JP5472751B2 - 高圧ポンプ - Google Patents
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Description
そこで、特許文献2の高圧ポンプは、吐出弁が収容される穴とリリーフ弁が収容される穴とを、1つの大きな穴(チャンバー)の底に別々に加工した後、大きな穴の開口に吐出コネクタを接合している。これにより、高圧シールが必要な箇所を低減する。
さらに、特許文献1、2、3の高圧ポンプは、いずれも吐出弁とリリーフ弁とがそれぞれ別の通路内に設けられており、両方の弁の収容部をハウジングに加工する必要がある。また、両方の弁について組立工程が必要である。よって、ハウジングの体格が大きくなり、製造コストが増大するという問題がある。
シリンダは、プランジャを軸方向に往復移動可能に収容する。
ハウジングは、プランジャにより燃料が加圧される加圧室、加圧室にて加圧された燃料を吐出する吐出口、及び加圧室と吐出口とを連通する吐出通路を有する。
筒状のシート部材は、吐出通路に固定され、加圧室側の端面に第1シート部を有する。
吐出弁体は、シート部材の径方向内側に往復移動可能に収容され、加圧室側の端面に第1受圧部、及び第1受圧部の径方向外側に第1当接部を有し、吐出口側に第2受圧部を有する。
第1付勢手段は、リリーフ弁体を吐出口側へ付勢する。
第2付勢手段は、吐出弁体を加圧室側へ付勢する。
すると、正第1作用力が逆第2作用力以下のとき、吐出弁体は、第1当接部がリリーフ弁体の第2シート部に着座して連通路を閉塞する。正第1作用力が逆第2作用力を超えたとき、吐出弁体は、吐出口側へ移動して連通路を開放する。
すると、正第2作用力が逆第1作用力以下のとき、吐出弁体は、第1当接部がリリーフ弁体の第2シート部に着座して連通路を閉塞し、かつ、リリーフ弁体は、第2当接部がシート部材の第1シート部に着座して吐出口から加圧室への燃料の流れを遮断する。
正第2作用力が逆第1作用力を超えたとき、吐出弁体およびリリーフ弁体は、共に加圧室側へ移動して吐出口から加圧室への燃料の流れを許容する。
さらに、加圧室のデッドボリュームは、加圧室から1つの吐出通路での弁体までの容積のみとなる。すなわち、吐出弁の通路とリリーフ弁の通路との両方でデッドボリュームが存在した従来技術に対し、デッドボリュームを減少することができる。よって、高圧ポンプの吐出効率を向上することができる。
リリーフ弁体の開弁時には、吐出弁体およびリリーフ弁体が共に加圧室側へ移動する。このとき、仮に、吐出弁体の外壁の軸方向の長さがリリーフ弁体の最大リフト長よりも短いと、最大リフト時、吐出弁体の外壁がシート部材の内壁から脱落するおそれがある。その結果、リリーフ弁体が再び閉弁することができなくなるおそれがある。
そこで、本請求項に記載の構成とすることで、吐出弁体の脱落を防止し、吐出弁体およびリリーフ弁体の安定した作動を確保することができる。
吐出弁体が吐出口側へ移動し連通路を開放したとき燃料が加圧室側から吐出口側へ流れるため、また、リリーフ弁体が加圧室側へ移動したとき燃料が吐出口側から加圧室側へ流れるため、吐出弁体の加圧室側と吐出口側とを連通する流路が形成される必要がある。
吐出弁体はシート部材の径方向内側に収容される。そこで、この流路の構成としては、例えば、吐出弁体の外壁の一部に流路を形成するための切り欠き部等を設け、切り欠き部等以外の外壁がシート部材の内壁にガイドされて摺動可能な構成としてもよい。しかし、この構成の場合、切り欠き部等を形成する工数を要し、製造コストが増大する。
そこで、本請求項に記載の発明では、吐出弁体の外壁を例えば略円筒状とし、吐出弁体の外壁の全周に略均等のクリアランスを有する環状流路を形成することにより、吐出弁体を単純な形状とし、製造コストを低減することができる。
これにより、例えば第2シート部および第2当接部をテーパ面や球面で形成する場合に比べ、切削加工や研磨加工の工数を低減し、製造コストを低減することができる。
これにより、第2シート部および第2当接部をそれぞれ別の平面に形成する場合に比べ、切削加工や研磨加工の工数をさらに低減し、製造コストを一層低減することができる。
第1付勢手段ホルダは、筒状に形成され、第1付勢手段、リリーフ弁体、吐出弁体および第2付勢手段をこの順に収容しつつ、吐出弁体および第2付勢手段の径方向外側にシート部材を収容する。また、第1付勢手段のリリーフ弁体と反対側の端部を支持する。
そして、第1付勢手段、リリーフ弁体、吐出弁体、第2付勢手段およびシート部材が第1付勢手段ホルダに一体に組み付けられた吐出リリーフ弁ユニットが吐出通路に収容される。すなわち、第1付勢手段、リリーフ弁体、吐出弁体、第2付勢手段およびシート部材を含む「サブアッセンブリ」が構成される。
(a)高圧ポンプのメイン組立とは別のサブ組立ラインで吐出リリーフ弁ユニットを生産することができるため、タクトタイムを短縮することができる。
ここで、挿入とは、例えば「圧入」をいう。これにより、上記のリリーフ弁開弁圧の調整を具体的に実現することができる。
また、吐出リリーフ弁ユニットの第2付勢手段側が吐出ホルダの第2吐出通路に収容されて吐出リリーフ弁モジュールを構成する。当該吐出リリーフ弁モジュールは、吐出リリーフ弁ユニットの第1付勢手段側がポンプボディの第1吐出通路に収容される。
そして、吐出ホルダは、溶接等によりポンプボディに接合される。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の高圧ポンプについて、図1〜図4を参照して説明する。
高圧ポンプ1は、車両に搭載されて用いられ、燃料タンクから低圧ポンプによって供給される燃料を加圧し、インジェクタが接続される燃料レールへ吐出する。高圧ポンプ1の燃料入口(図示しない)の上流側には低圧ポンプからの配管が接続される。
なお、以下の説明では、図1の上側を「上」、図1の下側を「下」として説明する。
本体部10は、「ハウジング」としてのポンプボディ11を備える。ポンプボディ11の上部には燃料供給部30が設けられており、ポンプボディ11の下部にはプランジャ部40が設けられている。燃料供給部30とプランジャ部40との間には、加圧室12が形成されている。
以下、燃料供給部30、プランジャ部40、吸入弁部50および吐出リリーフ部60の構成について詳細に説明する。
ポンプボディ11は、シリンダ16の反対側にボディ凹部13を形成している。ボディ凹部13は、ポンプボディ11の外側に開口している。カバー14は、ボディ凹部13の開口を塞いでいる。ボディ凹部13とカバー14とによって、燃料室31が形成される。燃料室31には、燃料入口から燃料タンクの燃料が供給される。
パルセーションダンパ35は、2枚のダイアフラム33、34の周縁部が接合されることにより構成され、内部に所定圧の気体が密封されている。パルセーションダンパ35は、2枚のダイアフラム33、34が燃料室31内の燃圧の変化に応じて弾性変形することで、燃圧脈動を低減する。
波ワッシャ38は、カバー14とカバー側支持部材37との間に設けられ、ダンパユニット32をポンプボディ11の底部15側に押圧する。これにより、ダンパユニット32が燃料室31内に固定される。
プランジャ部40は、プランジャ41、オイルシールホルダ42、スプリングシート43およびプランジャスプリング44などを備えている。
プランジャ41は、外径が相対的に大きい大径部411と外径が相対的に小さい小径部412とが一体に形成されており、軸方向に往復移動する。加圧室12側に形成される大径部411は、シリンダ16の内壁を摺動する。加圧室12と反対側に形成される小径部412は、オイルシールホルダ42に挿入される。
基部421は、内部にリング状のシール423を有している。シール423は、径方向内側のテフロン(登録商標)リングと、径方向外側のOリングとからなる。シール423により、プランジャ41の小径部412周囲の燃料油膜の厚さが調整され、エンジンへの燃料のリークが抑制される。
圧入部422は、基部421の周囲に円筒状に張り出す部分であり、円筒部分は縦断面が「コの字」状となっている。ポンプボディ11には、圧入部422に対応する凹部17が形成されている。オイルシールホルダ42は、圧入部422が凹部17の径外方向の内壁に圧接するように圧入される。
かかる構成により、カムシャフトの回転に応じてプランジャ41が往復移動する。このとき、プランジャ41の大径部411の移動によって加圧室12の容積が変化する。
吸入弁部50は、ポンプボディ11によって形成される筒部51、筒部51の開口を覆う弁部カバー52、及び、コネクタ53等を備えている。
筒部51は、略円筒状に形成され、内部が吸入室55となっている。吸入室55には、略円筒状のシートボディ56が配置されている。シートボディ56の内部には、吸入弁57が配置されている。吸入室55は、連通路58を経由して燃料室31と連通している。
吐出リリーフ部60は、加圧室12と連通する吐出通路61を有し、吐出通路61の開口部分が吐出口62となっている。吐出通路61には、吐出リリーフ弁ユニット600が収容されている。図2は、吐出リリーフ弁ユニット600が収容された吐出通路61の断面図であり、図3は、吐出リリーフ弁ユニット600単体での断面図である。図4は、弁体の開閉作動を説明する拡大断面図である。
吐出リリーフ弁ユニット600は、第1スプリングホルダ67の外壁671が吐出通路61の内壁611に圧入される。以下、吐出リリーフ弁ユニット600の両端部について、組み付け状態を基準値とし、図3(a)の左側を「加圧室12側」、図3(a)の右側を「吐出口62側」という。
第1スプリングホルダ67の吐出口62側には、内壁673にアジャスティングパイプ63の外壁631が圧入される。ここで、アジャスティングパイプ63の加圧室12側の端面は第1シート部632としてリリーフ弁体80Aの閉弁位置を規制し、また、リリーフ弁体80Aは第1スプリング65によって付勢される。したがって、アジャスティングパイプ63の端面672からの圧入深さDpを管理することにより、第1スプリング65の荷重である「第1付勢力Fs1」が調整される。
吐出弁体70Aは略円筒形状であり、加圧室12側の端面は、中心軸Oに直交する平面である。加圧室12側の端面のうち、リリーフ弁体80Aの連通路84に対向する部分の径方向外側は第1当接部731を構成し、リリーフ弁体80Aの連通路84に対向する部分は第1受圧部735を構成する。
また、外壁711の外径は、アジャスティングパイプ63の内壁633の内径に対し、例えば数mm程度小さく形成されている。そのため、アジャスティングパイプ63の内壁633と吐出弁体70Aの外壁711との間に環状流路74が形成される。
小径部81の外壁は、第1スプリング65をガイドする。大径部82は、加圧室12側の端面が第1スプリング65の吐出口62側の端部を支持する。大径部82の吐出口62側の端面は、中心軸Oに直交する平面である。吐出口62側の端面のうち、アジャスティングパイプ63の第1シート部632に対向する外縁部分は第2当接部831を構成し、連通路84の開口の周囲であって吐出弁体70Aの第1当接部731に対向する部分は第2シート部832を構成する。
第1スプリング65の吐出口62側の端部を支持する大径部8の加圧室12の端面、及び、連通路84の径方向外側の小径部81の加圧室12側の端面は、第3受圧部85を構成する。
図2(b)は、吐出弁開弁時の作動を示す。ここで、下記のように用語および記号を定義する。( )内は単位を示す。
P1:加圧室12の燃圧(Pa)
A1:第1受圧部735の受圧面積(m2)
Fp1(=P1×A1):加圧室12の燃圧が連通路84を経由して第1受圧部735に作用する力である「第1受圧力」(N)
P2:吐出口62の燃圧(Pa)
A2:第2受圧部72Aの受圧面積(m2)
Fp2(=P2×A2):吐出口62の燃圧が第2受圧部735に作用する力である「第2受圧力」(N)
Fs2:第2スプリング66の付勢力である「第2付勢力」(N)
FF1:吐出弁体70Aに対し開弁方向(図の右向き)に作用する力である「正第1作用力」(N)
FR2:吐出弁体70Aに対し閉弁方向(図の左向き)に作用する力である「逆第2作用力」(N)
FF1=Fp1 ・・・(式1)
FR2=Fp2+Fs2 ・・・(式2)
正第1作用力FF1は第1受圧力Fp1に等しい。リリーフ弁体80Aの第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に当接しており、第1スプリング65の付勢力は関係しないからである。
逆第2作用力FR2は、第2受圧力Fp2と第2付勢力Fs2との合力である。
正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2を超えた(FF1>FR2)とき、吐出弁体70Aは、吐出口62側へ移動して連通路84を開放する。以下、この作動を「吐出弁が開弁する」という。吐出弁が開弁すると、加圧室12の燃料が環状流路74を経由して吐出口62から吐出される。
吐出弁の開弁時、加圧室12の燃圧P1はリリーフ弁体80Aの連通路84を経由して吐出弁体70Aの第1受圧部735に作用するとともにリリーフ弁体80Aの加圧室12側の端面にも作用し、リリーフ弁体80Aをシート部材63側へ押圧する。
Fs1:第1スプリング65の付勢力である「第1付勢力」(N)
A3:第3受圧部85の受圧面積(m2)
Fp3(=P1×A3):加圧室12の燃圧が第3受圧部85に作用する力である「第3受圧力」(N)
A4:アジャスティングパイプ63の内壁633の内側面積に相当する第4受圧面積(m2)
Fp4(=P2×A4):吐出口62の燃圧を第4受圧面積に乗じた力である「第4受圧力」(N)(第4受圧力は、吐出口62の燃圧が吐出弁体70Aを介してリリーフ弁体80Aに作用する第2受圧力と、吐出口62の燃圧が環状流路74を経由してリリーフ弁体80Aに直接作用する受圧力との合計である。)
FR1:リリーフ弁体80に対し閉弁方向(図の右向き)に作用する力である「逆第1作用力FR1」(N)
FF2:吐出弁体70Aを介して又は直接にリリーフ弁体80に対し開弁方向(図の左向き)に作用する力である「正第2作用力」(N)
FF2=(Fp4−Fp1)+Fs2 ・・・(式3)
FR1=Fp3+Fs1 ・・・(式4)
正第2作用力FF2は、第4受圧力Fp4から第1受圧力Fp1を差し引いた力と第2付勢力Fs2との合力である。
逆第1作用力FR1は、第3受圧力Fp3と第1付勢力Fs1との合力である。
ここで、吐出弁体70Aの外壁711の軸方向長さL2は、リリーフ弁体80Aの最大リフト長L1よりも長く設定されている。そのため、吐出弁体70Aは、リリーフ弁体80Aの最大リフト時においてアジャスティングパイプ63の内壁633からの脱落が防止される。
(I)吸入行程
カムシャフトの回転によりプランジャ41が上死点から下死点に向かって下降すると、加圧室12の容積が増加し、燃料が減圧される。吐出弁体70Aは、第1当接部731がリリーフ弁体80Aの第2シート部832に着座し連通路84を閉塞する。
このとき、コイル531への通電は停止されているので、可動コア534およびニードル54はスプリング535の付勢力により加圧室12側に移動する。したがって、ニードル59と吸入弁57とが当接し、吸入弁57は開弁状態を維持する。これにより、吸入室55から加圧室12に燃料が吸入される。
ここで、プランジャ41の大径部411と可変容積室45の断面積比は概ね1:0.6である。したがって、加圧室12の容積の増加分と可変容積室45の容積の減少分の比も1:0.6となる。よって、加圧室12が吸入する燃料の約60%が可変容積室45から容積室通路18を経由して供給され、残りの約40%が燃料入口から吸入される。
カムシャフトの回転によりプランジャ41が下死点から上死点に向かって上昇すると、加圧室12の容積が減少する。このとき、所定の時期まではコイル531への通電が停止され、吸入弁57は開弁状態となっている。このため、一度加圧室12に吸入された低圧燃料が、吸入弁部50を経由して吸入室55へ戻される。
吸入弁57が閉弁した後、加圧室12の燃圧P1はプランジャ41の上昇と共に高くなる。正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2より大きくなる(FF1>FR2)と、吐出弁体70Aが吐出口62側へ移動する(図2(b)参照)。これにより、加圧室12の燃料は、環状流路74を経由して吐出口62から吐出される。
なお、加圧行程の途中でコイル531への通電が停止される。加圧室12の燃圧P1が吸入弁57に作用する力は、スプリング535の付勢力より大きいので、吸入弁57は閉弁状態を維持する。
(1)吐出弁体70Aとリリーフ弁体80Aとが同軸上に直列に配置され、1つの吐出通路61に収容されている。したがって、吐出弁とリリーフ弁とを並列に配列し、それぞれ別の通路に収容していた従来技術に対し、構成を簡素化することができる。また、ポンプボディ11に吐出通路とリリーフ通路とを別々に加工する必要がなく、1箇所の通路のみ加工すればよい。さらに、組立工程においても組付作業を集約することができる。加えて、リリーフ弁体80Aの吐出口62側の端面は、弁体の当接部としての機能と、吐出弁体70Aに対するシート部としての機能とを兼ねるため、シート部を形成するバルブボディ等の別部材が不要となる。以上により、本実施形態は、ポンプボディ11の体格を小さくし、製造コストを大幅に低減することができる。
また、加圧室12のデッドボリュームは、加圧室12から1つの吐出通路61内の弁体までの容積のみとなる。すなわち、吐出通路とリリーフ通路との両方でデッドボリュームが存在していた従来技術に対し、デッドボリュームを減少することができる。よって、高圧ポンプ1の吐出効率を向上することができる。
(4)リリーフ弁体80Aの第2当接部831および第2シート部832は平面で形成されるため、切削加工や研磨加工の工数を低減し、製造コストを低減することができる。
特に本実施形態では、第2当接部831および第2シート部832は互いに同一平面に形成されるため、切削加工や研磨加工の工数をさらに低減し、製造コストを一層低減することができる。
(a)高圧ポンプのメイン組立とは別のサブ組立ラインで吐出リリーフ弁ユニットを生産することができるため、タクトタイムを短縮することができる。
以下の第2〜第5実施形態は、第1実施形態に対し、吐出弁体およびリリーフ弁体の構成のみが異なる。以下の実施形態の説明では、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態について、図5(a)、図6を参照して説明する。
第2実施形態の吐出弁体70Bは、加圧室12側の端面に、第1実施形態と同様、第1当接部731および第1受圧部735を有している。また、吐出口62側の端面には凹部715が形成されており、この凹部715の内壁は第2スプリング66の外径をガイドしている。吐出弁体70Bの吐出口62側の端面および凹部715の底面は、第2受圧部72Bを構成する。また、アジャスティングパイプ63の内壁633と吐出弁体70Bの外壁711との間には環状流路74が形成される。
ここで、吐出弁体70Bの外壁711の軸方向長さL2は、リリーフ弁体80Aの最大リフト長L1よりも長く設定されている。そのため、吐出弁体70Bは、リリーフ弁体80Aの最大リフト時においてアジャスティングパイプ63の内壁633からの脱落が防止される。
第3実施形態について、図5(b)、図7を参照して説明する。
第3実施形態の吐出弁体70Aは、第1実施形態と実質的に同一であり、閉弁時、第1当接部731がリリーフ弁体80Bの第2シート部832に着座する。また、吐出弁体70Aに作用する正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2を超えた(FF1>FR2)とき開弁し、環状流路74を経由して加圧室12から吐出口62へ燃料が吐出される。
ここで、吐出弁体70Aの外壁711と段差834との合計の軸方向長さL3は、リリーフ弁体80Bの最大リフト長L1よりも長く設定されている。そのため、吐出弁体70Aは、リリーフ弁体80Bの最大リフト時においてアジャスティングパイプ63の内壁633からの脱落が防止される。
リリーフ弁に比べ吐出弁は、その作動に要求される応答性が高いため、吐出弁の質量は軽いほど前述した“吸い戻し”現象を抑制可能である。そのため、吐出弁を大きくするのではなく、リリーフ弁体80Bに段差834を設けることによって、軸方向長さL3を確保し、“吸い戻し”現象を抑制しつつ、リリーフ弁体80Bの脱落を防止することができる。
第4実施形態について、図8(a)、図9を参照して説明する。
第4実施形態の吐出弁体70Cは、第1当接部733がテーパ状に形成されている。第1当接部733の先端側であって径方向内側には、リリーフ弁体80Cの連通路84に対向する第1受圧部736が形成される。
吐出弁体70Cの径方向の外壁は、3箇所の摺動面712および3箇所の平坦面713から形成されている。摺動面712は、リリーフ弁体80Cのガイド内壁863を摺動する。平坦面713は、ガイド内壁863との間に流路75を形成する。
吐出弁体70Cは、閉弁時、第1当接部733がリリーフ弁体80Cの第2シート部833に着座する。このとき、摺動面712がガイド内壁863に案内されることで、第1当接部733と第2シート部833とのテーパ面が調芯される。また、吐出弁体70Cに作用する正第1作用力FF1が逆第2作用力FR2を超えた(FF1>FR2)とき開弁し、流路75を経由して加圧室12から吐出口62へ燃料が吐出される。
リリーフ弁体80Cは、閉弁時、第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に着座する。また、吐出弁体70Cを介して又は直接にリリーフ弁体80Cに作用する正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1を超えた(FR1<FF2)とき、リリーフ弁体80Cは、吐出弁体70Cと共に開弁する。
第5実施形態について、図8(b)、図10を参照して説明する。
第5実施形態の吐出弁体70Dはボール状であり、例えば鋼球が使用される。吐出弁体70Dは、加圧室12側の半球面のうち、リリーフ弁体80Dの第2シート部833に対向する部分が第1当接部734を構成し、連通路84に対向する部分が第1受圧部737を構成する。また、吐出口62側の半球面が第2受圧部72Dを構成する。吐出弁体70Dとアジャスティングパイプ63の内壁633との間の空間は流路76を形成する。
リリーフ弁体80Dは、閉弁時、第2当接部831がアジャスティングパイプ63の第1シート部632に着座する。また、吐出弁体70Dを介して又は直接にリリーフ弁体80Dに作用する正第2作用力FF2が逆第1作用力FR1を超えた(FR1<FF2)とき、リリーフ弁体80Dは、吐出弁体70Dと共に開弁する。
次に、第6実施形態について、図11、図12を参照して説明する。
第6実施形態の高圧ポンプ2は、第1実施形態に対し、吐出ホルダ69がポンプボディ19から分割されている。ポンプボディ19は、加圧室12、及び加圧室12と連通する第1吐出通路191を有する。吐出ホルダ69は、吐出口62、及び吐出口62と連通する第2吐出通路691を有する。吐出ホルダ69がポンプボディ19に接合されることにより、第1吐出通路191および第2吐出通路691は、吐出通路61を構成する。
第6実施形態では、ポンプボディ19および吐出ホルダ69が、特許請求の範囲に記載の「ハウジング」に相当する。
なお、第6実施形態は、吐出弁体、リリーフ弁体に第1実施形態と同様の構成を採用しているが、これに代えて、第2〜第5実施形態の吐出弁体、リリーフ弁体の構成を採用してもかまわない。
第7、第8実施形態について、図13(a)、(b)を参照して説明する。
第7、第8実施形態は、サブアッセンブリとしての吐出リリーフ弁ユニット600を有しない点で第1〜第6実施形態と異なる。すなわち、第7実施形態では、第1スプリング65、リリーフ弁体80A、吐出弁体70A、第2スプリング66およびアジャスティングパイプ64は、吐出通路61に直接収容される。
吐出通路61の底部には、内壁611よりも小径の段部613、及び、段部613よりもさらに小径の深部通路612が形成されている。段部613は、第1スプリングホルダ67に代わり、第1スプリング65の一方の端部を支持する。
吐出弁体、リリーフ弁体の構成について、第7実施形態は、第1実施形態に対応し、第8実施形態は、第5実施形態に対応している。その他同様に、第2、第3、第4実施形態に対応する吐出弁体、リリーフ弁体の構成としてもよい。
(ア)上記第1、第2、第3、第6、第7実施形態では、吐出弁体70A、70Bの外壁711は略円筒状に形成され、アジャスティングパイプ63の内壁633との間に環状流路74が形成される。この場合、アジャスティングパイプ63の内壁633は、吐出弁体70A、70Bを大まかに、例えば径方向に数mmのレベルでガイドし得る。しかし、吐出弁体の外壁の全周に略均等のクリアランスで流路面積を確保する点から、摺動ガイドとして一般に考えられる「径で0.1〜0.2mmもしくはそれ以下」のレベルのガイドは成立しない。
また、第1スプリングホルダ67および第2スプリングホルダ68は、中央穴675、685のみで要求流量が確保されれば、切り欠き流路676、686(図3参照)が形成されなくてもよい。
(エ)上記実施形態で「圧入」と示している工程について、圧入に代えて、「焼き嵌め」または「冷やし嵌め」を採用してもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
11 ・・・ポンプボディ(ハウジング)、
12 ・・・加圧室、
16 ・・・シリンダ、
41 ・・・プランジャ、
60 ・・・吐出リリーフ部、
600 ・・・吐出リリーフ弁ユニット、
61 ・・・吐出通路、
611 ・・・内壁、
62 ・・・吐出口、
63、64 ・・・アジャスティングパイプ(シート部材)、
632 ・・・第1シート部、
65 ・・・第1スプリング(第1付勢手段)、
66 ・・・第2スプリング(第2付勢手段)、
67 ・・・第1スプリングホルダ(第1付勢手段ホルダ)、
69 ・・・吐出ホルダ(ハウジング)、
690 ・・・吐出リリーフ弁モジュール、
70A〜70G・・・吐出弁体、
72A〜72D・・・第2受圧部、
731、733、734・・・第1当接部、
735、736、737・・・第1受圧部、
74 ・・・環状流路、
80A〜80D・・・リリーフ弁体、
831 ・・・第2当接部、
832、833・・・第2シート部、
84 ・・・連通路、
85 ・・・第3受圧部、
FF1 ・・・正第1作用力(吐出弁開弁時、吐出弁体に対し開弁方向に作用する力)、
FF2 ・・・正第2作用力(リリーフ弁開弁時、吐出弁体を介して又は直接にリリーフ弁体に対し開弁方向に作用する力)、
FR1 ・・・逆第1作用力(リリーフ弁開弁時、リリーフ弁体に対し閉弁方向に作用する力)、
FR2 ・・・逆第2作用力(吐出弁開弁時、吐出弁体に対し閉弁方向に作用する力)。
Claims (6)
- プランジャと、
前記プランジャを軸方向に往復移動可能に収容するシリンダと、
前記プランジャにより燃料が加圧される加圧室、前記加圧室にて加圧された燃料を吐出する吐出口、及び前記加圧室と前記吐出口とを連通する吐出通路を有するハウジングと、
前記吐出通路に固定され、前記加圧室側の端面に第1シート部を有する筒状のシート部材と、
前記シート部材の径方向内側に往復移動可能に収容され、前記加圧室側の端面に第1受圧部、及び前記第1受圧部の径方向外側に第1当接部を有し、前記吐出口側に第2受圧部を有する吐出弁体と、
前記吐出通路の前記吐出弁体の前記加圧室側に設けられ、前記第1受圧部と対向し前記加圧室側と前記吐出口側とを連通する連通路を有し、前記加圧室側の端面であって前記連通路の径方向外側に第3受圧部を有し、前記吐出口側の端面であって前記連通路の径方向外側に前記吐出弁体の前記第1当接部が着座可能な第2シート部、及び、前記第2シート部の径方向外側に前記シート部材の前記第1シート部に着座可能な第2当接部を有するリリーフ弁体と、
前記リリーフ弁体を前記吐出口側へ付勢する第1付勢手段と、
前記吐出弁体を前記加圧室側へ付勢する第2付勢手段と、
を備え、
前記吐出弁体は、前記シート部材の内壁に嵌合する外壁の軸方向の長さが前記リリーフ弁体の最大リフト長よりも長いことを特徴とする高圧ポンプ。 - 前記シート部材の内壁と前記吐出弁体の外壁との間に、前記吐出弁体の前記加圧室側と前記吐出口側とを連通する環状流路が形成されることを特徴とする請求項1に記載の高圧ポンプ。
- 前記リリーフ弁体の前記第2シート部および前記第2当接部は、中心軸に直交する平面に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
- 前記リリーフ弁体の前記第2シート部および前記第2当接部は、互いに同一平面に形成されることを特徴とする請求項3に記載の高圧ポンプ。
- 筒状に形成され、前記第1付勢手段、前記リリーフ弁体、前記吐出弁体および前記第2付勢手段をこの順に収容しつつ、前記吐出弁体および前記第2付勢手段の径方向外側に前記シート部材を収容し、前記第1付勢手段の前記リリーフ弁体と反対側の端部を支持する第1付勢手段ホルダを備え、
前記第1付勢手段、前記リリーフ弁体、前記吐出弁体、前記第2付勢手段および前記シート部材が第1付勢手段ホルダに一体に組み付けられた吐出リリーフ弁ユニットが前記吐出通路に収容され、
前記シート部材は、外壁が前記第1付勢手段ホルダの内壁に挿入されて固定され、
前記第1付勢手段ホルダに対する前記シート部材の挿入深さを調整することで、前記第1付勢手段の付勢力を調整可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。 - 前記ハウジングは、前記加圧室および当該加圧室と連通する第1吐出通路を有するポンプボディ、並びに、当該ポンプボディに接合され前記吐出口および当該吐出口と連通し前記第1吐出通路と対応する第2吐出通路を有する吐出ホルダによって構成され、
前記吐出リリーフ弁ユニットの前記第2付勢手段側が前記吐出ホルダの前記第2吐出通路に収容されて吐出リリーフ弁モジュールを構成し、
当該吐出リリーフ弁モジュールは、前記吐出リリーフ弁ユニットの前記第1付勢手段側が前記ポンプボディの前記第1吐出通路に収容されることを特徴とする請求項5に記載の高圧ポンプ。
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