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JP5472751B2 - 高圧ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンに用いられる高圧ポンプに関する。
従来、エンジンへ燃料を供給する燃料供給装置は、高圧燃料を圧送する高圧ポンプ、高圧ポンプから圧送された高圧燃料を蓄積する燃料レール、及び燃料レールに接続され高圧燃料を噴射する燃料噴射弁等から構成されている。ここで、例えば高圧ポンプの吸入弁や吐出弁の故障または温度上昇等によって燃料レール内の圧力が許容範囲を超えて異常高圧となる場合が考えられる。このような場合、所定のリリーフ圧以上の過剰圧をリターン通路に逃がすリリーフ弁を備えることで、燃料噴射弁等の破損を防止する高圧ポンプが知られている。
特許文献1の高圧ポンプは、加圧室の燃料を吐出弁を経由して吐出口に圧送する吐出通路と、燃料レール(特許文献1の「燃料集合管路」に相当する。)の過剰圧の燃料を吐出口からリリーフ弁を経由して加圧室に戻すリリーフ通路とが並列に配置されている。そのため、燃料吐出時、加圧室の燃圧は吐出弁を開弁させる方向に作用するとともに、リリーフ弁をシート部に当接させる方向に作用する。したがって、吐出時に加圧室の燃圧がリリーフ開弁圧を超えたときでもリリーフ弁は開弁しない。これにより、吐出燃料の一部がリリーフ弁から流出することを防止し、調量の精度を確保する。
ところが、特許文献1の高圧ポンプは、吐出弁が収容される穴とリリーフ弁が収容される穴とをそれぞれハウジングに加工しており、高圧シールが必要となる箇所が多くなる。
そこで、特許文献2の高圧ポンプは、吐出弁が収容される穴とリリーフ弁が収容される穴とを、1つの大きな穴(チャンバー)の底に別々に加工した後、大きな穴の開口に吐出コネクタを接合している。これにより、高圧シールが必要な箇所を低減する。
一方、特許文献3の高圧ポンプは、リリーフ弁を開放したとき、燃料を加圧室でなく、低圧領域に戻す。また、吐出時に、吐出弁のリフトに伴って吐出口からリリーフ弁へのリリーフ通路を閉鎖する。これにより、加圧室の燃圧がリリーフ弁開弁圧を超えたとき、リリーフ弁が開弁して吐出燃料の一部が流出することを防止し、調量の精度を確保する。
特開2004−138062号公報 米国特許第7401593B2号明細書 特開2010−174903号公報
特許文献1、2の高圧ポンプは、吐出通路とリリーフ通路とが並列に配置され、共に加圧室に連通している。そのため、加圧行程において、本来加圧されるべき加圧室の燃料に加え、吐出通路の吐出弁の加圧室側の容積、及びリリーフ通路のリリーフ弁の加圧室側の容積分の燃料が同時に加圧されることとなる。すなわち、特許文献1、2の高圧ポンプでは、この加圧室以外の加圧される容積である「デッドボリューム」が増大する。デッドボリュームの増大は、高圧ポンプの吐出効率を低下させる。
これに対し、特許文献3の高圧ポンプの構成は、デッドボリュームを増加させることはない。しかし、吐出弁の構成が複雑であり、高い加工精度が要求されるため、製造コストが増大する。
さらに、特許文献1、2、3の高圧ポンプは、いずれも吐出弁とリリーフ弁とがそれぞれ別の通路内に設けられており、両方の弁の収容部をハウジングに加工する必要がある。また、両方の弁について組立工程が必要である。よって、ハウジングの体格が大きくなり、製造コストが増大するという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、吐出弁とリリーフ弁との構成を簡素化することでハウジングの体格を小さくし製造コストを低減するとともに、加圧室のデッドボリュームを減少し吐出効率を向上する高圧ポンプを提供することにある。
請求項1に記載の高圧ポンプは、プランジャ、シリンダ、ハウジング、シート部材、吐出弁体、リリーフ弁体、第1付勢手段および第2付勢手段を備える。
シリンダは、プランジャを軸方向に往復移動可能に収容する。
ハウジングは、プランジャにより燃料が加圧される加圧室、加圧室にて加圧された燃料を吐出する吐出口、及び加圧室と吐出口とを連通する吐出通路を有する。
筒状のシート部材は、吐出通路に固定され、加圧室側の端面に第1シート部を有する。
吐出弁体は、シート部材の径方向内側に往復移動可能に収容され、加圧室側の端面に第1受圧部、及び第1受圧部の径方向外側に第1当接部を有し、吐出口側に第2受圧部を有する。
リリーフ弁体は、吐出通路の吐出弁体の加圧室側に設けられ、第1受圧部と対向し加圧室側と吐出口側とを連通する連通路を有し、加圧室側の端面であって連通路の径方向外側に第3受圧部を有し、吐出口側の端面であって連通路の径方向外側に吐出弁体の第1当接部が着座可能な第2シート部、及び、第2シート部の径方向外側にシート部材の第1シート部に着座可能な第2当接部を有する。
第1付勢手段は、リリーフ弁体を吐出口側へ付勢する。
第2付勢手段は、吐出弁体を加圧室側へ付勢する。
ここで、加圧室の燃圧が吐出口の燃圧よりも高いとき、加圧室の燃圧がリリーフ弁体の連通路を経由して吐出弁体の第1受圧部に作用する力である「第1受圧力」に等しい力を「正第1作用力」とする。また、吐出口の燃圧が吐出弁体の第2受圧部に作用する力と、第2付勢手段の付勢力との合力を「逆第2作用力」とする。
すると、正第1作用力が逆第2作用力以下のとき、吐出弁体は、第1当接部がリリーフ弁体の第2シート部に着座して連通路を閉塞する。正第1作用力が逆第2作用力を超えたとき、吐出弁体は、吐出口側へ移動して連通路を開放する。
さらに、吐出口の燃圧が加圧室の燃圧よりも高いとき、吐出口の燃圧をシート部材の内壁の内側面積に乗じた力から第1受圧力を差し引いた力と、第2付勢手段の付勢力との合力を「正第2作用力」とする。また、加圧室の燃圧がリリーフ弁体の第3受圧部に作用する力と、第1付勢手段の付勢力との合力を「逆第1作用力」とする。
すると、正第2作用力が逆第1作用力以下のとき、吐出弁体は、第1当接部がリリーフ弁体の第2シート部に着座して連通路を閉塞し、かつ、リリーフ弁体は、第2当接部がシート部材の第1シート部に着座して吐出口から加圧室への燃料の流れを遮断する。
正第2作用力が逆第1作用力を超えたとき、吐出弁体およびリリーフ弁体は、共に加圧室側へ移動して吐出口から加圧室への燃料の流れを許容する。
この構成により、吐出弁とリリーフ弁とを同一軸上に直列に配置し、1つの吐出通路に収容することができる。したがって、吐出弁とリリーフ弁とを並列に配置し、それぞれ別の通路に収容していた従来技術に対し、構成を簡素化することができる。また、ハウジングに吐出通路とリリーフ通路とを別々に形成する必要がなく、1箇所の通路のみ加工すればよい。さらに、組立工程においても組付作業を集約することができる。加えて、リリーフ弁体の吐出口側の端面は、弁体の当接部としての機能と、吐出弁体に対するシート部としての機能とを兼ねるため、シート部を形成する別部材が不要となる。以上により、本発明の高圧ポンプは、ハウジングの体格を小さくし、製造コストを低減することができる。
また、高圧ポンプの性能面について、吐出弁の開弁時、加圧室の燃圧はリリーフ弁体の連通路を経由して吐出弁体の第1受圧部に作用するとともにリリーフ弁体の加圧室側の端面にも作用し、リリーフ弁体をシート部材側へ押圧する。そのため、吐出時に加圧室の燃圧がリリーフ開弁圧を超えたときでもリリーフ弁は開弁しない。これにより、調量精度を確保することができる。
さらに、加圧室のデッドボリュームは、加圧室から1つの吐出通路での弁体までの容積のみとなる。すなわち、吐出弁の通路とリリーフ弁の通路との両方でデッドボリュームが存在した従来技術に対し、デッドボリュームを減少することができる。よって、高圧ポンプの吐出効率を向上することができる。
また、請求項1に記載の発明によると、吐出弁体は、シート部材の内壁に嵌合する外壁の軸方向の長さがリリーフ弁体の最大リフト長よりも長い。
リリーフ弁体の開弁時には、吐出弁体およびリリーフ弁体が共に加圧室側へ移動する。このとき、仮に、吐出弁体の外壁の軸方向の長さがリリーフ弁体の最大リフト長よりも短いと、最大リフト時、吐出弁体の外壁がシート部材の内壁から脱落するおそれがある。その結果、リリーフ弁体が再び閉弁することができなくなるおそれがある。
そこで、本請求項に記載の構成とすることで、吐出弁体の脱落を防止し、吐出弁体およびリリーフ弁体の安定した作動を確保することができる。
請求項2に記載の発明によると、シート部材の内壁と吐出弁体の外壁との間に、吐出弁体の加圧室側と吐出口側とを連通する環状流路が形成される。
吐出弁体が吐出口側へ移動し連通路を開放したとき燃料が加圧室側から吐出口側へ流れるため、また、リリーフ弁体が加圧室側へ移動したとき燃料が吐出口側から加圧室側へ流れるため、吐出弁体の加圧室側と吐出口側とを連通する流路が形成される必要がある。
吐出弁体はシート部材の径方向内側に収容される。そこで、この流路の構成としては、例えば、吐出弁体の外壁の一部に流路を形成するための切り欠き部等を設け、切り欠き部等以外の外壁がシート部材の内壁にガイドされて摺動可能な構成としてもよい。しかし、この構成の場合、切り欠き部等を形成する工数を要し、製造コストが増大する。
そこで、本請求項に記載の発明では、吐出弁体の外壁を例えば略円筒状とし、吐出弁体の外壁の全周に略均等のクリアランスを有する環状流路を形成することにより、吐出弁体を単純な形状とし、製造コストを低減することができる。
請求項3に記載の発明によると、リリーフ弁体の第2シート部および第2当接部は、中心軸に直交する平面に形成される。
これにより、例えば第2シート部および第2当接部をテーパ面や球面で形成する場合に比べ、切削加工や研磨加工の工数を低減し、製造コストを低減することができる。
この場合、請求項4に記載の発明によると、リリーフ弁体の第2シート部および第2当接部は、互いに同一平面に形成される。
これにより、第2シート部および第2当接部をそれぞれ別の平面に形成する場合に比べ、切削加工や研磨加工の工数をさらに低減し、製造コストを一層低減することができる。
請求項に記載の高圧ポンプは、第1付勢手段ホルダを備える。
第1付勢手段ホルダは、筒状に形成され、第1付勢手段、リリーフ弁体、吐出弁体および第2付勢手段をこの順に収容しつつ、吐出弁体および第2付勢手段の径方向外側にシート部材を収容する。また、第1付勢手段のリリーフ弁体と反対側の端部を支持する。
そして、第1付勢手段、リリーフ弁体、吐出弁体、第2付勢手段およびシート部材が第1付勢手段ホルダに一体に組み付けられた吐出リリーフ弁ユニットが吐出通路に収容される。すなわち、第1付勢手段、リリーフ弁体、吐出弁体、第2付勢手段およびシート部材を含む「サブアッセンブリ」が構成される。
この構成により、高圧ポンプの製造時、吐出リリーフ弁ユニットをサブアッセンブリとすることにより、以下(a)〜(c)の効果を奏する。
(a)高圧ポンプのメイン組立とは別のサブ組立ラインで吐出リリーフ弁ユニットを生産することができるため、タクトタイムを短縮することができる。
(b)リリーフ弁開弁圧を検査しつつ所定の範囲内に収めるように調整する工程で、ハウジング全体を検査設備に載せる場合に比べて、小さな吐出リリーフ弁ユニットを検査設備に載せればよいため、検査設備を小型化、簡素化することができる。また、作業者が持ち上げるワークを軽量化し、作業負荷を軽減することができる。
(c)上記(b)のリリーフ弁開弁圧の検査、調整工程において、設備の故障等の理由によってリリーフ弁開弁圧が所定の範囲内に収まらず、しかも修正ができない場合、不良品として廃却せざるを得ない。そのため、ハウジング全体でリリーフ弁開弁圧を調整する構成では、不良品を廃却する場合、多数の工程を経てコストが累積されたハウジングごと廃却しなければならない。それに対し、吐出リリーフ弁ユニットをサブアッセンブリとすることで、不良品となった吐出リリーフ弁ユニットのみを廃却すればよく、廃却による損失コストを大幅に低減することができる。
また、請求項に記載の発明によると、シート部材は、外壁が第1付勢手段ホルダの内壁に挿入されて固定される。そして、第1付勢手段ホルダに対するシート部材の挿入深さを調整することで、第1付勢手段の付勢力を調整可能である。
ここで、挿入とは、例えば「圧入」をいう。これにより、上記のリリーフ弁開弁圧の調整を具体的に実現することができる。
さらに、請求項に記載の高圧ポンプでは、ハウジングは、加圧室および当該加圧室と連通する第1吐出通路を有するポンプボディ、並びに、当該ポンプボディに接合され吐出口および当該吐出口と連通し第1吐出通路と対応する第2吐出通路を有する吐出ホルダによって構成される。
また、吐出リリーフ弁ユニットの第2付勢手段側が吐出ホルダの第2吐出通路に収容されて吐出リリーフ弁モジュールを構成する。当該吐出リリーフ弁モジュールは、吐出リリーフ弁ユニットの第1付勢手段側がポンプボディの第1吐出通路に収容される。
そして、吐出ホルダは、溶接等によりポンプボディに接合される。
吐出口を形成する部分はポンプボディの本体から突出する形状であるため、一体に形成する場合、例えば加工による材料ロスや、設備セット時に干渉を避けるための治具を必要とする等の課題が発生する。そこで、吐出ホルダを分割構造とすることで、製造コストを低減することができる。
本発明の第1実施形態による高圧ポンプの断面図である。 本発明の第1実施形態による高圧ポンプの(a)吐出弁およびリリーフ弁の閉弁状態、(b)吐出弁の開弁状態、(c)リリーフ弁の開弁状態を示す要部断面図である。 本発明の第1実施形態による吐出リリーフ弁ユニットの(a)断面図、(b)(a)のb矢視図、(c)(a)のc矢視図である。 本発明の第1実施形態による高圧ポンプの(a)吐出弁の開弁状態、(b)リリーフ弁の開弁状態を示す拡大断面図、(c)(a)のc矢視図である。 本発明の(a)第2実施形態、(b)第3実施形態による高圧ポンプの吐出弁およびリリーフ弁の閉弁状態を示す要部断面図である。 本発明の第2実施形態による高圧ポンプの(a)吐出弁の開弁状態、(b)リリーフ弁の開弁状態を示す拡大断面図、(c)(a)のc矢視図である。 本発明の第3実施形態による高圧ポンプの(a)吐出弁の開弁状態、(b)リリーフ弁の開弁状態を示す拡大断面図、(c)(a)のc矢視図である。 本発明の(a)第4実施形態、(b)第5実施形態による高圧ポンプの吐出弁およびリリーフ弁の閉弁状態を示す要部断面図である。 本発明の第4実施形態による高圧ポンプの(a)吐出弁の開弁状態、(b)リリーフ弁の開弁状態を示す拡大断面図、(c)(a)のc矢視図である。 本発明の第5実施形態による高圧ポンプの(a)吐出弁の開弁状態、(b)リリーフ弁の開弁状態を示す拡大断面図、(c)(a)のc矢視図である。 本発明の第6実施形態による高圧ポンプの断面図である。 本発明の第6実施形態による吐出リリーフ弁モジュールの断面図である。 本発明の(a)第7実施形態、(b)第8実施形態による高圧ポンプの断面図である。 本発明のその他の実施形態による高圧ポンプの吐出弁体を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の高圧ポンプについて、図1〜図4を参照して説明する。
高圧ポンプ1は、車両に搭載されて用いられ、燃料タンクから低圧ポンプによって供給される燃料を加圧し、インジェクタが接続される燃料レールへ吐出する。高圧ポンプ1の燃料入口(図示しない)の上流側には低圧ポンプからの配管が接続される。
なお、以下の説明では、図1の上側を「上」、図1の下側を「下」として説明する。
図1に示すように、高圧ポンプ1は、本体部10、燃料供給部30、プランジャ部40、吸入弁部50および吐出リリーフ部60を備えている。
本体部10は、「ハウジング」としてのポンプボディ11を備える。ポンプボディ11の上部には燃料供給部30が設けられており、ポンプボディ11の下部にはプランジャ部40が設けられている。燃料供給部30とプランジャ部40との間には、加圧室12が形成されている。
また、燃料供給部30とプランジャ部40とを結ぶ方向に略直交する方向に、吸入弁部50(図1の左側部)および吐出リリーフ部60(図1の右側部)が設けられている。
以下、燃料供給部30、プランジャ部40、吸入弁部50および吐出リリーフ部60の構成について詳細に説明する。
まず、燃料供給部30について説明する。
ポンプボディ11は、シリンダ16の反対側にボディ凹部13を形成している。ボディ凹部13は、ポンプボディ11の外側に開口している。カバー14は、ボディ凹部13の開口を塞いでいる。ボディ凹部13とカバー14とによって、燃料室31が形成される。燃料室31には、燃料入口から燃料タンクの燃料が供給される。
燃料室31には、ダンパユニット32および波ワッシャ38が収容されている。ダンパユニット32は、パルセーションダンパ35、ボディ側支持部材36およびカバー側支持部材37から構成される。
パルセーションダンパ35は、2枚のダイアフラム33、34の周縁部が接合されることにより構成され、内部に所定圧の気体が密封されている。パルセーションダンパ35は、2枚のダイアフラム33、34が燃料室31内の燃圧の変化に応じて弾性変形することで、燃圧脈動を低減する。
ボディ側支持部材36は、ボディ凹部13の底部15に設置され、上端がパルセーションダンパ35の周縁部にポンプボディ11側から当接する。カバー側支持部材37は、下端がパルセーションダンパ35の周縁部にカバー14側から当接する。これにより、カバー側支持部材37とボディ側支持部材36とは、パルセーションダンパ35を上下から挟持する。
波ワッシャ38は、カバー14とカバー側支持部材37との間に設けられ、ダンパユニット32をポンプボディ11の底部15側に押圧する。これにより、ダンパユニット32が燃料室31内に固定される。
次に、プランジャ部40について説明する。
プランジャ部40は、プランジャ41、オイルシールホルダ42、スプリングシート43およびプランジャスプリング44などを備えている。
プランジャ41は、外径が相対的に大きい大径部411と外径が相対的に小さい小径部412とが一体に形成されており、軸方向に往復移動する。加圧室12側に形成される大径部411は、シリンダ16の内壁を摺動する。加圧室12と反対側に形成される小径部412は、オイルシールホルダ42に挿入される。
オイルシールホルダ42は、シリンダ16の端部に配置されており、プランジャ41の小径部412の外周に位置する基部421と、ポンプボディ11に圧入される圧入部422とを有している。
基部421は、内部にリング状のシール423を有している。シール423は、径方向内側のテフロン(登録商標)リングと、径方向外側のOリングとからなる。シール423により、プランジャ41の小径部412周囲の燃料油膜の厚さが調整され、エンジンへの燃料のリークが抑制される。
また、基部421は、先端部分にオイルシール425を有している。オイルシール425によって、プランジャ41の小径部412の周囲のオイル油膜の厚さが規制され、オイルのリークが抑制される。
圧入部422は、基部421の周囲に円筒状に張り出す部分であり、円筒部分は縦断面が「コの字」状となっている。ポンプボディ11には、圧入部422に対応する凹部17が形成されている。オイルシールホルダ42は、圧入部422が凹部17の径外方向の内壁に圧接するように圧入される。
スプリングシート43は、プランジャ41の端部に配設されている。プランジャ41の端部は、図示しないタペットに当接している。タペットは、図示しないカムシャフトに取り付けられたカムに外面を当接させ、カムシャフトの回転により、カムプロファイルに応じて軸方向に往復移動する。
プランジャスプリング44は、スプリングシート43に一端を係止され、他端をオイルシールホルダ42の圧入部422の深部に係止されている。これにより、プランジャスプリング44は、プランジャ41の戻しバネとして機能し、プランジャ41をタペットに当接させるよう付勢する。
かかる構成により、カムシャフトの回転に応じてプランジャ41が往復移動する。このとき、プランジャ41の大径部411の移動によって加圧室12の容積が変化する。
また、プランジャ41の小径部412の周囲に可変容積室45が形成されている。すなわち、ポンプボディ11のシリンダ16、及び、プランジャ41の大径部411の基端面(小径部412との段差面)、小径部412の外周壁、オイルシールホルダ42のシール423に囲まれた領域が可変容積室45を構成する。シール423は、可変容積室45を液密にシールし、可変容積室45からエンジンへの燃料のリークを防止する。
可変容積室45は、圧入部422の径内方向において凹部17との間に形成される円筒状の円筒通路427、及び、凹部17の深部に形成される環状の環状通路428、ポンプボディ11内部に形成された容積室通路18(図中に破線で示す通路)を経由して燃料室31の底部15に接続されている。
次に、吸入弁部50について説明する。
吸入弁部50は、ポンプボディ11によって形成される筒部51、筒部51の開口を覆う弁部カバー52、及び、コネクタ53等を備えている。
筒部51は、略円筒状に形成され、内部が吸入室55となっている。吸入室55には、略円筒状のシートボディ56が配置されている。シートボディ56の内部には、吸入弁57が配置されている。吸入室55は、連通路58を経由して燃料室31と連通している。
また、吸入弁57にはニードル59が当接している。ニードル59は、弁部カバー52を貫通し、コネクタ53の内部まで延びている。コネクタ53は、コイル531と当該コイル531へ通電するための端子532とを有している。コイル531の内側には、所定位置に保持される固定コア533、可動コア534、及び、固定コア533と可動コア534との間に介在するスプリング535が配置されている。可動コア534は、ニードル59と一体に固定されている。
この構成により、コネクタ53の端子532を経由してコイル531に通電が行われると、固定コア533と可動コア534との間に磁気吸引力が発生する。その結果、可動コア534が固定コア533側へ移動し、これに伴ってニードル59が加圧室12から離れる方向へ移動する。このとき、吸入弁57の移動はニードル59によって規制されないため、吸入弁57がシートボディ56に着座可能となる。吸入弁57の着座により、吸入室55と加圧室12とが遮断される。
一方、コイル531に通電が行われないと磁気吸引力が発生しないため、スプリング535によって、可動コア534およびニードル59が加圧室12側へ移動する。そして、ニードル59によって吸入弁57が加圧室12側に保持される。その結果、吸入弁57がシートボディ56から離座することとなり、吸入室55と加圧室12とが連通する。
次に、吐出リリーフ部60について説明する。
吐出リリーフ部60は、加圧室12と連通する吐出通路61を有し、吐出通路61の開口部分が吐出口62となっている。吐出通路61には、吐出リリーフ弁ユニット600が収容されている。図2は、吐出リリーフ弁ユニット600が収容された吐出通路61の断面図であり、図3は、吐出リリーフ弁ユニット600単体での断面図である。図4は、弁体の開閉作動を説明する拡大断面図である。
図2および図3に示すように、吐出リリーフ弁ユニット600は、第1スプリングホルダ67、アジャスティングパイプ63、吐出弁体70A、リリーフ弁体80A、第1スプリング65、第2スプリング66および第2スプリングホルダの7部品からなる略円筒状のサブアッセンブリである。第1スプリングホルダ67、アジャスティングパイプ63、第1スプリング65、第2スプリング66は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「第1付勢手段ホルダ」、「シート部材」、「第1付勢手段」、「第2付勢手段」に相当する。
吐出リリーフ弁ユニット600は、第1スプリングホルダ67の外壁671が吐出通路61の内壁611に圧入される。以下、吐出リリーフ弁ユニット600の両端部について、組み付け状態を基準値とし、図3(a)の左側を「加圧室12側」、図3(a)の右側を「吐出口62側」という。
第1スプリングホルダ67は、加圧室12側でパイプの端部が径方向内側に曲げられ、第1スプリング65の加圧室12側の端部を支持するスプリング座部674が形成されている。また、加圧室12側の端部の略中央には中央流路675が形成されており、加圧室12側の端部から側面にかけて周方向に複数の切り欠き流路676が形成されている。
第1スプリングホルダ67の吐出口62側には、内壁673にアジャスティングパイプ63の外壁631が圧入される。ここで、アジャスティングパイプ63の加圧室12側の端面は第1シート部632としてリリーフ弁体80Aの閉弁位置を規制し、また、リリーフ弁体80Aは第1スプリング65によって付勢される。したがって、アジャスティングパイプ63の端面672からの圧入深さDpを管理することにより、第1スプリング65の荷重である「第1付勢力Fs1」が調整される。
アジャスティングパイプ63の内壁633には第2スプリングホルダ68が圧入される。第2スプリングホルダ68は、吐出口62側でパイプの端部が径方向内側に曲げられ、第2スプリング66の吐出口62側の端部を支持するスプリング座部684が形成されている。吐出口62側端部の略中央には中央流路685が形成されている。また、吐出口62側端部から側面にかけて周方向に複数の切り欠き流路686が形成されている。
次に、吐出弁体70Aおよびリリーフ弁体80Aの構成について、図2(a)、図4を参照して説明する。
吐出弁体70Aは略円筒形状であり、加圧室12側の端面は、中心軸Oに直交する平面である。加圧室12側の端面のうち、リリーフ弁体80Aの連通路84に対向する部分の径方向外側は第1当接部731を構成し、リリーフ弁体80Aの連通路84に対向する部分は第1受圧部735を構成する。
一方、吐出弁体70Aの吐出口62側には凸部714が形成されており、この凸部714の外壁は第2スプリング66の内径をガイドしている。第2スプリング66の加圧室12側の端部を支持する吐出弁体70Aの吐出口62側の端面、及び凸部714の頂面は、第2受圧部72Aを構成する。
また、外壁711の外径は、アジャスティングパイプ63の内壁633の内径に対し、例えば数mm程度小さく形成されている。そのため、アジャスティングパイプ63の内壁633と吐出弁体70Aの外壁711との間に環状流路74が形成される。
リリーフ弁体80Aは、加圧室12側の小径部81と吐出口62側の大径部82とからなる。また、中心軸Oに沿って加圧室12側と吐出口62側を連通する連通路84を有している。
小径部81の外壁は、第1スプリング65をガイドする。大径部82は、加圧室12側の端面が第1スプリング65の吐出口62側の端部を支持する。大径部82の吐出口62側の端面は、中心軸Oに直交する平面である。吐出口62側の端面のうち、アジャスティングパイプ63の第1シート部632に対向する外縁部分は第2当接部831を構成し、連通路84の開口の周囲であって吐出弁体70Aの第1当接部731に対向する部分は第2シート部832を構成する。
第1スプリング65の吐出口62側の端部を支持する大径部8の加圧室12の端面、及び、連通路84の径方向外側の小径部81の加圧室12側の端面は、第3受圧部85を構成する。
続いて吐出弁体70Aおよびリリーフ弁体80Aの作動について、図2(b)、(c)、図4を参照して説明する。
図2(b)は、吐出弁開弁時の作動を示す。ここで、下記のように用語および記号を定義する。( )内は単位を示す。
P1:加圧室12の燃圧(Pa)
A1:第1受圧部735の受圧面積(m2
Fp1(=P1×A1):加圧室12の燃圧が連通路84を経由して第1受圧部735に作用する力である「第1受圧力」(N)
P2:吐出口62の燃圧(Pa)
A2:第2受圧部72Aの受圧面積(m2
Fp2(=P2×A2):吐出口62の燃圧が第2受圧部735に作用する力である「第2受圧力」(N)
Fs2:第2スプリング66の付勢力である「第2付勢力」(N)
FF1:吐出弁体70Aに対し開弁方向(図の右向き)に作用する力である「正第1作用力」(N)
FR2:吐出弁体70Aに対し閉弁方向(図の左向き)に作用する力である「逆第2作用力」(N)
加圧室12の燃圧P1が吐出口62の燃圧P2よりも高い(P1>P2)ことを前提とすると、正第1作用力FF1および逆第2作用力FR2は、下式のようになる。
FF1=Fp1 ・・・(式1)
FR2=Fp2+Fs2 ・・・(式2)
正第1作用力FF1は第1受圧力Fp1に等しい。リリーフ弁体80Aの第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に当接しており、第1スプリング65の付勢力は関係しないからである。
逆第2作用力FR2は、第2受圧力Fp2と第2付勢力Fs2との合力である。
正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2以下(FF1≦FR2)のとき、吐出弁体70Aは、第1当接部731がリリーフ弁体80Aの第2シート部832に着座して連通路84を閉塞する。以下、この作動を「吐出弁が閉弁する」という。
正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2を超えた(FF1>FR2)とき、吐出弁体70Aは、吐出口62側へ移動して連通路84を開放する。以下、この作動を「吐出弁が開弁する」という。吐出弁が開弁すると、加圧室12の燃料が環状流路74を経由して吐出口62から吐出される。
吐出弁の開弁時、加圧室12の燃圧P1はリリーフ弁体80Aの連通路84を経由して吐出弁体70Aの第1受圧部735に作用するとともにリリーフ弁体80Aの加圧室12側の端面にも作用し、リリーフ弁体80Aをシート部材63側へ押圧する。
図2(c)は、リリーフ弁開弁時の作動を示す。ここで、上記の吐出弁開弁時の説明に用いた用語および記号を共用する他、下記の用語および記号を追加して定義する。
Fs1:第1スプリング65の付勢力である「第1付勢力」(N)
A3:第3受圧部85の受圧面積(m2
Fp3(=P1×A3):加圧室12の燃圧が第3受圧部85に作用する力である「第3受圧力」(N)
A4:アジャスティングパイプ63の内壁633の内側面積に相当する第4受圧面積(m2
Fp4(=P2×A4):吐出口62の燃圧を第4受圧面積に乗じた力である「第4受圧力」(N)(第4受圧力は、吐出口62の燃圧が吐出弁体70Aを介してリリーフ弁体80Aに作用する第2受圧力と、吐出口62の燃圧が環状流路74を経由してリリーフ弁体80Aに直接作用する受圧力との合計である。)
FR1:リリーフ弁体80に対し閉弁方向(図の右向き)に作用する力である「逆第1作用力FR1」(N)
FF2:吐出弁体70Aを介して又は直接にリリーフ弁体80に対し開弁方向(図の左向き)に作用する力である「正第2作用力」(N)
吐出口62の燃圧P2が加圧室12の燃圧P1よりも高い(P1<P2)ことを前提とすると、正第2作用力FF2および逆第1作用力FR1は、下式のようになる。
FF2=(Fp4−Fp1)+Fs2 ・・・(式3)
FR1=Fp3+Fs1 ・・・(式4)
正第2作用力FF2は、第4受圧力Fp4から第1受圧力Fp1を差し引いた力と第2付勢力Fs2との合力である。
逆第1作用力FR1は、第3受圧力Fp3と第1付勢力Fs1との合力である。
正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1以下(FR1≧FF2)のとき、リリーフ弁体80Aは、第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に着座して吐出口62から加圧室12への燃料の流れを遮断する。以下、この作動を「リリーフ弁が閉弁する」という。
正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1を超えた(FR1<FF2)とき、吐出弁体70Aおよびリリーフ弁体80Aは、共に加圧室12側へ移動して吐出口62から加圧室12への燃料の流れを許容する。以下、この作動を「リリーフ弁が開弁する」という。リリーフ弁が開弁すると、吐出口62の燃料が環状流路74およびリリーフ弁体80Aの径方向外側を経由して加圧室12へ戻される。
ここで、吐出弁体70Aの外壁711の軸方向長さL2は、リリーフ弁体80Aの最大リフト長L1よりも長く設定されている。そのため、吐出弁体70Aは、リリーフ弁体80Aの最大リフト時においてアジャスティングパイプ63の内壁633からの脱落が防止される。
次に、高圧ポンプ1の作動について説明する。
(I)吸入行程
カムシャフトの回転によりプランジャ41が上死点から下死点に向かって下降すると、加圧室12の容積が増加し、燃料が減圧される。吐出弁体70Aは、第1当接部731がリリーフ弁体80Aの第2シート部832に着座し連通路84を閉塞する。
このとき、コイル531への通電は停止されているので、可動コア534およびニードル54はスプリング535の付勢力により加圧室12側に移動する。したがって、ニードル59と吸入弁57とが当接し、吸入弁57は開弁状態を維持する。これにより、吸入室55から加圧室12に燃料が吸入される。
吸入行程では、プランジャ41の下降により可変容積室45の容積が減少する。したがって、可変容積室45の燃料は、容積室通路18を経由し、燃料室31へ送り出される。
ここで、プランジャ41の大径部411と可変容積室45の断面積比は概ね1:0.6である。したがって、加圧室12の容積の増加分と可変容積室45の容積の減少分の比も1:0.6となる。よって、加圧室12が吸入する燃料の約60%が可変容積室45から容積室通路18を経由して供給され、残りの約40%が燃料入口から吸入される。
(II)調量行程
カムシャフトの回転によりプランジャ41が下死点から上死点に向かって上昇すると、加圧室12の容積が減少する。このとき、所定の時期まではコイル531への通電が停止され、吸入弁57は開弁状態となっている。このため、一度加圧室12に吸入された低圧燃料が、吸入弁部50を経由して吸入室55へ戻される。
プランジャ41が上昇する途中の所定の時期にコイル531への通電を開始することにより、固定コア533と可動コア534との間に磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力がスプリング535の付勢力より大きくなると、可動コア534とニードル59とは固定コア533側(図1の左方向)へ移動する。これにより、吸入弁57に対するニードル59の押圧力が解除され、吸入弁57は、図1の左方向に移動して閉弁状態となる。
(III)加圧行程
吸入弁57が閉弁した後、加圧室12の燃圧P1はプランジャ41の上昇と共に高くなる。正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2より大きくなる(FF1>FR2)と、吐出弁体70Aが吐出口62側へ移動する(図2(b)参照)。これにより、加圧室12の燃料は、環状流路74を経由して吐出口62から吐出される。
なお、加圧行程の途中でコイル531への通電が停止される。加圧室12の燃圧P1が吸入弁57に作用する力は、スプリング535の付勢力より大きいので、吸入弁57は閉弁状態を維持する。
調量行程および加圧行程では、プランジャ41の上昇により可変容積室45の容積が増大し、燃料室31の燃料が容積室通路18を経由して可変容積室45へ流入する。このとき、加圧室12が燃料室31側へ排出した低圧燃料の容積の約60%が燃料室31から可変容積室45に吸入される。
このように、高圧ポンプ1は、吸入行程、調量行程および加圧行程を繰り返し、吸入した燃料を加圧して吐出口62から燃料レールに吐出する。燃料レールは、吐出された燃料を蓄積する。燃料レールに蓄積された燃料は、ECUからの通電によって燃料噴射弁から噴射される。ここで、燃料レール、燃料噴射弁、ECUはいずれも図示しない。
燃料レール内の燃圧が所定圧以下のとき、すなわち、吐出口62の燃圧P2に基づく正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1以下(FR1≧FF2)のとき、吐出弁体70Aは、第1当接部731がリリーフ弁体80Aの第2シート部832に着座して連通路84を閉塞し、かつ、リリーフ弁体80Aは、第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に着座する。よって、リリーフ弁は閉弁する。
何らかの異常等により燃料レール内の燃圧が上昇し、正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1を超える(FR1<FF2)と、吐出弁体70Aおよびリリーフ弁体80Aは、共に加圧室12側へ移動して吐出口62から加圧室12への燃料の流れを許容する(図2(c)参照)。よって、リリーフ弁は開弁する。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)吐出弁体70Aとリリーフ弁体80Aとが同軸上に直列に配置され、1つの吐出通路61に収容されている。したがって、吐出弁とリリーフ弁とを並列に配列し、それぞれ別の通路に収容していた従来技術に対し、構成を簡素化することができる。また、ポンプボディ11に吐出通路とリリーフ通路とを別々に加工する必要がなく、1箇所の通路のみ加工すればよい。さらに、組立工程においても組付作業を集約することができる。加えて、リリーフ弁体80Aの吐出口62側の端面は、弁体の当接部としての機能と、吐出弁体70Aに対するシート部としての機能とを兼ねるため、シート部を形成するバルブボディ等の別部材が不要となる。以上により、本実施形態は、ポンプボディ11の体格を小さくし、製造コストを大幅に低減することができる。
(2)高圧ポンプの性能面について、吐出弁の開弁時、加圧室12の燃圧P1はリリーフ弁体80Aの連通路84を経由して吐出弁体70Aの第1受圧部735に作用するとともにリリーフ弁体80Aの加圧室12側の端面にも作用し、リリーフ弁体80Aをアジャスティングパイプ63側へ押圧する。そのため、吐出時に加圧室の燃圧がリリーフ開弁圧を超えたときでもリリーフ弁は開弁しない。これにより、調量精度を確保することができる。
また、加圧室12のデッドボリュームは、加圧室12から1つの吐出通路61内の弁体までの容積のみとなる。すなわち、吐出通路とリリーフ通路との両方でデッドボリュームが存在していた従来技術に対し、デッドボリュームを減少することができる。よって、高圧ポンプ1の吐出効率を向上することができる。
(3)吐出弁体70Aは略円筒状に形成され、アジャスティングパイプ63の内壁633と吐出弁体70Aの外壁711との間に環状流路74が形成される。吐出弁体70Aを単純な形状とすることで、製造コストを低減することができる。
(4)リリーフ弁体80Aの第2当接部831および第2シート部832は平面で形成されるため、切削加工や研磨加工の工数を低減し、製造コストを低減することができる。
特に本実施形態では、第2当接部831および第2シート部832は互いに同一平面に形成されるため、切削加工や研磨加工の工数をさらに低減し、製造コストを一層低減することができる。
(5)吐出リリーフ弁ユニット600をサブアッセンブリとすることにより、以下(a)〜(c)の効果を奏する。
(a)高圧ポンプのメイン組立とは別のサブ組立ラインで吐出リリーフ弁ユニットを生産することができるため、タクトタイムを短縮することができる。
(b)リリーフ弁開弁圧を検査しつつ所定の範囲内に収めるように調整する工程で、ポンプボディ11全体を検査設備に載せる場合に比べて、小さな吐出リリーフ弁ユニット600を検査設備に載せればよいため、検査設備を小型化、簡素化することができる。また、作業者が持ち上げるワークを軽量化し、作業負荷を軽減することができる。
(c)上記(b)のリリーフ弁開弁圧の検査、調整工程において、設備の故障等の理由によってリリーフ弁開弁圧が所定の範囲内に収まらず、しかも修正ができない場合、不良品として廃却せざるを得ない。そのため、ポンプボディ11全体でリリーフ弁開弁圧を調整する構成では、不良品を廃却する場合、多数の工程を経てコストが累積されたポンプボディ11ごと廃却しなければならない。それに対し、吐出リリーフ弁ユニット600をサブアッセンブリとすることで、不良品となった吐出リリーフ弁ユニット600のみを廃却すればよく、廃却による損失コストを大幅に低減することができる。
(第2実施形態)
以下の第2〜第5実施形態は、第1実施形態に対し、吐出弁体およびリリーフ弁体の構成のみが異なる。以下の実施形態の説明では、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態について、図5(a)、図6を参照して説明する。
第2実施形態の吐出弁体70Bは、加圧室12側の端面に、第1実施形態と同様、第1当接部731および第1受圧部735を有している。また、吐出口62側の端面には凹部715が形成されており、この凹部715の内壁は第2スプリング66の外径をガイドしている。吐出弁体70Bの吐出口62側の端面および凹部715の底面は、第2受圧部72Bを構成する。また、アジャスティングパイプ63の内壁633と吐出弁体70Bの外壁711との間には環状流路74が形成される。
吐出弁体70Bは、閉弁時、第1当接部731がリリーフ弁体80Aの第2シート部832に着座する。また、吐出弁体70Bに作用する正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2を超えた(FF1>FR2)とき開弁し、加圧室12の燃料が環状流路74を経由して吐出口62から吐出される。
第2実施形態のリリーフ弁体80Aは、第1実施形態と実質的に同一であり、閉弁時、第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に着座する。また、吐出弁体70Bを介して又は直接にリリーフ弁体80Aに作用する正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1を超えた(FR1<FF2)とき、リリーフ弁体80Aは、吐出弁体70Bと共に開弁する。
ここで、吐出弁体70Bの外壁711の軸方向長さL2は、リリーフ弁体80Aの最大リフト長L1よりも長く設定されている。そのため、吐出弁体70Bは、リリーフ弁体80Aの最大リフト時においてアジャスティングパイプ63の内壁633からの脱落が防止される。
第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態は、第1実施形態に比べ、吐出弁体の軸方向の大きさが小さいため、材料コストを低減し、軽量化することができる。そのため吐出弁の応答性が向上し、吐出弁の閉弁遅れが要因で生ずる、吐出した燃料を加圧室に逆流させてしまう“吸い戻し”と呼ばれる現象を抑制可能なため、吐出効率を低下させないという作用がある。
(第3実施形態)
第3実施形態について、図5(b)、図7を参照して説明する。
第3実施形態の吐出弁体70Aは、第1実施形態と実質的に同一であり、閉弁時、第1当接部731がリリーフ弁体80Bの第2シート部832に着座する。また、吐出弁体70Aに作用する正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2を超えた(FF1>FR2)とき開弁し、環状流路74を経由して加圧室12から吐出口62へ燃料が吐出される。
第3実施形態のリリーフ弁体80Bでは、第2シート部832および第2当接部831は、いずれも平面である。しかし、第2シート部832と第2当接部831とは同一平面に形成されず、第2シート部832が第2当接部831に対して吐出口62側に段差834だけずれて形成されている。
リリーフ弁体80Bは、閉弁時、第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に着座する。また、吐出弁体70Aを介して又は直接にリリーフ弁体80Bに作用する正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1を超えた(FR1<FF2)とき、リリーフ弁体80Bは、吐出弁体70Aと共に開弁する。
ここで、吐出弁体70Aの外壁711と段差834との合計の軸方向長さL3は、リリーフ弁体80Bの最大リフト長L1よりも長く設定されている。そのため、吐出弁体70Aは、リリーフ弁体80Bの最大リフト時においてアジャスティングパイプ63の内壁633からの脱落が防止される。
第3実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏するほか、特に最大リフト長L1が比較的長い場合、段差834を設けることで、吐出弁体70Aの外壁711を長くすることなく、脱落防止のための軸方向長さL3を確保することができる。
リリーフ弁に比べ吐出弁は、その作動に要求される応答性が高いため、吐出弁の質量は軽いほど前述した“吸い戻し”現象を抑制可能である。そのため、吐出弁を大きくするのではなく、リリーフ弁体80Bに段差834を設けることによって、軸方向長さL3を確保し、“吸い戻し”現象を抑制しつつ、リリーフ弁体80Bの脱落を防止することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態について、図8(a)、図9を参照して説明する。
第4実施形態の吐出弁体70Cは、第1当接部733がテーパ状に形成されている。第1当接部733の先端側であって径方向内側には、リリーフ弁体80Cの連通路84に対向する第1受圧部736が形成される。
吐出弁体70Cの径方向の外壁は、3箇所の摺動面712および3箇所の平坦面713から形成されている。摺動面712は、リリーフ弁体80Cのガイド内壁863を摺動する。平坦面713は、ガイド内壁863との間に流路75を形成する。
また、吐出弁体70Cは、第2実施形態の吐出弁体70Bと同様に吐出口62側の端面に凹部715が形成されており、この凹部715の内壁で第2スプリング66の外径をガイドしている。吐出弁体70Cの吐出口62側の端面および凹部715の底面は、第2受圧部72Cを構成する。
吐出弁体70Cは、閉弁時、第1当接部733がリリーフ弁体80Cの第2シート部833に着座する。このとき、摺動面712がガイド内壁863に案内されることで、第1当接部733と第2シート部833とのテーパ面が調芯される。また、吐出弁体70Cに作用する正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2を超えた(FF1>FR2)とき開弁し、流路75を経由して加圧室12から吐出口62へ燃料が吐出される。
第4実施形態のリリーフ弁体80Cは、大径部82の径方向内側に凹部86を有する。凹部86は、第2当接部831の径方向内側に開口し、ガイド内壁863を有する。凹部86の底部には凹テーパ状の第2シート部833が形成される。
リリーフ弁体80Cは、閉弁時、第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に着座する。また、吐出弁体70Cを介して又は直接にリリーフ弁体80Cに作用する正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1を超えた(FR1<FF2)とき、リリーフ弁体80Cは、吐出弁体70Cと共に開弁する。
(第5実施形態)
第5実施形態について、図8(b)、図10を参照して説明する。
第5実施形態の吐出弁体70Dはボール状であり、例えば鋼球が使用される。吐出弁体70Dは、加圧室12側の半球面のうち、リリーフ弁体80Dの第2シート部833に対向する部分が第1当接部734を構成し、連通路84に対向する部分が第1受圧部737を構成する。また、吐出口62側の半球面が第2受圧部72Dを構成する。吐出弁体70Dとアジャスティングパイプ63の内壁633との間の空間は流路76を形成する。
吐出弁体70Dは、閉弁時、第1当接部734がリリーフ弁体80Dの第2シート部833に着座する。また、吐出弁体70Dに作用する正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2を超えた(FF1>FR2)とき開弁し、流路76を経由して加圧室12から吐出口62へ燃料が吐出される。
第5実施形態のリリーフ弁体80Dは、吐出口62側の端面に凹テーパ状の第2シート部833が形成される。
リリーフ弁体80Dは、閉弁時、第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に着座する。また、吐出弁体70Dを介して又は直接にリリーフ弁体80Dに作用する正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1を超えた(FR1<FF2)とき、リリーフ弁体80Dは、吐出弁体70Dと共に開弁する。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、図11、図12を参照して説明する。
第6実施形態の高圧ポンプ2は、第1実施形態に対し、吐出ホルダ69がポンプボディ19から分割されている。ポンプボディ19は、加圧室12、及び加圧室12と連通する第1吐出通路191を有する。吐出ホルダ69は、吐出口62、及び吐出口62と連通する第2吐出通路691を有する。吐出ホルダ69がポンプボディ19に接合されることにより、第1吐出通路191および第2吐出通路691は、吐出通路61を構成する。
第6実施形態では、ポンプボディ19および吐出ホルダ69が、特許請求の範囲に記載の「ハウジング」に相当する。
高圧ポンプ2の製作時、吐出リリーフ弁ユニット600の第2スプリング66側が吐出ホルダ69の第2吐出通路691に圧入等により挿入され、サブアッセンブリとしての吐出リリーフ弁モジュール690を構成する。このとき、リリーフ開弁圧の調整済の吐出リリーフ弁ユニット600が組み付けられてもよく、あるいは、吐出リリーフ弁モジュール690の状態でリリーフ開弁圧の調整を実施してもよい。
吐出リリーフ弁モジュール690は、吐出リリーフ弁ユニット600の第1スプリング65側がポンプボディ19の第1吐出通路191に圧入等により挿入される。そして、吐出ホルダ69の接合部692をポンプボディ19に当接させ、溶接等によりポンプボディ19に接合される。
吐出口62を形成する吐出リリーフ部60はポンプボディの本体から突出する形状であるため、一体に形成する場合、例えば加工による材料ロスや、設備セット時に干渉を避けるための治具を必要とする等の課題が発生する。そこで、吐出ホルダ69を分割構造とすることで、製造コストを低減することができる。
なお、第6実施形態は、吐出弁体、リリーフ弁体に第1実施形態と同様の構成を採用しているが、これに代えて、第2〜第5実施形態の吐出弁体、リリーフ弁体の構成を採用してもかまわない。
(第7、第8実施形態)
第7、第8実施形態について、図13(a)、(b)を参照して説明する。
第7、第8実施形態は、サブアッセンブリとしての吐出リリーフ弁ユニット600を有しない点で第1〜第6実施形態と異なる。すなわち、第7実施形態では、第1スプリング65、リリーフ弁体80A、吐出弁体70A、第2スプリング66およびアジャスティングパイプ64は、吐出通路61に直接収容される。
吐出通路61の底部には、内壁611よりも小径の段部613、及び、段部613よりもさらに小径の深部通路612が形成されている。段部613は、第1スプリングホルダ67に代わり、第1スプリング65の一方の端部を支持する。
アジャスティングパイプ64は、吐出通路61の内壁611に直接圧入される。また、アジャスティングパイプ64の内壁に第2スプリングホルダ68が圧入される点は、第1〜第6実施形態と同様である。さらに、作動については上記実施形態と同様である。
吐出弁体、リリーフ弁体の構成について、第7実施形態は、第1実施形態に対応し、第8実施形態は、第5実施形態に対応している。その他同様に、第2、第3、第4実施形態に対応する吐出弁体、リリーフ弁体の構成としてもよい。
第7、第8実施形態では、上述のサブアッセンブリとしての効果は得られない。しかし、例えばリリーフ開弁圧の許容範囲が広く不良発生率がきわめて低い場合など、サブアッセンブリ化のメリットが少ない製品に対しては、第1スプリングホルダ67が不要となる点で有効である。
(その他の実施形態)
(ア)上記第1、第2、第3、第6、第7実施形態では、吐出弁体70A、70Bの外壁711は略円筒状に形成され、アジャスティングパイプ63の内壁633との間に環状流路74が形成される。この場合、アジャスティングパイプ63の内壁633は、吐出弁体70A、70Bを大まかに、例えば径方向に数mmのレベルでガイドし得る。しかし、吐出弁体の外壁の全周に略均等のクリアランスで流路面積を確保する点から、摺動ガイドとして一般に考えられる「径で0.1〜0.2mmもしくはそれ以下」のレベルのガイドは成立しない。
その他の実施形態では、吐出弁体の外壁の周方向の一部に平坦部もしくは切り欠き部を形成することにより、アジャスティングパイプ63の内壁633によるガイドを得つつ、流路面積を確保することとしてもよい。例えば、図14(a)に示す吐出弁体70Eは、周方向の2箇所に平坦部を形成し、内壁633にガイドされる摺動面77Eを設けつつ流路78Eを確保する。図14(b)に示す吐出弁体70Fは、周方向の3箇所に平坦部を形成し、摺動面77Fを設けつつ流路78Fを確保する。また、図14(c)に示す吐出弁体70Gは、周方向の6箇所に切り欠き部を形成し、摺動面77Gを設けつつ流路78Gを確保する。言うまでもなく、平坦部もしくは切り欠き部の数は、これらに限らない。
(イ)上記実施形態では、アジャスティングパイプ63は、「アジャスティング」という名前のとおり、圧入深さを調整することによりリリーフ開弁圧を調整する機能を前提としている。しかし、本発明の趣旨によれば、少なくとも加圧室12側の端面に第1シート部632を構成する「シート部材」であればよく、圧入深さを調整することは必須でない。
(ウ)上記実施形態では、第2スプリングホルダ68がアジャスティングパイプ63に圧入され、第2スプリング66を保持する。これに限らず、例えば、アジャスティングパイプの内壁に、第2スプリング66を保持する段部を一体に形成してもよい。
また、第1スプリングホルダ67および第2スプリングホルダ68は、中央穴675、685のみで要求流量が確保されれば、切り欠き流路676、686(図3参照)が形成されなくてもよい。
(エ)上記実施形態で「圧入」と示している工程について、圧入に代えて、「焼き嵌め」または「冷やし嵌め」を採用してもよい。
(オ)高圧ポンプの吐出リリーフ部以外の各部の構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、燃料室にパルセーションダンパが設けられなくてもよい。また、可変容積室や容積室通路が形成されなくてもよい。吸入弁は、ノーマリーオープン式でなく、ノーマリークローズ式であってもよい。シリンダは、ポンプボディに一体に形成するのでなく、別体のシリンダをポンプボディに組み付ける構成としてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
1、2 ・・・高圧ポンプ、
11 ・・・ポンプボディ(ハウジング)、
12 ・・・加圧室、
16 ・・・シリンダ、
41 ・・・プランジャ、
60 ・・・吐出リリーフ部、
600 ・・・吐出リリーフ弁ユニット、
61 ・・・吐出通路、
611 ・・・内壁、
62 ・・・吐出口、
63、64 ・・・アジャスティングパイプ(シート部材)、
632 ・・・第1シート部、
65 ・・・第1スプリング(第1付勢手段)、
66 ・・・第2スプリング(第2付勢手段)、
67 ・・・第1スプリングホルダ(第1付勢手段ホルダ)、
69 ・・・吐出ホルダ(ハウジング)、
690 ・・・吐出リリーフ弁モジュール、
70A〜70G・・・吐出弁体、
72A〜72D・・・第2受圧部、
731、733、734・・・第1当接部、
735、736、737・・・第1受圧部、
74 ・・・環状流路、
80A〜80D・・・リリーフ弁体、
831 ・・・第2当接部、
832、833・・・第2シート部、
84 ・・・連通路、
85 ・・・第3受圧部、
FF1 ・・・正第1作用力(吐出弁開弁時、吐出弁体に対し開弁方向に作用する力)、
FF2 ・・・正第2作用力(リリーフ弁開弁時、吐出弁体を介して又は直接にリリーフ弁体に対し開弁方向に作用する力)、
FR1 ・・・逆第1作用力(リリーフ弁開弁時、リリーフ弁体に対し閉弁方向に作用する力)、
FR2 ・・・逆第2作用力(吐出弁開弁時、吐出弁体に対し閉弁方向に作用する力)。

Claims (6)

  1. プランジャと、
    前記プランジャを軸方向に往復移動可能に収容するシリンダと、
    前記プランジャにより燃料が加圧される加圧室、前記加圧室にて加圧された燃料を吐出する吐出口、及び前記加圧室と前記吐出口とを連通する吐出通路を有するハウジングと、
    前記吐出通路に固定され、前記加圧室側の端面に第1シート部を有する筒状のシート部材と、
    前記シート部材の径方向内側に往復移動可能に収容され、前記加圧室側の端面に第1受圧部、及び前記第1受圧部の径方向外側に第1当接部を有し、前記吐出口側に第2受圧部を有する吐出弁体と、
    前記吐出通路の前記吐出弁体の前記加圧室側に設けられ、前記第1受圧部と対向し前記加圧室側と前記吐出口側とを連通する連通路を有し、前記加圧室側の端面であって前記連通路の径方向外側に第3受圧部を有し、前記吐出口側の端面であって前記連通路の径方向外側に前記吐出弁体の前記第1当接部が着座可能な第2シート部、及び、前記第2シート部の径方向外側に前記シート部材の前記第1シート部に着座可能な第2当接部を有するリリーフ弁体と、
    前記リリーフ弁体を前記吐出口側へ付勢する第1付勢手段と、
    前記吐出弁体を前記加圧室側へ付勢する第2付勢手段と、
    を備え
    前記吐出弁体は、前記シート部材の内壁に嵌合する外壁の軸方向の長さが前記リリーフ弁体の最大リフト長よりも長いことを特徴とする高圧ポンプ。
  2. 前記シート部材の内壁と前記吐出弁体の外壁との間に、前記吐出弁体の前記加圧室側と前記吐出口側とを連通する環状流路が形成されることを特徴とする請求項1に記載の高圧ポンプ。
  3. 前記リリーフ弁体の前記第2シート部および前記第2当接部は、中心軸に直交する平面に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
  4. 前記リリーフ弁体の前記第2シート部および前記第2当接部は、互いに同一平面に形成されることを特徴とする請求項3に記載の高圧ポンプ。
  5. 筒状に形成され、前記第1付勢手段、前記リリーフ弁体、前記吐出弁体および前記第2付勢手段をこの順に収容しつつ、前記吐出弁体および前記第2付勢手段の径方向外側に前記シート部材を収容し、前記第1付勢手段の前記リリーフ弁体と反対側の端部を支持する第1付勢手段ホルダを備え、
    前記第1付勢手段、前記リリーフ弁体、前記吐出弁体、前記第2付勢手段および前記シート部材が第1付勢手段ホルダに一体に組み付けられた吐出リリーフ弁ユニットが前記吐出通路に収容され
    前記シート部材は、外壁が前記第1付勢手段ホルダの内壁に挿入されて固定され、
    前記第1付勢手段ホルダに対する前記シート部材の挿入深さを調整することで、前記第1付勢手段の付勢力を調整可能であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  6. 前記ハウジングは、前記加圧室および当該加圧室と連通する第1吐出通路を有するポンプボディ、並びに、当該ポンプボディに接合され前記吐出口および当該吐出口と連通し前記第1吐出通路と対応する第2吐出通路を有する吐出ホルダによって構成され、
    前記吐出リリーフ弁ユニットの前記第2付勢手段側が前記吐出ホルダの前記第2吐出通路に収容されて吐出リリーフ弁モジュールを構成し、
    当該吐出リリーフ弁モジュールは、前記吐出リリーフ弁ユニットの前記第1付勢手段側が前記ポンプボディの前記第1吐出通路に収容されることを特徴とする請求項に記載の高圧ポンプ。
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