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JP5408075B2 - 透明導電性フィルム - Google Patents

透明導電性フィルム Download PDF

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Description

本発明は、例えばタッチパネル等に用いられ、透過光の着色を抑え、全光線透過率に優れた透明導電性フィルムに関する。
現在、画像表示部に直接触れることにより、情報を入力できるデバイスとしてタッチパネルが用いられている。このタッチパネルは光を透過する入力装置を液晶表示装置、CRT等の各種ディスプレイ上に配置されるものであり、代表的な形式として、透明電極基板2枚を透明電極層が向かい合うように配置された抵抗膜式タッチパネルや、透明電極層と指の間に生じる電流容量の変化を利用した静電容量タイプのタッチパネルがある。
抵抗膜式タッチパネルや静電容量タイプのタッチパネルの透明電極基板として、ガラス板、透明樹脂板や各種の熱可塑性高分子フィルム等の基材上に、酸化錫を含有するインジウム酸化物(錫ドープ酸化インジウム、ITO)や酸化亜鉛等の金属酸化物による透明導電層を積層したものが一般的に用いられている。このようにして得られた透明電極基板は、金属酸化物層の反射及び吸収に由来する可視光短波長領域の透過率の低下による、黄色の呈色が見られることが多い。そのため、タッチパネルの下に配置される表示装置の発色を正確に表現することが難しいという問題があった。
この問題を解決するために、透明導電層を多層光学膜と組み合わせた透明導電性積層体が提案されている(特許文献1を参照)。この透明導電性積層体においては、多層光学膜として、異なる屈折率の層が積層されているが、多層光学膜の構成要素として、金属アルコキシドの加水分解物が使用されていることから、透過色の黄色の着色を抑える効果とヘイズ値を低くすることの両立が不十分であった。
特開2000−301648号公報
そこで、本発明の目的とするところは、透過光の着色を抑え、ヘイズ値が低く、全光線透過率の高い透明導電性フィルムを提供することにある。
前記の目的を達成するために、第1の発明の透明導電性フィルムは、ポリエステルフィルムの表面から順に、高屈折率層、低屈折率層及び錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)が積層されて構成されている。そして、高屈折率層は、金属酸化物微粒子と紫外線硬化性バインダーとより形成され、光の波長400nmにおける屈折率が1.63〜1.86、膜厚が40〜90nmであり、低屈折率層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.33〜1.53、膜厚が10〜50nmであり、錫ドープ酸化インジウム層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmであり、静電容量タイプのタッチパネルに用いられることを特徴とする。
第2の発明の透明導電性フィルムは、第1の発明において、ポリエステルフィルムと高屈折率層との間に、膜厚1.0〜10.0μmのハードコート層が積層されている。
第3の発明の透明導電性フィルムは、第1又は第2の発明において、ポリエステルフィルムの錫ドープ酸化インジウム層の反対面に機能層が形成されている。
第4の発明の透明導電性フィルムは、第3の発明において、機能層は、ハードコート層、防眩層、指紋なじみ層又は自己修復層である。
第5の発明の透明導電性フィルムは、第4の発明において、機能層としてのハードコート層が滑性を有するハードコート層であって、膜厚が1.0〜10.0μm、平均粒子径が膜厚の10〜60%である透光性微粒子を0.5〜30質量%含む易滑ハードコート層である。
第6の発明の透明導電性フィルムは、第4の発明において、機能層としてのハードコート層又は防眩層の上にさらに反射防止層が積層されている。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の静電容量タイプのタッチパネルに用いられる透明導電性フィルムでは、高屈折率層は光の波長400nmにおける屈折率が1.63〜1.86、膜厚が40〜90nmであり、低屈折率層は光の波長400nmにおける屈折率が1.33〜1.53、膜厚が10〜50nmであり、ITO層は光の波長400nmにおける屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmに設定されている。このように、高屈折率層、低屈折率層及びITO層の屈折率を、光の波長400nmにおける屈折率に基づいて適切に設定することにより、透明導電性フィルムの透過光の黄色味を抑えることができると同時に、透過率を上げることができる。従って、第1の発明の透明導電性フィルムによれば、透過光の着色を抑え、ヘイズ値が低く、全光線透過率を高めることができる。
ここで、屈折率には波長分散性があり、短波長領域では屈折率が高くなる傾向がある。一般に、各層の屈折率調整では、ナトリウムのD線(光の波長589nm)の値を用いることが多いが、本発明の中間層及びITO層のように金属酸化物微粒子を含む層においては、屈折率の波長分散の影響が大きくなる。黄色味を抑えるには光の波長400nmの透過率制御が重要であるため、波長589nmの屈折率で各層の屈折率を調整した場合、光の波長400nmの透過率を十分に調整することはできなくなり、黄色味低減効果が十分に得られない。本発明では、光の波長400nmの屈折率を使用して各層を設計するため、効果が最大となる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
〔透明導電性フィルム〕
本実施形態の透明導電性フィルムは、ポリエステルフィルムの表面から順に、高屈折率層、低屈折率層及び錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)が積層されて構成されている。そして、高屈折率層は、金属酸化物微粒子と紫外線(UV)硬化性バインダーとより形成され、光の波長400nmにおける屈折率が1.63〜1.86であり、膜厚が40〜90nmである。また、低屈折率層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.33〜1.53であり、膜厚が10〜50nmである。さらに、ITO層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmである。
以下に、この透明導電性フィルムの構成要素について順に説明する。
<ポリエステルフィルム>
ポリエステルフィルムは透明基材であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で代表されるポリエステル系樹脂である。ポリエステルフィルムの膜厚は通常25〜400μm、好ましくは35〜250μmである。
<高屈折率層>
高屈折率層は金属酸化物微粒子と、紫外線硬化性バインダーとを混合してなる高屈折率層用塗液を紫外線硬化させた硬化物により形成される。金属酸化物微粒子としては、酸化チタン及び酸化ジルコニウムが好ましい。酸化チタン及び酸化ジルコニウムの光の波長400nmにおける屈折率は製法によって異なるが、2.0〜3.0であることが好ましい。また、紫外線硬化性バインダーとしては、(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー、オリゴマー及び重合体が挙げられ、光の波長400nmにおける屈折率が1.4〜1.7であることが好ましい。
高屈折率層の塗液は乾燥硬化後の硬化膜について光の波長400nmにおける屈折率が1.63〜1.86、好ましくは1.66〜1.86になるように調整する。さらに、高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚は40〜90nm、好ましくは45〜90nmになるように塗布後硬化される。屈折率及び膜厚がこれらの範囲外では、JIS Z 8729に規定されているL*a*b表色系における透過色の前記b*の値が大きくなってしまい、透明導電性フィルムの透過色の黄色味が明瞭に認識されるようになる。また、高屈折率層の屈折率が1.86より大きい場合には、塗膜中の粒子の割合が多くなり、ヘイズ値が上昇してしまう。高屈折率層の膜厚が上記の範囲外では、前記b*の値が大きくなってしまい、透明導電性フィルムの透過色の黄色味の着色が明瞭に認識されるようになる。
<低屈折率層>
低屈折率層の材料としては、平均粒子径が10〜100nmの無機微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合した塗液を、塗布、硬化させた層である。無機微粒子としては、コロイダルシリカや中空シリカ微粒子が挙げられる。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー、オリゴマー及び重合体が挙げられる。
低屈折率層の塗液は、乾燥硬化後の硬化膜について光の波長400nmにおける屈折率が1.33〜1.53になるように調整する。この屈折率が1.33より小さい場合、低屈折率層の塗液中における中空シリカ微粒子等の割合が増えるため、塗膜が脆くなるとともに、製膜を良好に行うことができなくなる。その一方、屈折率が1.53より大きい場合、透過色についてb*の値が大きくなってしまい、透明導電性フィルムの透過色の黄色味の着色が明瞭に認識されるようになる。
乾燥硬化後の膜厚は10〜50nm、好ましくは15〜45nmになるように塗布後硬化される。この膜厚がこれらの範囲外では透過色の前記b*の値が大きくなってしまい、透明導電性フィルムの透過色の黄色味の着色が明瞭に認識されるようになる。
<高屈折率層及び低屈折率層の形成方法>
ポリエステルフィルム上に設けられる高屈折率層及び低屈折率層の形成方法は従来公知の方法でよく、特に制限されない。例えばドライコーティング法、ウェットコーティング法等の方法を採ることができる。生産性及び製造コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法としては公知の方法で良く、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法などが代表的な方法として挙げられる。その中でロールコート法等、連続的に層を形成できる方法が生産性の点より好ましい。
<ITO層>
低屈折率層の上に積層されるITO層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.85〜2.35であり、好ましくは1.90〜2.30である。屈折率がこの範囲を外れると、透明導電性フィルムの透過色が着色を呈し、透過率も低下する。また、ITO層の乾燥硬化後の膜厚は5〜50nmであり、好ましくは20〜30nmである。この膜厚が5nmより薄い場合には、均一に成膜することが難しく、安定した抵抗が得られなくなる。その一方、膜厚が50nmより厚い場合には、ITO層自身による光の吸収が強くなり、黄色味低減効果が薄れる。このITO層の製膜方法は特に制限されず、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法(化学蒸着法)又はメッキ法を採用できる。これらの中では、層の厚み制御の観点より蒸着法及びスパッタリング法が特に好ましい。尚、ITO層を形成した後、必要に応じて100〜200℃の範囲内でアニール処理を施して結晶化することができる。具体的には、高い温度で結晶化するとITO層の屈折率は小さくなる傾向を示す。従って、ITO層の屈折率の調整は、アニール処理の温度と時間を制御することで調整可能である。
<ハードコート層>
ポリエステルフィルムと高屈折率層との間には、ハードコート層を形成することができる。ハードコート層としては、例えばテトラエトキシシラン等の反応性珪素化合物と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合してなるハードコート層用塗液を紫外線硬化させた硬化物が挙げられる。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち生産性及び硬度を両立させる観点より、鉛筆硬度(評価法:JIS−K5600−5−4)がH以上となる活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物の重合硬化物であることが好ましい。
そのような活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物としては特に限定されるものではないが、例えば公知の活性エネルギー線硬化型樹脂を2種類以上混合したもの、紫外線硬化性ハードコート材として市販されているもの、或いはこれら以外に本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分をさらに添加したものを用いることができる。その乾燥硬化後の膜厚は1.0〜10.0μmが好ましく、屈折率は1.45〜1.60であることが好ましい。膜厚が1.0μmより薄い場合には、鉛筆硬度がH未満になるため好ましくない。一方、膜厚が10μmより厚い場合には、硬化収縮によるカールが強くなるとともに、不必要に厚くなり、生産性や作業性が低下するため好ましくない。
また、ハードコート層の形成方法は特に限定されず、通常行われている塗布方法、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビアコート法等のいかなる方法も採用される。
<機能層>
ポリエステルフィルムの反対面には、機能層を設けることができる。この機能層は、透明導電性フィルムに所定の機能を付与できるいずれの機能層も適用することができる。機能層は、例えばハードコート層、指紋なじみ層、防眩層、自己修復層などである。ハードコート層は従来公知のものでよく、特に制限されない。
指紋なじみ層は、透明導電性フィルムの表面に付着した指紋(生体由来脂質成分)に対してなじみ性(親和性)を示す層である。例えば、単官能重合体、ビニル基や(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー及びビニル基や(メタ)アクリロイル基を有する重合体の中から1種又は2種以上が選択して使用され、それらの有機溶媒溶液を塗布、乾燥して紫外線硬化させた層である。
防眩層は、蛍光灯などの外部光源から照射された光線を表面凹凸により散乱させ、光の反射を低減する層である。この防眩層は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化型樹脂に粒子径が数μmの球形又は不定形の無機又は有機微粒子を分散した塗液を、或いは粒子を用いないで凹凸を形成することが可能なポリマーを含有した塗液を、塗布、硬化させた層である。
自己修復層は、ペン入力時の透明導電性フィルム表面での筆記感を向上させ、自己修復性、すなわち一度生じた凹み痕が経時的に消失して元の形状に戻る性質を有する層である。自己修復層を形成する樹脂としては、紫外線硬化性又は熱硬化性の不飽和アクリル系樹脂、ウレタン変性(メタ)アクリレート等の不飽和ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等が用いられる。
機能層としてのハードコート層として、滑性を有するハードコート層(以下、滑性ハードコート層ともいう)を使用することができる。滑性ハードコート層は、膜厚が1.0〜10.0μm、平均粒子径が膜厚の10〜60%である透光性微粒子を0.5〜30質量%含む層である。透光性微粒子により、ハードコート層表面に細かな凹凸が形成され、良好な巻き取り性機能が発現される。滑性ハードコート層の膜厚は、より好ましくは3〜6μmである。この膜厚が1.0μmより薄いとハードコート性機能が損なわれる可能性があり、10.0μmより厚いと巻き取り性機能が損なわれる可能性がある。
滑性ハードコート層は、紫外線硬化性バインダーと透光性微粒子とを含有し、必要により添加剤を含有するハードコート層用塗液に紫外線を照射して硬化させることにより形成される。紫外線硬化性バインダーの材料は特に限定されず、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート及びテトラエトキシシラン等の反応性珪素化合物などの硬化物が挙げられる。
透光性微粒子は、ハードコート層における表面の凹凸形成による巻き取り性機能を発現するためのものである。該透光性微粒子は、任意の材料を用いることができる。そのような透光性微粒子としては、例えばシリカのほか、塩化ビニル、(メタ)アクリル単量体、スチレン及びエチレンから選択される少なくとも1種の単量体を重合して得られる重合体などから形成される。透光性微粒子の平均粒子径は、ハードコート層の膜厚の好ましくは10〜60%、より好ましくは20〜50%である。この平均粒子径がハードコート層の膜厚の10%より小さい場合及び60%より大きい場合には、巻取り性機能が損なわれるおそれがある。ハードコート層の膜厚に対しての透光性微粒子の平均粒子径(a)は、以下の式(1)によって求めることができる。
a=〔(透光性微粒子の平均粒子径)/(ハードコート層の膜厚)〕×100(%)
・・・式(1)
透光性微粒子の含有量は、ハードコート層用塗液に対して好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは3〜5質量%である。ハードコート層は添加剤を含んでいてもよく、そのような添加剤としてシリコーン系添加剤が用いられる。該シリコーン系添加剤としてはポリエーテル変性ポリジメチルシロサンが挙げられ、具体的にはビックケミー・ジャパン(株)製のBYK330、BYK331、BYK346が挙げられる。滑性ハードコート層の形成方法は特に限定されず、通常行われている塗布方法、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビアコート法等のいかなる方法も採用される。
前記ハードコート層や防眩層(以下、支持層という)の上には反射防止層や防眩性反射防止層を形成することができる。該反射防止層は、蛍光灯などの外部光源から照射された光線を、光の干渉により低減する層である。屈折率が1.5〜1.6の支持層上に反射防止層を一層で形成する場合には、支持層よりも屈折率が低い、例えば屈折率が1.3〜1.5の低屈折率層を一層積層して形成される。前記支持層上に反射防止層を二層で形成する場合には、支持層よりも屈折率が高い、例えば屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層、さらにその上に高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層をそれぞれ積層して形成される。
この低屈折率層は、平均粒子径が10〜100nmの無機微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合した塗液を、塗布、硬化させた層である。無機微粒子としては、コロイダルシリカや中空シリカ微粒子が挙げられ、活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー、オリゴマー及び重合体が挙げられる。
高屈折率層は、平均粒子径が10〜100nmの金属酸化物微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合した塗液を、塗布、硬化させた層である。金属酸化物微粒子としては、錫ドープ酸化インジウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が挙げられ、活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー、オリゴマー及び重合体が挙げられる。
防眩性反射防止層は、防眩性と反射防止性の機能を合わせ持った層であり、上記防眩層上に反射防止層を積層することにより形成される。
これらの機能層は、各々単独で用いることができ、或いはそれらを適宜組み合わせて用いることもできる。
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。なお、各層の屈折率は以下のように測定した。
<屈折率の測定方法>
(1)屈折率1.63のPETフィルム〔商品名「A4100」、東洋紡績(株)製〕上に、ディップコーター〔杉山元理化学機器(株)製〕により、各層用塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜500nm程度になるように層の厚さを調製して塗布した。
(2)乾燥後、紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJの紫外線を照射して硬化した。硬化後のPETフィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計〔「FE-3000」、大塚電子(株)製〕により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長400nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ+b/λ+c ・・・(式1)
a、b、c:波長分散定数
<屈折率の測定方法>
(1)屈折率1.63のPETフィルム〔商品名「A4100」、東洋紡績(株)製〕を100℃で1時間予備乾燥を行った後、PETフィルム上にインジウム:錫=10:1(質量比)のITOターゲットを用いてスパッタリングを行い、実膜厚20nmの透明導電層としての錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、透明導電性フィルムを作製した。
(2)この透明導電性フィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計〔「FE-3000」、大塚電子(株)製〕により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、上記式(1)を用いて、光の波長400nmにおける屈折率を求めた。
なお、実施例及び比較例に記載の各層の屈折率は、前段の屈折率の測定方法から求めた屈折率である。
<全光線透過率、ヘイズ値の測定方法>
ヘイズメーター〔「NDH2000」、日本電色工業(株)製〕により全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を測定した。
<透過色の測定方法>
色差計〔「SQ−2000」、日本電色工業(株)製〕を用いて透過色、b*を測定した。このb*は、JIS Z 8729に規定されているL*a*b表色系における値である。
<巻き取り性の評価方法>
両面ハードコート(HC)フィルムをロール状に巻き取り、目視で観察することにより、フィルムの巻き取り性を下記に示す評価基準によって評価した。
◎:巻きじわ及びへこみなどの凹凸状変形が全くない。
○:巻きじわ又はへこみなどの凹凸状変形がほとんどない。
×:巻きじわ又はへこみなどの凹凸状変形が大きい。
〔製造例1、ハードコート層用塗液(HC−1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート80質量部、トリアクリル酸テトラメチロールメタン20質量部、1,6−ビス(3−アクリロイルオキシー2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン20質量部、光重合開始剤[商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製]4質量部及びイソブチルアルコール100質量部を混合してハードコート層用塗液(HC−1)を調製した。
〔製造例2、高屈折率層用塗液(H−1)の調製〕
平均粒子径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を79質量部、1分子中にアクリロイル基を6個有するウレタンアクリレート〔分子量1400、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕21質量部及び光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合し、メチルエチルケトンで上記固形分が10質量%になるように希釈し、高屈折率層用塗液(H−1)を調製した。
〔製造例3、高屈折率層用塗液(H−2)の調製〕
平均粒子径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を72質量部、1分子中にアクリロイル基を6個有するウレタンアクリレート〔分子量1400、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕28質量部及び光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合し、メチルエチルケトンで上記固形分が10質量%になるように希釈し、高屈折率層用塗液(H−2)を調製した。
〔製造例4、高屈折率層用塗液(H−3)の調製〕
平均粒子径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を86質量部、1分子中にアクリロイル基を6個有するウレタンアクリレート〔分子量1400、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕14質量部及び光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合した後、メチルエチルケトンで上記固形分が10質量%になるように希釈し、高屈折率層用塗液(H−3)を調製した。
〔製造例5、高屈折率層用塗液(H−4)の調製〕
平均粒子径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を67質量部、1分子中にアクリロイル基を6個有するウレタンアクリレート〔分子量1400、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕33質量部及び光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合した後、メチルエチルケトンで上記固形分が10質量%になるように希釈し、高屈折率層用塗液(H−4)を調製した。
〔製造例6、高屈折率層用塗液(H−5)の調製〕
平均粒子径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を58質量部、1分子中にアクリロイル基を6個有するウレタンアクリレート〔分子量1400、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕42質量部及び光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合し、メチルエチルケトンで上記固形分が10質量%になるように希釈し、高屈折率層用塗液(H−5)を調製した。
〔製造例7、高屈折率層用塗液(H−6)の調製〕
平均粒子径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を94質量部、1分子中にアクリロイル基を6個有するウレタンアクリレート〔分子量1400、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕6質量部及び光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合した後、メチルエチルケトンで上記固形分が10質量%になるように希釈し、高屈折率層用塗液(H−6)を調製した。
〔製造例9、低屈折率層用塗液(L−1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10質量部、シリカ微粒子分散液〔商品名「XBA−ST」、日産化学(株)製〕90質量部、イソプロピルアルコール900質量部、光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 907」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合し、低屈折率層用塗液(L−1)を調製した。
〔製造例10、変性中空シリカ微粒子(ゾル)の調製〕
中空シリカゾル〔触媒化成工業(株)製、商品名:ELECOM NY-1001S1V、イソプロピルアルコールによる中空シリカゾルの25質量%分散液、平均粒子径60nm〕2000質量部、γ―アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、KBM5103〕70質量部及び蒸留水80質量部を混合して変性中空シリカ微粒子(ゾル)(平均粒子径:60nm)を調製した。
〔製造例11、低屈折率層用塗液(L−2)の調製〕
パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラヒドロ−5,8−ビスフルオロメチル−4,ジオキサ−1−ノネン)−9−オールを104質量部と、ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11質量部と重合反応によりヒドロキシル基含有フッ素アリエーテル重合体(数平均分子量72000、質量平均分子量118,000)を得た。
次に、ヒドロキシル基含有フッ素アリエーテル重合体、メチルエチルケトン43質量部、ピリジン1質量部及びα−フルオロアクリル酸フルオライド1質量部より重合性二重結合を有する含フッ素反応性重合体溶液(固形分13質量%、α−フルオロアクリロイル基への水酸基の導入率40モル%)を調製した。この含フッ素反応重合体溶液40質量部と、前記変性中空シリカ微粒子60質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア907〕2質量部と、イソプロピルアルコール2000質量部とを混合して低屈折率層用塗液(L−2)を調製した。
〔製造例12、低屈折率層用塗液(L−3)の調製〕
前記変性中空シリカ微粒子60質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア907〕2質量部と、イソプロピルアルコール2000質量部とを混合して低屈折率層用塗液(L−3)を調製した。
〔製造例13、低屈折率層用塗液(L−4)の調製〕
シリカ微粒子分散液〔商品名「XBA−ST」、日産化学(株)製〕5質量部と、アクリロイル基をもつ多官能バインダー〔商品名「HIC−GL」、共栄社化学(株)製〕95質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア907〕2質量部と、イソプロピルアルコール2000質量部とを混合して低屈折率層用塗液(L−4)を調製した。
〔製造例14、ハードコート層用塗液(HC−A1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート95質量部、平均粒子径0.5μmのアクリル樹脂微粒子(屈折率1.495)5質量部、メチルエチルケトン100質量部、光重合開始剤〔商品名:「IRGACURE184」、チバジャパン(株)製〕4質量部を混合してハードコート層用塗液(HC−A1)を調製した。
〔製造例15、ハードコート層用塗液(HC−A2)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート97質量部、平均粒子径1.5μmのアクリル樹脂微粒子(屈折率1.495)3質量部、メチルエチルケトン100質量部、光重合開始剤〔商品名:「IRGACURE184」、チバジャパン(株)製〕4質量部を混合してハードコート層用塗液(HC−A2)を調製した。
(実施例1−1)
製造例1で調製したハードコート層用塗液(HC−1)をロールコーターにて、厚さ125μmのPETフィルム上に、乾燥硬化後の膜厚が4μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコート処理PETフィルムを作製した。
該ハードコート処理PETフィルム上に、高屈折率層用塗液H−1を用い、ロールコーターにて乾燥後の膜厚が60nmになるように塗布後、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、高屈折率層を形成した。高屈折率層の上へ、低屈折率層用塗液L―1を用い、ロールコーターにて乾燥後の膜厚が20nmになるように塗布後、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、低屈折率層を形成し、色調補正フィルムを作製した。
該色調補正フィルムの裏面に製造例1で調製したハードコート層用塗液(HC−1)をロールコーターにて、乾燥硬化後の膜厚が4μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射し、硬化させることにより、両面にハードコート層が積層されている色調補正フィルムを作製した。
この両面にハードコート層が積層されている色調補正フィルムを100℃で1時間予備乾燥を行った後、インジウム:錫=10:1(質量比)のITOターゲットを用いてスパッタリングを行い、低屈折率層上に、実膜厚30nmの透明導電層としてのITO層を形成し、150℃で30分間アニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表1に示した。
(実施例1−2)
高屈折率層用塗液H−2を使用する以外は、実施例1−1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表1に示した。
(実施例1−3)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を25nm、ITO層の膜厚を25nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表1に示した。
(実施例1−4)
低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を15nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表1に示した。
(実施例1−5)
低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を45nm、ITO層の膜厚を25nmにする以外は、実施例1−1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表1に示した。
(実施例1−6)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層用塗液L−2を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nm、ITO層の膜厚を25nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表1に示した。
(実施例1−7)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nm、ITO層の膜厚を25nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表2に示した。
(実施例1−8)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を45nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nm、ITO層の膜厚を25nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表2に示した。
(実施例1−9)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を90nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を25nm、ITO層の膜厚を20nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表2に示した。
(実施例1−10)
高屈折率層用塗液H−3を使用し、高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nm、ITO層の膜厚を25nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表2に示した。
(実施例1−11)
高屈折率層用塗液H−4を使用し、高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nm、ITO層の膜厚を20nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表2に示した。
(実施例1−12)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nm、ITO層のスパッタリング後のアニール処理を150℃、60分間行う以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表2に示した。
(実施例1−13)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を25nm、ITO層の膜厚を25nm、ITO層のスパッタリング後のアニール処理を100℃、60分間行う以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表2に示した。
(実施例1−14)
高屈折率用塗液H−4を使用し、高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を55nm、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nm、ITO層の膜厚を20nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表2に示した。
(比較例1−1)
高屈折率層用塗液H−5を使用する以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表3に示した。
(比較例1−2)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を60nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表3に示した。
(比較例1−3)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を5nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表3に示した。
(比較例1−4)
高屈折率層用塗液H−6を使用し、高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を65nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nm、ITO層の膜厚を20nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表3に示した。
(比較例1−5)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を100nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表3に示した。
(比較例1―6)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を20nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表3に示した。
(比較例1−7)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を20nm、低屈折率層用塗液L−3を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を25nm、ITOの膜厚を70nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表3に示した。
(比較例1−8)
高屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を70nm、低屈折率層用塗液L−4を使用し、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚を30nmにする以外は、実施例1−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表3に示した。
Figure 0005408075
Figure 0005408075
Figure 0005408075
表1及び表2に示した結果より、実施例1−1〜1−14では高屈折率層が酸化ジルコニウム微粒子とウレタンアクリレートで形成されると共に、高屈折率層及び低屈折率層の屈折率と膜厚、さらにITO層の屈折率と膜厚が本発明で規定される範囲に設定されている。そのため、透過光の着色を十分に抑えることができると同時に、全光線透過率を高く、かつヘイズ値を抑制することができた。
一方、表3に示したように、比較例1−1では、高屈折率層の屈折率が本発明で規定されている範囲より小さいため、透過色b*の値が大きくなり、透過光が着色を呈し、さらに全光線透過率が低下する結果を招いた。比較例1−2では、低屈折率層の膜厚が本発明で規定されている範囲より大きいため、透過色b*の値が過大となり、透過色が着色を呈する結果となった。比較例1−3では、低屈折率層の膜厚が本発明で規定されている範囲より小さいため、透過色b*の絶対値が大きくなり、透過光が着色を呈し、さらに全光線透過率が低下する結果を招いた。
比較例1−4では、高屈折率層の屈折率が本発明で規定されている範囲より大きいため、透過色b*の絶対値が大きくなり、透過光が着色を呈する結果を示した。比較例1−5では、高屈折率層の膜厚が本発明で規定されている範囲より大きいため、透過色b*の値が大きくなり、透過色が着色を呈する結果となった。比較例1−6では、高屈折率層の膜厚が本発明で規定されている範囲より小さいため、透過色b*の値が大きくなり、透過光が着色を呈し、さらに全光線透過率が低下する結果を示した。比較例1−7では、ITO層の膜厚が本発明で規定されている範囲外であるため、透過色b*の値が過大となり、透過光が着色を呈し、また、全光線透過率が低下する結果を招いた。比較例1−8では、低屈折率層の屈折率が本発明で規定されている範囲より大きいことから、透過色b*の値が過大となり、透過光が着色を呈する結果となった。
(実施例2−1)
製造例1で調製したハードコート層用塗液(HC−1)をロールコーターにて、厚さ125μmのPETフィルム上に、乾燥硬化後の膜厚が2μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコート処理PETフィルムを作製した。
このハードコート処理PETフィルム裏面に製造例13で調製したハードコート層用塗液(HC−A1)をロールコーターにて、乾燥硬化後の膜厚が2μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射し、硬化させることにより、両面ハードコートフィルムを作製した。得られた両面ハードコートフィルムの巻き取り性を評価したところ◎であった。上記両面ハードコートフィルムのハードコート層上に、実施例1−1と同様に、高屈折率層、手屈折率層及びITO層を形成し、透明導電性フィルムを得た。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表4に示した。
(実施例2−2)
製造例1で調製したハードコート層用塗液(HC−1)をロールコーターにて、厚さ125μmのPETフィルム上に、乾燥硬化後の膜厚が4μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコート処理PETフィルムを作製した。このハードコート処理PETフィルム裏面に製造例13で調製したハードコート層用塗液(HC−A2)をロールコーターにて、乾燥硬化後の膜厚が4μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射し、硬化させることにより、両面ハードコートフィルムを作製した。
得られた両面ハードコートフィルムの巻き取り性を評価したところ○であった。この両面ハードコートフィルムの片面上に、実施例1−1と同様にして、高屈折率層、低屈折率層及びITO層を形成し、透明導電性フィルムを得た。得られた透明導電性フィルムについて、透過色の色調(b*)、全光線透過率(%)及びヘイズ値(%)を前記方法で測定し、それらの結果を表4に示した。
(比較例2−1)
製造例1で調製したハードコート層用塗液(HC−1)をロールコーターにて、厚さ125μmのPETフィルム上に、乾燥硬化後の膜厚が4μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコート処理PETフィルムを作製した。このハードコート処理PETフィルムの裏面に製造例1で調製したハードコート層用塗液(HC−1)をロールコーターにて、乾燥硬化後の膜厚が4μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射し、硬化させることにより、両面ハードコートフィルムを作製した。得られた両面ハードコートフィルムの巻き取り性を評価したところ×であった。
Figure 0005408075
表4に示した結果より、実施例2−1及び2−2では、ハードコート層に透光性微粒子が適切な量含まれることによって、両面ハードコートの巻き取り性がよくなった。また、滑性ハードコート層を用いた場合でも、透過色b*の値や全光線透過率は変化しなかった。一方、比較例2−1では、ハードコート層に透光性微粒子が適切な量含まれていないため、両面ハードコートフィルムの巻き取り性が悪く、巻きじわ及びフィルムに凹凸が発生し、高屈折率層と低屈折率層を積層させることができなかった。

Claims (6)

  1. ポリエステルフィルムの表面から順に、高屈折率層、低屈折率層及び錫ドープ酸化インジウム層が積層された透明導電性フィルムであって、
    高屈折率層は、金属酸化物微粒子と紫外線硬化性バインダーとより形成され、光の波長400nmにおける屈折率が1.63〜1.86、膜厚が40〜90nmであり、低屈折率層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.33〜1.53、膜厚が10〜50nmであり、錫ドープ酸化インジウム層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmであり、静電容量タイプのタッチパネルに用いられることを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. ポリエステルフィルムと高屈折率層との間に、膜厚1.0〜10.0μmのハードコート層が積層されている請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. ポリエステルフィルムの錫ドープ酸化インジウム層の反対面に機能層が形成されている請求項1又は請求項2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 機能層は、ハードコート層、防眩層、指紋なじみ層又は自己修復層である請求項3に記載の透明導電性フィルム。
  5. 機能層としてのハードコート層が滑性を有するハードコートであって、膜厚が1.0〜10.0μm、平均粒子径が膜厚の10〜60%である透光性微粒子を0.5〜30質量%含むことを特徴とする請求項4に記載の透明導電性フィルム。
  6. 機能層としてのハードコート層又は防眩層の上にさらに反射防止層が積層されている請求項4に記載の透明導電性フィルム。
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