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JP5421843B2 - 発光装置 - Google Patents

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JP5421843B2
JP5421843B2 JP2010093254A JP2010093254A JP5421843B2 JP 5421843 B2 JP5421843 B2 JP 5421843B2 JP 2010093254 A JP2010093254 A JP 2010093254A JP 2010093254 A JP2010093254 A JP 2010093254A JP 5421843 B2 JP5421843 B2 JP 5421843B2
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Description

本発明は、発光装置に関するものである。
従来から、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略称する)を利用した発光装置が各所で研究開発されている。
有機EL素子としては、例えば、透光性基板(透明基板)の一表面側に、陽極となる透明電極、ホール輸送層、発光層(有機発光層)、電子注入層、陰極となる電極の積層構造を備えたものが知られている。この種の有機EL素子では、陽極と陰極との間に電圧を印加することによって発光層で発光した光が、透明電極および透光性基板を通して取り出される。
有機EL素子は、自発光型の発光素子であること、比較的高効率の発光特性を示すこと、各種の色調で発光可能であること、などの特徴を有するものであり、表示装置(例えば、フラットパネルディスプレイなどの発光体など)や、光源(例えば、液晶表示機器のバックライトや照明光源など)としての適用が期待されており、一部では既に実用化されている。
しかし、これらの用途に有機EL素子を応用展開するために、より高効率・長寿命・高輝度の有機EL素子の開発が望まれている。
ここにおいて、有機EL素子を用いた発光装置の長寿命化を図るために、図3に示す構成の発光装置が提案されている(特許文献1)。図4に示す構成の発光装置は、第1のガラス基板からなる透光性基板120と、透光性基板120の一表面側に形成された有機EL素子10と、透光性基板120の上記一表面側で有機EL素子10を被覆した光硬化性樹脂封止層107と、第2のガラス基板を用いて形成され透光性基板120との対向面に凹部131を有する封止キャップ130とを備えている。ここで、図3に示す構成の発光装置は、透光性基板120の上記一表面側に、封止キャップ130における凹部131の周部を、熱硬化性樹脂接着層109を介して接着してある。
しかしながら、図3に示した構成の発光装置では、封止キャップ130を透光性基板120に対して熱硬化性樹脂接着層109により接着しているので、気密性が不十分であり、外部から侵入する水分や酸素の影響で寿命が短くなってしまう。図3に示した構成の発光装置において、封止キャップ130の凹部131の内底面に、水分を捕捉して除去する吸湿シートを積層したものも提案されているが、外部からの水分や酸素が有機EL素子へ到達するのをより確実に防止することが可能な発光装置の開発が望まれている。
また、従来から、図4に示すように、複数個の有機EL素子10をガラスパッケージ200内に設けた有機ELディスプレイが提案されている(特許文献2)。このガラスパッケージ200は、一表面側に有機EL素子10が形成された第1のガラス基板220と、第1のガラス基板220の上記一表面側に対向配置された第2のガラス基板230との間に配置したフリット240aを溶融させることにより両ガラス基板220,230を接合する気密シール240を形成してある。ここで、特許文献2では、レーザ光や赤外線によりフリット240を溶融させるために、フリット240aとして、少なくとも1種類の遷移金属がドープされたガラスから製造されたものを用いるようにしている。
特開2008−34142号公報 特表2006−524419号公報
しかしながら、特許文献2に開示されたものでは、フリット240aをレーザ光や赤外線で溶融させるので、第1のガラス基板200と第2のガラス基板230との間の所定ギャップ長が長くなるほど(0.3mm以上になると)、所定ギャップ長を確保できなくなる懸念がある。また、フリット240aをレーザ光や赤外線で溶融させる際に、加熱された部分のみが液化するので、第1のガラス基板200と第2のガラス基板230との距離を一定に保つことが難しく、接合信頼性が低下してしまう懸念がある。特に、特許文献2に開示されたガラスパッケージ200の製造方法を、有機EL素子を用いた発光装置の製造方法に適用し、発光装置の発光部の大面積化を図る場合、接合信頼性が低下してしまう。
また、図4の構成の発光装置において、熱硬化性樹脂接着層109の代わりにガラスフリットを用いることも考えられるが、封止キャップ130として第2のガラス基板に凹部131を形成したものを用いる必要があり、しかも、平面サイズの異なる発光装置ごとに凹部131の開口面積の異なる封止キャップ130を用意する必要があるとともに、所定ギャップ長の異なる発光装置ごとに凹部131の深さ寸法の異なる封止キャップ130を用意する必要があり、コストが高くなってしまう。
また、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間にガラス製の枠状のスペーサを介在させて、スペーサと各ガラス基板とをガラスフリットにより接合することも考えられるが、専用のスペーサが必要であり、コストが高くなってしまう。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、低コストで気密性の向上を図れ、且つ、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間の所定ギャップ長を確保することが可能な発光装置を提供することにある。
本発明の発光装置は、平板状の第1のガラス基板と、前記第1のガラス基板の一表面側で前記第1のガラス基板に対向する平板状の第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを接合し前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との距離を所定ギャップ長に保つ枠状の接合部と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板と前記接合部とで構成されるパッケージに収納された有機EL素子ユニットとを備え、前記接合部は、導電性材料を用いて形成され前記所定ギャップ長に対応する直径の球状のスペーサが混合された低融点ガラスからなり、前記スペーサは、前記導電性材料により形成された球状のコアと、無機材料により形成され前記コアの表面を被覆した絶縁膜とで構成されてなることを特徴とする。
この発光装置において、前記有機EL素子ユニットは、厚み方向に離間した一対の電極間に発光層を有する有機EL素子および前記有機EL素子の前記各電極それぞれに電気的に接続された配線層が透明なプラスチックフィルムの一表面側に形成されてなり、前記有機EL素子ユニットの前記プラスチックフィルムの前記他表面側には、前記有機EL素子から放射された光の前記他表面での反射を抑制する凹凸構造部が設けられ、前記凹凸構造部の表面と前記第1のガラス基板との間に空間が存在することが好ましい。
本発明の発光装置においては、低コストで気密性の向上を図れ、且つ、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間の所定ギャップ長を確保することが可能となる。
実施形態の発光装置の概略断面図である。 同上の発光装置の他の構成例を示す概略断面図である。 従来例を示す発光装置の概略断面図である。 他の従来例の有機ELディスプレイの基本構成を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。
以下、本実施形態の発光装置について、図1を参照しながら説明する。
本実施形態の発光装置は、有機EL素子ユニット15と、この有機EL素子ユニット15を収納した気密なパッケージ1とを備えている。
パッケージ1は、平板状の第1のガラス基板20と、第1のガラス基板20の一表面側で第1のガラス基板20に対向する平板状の第2のガラス基板30と、第1のガラス基板20と第2のガラス基板30とを接合し第1のガラス基板20と第2のガラス基板30との距離を所定ギャップ長に保つ枠状の接合部(以下、第1の接合部と称する)40とで構成されている。ここにおいて、上述の有機EL素子ユニット10は、パッケージ1に、第1の第1の接合部40から離れて収納されている。
有機EL素子ユニット15は、有機EL素子10および有機EL素子10の陽極12、陰極14それぞれに電気的に接続された配線層12a,14aが透明なプラスチックフィルム11の一表面側に形成されている。なお、本実施形態では、有機EL素子10において有機EL層13を挟む陽極12と陰極14とが、厚み方向に離間した一対の電極を構成している。
上述のパッケージ1は、第1のガラス基板20が、プラスチックフィルム11の他表面側に対向配置され有機EL素子ユニット15に対向している。この第1のガラス基板20は、有機EL素子ユニット15に対向する上記一表面側の周部に、各配線層12a,14aそれぞれに電気的に接続される複数の外部接続用の導体パターン112,114が形成されている。各配線層12a,14aと各導体パターン112,114とは、それぞれ、ボンディングワイヤからなる接続部122,124を介して電気的に接続されている。ボンディングワイヤとしては、金線、アルミニウム線などの金属線を用いればよい。また、接続部122,124は、ボンディングワイヤに限らず、例えば、導電性ペースト(例えば、銀ペーストなど)や、金属膜などにより構成してもよい。
また、パッケージ1の第2のガラス基板30は、第1のガラス基板20の上記一表面側で有機EL素子ユニット15よりも離れて配置され、第1のガラス基板20に対向している。
また、発光装置は、各導体パターン122,124それぞれの一部が、第1の接合部40よりも外側にあり、第1の接合部40が、第1のガラス基板20および第2のガラス基板30それぞれに全周に亘って接合されている。なお、本実施形態では、第1の接合部40が有機EL素子ユニット15を囲む枠状に形成されている。
また、発光装置は、有機EL素子ユニット1と第1のガラス基板20と接合部40と第2のガラス基板30とで囲まれた空間90に、不活性ガス(例えば、ドライ窒素ガス、アルゴンガスなど)を封入してある。なお、この空間90に、不活性ガスに比べて熱伝導率の高い液体(例えば、シリコーンオイル、パラフィンオイルなど)を封入してもよい。
また、有機EL素子ユニット15は、プラスチックフィルム11の上記他表面側に設けられ有機EL素子10から放射された光の上記他表面での反射を抑制する凹凸構造部50を備えている。この有機EL素子ユニット15は、プラスチックフィルム11の上記他表面の周部を全周に亘って第1のガラス基板20と接合してある。しかして、凹凸構造部50の表面と第1のガラス基板20との間には、空間70が存在している。ここにおいて、有機EL素子ユニット15と第1のガラス基板20とを接合する枠状の接合部(以下、第2の接合部と称する)60は、例えば、接着用フィルム、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、接着剤(例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)などにより構成すればよい。なお、有機EL素子ユニット15は、平面視において陽極12と有機EL層13と陰極14とが重複する領域が発光部となり、それ以外の領域が非発光部となる。また、有機EL素子ユニット15において第1のガラス基板20側に形成される空間70と、有機EL素子ユニット15において第2のガラス基板30側に形成される空間90とで互いの圧力を揃えることにより、両者の圧力差に起因した有機EL素子ユニット15の反りを防止することができる。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
有機EL素子10は、陽極12と陰極14との間に介在する有機EL層13が、陽極12側から順に、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を備えている。ここにおいて、有機EL素子11は、陽極12をプラスチックフィルム11の上記一表面側に積層してあり、陽極12におけるプラスチックフィルム11側とは反対側で、陰極14が陽極12に対向している。なお、陽極12と陰極14との位置関係は逆でもよい。
本実施形態における有機EL素子ユニット15では、有機EL素子10の陽極12を透明電極により構成するとともに陰極14を発光層からの光を反射する電極により構成してあり、プラスチックフィルム11の上記他表面側から光を取り出すようになっている。
上述の有機EL層13の積層構造は、上述の例に限らず、例えば、発光層の単層構造や、ホール輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造や、ホール輸送層と発光層との積層構造や、発光層と電子輸送層との積層構造などでもよい。また、陽極とホール輸送層との間にホール注入層を介在させてもよい。また、発光層は、単層構造でも多層構造でもよく、例えば、所望の発光色が白色の場合には、発光層中に赤色、緑色、青色の3種類のドーパント色素をドーピングするようにしてもよいし、青色正孔輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよいし、青色電子輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよい。また、陽極12と陰極14とで挟んで電圧を印加すれば発光する機能を有する有機EL層13を1つの発光ユニットとして、複数の発光ユニットを光透過性および導電性を有する中間層を介して積層して電気的に直列接続したマルチユニット構造(つまり、1つの陽極12と1つの陰極14との間に、厚み方向に重なる複数の発光ユニットを備えた構造)を採用してもよい。
陽極12は、発光層中にホールを注入するための電極であり、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように仕事関数が4eV以上6eV以下のものを用いるのが好ましい。陽極12の電極材料としては、例えば、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛、IZO、ヨウ化銅など、PEDOT、ポリアニリンなどの導電性高分子および任意のアクセプタなどでドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料を挙げることができる。ここにおいて、陽極12は、プラスチックフィルム11の上記一表面側に、スパッタ法、真空蒸着法、塗布法などによって薄膜として形成すればよい。
なお、有機EL素子10全体を面状に且つ均一に発光させるためには、陽極12の電位の面内均一性を高める必要がある。そのため、陽極12のシート抵抗は数百Ω/□以下とすることが好ましく、特に好ましくは100Ω/□以下がよい。ここで、陽極12の膜厚は、陽極12の光透過率、シート抵抗などにより異なるが、500nm以下、好ましくは10nm〜200nmの範囲で設定するのがよい。
陽極12を導電性の光透過性材料のみで形成する場合、シート抵抗を下げるのには限界があるため、陽極12内に、抵抗率の低い配線層12aを局所的に入れるようにしてもよい。
また、陰極14は、発光層中に電子を注入するための電極であり、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように仕事関数が1.9eV以上5eV以下のものを用いるのが好ましい。陰極14の電極材料としては、例えば、アルミニウム、銀、マグネシウムなど、およびこれらと他の金属との合金、例えばマグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金を例として挙げることができる。また、金属の導電材料、金属酸化物など、およびこれらと他の金属との混合物、例えば、酸化アルミニウムからなる極薄膜(ここでは、トンネル注入により電子を流すことが可能な1nm以下の薄膜)とアルミニウムからなる薄膜との積層膜なども使用可能である。また、陰極14側から光を取り出す場合には、例えば、ITO、IZOなどを採用すればよい。
発光層の材料としては、有機EL素子用の材料として知られる任意の材料が使用可能である。例えばアントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ジスチリルアミン誘導体および各種蛍光色素など、上述の材料系およびその誘導体を始めとするものが挙げられるが、これらに限定するものではない。また、これらの化合物のうちから選択される発光材料を適宜混合して用いることも好ましい。また、上記化合物に代表される蛍光発光を生じる化合物のみならず、スピン多重項からの発光を示す材料系、例えば燐光発光を生じる燐光発光材料、およびそれらからなる部位を分子内の一部に有する化合物も好適に用いることができる。また、これらの材料からなる発光層は、蒸着法、転写法などの乾式プロセスによって成膜しても良いし、スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法など、湿式プロセスによって成膜するものであってもよい。
上述のホール注入層に用いられる材料は、ホール注入性の有機材料、金属酸化物、いわゆるアクセプタ系の有機材料あるいは無機材料、p−ドープ層などを用いて形成することができる。ホール注入性の有機材料とは、ホール輸送性を有し、また仕事関数が5.0〜6.0eV程度であり、陽極12との強固な密着性を示す材料などがその例であり、例えば、CuPc、スターバーストアミンなどがその例である。また、ホール注入性の金属酸化物とは、例えば、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、亜鉛、インジウム、スズ、ガリウム、チタン、アルミニウムのいずれかを含有する金属酸化物である。また、1種の金属のみの酸化物ではなく、例えばインジウムとスズ、インジウムと亜鉛、アルミニウムとガリウム、ガリウムと亜鉛、チタンとニオブなど、上記のいずれかの金属を含有する複数の金属の酸化物であっても良い。また、これらの材料からなるホール注入層は、蒸着法、転写法などの乾式プロセスによって成膜しても良いし、スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法などの湿式プロセスによって成膜するものであってもよい。
また、ホール輸送層に用いる材料は、例えば、ホール輸送性を有する化合物の群から選定することができる。この種の化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、TNBなどを代表例とする、アリールアミン系化合物、カルバゾール基を含むアミン化合物、フルオレン誘導体を含むアミン化合物などを挙げることができるが、一般に知られる任意のホール輸送材料を用いることが可能である。
また、電子輸送層に用いる材料は、電子輸送性を有する化合物の群から選定することができる。この種の化合物としては、Alq等の電子輸送性材料として知られる金属錯体や、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、テトラジン誘導体、オキサジアゾール誘導体などのヘテロ環を有する化合物などが挙げられるが、この限りではなく、一般に知られる任意の電子輸送材料を用いることが可能である。
また、電子注入層の材料は、例えば、フッ化リチウムやフッ化マグネシウムなどの金属フッ化物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムなどに代表される金属塩化物などの金属ハロゲン化物や、アルミニウム、コバルト、ジルコニウム、チタン、バナジウム、ニオブ、クロム、タンタル、タングステン、マンガン、モリブデン、ルテニウム、鉄、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、シリコンなどの各種金属の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物など、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、窒化アルミニウム、窒化シリコン、炭化シリコン、酸窒化シリコン、窒化ホウ素などの絶縁物となるものや、SiOやSiOなどをはじめとする珪素化合物、炭素化合物などから任意に選択して用いることができる。これらの材料は、真空蒸着法やスパッタ法などにより形成することで薄膜状に形成することができる。
プラスチックフィルム11のプラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)を採用しているが、PETに限らず、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)などを採用してもよく、所望の用途や、屈折率、耐熱温度などに応じて適宜選択すればよい。なお、PETは、非常に安価で安全性の高いプラスチック材料である。また、PENは、PETと比べて、屈折率が高く耐熱性も良好であるが、高価である。
上述のプラスチックフィルム11は、無アルカリガラス基板やソーダライムガラス基板などの安価なガラス基板に比べて安価であり、且つ、当該ガラス基板よりも屈折率が大きく、有機EL素子10の発光層および陽極12との屈折率差を小さくすることができる。したがって、有機EL素子ユニット15の光取り出し効率を向上できる。
また、有機EL素子10をプラスチックフィルム11ではなく、ガラス基板に形成することも考えられるが、ガラス基板に有機EL素子10を形成する場合には、当該ガラス基板において有機EL素子10を形成する表面の表面粗さが小さくなるように高精度に研磨された素子形成用のガラス基板を用意する必要があり、コストが高くなる。なお、プラスチックフィルム11の上記一表面の表面粗さについては、JIS B 0601−2001(ISO 4287−1997)で規定されている算術平均粗さRaを、数nm以下にすることが好ましい。ここにおいて、プラスチックフィルム11は、特に高精度な研磨を行わなくても、上記一表面の算術平均粗さRaが数nm以下のものを低コストで得ることができる。
プラスチックフィルム11は、平面視形状が矩形状に形成されている。そして、有機EL素子ユニット15は、プラスチックフィルム11の上記一表面側において、陽極12に電気的に接続された配線層(以下、第1の配線層と称する)12aおよび陰極14に電気的に接続された配線層(以下、第2の配線層と称する)14aが形成されている。なお、プラスチックフィルム11の平面視形状は、矩形状としてあるが、これに限らず、例えば、円形状、三角形状、五角形状、六角形状などでもよい。
有機EL素子ユニット15は、第1の配線層12aの材料を陽極12と同じ材料とし、第1の配線層12aを陽極12と同時に形成してある。しかして、異種材料により別々に形成する場合に比べて、製造プロセスの簡略化、材料コストの低減などによる低コスト化を図れる。第1の配線層12aの材料として、アルミニウム、金、銀などの抵抗率の低い金属を採用する場合には、この第1の配線層12aのパターンを適宜設定して、例えば、一部が陽極12内に入るようにすることで、陽極12の電位の面内分布の均一化を補助することができる。また、第2の配線層14aの材料を陰極14と同じ材料としてあり、第2の配線層14aを陰極14と同時に形成してある。しかして、異種材料により別々に形成する場合に比べて、製造プロセスの簡略化、材料コストの低減などによる低コスト化を図れる。また、各配線層12a,14aは、単層構造に限らず、多層構造でもよい。
第1のガラス基板20としては、無アルカリガラス基板を用いているが、これに限らず、例えば、青ソーダガラス基板などを用いてもよい。
また、第1のガラス基板20は、上記一表面側に、陽極12に対応付けられた導体パターン112と、陰極14に対応付けられた導体パターン114が同一材料により同一厚さで形成されている。
第1のガラス基板20は、平面視形状を矩形状としてあるが、矩形状に限らず、これに限らず、例えば、有機EL素子ユニット15の平面形状に応じて適宜変更してもよく、円形状、三角形状、五角形状、六角形状などでもよい。
第1のガラス基板20の平面サイズは、有機EL素子ユニット15の平面サイズよりも大きなサイズに設定してあり、各導体パターン112,114を、有機EL素子ユニット15の投影領域の外側に配置してある。ここで、各導体パターン112,114は、平面視において第1の接合部40と交差しており、第1の接合部40の一部は各導体パターン112,114と接合されている。各導体パターン112,114は、スパッタ法や蒸着法などのドライプロセスで成膜することが好ましい。なお、各導体パターン112,114の平面視形状は特に限定するものではない。
第2の接合部60は、上述のように、接着用フィルム、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、接着剤(例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)などにより構成すればよい。したがって、発光装置の製造時には、第1のガラス基板20と有機EL素子ユニット15とを重ね合わせる前に、第1のガラス基板20における第2の接合部60の配置予定領域に上述の接着用フィルムを配置したり、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、接着剤などの樹脂をディスペンサ(例えば、ディスペンサロボット)などにより塗布しておけばよい。第2の接合部60と第1のガラス基板20および有機EL素子ユニット15との接合時には、部分加熱や紫外線照射が有効である。
また、接続部122,124については、ボンディングワイヤにより構成する場合には、ワイヤボンディング装置を用いて形成すればよい。ワイヤボンディング法としては、有機EL素子ユニット15に熱ダメージを与えないように、超音波ワイヤボンディング法を採用することが好ましい。特に、第1の配線層12aをアルミニウム、金、銀、クロム、モリブデンなどで形成した場合、この第1の配線層12aを、超音波ワイヤボンディング用のパッドとして好適に用いることができる。また、導電性ペーストを用いて形成する場合には、導電性ペーストをディスペンサ(例えば、ディスペンサロボット)などにより供給し、その後、適宜、紫外線照射やレーザ光による局所加熱などを行えばよい。ホットプレートなどで全体加熱を行う場合は、例えば、80℃以下の低温で硬化するタイプの導電性ペーストを用いることができる。導電性ペーストは、導電フィラーとバインダーとからなる。導電フィラーとしては、金粉、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミニウム粉、メッキ粉、カーボン粉、グラファイト粉、半田粒子などを用いることができる。バインダーとしては、エポキシ樹脂、ウレタン、シリコーン、アクリル、ポリイミド、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの有機バインダーを用いることができる。ここにおいて、バインダーからの出ガスによる有機EL素子10の劣化を防ぐために、無溶剤型のバインダーを用いることが望ましい。
第2のガラス基板30としては、無アルカリガラス基板を用いているが、これに限らず、例えば、青ソーダガラス基板などを用いてもよい。ただし、第2のガラス基板30としては、第1のガラス基板20と熱膨張係数が同じ材料により形成されたものが好ましい。
第2のガラス基板30は、平面視形状を矩形状としてあるが、矩形状に限らず、これに限らず、例えば、有機EL素子ユニット15や第1のガラス基板20の平面形状に応じて適宜変更してもよく、円形状、三角形状、五角形状、六角形状などでもよい。なお、第1の接合部40は、第2のガラス基板30の外周縁に沿った枠状に形成することが好ましく、本実施形態では、矩形枠状に形成してある。なお、第2のガラス基板30と有機EL素子ユニット15とで平面視形状が相違する場合には、いずれか一方の外周線に沿った形状としてもよい。
第2のガラス基板30の平面サイズは、有機EL素子ユニット15の平面サイズよりも大きく且つ第1のガラス基板20の平面サイズよりも小さなサイズに設定してある。したがって、第1のガラス基板20の上記一表面側から見て第1のガラス基板20の各導体パターン112,114のうち第1の接合部40の外側の部分(つまり、外部接続用電極となる部分)を視認できるようになっている。
第1の接合部40は、導電性材料を用いて形成され上記所定ギャップ長に対応する直径の球状のスペーサ41が混合された低融点ガラス42により構成されている。ここにおいて、低融点ガラス42は、各ガラス基板20,30との熱膨張係数差が小さく且つ融点の低いものが好ましく、鉛フリーの低融点ガラス(無鉛低融点ガラス)がより好ましい。また、導電性材料としては、例えば、炭素鋼、ステンレス、銅、ニッケルなどの金属材料を採用することができるが、低融点ガラス42との熱膨張係数差の小さいコバールなどを採用することが好ましい。また、スペーサ41の直径は、上記所定ギャップ長に応じて設定すればよく、例えば、100μm〜500μm程度の範囲で、上記所定ギャップ長と同じ値に設定すればよい。
上述の説明から分かるように、発光装置は、第1のガラス基板20と第2のガラス基板30と第1の接合部40との熱膨張係数を揃えてある。ここにおいて、熱膨張係数を揃えるとは、完全に一致させることに限らず、略同一であることを意味し、熱膨張係数差ができるだけ小さくなるように材料を選択することを趣旨としている。
また、本実施形態の発光装置のように第1の接合部40が、パッケージ1における複数の配線パターン(ここでは、第1のガラス基板20の上記一表面側に形成されている導体パターン112,114)に接触する場合には、スペーサ41を、上述の導電性材料により形成された球状のコア41aと、無機材料により形成されコア41aの表面を被覆した絶縁膜41bとで構成することにより、配線パターン間(ここでは、導体パターン112,114間)の短絡を防止することができる。絶縁膜41bの無機材料としては、例えば、Al、Si、SiOや、上述の導電性材料の酸化物もしくは窒化物などを採用すればよい。また、絶縁膜41bの材料としてAl、Si、SiOなどを採用する場合、絶縁膜41bは、例えば、CVD法や塗装などによりコア41aの表面に形成すればよい。また、絶縁膜41bの材料として、上述の導電性材料の酸化物もしくは窒化物などを採用する場合には、絶縁膜41bは、例えば、コア41aの表面側を酸化もしくは窒化することで絶縁膜41bを形成すればよく、コア41aを酸素雰囲気中もしくは窒素雰囲気中で加熱する方法や、酸素プラズマもしくは窒素プラズマを照射する方法などにより形成すればよい。
コア41aの直径は、100μm〜500μm程度の範囲で適宜設定すればよく、絶縁膜41bの膜厚は、コア41aの直径に比べて十分に小さく且つ絶縁性を確保できる値に設定することが好ましく、例えば、1μm〜10μm程度の範囲で適宜設定すればよい。
また、スペーサ41を導電性材料のみにより形成するようにして、パッケージ1の配線パターンのうち第1の接合部40と重なる部位に、当該部位と第1の接合部40との間に介在する無機材料からなる絶縁薄膜を形成してもよい。なお、この場合の絶縁薄膜は、例えば、CVD法、スパッタ法などにより形成すればよい。
本実施形態の発光装置は、第1の接合部40の材料として低融点ガラス42を利用しているので、第1の接合部40の材料としてエポキシ樹脂などの樹脂を採用する場合に比べて気密性を高めることができる。また、第1の接合部40が球状のスペーサ41を備えているので、スペーサ41同士が重なり合うのを防止することができ、第1のガラス基板20と第2のガラス基板30との間の距離を上記所定ギャップ長に保つことが可能となる。
また、発光装置は、有機EL素子ユニット15が凹凸構造部50を備え、凹凸構造部50と第1のガラス基板20との間に空間70が存在しているので、有機EL素子10から放射され第1のガラス基板20まで到達した光の反射ロスを低減でき、光取り出し効率の向上を図れる。
ここにおいて、有機EL素子10の発光層およびプラスチックフィルム11それぞれの屈折率は、光が取り出される外部雰囲気である空気や不活性ガスの屈折率に比べて大きい。したがって、上述の凹凸構造部50が設けられずにプラスチックフィルム11と第1のガラス基板20との間の空間が空気雰囲気や不活性ガス雰囲気となっている場合には、プラスチックフィルム11からなる第1の媒質と空気もしくは不活性ガスからなる第2の媒質との界面で全反射が生じ、全反射角以上の角度で当該界面に入射する光は反射される。そして、第1の媒質と第2の媒質との界面で反射された光が有機EL層13またはプラスチックフィルム11内部において多重反射し、外部に取り出されずに減衰するので、光取出し効率が低下する。また、第1の媒質と第2の媒質との界面に全反射角未満の角度で入射した光についても、フレネル反射が発生するため、さらに光取り出し効率が低下する。
これに対して、本実施形態における発光装置では、プラスチックフィルム11の上記他表面側に凹凸構造部50を設けてあるので、有機EL素子ユニット15の外部への光取り出し効率を向上させることができる。
凹凸構造部50は、多数の突起51がプラスチックフィルム11の上記一表面に平行な2次元面内で周期的に配列された2次元周期構造を有している。図1に示した例では、突起51を四角錐状の形状としてあるが、突起51の形状は、四角錐状以外の錐状(例えば、三角錐状、六角錐状、円錐状など)でもよいし、半球状でもよいし、これら以外の形状でもよい。
ここで、当該2次元周期構造の周期Pは、発光層で発光する光の波長が300〜800nmの範囲内にある場合、媒質内の波長をλ(真空中の波長を媒質の屈折率で除した値)とすれば、波長λの1/4〜10倍の範囲で適宜設定することが望ましい。
周期Pを例えば5λ〜10λの範囲で設定した場合には、幾何光学的な効果、つまり、入射角が全反射角未満となる表面の広面積化により、光取り出し効率が向上する。また、周期Pを例えばλ〜5λの範囲で設定した場合には、回折光による全反射角以上の光を取り出す作用により、光の取り出し効率が向上する。また、周期Pをλ/4〜λの範囲で設定した場合には、凹凸構造部50付近の有効屈折率がプラスチックフィルム11の上記一表面からの距離が大きくなるにつれて徐々に低下することとなり、プラスチックフィルム11と空間70との間に、凹凸構造部50の媒質の屈折率と空間70の媒質の屈折率との中間の屈折率を有する薄膜層を介在させるのと同等となり、フレネル反射を低減させることが可能となる。要するに、周期Pをλ/4〜10λの範囲で設定すれば、反射(全反射あるいはフレネル反射)を抑制することができ、有機EL素子ユニット15の光取り出し効率が向上する。ただし、幾何光学的な効果による光取り出し効率の向上を図る際の周期Pの上限としては、1000λまで適用可能である。また、凹凸構造部50は、必ずしも2次元周期構造などの周期構造を有している必要はなく、凹凸のサイズがランダムな凹凸構造や周期性のない凹凸構造でも光取り出し効率の向上を図れる。なお、異なるサイズの凹凸構造が混在する場合(例えば、周期Pが1λの凹凸構造と5λ以上の凹凸構造とが混在する場合)には、その中で凹凸構造部50における占有率の最も大きい凹凸構造の光取り出し効果が支配的になる。
凹凸構造部50は、プリズムシート(例えば、株式会社きもと製のライトアップ(登録商標)GM3のような光拡散フィルムなど)により構成してあるが、これに限るものではない。例えば、プラスチックフィルム11の上記他表面に凹凸構造部50をインプリント法(ナノインプリント法)により形成してもよい。なお、インプリント法は、熱インプリント法(熱ナノインプリント法)に限らず、光インプリント法(光ナノインプリント法)を採用してもよい。
凹凸構造部50については、表面に傷が付くのを防止するためのハードコートを施すか、あるいは、硬度が十分に高いプリズムシートを用いるか、あるいは、硬化後の硬度が十分に高い透明材料を用いることが望ましい。ハードコートを施すためのハードコート剤としては、例えば、東洋インキ製のTYZシリーズ(〔平成21年12月22日検索〕、インターネット<URL:http://www.toyoink.co.jp/products/lioduras/index.html>)などの高屈折率タイプ(屈折率が1.63〜1.74程度)のハードコート剤を採用することができる。なお、TYZシリーズは、エポキシ樹脂などにフィラーとしてジルコニアを混入させた紫外線硬化型のハードコート剤である。
本実施形態における発光装置は、凹凸構造部50の表面と第1のガラス基板20との間に空間70が存在することが重要である。仮に、凹凸構造部50の表面が、当該凹凸構造部50と第1のガラス基板20との界面であるとすると、第1のガラス基板20と外部の空気との屈折率界面が存在するため、当該屈折率界面で再び全反射が生じる。これに対して、本実施形態における発光装置では、有機EL素子10の光を一旦、空間70へ取り出すことができるので、空間70の不活性ガスと第1のガラス基板20との界面、第1のガラス基板20と外部の空気との界面で全反射ロスが生じなくなる。
要するに、上述の発光装置においては、有機EL素子ユニット15が、凹凸構造部50を備え、凹凸構造部50の表面と第1のガラス基板20との間に空間70が存在しているので、有機EL素子10の発光層から放射され第1のガラス基板20まで到達した光の反射ロスを低減でき、光取り出し効率の向上を図れる。
ところで、上述の発光装置では、第1のガラス基板20を光が透過する際にフレネル反射による損失(フレネルロス)が生じる。したがって、第1のガラス基板20を透過する際のフレネルロスを低減することが望ましい。フレネルロスを抑制する手段としては、例えば、第1のガラス基板20の上記一表面と他表面との少なくとも一方に、単層もしくは多層の誘電体膜からなるアンチリフレクションコート(anti-reflection coat:以下、AR膜と略称する)を設けることが考えられる。ここにおいて、AR膜を例えば屈折率nが1.38のフッ化マグネシウム膜(MgF膜)により構成する場合には、設計波長λを550nmとすれば、AR膜の厚さをλ/4n=550/(4×1.38)=99.6nmとすればよい。同様に、AR膜を例えば屈折率nが1.58の酸化アルミニウム膜(Al膜)により構成する場合には、設計波長λを550nmとすれば、AR膜の厚さをλ/4n=550/(4×1.58)=87.0nmとすればよい。また、AR膜は、厚さが99.6nmのフッ化マグネシウム膜と厚さが87.0nmの酸化アルミニウム膜との積層膜(2層AR膜)としてもよい。なお、誘電体膜の材料は、フッ化マグネシウムや酸化アルミニウム以外の材料を採用してもよい。
本実施形態における発光装置では、第1のガラス基板20の上記一表面と上記他表面との少なくとも一方、好ましくは両方にAR膜を設けることにより、フレネルロスを低減でき、光取り出し効率の向上を図れる。
また、フレネルロスを抑制する他の手段としては、第1のガラス基板20の上記一表面と上記他表面との少なくとも一方側にモスアイ(蛾の目)構造を設けることが考えられる。モスアイ構造は、先細り状の微細突起が2次元アレイ状に配列されて2次元周期構造を有しており、多数の微細突起と隣り合う微細突起間に入り込んだ媒質(例えば、空気)とで反射防止部が構成されることとなる。ここにおいて、第1のガラス基板20をナノインプリント法により加工してモスアイ構造を形成した場合には、微細突起の屈折率がベース基板20の屈折率と同じとなる。この場合、反射防止部の有効屈折率は、当該反射防止部の厚さ方向においてベース基板20の屈折率(=1.51)と媒質の屈折率(=1)との間で連続的に変化し、フレネルロスの原因となる屈折率界面がなくなった状態が擬似的に得られる。したがって、モスアイ構造では、AR膜に比べて、波長や入射角に対する依存性を小さくでき、かつ、反射率も小さくすることができる。
モスアイ構造における微細突起の高さおよび微細突起の周期は、例えば、それぞれ200nm、100nmに設定すればよいが、これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。
上述のモスアイ構造は、例えば、ナノインプリント法により形成することができるが、ナノプリント法以外の方法(例えば、レーザ加工技術)で形成してもよい。また、モスアイ構造は、例えば、三菱レイヨン株式会社製のモスアイ型無反射フィルムにより構成してもよい。
以下、本実施形態の発光装置の製造方法について簡単に説明する。
第1のガラス基板20の上記一表面側において第1の接合部40に対応した部位に、多数の球状のスペーサ41を混合させた低融点ガラス72を主成分とするペースト状の第1の接合材を乗せ、その後、乾燥させることによりペースト中の溶剤を除去し、低融点ガラスの軟化温度よりも低温の仮焼成温度で仮焼成を行うことによりペースト中の樹脂成分(バインダー)を除去する。ここにおいて、ペースト状の接合材を上記部位に乗せる方法としては、例えば、ディスペンサ法、スクリーン印刷法などの塗布する方法を採用すればよい。また、接合材を乾燥させる際には、例えば、IR乾燥炉、ホットプレート乾燥炉、熱風循環型乾燥炉などを使用すればよい。なお、接合材の形態としてシート状の形態を採用する場合には、シート状の形態にプリフォームする際に仮焼成されているので、上記部位に乗せた後、乾燥や仮焼成などを行う必要はない。
上述の仮焼成を行った後、第1の所定雰囲気(空間70の所望の雰囲気に応じて設定される所定雰囲気)中で第1のガラス基板20の上記一表面側に有機EL素子ユニット15を接合し、続いて、有機EL素子ユニット15の配線層12a,14aと第1のガラス基板20の上記一表面側の導体パターン112,114とを接続部122,124を介して電気的に接続する。
その後、第2の所定雰囲気(空間90の所望の雰囲気に応じて設定される所定雰囲気)中で第2のガラス基板30を、接合材を介して第1のガラス基板20に対向させ、第2のガラス基板30における第1のガラス基板20側とは反対側からレーザ光を接合材に局所的に照射して接合材の低融点ガラス42を溶融させることで第1のガラス基板20と第2のガラス基板30とを接合する第1の接合部40を形成すればよい。
レーザ光の光源としては、例えば、YAGレーザ、Ti:サファイアレーザなどを用いればよい。また、レーザ光を接合材の位置に合わせて点状に照射して走査するようにしてもよいが、接合材全体に同時に照射するように、レーザ光源および光学系により設定する照射エリアを決定することが好ましい。
以上説明した本実施形態の発光装置では、第1の接合部40の材料として、導電性材料を用いた球状のスペーサ41を混合した低融点ガラス42を利用しているので、低コストで気密性を高めるとともに第1のガラス基板20と第2のガラス基板30との間の距離を上記所定ギャップ長に保つことが可能となるだけでなく、スペーサ41の材料として非導電性材料(例えば、SiO、Al、Si、ZrOなど)を採用している場合に比べて、製造時において低融点ガラス42を溶融させるためにレーザ光を照射する際に、低融点ガラス42を効率良く加熱することができ、低エネルギでの接合が可能となり、有機EL素子ユニット15の熱ダメージの発生をより抑制することが可能となる。また、スペーサ41の導電性材料として低融点ガラス42との線膨張係数差の小さなコバールを採用すれば、第1の接合部40と各ガラス基板20,30との接合信頼性をより高めることが可能となる。
図1では、パッケージ1内に1個の有機EL素子ユニット15を備えた発光装置を例示したが、上述の製造方法を適用可能な発光装置は、これに限らず、例えば、図2に示すように、パッケージ1内に複数個の有機EL素子ユニット15を備えたものでもよい。また、有機EL素子ユニット15についても、1つのプラスチックフィルム11に対して1つの有機EL素子10に限らず、複数の有機EL素子10が形成されたものでもよい。
1 パッケージ
10 有機EL素子
11 プラスチックフィルム
12 陽極(電極)
13 有機EL層
14 陰極(電極)
15 有機EL素子ユニット
20 第1のガラス基板
30 第2のガラス基板
40 接合部
41 スペーサ
41a コア
41b 絶縁膜
42 低融点ガラス
50 凹凸構造部
70 空間

Claims (2)

  1. 平板状の第1のガラス基板と、前記第1のガラス基板の一表面側で前記第1のガラス基板に対向する平板状の第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを接合し前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との距離を所定ギャップ長に保つ枠状の接合部と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板と前記接合部とで構成されるパッケージに収納された有機EL素子ユニットとを備え、前記接合部は、導電性材料を用いて形成され前記所定ギャップ長に対応する直径の球状のスペーサが混合された低融点ガラスからなり、前記スペーサは、前記導電性材料により形成された球状のコアと、無機材料により形成され前記コアの表面を被覆した絶縁膜とで構成されてなることを特徴とする発光装置。
  2. 前記有機EL素子ユニットは、厚み方向に離間した一対の電極間に発光層を有する有機EL素子および前記有機EL素子の前記各電極それぞれに電気的に接続された配線層が透明なプラスチックフィルムの一表面側に形成されてなり、前記有機EL素子ユニットの前記プラスチックフィルムの前記他表面側には、前記有機EL素子から放射された光の前記他表面での反射を抑制する凹凸構造部が設けられ、前記凹凸構造部の表面と前記第1のガラス基板との間に空間が存在することを特徴とする請求項1記載の発光装置
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