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JP5407679B2 - 熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板 - Google Patents

熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板 Download PDF

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JP5407679B2 JP2009204909A JP2009204909A JP5407679B2 JP 5407679 B2 JP5407679 B2 JP 5407679B2 JP 2009204909 A JP2009204909 A JP 2009204909A JP 2009204909 A JP2009204909 A JP 2009204909A JP 5407679 B2 JP5407679 B2 JP 5407679B2
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Description

本発明は、低熱膨張で、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れた熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化が一段と進み、これに伴い、LSIやチップ部品等の高集積化が進みその形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。このため多層プリント配線板は、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化の開発が進められている。
これらの要求に合致する多層プリント配線板の製造方法として、ビルトアップ方式があり、軽量化や小型化、微細化に適した手法として主流になりつつある。
また、環境意識の高まりから燃焼時に有害な物質を発生する可能性がある材料は電子部品も含めて規制する動きが活発になっている。従来の多層プリント配線板には、難燃化のためにブロム化合物が使用されてきたが、燃焼時に有害な物質を発生する可能性があるので、近い将来にこのブロム化合物が使用できなくなるものと予想される。
電子部品を多層プリント配線板に接続するために一般的に用いられるはんだも鉛を有さない鉛フリーはんだが実用化されつつある。この鉛フリーはんだは、従来の共晶はんだよりも使用温度が約20〜30℃高くなることから従来にも増して材料には高い耐熱性が必要になっている。
さらに、前記ビルドアップ構造の多層プリント配線板において、高密度化をするために層数の増加と共に、ビア部分のフィルド化、スタック化が進んでいる。しかしながら、多層プリント配線板の薄型化のためにガラスクロスを含まない絶縁樹脂層は、熱膨脹率が大きい傾向を示すので、フィルド化、スタック化したビアの銅との熱膨張率の差が、接続信頼性に大きく影響し,信頼性の懸念材料になっている。このようなことから、絶縁樹脂層には熱膨脹率の小さい材料が要求されるようになってきた。
絶縁樹脂層において熱膨脹率を小さくするには、一般に熱膨脹率の小さい無機フィラーを多量に充填し、絶縁層全体の熱膨張率を低下させる方法が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような方法では、流動性の低下や、絶縁信頼性の低下など、多くの問題が発生し易い。
また、樹脂の選択又は改良により、低熱膨張を達成することが試みられている。例えば、芳香環を有するエポキシ樹脂の例としては、2官能のナフタレン骨格、あるいはビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂を用いた低熱膨張性加圧成形用樹脂組成物あるが(特許文献2参照)、充填材を80〜92.5容量%配合している。また、配線板用の樹脂組成物の低熱膨張率化は、従来、架橋密度を高め、ガラス転移温度(Tg)を高くして熱膨張率を低減する方法が一般的である(特許文献3及び4参照)に示すように。しかしながら、架橋密度を高めることは官能基間の分子鎖を短くする必要があるが、一定以上分子鎖を短くすることは反応性や樹脂強度等の点から困難である。
さらに、耐熱性、低熱膨張に有用であると考えられるイミド骨格の導入も試みられており、例えば、イミド基を有する芳香族ジアミンとエポキシ樹脂を用いたビルトアップ用熱硬化性組成物が提案されている(特許文献5参照)。しかし、低分子ポリイミド化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いた場合、その殆どがエポキシ樹脂の特性と変わらない場合が多い。
特開2004−182851号公報 特許第2740990号公報 特開2000−243864号公報 特開2000−114727号公報 特開2000−17148号公報
本発明の目的は、以上のような状況から、低熱膨張で、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れた熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板を提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物として、分子主鎖中にビフェニル骨格を有するジアミン化合物とマレイミド化合物及びモノアミン化合物を反応させて得られた酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤と、エポキシ樹脂及び化学粗化可能な化合物を含有する樹脂組成物を使用することにより、低熱膨張で、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れた熱硬化性絶縁樹脂組成物が得られ、多層プリント配線板などに好適に使用できることを見出し、本発明を完成した、
すなわち、本発明は、以下の熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板を提供するものである。
1.下記の(a)、(b)及び(c)を反応させて得られる、酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤(A)、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)及び化学粗化可能な化合物(C)を含有することを特徴とする熱硬化性絶縁樹脂組成物。
(a)一般式(I)に示す分子主鎖中にビフェニル骨格を有するジアミン化合物、
Figure 0005407679
〔式(I)中、R1及びR2は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、又はスルホン酸基を示し、x、yは各々独立に0〜4の整数である。〕
(b)分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、
(c)モノアミン化合物
2.化学粗化可能な化合物(C)が架橋ゴム粒子である上記1の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
3.架橋ゴム粒子が、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子から選択される少なくとも一種である上記2の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
4.化学粗化可能な化合物(C)が、ポリビニルアセタール樹脂である上記1の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
5.さらに、エポキシ樹脂の硬化剤及び/又は硬化促進剤(D)を含有する上記1〜4のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物。
6.さらに、難燃性を付与するリン化合物(E)を含有する上記1〜5のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物。
7.固形分換算の(A)(B)(D)(E)成分の合計量100質量部に対し、10〜45質量部の無機充填材(F)を含有する上記1〜6のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物。
8.上記1〜7のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されていることを特徴とする支持体付絶縁フィルム。
9.上記1〜7のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物が繊維シート状補強基材中に含侵されていることを特徴とするプリプレグ。
10.絶縁樹脂層が、(1)上記1〜7のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物、(2)上記8の支持体付絶縁フィルム、(3)上記9のプリプレグの何れかを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。
11.上記10の積層板を用いて製造されてなることを特徴とする多層プリント配線板。
本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、上記のように、分子主鎖中にビフェニル骨格を有するジアミン化合物を用いて製造され、酸性置換基及び不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A)、エポキシ樹脂(B)、及び化学粗化可能な化合物(C)を含有することにより、特に低熱膨張性を有し、且つガラス転移温度(Tg)が高いので耐熱性に優れ、優れたメッキ密着強度を示す絶縁樹脂層を形成することができ、該熱硬化性絶縁樹脂組成物及びこれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグより製造される積層板及び多層プリント配線板は、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性(T−288)、耐湿性及び難燃性の全てにバランスが取れて高信頼性を有し、電子部品等に好適な製品が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る熱硬化性絶縁樹脂組成物(以下、単に絶縁樹脂組成物とも云う)は、上記のような酸性置換基及び不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A)、エポキシ樹脂(B)及び化学粗化可能な化合物(C)、さらに、所望により、エポキシ樹脂の硬化剤及び/又は硬化促進剤(D)、リン化合物(E)及び無機充填材(F)を含有するものである。
先ず、本発明における硬化剤(A)には、下記の(a)、(b)、及び(c)の化合物を必要により有機溶媒中で加熱・保温しながら攪拌し、反応させて得られ、酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する化合物が使用される。
(a)一般式(I)に示す分子主鎖中にビフェニル骨格を有するジアミン化合物、
Figure 0005407679
〔式(I)中、R1及びR2は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、又はスルホン酸基を示し、x、yは各々独立に0〜4の整数である。〕
(b)分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、
(c)モノアミン化合物。
なお、(a)、(b)、及び(c)の化合物の少なくとも一つに酸性置換基を含有する化合物を使用する。
上記の一般式(I)に示す(a)成分の分子主鎖中にビフェニル骨格を有するジアミン化合物としては、例えば、4,4'−ジアミノビフェニル(ベンジジンとも云う)、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル−6,6'−ジスルホン酸、2,2',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−トリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2',6,6'−テトラメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2',6,6'−テトラトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、o‐ジアニシジン、o‐トリジン等が挙げられ,これらの中で、良好な反応性や耐熱性を有するベンジジン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、o‐ジアニシジン、o‐トリジンが好ましく、更に低熱膨張性を有するベンジジン、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、o‐ジアニシジン、o‐トリジンがより好ましく、溶剤への溶解性の点から、3,3'−ジヒドロキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、o‐トリジンが特に好ましい。
本発明に使用される(b)の化合物である、分子構造中に少なくとも2個の不飽和N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物は、例えば、N,N'−エチレンビスマレイミド、N,N'−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N'−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N'−[1,3−(2−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N'−[1,3−(4−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N'−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2-ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル] −1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、2,2'−ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミドなどが挙げられ、これらのマレイミド化合物は、単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中で、反応率が高く、より高耐熱性化できるビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、N,N'−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、安価である点からビス(4−マレイミドフェニル)メタン、N,N'−(1,3−フェニレン)ビスマレイミドがより好ましく、溶剤への溶解性の点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンが特に好ましい。
本発明に使用される(c)の化合物である、モノアミン化合物としては、前記(a)または(b)成分が分子構造中に酸性置換基を有しない場合は、酸性置換基を有するモノアミン化合物とする。このようなモノアミン化合物としては、例えば、(o‐,m‐,p‐)(この表記はo‐、m-またはp−を表す。)アミノフェノール、(o‐,m‐,p‐)アミノ安息香酸、(o‐,m‐,p‐)アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリンなどが挙げられるが、低熱膨張性や溶解性の点から、(o‐,m‐,p‐)アミノフェノールが特に好ましい。
一方、前記(a)または(b)の化合物が分子構造中に酸性置換基を有する場合は、モノアミン化合物(c)としては、特に酸性置換基を有していても、有していなくても良く、たとえば、アニリン、(o‐,m‐,p‐)メチルアニリン、(o‐,m‐,p‐)エチルアニリン、(o‐,m‐,p‐)ビニルアニリン、(o‐,m‐,p‐)アリルアニリンなどのモノアミン化合物を使用することもできる。
以上の(a)、(b)、及び(c)の化合物を有機溶媒中で反応させる際、反応温度は70〜200℃であることが好ましく、70〜160℃であることがさらに好ましい。
反応時間は0.1〜10時間であることが好ましく、1〜6時間であることがさらに好ましい。
ここで、(a)の芳香族ジアミン化合物と(c)の酸性置換基を有する場合のモノアミン化合物の使用量は、−NH2基当量の総和と、(b)のマレイミド化合物のC=C基当量との関係が、
0.1≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦10.0
に示す範囲になることが好ましい。より好ましくは、この関係が、
1.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦9.0、特に好ましくは、
2.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦8.0
の範囲とする。
該当量比を0.1以上とすることによりゲル化及び耐熱性が低下することがなく、又、10.0以下とすることにより有機溶剤への溶解性、接着性、及び耐熱性が低下することがない。
この反応で使用される有機溶媒は特に制限されないが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチルエステルやγ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトンが好ましく、低毒性であることや揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
有機溶媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)成分の総和100質量部当たり、25〜1000質量部とすることが好ましく、40〜700質量部とすることがより好ましい。
有機溶剤の配合量を25質量部以上とすることにより充分な溶解性が得られ、また1000重量部以下とすることにより長時間を要することなしに合成反応を行うことができる。
また、この反応には任意に反応触媒を使用することができる。このような反応触媒の例としては、特に限定されないが、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等があげられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
触媒の添加量は、(b)のビスマレイミド化合物と(c)のアミン化合物との合計質量に対して、0.001〜5質量%が好ましい。
(a)、(b)及び(c)を有機溶媒中で反応させて得られる、酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤(A)の質量平均分子量は、溶解性や機械強度の観点から400〜3500であるのが好ましい。なお本発明における質量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。
次に、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系及びアルコール系等のグリシジルエーテル、グリシジルアミン系並びにグリシジルエステル系等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用することができる。具体的には、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び銅箔接着性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましく、良好な低熱膨張性や高いガラス転移温度を有する点から、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
化学粗化可能な化合物(C)は、デスミア処理によって、後述する絶縁層表面に微細な粗化形状が形成される化合物であれば特に問わないが、架橋ゴム粒子、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、最も好ましくは、架橋ゴム粒子である。
上記の架橋ゴム粒子としては、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス層は、例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。
コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N〔以上、商品名、ガンツ化成(株)製〕、メタブレンKW−4426〔商品名、三菱レイヨン(株)製〕、EXL−2655〔商品名:ローム・アンド・ハース(株)製〕等が挙げられる。架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91〔JSR(株)製:平均粒径0.5μm〕などが挙げられる。架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500〔JSR(株)製:平均粒径0.5μm〕などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.2μm)〔以上、三菱レイヨン(株)製〕を挙げることができる。架橋ゴム粒子は、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
配合するゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2〜0.6μmの範囲である。本発明で使用されるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音
波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー〔FPAR−1000;大塚電子(株)製〕を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均
粒径とすることで測定することができる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、その種類、水酸基量、アセチル基量は特に限定されないが、重合度は1000〜2500のものが好ましい。この範囲にあると、はんだ耐熱性が確保でき、また、ワニスの粘度、取り扱い性も良好である。ここでポリビニルアセタール樹脂の数平均重合度は、たとえば、その原料であるポリ酢酸ビニルの数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定する)から決定することができる。また、カルボン酸変性品などを用いることもできる。
ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、積水化学工業(株)製の商品名、エスレックBX−1、BX−2、BX−5、BX−55、BX−7、BH−3、BH−S、KS−3Z、KS−5、KS−5Z、KS−8、KS−23Z、電気化学工業(株)製の商品名、電化ブチラール4000−2、5000A、6000C、6000EP等を使用することができる。これらの樹脂は単独で、または2種類以上混合して用いることもできる。
本発明の硬化性絶縁樹脂組成物には、硬化剤(A)以外にも任意にエポキシ樹脂硬化剤及び/又は硬化促進剤(D)を併用することができる。
エポキシ樹脂硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化作用があれば特に限定されるものではないが、例としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体等の酸無水物、ジシアンジアミド等のアミン化合物、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、アミノトリアジンノボラック樹脂等のフェノール化合物等が挙げられる。これらの中で、硬化性と低熱膨張性の観点からジシアンジアミド、クレゾールノボラック、アミノトリアジンノボラックが好ましく、難燃性や接着性が向上することからジシアンジアミド、アミノトリアジンノボラック樹脂が特に好ましい。上記の、任意成分としてのエポキシ樹脂の硬化剤は1種又は2種以上を混合して使用できる。
また、硬化促進剤としては、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
難燃性を付与するためのリン化合物(E)としては、例えば、リン含有エポキシ樹脂、リン含有フェノール樹脂、フェノキシホスファゼン化合物、縮合型リン酸エステル化合物、ジホスフィン酸塩等が挙げられる。特にこれらを併用することが有効である。
本発明の硬化性絶縁樹脂組成物は、固形分換算の(A)(B)(D)(E)成分(以下、樹脂成分とも云う)の合計量100質量部として、次のようにすることが好ましい。
(A)成分は20〜95質量部とすることが好ましく、40〜90質量部とすることがより好ましい。(B)成分は5〜80質量部とすることが好ましく、5〜60質量部とすることがより好ましい。(C)成分は0.5〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは、最も好ましくは0.5〜2質量部である。(C)成分の含有量を0.5質量部以上とすることにより、絶縁樹脂層と導体層の接着強度が高くなり、5質量部以下とすることにより、配線間の絶縁信頼性が不十分になることがない。(D)成分は0〜50質量部とすることが好ましく、0〜30質量部とすることがより好ましい。
本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物における(E)成分は、リン原子の含有率が絶縁樹脂組成物中で0.1〜3.0質量部であることが好ましく、0.2〜3.0質量部であることがより好ましく、0.5〜3.0質量部が特に好ましい。
リン原子含有率が低いと難燃性が不足するため、(A)成分の含有量を高くすることで窒素原子含有率を高くし、難燃性を付与する必要がある。
(A)〜(E)成分の含有量を上記範囲とすることで、本発明の特徴である、低熱膨張で耐熱性が高く、難燃性や吸湿性などでバランスが取れ、高信頼性を有する多層プリント配線板用の熱硬化性絶縁樹脂組成物が得られる。
本発明の絶縁樹脂組成物では、絶縁樹脂層の熱膨張率を低下させるために無機充填材(F)を含有させることが好ましい。無機充填材(F)の例としては、シリカ、マイカ、タルク、ガラス短繊維又は微粉末及び中空ガラス、三酸化アンチモン、炭酸カルシウム、石英粉末、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、これらの中で誘電特性、耐熱性、難燃性の点からシリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、低熱膨張性であることからシリカ、水酸化アルミニウムがより好ましい。また、下層配線層を埋めこむために、多層プリント配線板用の接着フィルムには、高い流動性が求められる。よって、無機充填材は球状であることが、流動性の観点から望ましい。
無機充填材(H)の含有量は、樹脂成分合計量100質量部に対し、10〜45質量部であることが好ましく、より好ましくは、25〜40質量部である。無機充填材を10質量部以上とすることにより硬化後の絶縁樹脂層の低熱膨張率が低下する。また、配合量が40質量部以下とすることにより、絶縁樹脂層がもろくなり、温度サイクル試験などでクラックが発生することがない。
これらの無機充填材は、分散性を高める目的でカップリング剤で処理することができ、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練方法により無機充填材を分散できる。
無機充填材の平均粒径は、配線の微細化が進むことを考慮すると、1μm以下が望ましく、0.5μm以下がより好ましい。1μm以上の無機充填材は、後述するデスミア工程後の表面凹凸を大きくするために、エッチング残りが発生し、絶縁性を不十分にするおそれがある。
さらに、本発明の絶縁樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意に公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、難燃剤、有機充填剤等の併用ができる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
エラストマーの例としては、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
難燃剤の例としては、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の無機物の難燃剤等が挙げられる。
有機充填剤の例としては、シリコーンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、並びにポリフェニレンエーテル等の有機物粉末等が挙げられる。
本発明の絶縁樹脂組成物に対して、任意に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び密着性向上剤等の添加も可能であり、特に限定されない。これらの例としては、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系やスチレン化フェノール等の酸化防止剤、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤、スチルベン誘導体等の蛍光増白剤、尿素シラン等の尿素化合物やシランカップリング剤等の密着性向上剤等が挙げられる。
なお、本発明の支持体付絶縁フィルム及びプリプレグに用いられる絶縁樹脂組成物には、希釈溶剤として有機溶剤を任意に使用することができる。該有機溶剤は特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ等のアルコール系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
本発明の絶縁樹脂組成物は、多層プリント配線板の製造において、絶縁樹脂層を形成するために好適に使用することができる。本発明の絶縁樹脂組成物は、ワニス状態で回路基板に塗布して絶縁樹脂層を形成することもできるが、工業的には一般に、支持体付絶縁フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料の形態で用いるのが好ましい。
本発明の支持体付絶縁フィルムは、(A)、(B)及び(C)成分を配合した絶縁樹脂組成物、又は更に(D)(E)(F)成分を加えた絶縁樹脂組成物を、支持体フィルムに塗布し、乾燥によってワニス中の溶剤を揮発させ、半硬化(Bステージ化)させて絶縁樹脂組成物層を形成したものである。ただし、この半硬化状態は、絶縁樹脂組成物を硬化する際に、絶縁樹脂層とそれを形成する回路パターン基板の接着力が確保される範囲で、また、回路パターン基板の埋めこみ性(流動性)が確保される範囲であることが望ましい。塗工方法(塗工機)としては、ダイコーター、コンマコータ、バーコータ、キスコータ、ロールコーター等が利用でき、絶縁樹脂層の厚みによって適宜使用される。乾燥方法としては、加熱、あるいは熱風吹きつけなどを用いることができる。
乾燥条件は特に限定されないが、該絶縁樹脂組成物層への有機溶剤の含有量が通常の10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。ワニス中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることにより、絶縁樹脂組成物層の半硬化状態のフィルムが形成される。乾燥条件は、予め簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することが好ましい。
支持体付絶縁フィルムにおいて形成される絶縁樹脂組成物層の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは5〜70μmであることが好ましく、プリント配線板の軽薄短小化のために、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが最も好ましい。
支持体付絶縁フィルムにおける支持は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドなどからなるフィルム、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持体及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理の他、離型処理が施してもよい。
支持体の厚さは特に限定されないが、10〜150μmが好ましく、より好ましくは25〜50μmである。絶縁樹脂組成物層の支持体が密着していない面には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば1〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、異物混入を防止することができる。
支持体付絶縁フィルムは、ロール状に巻き取って貯蔵することもできる。
本発明の支持体付絶縁フィルムを用いて積層板を形成し、多層プリント配線板を製造する方法の形態としては、例えば、支持体付絶縁フィルムを、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする。回路基板に用いられる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる積層板及び該積層板から製造される多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理等により予め粗化処理が施されていてもよい。
上記ラミネートにおいて、支持体付絶縁フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて支持体付絶縁フィルム及び回路基板をプレヒートし、接着フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本発明の支持体付絶縁フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネート条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは0.1〜1.1MPaとし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
支持体付絶縁フィルムを回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁樹脂層を形成することができる。熱硬化の条件は、絶縁樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分〜180分、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。
絶縁樹脂層を形成した後、硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次いで必要により、回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけが最も一般的な方法である。
次いで、乾式メッキ又は湿式メッキにより絶縁樹脂層上に導体層を形成する。乾式メッキとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式メッキの場合は、まず、硬化した絶縁樹脂組成物層の表面を、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤で粗化処理し、凸凹のアンカーを形成する。酸化剤としては、特に過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)が好ましく用いられる。次いで、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。その後のパターン形成の方法として、例えば、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。
本発明のプリプレグは、本発明の絶縁樹脂組成物が繊維シート状補強基材に含浸されているものであり、本発明の絶縁樹脂組成物を繊維シート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸した後、加熱してBステージ化することによる製造される。
繊維シート状補強基材としては、例えば、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びポリテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
上記のホットメルト法は、樹脂を有機溶剤に溶解することなく、該樹脂との剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、あるいは樹脂を、有機溶剤に溶解することなく、ダイコーターによりシート状補強基材に直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。またソルベント法は、接着フィルムと同様にして樹脂を有機溶剤に溶解して樹脂ワニスを調製し、このワニスにシート状補強基材を浸漬し、樹脂ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
次に、上記のようにして製造したプリプレグを用いて多層プリント配線板を製造する方法として、例えば、回路基板に本発明のプリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートで挟み、加圧・加熱条件下でプレス積層する。加圧・加熱条件は、好ましくは、圧力が0.5〜4MPa、温度が120〜200℃で20〜100分である。また支持体付絶縁フィルムと同様に、プリプレグを真空ラミネート法により回路基板にラミネートした後、加熱硬化することも可能である。得られた積層板は、その後、上記で記載した方法と同様にして、硬化したプリプレグ表面を粗化した後、導体層をメッキにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例で得られた支持体付絶縁フィルムの絶縁樹脂層と銅張積層板は、以下の方法により性能を測定・評価した。
(1)ガラス転移温度(Tg)及び熱膨張率
支持体付絶縁フィルムの絶縁樹脂層を、銅箔〔F3−WS−18,商品名,古河サーキットフォイル(株)社製〕に向かい合わせてラミネートし、PETフィルムを剥離し、180℃で90分間硬化した。その後、銅箔を全面エッチングして、硬化後の絶縁樹脂層の熱膨張係数を評価する試料を作製した。
得られたシート状の硬化物を、長さ20mm、幅3mmに切断し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用いて、昇温速度10℃/分、測定長15mm、加重5g、引張加重法で連続して2回測定した。2回目の測定におけるガラス転移温度(Tg)、30〜120℃までの平均線熱膨張率を算出した。
(2)メッキ密着強度
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板〔日立化成工業(株)製、商品名:MCL−E−679F、銅箔厚さ:12μm〕の両面をメック(株)製「CZ8100」(商品名)を用いて粗化処理を行った。
支持体付絶縁フィルムを、上記で粗化処理を行った回路基板の両面にラミネートした。ラミネートは30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、圧力0.5MPaでプレスすることにより行った。
ラミネートされた支持体付絶縁フィルムからPETフィルムを剥離し、180℃、60分の硬化条件で絶縁樹脂組成物層を硬化して、絶縁樹脂層を形成した。
次いで、積層板をデスミア処理液に浸漬することによって、絶縁樹脂層表面に微細な凹凸を形成した。セミアディティブ工法によるメッキを行い、積層板を銅エッチング液に浸漬することにより3mm幅のメッキ銅箔を形成して評価基板を作製し、オートグラフ(島津製作所製AG−100C)を用いてメッキ密着強度を測定した。
(3)はんだ耐熱性
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、2atmの条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。
(4)銅付き耐熱性(T−288)
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、圧縮法により288℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。
(5)吸湿性(吸水率)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、2atmの条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、評価基板の吸水率を測定した。
(6)難燃性の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した試験片を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
製造例1:硬化剤(A−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、o‐トリジン:35.80gと、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:469.50gと、p−アミノフェノール:35.70g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、100℃で2時間反応させて分子主鎖中にビフェニル骨格を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−1)の溶液を得た。
製造例2:硬化剤(A−2)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル:23.10gと、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:463.60gと、アニリン:20.30g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、100℃で2時間反応させて分子主鎖中にビフェニル骨格を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−2)の溶液を得た。
製造例3:硬化剤(A−3)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル:42.90gと、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン:453.90gと、p−アミノフェノール:43.20g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、100℃で2時間反応させて分子主鎖中にスルホン基とビフェニル骨格を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−3)の溶液を得た。
製造例4:硬化剤(A−4)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、o‐トリジン:45.20gと、m−フェニレンビスマレイミド:449.10gと、p−アミノフェノール:45.70g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、100℃で2時間反応させて分子主鎖中にビフェニル骨格を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−4)の溶液を得た。
製造例5:硬化剤(A−5)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル:38.60gと、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:478.50gと、p−アミノフェノール:22.90g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:360.00gを入れ、還流温度で2時間反応させて分子主鎖中にスルホン基とビフェニル骨格を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−5)の溶液を得た。
製造例6:硬化剤(A−6)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル:69.10gと、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン:429.90gと、p−アミノフェノール:41.00g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:360.00gを入れ、還流温度で2時間反応させて分子主鎖中にスルホン基とビフェニル骨格を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−6)の溶液を得た。
製造例7:硬化剤の製造(A−7)
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル:32.20gと、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド:475.20gと、p−アミノフェノール:32.60g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、100℃で2時間反応させて分子主鎖中にビフェニル骨格を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−7)の溶液を得た。
製造例8:硬化剤の製造(A−8)
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、o‐ジアニシジン:36.70gと、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド:471.10gと、p−アミノフェノール:32.20g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、100℃で2時間反応させて分子主鎖中にビフェニル骨格を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−8)の溶液を得た。
比較製造例1:硬化剤(A−9)の製造
特公昭63−34899号の実施例を参考にし、蒸気加熱装置を付けた容積1リットルのニーダーに、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:358.00gとm−アミノフェノール:54.50gを入れ、135〜140℃で15分間加熱混練した後冷却し、粉砕して酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−9)の粉末を得た。
比較製造例2:硬化剤(A−10)の製造
特公平6−8342号の実施例を参考にし、蒸気加熱装置を付けた容積1リットルのニーダーに、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:358.00gとm−アミノ安息香酸:68.50gを入れ、135〜140℃で15分間加熱混練した後冷却し、粉砕して酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−10)の粉末を得た。
比較製造例3:硬化剤(A−11)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ジアミノジフェニルメタン:32.60gと、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:471.50gと、p−アミノフェノール:35.90g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、100℃で2時間反応させ、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−11)の溶液を得た。
比較製造例4:硬化剤(A−12)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン:63.40gと、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:471.20gと、p−アミノフェノール:33.70g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、100℃で2時間反応させ、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−12)の溶液を得た。
実施例1〜12、比較例1〜6
(A)硬化剤として、製造例1〜8及び比較製造例1〜4で得られた硬化剤の溶液、
(B)エポキシ樹脂として、2官能ナフタレン型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名、HP−4032D〕、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂〔日本化薬(株)製、商品名:NC−3000−H〕、
(C)化学粗化可能な化合物として、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子〔JSR(株)製、商品名:XER−91〕、コアシェル型ゴム粒子〔商品名、ローム・アンド・ハーム(株)製、商品名:XEL−2655〕及びポリビニルアセタール樹脂〔積水化学(株)製、商品名:KS-23Z〕を使用した。
(D)エポキシ樹脂硬化剤として、アミノトリアジンノボラック樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:LA−3018〕、硬化促進剤として、イミダゾール誘導体〔第一工業製薬(株)、商品名:G8009L〕、
(E)難燃性を付与するリン化合物として、リン含有フェノール樹脂〔三光化学(株)製、商品名:HCA−HQ〕、
(F)無機充填材として、溶融シリカ〔アドマテック(株)製、商品名:SC1050〕を使用し、
また、希釈溶剤にメチルエチルケトンを使用して第1表〜第3表に示した配合割合(質量部)で混合して樹脂分(樹脂成分の合計)65質量%の均一な絶縁樹脂組成物ワニスを作製した。
次に、絶縁樹脂組成物ワニスをポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm、以下PETフィルムと称す)上に、乾燥後の絶縁樹脂組成物層の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、100℃で6分間乾燥した。次いで、絶縁樹脂組成物層の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。得られたロール状のフィルムを幅507mmにスリットし、507×336mmサイズのシート状の支持体付絶縁フィルムを製造した。
また、絶縁樹脂組成物ワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度185℃で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
このようにして作製した支持体付絶縁フィルムの絶縁樹脂層及び銅張積層板について、前記の方法によりにより性能を測定・評価した。結果を第1表〜第3表に示す。
Figure 0005407679
Figure 0005407679
Figure 0005407679
第1表〜第3表から明らかなように、本発明に係る実施例の絶縁樹脂組成物では、熱膨張率が28〜34ppm/℃と低熱膨張性を有し、ガラス転移温度(Tg)が240〜270℃と高く耐熱性が良好であり、メッキ密着強度も比較例に比べ著しく高い。
また、実施例の絶縁樹脂組成物から得られる銅張積層板は、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性(T−288)、耐湿性及び難燃性の全てにバランスが取れており、高信頼性を有する。
一方、比較例の熱硬化性樹脂組成物から得られる銅張積層板では、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性(T−288)、耐湿性及び難燃性のいずれかの特性に劣っており、信頼性が低い。

Claims (8)

  1. 下記の(a)、(b)及び(c)を反応させて得られる、酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤(A)、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)及び化学粗化可能な化合物(C)を含有し、化学粗化可能な化合物(C)が架橋ゴム粒子とポリビニルアセタール樹脂のうち少なくとも一方であることを特徴とする熱硬化性絶縁樹脂組成物。
    (a)一般式(I)に示す分子主鎖中にビフェニル骨格を有するジアミン化合物、又は4
    ,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、
    Figure 0005407679
    〔式(I)中、R1及びR2は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、又はスルホン酸基を示し、x、yは各々独立に0〜4の整数である。〕
    (b)分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、
    (c)モノアミン化合物
  2. 架橋ゴム粒子が、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子から選択される少なくとも一種である請求項に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
  3. さらに、エポキシ樹脂の硬化剤及び/又は硬化促進剤(D)を含有する請求項1又は2に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
  4. 樹脂成分合計量100質量部に対し、10〜45質量部の無機充填材(F)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されていることを特徴とする支持体付絶縁フィルム。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物が繊維シート状補強基材中に含浸されていることを特徴とするプリプレグ。
  7. 絶縁樹脂層が、(1)請求項1〜のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物、(2)請求項に記載の支持体付絶縁フィルム、(3)請求項に記載のプリプレグの何れかを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。
  8. 請求項に記載の積層板を用いて製造されてなることを特徴とする多層プリント配線板。
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