JP5471868B2 - 熱伝導性シリコーンゴム複合シート - Google Patents
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Description
中間層および該中間層の両面に積層された一対の外層を有し、
(A)中間層は、熱伝導率が0.3W/m・K以上である電気絶縁性の合成樹脂フィルム層であり、
(B)外層は、(a)オルガノポリシロキサン、(b)硬化剤、(c)熱伝導性充填剤、並びに、(d)エポキシ基、アルコキシ基、メチル基、ビニル基、および式:Si−Hで表わされる基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有するケイ素化合物系接着性付与剤を含む組成物を硬化させてなるシリコーンゴム層である、
積層構造体を含むことを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム複合シートを提供する。
本発明の複合シートの中間層としては、耐熱性および電気絶縁性に優れた柔軟で機械的強度が高く、かつ0.3W/m・K以上の熱伝導性を有している合成樹脂フィルム層であれば、特に限定されず、公知のものを全て用いることができる。
さらに、結晶度を高めた合成樹脂に上記の熱伝導性粉体を分散したものでもよい。
本発明において複合シートに含まれる外層は、(a)オルガノポリシロキサン、(b)硬化剤、(c)熱伝導性充填剤、並びに、(d)エポキシ基、アルコキシ基、メチル基、ビニル基、および式:Si−Hで表わされる基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有するケイ素化合物系接着性付与剤を含む組成物を硬化させてなるシリコーンゴム層である。この(B)層の厚さは、本発明の複合シートの適用形態・適用対象により、設定することができ、特に制限されないが、通常、30〜800μm、好ましくは50〜400μm程度の範囲とするのがよい。概して、前記厚さが薄すぎると電子部品への形状追随性が悪くなることから、熱伝導性が悪くなるという傾向があり、また、厚すぎると熱伝達特性が損なわれるという傾向があり、いずれにしても好ましくない。
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、平均組成式:R1 aSiO(4-a)/2(式中、R1は同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜10、好ましくは1から8の1価炭化水素基を表わし、aは1.90〜2.05の正数である)で表わされるものである。
(b)成分がヒドロシリル化反応硬化剤である場合、前記硬化剤は、1分子中にケイ素原子結合水素原子を平均2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒からなるものである。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、アルケニル基を有する(a)成分に付加反応する架橋剤として機能するものである。
(c)成分の熱伝導性充填剤としては、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の無機粉末が、好適に例示される。(c)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本(d)成分は、本発明の熱伝導性シリコーンゴム複合シートを特徴づける重要な成分であり、この成分を、外層を構成するシリコーンゴム組成物中に配合することにより、(A)中間層の熱伝導性合成樹脂フィルム層と(B)外層のシリコーンゴム層とが互いに強固な接着性を示し、層間剥離を生じることなく、経時的にも耐久性に優れたものとすることができる。また、(A)中間層の熱伝導性合成樹脂フィルム層に対して接着性向上を目的としたプライマー処理を施す工程を省略することができるので、複合シート製造工程の簡略化が図られ、更に、プライマー層を有しないことから、熱伝導性が低減しない複合シートを得ることができる。
<(B)外層用のコーティング組成物の調製>
先ず、上記(a)成分のオルガノポリシロキサンと(c)成分の熱伝導性充填剤とを、ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、品川ミキサー等の混合機を用いて、必要に応じ100℃以上程度の温度に加熱しつつ、混練りする。この混練り工程で、所望により、外層の熱伝導性能を損なわない範囲内で、フュームドシリカ、沈降性シリカ等の補強性シリカ;シリコーンオイル、シリコーンウェッター等;白金、酸化チタン、ベンゾトリアゾール等の難燃剤等を添加・混合してもよい。
上記工程により得られた外層用コーティング剤を、上記(A)中間層の熱伝導性合成樹脂フィルム層の両面に、逐次、乾燥炉、加熱炉および巻き取り装置を備えたナイフコーター、キスコーター等のコーティング装置を用いて、連続的に所定の一定の厚さにコーティングした後、溶剤等を乾燥・蒸散させ、付加反応硬化型の場合は、80〜200℃、好ましくは100〜150℃程度に、また、過酸化物硬化型の場合は、100〜200℃、好ましくは110〜180℃程度に、加熱して架橋・硬化させることにより、優れた熱伝導性、電気絶縁性、機械的強度、柔軟性、耐熱性、および耐久性を有する本発明の熱伝導性シリコーンゴム複合シートを得ることができる。
(a)平均重合度8,000のジメチルビニルシロキシ基で両末端を封止したジメチルポリシロキサン100質量部、および(c)熱伝導性充填剤として平均粒径4μmの酸化アルミニウム粉末750質量部をバンバリーミキサーにて室温で40分混練りし、次いで100メッシュのストレーナーにて濾過後、2本ロールを用いて、この(a)+(c)の混合物100質量部に、(d)接着性付与剤として下記構造式:
実施例1において、(d)成分のケイ素化合物の使用量を1.0質量部から0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、全体の厚さが150μmの熱伝導性シリコーンゴム複合シートを作製した。
(a)25℃における粘度が600mm2/sのジメチルビニルシロキシ基で両末端を封止したジメチルポリシロキサン100質量部、(c1)熱伝導性充填剤として平均粒径4μmの酸化アルミニウム粉末750質量部、および(c2)平均粒径9μmの窒化ホウ素粉末250部を、プラネタリーミキサーにて室温で20分混練りし、100メッシュのストレーナーにて濾過して仕上げた後、更にこの(a)+(c1)+(c2)の混合物100質量部に、(d)接着性付与剤として下記構造式:
実施例1において、(d)成分の接着性付与剤を、下記構造式:
(a)25℃における粘度が5000mm2/sのジメチルビニルシロキシ基で両末端を封止したジメチルポリシロキサン100質量部、(c)熱伝導性充填剤として平均粒径4μmの酸化アルミニウム粉末750質量部を、プラネタリーミキサーにて室温で20分混練りし、100メッシュのストレーナーにて濾過して仕上げた後、更にこの(a)+(c)の混合物100質量部に、(d)接着性付与剤として下記構造式:
実施例6において、(d)成分の接着性付与剤を、下記構造式:
実施例1において、熱伝導性芳香族ポリイミド系フィルム(商品名:カプトン100MT、東レデュポン(株)製、熱伝導率:0.42W/m・K、厚さ:25μm)に代えて、芳香族ポリイミド系フィルム(商品名:カプトン100H、東レデュポン(株)製、熱伝導率:0.08W/m・K、厚さ:25μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、全体の厚さが150μmの熱伝導性シリコーンゴム複合シートを作製した。
実施例1において、上記(d)成分のケイ素化合物を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、厚さ150μmの熱伝導性シリコーンゴム複合シートを作製した。
上記実施例1〜3および比較例1〜2で作製した各複合シートについて、下記手法により諸特性を測定した。その測定結果を表1及び表2に示す。
・引張り強度(MPa)、引裂き強度(kN/m)、絶縁破壊電圧(kV):
JIS K 6249に準拠して測定した。
JIS K 6259に準拠して、180度剥離試験を行って、接着強度を測定した。なお、試験試料として、厚さ25μmの芳香族ポリイミド系フィルムの片側の表面上に、肉厚1mmのゴム層を形成させた2層構造のものを作製した。
・熱抵抗(℃/W)
サンプルをヒートシンク(放熱部品)とTO−3P型トランジスタの間に挟み(接触面積:約2.7cm2)、直径3.0mmのねじで固定(ネジ締め圧力:49.0±9.8N(5±1kgf))した後、トランジスタに電力(10W)をかけた。10分経過後に、トランジスタの温度(T1)及びヒートシンクの温度(T2)を測定し、次式により熱抵抗を算出した。
Claims (6)
- 中間層および該中間層の両面に積層された一対の外層を有し、
(A)中間層は、合成樹脂と該合成樹脂中に分散配合された熱伝導性粉体とを含むフィルムからなり、熱伝導率が0.3W/m・K以上で、その厚みが10〜30μmであり、かつ、前記合成樹脂が芳香族ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、フッ素系ポリマーまたはこれらの2種以上の組み合わせである電気絶縁性の合成樹脂フィルム層であり、
(B)外層は、(a)オルガノポリシロキサン、(b)硬化剤、(c)熱伝導性充填剤、並びに、(d)エポキシ基、アルコキシ基、メチル基、ビニル基、および式:Si−Hで表わされる基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有するケイ素化合物系接着性付与剤を含む組成物を硬化させてなるシリコーンゴム層である、
積層構造体を含むことを特徴とする熱伝導性シリコーンゴム複合シート。 - 前記合成樹脂が芳香族ポリイミドである請求項1に係る熱伝導性シリコーンゴム複合シート。
- 前記熱伝導性粉体が酸化亜鉛粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、炭化ケイ素粉末、ダイヤモンド粉末またはこれらの2種以上の組み合わせである請求項1または2に係る熱伝導性シリコーンゴム複合シート。
- 前記熱伝導性粉体が酸化アルミニウム粉末である請求項1〜3のいずれか1項に係る熱伝導性シリコーンゴム複合シート。
- 前記(b)成分の硬化剤がヒドロシリル化反応硬化剤であり、且つ、前記(d)成分のケイ素化合物系接着性付与剤が、ビニル基、Si−Hで表わされる基またはこれらの両方と、エポキシ基、アルコキシ基またはこれらの両方とを有する、請求項1〜4のいずれか1項に係る熱伝導性シリコーンゴム複合シート。
- 前記(b)成分の硬化剤が有機過酸化物硬化剤であり、且つ、前記(d)成分のケイ素化合物系接着性付与剤が、メチル基、ビニル基またはこれらの両方と、エポキシ基、アルコキシ基またはこれらの両方とを有する、請求項1〜4のいずれか1項に係る熱伝導性シリコーンゴム複合シート。
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