補助電圧として出力するようになる。すなわち、定電圧回路8から出力される第3直流化電圧は使用されなくなる。
なお、時間t2を過ぎると、トランジスタQ2のベースとダイオードD6のカソードとの間には、トランジスタQ2およびダイオードD6をオン状態(導通状態)とするための十分な順方向電圧が印加されないので、トランジスタQ2およびダイオードD6は、その一方または双方がオフ状態(非導通状態)となる。一方、抵抗R4と第1ツェナーダイオードZD1の直列回路には、トランジスタQ3を介して第2直流化電圧VC4が印加され続けているので、時間t2を過ぎた後も定電圧回路8に部分的に電流が流れ続ける。
その後、時間t3となり、第1直流化電圧VC3が18[V]になると、第2ツェナーダイオードZD2が導通状態となるとともに、トランジスタQ4のベース−エミッタ間電圧VBE4が1[V]となり、トランジスタQ4がオン状態となる(図2(F)参照)。そして、これをきっかけとして、トランジスタQ5がオフ状態となり、トランジスタQ3がオフ状態となる。トランジスタQ3がオフ状態となると、抵抗R4と第1ツェナーダイオードZD1の直列回路に第2直流化電圧VC4が印加されなくなり、定電圧回路8は完全に停止する。したがって、時間t3を過ぎた後(定常時)に、抵抗R4および第1ツェナーダイオードZD1により電力損失が発生することはない。
なお、本実施形態では、定常時においても、新たに設けた第2ツェナーダイオードZD2に電流が流れ続けることになる。しかしながら、第2ツェナーダイオードZD2に流れるのはトランジスタQ4のベース電流であり、図3に示す従来回路においてツェナーダイオードZDに流れる電流に比べて非常に小さい。したがって、第2ツェナーダイオードZD2による電力損失を考慮したとしても、本実施形態に係るスイッチング電源装置1によれば、従来のスイッチング電源装置10に比べて、定常時の電力損失を低減することができる。
以上、本発明に係るスイッチング電源装置の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
例えば、定電圧回路8は、以下の条件を満たす他の定電圧回路に置き換えることができる。
条件1:入力電圧が既定電圧(例えば、第1ツェナーダイオードZD1の降伏電圧)を超えるまでは、入力電圧にほぼ等しい出力電圧を出力する。
条件2:入力電圧が既定電圧を超えると、入力電圧の如何に拘わらず、既定電圧にほぼ等しい出力電圧を出力する。
また、停止回路9は、第1直流化電圧VC3が所定の閾値電圧を超えているか否かを判定するとともに、その判定結果に応じて、定電圧回路8を動作させたり、停止させたりできる他の回路に置き換えることができる。
1 スイッチング電源装置
2 アクティブフィルタ
3 スイッチング制御回路
4 アクティブフィルタ制御回路
5 電圧検知手段
6 フィードバック回路
7 補助電源部
8 定電圧回路(定電圧化手段)
9 停止回路(停止手段)
1 ダイオードブリッジ回路
1 電力用FET(スイッチング手段)
1 起動抵抗
T トランス
1 一次巻線
2 二次巻線
3 第1補助巻線
4 第2補助巻線
ZD1 第1ツェナーダイオード
ZD2 第2ツェナーダイオード

Claims (1)

  1. 外部から入力された交流電圧を整流および平滑して得た一次側直流電圧が供給されるアクティブフィルタと、前記アクティブフィルタを制御するアクティブフィルタ制御回路と、前記アクティブフィルタの出力電圧をスイッチングしてスイッチング電圧を生成するスイッチング手段と、前記スイッチング手段を制御するスイッチング制御回路と、前記スイッチング電圧が供給される一次巻線と、二次巻線と、前記一次巻線と同一極性に巻回された第1および第2補助巻線とを有するトランスと、前記トランスの二次巻線の誘起電圧を整流および平滑して直流の二次側出力電圧を生成する出力電圧生成手段と、前記第1および第2補助巻線の誘起電圧に基づいて直流の補助電圧を生成し、該補助電圧を電源電圧として前記スイッチング制御回路および前記アクティブフィルタ制御回路に供給する補助電源部とを備えたスイッチング電源装置であって、
    前記補助電源部は、
    前記第1補助巻線の誘起電圧を整流および平滑して第1直流化電圧を生成する第1直流化手段と、
    前記第1および第2補助巻線の誘起電圧の和電圧を整流および平滑して第2直流化電圧を生成する第2直流化手段と、
    前記第2直流化手段の出力側に設けられ、前記第2直流化電圧を制限して定電圧化することで第3直流化電圧を生成する定電圧化手段と、
    前記第1直流化手段の出力側に設けられ、前記第1直流化電圧が前記第3直流化電圧よりも高い所定の閾値電圧を超えると前記定電圧化手段に流れる電流を停止させる停止手段と、を有し、
    前記定電圧化手段は、
    第1ツェナーダイオードを有し、該第1ツェナーダイオードの降伏電圧によって前記第2直流化電圧を定電圧化して前記第3直流化電圧を生成するとともに、
    前記停止手段によりオン/オフ制御されるスイッチ素子をさらに有し、前記スイッチ素子がオンされることで前記第2直流化手段の出力と前記第1ツェナーダイオードとを導通させる一方、前記スイッチ素子がオフされることで前記第2直流化手段の出力と前記第1ツェナーダイオードとの導通を遮断するよう構成され、
    前記停止手段は、
    第2ツェナーダイオードを有し、該第2ツェナーダイオードの降伏電圧によって前記所定の閾値電圧が定められるとともに、前記第2ツェナーダイオードが降伏することで前記スイッチ素子をオフさせるよう構成され、
    前記第1直流化電圧および前記第3直流化電圧の大きい方が前記補助電圧として前記スイッチング制御回路および前記アクティブフィルタ制御回路に供給されることを特徴とするスイッチング電源装置。
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