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JP5468896B2 - ポリカーボネート樹脂積層体 - Google Patents

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JP5468896B2
JP5468896B2 JP2009297721A JP2009297721A JP5468896B2 JP 5468896 B2 JP5468896 B2 JP 5468896B2 JP 2009297721 A JP2009297721 A JP 2009297721A JP 2009297721 A JP2009297721 A JP 2009297721A JP 5468896 B2 JP5468896 B2 JP 5468896B2
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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂積層体に関する。更に詳しくは特定のビスフェノール構造単位から誘導された変性ポリカーボネート樹脂層をポリカーボネート樹脂シートに積層し、さらに所望によりハードコート層を積層した透明性、耐擦傷性に優れるポリカーボネート樹脂積層体に関する。
ポリカーボネート樹脂シートは透明性、耐熱性、機械的強度に優れているため、OA・電子機器のディスプレイやタッチパネル等に用いられている。但し、ポリカーボネート樹脂シートは表面が軟らかく傷つきやすいため、鉛筆硬度で2B程度に過ぎず、一旦生じた傷がよく目立つという問題がある。
上記表面特性を改良するために、ポリカーボネート樹脂シートにアクリル樹脂層を積層する方法(例えば、特許文献1)、さらに該アクリル樹脂層上に、ハードコート処理する方法が知られている(例えば、特許文献2〜4)。しかしながら、アクリル樹脂層はポリカーボネート樹脂層よりも多く吸湿し、吸湿後の寸法変化量が大きくなる。よって、ポリカーボネート樹脂の片面にアクリル樹脂層を設けた積層体、および積層体の片面或いは両面にハードコート層を設けた積層体は、高温高湿下に曝されると、アクリル樹脂層が凸になるという反りが発生し、加工工程にて悪影響を及ぼすという問題がある。
特開2007−160892号公報 特開2006−103169号公報 特開2007−237700号公報 特開2008−049623号公報
本発明の目的は、透明性、耐擦傷性に優れ、特にOA・電子機器のディスプレイカバーパネルやタッチパネル等に好適なポリカーボネート樹脂積層体を提供することである。
上記課題を解決する為に、本発明によれば次のものが提供される。
1.粘度平均分子量が1.0×10〜10.0×10であるポリカーボネート樹
シートの少なくとも一面に、厚み10〜100μmの下記式[1]
Figure 0005468896
で表される構成単位(A)と、下記式[2]
Figure 0005468896
で表される構成単位(B)から構成され、全構成単位における構成単位(A)の割合が50〜100モル%であり、粘度平均分子量が1.0×10〜8.0×10である変性ポリカーボネート樹脂を積層し、JIS K 7361−1に準拠した全光線透過率が90%以上であり、総厚みが0.1〜2.0mmであるポリカーボネート樹脂積層体。
2.JIS K 7136に準拠したヘーズ値が0.5%以下である前項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
.変性ポリカーボネート樹脂層上にハードコート層を積層した前項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
.ハードコート層が紫外線硬化性塗料からなる前項3記載のポリカーボネート樹脂積層体。
.ハードコート層の厚みが1〜20μmである前項3記載のポリカーボネート樹脂積層体。
.変性ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、リン系熱安定剤0.001〜0.2重量部含有する前項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
.変性ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、離型剤0.005〜2.0重量部含有する前項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
.ディスプレイカバーパネルまたはタッチパネルとして使用される前項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
本発明により得られたポリカーボネート樹脂積層体は、透明性、耐擦傷性を有するため、携帯電話やスマートフォン等を含むモバイル機器のディスプレイカバーパネルに特に有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂シートに用いられるポリカーボネート樹脂は二価フェノールとカーボネート前駆体を溶液法又は溶融法で反応させて製造される芳香族ポリカーボネート樹脂であり、二価フェノールの代表的な例として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等があげられる。好ましい二価フェノールはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系であり、特にビスフェノールAが好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメート等があげられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメート等があげられる。
ポリカーボネート樹脂を製造するに当り、上記二価フェノールを単独で又は二種以上併用することができ、また必要に応じて分子量調節剤、分岐剤、触媒等を用いることができる。
ポリカーボネート樹脂の分子量は粘度平均分子量で表して1.0×10〜10.0×10であり、好ましくは1.5×10〜4.5×10であり、より好ましくは1.8×10〜3.0×10である。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
また、ポリカーボネート樹脂には必要に応じて添加剤、例えば亜燐酸エステル、燐酸エステル、ホスホン酸エステル等の熱安定剤(0.001〜0.1重量%)、トリアゾール系、アセトフェノン系、サリチル酸エステル系等の紫外線吸収剤(0.1〜0.7重量%)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカブロモジフェニルエーテル等の難燃剤(3〜15重量%)、着色剤、蛍光増白剤等を配合してもよい。
<ポリカーボネート樹脂シート>
ポリカーボネート樹脂シートの製法には特に限定はなく、例えば、溶融押出法、溶液キャスティング法(流延法)等を挙げることができる。溶融押出法の具体的な方法は、例えば、ポリカーボネート樹脂を押出機に定量供給して、加熱溶融し、Tダイの先端部から溶融樹脂をシート状に鏡面ロール上に押出し、複数のロールにて冷却しながら引き取り、固化した時点で適当な大きさにカットするか巻き取る方式が用いられる。溶液キャスティング法の具体的な方法は、例えばポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解した溶液(濃度5%〜40%)を鏡面研磨されたステンレス板上にTダイから流延し、段階的に温度制御されたオーブンを通過させながらシートを剥離し、更に剥離し、溶媒を除去した後、冷却して巻き取る方式が用いられる。
ポリカーボネート樹脂シートの厚みは、後述する変性ポリカーボネート樹脂層より厚く、好ましくは0.08〜1.99mmの範囲である。厚みの下限は0.1mmがより好ましく、0.2mmがさらに好ましく、0.3mmが特に好ましい。また、厚みの上限は1.89mmがより好ましく、1.69mmがさらに好ましく、1.49mmが特に好ましい。なお、ハードコート層を有する場合、厚みの上限は1.98mmが好ましく、1.88mmがより好ましく、1.68mmがさらに好ましく、1.48mmが特に好ましい。
<変性ポリカーボネート樹脂>
本発明の変性ポリカーボネート樹脂層は、下記式[1]
Figure 0005468896
表される構成単位(A)と、下記式[2]
Figure 0005468896
で表される構成単位(B)から構成され、全構成単位における構成単位(A)の割合が50〜100モル%である変性ポリカーボネート樹脂を使用することにより従来のポリカーボネート樹脂よりも高い耐擦傷性を発現できることが判明した
また全構成単位における構成単位(A)の割合は60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、特に実質的に100%が好ましい。構成単位(A)のモル比が50モル%未満の場合、耐擦傷性が不足するため好ましくない。共重合可能な二価フェノールとしては、前述したポリカーボネート樹脂シートで使用される二価フェノールを使用することができる。
変性ポリカーボネート樹脂の製造には、前記ポリカーボネート樹脂と同様に二価フェノールとカーボネート前駆体を溶液法又は溶融法が用いられる。変性ポリカーボネート樹脂の分子量は粘度平均分子量で表して1.0×10〜10.0×10であり、好ましくは1.0×10〜8.0×10であり、より好ましくは1.3×10〜4.5×10であり、さらに好ましくは1.5×10〜3.0×10である。
変性ポリカーボネート樹脂には必要に応じてリン系熱安定剤、離型剤等が好ましく使用され、その他の添加剤として、トリアゾール系、アセトフェノン系、サリチル酸エステル系等の紫外線吸収剤(0.1〜0.7重量%)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカブロモジフェニルエーテル等の難燃剤(3〜15重量%)、着色剤、蛍光増白剤等を配合してもよい。
リン系熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられる。
なかでも、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトが使用され、特に好ましくはトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが使用される。リン系熱安定剤の含有量としては、変性ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.2重量部が好ましく、0.0015〜0.1重量部がより好ましく、0.002〜0.05重量部がさらに好ましく、0.002〜0.01重量部が特に好ましい。
離型剤としては、その90重量%以上がアルコールと脂肪酸のエステルからなるものが好ましい。アルコールと脂肪酸のエステルとしては、具体的には一価アルコールと脂肪酸のエステルおよび/または多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルが挙げられる。前記一価アルコールと脂肪酸のエステルとは、炭素原子数1〜20の一価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸とのエステルが好ましい。また、多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルとは、炭素原子数1〜25の多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。
具体的に一価アルコールと飽和脂肪酸とエステルとしては、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等があげられ、ステアリルステアレートが好ましい。
具体的に多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等が挙げられる。
これらのエステルのなかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物が好ましく用いられる。
離型剤中の前記エステルの量は、離型剤を100重量%とした時、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましい。
離型剤の含有量としては、変性ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.005〜2.0重量部の範囲が好ましく、0.01〜1.0重量部の範囲がより好ましく、0.02〜0.5重量部の範囲がさらに好ましく、0.03〜0.1重量部の範囲が特に好ましい。
<変性ポリカーボネート樹脂層>
ポリカーボネート樹脂シート表面に変性ポリカーボネート樹脂層を積層するには任意の方法を用いればよく、特に熱圧着法または共押出法で行うことが好ましい。
熱圧着法としては任意の方法が採用されるが、例えば変性ポリカーボネート樹脂フィルムとポリカーボネート樹脂シートをラミネート機やプレス機で熱圧着する方法、押出し直後のポリカーボネート樹脂シートに変性ポリカーボネート樹脂フィルムを熱圧着する方法が好ましく、特に押出し直後のポリカーボネート樹脂シートに連続して熱圧着する方法が工業的に有利である。この場合の熱圧着条件は、ポリカーボネート樹脂シートや変性ポリカーボネート樹脂フィルムの厚さ、圧着面の状態等により異なり、一概に特定できないが、変性ポリカーボネート樹脂フィルムのガラス転移点近傍又はそれ以上の温度、通常変性ポリカーボネート樹脂フィルムのガラス転移点−10℃〜ガラス転移点+150℃、好ましくはガラス転移点−5℃〜ガラス転移点+100℃で0.05〜5kg/cm程度、好ましくは0.1〜1kg/cm程度の圧力を加えることにより熱圧着できる。
変性ポリカーボネート樹脂フィルムの製法には特に限定はなく、例えば、溶融押出法、溶液キャスティング法(流延法)等を挙げることができる。溶融押出法の具体的な方法は、例えば、変性ポリカーボネート樹脂を押出機に定量供給して、加熱溶融し、Tダイの先端部から溶融樹脂をシート状に鏡面ロール上に押出し、複数のロールにて冷却しながら引き取り、固化した時点で適当な大きさにカットするか巻き取る方式が用いられる。溶液キャスティング法の具体的な方法は、例えば変性ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解した溶液(濃度5%〜40%)を鏡面研磨されたステンレス板上にTダイから流延し、段階的に温度制御されたオーブンを通過させながらフィルムを剥離し、更に剥離し、溶媒を除去した後、冷却して巻き取る方式が用いられる。
共押出法は、補助のエクストルージョンで変性ポリカーボネート樹脂をそのガラス転移点〜ガラス転移点+230℃、好ましくはガラス転移点+50℃〜ガラス転移点+200℃で溶融押出し、主のエクストルージョンでポリカーボネート樹脂をそのガラス転移点〜ガラス転移点+230℃、好ましくはガラス転移点+50℃〜ガラス転移点+200℃で溶融押出し、マルチマニホールド方式又はフィードブロック方式等公知の方式にて押し出し積層することができる。
変性ポリカーボネート樹脂層の厚さは、10〜100μmの範囲であり、好ましくは30〜70μmの範囲である。薄すぎると擦り傷等の傷が基材のポリカーボネート樹脂シートまで達し十分な耐擦傷性が得られず、また厚すぎると耐衝撃性が低下する。
<ハードコート層>
ハードコート層は、透明性を損なうことなく、十分な密着性を有するものであれば、材質、積層方法等において特に限定されるものでない。一般的に、熱、紫外線、電子線等によって硬化する硬化性塗料を塗布する方法、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法等が挙げられるが、製造上の観点から紫外線硬化性塗料を塗布する方法が好ましい。
紫外線硬化性塗料は、紫外線硬化性樹脂および光重合開始剤を含有する組成物であれば、特に限定されるものではない。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、グリシジル化合物、脂環状エポキシ化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔(4−メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4´−メチルフェニルサルファイド、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。またこの組成物に希釈溶剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
紫外線硬化性塗料を使用してハードコート層を積層する塗装手段としては、噴霧コート法、フローコート法、ディッピング法、ロールコート法、バーコート法等の任意の方法を用いればよく、塗料性状の観点から、ロールコート法、バーコート法がより好ましい。また、ハードコート層は、用途に応じて片面のみに形成しても両面に積層してもよい。
得られるハードコート層の厚さは1〜20μmの範囲が好ましく、1.5〜15μmの範囲がより好ましく、2〜10μmの範囲がさらに好ましい。ハードコート層の厚さが1μmより薄くなると十分な耐擦傷性が得られず、また20μmより厚くなると、硬化収縮によって生じる反りが大きくなり、OA・電子機器のディスプレイカバーパネルやタッチパネル等の用途に適さない
<ポリカーボネート樹脂積層体>
本発明で得られたポリカーボネート樹脂積層体は、透明性、耐擦傷性に優れた積層体である。
本発明で得られたポリカーボネート樹脂積層体の厚さは、0.1〜2.0mmの範囲であり、特にOA機器のディスプレイやタッチパネル等に用いるときは、0.4〜1.5mmの範囲が好ましい。
樹脂積層体の透明性としては、JIS K 7361−1およびJIS K 7136に準拠した全光線透過率値およびヘーズ値で評価される。本発明で得られた樹脂積層体の全光線透過率値は好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。また、ヘーズ値は好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.5%以下である。
樹脂積層体の耐擦傷性としては、JIS K 5600に準拠した鉛筆硬度により評価される。本発明で得られた樹脂積層体の耐擦傷性は好ましくはHB以上であり、より好ましくはH以上であり、さらに好ましくは2H以上であり、特に好ましくは4H以上である。
以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、何らこれに限定されるものではない。なお実施例、比較例中の性能評価は下記の方法に従った。
(1)透明性
実施例で得られた樹脂積層体を、JIS K 7361−1およびJIS K 7136に準拠し、全光線透過率値およびヘーズ値を測定した。
(2)耐擦傷性
実施例で得られた樹脂積層体を、JIS K 5600に準拠し、750g加重で鉛筆硬度を測定した。
(3)ハードコート層の密着性
ハードコート層にカッターで1mm間隔に縦横に各11本の切れ目を入れて100個のマス目を作り、この目にセロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製粘着テープ)を貼り付けた後、90°の方向に一気に剥した。ハードコート層が剥離せず、残ったマス目の数を数えた。
<実施例A−7〜A−12>
(変性ポリカーボネート樹脂(Bis−C−PC)の製造)
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液3845部およびイオン交換水18182部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン3984部およびハイドロサルファイト8.37部を溶解した後、塩化メチレン10567部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2000部を約60分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液897部およびp−tert−ブチルフェノール69.93部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン5.39部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。
次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルターに通過させ、さらに軸受け部に異物取出口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダーを得た。その後、該パウダーにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.0025重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.05重量%となるように添加し、均一に混合した後、かかるパウダーをベント式二軸押出機[(株)神戸製鋼所製KTX−46]により脱気しながら溶融混錬し、表1(実施例7〜9)に示す構成単位(A)が2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンから誘導された構成単位である変性ポリカーボネート樹脂(Bis−C−PC)を得た。
(ポリカーボネート樹脂積層体の製造)
ポリカーボネート樹脂シートを構成するポリカーボネート樹脂はスクリュー径40mmの単軸押出機で、また、変性ポリカーボネート樹脂層を形成する変性ポリカーボネート樹脂はスクリュー径30mmの単軸押出機でそれぞれ溶融させ、フィードブロック法にて2層に積層させ、設定温度280℃のT型ダイスを介して押出し、得られるシートを鏡面仕上げされたロールにて冷却し、表1(実施例A−7〜A−12)に示すポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、商品名:パンライト)の片面に変性ポリカーボネート樹脂(上記Bis−C−PC)を積層した表1(実施例A−7〜A−12)に示す積層体を得た。得られた積層体の性能評価結果を表2(実施例A−7〜A−12)に示す。
<比較例A−1>
表1(比較例A−1)に示すポリカーボネートシート(帝人化成株式会社製、商品名:パンライトシートPC−1151)を用いた。性能評価結果を表2(比較例A−1)に示す。
Figure 0005468896
Figure 0005468896
<実施例B−7〜B−12>
(ポリカーボネート樹脂積層体の製造)
ポリカーボネート樹脂シートを構成するポリカーボネート樹脂はスクリュー径40mmの単軸押出機で、また、変性ポリカーボネート樹脂層を形成する変性ポリカーボネート樹脂(Bis−C−PC)はスクリュー径30mmの単軸押出機でそれぞれ溶融させ、フィードブロック法にて2層に積層させ、設定温度280℃のT型ダイスを介して押出し、得られるシートを鏡面仕上げされたロールにて冷却し、表3(実施例B−7〜B−12)に示すポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、商品名:パンライト)の片面に変性ポリカーボネート樹脂(上記Bis−C−PC)を積層した。得られた積層体に、金属製バーコーターを用いて、表3(実施例B−7〜B−12)に示した膜厚になるよう紫外線硬化性塗料(新中村化学工業株式会社製 KCR−8502)を塗布後、紫外線照射装置を用いて積算光量600mJ/cmとなるように硬化し、ポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の性能評価結果を表4(実施例B−7〜B−12)に示す。
<比較例B−1>
ポリカーボネートシート(帝人化成株式会社製、商品名:パンライトシートPC−1151)に、金属製バーコーターを用いて、表3(比較例B−1)に示した膜厚になるよう紫外線硬化性塗料(新中村化学工業株式会社製 KCR−8502)を塗布後、紫外線照射装置を用いて積算光量600mJ/cmとなるように硬化し、ポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の性能評価結果を表4(比較例B−1)に示す。
Figure 0005468896
Figure 0005468896
本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、OA・電子機器のディスプレイカバーパネルやタッチパネルとして有用である。

Claims (8)

  1. 粘度平均分子量が1.0×10〜10.0×10であるポリカーボネート樹脂シートの少なくとも一面に、厚み10〜100μmの下記式[1]
    Figure 0005468896
    で表される構成単位(A)と、下記式[2]
    Figure 0005468896
    で表される構成単位(B)から構成され、全構成単位における構成単位(A)の割合が50〜100モル%であり、粘度平均分子量が1.0×10〜8.0×10である変性ポリカーボネート樹脂を積層し、JIS K7361−1に準拠した全光線透過率が90%以上であり、総厚みが0.1〜2.0mmであるポリカーボネート樹脂積層体。
  2. JIS K7136に準拠したヘーズ値が0.5%以下である請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  3. 変性ポリカーボネート樹脂層上にハードコート層を積層した請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  4. ハードコート層が紫外線硬化性塗料からなる請求項記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  5. ハードコート層の厚みが1〜20μmである請求項記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  6. 変性ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、リン系熱安定剤0.001〜0.2重量部含有する請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  7. 変性ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、離型剤0.005〜2.0重量部含有する請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  8. ディスプレイカバーパネルまたはタッチパネルとして使用される請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
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