JP5483926B2 - 塗り壁用コーナー材 - Google Patents

Description

本発明は、建物の壁面等の仕上げに際し、コーナー部（出隅）に取り付けて、塗り壁を好ましい厚みに容易に施工できるようにするとともに、該コーナー部の仕上げを良好なものとするために使用するコーナー材に関するものである。

建物の壁面の仕上げは、石膏ボード等の壁下地材の表面に壁紙、布地、合成樹脂クロス等を貼り付ける乾式仕上げ方法や、壁土、ケイソウ土、モルタル等の壁材を塗り付ける湿式仕上げ方法により行われている。石膏ボード等の壁下地材の表面に凹凸がある場合は、予めパテ等で平坦な表面に仕上げてから施工しているが、出隅部分等のコーナー部は、尖った稜線部分があるため、パテ等による先仕上げが困難であった。

建物の壁面の出隅部分を平坦に先仕上げするために、厚さ１ミリメ−トル以下、幅２ミリメ−トル以下の軟質合成樹脂製蝶番部の長手方向左右両側に、１ミリメ−トル以下の肉厚を有する硬質合成樹脂製の平板を一体に連結し、該平板には適数の孔を穿設したコーナー材が開発されている（特許文献１参照）。このコーナー材は、蝶番部を建物のコ−ナ−部に当てがい、この部分を直角に屈曲させて左右両側の平板をそれぞれ壁面に接着剤で貼りつけることにより、該コーナー部の壁面を平坦化するものである。このコーナー材は、表裏反転して使用することにより、出隅部分と入隅部分の施工を行うことができるとされている。

この特許文献１に記載のコーナー材は、出隅部分の凹凸の多い下地面を手軽に平坦化することができる便利なものであるが、折り曲げ用の蝶番部が薄くて柔らかい材質で作られているため、該蝶番部の強度が弱く、出隅に使用した時はコーナー部のエッジ部の強度が弱くなり、この部分に他の物体が衝突した時に容易に変形や損傷が生じるという問題点があった。

上記のような変形や損傷が生じにくいものとして、蝶番部を設けず、硬質の平板をその長手方向に沿う中心線でほぼ直角に屈曲させた形状のものが実用化されている。このものは、合成樹脂を予め断面Ｌ型の屈曲形状に押し出し成形した後、該屈曲した両側の平板部にそれぞれ粘着テープ（両面テープ）を貼り付けて穿孔することにより製造されるが、平板部が互いに直角に屈曲したままであるので、一方の平板部へのテープ貼着や穿孔を行なう時に他方の平板部が邪魔になり、能率的にテープ貼着や穿孔を行うことができず、製造工程が複雑になるという問題点があった。

上記従来のコーナー材の問題点を解決し、屈曲部の強度が高く、かつ製造が容易な断面Ｌ型のコーナー材が特許出願されている（特許文献２参照）。この特許文献２に記載のコーナー材の実施品は、平板部として合成樹脂板が使用されているので、強度が高く、製造も容易であり、壁紙やクロス等の下地として使用するに適したものである。

また、同様な用途に使用されるコーナー材として、特許文献３に示すコーナー材が開発されている。この新しいコーナー材は、所定の幅と厚みを有する紙シートの左右中央部に、該紙シートの中心線に沿って折り目を形成し、この折り目の左右両側の平板部に、表裏に貫通する複数の通孔をそれぞれ分散穿孔したものである。このコーナー材は、材質が紙であるから、湿式仕上げに際して壁土等、壁材の水分がコーナー材に吸収される結果、他の部分と乾燥速度がそれほど変わらずにすみ、色むら等が発生しにくく、しかも材質が紙であるから、適度の腰の強さと塑性変形能を有しており、使い勝手がよく、下地の凹凸に対する適応性や、湿式仕上げ材の付着性に優れているとされている。

実公昭６２−４００３０号公報 特開平０９−３０２８８８号公報 特開２００４−３４６６１１号公報

ところで、壁土等の壁仕上材（以下、「壁材」と略すこともある）を塗り付ける湿式仕上げ法では、塗り付ける壁材の厚みを所定の好ましい厚みに調節するのが困難であり、施工に熟練を要していた。また、仕上がったコーナー部の表面部分が壁材だけで形成されることになるため、強度が低く、損傷し易いという問題点があった。さらに、下地となる石膏ボードの表面にコーナー材を接着剤で貼り付けるが、コーナー材がうまく貼り付けられなかったときに該コーナー材を一旦剥がして再度貼り付けようとすると、石膏ボードの表面を覆う紙シートが引き剥がされるという問題点もあった。そこで、本発明は、塗り付ける壁材の厚みを所定の厚みに容易に調節することができ、コーナー部の補強効果も得られ、しかも一旦貼り付けたコーナー材を剥がしても、下地の紙シートを引き剥がしにくいコーナー材を提供することを課題としている。

上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。即ち、本発明にかかるコーナー材は、表裏に通ずる複数の通孔が分散穿孔された平坦な合成樹脂プレートの中心線に沿って断面Ｖ溝状の折り目を形成し、該折り目を形成した面と反対側の表面側の部分には、該折り目部分から立ちあがる所定高さの突起を該折り目に沿って形成するとともに、前記Ｖ溝状の折り目を形成した裏面側には、該折り目を避けて接着剤層を形成したことを特徴としている。

このコーナー材の作用は次のとおりである。このコーナー材を使用対象となる建物等のコーナー部（出隅）にあてがって、その折り目を中心に折り曲げ、屈曲したプレートの平板部を該コーナー部の両側の面にそれぞれ貼り付ける。この場合、当該平板部の貼り付け面側（裏側）に接着剤（いわゆる粘着剤を含む）を設けておくと便利である。

コーナー部を貼り付けたら、その上面の凹凸や段部をパテ等の均し材を用いて滑らかに均し、さらにその上に湿式壁材を塗り付ける。このとき、折り目部の突起（起立片）が隠れるまで壁材を塗り付けることにより、塗り壁の厚みを所定の厚みにすることができる。

このコーナー材は、折り目部に設けた突起を目安として、これが隠れるまで壁材を塗り付けることにより、当該壁材層の厚みを簡単に所定の好ましい厚みにすることができる。このため、特別な熟練を必要とせずに所定厚みの壁材層を正確かつ容易に形成することができるのである。また、仕上がった塗り壁のコーナー部に上記突起が芯材として存在するので、コーナー部の強度も高い。さらに、平板部には複数の通孔が分散形成されていて、この通孔部分は下地材に接着しないので、接着面積が小さくなり、うまく貼り付けられなかったコーナー材を引き剥がすときに、下地の紙シートを引き剥がしにくい。

上記折り目はＶ溝状に形成されているので、折り曲げは容易であり、しかもこのＶ溝状の折り目の反対側面（表面側）には突起が形成されているので、Ｖ溝状の折り目を形成しても溝底部の肉厚はそれほど減少せず、強度の低下を防止できる。なお、請求項２に記載のように、このコーナー材の外縁部を断面楔状に形成して、肉厚を外に向かって徐々に薄くしておくことにより、壁表面に段差が生じにくく、より美麗な仕上げを得ることができる。

以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。このコーナー材１は、左右一対の細長い合成樹脂プレートからなる平板部３、４と、同様な合成樹脂で形成された折り目部２とで構成される。左右一対の合成樹脂プレートからなる平板部３は、折り目部２を介して接続一体化されており、コーナー材１の幅方向の中央部に、長手方向に沿って折り目２が形成された形状となっている。折り目部２の裏面側（出隅に貼り付けられる側）には、図２に示すように、断面凹状の筋２ａが形成されている。折り目部２の左右両側の平板部３，４には、表裏に貫通する多数の円形の通孔５，…が規則正しく分散穿孔されている。この通孔５は施工時に表裏に塗られたパテや壁土等が平板部を挟んで一体化するための流通孔で、直径３〜５ミリメートル程度の円形孔とするのが好ましいが、角孔や異形の孔であってもよく、大きさも使用条件に応じて適当なものとすればよい。

このコーナー材１の幅は数十ｍｍ（例えば、折り目部２によって区分される一方の平板部の幅が３０〜５０ｍｍ程度）であり、平板部の厚みは０．５〜２ｍｍ程度とするのが好ましい。この厚みが大き過ぎると、他の部分に比べて仕上げ表面が盛り上がるので好ましくない。逆に薄過ぎると、強度（いわゆる腰の強さ）が不十分となり、使い勝手が悪くなる。

コーナー材１の外縁部６は、図２に示すように、外に向かって徐々に肉厚が薄くなる断面楔状に形成されている。このため、この部分の壁装材の表面に大きな段差が生じにくい。なお、コーナー材１の材質は、適度の強度を有し、入手性も良好なポリスチレン、塩ビ、ポリプロピレン、ポリスチレン、ＡＢＳ樹脂等の合成樹脂とするのが好ましく、実用上は、ポリスチレンが特に好ましかった。合成樹脂材料として、再生材料を使用することができるので、環境保持にも効果的である。

折り目部２の表面側（壁土等の壁材が塗られる側）には、突起（起立片）７が一体成形されている。この突起７の高さｈは、１〜５ｍｍとするのが好ましく、２〜４ｍｍとするのがより好ましい。具体的には、この高さｈは塗り壁材層の厚みに応じて設定すればよく、通常の場合は３ｍｍとするのが好ましかった。また、突起７の肉厚ｄは、１〜２ｍｍとするのが好ましい。この厚みが大きすぎると、コーナー部の仕上がりが悪くなり易く、逆に小さ過ぎると強度的に弱くなるので、何れも好ましくない。なお、この突起７の先端部も図２に示すように、先端側が次第に薄くなるような断面概略楔状に形成しておくのが好ましい。

コーナー材１の裏面側には、図2に示すように、Ｖ溝状の折り目2ａを避けた平板部分に全面にわたって粘着剤が塗布されている。このように裏面側に粘着剤層９を設けておくと、壁下地材に取付けるのが簡単であるので好ましい。なお、粘着剤層９を設けておく場合は、その表面を離型紙１０でカバーしておけばよい。

このコーナー材１は、所望の合成樹脂シートを用いて連続的に一体成形することができる。成形後は通孔５を穿孔するが、この場合、上記粘着剤層９を形成し、該粘着剤層９の上に離型紙１０を貼り付けた後に穿孔すればよい。得られた長尺のベルト状の成形体をロール状に巻いておき、現場で適当な長さに切り出して使用するのが便利である。

次に、このコーナー材１を用いて建物のコーナー部Ｃを平坦化する場合について例示すると、まず、ロール状に巻かれているコーナー材１を適当な長さに切断し、接着剤層をカバーしている被覆紙（離型紙）１０を剥して接着剤層を露出させ、該露出した接着剤層を壁材に向けてコーナー部に貼り付ける（図３参照）。このコーナー材１は、中央部に設けられている折り目２を中心として簡単に折り曲げることができるので、下地の形状に適合させやすい。

このコーナー材１を壁等のコーナー部Ｃに取り付けたら、必要に応じてその上にパテ等の均し材２０を塗って平坦化し（パテを塗らなくてもよい場合もある）、その上から湿式の壁材（壁仕上材）３０を塗り付ける。パテの下地として、図６に示すように、ネット状のシート（例えば四国化成工業株式会社製，商品名j−ファイバーテープ）からなる補強材４０を貼り付けた上からパテを塗り付けるのが好ましい。通常のパテのほかに、カーボン繊維を練った壁材（例えば四国化成工業株式会社製、商品名カーボンプラスター）等の塑性材を使用することができる。

壁のコーナー部にコーナー材１を取り付け、パテ等の均し材を塗り付けたら、その上から壁土等の湿式壁材を塗り付ける。このとき、コーナー材１の突起７がうまく隠れる程度の厚みに塗り付ける。これにより、当該突起７の高さを目安として簡単に所定厚みの壁材層を形成することができるのである。

本発明の１実施形態をあらわす展開状態における平面図である。 図１におけるＡ−Ａ断面図である。 出隅にコーナー材を取り付けた状態を表わす断面図である。 均し材を塗り付けた状態を表す断面図である。 壁材を塗布し状態を表わす断面図である。 ネットシートからなる補強材を貼り付けた状態を表わす断面図である。

１ コーナー材
２ 折り目部
３ 平板部
４ 平板部
５ 通孔
７ 突起（起立片）
９ 粘着剤層
１０ 離型紙

Claims (2)

1. 表裏に通ずる複数の通孔が分散穿孔された平坦な合成樹脂プレートの裏側面に長手方向の中心線に沿って断面Ｖ溝状の折り目を形成し、該折り目を形成した面と反対側の表面側には、該折り目の形成部分から立ちあがる所定高さの突起を該折り目に沿って形成するとともに、前記Ｖ溝状の折り目を形成した裏面側には、該折り目を避けて接着剤層を形成した
   ことを特徴とするコーナー材。
2. プレートの外縁部が断面楔状に形成されている請求項1に記載のコーナー材。

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