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JP5462070B2 - 位置検知装置、この位置検知装置を備えたシートベルトリトラクタ、およびこのシートベルトリトラクタを備えたシートベルト装置 - Google Patents

位置検知装置、この位置検知装置を備えたシートベルトリトラクタ、およびこのシートベルトリトラクタを備えたシートベルト装置 Download PDF

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Description

本発明は、N極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知する単極検知タイプのホール素子等の磁気検知部材により、N極とS極とが交互に配設されるとともに移動部材(回転部材を含む)の移動に連動して移動する磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知することで、移動部材の移動位置を検知する位置検知装置、この位置検知装置によりスプールの回転量を検知することでスプールの回転が制御されるシートベルトリトラクタ、およびこのシートベルトリトラクタを備えたシートベルト装置の技術分野に関するものである。
従来から自動車等の車両に装備されているシートベルト装置は、車両衝突時等の緊急時に、シートベルトで乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出しを阻止している。このようなシートベルト装置においては、シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタを備えている。このシートベルトリトラクタでは、シートベルトは非装着時にはスプールに巻き取られているが、装着時には引き出されて乗員に装着される。そして、前述のような緊急時にシートベルトリトラクタのロック機構が作動してスプールのベルト引出方向の回転を阻止することにより、シートベルトの引出しが阻止される。これにより、緊急時にシートベルトにより乗員が拘束される。
従来のシートベルト装置には、車両の走行状況およびシートベルト装置の使用状況等に応じて種々のベルトテンションモードが設定されているとともに、シートベルトリトラクタとしてシートベルトを巻き取るスプールをモータの動力で回転させるモータリトラクタを備えたシートベルト装置が多々知られている。このシートベルトリトラクタは、車両の走行状況およびシートベルト装置の使用状況等に応じて設定したベルトテンションモードのベルトテンション(ベルト張力)となるように、コントローラが駆動手段である電動モータを駆動制御してスプールのベルト巻取りおよびベルト引出しを制御している。
ところで、コントローラが電動モータの駆動を制御することでスプールのベルト巻取りおよびベルト引出しを制御するためには、スプールの回転量(回転位置)および回転方向を検知する必要がある。そこで、スプールの回転量および回転方向を検知する回転センサとして、スプールの回転軸にこのスプールと一体回転可能に支持された回転ディスクと、マグネットと、このマグネットを検知することで回転ディスクの回転を検知するホール素子(ホールIC)とからなる回転センサを備えるとともに、この回転センサにより検知されたスプールの回転量に基づいて電動モータを制御するようにしたシートベルトリトラクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図8は特許文献1に記載のシートベルト装置を示す図、図9は特許文献1に記載のシートベルトリトラクタを部分的に断面をとって示す図、図10(a)は特許文献1に記載の回転センサの円環状マグネットを示す図、図10(b)は図10(a)におけるXB部に対応する部分図、図10(c)は図10(b)におけるXC−XC線に沿う断面図、図11は回転センサによる回転の検知を説明する図である
図8ないし図11中、1はシートベルト装置、2は車両シート、3はモータリトラクタとして構成されたシートベルトリトラクタ、4はシートベルトリトラクタ3に引き出し可能に巻き取られかつ先端のベルトアンカー4aが車体の床あるいは車両シート2に固定されるシートベルト、5はシートベルトリトラクタ3から引き出されたシートベルト4を乗
員のショルダーの方へガイドするガイドアンカー、6はガイドアンカー5からガイドされてきたシートベルト4に摺動自在に支持されたタング、7は車体の床あるいは車両シートに固定されかつタング6が係脱可能に挿入係合されるバックル、8はシートベルトリトラクタ3のスプールを回転してシートベルト4の巻取りおよび引出しを行う駆動手段である電動モータ、9はコ字状のフレーム、9aはフレーム9の図9において左側壁、9bはフレーム9の図9において右側壁、10はスプール、10aはスプール10の回転軸、11はロック機構、12は減速度感知機構,13はスプールを巻取り方向に付勢するスプリング機構、13aはスプリング機構13のケース、14は例えば遊星歯車減速機構や外歯歯車減速機構等の動力伝達機構、14aは動力伝達機構14のケース、15は回転量検知装置である回転センサ、16はコントローラ(CPU)、17はプリテンショナー、18はスプール10の回転軸10aにブッシュ10bを介して回転軸10aと一体回転可能にかつ同心状に取り付けられた回転センサ15の回転ディスク、19はフレーム9の右側壁9bに固定されたブラケット、20aおよび20bは、それぞれ、回転軸10aと同心状円の円周方向に所定間隔を置いて配設されてブラケット19に取り付けられるともにコントローラ16に電気的に接続された回転センサ15の一対の第1および第2ホール素子(第1および第2ホールIC)、21は回転軸10aと同心状にかつN極マグネット21aとS極マグネット21bとが交互に配設された回転ディスク18の円環状のマグネット、22はマグネット21を保持しかつスプール10の回転軸10aにスプール10と一体回転可能にかつ回転軸10aに同心状に取り付けられた回転ディスク18の円環状のマグネット保持部材である。
そして、移動部材(回転部材)であるスプール10がシートベルト引出し方向に回転すると、回転ディスク18つまりマグネット21もスプール10の回転に連動してシートベルト引出し方向に回転する。すると、第1および第2ホールIC20a,20bが、それ
ぞれ、N極マグネット21aの磁極とS極マグネット21bの磁極とを検知することにより、それらの検知信号をコントローラ16に出力する。このとき、第1および第2ホールIC20a,20bが、それぞれ、N極マグネット21aとS極マグネット21bとを交
互に検知することにより、第1および第2ホールIC20a,20bの検知信号の電流の
極性が切り替わるとともに、第1および第2ホールIC20a,20bの検知信号の位相
が互いに所定量ずれている。そして、コントローラ16は、第1および第2ホールIC20a,20bからの検知信号の電流の極性の切り替え回数をカウントすることで、スプー
ル10の回転量(回転位置)を検知する。また、第1および第2ホールIC20a,20
bからの各検知信号の位相のずれ方に基づいて、スプール10の回転方向がシートベルト引出し方向であるか、あるいはシートベルト巻取り方向であるかを判断する。そして、コントローラー16は、スプール10の回転量およびスプール10の回転方向に基づいて電動モータ8の駆動を制御してシートベルト4のベルトテンションを制御する。
このように、スプール10の回転量およびスプール10の回転方向を検知する回転センサ15は、移動部材の位置および移動部材の移動方向を検知する位置検知装置を構成する。
従来、前述のような交互に配設されたN極マグネットとS極マグネットの各磁気をホール素子等の磁気検知部材で検知する位置検知装置においては、N極マグネットの着磁幅とS極マグネットの着磁幅とが互いに等しい幅に設定されている(例えば、特許文献1および2参照)。
特開2009−113718号公報。 特開2004−264136号公報。
ところで、ホール素子等の磁気検知部材には、N極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知する単極検知タイプの磁気検知部材がある。しかしながら、このような単極検知タイプの磁気検知部材で、交互に配設されかつ等しい着磁幅のN極マグネットおよびS極マグネットを検知して移動部材の位置を出力すると、次のような問題がある。
図12(a)および(b)は、単極検知タイプの磁気検知部材で、交互に配設されかつ等しい着磁幅のN極マグネットおよびS極マグネットを検知する場合の問題を説明する図である。なお、図12(a)および(b)においては、図10に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付す。
図12(a)に示すように、例えば回転センサ15が、交互に配設されかつ着磁幅が互いに等しくマグネット21の円周方向に30°の着磁幅の6個のN極マグネット21aと6個のS極マグネット21bを有する回転可能な円環状のマグネット21と、磁極検知点がマグネット21の円周方向に45°離間するようにして配設されかついずれもS極のみを検知する単極検知タイプの一対の第1および第2ホールIC20a,20bとを有する
とする。そして、マグネット21の回転角度が0°のとき、第1ホールIC20aのマグネットの磁極検知点(着磁位置)が図12(a)に示すN極マグネット21aとS極マグネット21bとの境界にあるとする。このとき、第2ホールIC20bの磁極検知点(着磁位置)は図12(a)に示すN極マグネット21aの円周方向の着磁幅の中央位置にある。
いま、マグネット21がβ方向(図12(a)において時計回り)に回転するとする。すると、第1ホールIC20aの磁極検知点でのマグネット21による磁束密度(mT)は図12(b)に実線で示す正弦曲線となり、また、第2ホールIC20bの磁極検知点でのマグネット21による磁束密度(mT)は図12(b)に点線で示す正弦曲線となる。そして、第1ホールIC20aは、所定の磁束密度(mT)以上の磁束密度(mT)のS極で検知信号を出力する(ON)が、これ以外の磁極のときには検知信号を出力しない(OFF)。すなわち、第1ホールIC20aは、マグネット21の回転角が5°から25°の間で検知信号を出力するとともにマグネット21の回転角が25°から65°の間で検知信号を出力しない。以後、マグネット21の回転に伴い、第1ホールIC20aは、ON、OFFを周期的に繰り返す。また、第2ホールIC20bは、同様にしてマグネット21の回転角が20°から40°の間で検知信号を出力するとともにマグネット21の回転角が40°から80°の間で検知信号を出力しない。以後、マグネット21の回転に伴い、第2ホールIC20bは、ON、OFFを周期的に繰り返す。
このように、第1および第2ホールIC20a,20bが検知信号を出力するマグネッ
ト21の回転角は20°であり、また第1および第2ホールIC20a,20bが検知信
号を出力しないマグネット21の回転角は40°である。したがって、第1および第2ホールIC20a,20bによる回転角の検知幅が小さく、第1および第2ホールIC20
a,20bによる回転角の非検知幅が大きい。このため、第2ホールIC20bがOFF
からONになった後、第1ホールIC20aがONからOFFになるまでのマグネット21の回転角が5°であるのに対して、第2ホールIC20bがONからOFFになった後、第1ホールIC20aがOFFからONになるまでのマグネット21の回転角が25°であり、両回転角度は互いに異なってしまう。
本来、この種の回転センサ15では、第1および第2ホールIC20a,20bによる
回転角の検知幅および非検知幅が等しいことが回転角度を正確に検知するうえで理想であるが、このように第1および第2ホールIC20a,20bによる回転角の検知幅および
非検知幅が異なると、検知角度にばらつきを生じ、回転角度を高精度に検知することは難しいという問題がある。
一方、第1および第2ホール素子20a,20bの設置位置のばらつき等によっても、
回転センサ15が検知する回転角度がばらつく。例えば、図13に示すように第1および第2ホール素子20a,20bが検知しようとする基準角度がX°であるとすると、実際
には第1および第2ホール素子20a,20bが検知する回転角度は、X°±α°である
。ここで、X°は基準角度であり、α°はばらつきである。その結果、回転センサ15の検知精度が低下する。そこで、特許文献1に記載のシートベルトリトラクタ3では、第1および第2ホール素子20a,20bの設置位置のばらつき等をできるだけ低減して、回
転センサ15の検知精度を少なくとも実用範囲に維持している。なお、回転センサ15が検知する回転角度のばらつきはほぼ同程度である。
しかしながら、特許文献1に記載のシートベルトリトラクタ3では、回転センサ15の回転ディスク18(つまり、マグネット21)がスプール10の回転軸10aと一体回転可能に設けられている。すなわち、スプール10の回転速度とマグネット21の回転速度とが等しいかあるいはほぼ等しい。このため、第1および第2ホール素子20a,20b
からの検知信号の電流の極性の切り替え回数の所定切り替え回数に対して、検知されるマグネット21の回転角が小さくなる。このように、検知されるマグネット21の回転角が小さいと、前述の回転センサ15が検知する回転角度のばらつきが、検知されるマグネット21の回転角に影響する。したがって、特許文献1に記載のシートベルトリトラクタ3では、回転センサ15の検知精度は実用に供し得るが、更に一層向上させることが望ましい。
一方、前述のようにばらつきを生じる回転センサ15を用いた従来のシートベルトリトラクタでは、スプールによるシートベルトの巻取りおよび引出しを高精度に行うことでベルトテンション(ベルト張力)を高精度に制御することに改善の余地がある。また、この従来のシートベルトリトラクタを備える従来のシートベルト装置では、車両の走行状況およびシートベルト装置の使用状況等に応じてベルトテンションを高精度に制御することに改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、移動部材の位置をより一層高精度に検知することができる位置検知装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、車両の走行状況およびシートベルト装置の使用状況等に応じてベルトテンションをより一層高精度に制御することのできるシートベルトリトラクタおよびこれを備えたシートベルト装置を提供することである。
前述の課題を解決するために、本発明に係る位置検知装置は、N極とS極とが交互に配設されるとともに移動部材の移動に連動して移動する磁気部材と、前記磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知して検知信号を出力する磁気検知部材とを有し、前記磁気検知部材前記磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知して前記検知信号を出力することで前記移動部材の位置を検知する位置検知装置において、前記磁気検知部材が検知する前記磁気部材の前記一方の磁極の着磁幅が、前記N極およびS極のいずれか他方の磁極の着磁幅より大きく設定されるとともに、前記磁気検知部材が前記磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知して前記検知信号を出力する検知幅と前記磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極を検知しなく前記検知信号を出力しない非検知幅とが同じかまたはほぼ同じに設定されていることを特徴としている。
また、本発明に係る位置検知装置は、前記移動部材が回転部材であり、前記磁気部材が、前記N極と前記S極とが交互にかつ円環状に配設されるとともに前記回転部材の回転に連動して前記N極と前記S極との前記円環状の配設の中心に回転し、前記磁気検知部材が、第1磁気検知部材と、前記第1磁気検知部材から前記N極と前記S極との前記円環状の
配設の円周方向に離間して配設された第2磁気検知部材とからなることを特徴としている。
更に、本発明に係る位置検知装置は、前記磁気部材が、前記N極マグネットと前記S極マグネットとが交互にかつ円環状に配設された所定数のマグネットであり、前記磁気検知部材が、前記N極マグネットのN極および前記S極マグネットのS極のいずれか一方の磁極を検知するホール素子であることを特徴としている。
一方、本発明に係るシートベルトリトラクタは、シートベルトを巻き取るスプールと、このスプールを回転させるための駆動手段と、スプールの回転量を検知する回転量検知装置とを少なくとも備え、前記回転量検知装置によって検知された前記スプールの回転量に基づいて前記駆動手段を駆動制御することで、スプールによる回転量が制御されるシートベルトリトラクタにおいて、前記回転量検知装置は請求項3に記載の位置検知装置であるとともに、前記移動部材は前記スプールであり、前記回転量検知装置が回転ディスクを有するとともに、前記回転ディスクは、前記回転ディスクと同心状に配設された前記所定数のマグネットと、前記所定数のマグネットと一体回転可能な被伝動部材とを有し、更に、前記シートベルトリトラクタが、前記スプールと一体回転可能に設けられて前記スプールの回転を前記被伝動部材に伝達する伝動部材を有するとともに前記伝動部材の回転速度を増速して前記被伝動部材に伝達して、前記スプールの回転を増速して前記マグネットを回転させる増速機構を有し、前記磁気検知部材が、前記所定数のマグネットのうち、所定位置に位置するマグネットを検知することを特徴としている。
また、本発明に係るシートベルトリトラクタは、前記回転量検知装置が、前記スプールの回転軸と偏心しかつ前記回転軸のラジアル方向に配設されており、前記被伝動部材が被伝動ギアであるとともに、前記伝動部材が前記被伝動ギアに噛合する伝動ギアであり、前記増速機構が前記被伝動ギアと前記伝動ギアとにより構成されていることを特徴としている。
更に、本発明に係るシートベルトリトラクタは、前記回転量検知装置が、前記スプールの回転軸と偏心しかつ前記回転軸のラジアル方向に配設されており、前記被伝動部材が被伝動プーリであるとともに、前記伝動部材が伝動プーリであり、前記増速機構が、前記被伝動プーリ、前記伝動プーリ、および前記被伝動プーリと前記伝動プーリとに巻掛けられた無端ベルトにより構成されていることを特徴としている。
更に、本発明に係るシートベルトリトラクタは、前記回転量検知装置が前記スプールの回転軸と同心状に配設されており、前記増速機構が遊星歯車機構により構成されていることを特徴としている。
更に、本発明に係るシートベルトリトラクタは、前記被伝動部材が前記遊星歯車機構のサンギアであるとともに、前記伝動部材が前記遊星歯車機構のキャリアであることを特徴としている。
更に、本発明に係るシートベルト装置は、シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、このシートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトに摺動自在に支持されたタングと、このタングが係脱可能に係合されるバックルとを少なくとも備え、前記シートベルトによって乗員を拘束するシートベルト装置において、前記シートベルトリトラクタが、前述の本発明のシートベルトリトラクタのいずれか1つであることを特徴としている。
このように構成された本発明の位置検知装置によれば、N極とS極とが交互に配設されるとともに移動部材の移動に連動して移動する磁気部材と、この磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知する単極検知タイプの磁気検知部材とを有する。その場合、磁気検知部材により検知される磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極の着磁幅が、N極およびS極のいずれか他方の磁極の着磁幅より大きく設定されるとともに、磁気検知部材が磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知して検知信号を出力する検知幅と磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極を検知しなく検知信号を出力しない非検知幅とが同じかまたはほぼ同じに設定される。したがって、磁気検知部材の検知点自体に生じるばらつきを抑制することができ、磁気検知部材の検知点を本来理想とする検知点に近づけることが可能となる。これにより、本発明の位置検知装置は磁気部位材の移動位置をより一層高精度に検知することが可能となる。
磁気検知部材として、一対の第1および第2磁気検知部材が磁気部材の移動方向に離間して設けられた場合、第1および第2磁気検知部材の各検知点自体に生じるばらつきを抑制することができるとともに、第1および第2磁気検知部材の各検知点間に生じるばらつきも抑制することができる。これにより、本発明の位置検知装置は、磁気部材の移動位置および磁気部材の回転方向をともにより一層高精度に検知することが可能となる。
また、本発明のシートベルトリトラクタによれば、回転量検知装置とスプールとの間に、スプールの回転を所定の倍速比で増速してマグネットを回転させる増速機構が配設される。したがって、この増速機構により、マグネットの回転速度がスプールの回転速度に比し大きくなるので、回転量検知装置が検知しようとする基準角度を、従来の回転センサが検知しようとする基準度より大きくすることができる。これにより、回転量検知装置の検知のばらつきを効果的に小さくできる。その結果、回転量検知装置の検知精度を更に一層効果的に向上させることができる。
特に、本発明のシートベルトリトラクタは、本発明の位置検知装置を用いることで、前述の本発明の位置検知装置による効果と相俟って、回転量検知装置によるスプールの回転位置の検知精度およびスプールの回転方向の検知精度を相乗的に更に一層効果的に向上させることができる。
更に、回転量検知装置がスプールの回転軸と偏心しかつ回転軸のラジアル方向の位置に配設される。したがって、従来のように回転量検知装置がスプールの軸受として機能することがなくなる。これにより、緊急時にスプールにシートベルトから加えられる大きな荷重が回転量検知装置に伝達するのを、効果的に抑制することができる。その結果、回転量検知装置のスラスト方向(スプールの軸方向)のサイズを従来に比べて小さくすることができる。
更に、増速機構を遊星歯車機構により構成することで、回転量検知装置における回転ディスクのマグネットがスプールの回転軸と同心状に配設されているので、回転量検知装置のサイズが回転軸のラジアル方向に大きくなるのを抑制することができる。しかも、スプールの回転軸と回転量検知装置の回転ディスクとの間に配設される増速機構を遊星歯車機構で構成しているので、回転量検知装置をスプールの回転軸のラジアル方向に更にコンパクトに形成することができる。
一方、本発明のシートベルト装置によれば、本発明のシートベルトリトラクタを備えているので、シートベルトのベルトテンションをより正確に制御することが可能となる。したがって、シートベルトにより、乗員を長期にわたりかつ車両走行状況およびシートベルト装置の使用状況等に応じて効率よく拘束することができる。
本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の第1例を部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)における右側面図である。 (a)はN極マグネットおよびS極マグネットと第1および第2ホール素子との相互位置関係を示す図、(b)は第1および第2ホール素子の磁極検知点での磁束密度および検知信号を示す図である。 スプールに加えられる荷重の方向と回転センサの設置位置との関係を説明する図である。 (a)は増速機構を示す図、(b)は図1に示す第1例の回転センサの検知角度のばらつきを説明する図である。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同様の図である。 (a)および(b)は本発明の実施の形態の第3例を示す、図1(a)および(b)と同様の図である。 本発明の実施の形態の第4例を示す、図と同様の図である。 特許文献1に記載のシートベルト装置を示す図である。 特許文献1に記載のシートベルトリトラクタを部分的に断面をとって示す図である。 (a)は特許文献1に記載の回転センサの円環状マグネットを示す図、(b)は特許文献1に記載の回転センサを部分的に示す、(a)におけるXB部に対応する部分図、(c)は(b)におけるXC−XC線に沿う断面図である。 回転センサによる回転の検知を説明する図である (a)は従来のN極マグネットおよびS極マグネットと第1および第2ホール素子との相互位置関係を示す図、(b)は従来の第1および第2ホール素子の磁極検知点での磁束密度および検知信号を示す図である。 特許文献1に記載の回転センサの検知角度のばらつきを説明する図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の第1例を部分的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)における右側面図である。なお、この第1例のシートベルトリトラクタおよびシートベルト装置の構成要素において、特許文献1に記載の図8ないし図13に示すシートベルトリトラクタおよびシートベルト装置と同じ構成要素には同じ符号を付すことで、それらの詳細な説明は省略する。
図1(a)および(b)に示すように、第1例のシートベルト装置1に用いられるシートベルトリトラクタ3は、スプール10の回転軸10aと偏心した位置に配設された位置検知装置および回転量検知装置である回転センサ15を備えている。この回転センサ15は、フレームの右側壁9bに回転可能に取り付けられた回転ディスク18と、フレームの右側壁9bに移動不能に取り付けられたブラケット19とを有している。
回転ディスク18は、円環状のマグネット保持部材22と、このマグネット保持部材22に一体回転可能にかつ円環状に配設されたマグネット21とを有している。図2(a)に示すように、円環状のマグネット21は、N極マグネット21aとS極マグネット21bとが交互に配設されて形成されている。その場合、N極マグネット21aの着磁幅がマグネット21の円周方向に15°に設定されているとともに、S極マグネット21bの着磁幅がマグネット21の円周方向に45°に設定されている。したがって、S極マグネット21bの着磁幅がN極マグネット21aの着磁幅よりかなり大きくされている。また、マグネット保持部材22は、マグネット保持部材22と同心状に配設された外歯23aを有する筒状の被伝動ギア23(被伝動部材に相当)を一体に有している。
スプール10の回転軸10aには、伝動ギア24(伝動部材に相当)がブッシュ10bを介して回転軸10aと一体回転可能にかつ同心状に取り付けられている。この伝動ギア
24は外歯24aを有し、この外歯24aが被伝動ギア23の外歯23aと噛合するようにされている。
図1(b)に示すように、ブラケット19には、磁気検知部材である一対の第1および第2ホール素子(ホールIC)20a,20bがマグネット21の一部と対向するように
して特許文献1と同様に取り付けられている。第1例のこれらの第1および第2ホール素子20a,20bは、S極のみを検知する単極検知タイプの磁気検知部材である。図2(
a)に示すように、第1および第2ホールIC20a,20bは、それらの磁極検知点の
位置がマグネット21の円周方向に45°離間するようにして配設されている。そして、マグネット21の回転角度が0°のとき、第1ホールIC20aのマグネットの磁極検知点(着磁位置)が図2(a)に示すN極マグネット21aとS極マグネット21bとの境界に設定される。このとき、第2ホールIC20bの磁極検知点(着磁位置)は図2(a)に示すS極マグネット21bとN極マグネット21aとの境界に位置している。
このようにして、この第1例のシートベルトリトラクタ3では、回転センサ15は伝動ギア24のラジアル方向(つまり、回転軸10aのラジアル方向)に配設される。その場合、図3に示すように回転センサ15の外歯23aと伝動ギア24の外歯24aとの噛合位置が、前述の緊急時にシートベルト4からスプール10に大きな荷重Fが加えられたとき、この荷重Fによって伝動ギア24(つまり、回転軸10a)が被伝動ギア23(つまり、回転センサ15)から遠ざかる方向(離間する方向)の位置に配設されている。
また、第1例のシートベルトリトラクタ3は、回転センサ15の被伝動ギア23の外歯23aと伝動ギア24の外歯24aとのギア比は、被伝動ギア23の回転(つまり、マグネット21の回転)が伝動ギア24の回転(つまり、スプール10の回転)より増速されるように設定されている。すなわち、被伝動ギア23と伝動ギア24とにより、スプール10の回転を所定の倍速比で増速してマグネット21を回転させる歯車機構からなる増速機構25が構成されている。したがって、この増速機構25は回転センサ15とスプール10の回転軸10aとの間に配設される。
増速機構25により、マグネット21の回転がスプール10の回転より増速されると、第1および第2ホール素子20a,20bからの検知信号の電流の極性の切り替え回数の
所定切り替え回数に対して、検知されるマグネット21の回転角が大きくなる。いま、図4(b)に示す第1例のシートベルトリトラクタ3における回転センサ15と図13に示す従来のシートベルトリトラクタ3における回転センサ15とを比較する。その場合、第1例の回転センサ15のマグネット21の内外周径と従来の回転センサ15のマグネット21の内外周径とが等しいとともに、第1および第2ホール素子20a,20bが検知す
る検知点の円の直径も同じであるとする。この場合、第1および第2ホール素子20a,
20bからの検知信号の電流の極性の切り替え回数が同じ所定切り替え回数であるときの基準角度(つまり、検知しようとする基準角度)を、それぞれ第1例の回転センサ15ではY°で表され、従来の回転センサ15ではX°で表すとする。したがって、この第1例の回転センサ15によって検知される回転角度は、Y°±α°であり、従来の回転センサ15によって検知される回転角度は、X°±α°である。このとき、第1例の回転センサ15は増速機構25により増速されてスプール10の回転速度より大きくなっているから、第1例の回転センサ15の基準角度Y°が従来の回転センサ15の基準角度X°より大きい(すなわち、Y°>X°)。
このようにY°>X°であることから、ばらつきα°が第1例の回転センサ15の基準角度Y°に及ぼす影響は、ばらつきα°が従来の回転センサ15の基準角度X°に及ぼす影響より小さくなる。具体的な一例として、スプール10の回転がV°/secであり、増速機構25の倍速比が2であるとする、この場合には、この第1例の回転センサ15の
マグネット21の回転速度がスプール10の回転速度V°/secの2倍の2V°/secである。一方、従来の回転センサ15のマグネット21の回転速度がスプール10と同じV°/secである。したがって、単位基準角度あたりのばらつきは、第1例の回転センサ15では(1.05/2V)°であり、従来の回転センサ15では(1.05/V)°である。すなわち、第1例の回転センサ15の検知角度に対するばらつきの影響は、(1.05/2V)°/(1.05/V)°であるから、第1例の回転センサ15による検知角度における、検知しようとする基準角度に対するばらつきの影響は、従来の回転センサ15がによる検知角度における、検知しようとする基準角度に対するばらつきの影響の2分の1となる。つまり、同じ検知角度では、第1例の回転センサ15のばらつきが0.52
5°であり、また従来の回転センサ15のばらつきが1.05°である。
更に、図2(b)に示すように、スプール10がシートベルト引出し方向に回転すると、マグネット21がβ方向(図2(a)において時計回り)に回転する。すると、S極マグネット21bの着磁幅が大きく、N極マグネット21aの着磁幅が小さいことから、第1ホールIC20aの磁極検知点でのマグネット21による磁束密度(mT)は図2(b)に実線で示す振幅方向の中心位置がN曲側にずれるとともにS極側の波の山が回転角度方向に広くかつN極側の波の山が回転角度方向に狭い変則正弦波状の曲線となる。また、第2ホールIC20bの磁極検知点でのマグネット21による磁束密度(mT)は第1ホールIC20aと同形状ありかつ位相のずれた図2(b)に点線で示す変則正弦波状の曲線となる。
そして、第1ホールIC20aは、所定の磁束密度(mT)以上の磁束密度(mT)のS極で検知信号を出力する(ON)が、これ以外の磁極のときには検知信号を出力しない(OFF)。すなわち、第1ホールIC20aは、マグネット21の回転角が7.5°ま
では検知信号を出力しない。更に、第1ホールIC20aは、マグネット21の回転角が7.5°から37.5°の間で検知信号を出力するとともにマグネット21の回転角が37.5°から67.5°の間で検知信号を出力しない。以後、マグネット21の回転に伴い、第1ホールIC20aは、ON、OFFを周期的に繰り返す。また、第2ホールIC20bは、同様にしてマグネット21の回転角が22.5°までは検知信号を出力しない。更
に、第2ホールIC20bは、マグネット21の回転角が22.5°から52.5°の間で検知信号を出力するとともにマグネット21の回転角が52.5°から82.5°の間で検知信号を出力しない。以後、マグネット21の回転に伴い、第2ホールIC20bは、ON、OFFを周期的に繰り返す。
この例の回転センサ15では、第1および第2ホールIC20a,20bが検知信号を
出力するマグネット21の回転角はいずれも30°であり、また第1および第2ホールIC20a,20bが検知信号を出力しないマグネット21の回転角も30°である。した
がって、第1および第2ホールIC20a,20bによる回転角の検知幅と非検知幅は同
じになる。したがって、第1ホールIC20aがOFFからONになった後、第2ホールIC20bがOFFからONになるまでのマグネット21の回転角は15°である、また、第2ホールIC20bがOFFからONになった後、第1ホールIC20aがONからOFFになるまでのマグネット21の回転角も15°である。更に、第2ホールIC20bがONからOFFになった後、第1ホールIC20aがOFFからONになるまでのマグネット21の回転角も15°である。
このように、第1および第2ホールIC20a,20bのONの回転角度およびOFFの回転角度は、いずれも同じ30°となるとともに、第1ホールIC20aのON、OFFと第2ホールIC20bのON、OFFとの間の回転角度は、いずれも同じ15°となる。したがって、この例の回転センサ15では、第1および第2ホールIC20a,20bの各検知角度が本来理想とする検知角度に近く、各検知角度にばらつきがほとんど生じない。これにより、この例の回転センサ15は、マグネット21の回転角度(つまり)、スプール10の回転角度)を高精度に検知するようになる。
この第1例の回転センサ15の他の構成、シートベルトリトラクタ3の他の構成およびシートベルト装置1の構成は、特許文献1に記載の回転センサ15、シートベルトリトラクタ3およびシートベルト装置1と同じである。
このように構成された第1例の回転センサ15によれば、S極のみを検知する単極検知タイプの第1および第2ホール素子20a.20bで、N極マグネット21aとS極マグネット21bとを交互に配設したマグネット21におけるS極マグネット21bのS極のみを検知している。その場合、S極マグネット21bの着磁幅がN極マグネット21aの着磁幅より大きく設定される。したがって、第1および第2ホールIC20a,20bの各検知角度自体に生じるばらつきを抑制することができるとともに、第1および第2ホールIC20a,20bの各検知角度間に生じるばらつきも抑制することができ、第1および第2ホールIC20a,20bの各検知角度を本来理想とする検知角度に近づけることが可能となる。これにより、この例の回転センサ15は、マグネット21の回転角度(つまり、スプール10の回転角度、すなわち回転位置)およびマグネット21の回転方向をともにより一層高精度に検知することが可能となる。
また、この回転センサ15を用いたシートベルトリトラクタ3およびこのシートベルトリトラクタ3を備えたシートベルト装置1によれば、車両の走行状況およびシートベルト装置1の使用状況等に応じてシートベルト4のベルトテンションをより一層高精度に制御することが可能となる。したがって、シートベルト4により、乗員を長期にわたりかつ車両走行状況およびシートベルト装置1の使用状況等に応じて効率よく拘束することができる。
更に、回転センサ15とスプール10の回転軸10aとの間に、スプール10の回転を所定の倍速比で倍速してマグネット21に伝達する増速機構25が配設される。したがって、この増速機構25により、マグネット21の回転速度がスプール10の回転速度に比し大きくなるので、この第1例の回転センサ15が検知しようとする基準角度Y°を、従来の回転センサ15が検知しようとする基準度X°より大きくすることができる。これにより、第1例の回転センサ15の検知のばらつきを効果的に縮小することができる。
この第1例のシートベルトリトラクタ3は、本発明の位置検知装置である第1例の回転センサ15を用いることで、この増速機構25によるばらつきの縮小の効果と相俟って、回転センサ15によるスプール10の回転位置の検知精度およびスプール10の回転方向の検知精度を相乗的に、より一層効果的に向上させることができる。
更に、回転センサ15がスプール10の回転軸10aと偏心したラジアル方向でかつ緊急時にスプール10に加えられる大きな荷重Fによって伝動ギア24が被伝動ギア23から離間する方向の位置に配設される。したがって、従来のように回転センサ15がスプール10の軸受として機能することがなくなる。これにより、緊急時にスプール10にシートベルト4から加えられる大きな荷重Fが回転センサ15に伝達するのを、効果的に抑制することができる。その結果、回転センサ15のスラスト方向(スプール10の軸方向)のサイズを従来に比べて小さくすることができる。また、第1例のシートベルトリトラクタ3ではこの回転センサ15を備えるので、回転センサ15を設けてもシートベルトリトラクタ3のスラスト方向のサイズの増大を効果的に抑制することが可能となる。特に、回転センサ15をスプール10の回転軸10aと偏心してラジアル方向に配設しているので、シートベルトリトラクタ3のスラスト方向のサイズが更に効果的に抑制することができる。
更に、前述の大きな荷重Fが回転センサ15に伝達するのを抑制されることから、回転センサ15がこの荷重Fに影響されるのを抑制することができる。これにより、回転センサ15の検知精度を向上させることが可能となる。
更に、緊急時に大きな減速度が車両に作用したとき、シートベルト4に加えられる乗員の慣性力はほぼ前方であるため、荷重方向Fがほぼ一定方向となる。したがって、回転センサ15の設置位置を容易に設定することが可能となる。
こうして、回転センサ15の検知精度を向上させつつ、回転センサ15に加えられる荷重を小さくするとともにスラスト方向のサイズの増大を抑制することができるシートベルトリトラクタが実現可能となる。
この第1例の回転センサ15の他の作用効果、シートベルトリトラクタ3の他の作用効果およびシートベルト装置1の作用効果は、特許文献1に記載の回転センサ15、シートベルトリトラクタ3およびシートベルト装置1と同じである。
図5は本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同様の図である。
図1ないし図4(a),(b)に示す第1例では、回転センサ15の回転ディスク18
がスプール10の回転軸10aと偏心して配設されているが、図5に示すようにこの第2例のシートベルトリトラクタ3では、前述の特許文献1と同様に、回転ディスク18がスプール10の回転軸10aと同心状に配設されている。
そして、第2例のシートベルトリトラクタ3では、増速機構25が遊星歯車機構で構成されている。すなわち、回転センサ15の回転ディスク18に設けられる被伝動ギア23が外歯23b1を有するサンギア23bで構成される。このサンギア23bは回転ディスク18(つまり、マグネット21)と一体回転可能とされているとともに、回転軸10aと同心状に配設される。また、内歯26aを有するインターナルギア26が回転軸10aと同心状に配設されて、フレーム9の右側壁9bに固定されている。更に、サンギア23bの外歯23b1とインターナルギア26の内歯26aとに噛合する外歯27aを有するプラネットギア27が配設されている。プラネットギア27は所定数(図示例では、3個)だけ円周方向に等間隔に配設される。各プラネットギア27はキャリア28に回転可能に支持されている。このキャリア28は回転軸10aに一体回転可能に取り付けられている。したがって、キャリア28はスプール10と一体回転可能である。
この第2例のシートベルトリトラクタ3およびシートベルト装置1の他の構成は前述の第例と同じである
このように構成されたこの第2例のシートベルトリトラクタ3においては、スプール10が回転すると、回転軸10aを介してキャリア28が回転する。すると、3個のプラネットギア27が回転するので、サンギア23bが回転する。このとき、遊星歯車機構により、キャリア28の回転が所定の倍速比で増速されて、サンギア23bが回転する。すなわち、スプール10の回転が増速機構25により増速されて回転ディスク18に伝達され、マグネット21の回転速度がスプール10の回転速度より大きくなる。
この第2例のシートベルトリトラクタ3によれば、回転センサ15における円環状の回転ディスク18のマグネット21がスプール10の回転軸10aと同心状に配設されているので、回転センサ15のサイズが回転軸10aのラジアル方向に大きくなるのを抑制することができる。しかも、スプール10の回転軸10aと回転センサ15の回転ディスク18との間に配設される増速機構25を遊星歯車機構で構成しているので、回転センサ15を回転軸10aのラジアル方向に更にコンパクトに形成することができる。
この第2例のシートベルトリトラクタ3およびシートベルト装置1の作用効果は、実質的に前述の第1例と同じである。
図6(a)および(b)は本発明の実施の形態の第3例を示す、図1(a)および(b)と同様の図である。
図1ないし図4(a),(b)に示す第1例では、増速機構25が回転センサ15の被
伝動ギア23とスプール10の回転軸10aに固定された伝動ギア24との歯車機構により構成されているが、図6(a)および(b)に示すように、この第3例のシートベルトリトラクタ3では、増速機構25がベルト伝動機構29で構成されている。すなわち、この第3例では、回転センサ15のマグネット保持部材22に、第1例の被伝動ギア23に代えて被伝動プーリ30が被伝動ギア23と同様にして設けられている。また、スプール10の回転軸10aには、第1例の伝動ギア24に代えて伝動プーリ31が伝動ギア24と同様にして設けられている。そして、被伝動プーリ30と伝動プーリ31とに無端ベルト32が巻掛けられている。すなわち、ベルト伝動機構29は、被伝動プーリ30、伝動プーリ31、および無端ベルト32により構成される。そして、伝動プーリ31の無端ベルト巻掛け半径が被伝動プーリ30の無端ベルト巻掛け半径より大きく設定されている。したがって、スプール10の回転が増速されてマグネット21に伝達され、マグネット21の回転速度がスプール10の回転速度より大きくなる。
この第3例のシートベルトリトラクタ3およびシートベルト装置1の他の構成および他の作用効果は、実質的に前述の第1例と同じである。
図7は本発明の実施の形態の第4例を示す、図3と同様の図である。
図1および図3に示す第1例では、伝動ギア24が外歯24aを有し、回転センサ15の被伝動ギア23の外歯23aがこの伝動ギア24の外歯24aに噛合されるようにしているが。図7に示すように、この第4例のシートベルトリトラクタ3では、伝動ギア24が内歯24bを有するインターナルギアで構成されている。そして、被伝動ギア23の外歯23aが伝動ギア24の内歯24bに噛合される。その場合、前述の第1例と同様に、回転センサ15がスプール10の回転軸10aと偏心したラジアル方向でかつ緊急時にスプール10に加えられる大きな荷重Fによって伝動ギア24が被伝動ギア23から離間する方向の位置に配設される。
この第4例のシートベルトリトラクタ3の他の構成および作用効果は、実質的に図1および図3に示す第1例と同じである。
なお、本発明は前述の各例に限定されることはなく、例えば第1および第2ホール素子20a,20bからなる磁気検知部材を、N極のみを検知する単極検知タイプの磁気検知
部材とすることもできる。要は、特許請求の範囲に記載された技術事項の範囲で種々設計変更が可能である。
本発明の位置検知装置、シートベルトリトラクタ、およびシートベルト装置は、N極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知する単極検知タイプのホール素子等の磁気検知部材で、N極とS極とが交互に配設されるとともに移動部材(回転部材を含む)の移動に連動して移動する磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知することで、移動部材の位置を検知する位置検知装置、この位置検知装置によりスプールの回転量を検知することでスプールの回転が制御されるシートベルトリトラクタ、およびこのシートベルトリトラクタを備えたシートベルト装置に好適に利用することができる。
1…シートベルト装置、3…シートベルトリトラクタ、4…シートベルト、6…タング、7…バックル、8…電動モータ、9…フレーム、10…スプール、10a…回転軸、11…ロック機構、12…減速度感知機構,13…スプリング機構、14…動力伝達機構、15…回転センサ、16…コントローラ(CPU)、18…回転ディスク、19…ブラケット、20a…第1ホール素子(第1ホールIC)、20b…第2ホール素子(第2ホール
IC)、21…マグネット、21a…N極マグネット、21b…S極マグネット、22…マグネット保持部材、23…被伝動ギア、23a…外歯、23b…サンギア、23b1
外歯、24…伝動ギア、24a…外歯、25…増速機構、26…インターナルギア、26a…内歯、27…プラネットギア、27a…外歯、28…キャリア、29…ベルト伝動機構、30…被伝動プーリ、31…伝動プーリ、32…無端ベルト

Claims (9)

  1. N極とS極とが交互に配設されるとともに移動部材の移動に連動して移動する磁気部材と、前記磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知して検知信号を出力する磁気検知部材とを有し、前記磁気検知部材前記磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知して前記検知信号を出力することで前記移動部材の位置を検知する位置検知装置において、
    前記磁気検知部材が検知する前記磁気部材の前記一方の磁極の着磁幅が、前記N極およびS極のいずれか他方の磁極の着磁幅より大きく設定されるとともに、
    前記磁気検知部材が前記磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極のみを検知して前記検知信号を出力する検知幅と前記磁気部材のN極およびS極のいずれか一方の磁極を検知しなく前記検知信号を出力しない非検知幅とが同じかまたはほぼ同じに設定されていることを特徴とする位置検知装置。
  2. 前記移動部材は回転部材であり、
    前記磁気部材は、前記N極と前記S極とが交互にかつ円環状に配設されるとともに前記回転部材の回転に連動して前記N極と前記S極との前記円環状の配設の中心に回転し、
    前記磁気検知部材は、第1磁気検知部材と、前記第1磁気検知部材から前記N極と前記S極との前記円環状の配設の円周方向に離間して配設された第2磁気検知部材とからなることを特徴とする請求項1に記載の位置検知装置。
  3. 前記磁気部材は前記N極マグネットと前記S極マグネットとが交互にかつ円環状に配設された所定数のマグネットであり、
    前記磁気検知部材は、前記N極マグネットのN極および前記S極マグネットのS極のいずれか一方の磁極を検知するホール素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の位置検知装置。
  4. シートベルトを巻き取るスプールと、このスプールを回転させるための駆動手段と、スプールの回転量を検知する回転量検知装置とを少なくとも備え、前記回転量検知装置によって検知された前記スプールの回転量に基づいて前記駆動手段を駆動制御することで、スプールによる回転量が制御されるシートベルトリトラクタにおいて、
    前記回転量検知装置は請求項3に記載の位置検知装置であるとともに、前記移動部材は前記スプールであり、
    前記回転量検知装置は回転ディスクを有するとともに、前記回転ディスクは、前記回転ディスクと同心状に配設された前記所定数のマグネットと、前記所定数のマグネットと一体回転可能な被伝動部材とを有し、
    更に、前記シートベルトリトラクタは、前記スプールと一体回転可能に設けられて前記スプールの回転を前記被伝動部材に伝達する伝動部材を有し、
    前記伝動部材の回転速度を増速して前記被伝動部材に伝達して、前記スプールの回転を増速して前記マグネットを回転させる増速機構を有し、
    前記磁気検知部材は、前記所定数のマグネットのうち、所定位置に位置するマグネットを検知することを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  5. 前記回転量検知装置は、前記スプールの回転軸と偏心しかつ前記回転軸のラジアル方向に配設されており、
    前記被伝動部材は被伝動ギアであるとともに、前記伝動部材は前記被伝動ギアに噛合する伝動ギアであり、
    前記増速機構は前記被伝動ギアと前記伝動ギアとにより構成されていることを特徴とする請求項4に記載のシートベルトリトラクタ。
  6. 前記回転量検知装置は、前記スプールの回転軸と偏心しかつ前記回転軸のラジアル方向に配設されており、
    前記被伝動部材は被伝動プーリであるとともに、前記伝動部材は伝動プーリであり、
    前記増速機構は、前記被伝動プーリ、前記伝動プーリ、および前記被伝動プーリと前記伝動プーリとに巻掛けられた無端ベルトにより構成されていることを特徴とする請求項4
    に記載のシートベルトリトラクタ。
  7. 前記回転量検知装置は前記スプールの回転軸と同心状に配設されており、
    前記増速機構は遊星歯車機構により構成されていることを特徴とする請求項4に記載のシートベルトリトラクタ。
  8. 前記被伝動部材は前記遊星歯車機構のサンギアであるとともに、前記伝動部材は前記遊星歯車機構のキャリアであることを特徴とする請求項7に記載のシートベルトリトラクタ。
  9. シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、このシートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトに摺動自在に支持されたタングと、このタングが係脱可能に係合されるバックルとを少なくとも備え、前記シートベルトによって乗員を拘束するシートベルト装置において、
    前記シートベルトリトラクタは、請求項4ないし8のいずれか1に記載のシートベルトリトラクタであることを特徴とするシートベルト装置。
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